(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】複合材成形方法
(51)【国際特許分類】
B29C 70/34 20060101AFI20240122BHJP
B29C 70/48 20060101ALI20240122BHJP
B29C 39/10 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
B29C70/34
B29C70/48
B29C39/10
(21)【出願番号】P 2023504983
(86)(22)【出願日】2021-03-10
(86)【国際出願番号】 JP2021009602
(87)【国際公開番号】W WO2022190282
(87)【国際公開日】2022-09-15
【審査請求日】2022-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100140914
【氏名又は名称】三苫 貴織
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】北澤 俊樹
(72)【発明者】
【氏名】清水 正彦
【審査官】田代 吉成
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-154494(JP,A)
【文献】特開平2-175135(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 70/34
B29C 70/48
B29C 39/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状に形成される第1繊維基材と第2繊維基材とを一体化して複合材を成形する複合材成形方法であって、
第1方向に沿って延びる第1成形面を有する成形型の前記第1成形面に形成される凹所に、前記凹所に対応する形状に形成された前記第2繊維基材を設置する設置工程と、
前記設置工程により前記第2繊維基材が設置された前記凹所を覆うように、前記第1繊維基材に含まれる複数の繊維強化シートの一部である第1繊維強化部
の前記第1方向に直交する第2方向の端部を前記第1成形面に固定する固定工程と、
前記固定工程により固定された前記第1繊維強化部に、前記第1繊維基材に含まれる複数の前記繊維強化シートの他の一部であ
り前記第1繊維強化部に含まれる前記繊維強化シートよりも多い層数により構成される第2繊維強化部を積層する積層工程と、
前記第1繊維基材と前記凹所に設置された前記第2繊維基材とを樹脂材料により一体化して硬化させて前記複合材を成形する成形工程と、を備える複合材成形方法。
【請求項2】
前記固定工程は、前記第1成形面との間にシート材を挟んだ状態で前記第1繊維強化部を前記第1成形面に固定する請求項1に記載の複合材成形方法。
【請求項3】
前記成形型は、前
記第2方向において、前記第1成形面の端部に設けられた湾曲部を有し、
平坦状に形成される前記第2繊維強化部を前記湾曲部と対応する形状を有する賦形型を用いて前記湾曲部と対応する形状に賦形する賦形工程を備え、
前記積層工程は、前記賦形工程により前記湾曲部と対応する形状に賦形された前記第2繊維強化部を前記第1繊維強化部に積層する請求項1または請求項2に記載の複合材成形方法。
【請求項4】
前記成形型は、前
記第2方向において、前記第1成形面の端部に設けられた湾曲部を有し、
平坦状に形成される前記第2繊維強化部の前記第2方向の端部を前記湾曲部に押し当てて賦形する賦形工程を備える請求項1または請求項2に記載の複合材成形方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合材成形方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、航空機等の構造材として用いられる複合材の成形方法として、外部成形ライン(Outer Mold Line)の成形型の上に繊維強化シートを積層した積層体(チャージ)を載置し、その積層体の上に複数の複合材部品を設置して一体成形する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1では、スキン用型にスキンを設置し、スキンの上にストリンガを設置し、ストリンガをストリンガ用型で押え、ストリンガ用型を折り曲げプレートにより密閉して密閉空間を形成する。また、密閉空間に樹脂材料を注入してスキンおよびストリンガを形成する繊維基材に樹脂材料を含浸させる。繊維基材に含浸した樹脂材料を加熱して硬化させることにより、ストリンガおよびスキンが一体化した成形品が完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示される成形方法では、スキンの上にストリンガを設置する際に正確に位置決めをし、位置決めしたストリンガの位置を維持したままストリンガ用型を取り付ける必要があり、高い作業精度が必要となる。また、ストリンガ用型を折り曲げプレートにより密閉する作業が煩雑であり、作業工数が増加してしまう。
【0006】
以上の問題を解決するために、内部成形ライン(Inner Mold Line)の成形型を用いる方法が考えられる。内部成形ラインの成形型であれば、成形型に複合材部品を収容する凹所が形成されているため、複合材部品の位置決めをする際に高い作業精度が求められない利点がある。また、複合材部品を覆うように積層体を設置するため、積層体および複合材部品を密閉して密閉空間を形成する作業工数が低減する。
【0007】
しかしながら、成形型に積層体を設置する際に、積層体が凹所に収容された複合材部品と接触することにより、複合材部品が移動し、あるいは複合材部品に皺が生じる可能性がある。また、成形型と積層体との間に離型フィルム等の副資材を配置する場合に、積層体が副資材と接触することにより、副資材が移動し、あるいは副資材が複合材部品と積層体との間に挟まってしまう可能性がある。
【0008】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであって、板状に形成される第1繊維基材と第2繊維基材とを一体化して複合材を成形する際に、第1繊維基材に対する第2繊維基材の位置がずれることや、第2繊維基材に皺が発生することを防止することが可能な複合材成形方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一態様に係る複合材成形方法は、板状に形成される第1繊維基材と第2繊維基材とを一体化して複合材を成形する複合材成形方法であって、第1方向に沿って延びる第1成形面を有する成形型の前記第1成形面に形成される凹所に、前記凹所に対応する形状に形成された前記第2繊維基材を設置する設置工程と、前記設置工程により前記第2繊維基材が設置された前記凹所を覆うように、前記第1繊維基材に含まれる複数の繊維強化シートの一部である第1繊維強化部の前記第1方向に直交する第2方向の端部を前記第1成形面に固定する固定工程と、前記固定工程により固定された前記第1繊維強化部に、前記第1繊維基材に含まれる複数の前記繊維強化シートの他の一部であり前記第1繊維強化部に含まれる前記繊維強化シートよりも多い層数により構成される第2繊維強化部を積層する積層工程と、前記第1繊維基材と前記凹所に設置された前記第2繊維基材とを樹脂材料により一体化して硬化させて前記複合材を成形する成形工程と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、板状に形成される第1繊維基材と第2繊維基材とを一体化して複合材を成形する際に、第1繊維基材に対する第2繊維基材の位置がずれることを防止することが可能な複合材成形方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る複合材成形方法により成形される複合材を示す斜視図である。
【
図2】本開示の第1実施形態に係る複合材成形方法で用いる成形型を示す斜視図である。
【
図3】
図2に示す成形型のA-A矢視断面図である。
【
図4】本開示の第1実施形態に係る複合材成形方法を示すフローチャートである。
【
図5】
図2に示す成形型に離型フィルムを設置した状態を示す断面図である。
【
図6】
図5に示す成形型の凹所に第2繊維基材を設置した状態を示す断面図である。
【
図7】
図6に示す成形型に第1繊維強化部を固定した状態を示す断面図である。
【
図8】
図7に示す成形型に第2繊維強化部を積層した状態を示す断面図である。
【
図9】
図8に示す第1繊維基材をバギングフィルムで密閉した状態を示す断面図である。
【
図10】本開示の第2実施形態の複合材成形方法で用いる成形型に第1繊維強化部を固定した状態を示す断面図である
【
図11】第2繊維強化部を賦形型で賦形した状態を示す断面図である。
【
図12】
図10に示す第1繊維強化部に第2繊維強化部を積層した状態を示す断面図である。
【
図13】本開示の第3実施形態の複合材成形方法で用いる成形型で第2繊維強化部を賦形する前の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
〔第1実施形態〕
以下、本開示の第1実施形態に係る複合材成形方法について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る複合材成形方法により成形される複合材300を示す斜視図である。
図2は、本実施形態に係る複合材成形方法で用いる成形型10を示す斜視図である。
図3は、
図2に示す成形型10のA-A矢視断面図である。
【0013】
本実施形態の複合材成形方法は、一例として、
図1に示す複合材300を成形する。
図1に示す複合材300は、航空機のスキンとストリンガを一体成型したスキンパネルである。複合材300は、長手方向(第1方向)LDに沿って延びる長尺状である。
【0014】
複合材300は、長手方向LDおよび幅方向WDに沿って平坦な板状に形成される第1繊維基材FB1と一対の第2繊維基材FB2とを樹脂材料により一体化して成形される。第2繊維基材FB2は、長手方向LDに沿って延びるとともに幅方向WDの中央部が突出する部材である。第2繊維基材FB2は、長手方向LDに沿って延びる中空部分HPを有する。幅方向(第2方向)WDは、複合材300が設置される面において、長手方向LDに直交する方向である。
【0015】
図2に示すように、本実施形態の成形型10は、内部成形ライン(Inner Mold Line)の成形型である。成形型10は、長手方向LDに沿って延びる第1成形面11を有する。第1成形面11には、長手方向LDに沿って延びるとともに第2繊維基材FB2と対応する形状の凹所12が形成されている。
【0016】
本実施形態の複合材成形方法では、凹所12に第2繊維基材FB2を設置し、凹所12を覆うように第1繊維基材FB1を積層し、第1繊維基材FB1をバギングフィルム30(
図9参照)で密閉して密閉空間CSを形成する。その後、密閉空間CSを減圧することにより密閉空間CSに樹脂材料RM(
図9参照)を充填して硬化させるインフュージョン成形を実行する。インフュージョン成形は、真空圧と大気圧の差圧を利用して、繊維基材に樹脂を含浸させるRTM(Resin Transfer Molding)の一手法である。
【0017】
第1繊維基材FB1および第2繊維基材FB2は、例えば、炭素繊維,ガラス繊維等の強化繊維材料により形成されるシートを複数層に渡って積層した部材である。樹脂材料RMは、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル、ビニルエステル、フェノール、シアネートエステル、ポリイミド等の熱硬化性樹脂材料である。
【0018】
以下の説明において、樹脂材料RMは、熱硬化性樹脂材料とするが、例えば、熱可塑性樹脂を用いてもよい。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリブチレンテレフタラート(PBT)、ナイロン6(PA6)、ナイロン66(PA66)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリエーテルケトンケトン(PEKK)等である。
【0019】
次に、本実施形態に係る複合材成形方法について図面を参照して説明する。
図4は、本実施形態に係る複合材成形方法を示すフローチャートである。
【0020】
ステップS101において、成形型10の第1成形面11に離型フィルム21を取り付け、成形型10の凹所12に離型フィルム22を取り付ける。離型フィルム21,22は、例えば、粉体状の熱可塑性樹脂を溶融させることにより、成形型10に取り付けられる。離型フィルム21,22を成形型10に取り付けると、
図5に示す状態となる。
図5は、
図2に示す成形型10に離型フィルム21,22を設置した状態を示す断面図である。
【0021】
離型フィルム21,22は、成形型10、第1繊維基材FB1、および第2繊維基材FB2に対する離型性を有する樹脂材料により形成されている。離型フィルム21,22を成形型10に設置することにより、成形後の複合材300を容易に成形型10から取り外すことができる。
【0022】
ステップS102(設置工程)において、成形型10の第1成形面11に形成される凹所12に、凹所12に対応する形状に形成された第2繊維基材FB2を設置する。凹所12に第2繊維基材FB2が設置されると
図6に示す状態となる。
図6は、
図5に示す成形型10の凹所12に第2繊維基材FB2を設置した状態を示す断面図である。
【0023】
図6に示すように、第2繊維基材FB2の中空部分HPには、コア部CPが挿入されている。コア部CPは、第2繊維基材FB2と隙間を設けずに接触した状態で配置される部材である。コア部CPは、中空部分HPに対応する形状を有するとともに長手方向LDに沿って長尺状に形成される部材である。コア部CPは、第2繊維基材FB2が配置される空間が真空状態となった場合でも一定の形状を保持することができる硬度を有する部材で形成されている。
【0024】
図6では、第2繊維基材FB2の中空部分HPにコア部CPを挿入するものとしたが、他の態様であってもよい。例えば、大気圧等の所定圧力で加圧可能な袋体であるブラダ(図示略)を中空部分HPに配置し、ブラダを加圧することにより第2繊維基材FB2が配置される空間が真空状態となった場合でも一定の形状を保持するようにしてもよい。
【0025】
ステップS103(固定工程)において、第2繊維基材FB2が設置された凹所12を覆うように、第1繊維基材FB1に含まれる複数の繊維強化シートの一部である第1繊維強化部FB11を第1成形面11に固定する。固定工程は、第1成形面11との間に離型フィルム(シート材)21,22を挟んだ状態で第1繊維強化部FB11を第1成形面11に固定する。第1繊維強化部FB11を第1成形面11に固定すると、
図7に示す状態となる。
図7は、
図6に示す成形型10に第1繊維強化部FB11を固定した状態を示す断面図である。
【0026】
第1繊維強化部FB11は、第1繊維基材FB1に含まれる複数層の繊維強化シートの一部であり、後述する第2繊維強化部FB12に含まれる繊維強化シートよりも少ない層数により構成される。
【0027】
第1繊維基材FB1に含まれる繊維強化シートの層数は、1以上かつ5以下とするのが好ましい。第1繊維強化部FB11は、第1繊維基材FB1よりも柔軟性が高く軽量である。また、第1繊維強化部FB11は、第2繊維強化部FB12よりも柔軟性が高く軽量である。
【0028】
第1繊維強化部FB11は、接着剤21aにより第1成形面11に固定される。接着剤21aとしては、例えば、樹脂材料RMと同じ材料を用いることができる。接着剤21aに替えて、粘着性のあるテープを用いてもよい。また、第1繊維強化部FB11に粘着性のある材料(例えば、熱可塑性樹脂の粉末)を付与して第1成形面11に固定してもよい。
【0029】
ステップS104(積層工程)において、第1成形面11に固定された第1繊維強化部FB11に、第1繊維基材FB1に含まれる複数の繊維強化シートの他の一部である第2繊維強化部FB12を積層する。第2繊維強化部FB12を第1繊維強化部FB11に積層すると、
図8に示す状態となる。
図8は、
図7に示す第1繊維強化部に第2繊維強化部を積層した状態を示す断面図である。
【0030】
第2繊維強化部FB12は、第1繊維基材FB1に含まれる複数層の繊維強化シートの一部であり、第1繊維強化部FB11に含まれる繊維強化シートよりも多い層数により構成される。第2繊維強化部FB12は、第1繊維強化部FB11よりも硬度が高く重量が大きい。第2繊維強化部FB12は、第1成形面11に固定された第1繊維強化部FB11に積層される。そのため、第2繊維強化部FB12により第2繊維基材FB2が移動することや、第2繊維基材FB2に皺が発生することはない。
【0031】
ステップS105(密閉工程)において、第1繊維基材FB1を成形型10に封止して密閉空間CSを形成する。具体的には、成形型10の全周を覆うように成形型10に対してシーラントテープSTによりバギングフィルム30を接合し、密閉空間CSを形成する。ステップS105の密閉工程が完了すると、
図9に示す状態となる。
図9は、
図8に示す第1繊維基材FB1をバギングフィルム30で密閉した状態を示す断面図である。
【0032】
ステップS105(密閉工程)において、密閉空間CSが形成されると、樹脂材料RMの供給源330に接続される樹脂注入ライン50と密閉空間CSとが連通した状態となる。また、密閉空間CSが形成されると、吸引源320に接続される吸引ライン40と密閉空間CSとが連通した状態となる。
【0033】
ステップS106(注入工程)において、ステップS105(密閉工程)により形成された密閉空間CSの空気を吸引して密閉空間CSを減圧するとともに密閉空間CSに封止された第1繊維基材FB1および第2繊維基材FB2に対して樹脂材料RMを注入する。具体的には、吸引源320を作動させ、吸引ライン40を介して密閉空間CSに存在する空気を密閉空間CSから排出し、密閉空間CSの圧力を大気圧より低い真空状態か真空状態に近い圧力まで減圧する。
【0034】
その後、供給源330を樹脂注入ライン50へ樹脂材料RMを供給可能な状態とし、樹脂注入ライン50と減圧された密閉空間CSとの圧力差により、樹脂材料RMを密閉空間CSへ注入する。樹脂材料RMは、第1繊維基材FB1および第2繊維基材FB2の全体へ拡散する。これにより、第1繊維基材FB1および第2繊維基材FB2に樹脂材料RMが含侵した状態となる。第1繊維基材FB1および第2繊維基材FB2へ含浸した樹脂材料RMの一部は、余剰の樹脂材料RMとして吸引ライン40へ排出される。
【0035】
ステップS107(硬化工程;成形工程)において、ステップS106(注入工程)により第1繊維基材FB1および第2繊維基材FB2に対して注入された熱硬化性の樹脂材料RMを、加熱部(図示略)により熱硬化温度以上に加熱し、樹脂材料RMを硬化させる。硬化工程は、第1繊維基材FB1と凹所12に設置された第2繊維基材FB2とを樹脂材料RMにより一体化して硬化させて複合材300を成形する。
【0036】
なお、熱可塑性の樹脂材料RMを用いる場合、ステップS107(硬化工程)においては、加熱部による加熱を行わない。ステップS107においては、樹脂材料RMが軟化温度よりも十分に低くなるように樹脂材料RMを冷却する。
【0037】
ステップS108(取り外し工程)において、ステップS107(硬化工程)で硬化した樹脂材料RMと第1繊維基材FB1および第2繊維基材FB2とを含む複合材300を成形型10から取り外す。具体的には、バギングフィルム30と成形型10とを接合するシーラントテープSTを除去し、成形型10からバギングフィルム30を取り外す。
【0038】
バギングフィルム30が取り外された成形型10から、中空部分HPにコア部CPが挿入された状態の複合材300を取り外す。以上の工程により、成形型10により成形された複合材300の成形が完了する。
【0039】
以上説明した本実施形態の複合材成形方法が奏する作用および効果について説明する。
本実施形態の複合材成形方法によれば、成形型10の第1成形面11に形成される凹所12に第2繊維基材FB2が設置され、第2繊維基材FB2が設置された凹所12を覆うように、第1繊維強化部FB11が第1成形面11に固定される。第1繊維強化部FB11は、第1繊維基材FB1に含まれる複数の繊維強化シートの一部であるため、第1繊維基材FB1よりも柔軟性が高く軽量である。そのため、第2繊維基材FB2に位置ずれや皺の発生を生じさせることなく、第1繊維強化部FB11を第1成形面11に固定することができる。
【0040】
また、本実施形態に係る複合材成形方法によれば、第1繊維強化部FB11を第1成形面11に固定した後は、第2繊維基材FB2が他の部材と接触することがない。そのため、積層工程において、第1繊維強化部FB11に第2繊維強化部FB12を積層する際に、第2繊維強化部FB12が第1繊維強化部FB11と接触しても、第2繊維基材FB2の位置がずれることや、第2繊維基材FB2に皺が発生することが防止される。
【0041】
本実施形態の複合材成形方法によれば、例えば、離型フィルム等のシート材を第1成形面11と第1繊維強化部FB11との間に挟んだとしても、第1繊維強化部FB11を第1成形面11に固定した後は、シート材が他の部材と接触することがない。そのため、積層工程において、第1繊維強化部FB11に第2繊維強化部FB12を積層する際に、シート材が移動して第1繊維基材FB1と第2繊維基材FB2との間に挟まれることが防止される。
【0042】
〔第2実施形態〕
次に、本開示の第2実施形態に係る複合材成形方法について図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0043】
第1実施形態の複合材成形方法は、平坦状に形成される第1成形面11に第1繊維強化部FB11を固定し、第1繊維強化部FB11に平坦状に形成される第2繊維強化部FB12を積層するものであった。
【0044】
それに対して、本実施形態の複合材成形方法は、成形型10の湾曲部14に第1繊維強化部FB11を固定し、賦形型20により湾曲部14と対応する形状に賦形された第2繊維強化部FB12を第1繊維強化部FB11に積層するものである。
【0045】
図10は、本実施形態の複合材成形方法で用いる成形型10に第1繊維強化部FB11を固定した状態を示す断面図である。
図10に示すように、成形型10は、長手方向LDに直交する幅方向WDにおいて、第1成形面11の端部に設けられた湾曲部14を有する。本実施形態では、
図4のステップS103の固定工程において、第1繊維強化部FB11が第1成形面11および第2成形面13に固定される。第2成形面13は、湾曲部14を介して第1成形面11に接続される平坦面である。
【0046】
また、本実施形態の複合材成形方法は、
図4のステップS104で第1繊維強化部FB11に積層される第2繊維強化部FB12を予め賦形する賦形工程を更に備える。この賦形工程は、
図11に示す賦形型20を用いて平坦状の第2繊維強化部FB12を予め賦形する工程である。
【0047】
図11に示すように、賦形型20は、平坦状の第1成形面20aと、湾曲部20bと、第2成形面20cとを有する。第1成形面20a、湾曲部20b、第2成形面20cは、それぞれ成形型10の第1成形面11、湾曲部14、第2成形面13と対応する形状を有する。本実施形態の賦形工程は、平坦状に形成される第2繊維強化部FB12(
図11に破線で示す形状)を湾曲部14と対応する形状を有する賦形型20を用いて湾曲部14と対応する形状に賦形する。
【0048】
図11に示すように、平坦状の第2繊維強化部FB12を上型20Aにより賦形型20に押し付けることにより、平坦状に形成される第2繊維強化部FB12を湾曲部14と対応する形状に賦形する。
【0049】
また、本実施形態では、
図4のステップS104の積層工程において、賦形工程により湾曲部14と対応する形状に賦形された第2繊維強化部FB12を第1繊維強化部FB11に積層する。湾曲部14と対応する形状に賦形された第2繊維強化部FB12を第1繊維強化部FB11に積層すると、
図12に示す状態となる。
図12は、
図10に示す第1繊維強化部FB11に第2繊維強化部FB12を積層した状態を示す断面図である。
【0050】
本実施形態の複合材成形方法によれば、賦形型20を用いて、平坦状に形成される第2繊維強化部FB12が成形型10の湾曲部14と対応する形状に賦形される。そのため、賦形型20により予め湾曲部14と対応する形状に賦形された第2繊維強化部FB12を、第1繊維強化部FB11に積層して第1繊維基材FB1とすることができる。
【0051】
〔第3実施形態〕
次に、本開示の第3実施形態に係る複合材成形方法について図面を参照して説明する。本実施形態は、第1実施形態の変形例であり、以下で特に説明する場合を除き、第1実施形態と同様であるものとし、以下での説明を省略する。
【0052】
第1実施形態の複合材成形方法は、平坦状に形成される第1成形面11に第1繊維強化部FB11を固定し、第1繊維強化部FB11に平坦状に形成される第2繊維強化部FB12を積層するものであった。
【0053】
それに対して、本実施形態の複合材成形方法は、成形型10の湾曲部14に第1繊維強化部FB11を固定し、平坦状に形成される第2繊維強化部FB12の幅方向WDの端部を成形型10の湾曲部14に押し当てて賦形するものである。
【0054】
図13は、本実施形態の複合材成形方法で用いる成形型10で第2繊維強化部FB12を賦形する前の状態を示す断面図である。
図13に示すように、成形型10は、長手方向LDに直交する幅方向WDにおいて、第1成形面11の端部に設けられた湾曲部14を有する。本実施形態では、
図4のステップS103の固定工程において、第1繊維強化部FB11が第1成形面11および第2成形面13に固定される。第2成形面13は、湾曲部14を介して第1成形面11に接続される平坦面である。
【0055】
また、本実施形態の複合材成形方法は、
図4のステップS104で第1繊維強化部FB11に積層される第2繊維強化部FB12を賦形する賦形工程を更に備える。この賦形工程は、
図13に示す成形型10を用いて平坦状の第2繊維強化部FB12を賦形する工程である。
【0056】
図13に示すように、本実施形態の賦形工程は、平坦状に形成される第2繊維強化部FB12を湾曲部14と対応する形状を有する賦形型20を用いて湾曲部14と対応する形状に賦形して、
図13に破線で示す形状にする。
【0057】
図13に示すように、平坦状の第2繊維強化部FB12を上型20Aにより成形型10に押し付けることにより、平坦状に形成される第2繊維強化部FB12を湾曲部14と対応する形状に賦形する。本実施形態では、
図4のステップS104の積層工程において、賦形工程により湾曲部14と対応する形状に賦形された第2繊維強化部FB12を第1繊維強化部FB11に積層する。
【0058】
本実施形態の複合材成形方法によれば、平坦状に形成される第2繊維強化部FB12を成形型10の湾曲部14に押し当てることにより第2繊維強化部FB12の幅方向WDの端部が湾曲部14と対応する形状に賦形される。そのため、成形型10と異なる他の型を用いることなく第2繊維強化部FB12を賦形し、賦形された第2繊維強化部FB12を、第1繊維強化部FB11に積層して第1繊維基材FB1とすることができる。
【0059】
以上説明した実施形態に記載の複合材成形方法は、例えば以下のように把握される。
本開示に係る複合材成形方法は、板状に形成される第1繊維基材(FB1)と第2繊維基材(FB2)とを一体化して複合材(300)を成形する複合材成形方法であって、第1方向(LD)に沿って延びる第1成形面(11)を有する成形型(10)の前記第1成形面に形成される凹所(12)に、前記凹所に対応する形状に形成された前記第2繊維基材を設置する設置工程(S102)と、前記設置工程により前記第2繊維基材が設置された前記凹所を覆うように、前記第1繊維基材に含まれる複数の繊維強化シートの一部である第1繊維強化部(FB11)を前記第1成形面に固定する固定工程(S103)と、前記固定工程により固定された前記第1繊維強化部に、前記第1繊維基材に含まれる複数の前記繊維強化シートの他の一部である第2繊維強化部(FB12)を積層する積層工程(S104)と、前記第1繊維基材と前記凹所に設置された前記第2繊維基材とを樹脂材料により一体化して硬化させて前記複合材を成形する成形工程(S106,S107)と、を備える。
【0060】
本開示に係る複合材成形方法によれば、成形型の第1成形面に形成される凹所に第2繊維基材が設置され、第2繊維基材が設置された凹所を覆うように、第1繊維強化部が第1成形面に固定される。第1繊維強化部は、第1繊維基材に含まれる複数の繊維強化シートの一部であるため、第1繊維基材よりも柔軟性が高く軽量である。そのため、第2繊維基材に位置ずれや皺の発生を生じさせることなく、第1繊維強化部を第1成形面に固定することができる。
【0061】
また、本開示に係る複合材成形方法によれば、第1繊維強化部を第1成形面に固定した後は、第2繊維基材が他の部材と接触することがない。そのため、積層工程において、第1繊維強化部に第2繊維強化部を積層する際に、第2繊維強化部が第1繊維強化部と接触しても、第2繊維基材の位置がずれることや、第2繊維基材に皺が発生することが防止される。
【0062】
本開示に係る複合材成形方法において、前記固定工程は、前記第1成形面との間にシート材(21,22)を挟んだ状態で前記第1繊維強化部を前記第1成形面に固定する構成が好ましい。
本構成の複合材成形方法によれば、例えば、離型フィルム等のシート材を第1成形面と第1繊維強化部との間に挟んだとしても、第1繊維強化部を第1成形面に固定した後は、シート材が他の部材と接触することがない。そのため、積層工程において、第1繊維強化部に第2繊維強化部を積層する際に、シート材が移動して第1繊維基材と第2繊維基材との間に挟まれることが防止される。
【0063】
本開示に係る複合材成形方法において、前記成形型は、前記第1方向に直交する第2方向(WD)において、前記第1成形面の端部に設けられた凸形状または凹形状の少なくともいずれかを含む湾曲部(14)を有し、平坦状に形成される前記第2繊維強化部を前記湾曲部と対応する形状を有する賦形型(20)を用いて前記湾曲部と対応する形状に賦形する賦形工程を備え、前記積層工程は、前記賦形工程により前記湾曲部と対応する形状に賦形された前記第2繊維強化部を前記第1繊維強化部に積層する構成が好ましい。
【0064】
本構成の複合材成形方法によれば、賦形型を用いて、平坦状に形成される第2繊維強化部が成形型の湾曲部と対応する形状に賦形される。そのため、賦形型により予め湾曲部と対応する形状に賦形された第2繊維強化部を、第1繊維強化部に積層して第1繊維基材とすることができる。
【0065】
本開示に係る複合材成形方法において、前記成形型は、前記第1方向に直交する第2方向において、前記第1成形面の端部に設けられた凸形状または凹形状の少なくともいずれかを含む湾曲部を有し、平坦状に形成される前記第2繊維強化部の前記第2方向の端部を前記湾曲部に押し当てて賦形する賦形工程を備える。
【0066】
本構成の複合材成形方法によれば、平坦状に形成される第2繊維強化部を成形型の湾曲部に押し当てることにより第2繊維強化部の第2方向の端部が湾曲部と対応する形状に賦形される。そのため、成形型と異なる他の型を用いることなく第2繊維強化部を賦形し、賦形された第2繊維強化部を、第1繊維強化部に積層して第1繊維基材とすることができる。
【符号の説明】
【0067】
10 成形型
11 第1成形面
12 凹所
13 第2成形面
14 湾曲部
20 賦形型
20A 上型
20a 第1成形面
20b 湾曲部
20c 第2成形面
21,22 離型フィルム(シート材)
30 バギングフィルム
40 吸引ライン
50 樹脂注入ライン
300 複合材
320 吸引源
330 供給源
CS 密閉空間
FB1 第1繊維基材
FB11 第1繊維強化部
FB12 第2繊維強化部
FB2 第2繊維基材
HP 中空部分
LD 長手方向
RM 樹脂材料
ST シーラントテープ
WD 幅方向