IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三菱電機ビルテクノサービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-移動体情報提供システム 図1
  • 特許-移動体情報提供システム 図2
  • 特許-移動体情報提供システム 図3
  • 特許-移動体情報提供システム 図4
  • 特許-移動体情報提供システム 図5
  • 特許-移動体情報提供システム 図6
  • 特許-移動体情報提供システム 図7
  • 特許-移動体情報提供システム 図8
  • 特許-移動体情報提供システム 図9
  • 特許-移動体情報提供システム 図10
  • 特許-移動体情報提供システム 図11
  • 特許-移動体情報提供システム 図12
  • 特許-移動体情報提供システム 図13
  • 特許-移動体情報提供システム 図14
  • 特許-移動体情報提供システム 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-19
(45)【発行日】2024-01-29
(54)【発明の名称】移動体情報提供システム
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20240122BHJP
   G08G 1/123 20060101ALI20240122BHJP
【FI】
G01C21/26 B
G08G1/123 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023544920
(86)(22)【出願日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 JP2021032327
(87)【国際公開番号】W WO2023032132
(87)【国際公開日】2023-03-09
【審査請求日】2023-11-28
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 嘉人
【審査官】北村 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-75090(JP,A)
【文献】特開2018-10579(JP,A)
【文献】特開2009-183407(JP,A)
【文献】特開2018-136910(JP,A)
【文献】特開2007-54358(JP,A)
【文献】国際公開第2019/124058(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26
G08G 1/123
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体と、
前記移動体に搭載された発信機と、
所定場所に設置され、前記所定場所に存在する前記発信機と近距離無線通信を行う受信機と、
前記受信機と通信接続されたサーバとを備え、
前記発信機は、前記移動体の未使用時に作動して信号を発信するとともに、前記移動体の使用時には作動を停止するように構成され、
前記受信機は、前記発信機から前記信号を受信したときに、前記信号の受信時刻および前記受信機の識別情報を含む情報を前記サーバに送信し、
前記サーバは、端末装置と通信可能であり、前記受信機からの前記情報に基づいて、現在の時刻における未使用の前記移動体の位置情報を生成して前記端末装置に通知する、移動体情報提供システム。
【請求項2】
前記移動体は、
電源回路と、
前記電源回路および前記発信機の間に設けられるスイッチ回路とを含み、
前記スイッチ回路は、前記移動体の未使用時にオンされて前記電源回路から前記発信機に対して電源電圧を供給する一方で、前記移動体の使用時にオフされて前記発信機に対する前記電源電圧の供給を停止する、請求項1に記載の移動体情報提供システム。
【請求項3】
前記移動体は、前記移動体が使用状態であるか未使用状態であるかを検知するための検知部をさらに含み、
前記検知部は、前記移動体が未使用状態であることを検知したときに、前記スイッチ回路をオンする、請求項2に記載の移動体情報提供システム。
【請求項4】
前記移動体は、前記移動体の使用時に外部から荷重を受ける荷重部材をさらに含み、
前記検知部は、前記荷重部材に作用する前記荷重を検知したときに、前記スイッチ回路をオフする、請求項3に記載の移動体情報提供システム。
【請求項5】
前記スイッチ回路は、
前記電源回路に接続される第1の接点と、
前記発信機に接続される第2の接点と、
導電部材とを含み、
前記導電部材は、前記第1の接点および前記第2の接点間を電気的に接続する第1の位置と、前記第1の接点および前記第2の接点間を開放する第2の位置との間で移動可能に構成され、
前記導電部材は、前記移動体の未使用時に前記第1の位置にあり、前記移動体の使用時に前記第1の位置から前記第2の位置に移動する、請求項2に記載の移動体情報提供システム。
【請求項6】
前記移動体は、前記移動体の使用時に外部から荷重を受ける荷重部材をさらに含み、
前記導電部材は、前記荷重部材に接続され、前記荷重を受けて前記第1の位置から前記第2の位置に移動する、請求項5に記載の移動体情報提供システム。
【請求項7】
前記サーバは、前記所定場所と前記受信機の識別情報とを関連付けた第1のデータベースを記憶する記憶部を含み、
前記サーバは、前記第1のデータベースを用いて、前記受信機からの前記情報に基づいて前記位置情報を生成する、請求項1に記載の移動体情報提供システム。
【請求項8】
前記サーバは、前記受信機からの前記情報を前記信号の受信時刻の順に並べた第2のデータベースを生成して前記記憶部に記憶するとともに、前記端末装置からの要求を受信したときに、前記第2のデータベースに記憶される直近の所定時間における前記情報に基づいて前記位置情報を生成して前記端末装置に通知する、請求項7に記載の移動体情報提供システム。
【請求項9】
前記移動体は、施設内で使用され、
前記所定場所は、前記施設内に予め定められた前記移動体の設置場所に対応するように設定される、請求項1に記載の移動体情報提供システム。
【請求項10】
前記位置情報は、前記設置場所に存在する未使用の前記移動体の台数を含む、請求項9に記載の移動体情報提供システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、移動体情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2018-136910号公報(特許文献1)には、スーパーマーケット等の店舗で使用されるショッピングカートの管理システムが開示される。特許文献1では、各ショッピングカートに、カートID情報が記憶された電子タグが取り付けられる。検知器は、ショッピングカートの保管場所に設置され、電子タグからカートID情報を読み取ってショッピングカートの入庫を検知するように構成される。
【0003】
また、特開2007-54358号公報(特許文献2)には、ショッピングカートに無線通信手段が設けられ、店に付属する駐車場内に存在するショッピングカートの無線通信手段と通信を行って、駐車場内のショッピングカートの数を検出するカート検出手段とを有するショッピングカートシステムが開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2018-136910号公報
【文献】特開2007-54358号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したシステムによれば、ショッピングカートの保管場所または駐車場内へのショッピングカートの出入りを検知することができるものの、無線通信の結果からはショッピングカートが使用状態であるか未使用状態であるかを判断することができない。そのため、ショッピングカートを使用したい買い物客は、保管場所に赴いて未使用のショッピングカートを探さなければならず、時間および手間がかかることが懸念される。
【0006】
また、ショッピングカートに取り付けられた無線通信手段が電池等の電源を必要とする場合には、電源の交換等に要する施設の管理担当者の作業を減らすために、無線通信手段における電力消費を抑制することが求められる。
【0007】
本開示は上記のような課題を解決するためになされたものであって、本開示の目的は、低消費電力で未使用の移動体の位置情報をユーザに提供することが可能な移動体情報提供システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る移動体情報提供システムは、移動体と、発信機と、受信機と、サーバとを備える。発信機は、移動体に搭載される。受信機は、所定場所に設置され、所定場所に存在する発信機と近距離無線通信を行う。サーバは、受信機と通信接続される。発信機は、移動体の未使用時に作動して信号を発信するとともに、移動体の使用時には作動を停止するように構成される。受信機は、発信機から信号を受信したときに、信号の受信時刻および受信機の識別情報を含む情報をサーバに送信する。サーバは、端末装置と通信可能であり、受信機からの情報に基づいて、現在の時刻における未使用の移動体の位置情報を生成して端末装置に通知する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、低消費電力で未使用の移動体の位置情報をユーザに提供することが可能な移動体情報提供システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態に係る移動体情報提供システムの概略構成を示す図である。
図2】ショッピングカートの第1の構成例を示す図である。
図3】ショッピングカートの第1の構成例を示す図である。
図4】ショッピングカートの第2の構成例を示す図である。
図5】受信機のハードウェア構成例を示す図である。
図6】施設内における複数の受信機の設置例を示す図である。
図7】サーバに記憶される受信機設置場所データベースを説明するための図である。
図8】受信ログ情報を説明するための図である。
図9】サーバのハードウェア構成例を示す図である。
図10】空きカート情報データベースを説明するための図である。
図11】サーバにおける画面データの生成処理を説明するための図である。
図12】サーバにおける画面データの生成処理を説明するための図である。
図13】端末装置の表示画面例を表した図である。
図14】移動体情報提供システムの機能的構成を説明するための機能ブロック図である。
図15】移動体情報提供システムで実行される処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則的に繰り返さないものとする。
【0012】
<移動体情報提供システムの適用例>
本実施の形態に係る移動体情報提供システムは、施設内に存在する未使用の移動体の位置情報を当該施設の利用者(以下、単に「ユーザ」とも称する)に提供するためのシステムである。以下では、本実施の形態に係る移動体情報提供システムが適用される施設の一例として、ショッピングモールを挙げて説明する。
【0013】
ショッピングモール内では、買い物客が購入した商品を運搬するための移動体として、ショッピングカートが使用される。ショッピングカートとは、いわゆる手押し車であり、商品を積載するための籠、車輪およびハンドル等で構成されている。ショッピングカートには、幼児連れで買い物をする買い物客のために、幼児を乗せることができる座席を有しているものがある。本実施の形態では、幼児用座席を有するショッピングカートに特化した説明を行う。
【0014】
未使用のショッピングカートは、通常、施設内の予め設定された複数の設置場所に集められる。幼児連れの買い物客は、設置場所に赴いて未使用のショッピングカートを利用することができる。ただし、設置場所に未使用のショッピングカートがない場合、買い物客は幾つかの設置場所を巡って未使用のショッピングカートを探さなければならず、時間および手間がかかる。あるいは、当該買い物客からの問合せを受けた施設の管理担当者が未使用のショッピングカートを探すことになり、管理担当者の業務負担を増加させることが懸念される。
【0015】
本実施の形態では、移動体情報提供システムは、ショッピングモール内に点在する未使用のショッピングカートの位置情報を買い物客に提供するように構成される。これにより、買い物客の手間を減らして買い物客の利便性を向上させるとともに、施設の管理担当者の業務負担を軽減する。
【0016】
<移動体情報提供システムの構成>
図1は、実施の形態に係る移動体情報提供システムの概略構成を示す図である。
【0017】
図1に示すように、移動体情報提供システム100は、複数のショッピングカート10と、複数の発信機20と、受信機30と、サーバ40と、端末装置50とを備える。発信機20、受信機30、サーバ40および端末装置50は互いに通信可能に構成されている。発信機20と受信機30との間の通信、受信機30とサーバ40との間の通信、および、サーバ40と端末装置50との間の通信は、無線を用いて行われる。受信機30とサーバ40との間の通信は、有線であってもよいし無線であってもよい。サーバ40と端末装置50との間の通信は、通信網NW(代表的には、インターネット)を介して行われる。
【0018】
(1)ショッピングカート10および発信機20
ショッピングカート10は、上述したように、幼児用座席を有している。ショッピングカートには発信機20が搭載されている。
【0019】
発信機20は、近距離無線通信方式により受信機30と通信する。近距離無線通信方式には、NFC(Near Field Communication)の規格に従う通信方式、または、BLE(Bluetooth Low Energy)の規格に従う通信方式等を用いることができる。発信機20は、例えば、BLE仕様のビーコンであり、半径数メートルの範囲に信号を発信するように構成される。発信機20が発信する信号は、自機の識別情報を含んでいる。この識別情報は、例えば、発信機20ごとに固有の識別子(以下、「ビーコンID」とも称する)である。
【0020】
具体的には、発信機20は、図示しない電源回路から電源電圧の供給を受けて作動することにより信号を発信する。電源回路から発信機20への電源電圧の供給は、対応するショッピングカート10の未使用時に実行される一方で、当該ショッピングカート10の使用時には非実行とされる。図1の例では、使用中のショッピングカート10においては、発信機20(ビーコンID=1)への電源電圧の供給が停止されるため、発信機20は作動を停止し、信号を発信しない。一方、未使用のショッピングカート10においては、発信機20(ビーコンID=2)は電源電圧の供給を受けて信号を発信する。
【0021】
図2および図3に、ショッピングカート10の第1の構成例を示す。図2および図3は、ショッピングカート10の幼児用座席部分を模式的に示す断面図である。
【0022】
図2に示すように、座席の座面12は、弾性部材14によって支持されている。弾性部材14の第1端は座面12の裏面に接続され、第2端は支持部材16に接続されている。弾性部材14は、例えば、バネまたはゴム等の弾性を有する部材で構成することができる。座面12に幼児が着座することによって座面12が支持部材16に向かって押し下げられると、弾性部材14が変形する。幼児が座面12から退座すると、図3に示すように、弾性部材14によって座面12に対し支持部材16と反対側の方向の力が付与され、座面12が押し上げられて元の状態に戻される。座面12は移動体の使用時に外部から荷重を受ける「荷重部材」の一実施例に対応する。
【0023】
座面12の下方にはスイッチ回路24が設けられる。スイッチ回路24は、第1の接点25と、第2の接点26と、第1の接点25および第2の接点26間に配置される導電部材27とを含む。導電部材27は、座面12の裏面に固定されている。導電部材27の第1端は第1絶縁部材17を介して座面12の裏面に取り付けられ、導電部材27の第2端は第2絶縁部材18を介して座面12の裏面に取り付けられる。
【0024】
支持部材16には、発信機20および電源回路22が収容されている。電源回路22は、蓄電池等の直流電源を有する。電源回路22の第1端子はスイッチ回路24の第1の接点25に接続される。発信機20の第1端子はスイッチ回路24の第2の接点26に接続される。電源回路22の第2端子および発信機20の第2端子は電源線21により接続されている。
【0025】
スイッチ回路24は、電源回路22および発信機20の接続/遮断を切り替えるように構成される。具体的には、図2に示すように、幼児が座面12に着座しているとき、すなわち、ショッピングカート10の使用時には、座面12とともに導電部材27が押し下げられ、スイッチ回路24の第1の接点25および第2の接点26は導電部材27と非接触となる(スイッチ回路24はオフされる)。そのため、第1の接点25および第2の接点26間が開放され、電源回路22および発信機20は電気的に遮断される。これにより、電源回路22から発信機20への電源電圧の供給が停止されるため、発信機20は作動を停止し、信号を発信しない。
【0026】
これに対して、図3に示すように、幼児が座面12から退座しているとき、すなわち、ショッピングカート10の未使用時には、座面12とともに導電部材27が押し上げられ、スイッチ回路24の第1の接点25および第2の接点26は導電部材27と接触する(スイッチ回路24はオンされる)。そのため、第1の接点25および第2の接点26間が電気的に接続され、電源回路22および発信機20は電気的に接続される。これにより、電源回路22から発信機20へ電源電圧が供給され、発信機20は作動し、信号を発信する。
【0027】
図4に、ショッピングカート10の第2の構成例を示す。図4は、ショッピングカート10の幼児用座席部分を模式的に示す断面図である。
【0028】
図4に示すように、座席の座面12には検知部28が接続されている。検知部28は、座面12に幼児が着座している状態か退座している状態か、すなわち、ショッピングカート10が使用状態であるか未使用状態であるかを検知する。例えば、検知部28は、荷重センサを含んでおり、幼児が着座したときに座面12が受ける荷重を検知するように構成される。検知部28は、荷重センサが荷重を検知したときに、座面12に幼児が着座している状態、すなわち、ショッピングカート10が使用状態であると判定する。
【0029】
なお、検知部28には、荷重センサに限らず、赤外線センサ等を採用することができる。例えば、赤外線センサは、幼児用座席部分に設置される。赤外線センサが幼児から発せられる赤外線を検知したとき、検知部28はショッピングカートが使用状態であると判定する。
【0030】
検知部28の検知結果はスイッチ回路24へ出力される。スイッチ回路24は、検知部28の出力に応じて、電源回路22および発信機20の接続/遮断を切り替えるように構成される。具体的には、スイッチ回路24は、検知部28にてショッピングカート10が使用状態であると検知されたときにオフされて、電源回路22および発信機20を電気的に遮断する。これにより、電源回路22から発信機20への電源電圧の供給が停止されるため、発信機20は信号を発信しない。
【0031】
これに対して、検知部28にてショッピングカート10が未使用状態であると検知されたときにはスイッチ回路24はオンされて、電源回路22および発信機20を電気的に接続する。これにより、電源回路22から発信機20へ電源電圧が供給され、発信機20は信号を発信する。
【0032】
図3および図4に示すように、ショッピングカート10の未使用時には発信機20を作動させて信号を発信させる一方で、ショッピングカート10の使用時には発信機20の作動を停止させる構成とすることにより、発信機20の電力消費を抑制することが可能となる。
【0033】
(2)受信機30
図1に戻って、受信機30は、未使用のショッピングカート10の発信機20が発信する信号を受信する。受信機30は、ショッピングカート10の設置場所に対応するように設置されている。受信機30の信号送信範囲は、対応するショッピングカート10の設置場所を網羅するように調整される。したがって、未使用のショッピングカート10の発信機20の信号送信範囲内にショッピングカート10の設置場所が含まれている場合には、当該設置場所に設置された受信機30によって信号を受信することができる。
【0034】
これによると、ショッピングカート10の設置場所に未使用のショッピングカート10が存在する場合には、当該ショッピングカート10の発信機20が発信する信号を当該設置場所に設置された受信機30が受信することにより、未使用のショッピングカート10の位置情報を取得することが可能となる。
【0035】
図5は、受信機30のハードウェア構成例を示す図である。図5に示すように、受信機30は、主たる構成要素として、プログラムを実行するプロセッサ31と、データを不揮発的に格納するROM(Read Only Memory)32と、プロセッサ31によるプログラムの実行により生成されたデータ、または、入力装置を介して入力されたデータを揮発的に格納するRAM(Random Access Memory)33と、データを不揮発的に格納するHDD(Hard Disk Drive)34と、通信IF(Interface)35とを含む。各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。なお、通信IF35は、発信機20およびサーバ40との間で通信を行うためのインターフェイスである。HDD34は「不揮発性記憶装置」の一実施例に対応する。受信機30は、HDD34の代わりに、または、HDD34とともに他の不揮発性記憶装置を備えてしてもよい。
【0036】
受信機30における処理は、各ハードウェアおよびプロセッサにより実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、HDD34に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、その他の記憶媒体に格納されて、プログラムプロダクトとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、外部通信網に接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラムプロダクトとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、読取装置によりその記憶媒体から読み取られて、あるいは、通信IF35等を介してダウンロードされた後、HDDに一旦格納される。そのソフトウェアは、プロセッサ31によってHDD34から読み出され、RAM33に実行可能なプログラムの形式で格納される。プロセッサ31は、そのプログラムを実行する。
【0037】
なお、図1では、1つの受信機30しか示していないが、施設内に設置される受信機30の数はこれに限定されるものではない。図6に示すように、施設内にショッピングカート10の設置場所が複数設けられている場合には、複数の設置場所にそれぞれ対応するように複数の受信機30が設置される。
【0038】
図6は、施設内における複数の受信機30の設置例を示す図である。図6には、施設内を天井から見た平面図が模式的に示される。
【0039】
図6に示すように、施設には、買い物客が施設内に出入りするために、複数の出入口(正面出入口ENTa、東出入口ENTb、駐車場出入口ENTc、西出入口ENTd)が設けられている。各出入口付近には、未使用のショッピングカート10を寄せ集めるために、ショッピングカート10の設置場所60が設定されている。
【0040】
受信機30は、各設置場所60に設置される。図6の例では、4つの出入口ENTa~ENTdにそれぞれ対応するように4台の受信機30a~30bが設置されている。各受信機30には、受信機30ごとに固有の識別情報(以下、「受信機ID」とも称する)が付与されている。例えば、正面出入口ENTaに設置される受信機30aには受信機IDとして「a」が付与され、東出入口ENTbに設置される受信機30bには受信機IDとして「b」が付与され、駐車場出入口ENTcに設置される受信機30cには受信機IDとして「c」が付与され、西出入口ENTdに設置される受信機30dには受信機IDとして「d」が付与されている。
【0041】
なお、各受信機30に付与された受信機IDは、受信機30の設置場所と関連付けられてサーバ40に記憶される。図7は、サーバ40に記憶される受信機設置場所データベースを説明するための図である。図7に示すように、受信機設置場所データベースには、受信機30ごとに、受信機IDと設置場所とが関連付けられて登録されている。受信機設置場所データベースは「第1のデータベース」の一実施例に対応する。
【0042】
受信機30は、受信範囲内に存在する発信機20が発信する信号を受信するように構成される。図中の領域RGNは、受信機30の受信範囲を模式的に表している。受信範囲は、発信機20の信号送信範囲に対応しており、半径数メートルの円形形状を有している。
【0043】
なお、受信機30の受信範囲の大きさは、発信機20から発信される信号の強度によって決まる。本実施の形態では、受信機30の受信範囲が対応するショッピングカート10の設置場所60を包含するように、発信機20の信号強度が調整される。このような構成とすることにより、ショッピングカート10の設置場所60に未使用のショッピングカート10が存在する場合には、当該設置場所60に設置された受信機30は、当該ショッピングカート10に搭載される発信機20が発信する信号を受信することができる。
【0044】
受信機30は、信号を受信すると、当該信号の受信時刻と、当該信号に含まれる発信機20の識別情報(ビーコンID)とを紐付けてHDD34に記憶する。受信機30のHDD34には、信号の受信履歴を示す受信ログ情報が生成される。図8は、受信ログ情報を説明するための図である。図8には、一例として、受信機30aの受信ログ情報が示されている。受信ログ情報には、信号の受信時刻および信号の送信元の発信機20のビーコンIDが記録されている。
【0045】
受信機30aは、予め定められたサンプリング周期(例えば、30秒)で受信信号をサンプリングする。図8の例では、受信機30aは、未使用のショッピングカート10に搭載される発信機20(ビーコンID=2)から送信される信号を30秒ごとにサンプリングする。受信機30aの受信ログ情報には、信号の受信時刻と、発信機20のビーコンID「2」とが記録される。
【0046】
受信機30は、予め定められた所定周期(例えば、3分間)で、自機の識別情報(受信機ID)とともに、HDD34に記憶されている受信ログ情報をサーバ40に送信する。この際に、既にHDD34に蓄積されている受信ログ情報の一部を削除することで、受信履歴の記憶に使用するHDD34のメモリ容量を抑制することができる。
【0047】
なお、受信機30は、上記所定周期に従って受信ログ情報を定期的にサーバに送信する構成に限定されず、サーバ40からの送信要求に応じて、直近の所定時間(例えば、3分間)における受信ログ情報を送信する構成としてもよい。
【0048】
(3)サーバ40
サーバ40は、施設内に存在するショッピングカート10を管理するための機能を有する。サーバ40は、一例として、施設を運営する運営会社に設置されている。サーバ40は、運営会社から施設の管理を委託された管理担当者によって利用され得る。
【0049】
図9は、サーバ40のハードウェア構成例を示す図である。図9に示すように、サーバ40は、主たる構成要素として、プログラムを実行するプロセッサ41と、データを不揮発的に格納するROM42と、プロセッサ41によるプログラムの実行により生成されたデータ、または、入力装置を介して入力されたデータを揮発的に格納するRAM43と、データを不揮発的に格納するHDD44と、通信IF45とを含む。各構成要素は、相互にデータバスによって接続されている。なお、通信IF45は、受信機30および端末装置50との間で通信を行うためのインターフェイスである。HDD45は「不揮発性記憶装置」の一実施例に対応する。サーバ40は、HDD44の代わりに、または、HDD44とともに他の不揮発性記憶装置を備えてしてもよい。
【0050】
サーバ40における処理は、各ハードウェアおよびプロセッサにより実行されるソフトウェアによって実現される。このようなソフトウェアは、HDD45に予め記憶されている場合がある。また、ソフトウェアは、その他の記憶媒体に格納されて、プログラムプロダクトとして流通している場合もある。あるいは、ソフトウェアは、外部通信網に接続されている情報提供事業者によってダウンロード可能なプログラムプロダクトとして提供される場合もある。このようなソフトウェアは、読取装置によりその記憶媒体から読み取られて、あるいは、通信IF45等を介してダウンロードされた後、HDD45に一旦格納される。そのソフトウェアは、プロセッサ41によってHDD45から読み出され、RAM43に実行可能なプログラムの形式で格納される。プロセッサ41は、そのプログラムを実行する。
【0051】
図1に戻って、サーバ40は、受信機30からの受信ログ情報を受信すると、HDD45に格納されている、未使用のショッピングカート10を管理するためのデータベース(以下、「空きカート情報データベース」とも称する)に受信ログ情報を登録する。施設内に複数の受信機30が設置されている場合、空きカート情報データベースには、各受信機30の受信ログ情報が登録される。空きカート情報データベースは「第2のデータベース」の一実施例に対応する。
【0052】
図10は、空きカート情報データベースを説明するための図である。図10には、一例として、図6に示した4台の受信機30a~30dの受信ログ情報を空きカート情報データベースに登録する場合が示される。
【0053】
図10に示すように、4台の受信機30a~30dの各々は、所定周期(例えば、3分間)で、受信ログ情報を自機の受信機IDとともにサーバ40に送信する。受信ログ情報は、上述したように、信号の受信時刻と、当該信号に含まれる発信機20のビーコンIDとを含んでいる。
【0054】
サーバ40は、4台の受信機30a~30dの各々から受信ログ情報を受信すると、受信ログ情報を空きカート情報データベースに登録する。具体的には、サーバ40は、4台の受信機30a~30dのすべての受信ログ情報を、信号の受信時刻の順に並べる。この際に、サーバ40は、各受信ログ情報に対して、送信元の受信機30の受信機IDを関連付ける。空きカート情報データベースは、信号の受信時刻の欄と、受信機IDの欄と、ビーコンIDの欄とを有するテーブルで構成されている。
【0055】
サーバ40は、空きカート情報データベースに登録された内容から、どの設置場所60に対応する受信機30が、いつ、どの発信機20の信号を受信したのかを把握することが可能となる。また、受信ログ情報を信号の受信時刻の順に並べることによって、最新の時刻での未使用のショッピングカートの位置情報を容易に取得することができる。
【0056】
サーバ40は、空きカート情報データベースに登録された情報に基づいて、現在の時刻において未使用のショッピングカート10の現在位置を示す位置情報を生成する。例えば、サーバ40は、未使用のショッピングカート10の位置情報を示す画面データ(典型的には、WEB画面)を生成する。以下、図11および図12を用いて、サーバ40における画面データの生成処理について説明する。
【0057】
図11に示すように、サーバ40は、最初に、HDD45に記憶されている空きカート情報データベースおよび受信機設置場所データベースを用いて、画面データ(WEB画面)の生成に用いる表示用データを生成する。
【0058】
具体的には、サーバ40は、空きカート情報データベースに登録されている受信ログ情報の中から、直近の所定時間(例えば、1分間)における受信ログ情報を抽出する。サーバ40は、抽出した直近の所定時間における受信ログ情報を、受信機設置場所データベースを用いて受信機30の設置場所ごとにまとめることにより、WEB画面表示用データを生成する。
【0059】
WEB画面表示用データは、受信機30の設置場所60ごとに、直近の所定時間(1分間)内に受信された信号の送信元の発信機20のビーコンIDと、当該信号を受信した受信機30の受信機IDと、未使用のショッピングカート10の台数の情報(以下、「空きカート台数」も称する)とで構成されている。空きカート台数は、ビーコンIDの欄に示されるビーコンIDの総数に相当する。
【0060】
図11の例では、受信機30の設置場所60が正面出入口ENTaである場合のWEB画面表示用データは、正面出入口ENTaに設置される受信機30aの受信機ID「a」と、直近の所定時間内に受信された信号の送信元の発信機20のビーコンID「2」とを有している。ビーコンIDの総数は1台であるため、空きカート台数は「1」となる。
【0061】
受信機30の設置場所60が東出入口ENTbである場合のWEB画面表示用データは、東出入口ENTbに設置される受信機30bの受信機ID「b」と、直近の所定時間内に受信された信号の送信元の発信機20のビーコンID「5」とを有している。ビーコンIDの総数は1台であるため、空きカート台数は「1」となる。
【0062】
受信機30の設置場所60が西出入口ENTdである場合のWEB画面表示用データは、西出入口ENTdに設置される受信機30dの受信機ID「d」と、直近の所定時間内に受信された信号の送信元の発信機20のビーコンID「9」,「14」とを有している。ビーコンIDの総数が2台であるため、空きカート台数は「2」となる。
【0063】
受信機30の設置場所60が駐車場出入口ENTcである場合のWEB画面表示用データは、駐車場出入口ENTcに設置される受信機30cの受信機ID「c」を有しているが、ビーコンIDを有していない。したがって、空きカート台数は「0」となる。
【0064】
このようにWEB画面表示用データは、直近の所定時間における受信ログ情報に基づいて、受信機30の各設置場所60における空きカート台数の情報を含むように生成される。サーバ40は、生成されたWEB画面表示用データを用いて、WEB画面を生成する。
【0065】
具体的には、図12に示すように、サーバ40は、施設内の平面図を示す画像を生成する。サーバ40は、当該平面図上に、空きカート台数を示すオブジェクト70を配置する。図12の例では、4つのショッピングカートの設置場所60の各々に対して、空きカート台数を示すオブジェクト70が配置されている。正面出入口ENTaおよび西出入口ENTdには、空きカート台数「1」を示すオブジェクト70が配置され、東出入口ENTbには、空きカート台数「2」を示すオブジェクト70が配置される。駐車場出入口ENTcについては、空きカート台数が「0」であるため、オブジェクト70は配置されない。なお、空きカート台数「0」を示すオブジェクト70を配置してもよい。
【0066】
サーバ40は、端末装置50から送信される要求信号に基づいて、生成された画面データを送信元の端末装置50に送信する。
【0067】
(4)端末装置50
図1に戻って、端末装置50は、通信網NW(代表的には、インターネット)を介して、サーバ40と通信可能に接続されている。端末装置50は、通信機能および表示機能を有する情報処理装置であり、代表的にはスマートフォンまたはタブレットである。端末装置50は、施設内のユーザU(買い物客)によって利用される。なお、端末装置50は、スマートフォンまたはタブレット等の携帯端末に限定されず、施設内に設置されたPC(Personal Computer)等であってもよい。
【0068】
端末装置50は、典型的には、ウェブブラウザを有している。端末装置50は、サーバ40にアクセスし、画面データ(WEB画面)を自装置に表示する。なお、端末装置50は、画面データを表示するには、サーバ40に対してログインする必要がある。
【0069】
図13は、端末装置50の表示画面例を表した図である。図13に示すように、端末装置50に対するユーザ操作に従ってサーバ40にアクセスすることにより、端末装置50は、WEB画面をディスプレイに表示する。WEB画面は、図12で説明したように、ショッピングカート10の設置場所60ごとに、未使用のショッピングカート10の台数(空きカート台数)を表した画像を含んでいる。端末装置50は、端末装置50のユーザUに対して、どの設置場所60に未使用のショッピングカート10があるのかを知らせることができる。
【0070】
<移動体情報提供システムの機能的構成>
図14は、移動体情報提供システム100の機能的構成を説明するための機能ブロック図である。図14には、ショッピングカート10、受信機30、サーバ40および端末装置50の機能的構成が示される。
【0071】
図14に示すように、ショッピングカート10は、検知部28、発信機20、電源回路22およびスイッチ回路24を含む。検知部28は、ショッピングカート10が使用状態であるか未使用状態であるかを検知する。
【0072】
スイッチ回路24は、検知部28の出力に応じて、電源回路22および発信機20の接続/遮断を切り替えるように構成される。検知部28にてショッピングカート10が使用状態であると検知されたときに、スイッチ回路24は、電源回路22および発信機20を電気的に遮断する。したがって、ショッピングカート10の使用時には、電源回路22から発信機20への電源電圧の供給が停止されるため、発信機20は信号を発信しない。これに対して、検知部28にてショッピングカート10が未使用状態であると検知されたときには、スイッチ回路24は、電源回路22および発信機20を電気的に接続する。したがって、ショッピングカート10の未使用時には、電源回路22から発信機20へ電源電圧が供給され、発信機20は信号を発信する。
【0073】
受信機30は、ショッピングカート10の設置場所60に対応するように設置されている。受信機30は、受信部302、記憶部304、受信ログ生成部306および送信部308を含む。受信部302は、近距離無線通信により、発信機20と通信可能である。受信部302は、予め定められたサンプリング周期(例えば、30秒)で、受信範囲内に存在する未使用のショッピングカート10の発信機20が発信する信号を受信する。
【0074】
受信ログ生成部306は、信号の受信履歴を示す受信ログ情報(図8参照)を生成して記憶部304に記憶する。受信ログ情報には、信号の受信時刻および信号の送信元の発信機20のビーコンIDが紐付けられて記録されている。
【0075】
送信部308は、予め定められた所定周期(例えば、3分間)で、自機の受信機IDとともに、記憶部304に記憶されている受信ログ情報をサーバ40に送信する。
【0076】
サーバ40は、受信部402、記憶部404、画面データ生成部406および送信部408を含む。受信部402は、受信機30の送信部308と通信接続される。受信部402は、受信機30からの受信ログ情報を受信すると、記憶部404に格納されている空きカート情報データベースに受信ログ情報を登録する。
【0077】
記憶部404は、空きカート情報データベース(図10参照)と、受信機設置場所データベース(図7参照)とを格納している。画面データ生成部406は、空きカート情報データベースに登録された情報に基づいて、現在の時刻において未使用のショッピングカートの位置情報を示す画面データ(典型的には、WEB画面)を生成する。
【0078】
画面データ生成部406は、空きカート情報データベースおよび受信機設置場所データベースを用いて、画面データの生成に用いるWEB画面表示用データ(図11参照)を生成する。WEB画面表示用データは、受信機30の設置場所60ごとに、直近の所定時間(例えば、1分間)内に受信された信号の送信元の発信機20のビーコンIDと、当該信号を受信した受信機30の受信機IDと、空きカート台数とで構成されている。画面データ生成部406は、生成されたWEB画面表示用データを用いて、画面データ(図12参照)を生成する。送信部408は、端末装置50から送信される要求信号に基づいて、生成された画面データを送信元の端末装置50に送信する。
【0079】
端末装置50は、制御部502、記憶部504、通信部506、表示部508および入力部510を含む。制御部502は、記憶部504に記憶されたプログラムに従って、端末装置50の各部を制御する。記憶部504は、所定のプログラムおよび各種のデータを記憶する。記憶部504には、移動体情報提供システム100のアプリケーションプログラムが、サーバ40からダウンロードされ、インストールされている。このアプリケーションプログラムには、サーバ40にアクセスするためのアドレス情報(例えば、IPアドレス)が含まれる。
【0080】
通信部506は、上記アドレス情報に基づいてサーバ40にアクセスしてサーバ40と通信する。端末装置50では、通信網NWを介したサーバ40との通信によって、サーバ40から送信されたデータを、随時、記憶部504に格納することができる。
【0081】
表示部508は、例えば、液晶パネルにより構成される。入力部510は、操作ボタンを有する。あるいは、表示部508がタッチパネルで構成される場合には、タッチパネルを用いて入力部510の少なくとも一部を形成することも可能である。
【0082】
通信部506は、端末装置50に対するユーザ操作に従ってサーバ40にアクセスすることにより、サーバ40から画面データ(WEB画面)を受信して記憶部504に格納する。制御部502は、記憶部504に格納された画面データ(WEB画面)を記憶部504から読み出し、読み出された画面データ(WEB画面)を表示部508に表示する。
【0083】
<移動体情報提供処理の流れ>
図15は、移動体情報提供システム100で実行される処理の流れを説明するためのシーケンス図である。
【0084】
図15に示すように、ショッピングカート10では、処理P1により、ショッピングカート10が未使用状態であることが検知されると、処理P2により、ショッピングカートに搭載される発信機20に電源電圧を供給することにより、発信機20を作動させる。処理P3により、発信機20は信号を発信する。発信機20は、処理P4において、近距離無線通信により、ショッピングカート10の設置場所60に設置された受信機30に向けて信号を送信する。
【0085】
受信機30は、信号を受信すると、処理P5により、受信ログ情報を生成する。受信機30は、処理P6により、生成された受信ログ情報をサーバ40へ送信する。
【0086】
サーバ40は、受信機30との通信に先立って、処理P7において、発信機配置場所データベースを生成する。受信機配置場所データベースには、施設内に設置される受信機30の配置場所と受信機IDとが関連付けられて登録されている。
【0087】
サーバ40は、処理P6で送信された受信ログ情報を受信すると、処理P8により、空きカート情報データベースを生成する。サーバ40は、処理P9により、処理P7で生成された発信機配置場所データベースおよび処理P8で生成された空きカート情報データベースに基づいて、画面データ(WEB画面)を生成する。
【0088】
端末装置50は、処理P10により、端末装置50に対するユーザ操作に従ってサーバ40にアクセスし、画面データの送信要求を送信する。サーバ40は、端末装置50から画面データの送信要求を受け付けると、処理P11により、処理P9にて生成された画面データ(WEB画面)を、送信要求の送信元の端末装置50へ送信する。端末装置50は、処理P12により、画面データを受信し、当該画面データに基づいた画面(WEB画面)を表示部508に表示する。
【0089】
以上説明したように、本実施の形態に係る移動体情報提供システムによれば、ショッピングカート10(移動体)に発信機20を搭載し、ショッピングカートの未使用時に発信機20を作動させて信号を発信させる構成としたことにより、当該信号を用いて、未使用のショッピングカート10の位置情報を取得することができる。
【0090】
また本実施の形態に係る移動体情報提供システムによれば、位置情報の取得を必要としない、ショッピングカート10の使用時には、発信機20の作動を停止させることにより、発信機20における電力消費を抑制することができる。その結果、低消費電力で未使用の移動体の位置情報をユーザに提供することができる。
【0091】
さらに本実施の形態に係る移動体情報提供システムによれば、発信機20からの信号を受信するための受信機30を、予め定められたショッピングカート10の設置場所60に対応するように設置することにより、受信機30の設置数を増やすことなく、未使用のショッピングカート10の位置情報を効率的に取得することができる。
【0092】
<移動体情報提供システムのその他の適用例>
上述した実施の形態では、ショッピングモール内の買い物客に対して未使用のショッピングカートの位置情報を提供するシステムの構成について例示したが、本実施の形態に係る移動体情報提供システムの適用例はこれに限定されない。例えば、医療施設または介護施設等で施設の利用者に対し、未使用の車椅子の位置情報を提供するためのシステムに本開示に係る移動体情報提供システムを適用することが可能である。この場合、車椅子の未使用時に、車椅子に搭載された発信機が信号を発信する。この信号を受信機が受信してサーバに受信ログ情報を送信することにより、サーバは、利用者に対して、未使用の車椅子の位置情報を提供することができる。あるいは、ゴルフ場または遊園地等の施設において、未使用のカートの位置情報を利用者に提供するためのシステムにも本開示に係る移動体情報提供システムを適用することが可能である。
【0093】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明は上記した説明ではなくて請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0094】
10 ショッピングカート、12 座面、14 弾性部材、16 支持部材、17 第1絶縁部材、18 第2絶縁部材、20 発信機、21 電源線、22 電源回路、24 スイッチ回路、25 第1の接点、26 第2の接点、27 導電部材、28 検知部、30,30a~30d 受信機、31,41 プロセッサ、32,42 ROM、33,43 RAM、34,44 HDD、35,45 通信IF、40 サーバ、50 端末装置、60 設置場所、70 オブジェクト、100 移動体情報提供システム、302,402 受信部、304,404,504 記憶部、306 受信ログ生成部、308,408 送信部、406 画面データ生成部、502 制御部、506 通信部、508 表示部、510 入力部、ENTa~ENTd 出入口、NW 通信網。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15