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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】ロール製品パッケージ
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/671 20060101AFI20240123BHJP
   B65D 33/08 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
B65D85/671
B65D33/08
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021186884
(22)【出願日】2021-11-17
(62)【分割の表示】P 2017211397の分割
【原出願日】2017-10-31
(65)【公開番号】P2022010357
(43)【公開日】2022-01-14
【審査請求日】2021-11-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000183462
【氏名又は名称】日本製紙クレシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(72)【発明者】
【氏名】大岡 康伸
(72)【発明者】
【氏名】大篭 幸治
【審査官】矢澤 周一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-065722(JP,A)
【文献】特開2017-165462(JP,A)
【文献】特開2016-141405(JP,A)
【文献】特開2015-054717(JP,A)
【文献】意匠登録第1523606(JP,S)
【文献】特開2010-202252(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 85/671
B65D 33/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻長が105m以上260m以下であり、コアを含む1個のロール製品の質量が220g以上600g以下である衛生薄葉紙の1プライのシートを巻いたロール製品を、前記ロール製品の軸方向を上下にして1列に2個並べた段を2段又は3段重ねて、フィルムからなるガセットタイプの包装袋に収納したロール製品パッケージであって、
前記包装袋は、厚さが22μm以上70μm以下のポリエチレン製の第一のフィルムで形成された、前記ロール製品を囲む略直方体状の本体部と、前記本体部の上辺のうち互いに対向する長辺から上方に向かってそれぞれ切妻屋根型に延びて接合された把持部と、を有し、
前記把持部は2つの略楕円形状の指掛け用開口部を有し、前記指掛け用開口部の上端部又は下端部の一方の端部には非切抜部が設けられ、
前記把持部では、ガゼットとして内側に織り込まれた端縁が、前記略楕円形状の指掛け用開口部の横方向の中心部には到達しておらず、
前記把持部の片側表面には、少なくとも前記指掛け用開口部の領域において、前記第一のフィルムに接合して当該領域を補強する厚さが30μm以上250μm以下のポリエチレン製の第二のフィルムが設けられており、
前記本体部と前記把持部の境界には第一のシールラインが、前記把持部の上端部には少なくとも1本の第二のシールラインが、それぞれ設けられ、前記第二のフィルムは、前記第一のシールライン及び前記第二のシールラインにより、前記第一のフィルムに接合されており、
前記第二のシールラインの太さの合計が0.5mm以上15mm以下であり、前記第二のシールラインの本数が1本以上8本以下であり、
前記指掛け用開口部が設けられた領域における、前記第一のフィルムと前記第二のフィルムの厚さの合計が、80μm以上370μm以下であり、
[前記包装袋内のコアを含む前記ロール製品の合計質量(g)]/[前記指掛け用開口部が設けられた領域における、前記第一のフィルムと前記第二のフィルムの厚さの合計(μm)]が、5.4以上24.5以下であるロール製品パッケージ。
【請求項2】
前記非切抜部の長さは、前記指掛け用開口部の横方向の寸法に対して10%以上90%以下であり、前記指掛け用開口部の上端部又は下端部の他方の端部には0.1mm以上5mm以下のツナギ部が設けられている請求項1に記載のロール製品パッケージ。
【請求項3】
前記指掛け用開口部の上下方向の寸法は10mm以上45mm以下であり、横方向の寸法は15mm以上60mm以下である請求項1又は2に記載のロール製品パッケージ。
【請求項4】
前記把持部は、当該把持部の横方向略中心部において、上下方向にミシン部を有し、さらに、ミシン部を中心に横方向に略対称に、前記指掛け用開口部を二つ有し、
ミシン部の非カット部分の割合が、10%以上90%以下である、請求項1から3のいずれかに記載のロール製品パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、長巻のトイレットペーパーのロール製品を複数個包装袋に収納したロール製品パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
トイレットペーパー等のロール製品を包装する包装袋として、ポリエチレン等の筒状フィルムにガゼット(ガセット)を対称的に折り込んで本体とし、その上部を平面状に折り畳んで把持部を構成したものが用いられている(特許文献1)。また、一般的に、把持部には購入者が運搬するための指掛け用開口部が備えられている。また、上記した包装袋の本体と別体の帯状の把持部を、包装袋の上面を跨いで、両端部をそれぞれ本体の対向する側面に接合したものが用いられている(特許文献2)。さらに、上記の指掛け用開口部を設けた領域の強度を強化するために、指掛け用開口部を設けた領域に、補強用フィルムを設けた包装袋が開示されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-269010号公報
【文献】特開2005-153959号公報
【文献】特開2010-202252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、トイレットペーパー等のロール製品を従来に比べてより長く巻き取り、1個のロール当たりの有効使用量を多くし、交換頻度の低減や持ち運び時及び保管時のコンパクト化を図ったものが販売されている。しかしながら、上記した長巻のロール製品は1個のロール当たりの重量が大きいため、ロール製品を包装したパッケージを購入者が持ち運ぶ際に、包装袋の底面や指掛け用開口部の周辺に荷重がかかり、フィルムが破れやすくなる。そこで、包装袋の本体や把持部等の強度を確保するために、包装袋を厚くすることが考えられるが、包装袋を厚くして強度を高くすると、コストが高くなるという問題があった。
【0005】
そこで、上記の問題を解決し、さらに、軽量化を図り購入者が持ち運びやすくするために、従来のように、2列(各列に2個)に計4個並べた段を、3段重ねて12ロールを1セットとするのではなく、1列に2個並べた段を、2段重ねて4ロールを1セットとするか、又は、3段重ねて6ロールを1セットとすることが好ましい。
ところで、ガセット包装においては、チューブ状(筒状)フィルムの横方向両側をガゼットとして内側に対称的に折り込まれ、平面状に折り畳まれることで、折り込み端縁8が形成される。ここで、2列(各列に2個)に計4個並べた段を、3段重ねて12ロールを1セットとした従来のロール製品パッケージに用いる包装袋においては、ロール製品を包装する際の平面方向の面積を確保するために、図6に示すように、包装袋の横方向端部から折り込み端縁8までの距離(図中L)が必然的に長くなり、指掛け用開口部2の領域まで折り込み端縁8が到達し、当該領域のフィルムが4重となり、指掛け用開口部2の周辺の十分な強度を保つことができるが、一方で、1列に2個並べた段を、2段重ねて4ロールを1セット、又は、3段重ねて6ロールを1セット、とした場合に用いる包装袋においては、図2及び図3に示すように、包装袋100の横方向端部から折り込み端縁8までの距離(図中L)が必然的に短くなり、指掛け用開口部2の領域に折り込み端縁8が到達せず、当該領域のフィルムが2重となってしまい、指掛け用開口部2の周辺の強度が弱くなり、指掛け用開口部2に指を入れて持ち運ぶ際に指掛け用開口部2を起点として把持部のフィルムが破けることがあった。
【0006】
また、特許文献3に記載された補強用フィルムを用いることにより、コストを抑えつつ指掛け用開口部を設けた領域の強度を高くすることができるが、補強用フィルムを包装袋のベースとなるフィルムに接合する際のヒートシールが安定せず、製品の品質が安定しないという問題があった。
【0007】
したがって、本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、長巻のロール製品をガセットタイプの包装袋に収納したロール製品パッケージにおいて、指掛け用開口部に指を入れて持ち運んだ際に指掛け用開口部を起点として把持部が破れにくく、コスト性及び品質に優れたロール製品パッケージを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の発明者らは、上記課題を解決するため、鋭意研究を行った。その結果、少なくとも指掛け用開口部を設けた領域を覆う補強用のフィルムを設け、さらに、補強用のフィルムを設けた領域における包装袋の厚さを調整することにより、上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は、以下のものを提供する。
【0009】
(1)本発明の第1の態様は、フィルムからなる包装袋に、衛生薄葉紙の1プライのシートを巻いたロール製品を複数個収納してなるロール製品パッケージであって、前記ロール製品が軸方向を上下にして1列に2個並べた段を2段又は3段重ねて前記包装袋にガセット包装してなるものであり、前記包装袋は、前記ロール製品を囲む略直方体状の本体部と、前記本体部の上辺のうち、互いに対向する長辺から上方に向かってそれぞれ切妻屋根型に延びて接合された把持部と、を有し、前記把持部は、少なくとも一つの指掛け用開口部を有しており、前記フィルムは、前記本体部及び前記把持部を形成する第一のフィルムと、前記把持部の片側表面において、少なくとも前記指掛け用開口部を設けた領域において、前記第一のフィルムに接合して当該領域を補強する第二のフィルムと、からなり、前記本体部と前記把持部の境界には第一のシールラインが、前記把持部の上端部には少なくとも1本の第二のシールラインが、それぞれ設けられており、前記第二のフィルムは、前記第一のシールライン及び前記第二のシールラインにより、前記第一のフィルムに接合されており、前記指掛け用開口部が設けられた領域における、前記第一のフィルムと前記第二のフィルムの厚さの合計が、80μm以上370μm以下であり、前記ロール製品の巻長が105m以上260m以下であり、コアを含む1個の前記ロール製品の質量が220g以上600g以下である、ロール製品パッケージである。
【0010】
(2)本発明の第2の態様は、(1)に記載のロール製品パッケージであって、前記第一のフィルムの厚さが22μm以上70μm以下であることを特徴とするものである。
【0011】
(3)本発明の第3の態様は、(1)又は(2)に記載のロール製品パッケージであって、前記第二のフィルムの厚さが30μm以上250μm以下であることを特徴とするものである。
【0012】
(4)本発明の第4の態様は、(1)から(3)のいずれかに記載のロール製品パッケージであって、[前記包装袋内のコアを含む前記ロール製品の合計質量(g)]/[(前記指掛け用開口部が設けられた領域における、前記第一のフィルムと前記第二のフィルムの厚さの合計(μm)]が、5.4以上24.5以下であることを特徴とするものである。
【0013】
(5)本発明の第5の態様は、(1)から(4)のいずれかに記載のロール製品パッケージであって、前記第二のシールラインの太さの合計が0.5mm以上15mm以下であることを特徴とするものである。
【0014】
(6)本発明の第6の態様は、(1)から(5)のいずれかに記載のロール製品パッケージであって、前記第二のシールラインの本数が1本以上8本以下であることを特徴とするものである。
【0015】
(7)本発明の第7の態様は、(1)から(6)のいずれかに記載のロール製品パッケージであって、前記把持部は、当該把持部の横方向略中心部において、上下方向にミシン部を有し、さらに、ミシン部を中心に横方向に略対称に、前記指掛け用開口部を二つ有し、ミシン部の非カット部分の割合が、10%以上90%以下である、ことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、指掛け用開口部に指を入れて持ち運んだ際に把持部が破れにくく、コスト性及び品質に優れたロール製品パッケージを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明のロール製品パッケージの斜視図である。
図2】ロール製品を収納する前の本発明に用いる包装袋の折り畳んだ状態の平面図である。
図3】本発明に用いる包装袋の断面図である。
図4図2の第二のフィルムを設けた領域周辺の拡大図である。
図5図2の第二のフィルムを設けた領域周辺の拡大図である。
図6】2列(各列に2個)に計4個並べた段を、3段重ねて12ロールを1セットとした従来のロール製品パッケージに用いる包装袋の折り畳んだ状態の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態について詳細に説明するが、以下の実施形態は例示の目的で提示するものであり、本発明は、以下に示す実施形態に、何ら限定されるものではない。
【0019】
<ロール製品パッケージ>
図1は、本発明のロール製品パッケージ200の外観を示す斜視図である。本発明のロール製品パッケージ200は、フィルムからなる包装袋100に、衛生薄葉紙の1プライのシートを巻いたロール製品50を複数個収納してなるものであり、具体的には、後述するロール製品50を軸方向を上下にして1列に2個並べた段を、2段又は3段重ねて包装袋100にガセット包装されて収納される。なお、ロール製品50が2個並ぶ方向を横方向とし、図中において符号Xで表している。また、ロール製品パッケージ200において、ロール製品50の段が重なる方向、又は、包装袋100の平面図において横方向に直交する方向を、上下方向とし、図中において符号Yで表している。また、後述する第二のフィルム9、第一のシールライン10、第二のシールライン11及び第三のシールライン12、ミシン部13については、第二のフィルム9の領域周辺を拡大した図4及び図5に詳細に記載した。
【0020】
包装袋100は、図1及び図2に示すように、本体部6と、本体部6の上端側の把持部4を備えている。把持部4は、本体部6の上辺のうち、互いに対向する長辺45及び長辺55から上方に向かってそれぞれ切妻屋根型に延びて接合されてなり、長辺45、長辺55と把持部4との間に、それぞれ切妻屋根状のパネル部41、パネル部51が傾斜して形成されている。パネル部41は、長辺45と、パネル部山折り稜線43とを有し、パネル部山折り稜線43は横方向Xに垂直で、パネル部41の妻側の端縁を構成している。同様に、パネル部51は、長辺55と、パネル部山折り稜線53とを有し、パネル部山折り稜線53は横方向Xに垂直で、パネル部51の妻側の端縁を構成している。なお、パネル部山折り稜線43及び稜線53は同じ向きに位置する。なお、本発明のロール製品パッケージの横方向の寸法は190mm以上320mm以下が好ましく、205mm以上280mm以下がより好ましく、220mm以上250mm以下が更に好ましく、上下方向の寸法(高さ)は、190mm以上360mm以下であることが好ましく、205mm以上353mm以下であることがより好ましく、220mm以上345mm以下であることが更に好ましく、奥行きは、95mm以上160mm以下であることが好ましく、103mm以上145mm以下であることがより好ましく、110mm以上125mm以下であることが更に好ましい。
【0021】
[包装袋]
図2は、ロール製品50を収納する前の本発明に用いる包装袋100の折り畳んだ状態の平面図であり、図3は、本発明に用いる包装袋100の断面図である。また、把持部4は、少なくとも一つの指掛け用開口部2を有している。指掛け用開口部2は、把持部4の横方向の中心部近傍に設けられる。図2及び図3に示すように、包装袋100は、ロール製品50を収納する前において、チューブ状(筒状)フィルム(後述する第一のフィルム)の横方向両側をガゼットとして内側に対称的に折り込まれ、平面状に折り畳まれることで、折り込み端縁8が形成され、さらに、ヒートシールで一体化され固定された矩形の扁平部分が把持部4をなしている。また、後述するように、上端で折り畳み部分の適所をヒートシール等で接合して形成される。本発明において、包装袋100は、1列に2個並べた段を、2段重ねて4ロールを1セット、又は、3段重ねて6ロールを1セット、とした場合に用いるものであるため、2列(各列に2個)に計4個並べた段を、3段重ねて12ロールを1セットとした従来のロール製品パッケージに用いる包装袋に比べて、図2及び図3に示すように、包装袋100の横方向端部から折り込み端縁8とまでの距離が必然的に短くなり、指掛け用開口部2の領域に折り込み端縁8が到達しない構造となっている。なお、本明細書においては、折り込み端縁8が指掛け用開口部2の横方向の端部に到達していても、指掛け用開口部2の横方向の中心部まで到達していなければ、指掛け用開口部2の領域に折り込み端縁8が到達しないこととし、以下同様とする。その場合、後述する、指掛け用開口部2が設けられた領域における、第一のフィルムと第二のフィルムの厚さの合計の数値については、未開口状態の指掛け用開口部2において、折り込み端縁8と重複しない領域、すなわち、二重となった第一のフィルムに第二のフィルム9が積層した状態における厚さの合計とする。
【0022】
ロール製品50を収納する際には、本体部6は下端が開口し、下端側からロール製品50を収納し、開口端をヒートシールして封止部201が形成されている。また、ロール製品50を収納した際に本体部6のガゼットが展開され、本体部6は4つの側面6aから6dを有する矩形断面で略直方体を構成し、ロール製品50を囲うようになっている。
【0023】
(ロール製品を収納する前の包装袋の寸法)
ロール製品50を収納する前の包装袋100の折り畳んだ状態における、包装袋100の横方向の寸法は、190mm以上240mm以下が好ましく、198mm以上232mm以下がより好ましく、205mm以上225mm以下であることが更に好ましい。本体部6の上下方向の寸法は、540mm以上650mm以下であることが好ましく、560mm以上630mm以下であることがより好ましく、580mm以上610mm以下であることが更に好ましい。ロール製品50を収納する前の包装袋100の折り畳んだ状態における、包装袋100の横方向及び本体部6の上下方向の寸法を上記の範囲にすることにより、後述する長巻のロール製品50の巻長等に合わせて、軸方向を上下にして1列に2個並べた段を2段又は3段重ねて、包装袋100に収納することができる。この場合、包装袋100を折り畳んだ状態における、横方向端部から折り込み端縁8までの距離(図中L)は、30mm以上65mm以下が好ましく、36mm以上58mm以下がより好ましく、42mm以上52mm以下が更に好ましい。また、把持部4の上下方向の寸法は、取り扱い性の観点から25mm以上80mm以下であることが好ましく、30mm以上68mm以下であることがより好ましく、35mm以上55mm以下であることが更に好ましい。なお、ロール製品50を包装袋100に収納する際には、上記の封止部201を形成した後に、包装袋100の下端部を必要に応じて適宜カットして寸法を調整することができる。
【0024】
(指掛け用開口部)
図4及び図5は、図2の第二のフィルム9を設けた領域周辺の拡大図である。指掛け用開口部2は、上述するように、横方向の中心部近傍に設けられるものである。指掛け用開口部2の形状は特に限定されないが、指を損傷せず、持ち運びやすいように、略楕円形状であることが好ましい。
【0025】
指掛け用開口部2は、図4に示すように、指掛け用開口部2の上端部に非切抜部2aを設けてもよいし、図5に示すように、指掛け用開口部2の下端部に非切抜部2aを設けてもよいが、本発明の対象となるロール質量が大きいロール製品を持ち運ぶ際に手が痛くなりにくいよう、指掛け用開口部2の上端部に非切抜部2aを設けることが好ましい。非切抜部2aを設けた端部の他方の端部には、ツナギ部2bを設けることで、未使用の状態において、指掛け用開口部2を未開口の状態で固定することができる。購入者はツナギ部2bを切り離し、非切抜部2aを設けた端部の他方端部を折り返し、指を入れて持ち運ぶことができる。
【0026】
図4に示すように、指掛け用開口部2の上端部に非切抜部2aを設ける場合には、非切抜部2aの長さは、指掛け用開口部2の横方向の寸法に対して、10%以上90%以下であることが好ましく、25%以上80%以下であることがより好ましく、45%以上65%以下であることが更に好ましい。非切抜部2aの長さを上記の範囲にすることにより、指掛け用開口部2に指を入れて持ち運ぶ際に指が痛くならず、かつ、非切抜部2aを設けた部分から把持部4が破けることを防止することができる。
【0027】
一方で、図5に示すように、指掛け用開口部2の下端部に非切抜部2aを設ける場合において、ツナギ部2bを上端部に設けると、指を入れて持ち運んだ際に、ツナギ部2bを起点として把持部4が破けやすい傾向にあるため、ツナギ部2bを起点として破けることを防止するために、ツナギ部の寸法は、0.1mm以上5mm以下であることが好ましく、0.1mm以上3mm以下であることが好ましく、0.5mm以上2mm以下であることが更に好ましい。また、図4に示すように、指掛け用開口部2の上端部に非切抜部2aを設けたほうが、ツナギ部2bを設けても破れにくいため好ましい。
【0028】
また、持ち運びやすさの観点から、指掛け用開口部2の数は、一つ又は二つであることが好ましく、同様の観点から、指掛け用開口部2の数が一つの場合、指掛け用開口部2の上下方向の寸法は10mm以上50mm以下であることが好ましく、15mm以上40mm以下であることがより好ましく、20mm以上30mm以下であることが更に好ましく、横方向の寸法は、43mm以上93mm以下であることが好ましく、53mm以上83mm以下であることがより好ましく、63mm以上73mm以下であることが更に好ましい。指掛け用開口部2の数が二つの場合、指掛け用開口部2の上下方向の寸法は、10mm以上45mm以下であることが好ましく、13mm以上34mm以下であることがより好ましく、16mm以上23mm以下であることが更に好ましく、横方向の寸法は、15mm以上60mm以下であることが好ましく、23mm以上50mm以下であることがより好ましく、30mm以上40mm以下であることが更に好ましい。また、把持部4の横方向端部から近接する指掛け用開口部2への距離は、35mm以上90mm以下であることが好ましく、45mm以上80mm以下であることがより好ましく、55mm以上70mm以下であることが更に好ましい。また、指掛け用開口部2を起点として把持部が破れることを防止するために、指掛け用開口部2の上端部から把持部4の上端部までの距離は、8mm以上70mm以下であることが好ましく、17mm以上54mm以下であることがより好ましく、25mm以上38mm以下であることが更に好ましい。なお、上記のとおり、本発明のロール製品パッケージ200に用いる包装袋100の指掛け用開口部2の領域に折り込み端縁8は到達しない。
【0029】
図4及び図5に示すように、把持部4が、指掛け用開口部2を2つ有する場合には、把持部4の横方向略中心部において、上下方向にミシン部13を有することが好ましく、指掛け用開口部2は、ミシン部13を中心に横方向略対称にそれぞれ設けられており、ミシン部13の非カット部分の割合が10%以上90%以下であることが好ましく、30%以上80%以下であることがより好ましく、45%以上70%以下であることが更に好ましい。ミシン部13の非カット部分の割合を上記の範囲にすることにより、ロール製品パッケージ200を持ち運ぶ際に、ミシン部13から把持部4が裂けて破けることを防止でき、かつ、ミシン部13を起点に手で開封する際に破れやすくすることができる。なお、上記の割合は、ミシン部の上端部に位置するカット部分の上端部と、ミシン部の下端部に位置するカット部分の下端部と、を結ぶ距離をミシン部13の長さとし、その距離のうち、非カット部の割合を上記の数値とした。より具体的には、ミシン部の長さについて、カット部分と非カット部分のそれぞれの長さを一般的な顕微鏡を用いて測定し、(非カット部分の長さ)÷(非カット部分の長さ+カット部分の長さ)×100%を算出して、非カット部分の割合を求めた。なお、ミシン部13の長さは、7mm以上50mm以下であることが好ましく、12mm以上40mm以下であることがより好ましく、17mm以上30mm以下であることが更に好ましい。
【0030】
(フィルムとシールライン)
包装袋100は、フィルムからなるものである。フィルムは、本体部6及び把持部4を形成するベースとなる第一のフィルムと、把持部4の片側表面において、少なくとも指掛け用開口部2を設けた領域において、第一のフィルムに接合して当該領域を補強する第二のフィルム9と、からなる。
【0031】
第一のフィルムは、本体部6及び把持部4、すなわち包装袋100の全体を形成するベースとなるフィルムである。第一のフィルムとしては、リサイクルに適した熱可塑性樹脂(いわゆるプラスチック)であることが好ましい。具体的には、ポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレン等)、ポリエステル(PET等)、ポリアミド(ナイロン等)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等、従来公知の熱可塑性樹脂を挙げることができる。それらの中でも、ポリエチレン、ポリプロピレンが好ましく、延伸性や強度の面で、ポリエチレンが更に好ましい。
【0032】
なお、第一のフィルムの厚さは、22μm以上70μm以下であることが好ましく、28μm以上58μm以下であることがより好ましく、35μm以上45μm以下であることが更に好ましい。後述するように、包装袋100に包装されるロール製品50は、長巻で、通常のロール製品に比べて1ロール当たりの質量が大きいが、第一のフィルムの厚さを上記の範囲にすることにより、ロール製品パッケージ200を持ち運んだ際に破けにくくすることができ、かつ、コストを抑えることができる。
【0033】
第二のフィルム9は、把持部4の片側表面において、少なくとも指掛け用開口部2を設けた領域において、第一のフィルムに接合して当該領域を補強するフィルムである。第二のフィルム9を当該領域に設けることにより、指掛け用開口部2を設けた領域を補強することができ、指掛け用開口部2に指を入れてロール製品パッケージ200を持ち運ぶ際に、指掛け用開口部2を起点として破けることを防止することができ、かつ、第一のフィルムの厚さを大きくして上記の領域を補強する場合に比べてコストを抑えることができる。
【0034】
第二のフィルム9を設ける領域について、図4及び図5を用いてシールラインと関連させて説明する。図4及び図5は、第二のフィルム9を設けた領域周辺の拡大図である。なお、各シールラインはヒートシールによって形成され、一部に脱気用の非ヒートシール部を設けてもよい。図4及び図5に示すように、包装袋100には、本体部6と把持部4の境界に第一のシールライン10が、把持部4の上端部に少なくとも1本の第二のシールライン11が、それぞれ設けられており、第二のフィルム9は、第一のシールライン10及び第二のシールライン11により、第一のフィルムに接合されている。さらに、第二のフィルムと第一のフィルムとの接合を強くするために、第二のフィルム9の横方向両端部に第一のシールライン10及び第二のシールライン11と直交する第三のシールライン12を設けることが好ましい。この場合、第二のフィルム9は、第一のシールライン10、第二のシールライン11、第三のシールライン12の外側まで延在していてもよい。なお、第一のシールライン10及び第三のシールライン12の本数は特に限定されないが、加工性の観点から、図4及び図5に示すように、第一のシールライン10は1本、第三のシールライン12は計2本設けられていることが好ましい。
【0035】
第二のシールライン11の本数は、1本以上8本以下であることが好ましく、2本以上5本以下であることがより好ましく、図4及び図5に示すように、2本であることが更に好ましい。最も上端にある第二のシールライン11は、把持部4の横方向の一方端部から他方端部にかけて横方向に略平行に設けられていることが好ましく、他の第二のシールライン11については、必ずしも把持部4の横方向の一方端部から他方端部にかけて設けられている必要はなく、図4及び図5に示すように、少なくとも、第二のフィルム9を設けた領域内に、横方向に略平行に設けられていればよい。なお、脱気用等のためにシールラインが途切れる場合があるが、非シールラインの長さがシールラインの長さより短い場合、本明細書においてシールラインとみなす。
【0036】
第二のシールライン11の太さの合計は、0.5mm以上15mm以下であることが好ましく、1.0mm以上10mm以下であることがより好ましく、2.0mm以上6.0mm以下であることが更に好ましい。第二のシールライン11の太さの合計を上記の範囲にすることにより、第二のフィルム9を確実に固定し、指掛け用開口部2に指を入れてロール製品パッケージ200を持ち運ぶ際に、指掛け用開口部2を起点として破けることを防止することができ、かつ、第二のフィルム9を第一のフィルムに接合する際のヒートシールが安定し、ムラをなくして品質を安定させることができる。また、同様の観点から、各第二のシールライン11の太さは、0.5mm以上6.0mm以下であることが好ましく、0.8mm以上3.5mm以下であることがより好ましく、1.0mm以上2.0mm以下であることが更に好ましい。なお、第一のシールライン10及び第三のシールライン12の太さについては特に限定されないが、0.5mm以上5.0mm以下であることが好ましく、0.8mm以上3.5mm以下であることがより好ましく、1.0mm以上2.0mm以下であることが更に好ましい。
【0037】
第二のフィルム9の寸法は、少なくとも指掛け用開口部2を設けた領域を覆うことができれば、特に限定されないが、指掛け用開口部2に指を入れてロール製品パッケージ200を持ち運ぶ際に、指掛け用開口部2を起点して把持部4が破けることを防止し、かつ、コストを抑えるために、第二のフィルム9の、横方向の寸法は60mm以上180mm以下が好ましく、90mm以上150mm以下がより好ましく、110mm以上130mm以下が更に好ましい。上下方向の寸法は20mm以上100mm以下であることが好ましく、30mm以上80mm以下であることがより好ましく、40mm以上60mm以下であることが更に好ましい。
【0038】
また、第二のフィルム9の厚さは、30μm以上250μm以下であることが好ましく、60μm以上200μm以下であることがより好ましく、80μm以上130μm以下であることが更に好ましい。第二のフィルム9の厚さを上記の範囲にすることにより、指掛け用開口部2に指を入れてロール製品パッケージ200を持ち運ぶ際に、指掛け用開口部2を起点として破けることを防止することができ、かつ、コストを抑えることができる。
【0039】
第二のフィルム9には、第一のフィルムと同様の素材を用いることができる。第一のフィルムと同じ材質とするのが、コスト面及び第一のフィルムに接合する際の接合性の面でも好ましい。
【0040】
指掛け用開口部2が設けられた領域において、未開口の状態で、二重となった第一のフィルムに第二のフィルム9が積層した状態となっている。この場合、指掛け用開口部2が設けられた領域における、第一のフィルムと第二のフィルム9の厚さの合計(すなわち、2枚の第一のフィルムと1枚の第二のフィルム9の厚さの合計)は、80μm以上370μm以下であり、125μm以上290μm以下であることが好ましく、150μm以上200μm以下であることがより好ましい。指掛け用開口部2が設けられた領域における、第一のフィルムと第二のフィルム9の厚さの合計を、上記の範囲に調整することにより、指掛け用開口部2に指を入れてロール製品パッケージ200を持ち運ぶ際に、指掛け用開口部2を起点として破けることを防止することができ、かつ、コストを抑えることができる。また、第二のフィルム9を第一のフィルムに接合する際のヒートシールが安定し、ムラをなくして品質を安定させることができる。
【0041】
[ロール製品]
ロール製品50は、衛生薄葉紙の1プライのシートを巻いてなり、例えばトイレットペーパーのロール製品である。
【0042】
ロール製品50は、木材パルプ100質量%からなるものであってもよく、古紙パルプ、非木材パルプ、脱墨パルプを含んでもよい。目標とする品質を得るためには、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)の含有率が0質量%以上35質量%以下であることが好ましく、2質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上15質量%以下であることが更に好ましい。また、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)の含有率が50質量%以上100質量%以下であることが好ましく、60質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、70質量%以上80質量%以下であることが更に好ましい。
【0043】
また、ミルクカートン(牛乳パック)等の液体飲料由来の古紙パルプの含有率が0質量%より多く40質量%以下であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上20質量%以下であることが更に好ましく、クラフトパルプの含有率が、60質量%以上100質量%以下であることが好ましく、70質量%以上95質量%以下であることがより好ましく、80質量%以上90質量%以下であることが更に好ましい。
【0044】
ミルクカートン(牛乳パック)等の液体飲料由来の古紙パルプは、針葉樹パルプが主体であり、ロール製品50の強度を向上させやすいというメリットがある一方で、品質的にバラツキが大きく、含有割合が高過ぎると製品の品質に影響することがある。ミルクカートン等の液体飲料由来の古紙パルプの含有量を上記の範囲内のものとすることにより、品質のバラツキを抑えつつ、ロール製品50の強度を効果的に向上させることができる。
【0045】
(巻長)
ロール製品50の巻長が105m以上260m以下であることにより、ロール製品50の交換頻度を減らすことができ、省スペース性を図ることができるとともに、巻直径が適切な範囲に維持され、ロール製品50がトイレットペーパーホルダー等に十分に収容されるものとなる。巻長は、130m以上210m以下であることが好ましく、145m以上185m以下であることがより好ましい。なお、通常の1プライのトイレットペーパーの1ロール当たりの巻長は50m程度であり、本発明は、1ロール当たりの巻長が長く、質量が大きいロール製品を包装するのに適するロール製品パッケージとなる。
【0046】
(巻直径)
ロール製品50の巻直径が100mm以上160mm以下であることが好ましい。巻直径を上記の範囲に調整することにより、ロール製品50の巻長を好適な範囲に維持しつつ、ロール製品50がトイレットペーパーホルダーに十分に収容されるものとなる。巻直径は、112mm以上135mm以下であることが好ましく、116mm以上125mm以下であることがより好ましい。また、本発明の対象となる1ロール当たりの巻長が長く、質量が大きいロール製品は、通常の1プライのトイレットロールより巻直径が大きくなり、このロール製品を包装するのに適したロール製品パッケージとなる。
【0047】
(コア外径)
また、本発明のロール製品50の芯の外径である、コア(紙管)外径は、22mm以上50mm以下であることが好ましく、28mm以上47mm以下であることがより好ましく、35mm以上43mm以下であることが更に好ましい。コア外径が上記の範囲に調整することにより、ロール製品50の巻密度や巻直径を好適に維持しつつ、ロール製品50を、トイレットペーパーホルダーに収まりやすくすることができる。また、ロール製品50のコアの質量は3.2g以上7.0g以下であることが好ましく、4.0g以上6.0g以下であることがより好ましく、4.5g以上5.3g以下であることが更に好ましい。コア質量を上記の範囲にすることにより、長巻のロール製品50に適したコアの強度とコアのコストを良好にすることができる。コアの質量は、ロール質量と同様、ロール幅114mmに換算した質量とする。
【0048】
(ロール密度、ロール質量)
コアを含む1個のロール製品50の質量は、220g以上600g以下であることにより、ロール製品50の交換頻度を減らすことができる。上記の質量は、ロール幅114mm当たりのロール製品50の質量である。また、コアを含む1個のロール製品50の質量は、250g以上500g以下であることが好ましく、310g以上400g以下であることがより好ましい。ロール幅が114mm以外の場合、ロール質量は比例計算で114mmとして換算する。なお、通常の1プライのトイレットペーパーの1ロール当たりの質量は115g程度であり、本発明は、1ロール当たりのロール質量が大きいロール製品を包装するのに適したロール製品パッケージとなる。
【0049】
ロール体積は[{ロールの外径(巻直径)部分の断面積}-(コア外径部分の断面積)]×ロール幅(ロールの軸方向の長さ:114mm当たりに換算する)で表される。例えば、ロール幅114mm当たりのコアを除くロール質量が327g、巻直径122mm、コアの外径が39mmの場合、ロール密度=327g÷[{3.14×(122mm÷2÷10)-3.14×(39mm÷2÷10)}×(114mm÷10)]=0.27g/cmとなる。なお、ロール製品50にコアが無い場合は、中心孔の直径をコア外径とする。
【0050】
ロール製品50のロール密度は、0.18g/cm以上0.40g/cm以下であることが好ましく、0.21g/cm以上0.34g/cm以下であることがより好ましく、0.24g/cm以上0.30g/cm以下であることが更に好ましい。ロール製品50のロール密度を上記の範囲にすることにより、巻直径が適切な範囲に維持されてトイレットペーパーホルダーに収まりやすくなるとともに、ロールの内巻側が軸方向に飛び出す不良品が生じることもない。本願のように1ロール当たりのロール質量が大きいロール製品を適正な巻直径とするには上記のロール密度になるよう調整することで、このロール製品を包装するのに適するロール製品パッケージとなる。
【0051】
(坪量)
ロール製品50のシート1枚当たりの坪量は、12g/m以上22g/m以下であることが好ましく、このときの紙厚は0.4mm/10枚以上1.3mm/10枚以下であることが好ましい。坪量及び紙厚が上記の範囲にすることにより、巻長、巻直径を上記の範囲に調整しやすくなる。ロール製品50のシート1枚当たりの坪量は、15g/m以上21g/m以下であることがより好ましく、17g/m以上20g/m以下であることが更に好ましい。ロール製品50のシート1枚当たりの紙厚は、0.5mm/10枚以上1.2mm/10枚以下であることがより好ましく、0.6mm/10枚以上1.1mm/10枚以下であることが更に好ましい。なお、ロール製品50は、触感や吸水性等の観点からエンボスを有することが好ましい。また、本願では、1ロール当たりのロール質量が大きいため、上記の坪量の範囲にすることが好ましく、このロール製品を包装するのに適するロール製品パッケージとなる。
【0052】
上記した巻長及び質量を有する長巻のロール製品50は、通常のロール製品に比べて1ロール当たりの質量が大きいため、通常のトイレットペーパー用のフィルムで包装すると、運ぶ際に、特に指掛け用開口部2を設けた領域に負荷がかかり、指掛け用開口部2を起点として把持部4が破けやすい。そこで、後述するように、包装袋100内のコアを含むロール製品50の合計質量と、指掛け用開口部2が設けられた領域における、第一のフィルムと第二のフィルム9の厚さの合計と、の比を以下のように調整することが好ましい。すなわち、[包装袋100内のコアを含むロール製品50の合計質量(g)]/[(指掛け用開口部2が設けられた領域における、第一のフィルムと第二のフィルム9の厚さの合計(μm)]が、5.4以上24.5以下であることが好ましく、7.0以上20.0以下であることがより好ましく、8.5以上14.0以下であることが更に好ましい。
【0053】
本発明は上記した実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形及び均等物に及ぶことはいうまでもない。
【実施例
【0054】
パルプ組成の含有率を、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)10%、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)75%、ミルクカートン等液体飲料由来の古紙パルプ15%となるように配合した衛生薄葉紙のシートを抄造し、シートを1プライに積層して巻回し、表1及び表2に示す特性のトイレットペーパーのロール製品を製造した。なお、ロール幅(ロールの軸方向の長さ)は114mmとした。一方、表1に示す物性である包装袋として用意し、図1に示す形態でトイレットペーパーのロール製品を、軸方向を上下にして1列に2個並べ、さらに、表1から3の個数となるように段を重ね、包装してロール製品パッケージを得た。以下、包装袋の構成について説明する。
【0055】
包装袋には、第一のフィルムとしてポリエチレンフィルムを用いた。ロール製品を収納される前の状態で、かつ、ガセットの折り込み端縁を設け折り畳んだ状態における、包装袋の横方向の寸法は214mm、上下方向の寸法は595mmとし、また、本体部の上下方向の寸法は542mm、把持部の上下方向の寸法は53mmとし、包装袋の横方向端部から折り込み端縁までの距離は47mmとした。なお、ロール製品50を包装袋100に収納して上記の封止部を形成した後に、包装体の下端部を50mmカットした。
【0056】
包装袋の把持部には、横方向の略中心部に一つの上下方向にミシン部(長さ22mm)を設け、略楕円形状の指掛け用開口部(上下方向18mm、横方向35mm)を、ミシン部を中心に横方向に対称になるように計二つ設けた。なお、把持部の横方向端部から近接する指掛け用開口部への距離は62mmとし、指掛け用開口部の領域に折り込み端縁は到達しないようにした。
【0057】
さらに、本体部と把持部の境界には第一のシールライン、把持部の上端部に第二のシールラインを、それぞれ設け、第二のフィルムの横方向両端部に第一のシールライン(太さ1.5mm)及び第二のシールラインと直交する第三のシールライン(太さ1.5mm)を設け、第二のフィルム(ポリエチレンフィルム、上下方向50mm、横方向120mm)をこれらのシールラインで第一のフィルムに接合させた。指掛け用開口部の上端部に非切抜部を設け、非切抜部の長さは、指掛け用開口部の横方向の寸法に対して、55%とした。第一のフィルム及び第二のフィルムの厚さ、指掛け用開口部が設けられた領域における、第一のフィルム及び第二のフィルムの厚さの合計(第一のフィルム2枚+第二のフィルム1枚の厚さ)、第二のシールラインの本数、各第二のシールラインの太さ、第二のシールラインの太さの合計、ミシン部の非カット部分の割合、[包装袋内のコアを含むロール製品の合計質量]/[指掛け用開口部が設けられた領域における、第一のフィルムと第二のフィルムの厚さの合計]の式から算出される数値を、それぞれ表1から表3に記載した。
【0058】
以下の評価を行った。
【0059】
フィルムの厚さの測定:JIS P8118(1998)に準拠して、指掛け用開口部の切れ込み線を含まない箇所で測定した。なお、指掛け用開口部の切れ込み線を含まない箇所が厚さ測定子より小さい場合は、シックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK G」)を用いて測定した。測定条件は、測定力1.8N以下、測定子直径10mmで、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取った。ただし、指掛け用開口部の切れ込み線を含まない箇所がシックネスゲージ(尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK G」)の測定子より小さい場合は、指掛け用開口部の切れ込み線を含んだ箇所でJIS P8118(1998)に準拠して測定する。
シート1枚当たりの坪量:JIS P8124に基づいて測定し、シート1枚当たりに換算した。
【0060】
紙厚:シックネスゲージ(株式会社尾崎製作所製のダイヤルシックネスゲージ「PEACOCK」)を用いて測定した。測定条件は、測定荷重3.7kPa、測定子直径30mmで、測定子と測定台の間に試料を置き、測定子を1秒間に1mm以下の速度で下ろしたときのゲージを読み取った。なお、トイレットペーパーのシートを10枚重ねたものを試料として測定を10回繰り返し、測定結果を平均した。
【0061】
ロールの巻直径、コア外径:ムラテックKDS株式会社製ダイヤメータールールを用いて測定した。測定は、10個のロールを測定し、測定結果を平均した。
【0062】
巻長:トイレットペーパーのロール製品のミシン目とミシン目の間のシートについて、10シート分の長さを実測した。その後、ロールのシート数を実測し、巻長は10シート分の長さとシート数から比例計算で求めた。例えば、10シート分の長さが2.275m、シート数が660シートの場合、2.275m×(660/10)=150mとなる。
【0063】
ロール質量:ロール質量は、電子天秤を用いて測定した。まず、コアを含むロール質量を測定し、その後、コアの質量を測定した。コアを含むロール質量から、コアの質量を差し引き、コアを除くロール質量とした。コアを含む又はコアを除くロール質量は、10個のロールを測定し、測定結果を平均した。
【0064】
官能評価は、モニター20人によって行った。評価基準は5点満点で行った。評価基準が3点以上であれば良好である。
なお、各測定は、JIS P 8111に規定する温湿度条件下(23±1℃、50±2%RH)で平衡状態に保持後に行った。

・トイレットペーパーのロール製品の交換頻度
トイレットペーパーのロール製品1本を使い切るまでの交換頻度を評価した。
・トイレットペーパーホルダーへの装着性
トイレットペーパーのロール製品をトイレットペーパーホルダーに装着する際の装着性について、評価した。
・トイレットペーパーの使用感
トイレットペーパーのロール製品をトイレで使用した時の使用感について評価した。
・ロール製品パッケージを持ち運ぶ際の、把持部の破れにくさ
指掛け用開口部に指を入れて、ロール製品パッケージを1分間上下方向に往復して振った後の把持部の破れにくさについて評価した。
・包装袋のコスト
包装袋のコストについて評価した。
・開封する際のミシン部の切れやすさ
開封する際のミシン部の切れやすさについて評価した。
・開封する前のミシン部の切れにくさ
開封する前の状態(指掛け用開口部に指を入れて、ロール製品パッケージを1分間上下方向に往復して振った後)のミシン部の切れにくさについて評価した。
その他、[包装袋内のコアを含む前記ロール製品の合計質量(g)]/[(指掛け用開口部が設けられた領域における、第一のフィルムと第二のフィルムの厚さの合計(μm)]の値が、コスト及び品質に対して適切であるか、第二のフィルムの厚さによる、把持部の第二のシールラインのムラ発生への影響の低さ、各第二のシールラインの太さ又は第二のシールラインの太さの合計による、把持部の第二のシールラインのムラ発生への影響の低さについても、評価した。
【0065】
得られた結果を表1から表3に示す。
【0066】
【表1】
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】
表1、表2、表3から明らかなように、本発明によれば、指掛け用開口部に指を入れて持ち運んだ際に指掛け用開口部を起点として把持部が破れにくく、コスト性及び品質に優れたロール製品パッケージを提供することができる。
【符号の説明】
【0070】
2 指掛け用開口部
2a 指掛け用開口部の非切抜部
2b 指掛け用開口部のツナギ部
4 把持部
41、51 把持部のパネル部
43、53 稜線
45、55 本体部及び把持部の長辺
6 本体部
6a、6b、6c、6d 本体部の側面
8 折り込み端縁
9 第二のフィルム
10 第一のシールライン
11 第二のシールライン
12 第三のシールライン
13 ミシン部
50 ロール製品
100 包装袋
200 ロール製品パッケージ
201 封止部
X 横方向
Y 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6