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特許7423906情報処理装置、情報処理システム、通知方法および情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、通知方法および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20240123BHJP
   H04L 43/10 20220101ALI20240123BHJP
【FI】
H04L12/28 400
H04L43/10
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019097081
(22)【出願日】2019-05-23
(65)【公開番号】P2020191591
(43)【公開日】2020-11-26
【審査請求日】2022-03-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100155712
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 尚
(72)【発明者】
【氏名】氏家 哉
【審査官】大石 博見
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-089014(JP,A)
【文献】特表2017-517917(JP,A)
【文献】特開2018-029283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/28
H04L 43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーブルで接続された自装置と他機との間の通信に関する統計情報を取得する統計情報取得部と
前記統計情報取得部が取得した統計情報を参照して、前記通信の異常を判定する異常判定部と、
前記異常判定部による判定結果が前記通信が異常であることを示している場合に、当該判定結果をマスタ装置に通知する異常通知部と
を備え、
前記統計情報には、リンクオフ回数が含まれており、
前記異常判定部は、
単位時間におけるリンクオフの回数に対する当該単位時間の直前の単位時間におけるリンクオフの回数の比が、第1の閾値以下である場合に、自装置に接続されたケーブルの異常により前記通信が異常であると判定し、
前記異常通知部は、
前記ケーブルの異常によって通信に異常が生じていることを示す情報を前記マスタ装置に送信する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記統計情報には、
正常なフレーム受信の数である正常フレーム数と、
異常なフレーム受信の数である異常フレーム数と
が含まれている
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記異常判定部は、所定単位時間内の前記異常フレーム数が、所定の閾値を超えると、前記通信が異常と判定することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第1の閾値の設定に関するユーザ入力を取得する第1のユーザ入力取得部と、
前記第1のユーザ入力取得部が取得したユーザ入力を参照して、前記第1の閾値を設定する第1の閾値設定部と
を備えていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
複数の前記情報処理装置が、前記マスタ装置を起点としてディジーチェーン接続されており、
前記異常通知部は、
前記マスタ装置、又は自装置よりも前記マスタ装置側に接続されている前記情報処理装置に、前記判定結果を通知する
ことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
ケーブルで接続された自装置と他機との間の通信に関する統計情報を取得する統計情報取得部と
前記統計情報取得部が取得した統計情報を参照して、前記通信の異常を判定する異常判定部と、
前記異常判定部による判定結果が前記通信が異常であることを示している場合に、当該判定結果をマスタ装置に通知する異常通知部と
を備え、
前記統計情報には、ショートフレーム数とフレーム最大長オーバー数とが含まれており、
前記異常判定部は、
ショートフレーム数及びフレーム最大長オーバー数の増加数を確率変数値とし、ショートフレーム数及びフレーム最大長オーバー数の総数の時間平均を母数とするポアソン分布式の値が、第2の閾値以下である場合に、ノイズにより前記通信が異常であると判定する
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
前記第2の閾値の設定に関するユーザ入力を取得する第2のユーザ入力取得部と、
前記第2のユーザ入力取得部が取得したユーザ入力を参照して、前記第2の閾値を設定する第2の閾値設定部と
を備えていることを特徴とする請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
マスタ装置と、前記マスタ装置とケーブルにより接続されたスレーブ装置とを含む情報処理システムにおいて、
前記スレーブ装置は、
前記ケーブルで接続された自装置と前記マスタ装置との間の通信に関する統計情報を取得する統計情報取得部と
前記統計情報取得部が取得した統計情報を参照して、前記通信の異常を判定する異常判定部と、
前記異常判定部による判定結果が前記通信が異常であることを示している場合に、当該判定結果を前記マスタ装置に通知する異常通知部と
を備え、
前記統計情報には、リンクオフ回数が含まれており、
前記異常判定部は、
単位時間におけるリンクオフの回数に対する当該単位時間の直前の単位時間におけるリンクオフの回数の比が、第1の閾値以下である場合に、自装置に接続されたケーブルの異常により前記通信が異常であると判定し、
前記異常通知部は、
前記ケーブルの異常によって通信に異常が生じていることを示す情報を前記マスタ装置に送信する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
マスタ装置と、前記マスタ装置とケーブルにより接続されたスレーブ装置とを含む情報処理システムにおいて、
前記スレーブ装置は、
前記ケーブルで接続された自装置と前記マスタ装置との間の通信に関する統計情報を取得する統計情報取得部と
前記統計情報取得部が取得した統計情報を参照して、前記通信の異常を判定する異常判定部と、
前記異常判定部による判定結果が前記通信が異常であることを示している場合に、当該判定結果を前記マスタ装置に通知する異常通知部と
を備え、
前記統計情報には、ショートフレーム数とフレーム最大長オーバー数とが含まれており、
前記異常判定部は、
ショートフレーム数及びフレーム最大長オーバー数の増加数を確率変数値とし、ショートフレーム数及びフレーム最大長オーバー数の総数の時間平均を母数とするポアソン分布式の値が、第2の閾値以下である場合に、ノイズにより前記通信が異常であると判定する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項10】
複数の前記スレーブ装置が、前記マスタ装置を起点としてディジーチェーン接続されており、
前記マスタ装置は、
何れの前記スレーブ装置に接続されているケーブルに異常が生じたかを視覚的に示す情報を出力する
ことを特徴とする請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項11】
情報処理装置において実行される通知方法であって、
ケーブルで接続された自装置と他機との間の通信に関する統計情報を取得する統計情報取得工程と、
前記統計情報取得工程において取得した統計情報を参照して、前記通信の異常を判定する異常判定工程と、
前記異常判定工程における判定結果が前記通信が異常であることを示している場合に、当該判定結果をマスタ装置に通知する異常通知工程と
を含み、
前記統計情報には、リンクオフ回数が含まれており、
前記異常判定工程においては、
単位時間におけるリンクオフの回数に対する当該単位時間の直前の単位時間におけるリンクオフの回数の比が、第1の閾値以下である場合に、自装置に接続されたケーブルの異常により前記通信が異常であると判定し、
前記異常通知工程においては、
前記ケーブルの異常によって通信に異常が生じていることを示す情報を前記マスタ装置に送信する
ことを特徴とする通知方法。
【請求項12】
情報処理装置において実行される通知方法であって、
ケーブルで接続された自装置と他機との間の通信に関する統計情報を取得する統計情報取得工程と、
前記統計情報取得工程において取得した統計情報を参照して、前記通信の異常を判定する異常判定工程と、
前記異常判定工程における判定結果が前記通信が異常であることを示している場合に、当該判定結果をマスタ装置に通知する異常通知工程と
を含み、
前記統計情報には、ショートフレーム数とフレーム最大長オーバー数とが含まれており、
前記異常判定工程においては、
ショートフレーム数及びフレーム最大長オーバー数の増加数を確率変数値とし、ショートフレーム数及びフレーム最大長オーバー数の総数の時間平均を母数とするポアソン分布式の値が、第2の閾値以下である場合に、ノイズにより前記通信が異常であると判定する
ことを特徴とする通知方法。
【請求項13】
請求項1から7の何れか1項に記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、前記統計情報取得部、前記異常判定部、及び前記異常通知部としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、通知方法および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用のネットワークシステムとして、マスタ装置とスレーブ装置とによって構成されるネットワークシステムが利用されており、当該ネットワークシステムに関する技術が公知である。特許文献1では、マスタ装置とスレーブ装置とを備えるネットワークシステムにおいて、通信処理の確立の遅延を抑制する方法が開示されている。また、特許文献2では、通信異常が発生した場合、通信異常の原因究明に要する時間を短縮することが可能なPLC(プログラマブル・コントローラ)システムの開発支援装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-195329号公報(2016年11月17日公開)
【文献】特開2008-181572号公報(2008年8月7日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したようなネットワークシステムにおいては、装置間を接続するケーブルの劣化や、周辺装置の影響によるノイズ等によって通信品質が低下し、通信が突然遮断される虞がある。特にフィールドネットワークにおいて通信が突然遮断された場合、原因の特定や復旧作業には多くの時間を要する。
【0005】
この対策として、ホットスタンバイによる機器の二重化、若しくはネットワークトポロジーをリング型にする等の冗長化対策、又はノイズの影響を軽減可能な耐環境性に優れたケーブルを使用すること等が挙げられる。しかしながら上述したような対策は、システムの大幅な変更を要し、また、技術的な難易度も高いため、現状のシステムや設備を変更せずにネットワークシステムの通信品質を定期的に監視することが望ましい。
【0006】
一方で、ネットワークシステムの通信品質を定期的に監視する場合、例えばユーザがマスタ装置においてプログラムを動作させて異常の有無を点検する手間が掛かるという問題がある。
【0007】
本発明の一態様は、上記の問題を鑑みてなされたものであり、ネットワークシステムの通信品質を監視する場合におけるユーザの負担を軽減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
【0009】
すなわち、本発明の一側面に係る情報処理装置は、ケーブルで接続された他機との間の通信に関する統計情報を取得する統計情報取得部と前記統計情報取得部が取得した統計情報を参照して、前記通信の異常を判定する異常判定部と、前記異常判定部による判定結果が前記通信が異常であることを示している場合に、当該判定結果をマスタ装置に通知する異常通知部とを備えている。上記構成では、通信の異常の有無を示す情報を都度取得するためのマスタ装置に対するユーザ操作を要しない。また、ネットワークシステムにおいて生じた通信の異常を示す情報を、マスタ装置において集中的に管理することができる。したがって、上記構成によれば、ネットワークシステムの通信品質を監視する場合におけるユーザの負担を軽減することができる。
【0010】
上記一側面に係る情報処理装置において、前記統計情報には、正常なフレーム受信の数である正常フレーム数と、異常なフレーム受信の数である異常フレーム数とが含まれていてもよい。当該構成によれば、正常フレーム数および異常フレーム数を参照して通信の異常を判定することができる。
【0011】
上記一側面に係る情報処理装置において、前記異常判定部は、所定単位時間内の前記異常フレーム数が、所定の閾値を超えると、前記通信が異常と判定してもよい。当該構成によれば、所定単位時間内の不正フレーム数に基づいて通信の異常の有無を判定できる。
【0012】
上記一側面に係る情報処理装置において、前記統計情報には、リンクオフ回数が含まれており、前記異常判定部は、単位時間におけるリンクオフの回数に対する当該単位時間の直前の単位時間におけるリンクオフの回数の比が、第1の閾値以下である場合に、ケーブル異常により前記通信が異常であると判定してもよい。当該構成によれば、ケーブルの不良による通信の異常が検知できる。
【0013】
上記一側面に係る情報処理装置において、前記第1の閾値の設定に関するユーザ入力を取得する第1のユーザ入力取得部と、前記第1のユーザ入力取得部が取得したユーザ入力を参照して、前記第1の閾値を設定する第1の閾値設定部とを備えていてもよい。当該構成によれば、上記第1の閾値を、ユーザが所望する値に設定できる。
【0014】
上記一側面に係る情報処理装置において、前記統計情報には、ショートフレーム数とフレーム最大長オーバー数とが含まれており、前記異常判定部は、ショートフレーム数及びフレーム最大長オーバー数の増加数を確率変数値とし、ショートフレーム数及びフレーム最大長オーバー数の総数の時間平均を母数とするポアソン分布式の値が、第2の閾値以下である場合に、ノイズにより前記通信が異常であると判定してもよい。当該構成によれば、ノイズによる通信の異常が検知できる。
【0015】
上記一側面に係る情報処理装置において、前記第2の閾値の設定に関するユーザ入力を取得する第2のユーザ入力取得部と、前記第2のユーザ入力取得部が取得したユーザ入力を参照して、前記第2の閾値を設定する第2の閾値設定部とを備えていてもよい。当該構成によれば、上記第2の閾値を、ユーザが所望する値に設定できる。
【0016】
また、本発明の一側面に係る情報処理システムは、マスタ装置と、前記マスタ装置とケーブルにより接続されたスレーブ装置とを含む情報処理システムにおいて、前記スレーブ装置は、ネットワークを介した前記マスタ装置との間の通信に関する統計情報を取得する統計情報取得部と前記統計情報取得部が取得した統計情報を参照して、前記通信の異常を判定する異常判定部と、前記異常判定部による判定結果が前記通信が異常であることを示している場合に、当該判定結果を前記マスタ装置に通知する異常通知部とを備えている。上記構成では、通信の異常の有無を示す情報を都度取得するためのマスタ装置に対する操作を要しない。したがって、上記構成によれば、ネットワークシステムの通信品質を監視する場合におけるユーザの負担を軽減することができる。
【0017】
また、本発明の一側面に係る通知方法は、情報処理装置において実行される通知方法であって、ケーブルで接続された他機との間の通信に関する統計情報を取得する統計情報取得工程と、前記統計情報取得工程において取得した統計情報を参照して、前記通信の異常を判定する異常判定工程と、前記異常判定工程における判定結果が前記通信が異常であることを示している場合に、当該判定結果をマスタ装置に通知する異常通知工程とを含んでいる。当該構成によれば、ネットワークシステムの通信品質を監視する場合におけるユーザの負担を軽減することができる。
【0018】
また、本発明の一側面に係る情報処理プログラムは、上記何れかに記載の情報処理装置としてコンピュータを機能させるための情報処理プログラムであって、前記統計情報取得部、前記異常判定部、及び前記異常通知部としてコンピュータを機能させる。当該構成によれば、本発明の一態様に係る情報処理装置と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の一態様によれば、ネットワークシステムの通信品質を監視する場合におけるユーザの負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1図1は、実施形態1に係る情報処理システムの一例を模式的に例示する。
図2図2は、実施形態1に係る情報処理システムの機能ブロック図の一例を例示する。
図3図3は、実施形態1に係る情報処理装置における処理手順の一例を例示する。
図4図4は、実施形態1に係る統計情報を示す表の一例を例示する。
図5図5は、実施形態1に係る表示装置における表示画面の一例を例示する。
図6図6は、実施形態1に係る情報処理装置における処理手順の一例を例示する。
図7図7は、実施形態1に係る統計情報を示す表およびグラフの一例を例示する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一側面に係る実施の形態(以下、「本実施形態」とも表記する)を、図面に基づいて説明する。
【0022】
〔実施形態1〕
§1 適用例
本実施形態に係る情報処理装置は、例えば分散処理等を行うネットワークシステムにおいてスレーブ装置として機能する装置であって、例えば入出力装置やセンサコントローラ等の装置である。
【0023】
情報処理装置は、ケーブルで接続された他機との間の通信に関する統計情報を取得し、当該統計情報を参照して通信の異常を判定する。情報処理装置は、上記判定の結果が、通信が異常であることを示している場合に、異常の箇所および種別を示す情報を、ネットワークシステムのマスタ装置側に向かって送信する構成である。ここで、通信の異常とは、例えば、装置間を接続するケーブルの劣化や、周辺装置の影響によるノイズ等によって、フレームが正常に送受信できない状態または送受信したフレームに欠損等がある状態を意味する。また、フレームとはEtherCAT等のデータリンク層のプロトコルで使用されるデータのフォーマットである。
【0024】
上述した構成により、例えば、通信の異常が検知される場合にマスタ装置に送信される情報をユーザが確認することによって、他機との接続に用いられるケーブルを対ノイズ性等の環境性能を高めたケーブルに変更する等の好適な対応を行うことができる。また、ネットワークシステムの通信品質を監視する場合におけるユーザの負担を軽減することができる。
【0025】
§2 構成例
〔ハードウェア構成〕
<情報処理システム>
次に、図1および図2を用いて、本実施形態に係る情報処理システムのハードウェア構成の一例について説明する。図1は、本実施形態に係る情報処理システム1のハードウェア構成の一例を模式的に例示する。また、図2は、図1に示す情報処理システム1の機能ブロック図である。
【0026】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る情報処理システム1は、マスタ装置10、複数のスレーブ装置(情報処理装置)20a、20b及び20c、並びに表示装置30を備えている。また、各装置はケーブルによってディジーチェーン接続されている。
【0027】
なお、本明細書では、情報処理システム1が構成するネットワークシステムがEtherCAT(登録商標)規格のネットワークシステムである場合について説明するが、本発明はこれに限定されない。上記ネットワークシステムは、例えば、メカトロリンク(登録商標)、EtherNet/IP、CC-Link(登録商標)などの規格のネットワークシステムであってもよい。また、情報処理システム1が構成するネットワークシステムは、例えば工場内の製造装置群が構成するフィールドネットワークシステムであってもよい。また、マスタ装置は、例えばPLC(Programmable Logic Controller)等の装置であってもよい。また、以下の説明において、スレーブ装置20a、20b及び20cの何れであるかを特に区別としない場合、そのうちの任意の1台を単にスレーブ装置20と呼称することもある。なお、図1および図2に示す情報処理システム1では、マスタ装置10に3台のスレーブ装置20が接続されているが、マスタ装置10に1台若しくは2台、又は4台以上のスレーブ装置20が接続されている構成であってもよい。
【0028】
マスタ装置10は、制御部110および通信部120を備えている。制御部110は、マスタ装置10全体を統括する制御装置であって、通信制御部111としても機能する。
【0029】
また、制御部110は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等を含み、情報処理に応じて各構成要素の制御を行う。また、後述する制御部210についても同様である。
【0030】
通信制御部111は、通信部120による通信処理の制御に係る制御を行う。通信部120は、スレーブ装置20および表示装置30等との通信処理を行う。また、マスタ装置10は、図示しないメモリ(記憶部)を備えていてもよい。
【0031】
スレーブ装置20は、制御部210、通信部220および記憶部230を備えている。制御部210は、スレーブ装置20全体を統括する制御装置であって、統計情報取得部211、異常判定部212、異常通知部213および通信処理部214としても機能する。
【0032】
統計情報取得部211は、ケーブルで接続された他機との通信に関する統計情報を取得する。ここで、統計情報は、EtherNetにおいて所謂、スタスティクスと呼称される情報を含み得る。また、統計情報の詳細例については後述する。異常判定部212は、統計情報を参照して、通信の異常の有無を判定する。異常通知部213は、異常判定部212による判定結果が、通信が異常であることを示している場合に、当該判定結果をマスタ装置10側の装置に向かって通知する。通信処理部214は、通信部220による通信処理の制御に係る制御を行う。
【0033】
通信部220は、マスタ装置10および他のスレーブ装置20との通信処理を行う。記憶部230は、統計情報等の各種情報を格納する記憶装置である。表示装置30は、動画像を表示可能なディスプレイを備える装置、又はディスプレイそのものであって、例えばパソコン等である。なお、別の態様として、マスタ装置10が表示装置30を備える構成であってもよいし、表示装置30が情報処理システム1の外部に配置される構成であってもよい。また、図1及び図2に示す情報処理システム1はディジーチェーン型の構成であるが、これに限定されず、例えばリングトポロジ型の構成であってもよい。
【0034】
§3 動作例1
〔情報処理システム〕
次に、図3を用いて、情報処理システム1の第1の動作例を説明する。図3は、スレーブ装置20における処理手順の一例を例示するフローチャートである。また、スレーブ装置20は、自身が処理すべき通常の制御動作と並行して、図3のフローチャートに基づく処理を繰り返し実行する。なお、以下で説明する処理手順は一例に過ぎず、各処理は可能な限り変更されてよい。また、以下で説明する処理手順について、実施の形態に応じて、適宜、ステップの省略、置換、及び追加が可能である。
【0035】
(ステップS101)
ステップS101では、制御部210は、統計情報取得部211が前回統計情報を取得してから所定の単位時間が経過したか否かを判定する。制御部210が、所定の単位時間が経過したと判定した場合、続いてステップS102の処理が実行され、経過していないと判定した場合、本ステップS101における判定処理が継続される。なお、例えばスレーブ装置20が起動してからまだ一度も統計情報取得部211が統計情報を取得していない場合、即ち本ステップS101における判定処理が初めて行われた場合には、続いてステップS102の処理が実行されてもよい。また、統計情報は、制御部210が通信の結果を反映して記憶部230に随時格納するものであってもよい。
【0036】
(ステップS102)
次のステップS102では、統計情報取得部211は、統計情報として例えばスレーブ装置20が起動してからのリンクオフ回数の総数を取得する。ここで、リンクオフ回数とは、装置が受信するはずのフレームの受信がなされなかった回数を意味する。また、統計情報取得部211は、本ステップS102において今回取得したリンクオフ回数の総数から、前回取得したリンクオフ回数の総数を減算することによって、直近の単位時間におけるリンクオフ回数を算出する。
【0037】
図4は、正常に受信したフレーム数、及びリンクオフ回数を1時間単位で集計した表の一例を示している。例えば日時が「10:00 AM」の行は、スレーブ装置20が午前10時から1時間の間に99のフレームを正常に受信し、1フレームは正常に受信できなかったことを示している。
【0038】
(ステップS103)
次のステップS103では、異常判定部212は、単位時間におけるリンクオフ回数に対する当該単位時間の直前の単位時間におけるリンクオフ回数の比が第1の閾値以下であるか否かを判定する。直近の単位時間をT、直前の単位時間をT-1とすると、上述した比の値は以下の式で表される。
【0039】
【数1】

また、第1の閾値は、特定の値に限定されないが、例えば1であってもよい。異常判定部212は、αの値が第1の閾値以下であればケーブルに異常が生じているものと判定し、異常通知部213が続いてステップS104の処理を実行する。異常判定部212は、αの値が第1の閾値よりも大きければケーブルに異常は生じていないものと判定し、制御部210は続いてステップS105の処理を実行する。
【0040】
(ステップS104)
次のステップS104では、異常通知部213は、ケーブルの異常によって通信に異常が生じていることを示す情報を、他のスレーブ装置20を適宜介してマスタ装置10に対して送信する。また、マスタ装置10は、受信した当該情報を表示装置30に対して送信する。
【0041】
(ステップS105)
次のステップS105では、制御部210は、記憶部230に格納された情報であって、リンクオフ回数の総数と最後の単位時間におけるリンクオフ回数と示す情報を更新する。具体的には制御部210は、前回のリンクオフ回数の総数を、統計情報取得部211が最後に取得したリンクオフ回数の総数に上書きする。また、制御部210は、前回の単位時間におけるリンクオフ回数を、最後の単位時間におけるリンクオフ回数に上書きする。
【0042】
〔異常通知例〕
次に、図5を用いて、通信の異常を示す情報の表示例を説明する。図5は、表示装置30が表示する画面であって、通信についての情報を表示する画面の一例を示す図である。
【0043】
図5(A)において、「重要度」の項目は、対象となる情報が示す問題の多寡あるいは緊急性を示している。「発生源」の項目は、何れのネットワークにおいて通信の異常が生じたかを示す情報である。「発生源詳細」の項目は、通信の異常が生じたネットワークのうち、通信の異常が何れの装置に関するものであるかを示す情報である。「イベント名」の項目は、通信の異常の種別を示す情報である。「イベントコード」の項目は、通信の異常についてのイベントを一意に識別するための情報である。また、「詳細情報」の項目は、選択中のイベントに対応する情報であって、当該イベントの詳細、特記事項、又はユーザに推奨される対応等を示す情報である。
【0044】
また、図5(B)においては、マスタ装置10、スレーブ装置20、及び各装置間を接続するケーブルが図示されている。具体的には、オブジェクト40は、マスタ装置10を示している。オブジェクト41は、スレーブ装置20を示している。オブジェクト42は、各装置間を接続するケーブルを示している。また、テキスト43は、対応するスレーブ装置20を一意に識別するための情報である。オブジェクト44は、オブジェクト42の色等の表示態様の差異によって、対応するケーブルがどのような状態にあるかを示している。具体例としては、「E002」のスレーブ装置20と「E003」のスレーブ装置20とを接続するケーブルは「警告」の状態にある。
【0045】
オブジェクト44において「正常」とは、対象となるケーブルによる通信の異常は認められないことを示している。「警告」とは、対象となるケーブルにおいて通信の異常が検知された回数が所定の回数以下であることを示している。また、上記所定の回数とは例えば1回、或いは数回等であってもよい。「異常」とは、対象となるケーブルにおいて通信の異常が検知された回数が上記所定の回数よりも多いことを示している。ボタン45は、例えば図5(A)に示す画面を表示するためのボタンである。図5(B)に示す画面例によれば、何れのケーブルにおいて通信の異常が生じたかを示す情報が、視覚的に分かりやすく表示されているので、ユーザは容易に当該情報を把握することができる。
【0046】
〔作用・効果〕
以上のように、本実施形態では、ステップS103において、異常判定部212が、リンクオフ回数に関する統計情報を参照して通信の異常を判定することで、通信の異常の有無を示す情報を都度取得するためのマスタ装置10に対するユーザ操作を要しない。また、ステップS104において、異常通知部213が、ケーブル異常によって通信に異常が生じたことを示す情報をマスタ装置10側に送信することによって、通信の異常を示す情報をマスタ装置10において集中的に管理することができる。ケーブルの不良による通信の異常の箇所が自動的に検知および通知されるので、ネットワークシステムの通信品質を監視する場合におけるユーザの負担を軽減することができる。
【0047】
§4 動作例2
〔情報処理システム〕
次に図6および図7を用いて、情報処理システム1の第2の動作例を説明する。図6は、スレーブ装置20の処理手順の一例を例示するフローチャートである。また、スレーブ装置20は、自身が処理すべき通常の制御動作と並行して、図6のフローチャートに基づく処理を繰り返し実行する。
【0048】
(ステップS101)
ステップS101では、制御部210は、動作例1と同様の処理を実行する。なお、制御部210が、統計情報取得部211が前回統計情報を取得してから所定の単位時間が経過したと判定した場合、又は例えばスレーブ装置20が起動してから本ステップS101における判定処理が初めて行われた場合には、続いてステップS202の処理が実行される。
【0049】
(ステップS202)
次のステップS202では、統計情報取得部211は、統計情報として例えばスレーブ装置20が起動してからの不正なフレームの総数を取得する。ここで不正なフレームとは例えば以下の何れかに該当するフレーム、及び何れかの異常を有するフレームである。
・データリンク層に関する異常
・FCS Check Sumの不一致
・Start Frame Delimiterの誤り
・Preambleの有無
・物理層に関する異常
・マンチェスターコードの異常
・4B/5B符号の異常
・ショートフレーム
・最大長を超えるフレーム
また、統計情報取得部211は、本ステップS202において今回取得した不正なフレームの総数から、前回取得した不正なフレームの総数を減算することによって、直近の単位時間における不正なフレームの数を算出する。ここで、直近の単位時間における不正なフレームの数とは、前回取得した不正なフレームの数からの増加数であるとも言える。ただし、各単位時間において最初に生じた不正なフレームについては、信頼性が低いものとして上記増加数に計上されずともよい。
【0050】
図7(A)は、正常に受信したフレーム数、リンクオフ回数、及び不正なフレーム数を1時間単位で集計した表の一例を示している。例えば日時が「2:00 PM」の行は、スレーブ装置20が午後2時から1時間の間に100のフレームを受信し、そのうちの1フレームが不正なフレームであったことを示している。また、リンクオフと、不正フレームの受信とは、異常なフレーム受信であると見做すことができる。つまり図7(A)は、統計情報には、正常なフレーム受信の数である正常フレーム数と、異常なフレーム受信の数である異常フレーム数が含まれていることを示している。
【0051】
(ステップS203)
次のステップS203では、異常判定部212は、不正なフレームの増加数を確率変数値とし、不正なフレームの総数の時間平均を母数とするポアソン分布式の値が第2の閾値以下であるか否かを判定する。また、上記ポアソン分布式は以下の通りである。
【0052】
【数2】

ここで、母数λは不正なフレームの総数を累積稼働時間で割ることで算出される値である。即ちλは、不正なフレームの総数の時間平均である。確率変数Xに対応する値kは、不正なフレームの増加数である。eは自然対数の底である。また、第2の閾値は、特定の値に限定されないが、例えば0.25であってもよい。また、上記ポアソン分布式の値が0.25以下であるとは、25%以下の低い確率の事象が生じていることに対応する。
【0053】
異常判定部212は、ポアソン分布式の値βの値が第2の閾値以下であればノイズの影響による通信の異常が生じているものと判定し、異常通知部213が続いてステップS204の処理を実行する。異常判定部212は、βの値が第2の閾値よりも大きければノイズの影響による通信の異常は生じていないものと判定し、制御部210は、続いてステップS205の処理を実行する。
【0054】
(ステップS204)
次のステップS204では、異常通知部213は、ノイズの影響によって通信に異常が生じていることを示す情報を、他のスレーブ装置20を適宜介してマスタ装置10に対して送信する。また、マスタ装置10は、受信した当該情報を表示装置30に対して送信する。
【0055】
(ステップS205)
次のステップS205では、制御部210は、記憶部230に格納された情報であって、累積稼働時間を示す情報と不正フレームの総数を示す情報とを更新する。後者に関して、具体的には、制御部210は、前回の不正フレームの総数を、統計情報取得部211が最後に取得した不正フレームの総数に上書きする。
【0056】
〔作用・効果〕
以上のように、本実施形態では、ステップS203において、異常判定部212が、不正なフレームに関する統計情報を参照して通信の異常を判定することで、通信の異常の有無を示す情報を都度取得するためのマスタ装置10に対するユーザ操作を要しない。また、ステップS204において、異常通知部213が、ノイズの影響によって通信に異常が生じたことを示す情報をマスタ装置10側に送信することによって、通信の異常を示す情報をマスタ装置10において集中的に管理することができる。ノイズの影響による通信の異常の箇所が自動的に検知および通知されるので、ネットワークシステムの通信品質を監視する場合におけるユーザの負担を軽減することができる。
【0057】
また、図7(B)は、図7(A)の表に対応するグラフである。上記グラフ中、ライン50はリンクオフの総数に対応し、ライン51は不正なフレームの総数に対応する。図7(A)、及び図7(B)の箇所53は、午前11時から1時間の間に6回ものリンクオフが生じたことを示している。ケーブルの異常の可能性もあるが、突発的なノイズの影響により一時的に多くのリンクオフが生じたとも考えられる。図6のフローチャートに基づく工程によれば、リンクオフがノイズの影響に起因して生じたことをユーザが把握することにも寄与する。
【0058】
〔実施形態1の変形例〕
動作例2に関して、統計情報には、ステップS202において上述した種類全ての不正なフレームの総数が含まれていることは必須ではなく、少なくとも何れかの種類の不正なフレームの総数が含まれていればよい。例えば統計情報には、ショートフレーム数とフレーム最大長オーバー数、即ち最大長を超えるフレームの数とが含まれており、異常判定部212は、ショートフレーム数及びフレーム最大長オーバー数の増加数を確率変数値とし、ショートフレーム数及びフレーム最大長オーバー数の総数の時間平均を母数とするポアソン分布式の値が、第2の閾値以下である場合に、ノイズにより前記通信が異常であると判定する構成でもよい。
【0059】
また、ステップS203の判定処理に関して、異常判定部212は、単位時間内の異常フレーム数が所定の閾値を超えると、通信が異常と判定してもよい。これにより単位時間内の異常フレーム数に基づいて通信の異常の有無を判定できる。
【0060】
また、上記の動作例1においては、連続する単位時間における通信の異常の発生回数(リンクオフ回数)の比に基づいてケーブルの異常について判定を行う例について、動作例2においては、通信の異常の増加数(不正フレームの増加数)を確率変数値とするポアソン分布の値に基づいてノイズの影響について判定を行う例について説明した。上述の記載は、ケーブル等の異常の有無を、必ずしも単位時間における通信の異常の発生回数やその比の値によって判定しなければならないことを意味しない。また、ノイズの影響による異常の有無を、必ずしもポアソン分布の値に基づいて判定しなければならないことを意味しない。
【0061】
例えばリンクオフ回数を用いたポアソン分布の値に基づいてケーブル等の異常の有無を判定する構成でもよいし、単位時間における不正フレームの数または比の値に基づいてノイズの影響についての判定を行う構成であってもよい。
【0062】
また、統計情報はスレーブ装置20において蓄積される構成に限定されず、マスタ装置10がスレーブ装置20から統計情報を取得して蓄積する構成でもよい。当該構成においては、マスタ装置10の制御部110が統計情報取得部211および異常判定部212を備え、同様の処理を行うものであってもよい。
【0063】
〔実施形態2〕
本発明の第2の実施形態について説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、既に説明した事項についての重複する説明を繰り返さない。本実施形態においては、ユーザが所望の第1の閾値を設定する第1の構成についてについて説明する。そののちに、ユーザが所望の第2の閾値を設定する第2の構成について説明する。
【0064】
第1の構成に係るスレーブ装置(情報処理装置)20は、図2に示す構成から、制御部210が第1のユーザ入力取得部と、第1閾値設定部とを更に備える構成である。第1のユーザ入力取得部は、第1の閾値の設定に関するユーザ入力を取得する。第1閾値設定部は、第1のユーザ入力取得部が取得したユーザ入力を参照して、第1の閾値を設定する。
【0065】
第1の構成に係るスレーブ装置20は、以下の工程で第1の閾値の設定を行う。
【0066】
(1)第1のユーザ入力取得部は、ユーザによって入力された、設定すべき第1の閾値を示す情報を取得する。なお、当該情報の取得元は、スレーブ装置20自身であってもよいし、マスタ装置10であってもよい。換言すると、当該情報の入力は、ユーザが対象となるスレーブ装置20に対して行う構成でもよいし、マスタ装置10に対して行う構成でもよい。後者の場合、第1のユーザ入力取得部は、通信部220を介して当該情報を取得する。
【0067】
なお、ユーザから入力される情報は、第1の閾値の絶対値そのものであることに限定されず、現時点の第1の閾値からの倍率、または自動的に算出された第1の閾値からの倍率を設定する係数であってもよい。上記の場合、例えば入力された係数が1未満である場合、スレーブ装置20において通信の異常の検出は行われにくくなる。特に係数が0である場合には、通信の異常の検出は実質的に行われない。また、入力された係数が1よりも大きい場合、スレーブ装置20において通信の異常の検出は行われやすくなる。
【0068】
(2)第1閾値設定部は、記憶部230に格納された第1の閾値を示す情報を、(1)において第1のユーザ入力取得部が取得した情報に更新する。
【0069】
第1の構成によれば、第1の閾値を、ユーザが所望する値に設定できる。なお、各スレーブ装置20に設定される第1の閾値は、互いに異なる値であってもよく、第2の閾値についても同様である。
【0070】
続いて、ユーザが所望の第2の閾値を設定する第2の構成について説明する。第2の構成に係るスレーブ装置20は、図2に示す構成から、制御部210が第2のユーザ入力取得部と、第2閾値設定部とを更に備える。第2のユーザ入力取得部は、第2の閾値の設定に関するユーザ入力を取得する。第2閾値設定部は、第2のユーザ入力取得部が取得したユーザ入力を参照して、第2の閾値を設定する。
【0071】
また、第2の構成に係るスレーブ装置20が第2の閾値の設定を行う手順は、第1の構成に係るスレーブ装置20が第1の閾値の設定を行う手順において、「第1の閾値」を「第2の閾値」に、「第1のユーザ入力取得部」を「第2のユーザ入力取得部」に、「第1閾値設定部」を「第2閾値設定部」に読み替えることにより同様に説明される。第2の構成によれば、第2の閾値を、ユーザが所望する値に設定できる。
【0072】
また、ユーザが所望の第1の閾値を設定可能であると同時に、第2の閾値を設定可能な構成でもよい。当該構成においては、制御部210は、図2に示す構成から、第1のユーザ入力取得部、第1閾値設定部、第2ユーザ入力取得部、及び第2閾値設定部を更に備える。
【0073】
〔ソフトウェアによる実現例〕
スレーブ装置20の制御ブロック(特に統計情報取得部211、異常判定部212、異常通知部213および通信処理部214)およびマスタ装置10の制御ブロック(特に通信制御部111)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0074】
後者の場合、スレーブ装置20またはマスタ装置10は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば1つ以上のプロセッサを備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0075】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1 情報処理システム
10 マスタ装置
20、20a、20b、20c スレーブ装置(情報処理装置)
30 表示装置
110、210 制御部
111 通信制御部
120、220 通信部
211 統計情報取得部
212 異常判定部
213 異常通知部
214 通信処理部
230 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7