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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】固体撮像装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20240123BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20240123BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240123BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
H01L27/146 D
H04N25/70
G02B5/20 101
G02B3/00 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019098757
(22)【出願日】2019-05-27
(65)【公開番号】P2020194852
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2022-04-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【弁理士】
【氏名又は名称】宮坂 徹
(72)【発明者】
【氏名】原 昂大
【審査官】小山 満
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-019424(JP,A)
【文献】特開2007-281016(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0040345(US,A1)
【文献】国際公開第2007/116887(WO,A1)
【文献】欧州特許出願公開第02006913(EP,A2)
【文献】特開2009-244791(JP,A)
【文献】特開2015-118353(JP,A)
【文献】特開2006-186203(JP,A)
【文献】特開2006-140483(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 27/146
H04N 25/70
G02B 5/20
G02B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光電変換素子が2次元的に配置された半導体基板と、上記各光電変換素子と対向可能な位置で上記半導体基板上に形成された複数のカラーフィルタ平坦部と、上記各カラーフィルタ平坦部の上に形成され、上記カラーフィルタ平坦部とは反対側の表面がレンズ形状の複数のカラーフィルタレンズ部と、を備えて複数の画素が2次元的に配置された固体撮像装置であって、
上記カラーフィルタ平坦部の厚さを平坦部高さとし、上記カラーフィルタレンズ部における、上記カラーフィルタ平坦部側の面から上記レンズ形状の頂部までの厚さ方向の距離をレンズ部高さとしたとき、
上記平坦部高さと上記レンズ部高さの和が500nm以上800nm以下であって、上記平坦部高さと上記レンズ部高さの和に対する上記レンズ部高さの比率が、0.6以上1未満であることを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
上記平坦部高さと上記レンズ部高さの和が500nm以上700nm以下であって、上記平坦部高さと上記レンズ部高さの和に対する上記レンズ部高さの比率が、0.6以上0.8以下であることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
上記各画素の幅が0.6μm以上2.2μm未満である、請求項に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
上記各画素の幅が0.6μm以上0.9μm以下である、請求項1に記載の固体撮像装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像装置に関し、特に固体撮像装置上部に形成されるカラーフィルタに特徴を有する固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラや携帯電話カメラなどでは、被写体の撮影において固体撮像装置を用いるものが主流となっている。主な固体撮像装置として、CCD(Charge Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサなどが存在する。特に、CMOSイメージセンサは、微細化技術を取り入れることで目覚ましい発展を遂げている。
【0003】
一般に、固体撮像装置は、撮影対象物からの光学像を受け、入射した光を電気信号に変換する複数の光電変換素子が、例えば格子状に、2次元的に配列されて、各光電変換素子が画素毎に配置される。その光電変換素子の数(画素数)が多いほど撮影された画像は精細になる。
各画素には、入射する光の経路に特定の波長の光を透過させるカラーフィルタを設けることで、対象物の色情報を得ることを可能とする。一般に、1画素毎に対応して特定の色のカラーフィルタを配置することで、カラーフィルタを規則的に多数配列し、色分解した画像情報を得ることができる構成となる。カラーフィルタの色としては、赤(R)、緑(G)、青(B)の3色からなる3原色系、あるいは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)からなる補色系が一般的であり、特に3原色系が多く使われている。
【0004】
また、画素へ入射する光を効率的に光電変換素子へと集光させるために、カラーフィルタ上に、画素ごとにマイクロレンズを配置する構成が開示されている(特許文献1参照)。
また、マイクロレンズとカラーフィルタが一体化した構成が開示されている(特許文献2参照)。開示されている構成は、隣接する画素のカラーフィルタ同士が側面において隙間なく接することにより、混色を緩和する効果があるとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開昭59-122193号公報
【文献】特許第4710693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献2に記載の構成は、カラーフィルタをレンズ形状としていることから、画素の対角方向の端部におけるカラーフィルタが薄膜化することに起因する、S/N特性や画質特性の劣化が生じる。
本発明は、マイクロレンズとカラーフィルタが一体化した構造において、画素内の位置によってカラーフィルタの厚みが異なることに起因するS/N特性の劣化を改善することが可能な固体撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
発明者の鋭意検討の結果から、微細な画素を有する固体撮像装置において、マイクロレンズとカラーフィルタが一体化した構造であって、カラーフィルタの光電変換素子と反対側の面がレンズ形状である場合に、カラーフィルタの高さに対するレンズ形状部の高さの比率を調整することで、顕著な画素のS/N特性の顕著な向上を実現できるということを見出した。
【0008】
課題を解決するために、本発明の一態様は、複数の光電変換素子が2次元的に配置された半導体基板と、上記各光電変換素子と対向可能な位置で上記半導体基板上に形成された複数のカラーフィルタ平坦部と、上記各カラーフィルタ平坦部の上に形成され、上記カラーフィルタ平坦部とは反対側の表面がレンズ形状の複数のカラーフィルタレンズ部と、を備えて複数の画素が2次元的に配置された固体撮像装置であって、上記カラーフィルタ平坦部の厚さを平坦部高さとし、上記カラーフィルタレンズ部における、上記カラーフィルタ平坦部側の面から上記レンズ形状の頂部までの厚さ方向の距離をレンズ部高さとしたとき、上記平坦部高さと上記レンズ部高さの和に対する上記レンズ部高さの比率が、0.5以上1未満であることを要旨とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の態様によれば、マイクロレンズとカラーフィルタが一体化した構造を採用しても、撮影した画像のS/N特性を向上した固体撮像装置を提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施形態に基づいた固体撮像装置の部分概略を示す上面図である。
図2図1の点線I-IIに沿った固体撮像装置の断面図である。
図3図1の点線III-IVに沿った固体撮像装置の断面図である。
図4】本発明の実施形態の固体撮像装置において、カラーフィルタ下地部の有無による入射光の伝搬経路の差を示した模式断面図である。
図5】本発明の実施形態に基づいた固体撮像装置において、実施例における構造を概略的に示す図である。
図6】高さAとレンズ部高さBの和を500nmとした場合における、比率Rに対するSNR10の特性を示す図である。
図7】高さAとレンズ部高さBの和を600nmとした場合における、比率Rに対するSNR10の特性を示す図である。
図8】高さAとレンズ部高さBの和を700nmとした場合における、比率Rに対するSNR10の特性を示す図である。
図9】高さAとレンズ部高さBの和を800nmとした場合における、比率Rに対するSNR10の特性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態における固体撮像装置について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態の固体撮像装置では、図1に示すように、緑色画素11Gの数と赤色画素11Rの数と青色画素11Bの数の比率が2:1:1となるベイヤー配列にしたがって、4画素を1単位とした配列が周期的に並んでいる。赤色画素11Rは、赤色波長光の強度を検出する画素であり、緑色画素11Gは、緑色波長光の強度を検出する画素であり、青色画素11Bは、青色波長光の強度を検出する画素である。
平面視において、各カラーフィルタ12の領域が、各画素の領域に一致する。
【0012】
図2は、図1の点線I-IIに沿った固体撮像装置10の断面図である。
図2に示すように、固体撮像装置10において、半導体基板16の内部には、入射した光を電荷へと変換する作用を持つ複数の光電変換素子17が設けられている。光電変換素子17は、図1に示す画素11毎に設けられ、複数の光電変換素子が2次元的に配置される。
半導体基板16は、例えば、シリコンで構成される。光電変換素子17は、例えば、リンなどの元素を半導体基板16に添加することで形成される。
【0013】
平面視における各画素の領域は、平面視における光電変換素子17の幾何中心と一致する重心を有し、かつ隣接する光電変換素子17同士を結ぶ方向に辺を有する正方形により定義する。また、各画素の一辺の長さを画素の幅と定義する。
半導体基板16の上には、平坦化層15が形成される。平坦化層15は、例えば、シリコン酸化膜などから形成される。また、入射光の反射を低減するために、平坦化層15と半導体基板との界面には、反射防止膜を、金属酸化物で形成してもよい。
【0014】
平坦化層15の上にカラーフィルタ12が形成される。カラーフィルタ12は、カラーフィルタ平坦部13とカラーフィルタレンズ部14から構成され、この順に、平坦化層15の上に形成される。カラーフィルタレンズ部14は、カラーフィルタ平坦部13とは反対側の表面がレンズ形状となっている。
図2に示すように、カラーフィルタ平坦部13の厚さ(膜厚)である平坦部高さAは、例えば、平坦化層15と接する面から、カラーフィルタレンズ部14の最底部と接する面までの高さとして定義する。カラーフィルタレンズ部14のレンズ部高さBは、例えば、厚さ方向において、カラーフィルタ平坦部13と接する最底部の面からカラーフィルタレンズ部14のレンズ形状の頂部までの高さとして定義する。
【0015】
図3に示すように、カラーフィルタレンズ部14の側面高さCは、カラーフィルタ平坦部13と接する面から、カラーフィルタ平坦部13と接する面と反対側の表面の最底部までの高さとして定義する。例えば、側面高さCは、カラーフィルタレンズ部14における、隣り合うカラーフィルタレンズ部14との境界位置での、カラーフィルタ平坦部13からの高さの最低値である。カラーフィルタレンズ部14の側面高さCは、カラーフィルタレンズ部14のレンズ部高さBよりも低くなる。
カラーフィルタ12は、例えば、緑色、青色、赤色に対応する波長を選択的に透過する顔料や染料を含んだ感光性を有する有機材料により構成される。カラーフィルタレンズ部14は、レンズ母型をマスクとして用いたドライエッチングによりレンズ母型の形状をカラーフィルタ12に形状転写することにより形成される。また、入射光の反射を低減するために、カラーフィルタレンズ部14の上部には、反射防止膜を、例えば、シリコン酸化膜などで形成してもよい。
【0016】
次に、本発明の実施形態における構造により画質特性の向上が実現できる理由を述べる。
図4は、固体撮像装置10に対して画素に垂直な方向から光が入射した場合における、画素の対角方向の端部への入射光Lの挙動を示したものである。
図4(a)は、カラーフィルタ平坦部13を有する構成であり、図4(b)は、カラーフィルタ平坦部13を有さず、平坦化層15の上部にカラーフィルタレンズ部14が形成された場合の構成である。
【0017】
図4(b)に示すカラーフィルタ平坦部13を有さない場合において、画素の対角方向の端部への入射光Lがカラーフィルタ12内を通過する光学的距離が、図4(a)に示すカラーフィルタ平坦部13を有する場合における入射光Lの光学的距離に対して短くなる。このため、カラーフィルタ平坦部13を有さない場合に、画素が検出対象とする波長域以外の波長の光が入射した際に、画素の対角方向端部へ入射した光がカラーフィルタ内部を通過する光学的距離が短いために光吸収量が低下し、検出対象の波長域以外の入射光の検出強度が増大することによる混色が増大する。このため、画素のS/N比が劣化し、結果的に画質特性の劣化を引き起こす。
【0018】
一方、カラーフィルタレンズ部14のレンズ部高さBとカラーフィルタ平坦部13の平坦部高さAとの和に対する、カラーフィルタレンズ部14のレンズ部高さBの比率が、ある値よりも低くなると、カラーフィルタレンズ部による十分な集光がなされないために受光感度が低下することで画素のS/N比が劣化し、結果的に画質特性の劣化を引き起こす。
上記理由により、カラーフィルタ平坦部13を有する構成とすることにより、画質特性を向上させることが可能となる。
【0019】
本実施形態では、平坦部高さAとレンズ部高さBの和に対する、レンズ部高さBの比率(B/(A+B))が0.5以上1未満となっている。
上記比率が、0.5よりも低い場合には、カラーフィルタレンズ部による十分な集光がなされないために受光感度が低下することで画素のS/N比が劣化し、結果的に画質特性の劣化を引き起こす(後述の実施例参照)。 平坦部高さAとレンズ部高さBの和は500nm以上800nm以下が好ましい。
【0020】
その理由は、まず平坦部高さAとレンズ部高さBの和が上記範囲より低い場合、各カラーフィルタの選択波長域外の波長を有する入射光の透過率が増加することで、各カラーフィルタの波長選択性が悪化し、画素のS/N比が劣化するためである。また各カラーフィルタは選択波長域の波長の光を僅かに吸収する性質を持つため、平坦部高さAとレンズ部高さBの和が上記範囲より高い場合、各カラーフィルタの選択波長域の波長を有する入射光に対する各カラーフィルタの透過率の低下を引き起こし、各画素の光電変換素子へと到達する光量が減少することで、画素の受光感度が低下し、画素のS/N比が劣化するためである。
【0021】
また、各画素の水平方向における幅が0.6μm以上3.0μm以下であることが好ましい。
その理由は、各画素の幅が0.6μmよりも狭くなると、ある画素へ入射した光に占める隣接画素へと向かう入射光の割合が増加し、画素のS/N比の劣化が顕著になるためである。また、各画素の幅が3.0μmよりも広くなると、カラーフィルタレンズ部による十分な集光がなされないために受光感度が低下することで、画素のS/N比の劣化が顕著になるためである。
【実施例
【0022】
次に、本発明の固体撮像装置の実施例を、シミュレーション結果を用いて説明する。
シミュレーションは、電磁場解析手法の一種である時間領域差分法(FDTD法)を用いて実施した。以下に、シミュレーションの条件を示す。
シミュレーションに使用した固体撮像装置10の構造を図5に示す。
上面図である図5(a)において、赤色画素11R、緑色画素11G、青色画素11B、それぞれの幅はX軸方向とY軸方向ともに0.9μmとした。赤色カラーフィルタ平坦部13R及び赤色カラーフィルタレンズ部14Rは、いずれも赤色波長光を透過するカラーフィルタ12であって、X軸方向の長さ及びY軸方向の長さを0.9μmとした。緑色カラーフィルタ平坦部13Gと緑色カラーフィルタレンズ部14Gは、いずれも緑色波長光を透過するカラーフィルタ12であって、X軸方向の長さ及びY軸方向の長さを0.9μmとした。カラーフィルタ平坦部13B及びカラーフィルタレンズ部14Bは、いずれも青色波長光を透過するカラーフィルタ12であって、X軸方向の長さ及びY軸方向の長さを0.9μmとした。平坦化層15は、Z軸方向の高さを0.1μm、屈折率を1.6、消衰係数を0とした。半導体基板16は、X方向の長さ及びY方向の長さを1.8μm、Z軸方向の高さを3μmとした。入射光は平行光とし、電場の振動方向はX軸方向とした。
【0023】
上記カラーフィルタ13Rの屈折率及び消衰係数は、色材としてC.I.ピグメントレッド117、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントイエロー、を用い、さらにシクロヘキサノン、PGMEAなどの有機溶剤、ポリマーワニス、モノマー、開始剤、からなる構成としたフォトレジストを、シリコン基板上に0.6μmの厚さで塗布し、さらに露光及び加熱処理を施した後、分光エリプソメーターを用いて測定した値を用いた。
【0024】
上記カラーフィルタ13Gの屈折率及び消衰係数は、色材としてC.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントグリーン36、C.I.ピグメントブルー15:6、を用い、さらにシクロヘキサノン、PGMEAなどの有機溶剤、ポリマーワニス、モノマー、開始剤、からなる構成としたフォトレジストを、シリコン基板上に0.6μmの厚さで塗布し、さらに露光及び加熱処理を施した後、分光エリプソメーターを用いて測定した値を用いた。
上記カラーフィルタ13Bの屈折率及び消衰係数は、色材としてC.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントバイオレット23、を用い、さらにシクロヘキサノン、PGMEAなどの有機溶剤、ポリマーワニス、モノマー、開始剤、からなる構成としたフォトレジストを、シリコン基板上に0.6μmの厚さで塗布し、さらに露光及び加熱処理を施した後、分光エリプソメーターを用いて測定した値を用いた。
【0025】
カラーフィルタ平坦部13Rとカラーフィルタ平坦部13Gとカラーフィルタ平坦部13Bは、いずれも同一の高さAとした。カラーフィルタレンズ部14Rとカラーフィルタレンズ部14Gとカラーフィルタレンズ部14Bは、いずれも同一のレンズ部高さBとした。
入射光は平行光とし、電場の振動方向はX軸方向とした。入射光の波長は、単一波長とし、1水準あたり400nmから700nmまで10nm刻みで31条件を実施した。
【0026】
上記の条件でシミュレーションを実施し、各画素における半導体基板16の表面から深さ3μmまでにおいて吸収される光強度を計算した。受光感度として、1画素に入射する光パワーの強度に対する、各画素における半導体基板16の表面から深さ3μmまでにおいて吸収される光パワーの強度の割合として算出した。
画質の性能指標として、SNR10を用いた。これは、携帯電話カメラ向けの固体撮像装置における色補正処理等を行った後の画質の指標として用いられるものである。
本実施例では、F値を1.8とした場合において、各画素の受光感度を量子効率とみなし、各水準のシミュレーション結果から計算した分光感度特性からSNR10を算出した。SNR10値は照度(lux)の単位を有し、低い数値であることが好ましい。
【0027】
図6に、高さAとレンズ部高さBの和を500nmとした場合における、比率Rに対するSNR10の特性を示す。
図7に、高さAとレンズ部高さBの和を600nmとした場合における、比率Rに対するSNR10の特性を示す。
図8に、高さAとレンズ部高さBの和を700nmとした場合における、比率Rに対するSNR10の特性を示す。
図9に、高さAとレンズ部高さBの和を800nmとした場合における、比率Rに対するSNR10の特性を示す。
【0028】
図7図9の結果から分かるように、カラーフィルタ平坦部13の高さAとカラーフィルタレンズ部14のレンズ部高さBとの和に対するカラーフィルタレンズ部14Bの比率Rが、0.5以上1未満の範囲では、カラーフィルタ平坦部13を有さない構成と同一の構成となる比率Rが1の場合に対して、SNR10の値が低いことが分かる。
以上の実施例の結果から、カラーフィルタ平坦部13の高さAとカラーフィルタレンズ部14のレンズ部高さBとの和に対するカラーフィルタレンズ部14Bの比率Rが、0.5以上1未満の範囲にある構成とすることで、カラーフィルタ平坦部13を有さない構成に比べて画質特性の向上に効果があることを確認した。
【符号の説明】
【0029】
10 固体撮像装置
11 画素
11B 青色画素
11G 緑色画素
11R 赤色画素
12 カラーフィルタ
13 カラーフィルタ平坦部
13B 青色カラーフィルタ平坦部
13G 緑色カラーフィルタ平坦部
13R 赤色カラーフィルタ平坦部
14 カラーフィルタレンズ部
14B 青色カラーフィルタレンズ部
14G 緑色カラーフィルタレンズ部
14R 赤色カラーフィルタレンズ部
15 平坦化層
16 半導体基板
17 光電変換素子
A カラーフィルタ平坦部の高さ
B カラーフィルタレンズ部の高さ
C カラーフィルタレンズ部の側面高さ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9