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特許7423930スロットレス回転電機、及びスロットレス回転電機の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】スロットレス回転電機、及びスロットレス回転電機の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/34 20060101AFI20240123BHJP
   H02K 15/10 20060101ALI20240123BHJP
   H02K 15/04 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
H02K3/34 D
H02K15/10
H02K15/04 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019143042
(22)【出願日】2019-08-02
(65)【公開番号】P2021027665
(43)【公開日】2021-02-22
【審査請求日】2022-04-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】後藤 謙太
(72)【発明者】
【氏名】秋本 明人
(72)【発明者】
【氏名】赤井 結衣
【審査官】稲葉 礼子
(56)【参考文献】
【文献】実公昭52-042321(JP,Y1)
【文献】特開平04-058747(JP,A)
【文献】特開2010-239739(JP,A)
【文献】特開昭62-123951(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/34
H02K 15/10
H02K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材(15)と、前記固定部材の外周面に沿って軸方向に延びる軸方向コイル部(21,21u,21v,21w,83,83a,83b)と前記固定部材の軸方向端面上に配置され1対の前記軸方向コイル部同士を周方向に連結するコイルエンド部(22,22u,22v,22w,84,84a,84b)とを有するコイル(16,16u,16v,16w,81,81a,81b)と、を備え、前記コイルエンド部にて連結された前記軸方向コイル部同士の周方向の間には他の相の前記軸方向コイル部が配置され、異なる相の前記コイルエンド部が軸方向に重なるように配置されたスロットレス回転電機(11)であって、
前記コイルは、U相のコイルとV相のコイルとW相のコイルとを備え、
異なる相の前記コイルエンド部同士の間には、絶縁部材(74v,74w)が介在されており、
異なる相の前記コイルエンド部が軸方向に重なる部位は周方向に複数設けられ、前記絶縁部材(74v,74w)は、周方向の複数の範囲で異なる相の前記コイルエンド部同士の間に介在されるべく周方向に複数設けられており、
異なる相の前記コイルエンド部は、軸方向から見て、それぞれの前記コイルエンド部の径方向に突出する長さが異なり、異なる相の前記コイルエンド部は、V相前記コイルエンド部と、該V相のコイルエンド部と軸方向の前記固定部材側に重なり該V相のコイルエンド部よりも径方向に突出しているU相の前記コイルエンド部と、前記V相のコイルエンド部と軸方向の前記固定部材と反対側に重なり該V相のコイルエンド部よりも径方向に突出していないW相の前記コイルエンド部とを含み、
前記V相のコイルエンド部と前記U相のコイルエンド部との間に介在される前記絶縁部材(74v)は、前記V相のコイルエンド部と前記W相のコイルエンド部との間に介在される前記絶縁部材(74w)よりも径方向の長さが長く形成されているスロットレス回転電機。
【請求項2】
前記コイルエンド部(22,22u,22v,22w)は、前記軸方向コイル部の端部から径方向に屈曲されつつ軸方向に重なるように配置された請求項1に記載のスロットレス回転電機。
【請求項3】
前記固定部材には前記U相のコイルエンド部(2u)が軸方向に載置されており
前記U相のコイルエンド部と前記固定部材との間には、固定部材間絶縁部材(33)が介在された請求項2に記載のスロットレス回転電機。
【請求項4】
前記固定部材には前記U相のコイルエンド部(2u)が軸方向に載置されており
U相の前記軸方向コイル部と前記U相のコイルエンド部との間の屈曲部(71)と、前記固定部材との間には、屈曲部間絶縁部材(72)が介在された請求項2又は請求項3に記載のスロットレス回転電機。
【請求項5】
前記絶縁部材は、前記コイルエンド部に対して固着された請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のスロットレス回転電機。
【請求項6】
前記軸方向コイル部(21,21u,21v,21w)と該軸方向コイル部の端部から径方向に屈曲される前記コイルエンド部(22,22u,22v,22w)とを有する前記コイル(16,16u,16v,16w)と、前記コイルエンド部が軸方向に載置される前記固定部材(15)とを備えた請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のスロットレス回転電機(11)の製造方法であって、
U相のコイルエンド部を前記固定部材の軸方向に載置する載置工程と、該載置工程の後、前記U相のコイルエンド部の軸方向に絶縁部材(7v)を配置する絶縁部材配置工程と、前記絶縁部材配置工程の後、前記載置工程で載置した前記U相のコイルエンド部とで前記絶縁部材を挟むように前記V相のコイルエンド部を配置する挟み工程と、前記V相のコイルエンド部の軸方向に絶縁部材(74w)を配置する絶縁部材配置工程と、該絶縁部材配置工程の後、前記V相のコイルエンド部とで絶縁部材を挟むように前記W相のコイルエンド部を配置する挟み工程とを備えたスロットレス回転電機の製造方法。
【請求項7】
前記軸方向コイル部(21,21u,21v,21w)と該軸方向コイル部の端部から径方向に屈曲される前記コイルエンド部(22,22u,22v,22w)とを有する前記コイル(16,16u,16v,16w)と、前記コイルエンド部が軸方向に載置される前記固定部材(15)とを備えた請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のスロットレス回転電機(11)の製造方法であって、
U相のコイルエンド部を前記固定部材の軸方向に載置する載置工程と、該載置工程の後、前記U相のコイルエンド部の軸方向に前記V相のコイルエンド部を配置するとともに前記V相のコイルエンド部の軸方向に前記W相のコイルエンド部を配置する重ね配置工程と、前記重ね配置工程の後、前記U相のコイルエンド部と前記V相のコイルエンド部の間および前記V相のコイルエンド部と前記W相のコイルエンド部の間それぞれ絶縁部材(74v,74w)を挿入する挿入工程とを備えたスロットレス回転電機の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スロットレス回転電機、及びスロットレス回転電機の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スロットレス回転電機としては、例えば、軸方向に延びる軸方向コイル部と1対の軸方向コイル部同士を周方向に連結するコイルエンド部とを有するコイルを備え、コイルエンド部にて連結された軸方向コイル部同士の周方向の間にティースが配置されずに他の相の軸方向コイル部が配置されたものがある(例えば、特許文献1参照)。このスロットレス回転電機では、コイルエンド部は、軸方向コイル部の軸方向端部から径方向に屈曲されつつ他の相のコイルエンド部と軸方向に重なるように配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公平7-50975号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のようなスロットレス回転電機では、異なる相のコイルエンド部が重なるように配置されるため、該コイルエンド部で電位差が大きくなることのある異なる相のコイル同士が短絡してしまう虞がある。
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その目的は、異なる相のコイル間の絶縁性を確保することができるスロットレス回転電機、及びスロットレス回転電機の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するスロットレス回転電機(11)は、軸方向に延びる軸方向コイル部(21,21u,21v,21w,83,83a,83b)と1対の前記軸方向コイル部同士を周方向に連結するコイルエンド部(22,22u,22v,22w,84,84a,84b)とを有するコイル(16,16u,16v,16w,81,81a,81b)を備え、前記コイルエンド部にて連結された前記軸方向コイル部同士の周方向の間には他の相の前記軸方向コイル部が配置され、異なる相の前記コイルエンド部が重なるように配置されたスロットレス回転電機(11)であって、異なる相の前記コイルエンド部同士の間には、絶縁部材(32,74v,74w,85)が介在される。
【0007】
同構成によれば、異なる相のコイルエンド部同士の間には、絶縁部材が介在されるため、電位差が大きくなることのある異なる相のコイル間の絶縁性を確保することができる。
上記課題を解決するスロットレス回転電機(11)の製造方法は、軸方向に延びる軸方向コイル部(21,21u,21v,21w)と該軸方向コイル部の端部から径方向に屈曲されつつ1対の前記軸方向コイル部同士を周方向に連結するコイルエンド部(22,22u,22v,22w)とを有するコイル(16,16u,16v,16w)と、前記コイルエンド部が軸方向に載置される固定部材(15)とを備え、前記コイルエンド部にて連結された前記軸方向コイル部同士の周方向の間には他の相の前記軸方向コイル部が配置され、異なる相の前記コイルエンド部が軸方向に重なるように配置されたスロットレス回転電機(11)の製造方法であって、1つの前記コイルエンド部を前記固定部材の軸方向に載置する載置工程と、該載置工程の後、前記固定部材に載置された前記コイルエンド部の軸方向に絶縁部材(32,74v,74w)を配置する絶縁部材配置工程と、前記絶縁部材配置工程の後、前記載置工程で載置した前記コイルエンド部とで前記絶縁部材を挟むように異なる相の前記コイルエンド部を配置する挟み工程とを備える。
【0008】
同方法によれば、異なる相のコイルエンド部同士の間には、絶縁部材が介在されるため、異なる相のコイル間の絶縁性を確保することができる。そして、固定部材に対して各部材が軸方向に重ねられる順に組み付けることで、異なる相のコイルエンド部同士の間に絶縁部材を良好に介在させることができる。
【0009】
上記課題を解決するスロットレス回転電機(11)の製造方法は、軸方向に延びる軸方向コイル部(21,21u,21v,21w)と該軸方向コイル部の端部から径方向に屈曲されつつ1対の前記軸方向コイル部同士を周方向に連結するコイルエンド部(22,22u,22v,22w)とを有するコイル(16,16u,16v,16w)と、前記コイルエンド部が軸方向に載置される固定部材(15)とを備え、前記コイルエンド部にて連結された前記軸方向コイル部同士の周方向の間には他の相の前記軸方向コイル部が配置され、異なる相の前記コイルエンド部が軸方向に重なるように配置されたスロットレス回転電機(11)の製造方法であって、1つの前記コイルエンド部を前記固定部材の軸方向に載置する載置工程と、該載置工程の後、前記固定部材に載置された前記コイルエンド部の軸方向に異なる相の前記コイルエンド部を配置する重ね配置工程と、前記重ね配置工程の後、異なる相の前記コイルエンド部同士の間に絶縁部材(32,74v,74w)を挿入する挿入工程とを備える。
【0010】
同方法によれば、異なる相のコイルエンド部同士の間には、絶縁部材が介在されるため、異なる相のコイル間の絶縁性を確保することができる。そして、固定部材に対して異なる相のコイルエンド部を重ねて配置した後に絶縁部材を挿入するため、例えば、固定部材に対して各部材が軸方向に重ねられる順に組み付ける場合に比べて、コイルエンド部を組み付ける工程を連続して行うことができ、製造工程を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態におけるスロットレス回転電機の一部断面図。
図2】一実施形態におけるステータの平面図。
図3】一実施形態におけるステータの斜視図。
図4】一実施形態におけるステータの分解斜視図。
図5】一実施形態におけるコイルの製造過程の第1中間部材の斜視図。
図6】一実施形態におけるコイルの製造過程の第2中間部材の斜視図。
図7】一実施形態におけるステータの一部拡大断面図。
図8】一実施形態におけるステータの一部拡大斜視図。
図9】(a)~(c)は、一実施形態におけるステータのコイルエンド部と一端及び他端を説明するための模式図。
図10】別例におけるステータの平面図。
図11】別例におけるステータの平面図。
図12】別例におけるステータの一部拡大断面図。
図13】別例におけるスロットレス回転電機の一部断面図。
図14】別例におけるステータの平面図。
図15】別例におけるスロットレス回転電機の一部断面図。
図16】別例におけるステータの一部斜視図。
図17】別例におけるステータの一部斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、スロットレス回転電機の一実施形態を図1図9に従って説明する。
図1に示すように、スロットレス回転電機11は、センターピース12と、センターピース12に固定されたステータ13と、センターピース12に対して回転可能に支持されたロータ14とを備える。
【0013】
センターピース12は、略円筒状の円筒部12aと該円筒部12aの軸方向一端側から径方向外側の延びるフランジ部12bとを有する。
ステータ13は、磁性板材が積層されてなる略円盤状の固定部材としてのステータコア15と、該ステータコア15に固定されたコイル16とを有する。ステータ13は、ステータコア15の中央孔15aがセンターピース12の円筒部12aに外嵌された状態で固定されている。
【0014】
ロータ14は、回転軸17と、該回転軸17に固定され前記ステータ13を覆うように設けられる釣り鐘状のロータヨーク18と、該ロータヨーク18の内周面に固定された永久磁石19とを有する。ロータ14は、回転軸17が、センターピース12の円筒部12aに挿通された状態で一対の軸受20によって回転可能に支持されている。
【0015】
図2図4に示すように、本実施形態のステータ13は、ステータコア15にコイル16を巻回するためのティース及びティース間のスロットが設けられておらず、ステータコア15の外周側にコイル16が固定されるスロットレス型とされている。
【0016】
コイル16は、ステータコア15の外周面に沿って軸方向に延びる軸方向コイル部21と1対の軸方向コイル部21同士を周方向に連結するコイルエンド部22とを有し、コイルエンド部22にて連結された軸方向コイル部21同士の周方向の間には他の相の軸方向コイル部21が配置されている。
【0017】
詳しくは、図5及び図6に示すように、コイル16は、導体にエナメル被覆が施された線材23が曲げられて製造される第1及び第2中間部材24,25を経て、図4に示す形状に成形される。すなわち、線材23は、まず図5に示すように、環状に複数周であって本実施形態では環状に4周分巻回されて第1中間部材24とされる。そして、次に図5から図6に示すように、前記第1中間部材24から周方向に5箇所ずつ軸方向に凹凸が形成されるように折り曲げられて第2中間部材25とされる。そして、次に図6から図4に示すように、前記第2中間部材25の軸方向の両端部が径方向内側に屈曲されて、その屈曲された部位がコイルエンド部22とされ、軸方向に延びる部位が軸方向コイル部21とされてコイル16が成形されている。なお、1つの軸方向コイル部21は、線材23が周方向に隣接して4本並ぶように構成されている。
【0018】
そして、図2及び図3に示すように、上記のように成形されたコイル16は、撓まされつつ軸方向コイル部21がステータコア15の外周面に沿うように且つコイルエンド部22がステータコア15の軸方向の端面上に重なるように配置される。
【0019】
本実施形態のコイル16は、U相のコイル16uとV相のコイル16vとW相のコイル16wとを備え、ステータコア15に対してこの順で組み付けられている。そして、U相のコイル16uのコイルエンド部22uにて連結された軸方向コイル部21u同士の周方向の間にはV相及びW相のそれぞれ1つの軸方向コイル部21v,21wが配置されている。また、V相のコイル16vのコイルエンド部22vにて連結された軸方向コイル部21v同士の周方向の間にはU相及びW相のそれぞれ1つの軸方向コイル部21u,21wが配置されている。また、W相のコイル16wのコイルエンド部22wにて連結された軸方向コイル部21w同士の周方向の間にはU相及びV相のそれぞれ1つの軸方向コイル部21u,21vが配置されている。そして、U相のコイルエンド部22uは、ステータコア15の軸方向に載置され、更にU相のコイルエンド部22uにはV相のコイルエンド部22v及びW相のコイルエンド部22wがこの順で軸方向に重なるように配置されている。すなわち、コイルエンド部22は、U相のコイルエンド部22uが下の層とされ、V相のコイルエンド部22vが中の層とされ、W相のコイルエンド部22wが上の層とされて軸方向に重なるように配置されている。なお、図1では、上中下の層のコイルエンド部22u、22v、22wの位置関係を視覚的に分かり易くすべく、コイルエンド部22u、22v、22wの断面を正確に図示せずに模式的に図示している。また、U相、V相、及びW相のコイル16u、16v、16wは、コイルエンド部22u、22v、22wの軸方向の位置が異なることで、軸方向コイル部21u、21v、21wの軸方向長さ、及びコイルエンド部22u、22v、22wの径方向長さがそれぞれ異なるように成形されている。
【0020】
また、図7に示すように、ステータコア15の外周面には、前記線材23の直径以下の突出量で径方向に突出して線材23と周方向に係合する突起31が設けられている。詳しくは、本実施形態の突起31は、線材23の半径以下であって半径より小さい突出量で径方向外側に突出している。また、突起31は、全ての線材23同士の間に設けられている。すなわち、突起31は、周方向に並ぶ線材23の数と同数であって周方向に120個形成されている。また、突起31は、線材23の周面に沿った湾曲面31aを有し、線材23は、湾曲面31aと面接触するように配設されている。また、突起31は、線材23が周方向に隙間無く並設されるように、湾曲面31a等の各寸法が設定されている。
【0021】
また、図1及び図8に示すように、異なる相のコイルエンド部22u、22v、22w同士の間には、絶縁部材32が介在されている。なお、図2図4等では絶縁部材32の図示を省略している。絶縁部材32は、絶縁材料がシート状に成形されてなる。また、異なる相のコイルエンド部22u、22v、22wが重なる部位は周方向に複数設けられており、本実施形態の絶縁部材32は、周方向の全ての部位で異なる相のコイルエンド部22u、22v、22w同士の間に介在されるべく環状に形成されている。すなわち、U相のコイルエンド部22uとV相のコイルエンド部22vは、軸方向の片側において周方向の5箇所の部位で軸方向に重なるが、それら5箇所の部位は、1枚の環状の絶縁部材32にて絶縁されている。また、V相のコイルエンド部22vとW相のコイルエンド部22wは、軸方向の片側において周方向の5箇所の部位で軸方向に重なるが、それら5箇所の部位は、1枚の環状の絶縁部材32にて絶縁されている。
【0022】
また、U相のコイルエンド部22uとステータコア15との間には、固定部材間絶縁部材33が介在されている。固定部材間絶縁部材33は、前記絶縁部材32と同様に環状に形成されている。
【0023】
また、本実施形態の絶縁部材32及び固定部材間絶縁部材33は、コイルエンド部22u、22v、22wに対して固着されている。詳しくは、本実施形態では、前記ステータコア15に対してコイル16、絶縁部材32及び固定部材間絶縁部材33が組み付けられた状態でそれらの表面やそれらが接触する部位がモールド材34でモールドされることでそれぞれが互いに固着されている。なお、モールド材34は、各部材の表面や隙間に薄く設けられるのみであり、図1では、コイルエンド部22wの表面にモールド材34の符号を付している。
【0024】
上記したステータ13は、ステータコア15に対して各部材が軸方向に重ねられる順に組み付けられる。すなわち、本実施形態における製造方法は、まず固定部材間絶縁部材33をステータコア15の軸方向に乗せる乗せ工程と、次にU相のコイル16uを組み付けてコイルエンド部22uを固定部材間絶縁部材33が乗せられたステータコア15の軸方向に載置する載置工程とを備える。また、製造方法は、載置工程の後、U相のコイルエンド部22uの軸方向に絶縁部材32を配置する絶縁部材配置工程と、絶縁部材配置工程の後、V相のコイル16vを組み付けて、前記載置工程で載置したU相のコイルエンド部22uとで絶縁部材32を挟むようにV相のコイルエンド部22vを配置する挟み工程とを備える。また、本実施形態では、その後、V相のコイルエンド部22vの軸方向に絶縁部材32を配置する絶縁部材配置工程と、絶縁部材配置工程の後、W相のコイル16wを組み付けて、V相のコイルエンド部22uとで絶縁部材32を挟むようにW相のコイルエンド部22wを配置する挟み工程とを備える。
【0025】
また、図2及び図3に示すように、コイル16の一端41は、自身の相のコイルエンド部22と軸方向に重なりつつ径方向内側に延びて設けられ、コイル16の他端42は、自身の相のコイルエンド部22と軸方向に重ならずに径方向内側に延びて設けられることになる。すなわち、上記したように成形されるコイル16では、その両端を径方向内側に引き出す際に、一端及び他端を共に自身の相のコイルエンド部22と軸方向に重ならないように設けることはできず、その一方である一端41は、自身の相のコイルエンド部22と軸方向に重なることになる。
【0026】
そして、図2図3、及び図9(c)に示すように、下の層のU相のコイル16uの一端41uは、中の層のV相のコイルエンド部22vが上方に存在しない周方向側(図9(c)中、左側)で自身の相のコイルエンド部22uの上方であって中の層に配置されている。
【0027】
また、図2図3、及び図9(b)に示すように、中の層のV相のコイル16vの一端41vは、上の層のW相のコイルエンド部22wが上方に存在しない周方向側(図9(b)中、右側)で自身の相のコイルエンド部22vの上方であって上の層に配置されている。
【0028】
また、図2図3、及び図9(a)に示すように、上の層のW相のコイル16wの一端41wは、中の層のV相のコイルエンド部22vが下方に存在しない周方向側(図9(a)中、左側)で自身の相のコイルエンド部22wの下方であって中の層に配置されている。
【0029】
なお、各相のコイル16u,16v,16wの他端42u,42v,42wは、自身の相のコイルエンド部22u,22v,22wと軸方向に重ならずにそのまま径方向内側に延びて設けられている。また、上記した一端41u,41v,41w及び他端42u,42v,42wの配置構成は、上記した第1及び第2中間部材24,25を成形する段階からそれぞれに対応した形状とされており、図5及び図6は、U相のコイル16uに対応した第1及び第2中間部材24,25を図示している。
【0030】
そして、図2に示すように、コイル16の一端41及び他端42は、ターミナルとしての中性点ターミナル43又は電源ターミナル44に接続される。
詳しくは、本実施形態では各相のコイル16u,16v,16wの一端41u,41v,41wは、中性点接続部とされて、それらは中性点ターミナル43に接続されている。この中性点ターミナル43は、コイルエンド部22u,22v,22wの上中下の層の軸方向の範囲内に配置されている。
【0031】
また、各相のコイル16u,16v,16wの他端42u,42v,42wは、電源接続部とされて、それらはそれぞれの相に対応した電源ターミナル44に接続されている。この電源ターミナル44は、その一部がコイルエンド部22u,22v,22wの上中下の層の軸方向の範囲内に配置され、その範囲内で前記電源接続部、すなわち前記他端42u,42v,42wと接続されている。
【0032】
そして、図1に示すように、各電源ターミナル44は、前記センターピース12のフランジ部12bを貫通して、120度位相のずれた3相駆動電流を供給可能な回路基板45に接続されている。
【0033】
次に、上記のように構成されたスロットレス回転電機11の作用について説明する。
回路基板45からステータ13のコイル16に3相駆動電流が供給されると、ステータ13にて回転磁界が発生されてロータ14が回転駆動される。
【0034】
次に、上記実施形態の効果を以下に記載する。
(1)異なる相のコイルエンド部22u,22v,22w同士の間には、絶縁部材32が介在されるため、電位差が大きくなることのある異なる相のコイル16u,16v,16w間の絶縁性を確保することができる。
【0035】
(2)コイルエンド部22u,22v,22wは、軸方向コイル部21u,21v,21wの端部から径方向に屈曲されつつ軸方向に重なるように配置されるため、例えば、径方向に屈曲されずに軸方向に延びて配置されるものに比べて軸方向の小型化を図ることができる。
【0036】
(3)U相のコイルエンド部22uとステータコア15との軸方向の間には、固定部材間絶縁部材33が介在されるため、コイルエンド部22uとステータコア15との間の絶縁性を確保することができる。
【0037】
(4)絶縁部材32は、周方向の全ての部位で異なる相のコイルエンド部22u,22v,22w同士の間に介在されるべく環状に形成されるため、例えば、周方向に複数の絶縁部材とした場合に比べて、部品点数を低減することができる。
【0038】
(5)絶縁部材32は、コイルエンド部22u,22v,22wに対して固着されるため、例えば、異なる相のコイルエンド部22u,22v,22w同士の間に挟持されただけの構成に比べて、絶縁性を確保した状態を維持し続けることができる。
【0039】
(6)上記した製造方法では、ステータコア15に対して各部材が軸方向に重ねられる順に組み付けることで、異なる相のコイルエンド部22u,22v,22w同士の間に絶縁部材32を良好に介在させることができる。すなわち、コイルエンド部22u,22v,22wを重ねて配置した後に絶縁部材32を挿入する場合に比べて、絶縁部材32を容易且つ確実にコイルエンド部22u,22v,22w同士の間に介在させることができる。
【0040】
(7)自身の相のコイルエンド部22u,22v,22wと軸方向に重なるコイル16u,16v,16wの一端41u,41v,41wは、全てコイルエンド部22u,22v,22wの上中下の層の軸方向の範囲内に配置されるため、4層以上の範囲に配置される構成に比べて、軸方向の小型化を図ることができる。
【0041】
(8)コイル16の一端41が接続される中性点ターミナル43は、コイルエンド部22u,22v,22wの上中下の層の軸方向の範囲内に配置されるため、コイルエンド部22u,22v,22wの上中下の層の軸方向の範囲内でコイル16の一端41を中性点ターミナル43に接続することができる。よって、中性点ターミナル43がコイルエンド部22u,22v,22wの上中下の層の軸方向の範囲外に配置されるものに比べて、軸方向の小型化を図ることができる。また、コイル16の他端42が接続される電源ターミナル44の一部は、コイルエンド部22u,22v,22wの上中下の層の軸方向の範囲内に配置されるため、コイルエンド部22u,22v,22wの上中下の層の軸方向の範囲内でコイル16の他端42を電源ターミナル44に接続することができる。よって、電源ターミナル44がコイルエンド部22u,22v,22wの上中下の層の軸方向の範囲外に配置されるものに比べて、軸方向の小型化を図ることができる。
【0042】
(9)ステータコア15の外周面には、コイル16を構成する線材23の直径以下の突出量で径方向に突出して線材23と周方向に係合する突起31が設けられるため、軸方向コイル部21が周方向に移動してしまうことが抑えられる。よって、トルクリップルの増大を抑制することができる。
【0043】
(10)突起31は、異なる相の線材23同士の間、言い換えると異なる相の軸方向コイル部21u,21v,21w同士の間に設けられるため、異なる相の線材23同士の間に擦れるような大きな力が掛かることが抑えられ、電位差が大きくなることのある異なる相の線材23間の絶縁性を確保することができる。
【0044】
(11)突起31は、全ての線材23同士の間に設けられるため、全ての線材23が周方向に移動してしまうことが抑えられる。
(12)突起31は、線材23の半径以下であって半径より小さい突出量で径方向外側に突出するため、本実施形態のように線材23を周方向に隙間無く並設することが可能となり、線材23が周方向に離間して設けられたものに比べて、高効率化を図ることができる。
【0045】
(13)突起31は、線材23の周面に沿った湾曲面31aを有するため、線材23を突起31に面接触させて周方向に係合させることができる。よって、例えば、線材23に局部的な力が加わることを抑えることができ、線材23の損傷を抑えることができる。
【0046】
上記実施形態は以下のように変更して実施することができる。また、本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、図2に示すように、コイル16の一端41及び他端42が相毎に周方向の異なる位置に配置された構成としたが、これに限定されず、一端41及び他端42の周方向の位置は他の配置に変更してもよい。
【0047】
例えば、図10に示すように、各相のコイル16u,16v,16wの一端51v,51w及び他端52uからなる3つの中性点接続部を、周方向に並ぶ3対の前記軸方向コイル部21u,21v,21wの周方向の範囲、すなわち線材23が24個並ぶ周方向の範囲内に配置してもよい。このようにすると、例えば、3つの中性点接続部が前記周方向の範囲外に配置された場合に比べて、中性点接続部同士の周方向の間隔を小さくすることができる。よって、例えば、中性点ターミナル43の周方向長さを短くすることができる。
【0048】
また、例えば、図10に示すように、各相のコイル16u,16v,16wの一端51u及び他端52v,52wからなる3つの電源接続部を、周方向に並ぶ3対の前記軸方向コイル部21u,21v,21wの周方向の範囲、すなわち線材23が24個並ぶ周方向の範囲内に配置してもよい。このようにすると、例えば、3つの電源接続部が前記周方向の範囲外に配置された場合に比べて、電源接続部同士の周方向の間隔を小さくすることができる。よって、例えば、3つの電源ターミナル44を周方向の狭い範囲に集約して設けることができる。
【0049】
また、例えば、図11に示すように、各相のコイル16u,16v,16wの一端61w及び他端62u,62vからなる3つの中性点接続部、及び各相のコイル16u,16v,16wの一端61u,61v及び他端62wからなる3つの電源接続部を、周方向に並ぶ3対の前記軸方向コイル部21u,21v,21wの周方向の範囲、すなわち線材23が24個並ぶ周方向の範囲内に配置してもよい。このようにすると、上記別例(図11参照)の効果を得ることができるとともに、更に3つの中性点接続部及び3つの電源接続部を周方向の狭い範囲に集約して設けることができる。
【0050】
・上記実施形態では、ステータコア15の突起31は、全ての線材23同士の間に設けられるとしたが、これに限定されず、他の間隔で設けてもよい。
例えば、図12に示すように、突起31は、異なる相の線材23同士の間、言い換えると異なる相の軸方向コイル部21u,21v,21w同士の間にのみ設けてもよい。
【0051】
・上記実施形態では、特に言及していないが、コイル16とステータコア15との間を更に絶縁してもよい。
例えば、図13に示すように、軸方向コイル部21uとコイルエンド部22uとの間の屈曲部71と、ステータコア15との間には、屈曲部間絶縁部材72を介在させてもよい。このようにすると、屈曲部71とステータコア15との絶縁性を確保することができる。
【0052】
また、例えば、図13に示すように、軸方向コイル部21とステータコア15との間には、径方向間絶縁部材73を介在させてもよい。このようにすると、軸方向コイル部21とステータコア15との絶縁性を確保することができる。
【0053】
・上記実施形態では、絶縁部材32は、環状に形成されるとしたが、これに限定されず、周方向の複数の範囲で異なる相のコイルエンド部22u,22v,22w同士の間に介在されるべく周方向に複数設けてもよい。
【0054】
例えば、図14に示すように、W相のコイルエンド部22wの下方であってステータコア15側には、W相のコイルエンド部22wの周方向の幅よりやや広い周方向の幅で扇形状の絶縁部材74wを配置してもよい。また、V相のコイルエンド部22vの下方であってステータコア15側には、V相のコイルエンド部22vの周方向の幅よりやや広い周方向の幅で扇形状の絶縁部材74vを配置してもよい。このようにすると、例えば、環状の絶縁部材32とした場合に比べて、不必要な周方向範囲の絶縁部材を減らすことができ、絶縁部材の材料の無駄を抑えることができる。
【0055】
・上記実施形態では、コイルエンド部22u,22v,22wは、軸方向コイル部21の端部から径方向内側に屈曲されるとしたが、これに限定されず、他の方向に屈曲されていてもよい。
【0056】
例えば、図15に示すように、上記実施形態における軸方向の一方側のコイルエンド部22u,22v,22wが径方向外側に屈曲された構成としてもよい。このようにすると、例えば、径方向外側に屈曲されたコイルエンド部22uとステータコア15との軸方向の間の固定部材間絶縁部材33が不要となる。また、このようにすると、成形されたコイル16を撓ませることなくステータコア15に組み付けることができ、組み付けが容易となる。また、例えば、軸方向の両方のコイルエンド部が共に径方向外側に屈曲されたインナーロータタイプのスロットレス回転電機に具体化してもよい。
【0057】
また、例えば、図16及び図17に示すように、変更してもよい。この例のコイル81は、上記実施形態の線材23を用いた波巻きタイプのコイル16とは異なり、平角線82を用いつつ1対の軸方向コイル部83同士を周方向に連結するコイルエンド部84が軸方向の一方と他方とで同一の軸方向コイル部83を連結している。A相のコイル81aの一対の軸方向コイル部83a同士の周方向の間にはB相のコイル81bの軸方向コイル部83bが配置されている。そして、B相のコイルエンド部84bは、僅かに径方向外側に屈曲されて更に軸方向に屈曲されてA相のコイルエンド部84aと径方向に重なるように配置されている。そして、このように構成された異なる相のコイルエンド部84a,84b同士の間には、絶縁部材85が介在されている。絶縁部材85は、周方向の全ての部位で異なる相のコイルエンド部84a,84b同士の間に介在されるべく環状に形成されている。なお、図16は、軸方向コイル部83の径方向外側にステータコア86が配置されたタイプを示し、図17は、軸方向コイル部83の径方向外側にステータコアが配置されないタイプを示す。また、図17に示すコイル81は、軸方向の一方側のみコイルエンド部84a,84bが重なるように配置されたタイプを示す。
【0058】
このようにしても、電位差が大きくなることのある異なる相のコイル81a,81b間の絶縁性を確保することができる。
・上記実施形態では、中の層のV相のコイル16vの一端41vは、図9(b)に示すように上の層に配置されるとしたが、これに限定されず、下の層のU相のコイルエンド部22uが下方に存在しない周方向側(図9(b)中、右側)で自身の相のコイルエンド部22vの下方であって下の層に配置してもよい。
【0059】
・上記実施形態では、コイル16の一端41及び他端42が接続されるターミナルとしての中性点ターミナル43及び電源ターミナル44を備えた構成としたが、これらターミナルを備えず、他の構成で結線されるものとしてもよい。
【0060】
・上記実施形態では、U相のコイルエンド部22uとステータコア15との軸方向の間には、固定部材間絶縁部材33が介在されるとしたが、これに限定されず、固定部材間絶縁部材33が介在されていない構成としてもよい。また、固定部材間絶縁部材33は、ステータコア15に乗せるものに限らず、ステータコア15に塗装されて設けられる絶縁塗装材としてもよい。
【0061】
・上記実施形態では、絶縁部材32は、モールド材34によってモールドされることでコイルエンド部22u,22v,22wに対して固着されるとしたが、これに限定されず、例えば、互いを接着するだけの接着剤によって固着させてもよいし、異なる相のコイルエンド部22u,22v,22w同士の間に挟持させただけの構成としてもよい。
【0062】
・上記した製造方法では、ステータコア15に対してコイルエンド部22u,22v,22wや絶縁部材32等の各部材が軸方向に重ねられる順に組み付けるとしたが、これに限定されず、コイルエンド部22u,22v,22wを配置した後に絶縁部材32を組み付けてもよい。
【0063】
すなわち、1つのコイルエンド部22uをステータコア15の軸方向に載置する載置工程と、その後、コイルエンド部22uの軸方向に異なる相のコイルエンド部22v,22wを配置する重ね配置工程と、その後、異なる相のコイルエンド部22u,22v,22w同士の間に絶縁部材32を挿入する挿入工程とを備えた製造方法としてもよい。このようにすると、例えば、ステータコア15に対して各部材が軸方向に重ねられる順に組み付ける場合に比べて、コイルエンド部22u,22v,22wを組み付ける工程を連続して行うことができ、製造工程を簡略化することができる。なお、このように製造する場合、絶縁部材32は、上記別例(図14参照)の絶縁部材74v,74wのように、周方向に複数の絶縁部材とすることが好ましい。
【0064】
・上記実施形態では、ステータコア15の外周面には、線材23と周方向に係合する突起31が設けられるとしたが、これに限定されず、突起31が設けられていない構成にしてもよい。
【0065】
・上記実施形態では、突起31は、異なる相の線材23同士の間、言い換えると異なる相の軸方向コイル部21u,21v,21w同士の間に設けられるとしたが、これに限定されず、異なる相の線材23同士の間以外の位置に設けてもよい。
【0066】
・上記実施形態では、突起31は、線材23の半径以下であって半径より小さい突出量で径方向外側に突出するとしたが、これに限定されず、線材23の半径よりも大きい突出量で径方向外側に突出させてもよい。
【0067】
・上記実施形態では、突起31は、線材23の周面に沿った湾曲面31aを有するとしたが、これに限定されず、湾曲面31aを有していない形状としてもよい。
・上記実施形態では、自身の相のコイルエンド部22u,22v,22wと軸方向に重なるコイル16u,16v,16wの一端41u,41v,41wは、全てコイルエンド部22u,22v,22wの上中下の層の軸方向の範囲内に配置されるとしたが、これに限定されず、4層以上の範囲に配置される構成としてもよい。
【0068】
・上記実施形態では、突起31は、ステータコア15に一体成形されたものとしたが、これに限定されず、ステータコアと別部材で構成してもよく、例えば、ステータコア15の外周面に固定される絶縁性部材に突起を形成してもよい。
【0069】
・上記実施形態では、線材23は、単に一本の導体にエナメル被覆が施されたものとしたが、これに限定されず、例えば、細い導体を束ねた構成を有する束線としてもよい。
【符号の説明】
【0070】
11…スロットレス回転電機、15…ステータコア(固定部材)、16,16u,16v,16w,81,81a,81b…コイル、21,21u,21v,21w,83,83a,83b…軸方向コイル部、22,22u,22v,22w,84,84a,84b…コイルエンド部、32,74v,74w,85…絶縁部材、33…固定部材間絶縁部材、71…屈曲部、72…屈曲部間絶縁部材。
図1
図2
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