(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】検出装置、電子楽器、検出方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G10H 1/00 20060101AFI20240123BHJP
G10H 1/32 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
G10H1/00 A
G10H1/32 Z
(21)【出願番号】P 2019171130
(22)【出願日】2019-09-20
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】外山 千寿
【審査官】山下 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-173679(JP,A)
【文献】特開2019-20504(JP,A)
【文献】特開2019-45681(JP,A)
【文献】特開2019-12131(JP,A)
【文献】特開2018-156057(JP,A)
【文献】特開2013-3978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G10H 1/00-1/46
G06F 3/041
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板の一端側より第1方向に順に配列され、
当該基板の一端側をユーザが咥えた際に、ユーザの
唇の接触
部位を算出するための出力値を
夫々出力する複数のセンサと、
前記複数のセンサからの前記出力値に基づいて前記ユーザの
唇の接触位置を求める制御部と、を備え、
前記制御部は、前記複数のセンサによる複数の前記出力値を前記配列の一端から順に積算した出力積算値と、前記複数の出力値のうち、前記積算によって最初に前記出力積算値に所定の値を超えさせる第1出力値と、前記第1出力値を出力する前記センサの位置と、に基づいて前記ユーザの
唇の接触位置を求める、
検出装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1出力値に対する、前記所定の値と前記出力積算値が前記所定の値を超える前までに積算された値との差の比率を求め、求められた前記比率と前記第1出力値を出力する前記センサの位置を示す値との和を、前記ユーザの
唇の接触位置を示す値として求める、
請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記所定の値が、前記複数のセンサの出力値の総和の5%以上50%以下である、
請求項1又は2に記載の検出装置。
【請求項4】
前記複数のセンサは、前記ユーザの唇の接触を検出する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の検出装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の検出装置と、
前記検出装置により求められた前記ユーザの
唇の接触位置に基づいて、楽音を生成する音源と、を備える、
電子楽器。
【請求項6】
前記複数のセンサを設けられたマウスピースを備
え、
前記複数のセンサは、当該マウスピースのリード部の一端側から前記第1方向に順に配列されている、
請求項5に記載の電子楽器。
【請求項7】
基板の一端側より第1方向に順に配列され
、当該基板の一端側をユーザが咥えた際に、ユーザの
唇の接触
部位を算出するための出力値を夫々出力する複数のセンサから、
当該出力値の夫々を取得する工程と、
取得された前記複数のセンサによる複数の前記出力値を前記配列の一端から順に積算した出力積算値と、前記複数のセンサからの前記出力値のうち、前記積算によって最初に前記出力積算値に所定の値を超えさせる第1出力値と、前記第1出力値を出力する前記センサの位置と、に基づいて前記ユーザの
唇の接触位置を求める工程と、を含む、
検出方法。
【請求項8】
コンピュータに、
基板の一端側より第1方向に順に配列され
、当該基板の一端側をユーザが咥えた際に、ユーザの
唇の接触
部位を算出するための出力値を夫々出力する複数のセンサから、
当該出力値の夫々を取得する処理と、
取得された前記複数のセンサによる複数の前記出力値を前記配列の一端から順に積算した出力積算値と、前記複数のセンサからの前記出力値のうち、前記積算によって最初に前記出力積算値に所定の値を超えさせる第1出力値と、前記第1出力値を出力する前記センサの位置と、に基づいて前記ユーザの
唇の接触位置を求める処理と、を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置、電子楽器、検出方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
アコースティック管楽器(例えば、サクソフォン)の形状と演奏方法とを模した電子管楽器が知られている。電子管楽器では、例えば、楽音の音色は、マウスピースのリードへの演奏者(ユーザ)の下唇の接触位置に応じて制御され、下唇の接触位置は、下唇の接触を検出するセンサを用いて検出される。例えば、特許文献1の電子楽器では、下唇の接触位置として、マウスピースのリードの先端側(吹込口側の端部)から基端側に向けて設けられた複数の検出部を有する静電容量センサ又は圧力センサの出力値から、下唇の接触中心の位置(重心位置)を求めている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、アコースティック管楽器では、演奏者は、主に、リードの先端(吹込口側の端部)とリードに接触している下唇の口腔側の端部との距離により、リードの振動(すなわち、音色)をコントロールしている。電子管楽器の音色が下唇の接触中心の位置により制御される場合、アコースティック管楽器の音色はリードの先端と下唇の口腔側の端部との距離により制御されるので、演奏者がアコースティック管楽器と同様に電子管楽器を演奏すると、演奏者の下唇の厚さの違いによって、音色が演奏者ごとに異なるおそれがある。
【0005】
さらに、電子管楽器以外の演奏者の接触(例えば、指による接触)により演奏を行う電子楽器、ユーザの接触により操作される電子機器等においても、上述の電子管楽器と同様に、ユーザ(例えば、指の太さの違い)ごとに、検出される接触位置が異なるおそれがある。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、ユーザに依らず、正確な接触位置を検出できる検出装置、電子楽器、検出方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る検出装置は、
基板の一端側より第1方向に順に配列され、当該基板の一端側をユーザが咥えた際に、ユーザの唇の接触部位を算出するための出力値を夫々出力する複数のセンサと、
前記複数のセンサからの前記出力値に基づいて前記ユーザの唇の接触位置を求める制御部と、を備え、
前記制御部は、前記複数のセンサによる複数の前記出力値を前記配列の一端から順に積算した出力積算値と、前記複数の出力値のうち、前記積算によって最初に前記出力積算値に所定の値を超えさせる第1出力値と、前記第1出力値を出力する前記センサの位置と、に基づいて前記ユーザの唇の接触位置を求める。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザに依らずに、正確な接触位置を検出できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態に係る電子楽器の正面を示す模式図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る電子楽器の側面を示す模式図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る電子楽器の構成を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るマウスピースの断面を示す模式図である。
【
図5】本発明の実施形態に係るリード部を示す模式図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る、標準的な厚さの下唇を有する演奏者が所定の音色を発するようにマウスピースを咥えている状態における、静電容量センサの出力値を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る、標準的な厚さの下唇を有する演奏者が所定の音色を発するようにマウスピースを咥えている状態における、静電容量センサの出力値分布を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る、標準的な厚さの下唇を有する演奏者が所定の音色を発するようにマウスピースを咥えている状態における、静電容量センサの補正された出力値を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る、標準的な厚さの下唇を有する演奏者が所定の音色を発するようにマウスピースを咥えている状態における、補正された出力値を順に積算された値と、静電容量センサの位置を示す値とを示す図である。
【
図10】本発明の実施形態に係る、厚い下唇を有する演奏者が所定の音色を発するようにマウスピースを咥えている状態における、静電容量センサの出力値を示す図である。
【
図11】本発明の実施形態に係る、厚い下唇を有する演奏者が所定の音色を発するようにマウスピースを咥えている状態における、静電容量センサの出力値分布を示す図である。
【
図12】本発明の実施形態に係る、厚い下唇を有する演奏者が所定の音色を発するようにマウスピースを咥えている状態における、静電容量センサの補正された出力値と補正された出力値を順に積算された値と静電容量センサの位置を示す値とを示す図である。
【
図13】本発明の実施形態に係る電子楽器の発音処理を示すフローチャートである。
【
図14】本発明の実施形態に係る位置検出処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態に係る検出装置を電子楽器に適用した実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
本実施形態の電子楽器10は、
図1、
図2に示すように、アコースティック管楽器のサクソフォンの形状を模した電子楽器である。電子楽器10は、サクソフォンの筐体の形状を模した管体部20と、管体部20の外周面に設けられ、演奏者に操作される操作子30と、管体部20のネック側の端部に設けられ、演奏者(ユーザ)に咥えられるマウスピース40と、管体部20のベル側の端部に設けられ、楽音を発する発音部90とを備える。さらに、電子楽器10は、
図3に示すように、演奏者によりマウスピース40に吹き込まれた息の圧力を検出する息圧検出部50と、演奏者の下唇の接触を検出する接触検出部60と、楽音を生成する音源85と、各部を制御する制御部100とを備える。
本実施形態では、接触検出部60と制御部100が、演奏者の下唇の位置を検出する検出装置200として機能する。
【0012】
電子楽器10の管体部20は、サクソフォンの筐体の形状を模して、J字形の筒状に形成される。マウスピース40が管体部20のネック側の端部に設けられ、発音部90が管体部20のベル側の端部に設けられる。また、操作子30が管体部20の外周面に設けられる。
【0013】
電子楽器10の操作子30は、演奏者の指によって操作され、演奏者の指による指示を受け付ける入力部として機能する。操作子30は、楽音の音高に対する指示を受け付ける演奏キー、音高を微調整する設定キー等を含む。操作子30により受け付けられた演奏者の指示は、図示しない入出力インタフェースを介して、操作子30による指示を表す信号として制御部100に出力される。
【0014】
電子楽器10のマウスピース40は、演奏者の口に咥えられ、演奏者の息を吹き込まれる。マウスピース40は、演奏者の息の圧力、下唇等による指示を受け付ける入力部として機能する。電子楽器10は、マウスピース40に吹き込まれた演奏者の息の圧力に応じた音量で楽音を発し、演奏者の下唇の位置に応じて楽音の音色を調整する。演奏者の息の圧力、演奏者の下唇の位置等については、後述する。
【0015】
マウスピース40は、
図4に示すように、サクソフォンのマウスピースを模して形成され、本体部42とリード部44と固定部46とを備える。マウスピース40の本体部42は、本体部42の端部42aとリード部44の自由端(後述するリード基板45の自由端部45a)が演奏者に息を吹き込まれる吹込口40aを形成するように、リード部44を組み付けられる。また、後述する息圧検出部50の圧力センサ52が、吹込口40aに対向する本体部42の側部42bに設けられる。
【0016】
マウスピース40のリード部44は、
図4、
図5に示すように、板状のリード基板45と、リード基板45の第1主面45aに設けられた電極70~81とを有する。リード部44は、電極70~81を設けられたリード基板45の第1主面45aを本体部42の内側に向けた状態で、本体部42に組み付けられる。演奏者がマウスピース40を咥えた場合、演奏者の下唇がサクソフォンのリードと同様にリード部44に接触する。
【0017】
リード部44のリード基板45は、絶縁性部材から板状に形成される。リード基板45は、例えば、フレキシブル基板(FPC:Flexible Printed Circuits)である。リード基板45は、リード部44の自由端である自由端部45bと本体部42に組み付けられる固定端部45cとを有する。
【0018】
リード部44の電極70~81のそれぞれは、リード基板45の第1主面45aに設けられる。電極70~81のそれぞれは、平面視で長方形に形成される。電極70~81のそれぞれは、リード基板45の自由端部45bから固定端部45cに向かう方向に順に(すなわち、
図6における左右方向の左から右に順に)、等間隔に配列されている。電極70~81のそれぞれは、図示しない配線により、後述する接触検出部60のMCU(Micro Controller Unit:マイクロコントローラユニット)62に接続する。
【0019】
電極70~80のそれぞれとリード基板45は、静電容量が演奏者の下唇の接触により変化する、接触検出部60の静電容量センサS0~S10を構成する。また、電極81とリード基板45は、静電容量センサS0~S10の温度ドリフトを補正するための接触検出部60の静電容量センサS11を構成する。静電容量センサS0~S11は、電極70~81が自由端部45bから固定端部45cに向かう方向に順に配列されているので、自由端部45bから固定端部45cに向かう方向に順に配列している。静電容量センサS11は、静電容量センサS0~S10の温度ドリフトを補正するために、演奏者の下唇が接触しない位置に位置している。また、静電容量センサS0~S11は、後述するように、MCU62を介して制御部100に接続している。
【0020】
マウスピース40の固定部46は、リード部44を本体部42に固定する。
【0021】
図3に戻り、電子楽器10の息圧検出部50は、マウスピース40の吹込口40aに吹き込まれた演奏者の息の圧力を検出する。息圧検出部50は、マウスピース40の本体部42の側部42bに設けられた圧力センサ52と、圧力センサ52に接続するADC(Analog to Digital Converter:アナログデジタル変換器)54とを有する。圧力センサ52は演奏者の息の圧力を検出する。ADC54は圧力センサ52により検出された演奏者の息の圧力を、演奏者の息の圧力値を表すデジタル信号に変換して、制御部100に送信する。ADC54は、例えば、管体部20の管内に設けられる。
【0022】
電子楽器10の接触検出部60は、マウスピース40のリード部44への演奏者の下唇の接触を検出する。接触検出部60は、
図3に示すように、リード部44に設けられている静電容量センサS0~S11と、静電容量センサS0~S11に接続するMCU62とを有する。静電容量センサS0~S11は、静電容量を出力する。MCU62は、DAC(Digital to Analog Converter:デジタルアナログ変換器)、入出力インタフェース等を備える。MCU62は、静電容量センサS0~S11の静電容量(すなわち、静電容量センサS0~S11の出力値(検出結果を示す出力値))を表す信号を制御部100に出力する。MCU62は、例えば、管体部20の管内に設けられる。
【0023】
電子楽器10の音源85は、シンセサイザ(例えば、音源LSI(Large scale Integrated Circuit))である。音源85は、制御部100の制御により楽音を生成する。また、音源85は、生成された楽音を表す信号を発音部90に出力する。音源85は、例えば、管体部20の管内に設けられる。
本実施形態では、音源85は、例えば、MIDI(Musical Instrument Digital Interface)規格に対応している。
【0024】
電子楽器10の発音部90は、音源85から出力された楽音を表す信号に基づいて、電子楽器10の外部に楽音を出力する。発音部90は、楽音を表すデジタル信号をアナログ信号に変換するDAC、楽音を表す信号を増幅するアンプ、楽音を出力するスピーカー等を備える。
【0025】
電子楽器10の制御部100は、操作子30と息圧検出部50と接触検出部60と音源85とを制御する。
また、制御部100と接触検出部60は、マウスピース40のリード部44に接触している下唇の位置を検出する検出装置200を構成する。制御部100は、接触検出部60の静電容量センサS0~S10の出力値と、静電容量センサS0~S10の出力値を一端に位置する静電容量センサS0から順に積算された値とに基づいて、マウスピース40のリード部44に接触している下唇の位置を求める。静電容量センサS11の出力値は、静電容量センサS0~S10の出力値の温度ドリフトを補正するために用いられる。検出装置200によって検出される下唇の位置については、後述する。
【0026】
さらに、制御部100は、求められた下唇の位置と、操作子30から出力された演奏者の指示を表す信号と、息圧検出部50から出力された演奏者の息の圧力値を表す信号とに基づいて、MIDI規格に対応した楽音を表す情報を生成する。制御部100は、楽音を表す情報を音源85に出力して、音源85を制御する。
【0027】
制御部100は、
図3に示すように、各種の処理を実行するCPU(Central Processing Unit)102と、プログラムとデータとを記憶しているROM(Read Only Memory)104と、データを記憶するRAM(Random Access Memory)106と、各部の間の信号を入出力する入出力インタフェース108とを備える。制御部100の機能は、CPU102が、ROM104に記憶されたプログラムを実行することによって、実現される。入出力インタフェース108は、CPU102と、操作子30と息圧検出部50と接触検出部60と音源85との間の信号を入出力する。制御部100は管体部20の管内に設けられる。
【0028】
(下唇の位置)
検出装置200によって検出される下唇の位置について、説明する。接触検出部60は、静電容量センサS0~S10により演奏者の下唇の接触を検出し、静電容量センサS0~S10の出力値(すなわち、検出結果を示す出力値)を出力する。制御部100は、接触検出部60の静電容量センサS0~S10の出力値を一端に位置する静電容量センサS0から順に積算し、出力値を順に積算された値(出力積算値)と、出力値のうちの、積算によって最初に出力値を積算された値(出力積算値)に所定の値を超えさせる第1出力値と、第1出力値を出力する静電容量センサの位置とに基づいて、マウスピース40のリード部44に接触している下唇の位置を求める。
【0029】
まず、標準的な厚さ(8mm程度)の下唇を有する演奏者が所定の音色を発するようにマウスピース40を咥えている状態を例(以下、例1と記載)に、制御部100により求められる下唇の位置について、具体的に説明する。
図6は、標準的な厚さの下唇を有する演奏者が所定の音色を発するようにマウスピース40を咥えている状態における、静電容量センサS0~S11の出力値の例を示す。
図7は、標準的な厚さの下唇を有する演奏者が所定の音色を発するようにマウスピース40を咥えている状態における、静電容量センサS0~S11の出力値分布の例を示す。
【0030】
制御部100は、下唇が接触しない静電容量センサS11の出力値を温度ドリフトによる出力値として、下唇の接触を検出する静電容量センサS0~S10のそれぞれの出力値と下唇が接触しない静電容量センサS11の出力値との差を、静電容量センサS0~S10の補正された出力値として求める。これにより、静電容量センサS0~S10の出力値の温度ドリフトを除去できる。
図8は、標準的な厚さの下唇を有する演奏者が所定の音色を発するようにマウスピース40を咥えている状態における、静電容量センサS0~S10の補正された出力値を示す。
【0031】
次に、制御部100は、静電容量センサS0~S10の補正された出力値を、一端に位置する静電容量センサS0から順に積算する。そして、静電容量センサS0~S10の補正された出力値のうちの、積算によって最初に積算された値(出力積算値)に所定の値を超えさせる第1出力値と、第1出力値を出力する静電容量センサの位置を示す値とを求める。
図9は、
図8に示す補正された出力値を静電容量センサS0から順に積算された値と、静電容量センサS0~S10の位置を示す値とを示す。ここで、静電容量センサS0~S10の位置を示す値とは、静電容量センサS0~S10のそれぞれの間隔に応じて、予め割り振られる値である。本実施形態では、静電容量センサS0~S10が等間隔に配列されているので、静電容量センサS0の位置を示す値を0として、1刻みに静電容量センサS0~S10の位置を示す値が予め割り振られている。
【0032】
所定の値を246として、第1出力値と、第1出力値を出力する静電容量センサの位置を示す値とを具体的に説明する。
図9に示されている積算された値において、補正された出力値が静電容量センサS0から静電容量センサS3まで順に積算されると(
図9のS3における積算された値:305)、最初に所定の値である246を超えるので、第1出力値は、
図8から、静電容量センサS3の補正された出力値である95と求められる。また、
図9から、第1出力値を出力する静電容量センサS3の位置を示す値は3と求められる。
【0033】
ここで、所定の値である246は、例えば、以下のように求められる。
標準的な厚さの下唇が本実施形態のリード部44の自由端から23.5mmに位置する場合、下唇の位置である23.5mmよりもリード部44の自由端側に位置する静電容量センサの出力値は下唇の厚さの影響を受けにくいことが、実験的に得られている。標準的な厚さの下唇がリード部44の自由端から23.5mmに位置した場合、静電容量センサS0~S10の補正された出力値の総和が615であったので、静電容量センサS0~S10の補正された出力値分布に基づいて、補正された出力値の総和615の40%の値である246を、下唇の厚さの影響を受けていない値(所定の値)とした。
【0034】
次に、制御部100は、第1出力値に対する、所定の値と補正された出力値を積算された値(出力積算値)が所定の値を超える前までに積算された値との差の比率を求める。さらに、制御部100は、求められた比率と、求められた第1出力値を出力する静電容量センサの位置を示す値との和を、マウスピース40のリード部44に接触している下唇の位置として求める。
【0035】
具体的には、
図8、
図9に示されている値から、順に積算された値(出力積算値)が所定の値を超える前までに積算された値として、210(すなわち静電容量センサS0~静電容量センサS2の補正された出力値を積算された値)が求められる。したがって、第1出力値に対する、所定の値と補正された出力値を積算された値(出力積算値)が所定の値を超える前までに積算された値との差の比率として、(246-210)/95≒0.38が求められる。さらに、求められた第1出力値を出力する静電容量センサS3の位置を示す値は3であるので、マウスピース40のリード部44に接触している下唇の位置は、3+0.38=3.38と求められる。さらに、制御部100は、MIDI規格に対応させるために、求められた下唇の位置を7ビットで表す(すなわち、静電容量センサS0~S10の11個の位置範囲を0~127の値に割り当てる)。例えば、求められた下唇の位置が3.38である場合、制御部100は、下唇の位置を7ビットで表現した39(3.38×127/11=39)と表す。
【0036】
次に、厚い下唇(10mm程度)を有する演奏者が、所定の音色を発するようにマウスピース40を咥えている状態を例(以下、例2と記載)に、求められる下唇の位置について説明する。ここでの所定の音色は、上述した例1における所定の音色と同じである。
図10は、厚い下唇を有する演奏者が所定の音色を発するようにマウスピース40を咥えている状態における、静電容量センサS0~S11の出力値を示す。
図11は、厚い下唇を有する演奏者が所定の音色を発するようにマウスピース40を咥えている状態における、静電容量センサS0~S11の出力値分布を示す。
【0037】
図10に示されている出力値から、例1と同様に、静電容量センサS0~S10の補正された出力値と補正された出力値を静電容量センサS0から順に積算された値(出力積算値)を求めると、
図12に示す補正された出力値と積算された値が求められる。さらに、
図12に示されている値と所定の値(246)とから、例1と同様に、第1出力値と第1出力値を出力する静電容量センサの位置を示す値とを求めると、第1出力値として93が求められ、第1出力値を出力する静電容量センサ(静電容量センサS3)の位置を示す値として3が求められる。そして、第1出力値に対する所定の値と出力値を積算された値(出力積算値)が所定の値を超える前までに積算された値との差の比率を求めると、(246-210)/93≒0.39が求められる。さらに、マウスピース40のリード部44に接触している下唇の位置は、3+0.39=3.39と求められる。求められた下唇の位置(3.39)を7ビットで表現すると、下唇の位置は39と表される。
【0038】
以上のように、標準的な厚さの下唇を有する演奏者(例1)の下唇の位置と厚い下唇を有する演奏者(例2)は、同じ位置として検出される。したがって、検出装置200は、静電容量センサS0~S10の出力値を一端に位置する静電容量センサS0から順に積算し、順に積算された値(出力積算値)と、出力値のうちに、積算によって最初に出力値を積算された値(出力積算値)に所定の値を超えさせる第1出力値と、第1出力値を出力する静電容量センサの位置とに基づいて、下唇の位置を正確に検出できる。
【0039】
なお、検出装置200によって検出される下唇の位置は、静電容量センサS0を基準とする静電容量センサS0~S10の配列に対する、相対位置とも表される。また、所定の値は、複数の演奏者による実験から求められる。所定の値は、下唇の位置をサクソフォンの下唇の口腔側の端部に対応する位置として求める観点から、演奏者が通常の力でマウスピース40を咥えた状態における、静電容量センサS0~S10の補正された出力値の総和の5%以上50%以下であることが、好ましい。
【0040】
さらに、静電容量センサS0~S10の補正された出力値の総和が予め定められているしきい値よりも小さい場合、制御部100は、マウスピース40のリード部44に接触している下唇が、デフォルト位置(標準位置:例えば、7ビットで表現すると64)に位置するとしてもよい。
【0041】
次に、
図13を参照して、楽音を発する電子楽器10の発音処理について説明する。まず、演奏者が図示しない電子楽器10の電源をONすると、電子楽器10は初期状態で待機する。
【0042】
演奏者が初期状態で待機している電子楽器10のマウスピース40を咥えると、検出装置200はマウスピース40のリード部44に接触している下唇の位置を求める(位置検出処理:ステップS21)。位置検出処理(ステップS21)では、接触検出部60が静電容量センサS0~S11の出力値を出力し、制御部100が静電容量センサS0~S11の出力値を取得する。そして、制御部100は、静電容量センサS0~S11の出力値からマウスピース40のリード部44に接触している下唇の位置を求める。位置検出処理(ステップS21)の詳細については、後述する。
【0043】
そして、制御部100は、求められたマウスピース40のリード部44に接触している下唇の位置から、楽音の音色を設定する(ステップS22)。
【0044】
次に、制御部100は、息圧検出部50から出力された演奏者の息の圧力値を表す信号を受信して、演奏者の息の圧力値から楽音の音量を設定する(ステップS23)。さらに、操作子30から出力された操作子による指示を表す信号を受信して、演操作子による指示を表す信号から楽音の音高を設定する(ステップS24)。制御部100は、設定された楽音の音色と音量と音高とから楽音を表す情報を生成して、音源85に送信する。
【0045】
音源85は、制御部100から送信された楽音を表す情報に基づいて、楽音を生成する(ステップS25)。音源85は、生成された楽音を表す信号を発音部90に出力する。
【0046】
発音部90は、音源85から受信した楽音を表す信号に基づいて、電子楽器10の外部に楽音を出力する(ステップS26)。制御部100に終了指示が入力されない場合(ステップS27;NO)、発音処理は位置検出処理(ステップS21)に戻る。制御部100に終了指示が入力された場合(ステップS27;YES)、電子楽器10の発音処理は終了する。
【0047】
図14を参照して、位置検出処理(ステップS21)について説明する。まず、制御部100は、静電容量センサS0~S11の出力値を表す信号を受信して、静電容量センサS0~S11の出力値を取得する(ステップS100)。
【0048】
次に、制御部100は、取得された静電容量センサS0~S10の出力値を一端から順に積算し、出力値を順に積算された値(出力積算値)と、出力値のうちの、積算によって最初に出力値を積算された値(出力積算値)に所定の値を超えさせる第1出力値と、第1出力値を出力する静電容量センサの位置と、に基づいてマウスピース40のリード部44に接触している下唇の位置を求める(ステップS200)。以下では、ステップS200を具体的に説明する。
【0049】
ステップS200では、まず、制御部100は、静電容量センサS0~S10の出力値の温度ドリフトを補正する(ステップS201)。具体的には、制御部100は、静電容量センサS11の出力値を温度ドリフトによる出力値として、静電容量センサS0~S10のそれぞれの出力値と静電容量センサS11の出力値との差を、静電容量センサS0~S10の補正された出力値として求める。
そして、制御部100は、静電容量センサS0~S10の補正された出力値を、一端に位置する静電容量センサS0から順に積算する(ステップS202)。
【0050】
次に、制御部100は、積算によって求められた、静電容量センサS0~S10の補正された出力値の総和が、予め定められたしきい値以上か否かを判別する(ステップS203)。補正された出力値の総和が予め定められているしきい値よりも小さい場合(ステップS203;NO)、制御部100は、マウスピース40のリード部44に接触している下唇の位置をデフォルト位置(標準位置:例えば、7ビットで表現すると64)に設定する(ステップS204)。そして、位置検出処理(ステップS21)は終了する。ここで、予め定められたしきい値は、実験により求められる。例えば、演奏者が通常の力でマウスピース40を咥えた状態における、静電容量センサS0~S10の補正された出力値の総和の30%~50%を、予め定められたしきい値に設定できる。
【0051】
静電容量センサS0~S10の補正された出力値の総和が予め定められたしきい値以上である場合(ステップS203;YES)、制御部100は、積算によって最初に積算された値(出力積算値)に所定の値を超えさせる第1出力値と、第1出力値を出力する静電容量センサの位置を示す値とを求める(ステップS205)。ステップS205では、制御部100は、補正された出力値を一端に位置する静電容量センサS0から順に積算された値(出力積算値)と、静電容量センサS0~S10の補正された出力値とに基づいて、補正された出力値のうちの、積算によって最初に積算された値(出力積算値)に所定の値を超えさせる第1出力値を求める。さらに、制御部100は、第1出力値を出力する静電容量センサの位置を示す値を求める。ここで、所定の値は、複数の演奏者による実験から予め求められる値である。また、静電容量センサS0~S10の位置を示す値は、静電容量センサS0~S10のそれぞれの間隔に応じて、予め割り振られる値である。所定の値と静電容量センサS0~S10の位置を示す値は、例えば、制御部100のROM104に予め記憶されている。
【0052】
次に、制御部100は、求められた第1出力値に対する、所定の値と補正された出力値を積算された値(出力積算値)が所定の値を超える前までに積算された値との差の比率を求める(ステップS206)。さらに、制御部100は、求められた比率と、求められた第1出力値を出力する静電容量センサの位置を示す値との和を、マウスピース40のリード部44に接触している下唇の位置として求める(ステップS207)。そして、制御部100は、MIDI規格に対応させるために、求められた下唇の位置を7ビットで表す。
以上により、検出装置200は、マウスピース40のリード部44に接触している下唇の位置を、演奏者の下唇の厚さに依らず、正確に検出できる。
【0053】
(比較例)
比較例として、下唇の接触中心の位置(重心位置)を、マウスピース40のリード部44に接触している下唇の位置として求める例について説明する。下唇の接触中心の位置XGは、下記の式(1)により求められる。ここで、「xi」は静電容量センサS0~S10に割り振られた1~11の1刻みの番号であり、「mi」は「xi」に対応する静電容量センサS0~S10の補正された出力値である。
【0054】
【0055】
図8に示されている静電容量センサS0~S10の補正された出力値から、標準的な厚さの下唇を有する演奏者が所定の音色を発するようにマウスピース40を咥えている状態における下唇の接触中心の位置X
Gを求めると、X
G=3.18が求められる。そして、求められた下唇の接触中心の位置X
Gを7ビットで表現すると、下唇の接触中心の位置は39と表される。
【0056】
一方、
図12に示されている静電容量センサS0~S10の補正された出力値から、厚い下唇を有する演奏者が所定の音色を発するようにマウスピース40を咥えている状態における下唇の接触中心の位置X
Gを求めると、X
G=4.07が求められる。そして、求められた下唇の接触中心の位置X
Gを7ビットで表現すると、下唇の接触中心の位置は51と表される。したがって、下唇の接触中心の位置をマウスピース40のリード部44に接触している下唇の位置として求めると、演奏者の下唇の厚さに依存して、求められる下唇の位置が異なる場合がある。
【0057】
以上のように、検出装置200は、静電容量センサS0~S10の出力値を一端に位置する静電容量センサS0から順に積算し、順に積算された値(出力積算値)と、出力値のうちの、積算によって最初に出力値を積算された値(出力積算値)に所定の値を超えさせる第1出力値と、第1出力値を出力する静電容量センサの位置とに基づいて、マウスピース40のリード部44に接触している下唇の位置を検出する。これにより、検出装置200は、演奏者の下唇の厚さに依らず、マウスピース40のリード部44に接触している下唇の位置を正確に検出できる。本実施形態では、静電容量センサS0~S10の出力値を一端に位置する静電容量センサS0から順に積算された値(出力積算値)から下唇の位置を求めているので、下唇の位置をサクソフォンの下唇の口腔側の端部に対応する位置として、演奏者の下唇の厚さに依らず、正確に検出できる。
【0058】
検出装置200が、演奏者の下唇の厚さに依らず下唇の位置を正確に検出できるので、電子楽器10は、演奏者の意図に応じた楽音を発することができ、さらに、アコースティック管楽器の演奏感に近い演奏感を演奏者に与えることができる。
【0059】
(変形例)
以上、本発明の複数の実施の形態を説明したが、本発明は、上記の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0060】
実施形態では、電子楽器10はサクソフォンの形状を模しているが、電子楽器10はサクソフォンの形状を模した電子楽器に限られない。電子楽器10は、例えば、演奏者がリードを用いて演奏を表現するアコースティック管楽器(クラリネット等)を模した電子楽器であってもよい。
【0061】
静電容量センサS0~S11の電極70~81の形状は、平面視で長方形に限られない。電極70~81の形状は、V字形、波形等であってもよい。
【0062】
実施形態では、静電容量センサS11の出力値により、静電容量センサS0~S10の出力値の温度ドリフトを補正しているが、静電容量センサS0~S10の出力値は温度ドリフトを補正されなくともよい。
【0063】
静電容量センサS0~S10の位置を示す値は、0から1刻み(すなわち0~10の整数)に限られない。例えば、静電容量センサS0~S10の位置を示す値は、リード基板45の自由端部45bと静電容量センサS0~S10の電極70~80のそれぞれとの距離であってもよい。
【0064】
接触検出部60は、静電容量センサS0~S10に限らず、接触を検出するセンサを備えればよい。例えば、接触検出部60は、静電容量センサS0~S10に代えて複数の圧力センサを備えてもよい。
【0065】
実施形態では、接触検出部60は演奏者の下唇の接触を検出しているが、接触検出部60は演奏者の下唇の接触と共に、リード部44への演奏者の舌の接触を検出してもよい。この場合、新たな電極がリード基板45の自由端部45bと静電容量センサS0の電極70との間に設けられる。接触検出部60は、新たな電極とリード基板45とから構成される静電容量センサにより、演奏者の舌の接触を検出する。制御部100は、リード部44への舌の接触の有無に応じて、楽音のノートオン(発音)とノートオフ(発音キャンセル)とを設定してもよい。
【0066】
実施形態の検出装置200はリード部44に接触している演奏者の下唇の位置を検出しているが、検出装置200はユーザの接触位置を検出してもよい。例えば、接触検出部60がユーザの指の接触を検出して、制御部100がユーザの指の位置を求めることにより、検出装置200が接触しているユーザの指の位置(すなわち、ユーザの接触位置)を検出してもよい。ユーザの指の位置を検出する検出装置200は、例えば、演奏者の指の位置に応じて楽音のエフェクト(ピッチベンド、ビブラート等)を制御する電子楽器、ユーザの指により操作される電子機器等に適用できる。
【0067】
制御部100の機能は、専用のシステムによらず、通常の情報携帯端末、パーソナルコンピュータ等を用いて実行可能である。例えば、電子楽器10の発音処理又は位置検出処理を実行するためのコンピュータプログラムを、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納して配布し、このコンピュータプログラムをパーソナルコンピュータ等にインストールすることにより、発音処理又は位置検出処理を実行する情報端末を構成してもよい。また、インターネット等の通信ネットワーク上のサーバ装置が有する記憶装置にこのコンピュータプログラムを格納しておき、通常の情報処理端末などがダウンロード等することで情報処理装置を構成してもよい。
【0068】
また、制御部100の機能を、OS(Operating System)とアプリケーションプログラムとの分担、又は、OSとアプリケーションプログラムとの協働により実現する場合などには、アプリケーションプログラム部分のみを記録媒体や記憶装置に格納してもよい。
【0069】
さらに、搬送波にコンピュータプログラムを重畳し、通信ネットワークを介して配信することも可能である。例えば、通信ネットワーク上の掲示板(BBS:Bulletin Board System)に、コンピュータプログラムを掲示し、ネットワークを介してこのコンピュータプログラムを配信してもよい。そして、このコンピュータプログラムを起動し、OSの制御下で、他のアプリケーションプログラムと同様に実行することにより、上述の処理を実行できるように構成してもよい。
【0070】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施の形態に限定されるものではなく、本発明には、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲とが含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
【0071】
(付記)
(付記1)
所定の方向に順に配列され、ユーザの接触の検出結果を示す出力値を出力する複数のセンサと、
前記複数のセンサからの前記出力値に基づいて前記ユーザの接触位置を求める制御部と、を備え、
前記制御部は、前記複数のセンサによる複数の前記出力値を前記配列の一端から順に積算した出力積算値と、前記複数の出力値のうち、前記積算によって最初に前記出力積算値に所定の値を超えさせる第1出力値と、前記第1出力値を出力する前記センサの位置と、に基づいて前記ユーザの接触位置を求める、
検出装置。
【0072】
(付記2)
前記制御部は、前記第1出力値に対する、前記所定の値と前記出力積算値が前記所定の値を超える前までに積算された値との差の比率を求め、求められた前記比率と前記第1出力値を出力する前記センサの位置を示す値との和を、前記ユーザの接触位置を示す値として求める、
付記1に記載の検出装置。
【0073】
(付記3)
前記所定の値が、前記複数のセンサの出力値の総和の5%以上50%以下である、
付記1又は2に記載の検出装置。
【0074】
(付記4)
前記複数のセンサは、前記ユーザの唇の接触を検出する、
付記1乃至3のいずれか1つに記載の検出装置。
【0075】
(付記5)
付記1乃至4のいずれか1つに記載の検出装置と、
前記検出装置により求められた前記ユーザの接触位置に基づいて、楽音を生成する音源と、を備える、
電子楽器。
【0076】
(付記6)
前記複数のセンサを設けられたマウスピースを備える、
付記5に記載の電子楽器。
【0077】
(付記7)
所定の方向に順に配列されユーザの接触を検出する複数のセンサから、検出結果を示す出力値を取得する工程と、
取得された前記複数のセンサによる複数の前記出力値を前記配列の一端から順に積算した出力積算値と、前記複数のセンサからの前記出力値のうち、前記積算によって最初に前記出力積算値に所定の値を超えさせる第1出力値と、前記第1出力値を出力する前記センサの位置と、に基づいて前記ユーザの接触位置を求める工程と、を含む、
検出方法。
【0078】
(付記8)
コンピュータに、
所定の方向に順に配列されユーザの接触を検出する複数のセンサから、検出結果を示す出力値を取得する処理と、
取得された前記複数のセンサによる複数の前記出力値を前記配列の一端から順に積算した出力積算値と、前記複数のセンサからの前記出力値のうち、前記積算によって最初に前記出力積算値に所定の値を超えさせる第1出力値と、前記第1出力値を出力する前記センサの位置と、に基づいて前記ユーザの接触位置を求める処理と、を実行させる、
プログラム。
【符号の説明】
【0079】
10・・・電子楽器、20・・・管体部、30・・・操作子、40・・・マウスピース、40a・・・吹込口、42・・・本体部、42a・・・端部、42b・・・側部、44・・・リード部、45・・・リード基板、45a・・・第1主面、45b・・・自由端部、45c・・・固定端部、46・・・固定部、50・・・息圧検出部、52・・・圧力センサ、54・・・ADC、60・・・接触検出部、62・・・MCU、70,71,72,73,74,75,76,77,78,79,80,81・・・電極、85・・・音源、90・・・発音部、100・・・制御部、102・・・CPU、104・・・ROM、106・・・RAM、108・・・入出力インタフェース、200・・・検出装置、S0,S1,S2,S3,S4,S5,S6,S7,S8,S9,S10,S11・・・静電容量センサ