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特許7423977電力管理システム、電力管理装置、電力管理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】電力管理システム、電力管理装置、電力管理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20240123BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20240123BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20240123BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240123BHJP
   H02J 3/46 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
H02J13/00 311T
H02J3/14 130
H02J3/32
H02J3/38 130
H02J3/38 160
H02J3/46
【請求項の数】 28
(21)【出願番号】P 2019194491
(22)【出願日】2019-10-25
(65)【公開番号】P2021069236
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐野 彰彦
(72)【発明者】
【氏名】船本 昭宏
(72)【発明者】
【氏名】田村 兵衛
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-100427(JP,A)
【文献】特開2013-038838(JP,A)
【文献】国際公開第2015/178169(WO,A1)
【文献】特開2012-228044(JP,A)
【文献】特開2015-056975(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 3/00-5/00
H02J 13/00
H03J 9/00-9/06
H04Q 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
分散型電源として電力を発電する発電部及び充放電可能な蓄電池と
複合施設に設置され、前記発電部によって発電された電力である発電電力及び前記蓄電池に充電された電力が供給される複数の電気設備と、
前記発電電力による前記電気設備の稼働状態を制御する管理装置と、
を備えた電力管理システムであって、
前記管理装置は、
前記発電電力を監視する電力監視部と、
前記蓄電池の残電力量を取得する残電力量取得部と、
前記残電力量に応じて、前記電気設備の前記稼働状態を制御する際の前記発電電力を調整する調整電力を記憶する調整電力記憶部と、
前記電気設備による消費電力を取得する消費電力取得部と、
前記稼働状態の制御の内容である前記稼働状態の変更の可否を判断するための電力の閾値及び該稼働状態の変更の有無を示す指標と優先順位とを関連付けて記憶する制御情報記憶部と、
前記電気設備のそれぞれの前記稼働状態を制御する稼働制御部と、
前記電気設備の動作モードを取得する動作モード取得部と、
前記電気設備の前記動作モードに応じた前記閾値又は前記閾値及び前記優先順位を設定して前記制御情報記憶部に記憶させるモード設定部と、
を有し、
前記稼働制御部は、
前記稼働状態が変更されていない前記電気設備のうち前記優先順位の高い前記電気設備から順に、稼働している前記電気設備による前記消費電力の合計を、前記発電電力を前記調整電力によって調整した電力から減じた電力と、前記閾値とを比較し、該電気設備の前記消費電力が増加する前記稼働状態の変更を行うか否かを判断し、既に稼働している前記電気設備の前記消費電力に対する前記発電電力を前記調整電力によって調整した電力の余剰分がある場合には、前記制御情報記憶部に記憶された前記稼働状態の制御の内容とこれに関連付けられた前記優先順位に基づいて、稼働中の前記電気設備の前記消費電力の合計が増加するように、前記優先順位の高い順に、新たな前記電気設備を稼働させ、又は、前
記消費電力が増加する前記動作モードに変更し、
前記稼働状態が変更されている前記電気設備のうち前記優先順位の低い前記電気設備から順に、稼働している前記電気設備による前記消費電力の合計から前記優先順位の低い前記電気設備の前記消費電力を減じた電力を、前記発電電力を前記調整電力によって調整した電力から減じた電力と、前記閾値とを比較し、該電気設備の前記消費電力が減少する前記稼働状態の変更を行うか否かを判断し、既に稼働している前記電気設備の前記消費電力に対する前記発電電力を前記調整電力によって調整した電力の不足分がある場合には、前記制御情報記憶部に記憶された前記稼働状態の制御の内容とこれに関連付けられた前記優先順位に基づいて、稼働中の前記電気設備の前記消費電力の合計が減少するように、前記優先順位の低い順に、稼働している前記電気設備を停止させ、又は、前記消費電力が減少する前記動作モードに変更することを特徴とする電力管理システム。
【請求項2】
前記稼働制御部は、
前記調整電力を設定する期間を変更することを特徴とする請求項1に記載の電力管理システム。
【請求項3】
前記管理装置は、
前記電気設備の過去の消費電力に基づいて、該電気設備の前記閾値を設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の電力管理システム。
【請求項4】
前記電気設備の過去の消費電力は、該電気設備に接続されたスマートメータから取得することを特徴とする請求項3に記載の電力管理システム。
【請求項5】
前記管理装置は、
前記電気設備によって消費された電力量を取得する電力量取得部と、
前記電気設備の停止の可否を判断するための電力量の停止電力量閾値を記憶する停止電力量閾値記憶部と、
を有し、
前記稼働制御部は、
前記電気設備によって消費された前記電力量と、前記停止電力量閾値とを比較し、停止させる前記電気設備を決定することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電力管理システム。
【請求項6】
前記管理装置は、
前記電気設備から該電気設備が停止したことを示す停止信号を受信したとき、該電気設備を制御する優先順位及び該電気設備の前記停止電力量閾値の少なくともいずれかを変更することを特徴とする請求項5に記載の電力管理システム。
【請求項7】
前記管理装置は、
前記電気設備の過去に消費された電力量に基づいて、該電気設備の前記停止電力量閾値を設定することを特徴とする請求項5又は6に記載の電力管理システム。
【請求項8】
前記電気設備の過去に消費された電力量は、該電気設備に接続されたスマートメータから取得することを特徴とする請求項7に記載の電力管理システム。
【請求項9】
前記電気設備は系統に電気的に接続され、
前記発電部は前記電力を前記系統に逆潮流可能に接続されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の電力管理システム。
【請求項10】
分散型電源の発電部によって発電された電力である発電電力を監視する電力監視部と、
前記分散型電源である充放電可能な蓄電池の残電力量を取得する残電力量取得部と、
複合施設に設置され、前記発電電力が供給される複数の電気設備の稼働状態の制御の内容である前記稼働状態の変更の可否を判断するための電力の閾値及び該稼働状態の変更の有無を示す指標と優先順位とを関連付けて記憶する制御情報記憶部と、
前記残電力量に応じて、前記電気設備の前記稼働状態を制御する際の前記発電電力を調整する調整電力を記憶する調整電力記憶部と、
前記電気設備の消費電力を取得する消費電力取得部と、
前記電気設備のそれぞれの前記稼働状態を制御する稼働制御部と、
前記電気設備の動作モードを取得する動作モード取得部と、
前記電気設備の前記動作モードに応じた前記閾値又は前記閾値及び前記優先順位を設定して前記制御情報記憶部に記憶させるモード設定部と、
を備えた電力管理装置であって、
前記稼働制御部は、
前記稼働状態が変更されていない前記電気設備のうち前記優先順位の高い前記電気設備から順に、稼働している前記電気設備による前記消費電力の合計を、前記発電電力を前記調整電力によって調整した電力から減じた電力と、前記閾値とを比較し、該電気設備の前記消費電力が増加する前記稼働状態の変更を行うか否かを判断し、既に稼働している前記電気設備の前記消費電力に対する前記発電電力を前記調整電力によって調整した電力の余剰分がある場合には、前記制御情報記憶部に記憶された前記稼働状態の制御の内容とこれに関連付けられた前記優先順位に基づいて、稼働中の前記電気設備の前記消費電力の合計が増加するように、前記優先順位の高い順に、新たな前記電気設備を稼働させ、又は、前記消費電力が増加する前記動作モードに変更し、
前記稼働状態が変更されている前記電気設備のうち前記優先順位の低い前記電気設備から順に、稼働している前記電気設備による前記消費電力の合計から前記優先順位の低い前記電気設備の前記消費電力を減じた電力を、前記発電電力を前記調整電力によって調整した電力から減じた電力と、前記閾値とを比較し、該電気設備の前記消費電力が減少する前記稼働状態の変更を行うか否かを判断し、既に稼働している前記電気設備の前記消費電力に対する前記発電電力を前記調整電力によって調整した電力の不足分がある場合には、前記制御情報記憶部に記憶された前記稼働状態の制御の内容とこれに関連付けられた前記優先順位に基づいて、稼働中の前記電気設備の前記消費電力の合計が減少するように、前記優先順位の低い順に、稼働している前記電気設備を停止させ、又は、前記消費電力が減少する前記動作モードに変更することを特徴とする電力管理装置。
【請求項11】
前記稼働制御部は、
前記調整電力を設定する期間を変更することを特徴とする請求項10に記載の電力管理装置。
【請求項12】
前記電気設備の過去の消費電力に基づいて、該電気設備の前記閾値を設定することを特徴とする請求項10乃至11のいずれか1項に記載の電力管理装置。
【請求項13】
前記電気設備の過去の消費電力は、該電気設備に接続されたスマートメータから取得することを特徴とする請求項12に記載の電力管理装置。
【請求項14】
前記電気設備によって消費された電力量を取得する電力量取得部と、
前記電気設備の停止の可否を判断するための電力量の停止電力量閾値を記憶する停止電力量閾値記憶部と、
を備え、
前記稼働制御部は、
前記電気設備によって消費された前記電力量と、前記停止電力量閾値とを比較し、停止させる前記電気設備を決定することを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記
載の電力管理装置。
【請求項15】
前記電気設備から該電気設備が停止したことを示す停止信号を受信したとき、該電気設備を制御する優先順位及び該電気設備の前記停止電力量閾値の少なくともいずれかを変更することを特徴とする請求項14に記載の電力管理装置。
【請求項16】
前記電気設備によって過去に消費された電力量に基づいて、該電気設備の前記停止電力量閾値を設定することを特徴とする請求項14又は15に記載の電力管理装置。
【請求項17】
前記電気設備によって過去に消費された電力量は、前記電気設備に接続されたスマートメータから取得することを特徴とする請求項16に記載の電力管理装置。
【請求項18】
分散型電源の発電部によって発電された電力である発電電力及び該分散型電源に含まれる充放電可能な蓄電池に充電された電力が供給される、複合施設に設置された複数の電気設備の稼働状態を制御する電力管理方法であって、
前記発電電力を監視するステップと、
前記蓄電池の残電力量を取得するステップと、
前記残電力量に応じて、前記電気設備の前記稼働状態を制御する際の前記発電電力を調整する調整電力を取得するステップと、
前記電気設備による消費電力を取得するステップと、
前記電気設備に対する前記稼働状態の制御の内容である前記稼働状態の変更の有無を判断するための電力の閾値及び該稼働状態の変更の有無を示す指標とこれに関連付けられた優先順位とを取得するステップと、
前記電気設備の動作モードを取得するステップと、
前記電気設備の前記動作モードに応じた前記閾値又は前記閾値及び前記優先順位を設定するステップと、
前記優先順位に基づいて、前記電気設備の前記稼働状態を制御するステップと、
を含み、
前記電気設備の前記稼働状態を制御するステップは、
前記稼働状態が変更されていない前記電気設備のうち前記優先順位の高い前記電気設備から順に、稼働している前記電気設備による前記消費電力の合計を、前記発電電力を前記調整電力によって調整した電力から減じた電力と、該電気設備について設定された前記閾値とを比較し、該電気設備の前記消費電力が増加する前記稼働状態の変更を行うか否かを判断し、既に稼働している前記電気設備の前記消費電力に対する前記発電電力を前記調整電力によって調整した電力の余剰分がある場合には、前記稼働状態の制御の内容とこれに関連付けられた前記優先順位に基づいて、稼働中の前記電気設備の前記消費電力の合計が増加するように、前記優先順位の高い順に、新たな前記電気設備を稼働させ、又は、前記消費電力が増加する前記動作モードに変更するステップと、
前記稼働状態が変更されている前記電気設備のうち前記優先順位の低い前記電気設備から順に、稼働している前記電気設備による前記消費電力の合計から前記優先順位の低い前記電気設備の前記消費電力を減じた電力を、前記発電電力を前記調整電力によって調整した電力から減じた電力と、前記閾値とを比較し、該電気設備の前記消費電力が減少する前記稼働状態の変更を行うか否かを判断し、既に稼働している前記電気設備の前記消費電力に対する前記発電電力を前記調整電力によって調整した電力の不足分がある場合には、前記稼働状態の制御の内容とこれに関連付けられた前記優先順位に基づいて、稼働中の前記電気設備の前記消費電力の合計が減少するように、前記優先順位の低い順に、稼働している前記電気設備を停止させ、又は、前記消費電力が減少する前記動作モードに変更するするステップとを含む電力管理方法。
【請求項19】
請求項18に記載の電力管理方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプロ
グラム。
【請求項20】
分散型電源として電力を発電する発電部と、
複合施設に設置され、前記発電部によって発電された電力である発電電力が供給される複数の電気設備と、
前記発電電力による前記電気設備の稼働状態を制御する管理装置と、
を備えた電力管理システムであって、
前記管理装置は、
前記発電電力を監視する電力監視部と、
前記電気設備による消費電力を取得する消費電力取得部と、
前記電気設備によって消費された電力量を取得する電力量取得部と、
前記稼働状態の制御の内容である前記稼働状態の変更の可否を判断するための電力の閾値及び該稼働状態の変更の有無を示す指標と優先順位とを関連付けて記憶する制御情報記憶部と、
前記電気設備の停止の可否を判断するための電力量の停止電力量閾値を記憶する停止電力量閾値記憶部と、
前記電気設備のそれぞれの前記稼働状態を制御する稼働制御部と、
前記電気設備の動作モードを取得する動作モード取得部と、
前記電気設備の前記動作モードに応じた前記閾値又は前記閾値及び前記優先順位を設定して前記制御情報記憶部に記憶させるモード設定部と、
を有し、
前記稼働制御部は、
前記稼働状態が変更されていない前記電気設備のうち前記優先順位の高い前記電気設備から順に、稼働している前記電気設備による前記消費電力の合計を前記発電電力から減じた電力と、前記閾値とを比較し、該電気設備の前記消費電力が増加する前記稼働状態の変更を行うか否かを判断し、稼働している前記電気設備による前記消費電力の合計を前記発電電力から減じた前記電力が、前記閾値を超えている場合には、前記制御情報記憶部に記憶された前記稼働状態の制御の内容とこれに関連付けられた前記優先順位に基づいて、稼働中の前記電気設備の前記消費電力の合計が増加するように、前記優先順位の高い順に、新たな前記電気設備を稼働させ、又は、前記消費電力が増加する前記動作モードに変更し、
稼働している前記電気設備による前記消費電力の合計を前記発電電力から減じた前記電力が、前記閾値を超えていない場合には、前記稼働状態が変更されている前記電気設備のうち前記優先順位の低い前記電気設備から順に、稼働している前記電気設備による前記消費電力の合計から前記優先順位の低い前記電気設備の前記消費電力を減じた電力を前記発電電力から減じた電力と、前記閾値とを比較し、該電気設備の前記消費電力が減少する前記稼働状態の変更を行うか否かを判断し、稼働している前記電気設備による前記消費電力の合計から前記優先順位の低い前記電気設備の前記消費電力を減じた電力を前記発電電力から減じた前記電力が、前記閾値を下回っている場合には、前記制御情報記憶部に記憶された前記稼働状態の制御の内容とこれに関連付けられた前記優先順位に基づいて、稼働中の前記電気設備の前記消費電力の合計が減少するように、前記優先順位の低い順に、稼働している前記電気設備を停止させ、又は、前記消費電力が減少する前記動作モードに変更し、稼働している前記電気設備による前記消費電力の合計から前記優先順位の低い前記電気設備の前記消費電力を減じた電力を前記発電電力から減じた前記電力が、前記閾値を下回っていない場合には、前記電気設備によって消費された前記電力量と、前記停止電力量閾値とを比較し、停止させる前記電気設備を決定することを特徴とする電力管理システム。
【請求項21】
前記管理装置は、
前記電気設備から該電気設備が停止したことを示す停止信号を受信したとき、該電気設
備を制御する優先順位及び該電気設備の前記停止電力量閾値の少なくともいずれかを変更することを特徴とする請求項20に記載の電力管理システム。
【請求項22】
前記管理装置は、
前記電気設備の過去に消費された電力量に基づいて、該電気設備の前記停止電力量閾値を設定することを特徴とする請求項20又は21に記載の電力管理システム。
【請求項23】
前記電気設備の過去に消費された電力量は、該電気設備に接続されたスマートメータから取得することを特徴とする請求項22に記載の電力管理システム。
【請求項24】
前記電気設備は系統に電気的に接続され、
前記発電部は前記電力を前記系統に逆潮流可能に接続されていることを特徴とする請求項20乃至22のいずれか1項に記載の電力管理システム。
【請求項25】
分散型電源の発電部によって発電された電力である発電電力を監視する電力監視部と、
複合施設に設置され、前記発電電力が供給される複数の電気設備の稼働状態の制御の内容である前記稼働状態の変更の可否を判断するための電力の閾値及び該稼働状態の変更の有無を示す指標と優先順位とを関連付けて記憶する制御情報記憶部と、
前記電気設備の消費電力を取得する消費電力取得部と、
前記電気設備によって消費された電力量を取得する電力量取得部と、
前記電気設備のそれぞれの前記稼働状態を制御する稼働制御部と、
前記電気設備の動作モードを取得する動作モード取得部と、
前記電気設備の前記動作モードに応じた前記閾値又は前記閾値及び前記優先順位を設定して前記制御情報記憶部に記憶させるモード設定部と、
前記電気設備の停止の可否を判断するための電力量の停止電力量閾値を記憶する停止電力量閾値記憶部と、
を備えた電力管理装置であって、
前記稼働制御部は、
前記稼働状態が変更されていない前記電気設備のうち前記優先順位の高い前記電気設備から順に、稼働している前記電気設備による前記消費電力の合計を前記発電電力から減じた電力と、前記閾値とを比較し、該電気設備の前記消費電力が増加する前記稼働状態の変更を行うか否かを判断し、稼働している前記電気設備による前記消費電力の合計を前記発電電力から減じた前記電力が、前記閾値を超えている場合には、前記制御情報記憶部に記憶された前記稼働状態の制御の内容とこれに関連付けられた前記優先順位に基づいて、稼働中の前記電気設備の前記消費電力の合計が増加するように、前記優先順位の高い順に、新たな前記電気設備を稼働させ、又は、前記消費電力が増加する前記動作モードに変更し、
稼働している前記電気設備による前記消費電力の合計を前記発電電力から減じた前記電力が、前記閾値を超えていない場合には、前記稼働状態が変更されている前記電気設備のうち前記優先順位の低い前記電気設備から順に、稼働している前記電気設備による前記消費電力の合計から前記優先順位の低い前記電気設備の前記消費電力を減じた電力を前記発電電力から減じた電力と、前記閾値とを比較し、該電気設備の前記消費電力が減少する前記稼働状態の変更を行うか否かを判断し、稼働している前記電気設備による前記消費電力の合計から前記優先順位の低い前記電気設備の前記消費電力を減じた電力を前記発電電力から減じた前記電力が、前記閾値を下回っている場合には、前記制御情報記憶部に記憶された前記稼働状態の制御の内容とこれに関連付けられた前記優先順位に基づいて、稼働中の前記電気設備の前記消費電力の合計が減少するように、前記優先順位の低い順に、稼働している前記電気設備を停止させ、又は、前記消費電力が減少する前記動作モードに変更し、稼働している前記電気設備による前記消費電力の合計から前記優先順位の低い前記電気設備の前記消費電力を減じた電力を前記発電電力から減じた前記電力が、前記閾値を下
回っていない場合には、前記電気設備によって消費された前記電力量と、前記停止電力量閾値とを比較し、停止させる前記電気設備を決定することを特徴とする電力管理装置。
【請求項26】
前記電気設備から該電気設備が停止したことを示す停止信号を受信したとき、該電気設備を制御する優先順位及び該電気設備の前記停止電力量閾値の少なくともいずれかを変更することを特徴とする請求項25に記載の電力管理装置。
【請求項27】
前記電気設備によって過去に消費された電力量に基づいて、該電気設備の前記停止電力量閾値を設定することを特徴とする請求項25又は26に記載の電力管理装置。
【請求項28】
前記電気設備によって過去に消費された電力量は、前記電気設備に接続されたスマートメータから取得することを特徴とする請求項27に記載の電力管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力管理システム、電力管理装置、電力管理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の電力供給先を含む複合施設の一例である集合住宅等の複数の住戸のまとまりに太陽電池等の分散電源を設置する場合には、一部の住戸や共用部にのみ分散電源の電力を供給し、余剰電力を系統へ逆潮流させていた。あるいは、分散電源による電力をすべて系統へ逆潮流させていた。また、各住戸に対して分散型電源を設置し、各住戸で分散型電源の電力を活用していた。
【0003】
このように、分散型電源を設置しても、分散型電源の設置場所での電力の活用が限定的なものにとどまるか、又は全く活用されなかった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、分散型電源の発電部によって発電された電力を複数の電力供給先を含む複合施設において有効に活用することが可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するための本発明は、
分散型電源として電力を発電する発電部と、
複合施設に設置され、前記発電部によって発電された電力である発電電力が供給される複数の電気設備と、
前記発電電力による前記電気設備の稼働状態を制御する管理装置と、
を備えた電力管理システムであって、
前記管理装置は、
前記発電電力を監視する電力監視部と、
前記電気設備による消費電力を取得する消費電力取得部と、
前記稼働状態の制御の内容と優先順位とを関連付けて記憶する制御情報記憶部と、
前記電気設備のそれぞれの前記稼働状態を制御する稼働制御部と、
を有し、
前記稼働制御部は、
稼働する前記電気設備による前記消費電力が前記発電電力で賄えるように、前記優先順位に基づいて、前記電気設備の稼働状態を制御することを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、分散型電源の発電部によって発電された電力を、複合施設に設置された複数の電気設備に供給して活用することができる。分散型電源の発電部が太陽電池のように自然エネルギーを利用して発電する場合には、特に、環境条件によって発電電力が変動するため、複数の電気設備で活用することが難しい。本発明では、複数の電気設備の稼働状態の制御の内容と優先順位とを関連付けて記憶している。そして、管理装置の電力監視部が、発電部によって発電された発電電力を監視し、稼働制御部が、稼働する前記電気設備による消費電力が発電電力で賄えるように、優先順位に基づいて、これに関連付けられた稼働状態の制御の内容に従って、電気設備の稼働状態を制御する。稼働する電気設備による消費電力が発電電力で賄えるように電気設備の稼働状態を制御するには、既に稼働している電気設備の消費電力に対する発電電力の余剰分がある場合には、制御情報記憶部に記憶された稼働状態の制御の内容とこれに関連付けられた優先順位に基づいて、稼働中
の電気設備の消費電力の合計が増加するように、優先順位の高い順に、新たな電気設備を稼働させ、又は、消費電力が増加する動作モードに変更する。そして、既に稼働している電気設備の消費電力に対する発電電力の不足分がある場合には、制御情報記憶部に記憶された稼働状態の制御の内容とこれに関連付けられた優先順位に基づいて、稼働中の電気設備の消費電力の合計が減少するように、優先順位の低い順に、稼働している電気設備を停止させ、又は、消費電力が減少する動作モードに変更する。稼働状態の制御の内容としては、後述するような、稼働状態の変更の可否を判断するための電力の閾値を含めることができるが、これに限られない。電力の閾値を用いて、稼働状態の可否を判断するには、稼働中の電気設備の消費電力と発電電力との差分と、閾値とを比較してもよいし、稼働中の電気設備の消費電力に閾値を加えた電力、又は稼働中の電気設備の消費電力から閾値を減じた電力と発電電力とを比較してもよい。このようにすれば、複合施設に設置された複数の電気設備のうち、分散型電源の発電部によって発電された電力を供給する電気設備の台数を、各電気設備の出力(消費電力)と必要性に応じて制御することにより、分散型電源の発電部によって発電された電力を有効に活用することができる。
電気設備の消費電力は、稼働中の電気設備において消費されている電力の実測値を取得してもよいし、定格値等としての消費電力を予め取得しておいてもよい。
ここで、複合施設とは、分散型電源の発電部によって発電された発電電力の複数の電力供給先を含む施設であり、集合住宅のように複数の住戸がまとまった同一の建物を含むが、これに限られず、分散型電源の発電部を共用できる範囲であれば、複数の建物を含む施設も含まれる。
【0007】
また、本発明において、
前記制御情報記憶部は、前記優先順位と、前記稼働状態の制御の内容である前記稼働状態の変更の可否を判断するための電力の閾値及び該稼働状態の変更の有無を示す指標とを関連付けて記憶し、
前記稼働制御部は、
前記稼働状態が変更されていない前記電気設備のうち前記優先順位の高い前記電気設備から順に、稼働している前記電気設備による消費電力の合計を前記発電電力から減じた電力と、前記閾値とを比較し、該電気設備の消費電力が増加する前記稼働状態の変更を行うか否かを判断し、
前記稼働状態が変更されている前記電気設備のうち前記優先順位の低い前記電気設備から順に、稼働している前記電気設備による消費電力の合計から前記優先順位の低い前記電気設備の消費電力を減じた電力を前記発電電力から減じた電力と、前記閾値とを比較し、該電気設備の消費電力が減少する前記稼働状態の変更を行うか否かを判断するようにしてもよい。
【0008】
本発明では、複数の電気設備のそれぞれに、制御する優先順位を設定し、さらに、複数の電気設備のそれぞれの稼働状態の変更の可否を判断するための電力の閾値と、稼働状態の変更の有無を示す指標を設定している。そして、管理装置の電力監視部が、発電部によって発電された発電電力を監視し、管理装置の稼働制御部が、稼働状態が変更されていない電気設備のうち優先順位の高い電気設備から順に、稼働している電気設備による消費電力の合計を、発電電力から減じた電力と、閾値とを比較し、当該電気設備の消費電力が増加する稼働状態の変更を行うか否かを判断する。また、管理装置の稼働制御部は、稼働状態が変更されている電気設備のうち優先順位の低い電気設備から順に、稼働している電気設備による消費電力の合計から、判断の対象となっている当該優先順位の低い電気設備の消費電力を減じた電力を、発電電力から減じた電力と、判断の対象となっている当該閾値とを比較し、当該電気設備の消費電力が減少する稼働状態の変更を行うか否かを判断する。このようにすれば、複合施設に設置された複数の電気設備のうち、分散型電源の発電部によって発電された電力を供給する電気設備の台数を、各電気設備の出力(消費電力)と必要性に応じて制御することにより、分散型電源の発電部によって発電された電力を有効
に活用することができる。
【0009】
また、本発明において、
前記電気設備の消費電力が増加する前記稼働状態の変更は、前記電気設備の起動又は動作モードの変更を含み、
前記電気設備の消費電力が減少する前記稼働状態の変更は、前記電気設備の停止又は前記動作モードの変更を含む。
【0010】
このようにすれば、管理システムにおいて、複数の電気設備の稼働状態を制御して、発電電力を活用する際に、電気設備の起動及び停止のみならず、電気設備の消費電力が増加又は減少するような動作モードの変更を行うことができるので、電気設備の稼働状態のより細やかな制御により、発電電力をより有効に活用することができる。
【0011】
また、本発明において、前記管理装置は、
前記電気設備の前記動作モードを取得する動作モード取得部と、
前記電気設備の前記動作モードに応じた前記閾値又は前記閾値及び前記優先順位を設定して前記制御情報記憶部に記憶させるモード設定部と、
を備える。
【0012】
このようにすれば、ユーザによる動作モードの設定を受け付ける等により電気設備の動作モードを取得し、取得した動作モードに応じた閾値を設定し、又は、閾値及び優先順位が設定して記憶される。従って、設定された動作モードで電気設備を起動及び停止させ、又は、稼働中に動作モードの切り替えを行うことができる。
【0013】
また、本発明において、
前記分散型電源として、充放電可能な蓄電池を備え、
前記管理装置は、
前記蓄電池の残電力量を取得する残電力量取得部と、
前記残電力量に応じて、前記電気設備の前記稼働状態を制御する際の前記発電電力を調整する調整電力を記憶する調整電力記憶部と、
を有し、
前記稼働制御部は、
前記稼働状態が変更されていない前記電気設備のうち前記優先順位の高い前記電気設備から順に、稼働している前記電気設備による消費電力の合計を、前記発電電力を前記調整電力によって調整した電力から減じた電力と、前記閾値とを比較し、該電気設備の消費電力が増加する前記稼働状態の変更を行うか否かを判断し、
前記稼働状態が変更されている前記電気設備のうち前記優先順位の低い前記電気設備から順に、稼働している前記電気設備による消費電力の合計から前記優先順位の低い前記電気設備の消費電力を減じた電力を、前記発電電力を前記調整電力によって調整した電力から減じた電力と、前記閾値とを比較し、該電気設備の消費電力が減少する前記稼働状態の変更を行うか否かを判断するようにしてもよい。
【0014】
本発明によれば、分散型電源として、発電部によって発電される電力又は系統から供給される電力によって充電され、充電された電力を放電する蓄電池を備え、複数の電気設備に発電部から供給される電力を、蓄電池から放電される電力によって調整して補完することができる。本発明では、蓄電池の残電力量に応じて、電気設備の稼働状態を制御する際の電力を調整する調整電力を設定している。そして、管理装置の残電力量取得部によって、蓄電池の残電力量を取得し、稼働制御部が、稼働状態が変更されていない電気設備のうち優先順位の高い電気設備から順に、稼働している電気設備による消費電力の合計を、発電電力を調整電力によって調整した電力から減じた電力と、閾値とを比較し、当該電気設
備の消費電力が増加する稼働状態の変更を行うか否かを判断している。また、稼働制御部は、稼働状態が変更されている電気設備のうち優先順位の低い電気設備から順に、稼働している電気設備による消費電力の合計から、判断の対象となっている優先順位の低い電気設備の消費電力を減じた電力を、発電電力を調整電力によって調整した電力から減じた電力と、当該閾値とを比較し、当該電気設備の消費電力が減少する稼働状態の変更を行うか否かを判断する。このようにすれば、複数の電気設備のうち、発電電力を、蓄電池の残電力量に応じて設定された調整電力によって調整した電力を複数の電気設備に供給することができるので、より多くの台数の電気設備の稼働状態を制御することができ、分散型電源の発電部によって発電された発電電力と蓄電池に充電された電力を有効に活用することができる。
【0015】
また、本発明において、
前記稼働制御部は、
前記調整電力を設定する期間を変更するようにしてもよい。
【0016】
発電部によって発電される電力の変動が激しい場合には、調整電力を設定しておく期間を長めに変更することができるので、発電電力に応じた調整電力を設定する期間を変更することにより、分散型電源の発電部によって発電された発電電力と蓄電池に充電された電力を有効に活用することができる。
【0017】
前記管理装置は、
前記電気設備の過去の消費電力に基づいて、該電気設備の前記閾値を設定するようにしてもよい。
【0018】
このようにすれば、それぞれの電気設備の特性に応じた閾値を設定することができるので、発電電力をより有効に活用することができる。
【0019】
前記電気設備の過去の消費電力は、該電気機器に接続されたスマートメータから取得するようにしてもよい。
【0020】
このように、電気設備の過去の消費電力をスマートメータから取得すれば、別途、電気設備の過去の消費電力を記録する装置を設ける必要がない。
【0021】
また、本発明において
前記管理装置は、
前記電気設備によって消費された電力量を取得する電力量取得部と、
前記電気設備の停止の可否を判断するための電力量の停止電力量閾値を記憶する停止電力量閾値記憶部と、
を有し、
前記稼働制御部は、
前記電気設備によって消費された前記電力量と、前記停止電力量閾値とを比較し、停止させる前記電気設備を決定するようにしてもよい。
【0022】
本発明においては、複数の電気設備のそれぞれの停止の可否を判断するための電力量の停止電力量閾値を設定している。そして、管理装置電力量取得部が発電部から各電気設備に供給された電力量を取得し、稼働制御部が既に稼働している電気設備に供給された電力量と、停止電力量閾値とを比較し、停止させる電気設備を決定する。このようにすれば、電気設備に必要な電力量が供給された電気設備を停止させることにより、発電電力や、これを蓄電池に充電された電力によって調整した電力を有効に活用して、電気設備を稼働させることができる。
このように、停止電力量閾値に基づいて稼働を停止された電気設備については、優先順位記憶部及び電力閾値記憶部から削除してもよい。
【0023】
前記管理装置は、
前記電気設備から該電気設備が停止したことを示す停止信号を受信したとき、該電気設備を制御する優先順位、該電気設備の前記停止電力量閾値の少なくともいずれかを変更するようにしてもよい。
【0024】
このようにすれば、管理装置側における電気設備の消費電力量と停止電力量閾値に基づく制御と、電気設備側の制御とが競合するがことなく、発電電力を、電気設備の他の稼働状態の制御に有効に活用することができる。
【0025】
前記管理装置は、
前記電気設備によって過去に消費された電力量に基づいて、該電気設備の前記停止電力量閾値を設定するようにしてもよい。
【0026】
このようにすれば、それぞれの電気設備の特性に応じた停止電力量閾値を設定することができるので、発電電力をより有効に活用することができる。
【0027】
前記電気設備によって過去に消費された電力量は、前記電気機器に接続されたスマートメータから取得するようにしてもよい。
【0028】
このように、電気設備の過去に消費された電力量をスマートメータから取得すれば、別途、電気設備の過去に消費された電力量を記録する装置を設ける必要がない。
【0029】
また、本発明において、
前記電気設備は系統に電気的に接続され、
前記発電部は前記電力を前記系統に逆潮流可能に接続されているようにしてもよい。
【0030】
このように電気設備が系統に電気的に接続され、発電部によって発電された電力が系統に逆潮流可能に接続されていれば、上述のように複数の電気設備の稼働を制御することにより、発電部によって発電された電力の系統への逆潮流や系統から電気設備への電力供給を低減することができる。
【0031】
また、本発明は、
分散型電源の発電部によって発電された電力である発電電力を監視する電力監視部と、
前記発電電力が供給される複数の電気設備の稼働状態の制御の内容と優先順位とを関連付けて記憶する制御情報記憶部と、
前記電気設備の消費電力を取得する消費電力取得部と、
前記電気設備のそれぞれの前記稼働状態を制御する稼働制御部と、
を備えた電力管理装置であって、
前記稼働制御部は、
稼働する前記電気設備による前記消費電力が前記発電電力で賄えるように、前記優先順位に基づいて、前記電気設備の稼働状態を制御することを特徴とする。
【0032】
本発明によれば、分散型電源の発電部によって発電された電力を、複合施設に設置された複数の電気設備に供給して活用することができる。分散型電源の発電部が太陽電池のように自然エネルギーを利用して発電する場合には、特に、環境条件によって発電電力が変動するため、複数の電気設備で活用することが難しい。本発明では、複数の電気設備の稼働状態の制御の内容と優先順位とを関連付けて記憶している。そして、管理装置の電力監
視部が、発電部によって発電された発電電力を監視し、稼働制御部が、稼働する前記電気設備による消費電力が発電電力で賄えるように、優先順位に基づいて、これに関連付けられた稼働状態の制御内容に従って、電気設備の稼働状態を制御する。稼働する電気設備による消費電力が発電電力で賄えるように電気設備の稼働状態を制御するには、既に稼働している電気設備の消費電力に対する発電電力の余剰分がある場合には、制御情報記憶部に記憶された稼働状態の制御の内容とこれに関連付けられた優先順位に基づいて、稼働中の電気設備の消費電力の合計が増加するように、優先順位の高い順に、新たな電気設備を稼働させ、又は、消費電力が増加する動作モードに変更する。そして、既に稼働している電気設備の消費電力に対する発電電力の不足分がある場合には、制御情報記憶部に記憶された稼働状態の制御の内容とこれに関連付けられた優先順位に基づいて、稼働中の電気設備の消費電力の合計が減少するように、優先順位の低い順に、稼働している電気設備を停止させ、又は、消費電力が減少する動作モードに変更する。稼働状態の制御の内容としては、後述するような、稼働状態の変更の可否を判断するための電力の閾値を含めることができるが、これに限られない。電力の閾値を用いて、稼働状態の可否を判断するには、稼働中の電気設備の消費電力と発電電力との差分と、閾値とを比較してもよいし、稼働中の電気設備の消費電力に閾値を加えた電力、又は稼働中の電気設備の消費電力から閾値を減じた電力と発電電力とを比較してもよい。このようにすれば、複合施設に設置された複数の電気設備のうち、分散型電源の発電部によって発電された電力を供給する電気設備の台数を、各電気設備の出力(消費電力)と必要性に応じて制御することにより、分散型電源の発電部によって発電された電力を有効に活用することができる。
ここで、複合施設とは、分散型電源の発電部によって発電された発電電力の複数の電力供給先を含む施設であり、集合住宅のように複数の住戸がまとまった同一の建物を含むが、これに限られず、分散型電源の発電部を共用できる範囲であれば、複数の建物を含む施設も含まれる。
電気設備の消費電力は、稼働中の電気設備において消費されている電力の実測値を取得してもよいし、定格値等としての消費電力を予め取得しておいてもよい。
【0033】
また、本発明において、
前記制御情報記憶部は、前記優先順位と、前記稼働状態の制御の内容である前記稼働状態の変更の可否を判断するための電力の閾値及び該稼働状態の変更の有無を示す指標とを関連付けて記憶し、
前記稼働制御部は、
前記稼働状態が変更されていない前記電気設備のうち前記優先順位の高い前記電気設備から順に、稼働している前記電気設備による消費電力の合計を前記発電電力から減じた電力と、前記閾値とを比較し、該電気設備の消費電力が増加する前記稼働状態の変更を行うか否かを判断し、
前記稼働状態が変更されている前記電気設備のうち前記優先順位の低い前記電気設備から順に、稼働している前記電気設備による消費電力の合計から前記優先順位の低い前記電気設備の消費電力を減じた電力を前記発電電力から減じた電力と、前記閾値とを比較し、該電気設備の消費電力が減少する前記稼働状態の変更を行うか否かを判断するようにしてもよい。
【0034】
本発明では、複数の電気設備のそれぞれに、制御する優先順位を設定し、さらに、複数の電気設備のそれぞれの稼働状態の変更の可否を判断するための電力の閾値と、稼働状態の変更の有無を示す指標を設定している。そして、電力監視部が、発電部によって発電された発電電力を監視し、稼働制御部が、稼働状態が変更されていない電気設備のうち優先順位の高い電気設備から順に、稼働している電気設備による消費電力の合計を、発電電力から減じた電力と、閾値とを比較し、当該電気設備の消費電力が増加する稼働状態の変更を行うか否かを判断する。また、稼働制御部は、稼働状態が変更されている電気設備のうち優先順位の低い電気設備から順に、稼働している電気設備による消費電力の合計から、
判断の対象となっている優先順位の低い当該電気設備の消費電力を減じた電力を、発電電力から減じた電力と、当該閾値とを比較し、当該電気設備の消費電力が減少する稼働状態の変更を行うか否かを判断する。このようにすれば、複合施設に設置された複数の電気設備のうち、分散型電源の発電部によって発電された電力を供給する電気設備の台数を、各電気設備の出力(消費電力)と必要性に応じて制御することにより、分散型電源の発電部によって発電された電力を有効に活用することができる。
【0035】
また、本発明において、
前記電気設備の消費電力が増加する前記稼働状態の変更は、前記電気設備の起動又は動作モードの変更を含み、
前記電気設備の消費電力が減少する前記稼働状態の変更は、前記電気設備の停止又は前記動作モードの変更を含むようにしてもよい。
【0036】
このようにすれば、管理システムにおいて、複数の電気設備の稼働状態を制御して、発電電力を活用する際に、電気設備の起動及び停止のみならず、電気設備の消費電力が増加又は減少するような動作モードの変更を行うことができるので、電気設備の稼働状態のより細やかな制御により、発電電力をより有効に活用することができる。
【0037】
また、本発明において、
前記電気設備の前記動作モードを取得する動作モード取得部と、
前記電気設備の前記動作モードに応じた前記閾値又は前記閾値及び前記優先順位を設定して前記制御情報記憶部に記憶させるモード設定部と、
を備えるようにしてもよい。
【0038】
このようにすれば、ユーザによる動作モードの設定を受け付ける等により電気設備の動作モードを取得し、取得した動作モードに応じた閾値を設定し、又は、閾値及び優先順位が設定して記憶される。従って、設定された動作モードで電気設備を起動及び停止させ、又は、稼働中に動作モードの切り替えを行うことができる。
【0039】
また、本発明において、
充放電可能な蓄電池の残電力量を取得する残電力量取得部と、
前記残電力量に応じて、前記電気設備の前記稼働状態を制御する際の前記発電電力を調整する調整電力を記憶する調整電力記憶部と、
を備え、
前記稼働制御部は、
前記稼働状態が変更されていない前記電気設備のうち前記優先順位の高い前記電気設備から順に、稼働している前記電気設備による消費電力の合計を、前記発電電力を前記調整電力によって調整した電力から減じた電力と、前記閾値とを比較し、該電気設備の消費電力が増加する前記稼働状態の変更を行うか否かを判断し、
前記稼働状態が変更されている前記電気設備のうち前記優先順位の低い前記電気設備から順に、稼働している前記電気設備による消費電力の合計から前記優先順位の低い前記電気設備の消費電力を減じた電力を、前記発電電力を前記調整電力によって調整した電力から減じた電力と、前記閾値とを比較し、該電気設備の消費電力が減少する前記稼働状態の変更を行うか否かを判断するようにしてもよい。
【0040】
本発明によれば、複数の電気設備に発電部から供給される電力を、蓄電池から放電される電力によって調整して補完することができる。本発明では、蓄電池の残電力量に応じて、電気設備の稼働を制御する際の電力を調整する調整電力を設定している。そして、残電力量取得部によって、蓄電池の残電力量を取得し、稼働制御部が、稼働状態が変更されていない電気設備のうち優先順位の高い電気設備から順に、稼働している電気設備による消
費電力の合計を、発電電力を調整電力によって調整した電力から減じた電力と、閾値とを比較し、当該電気設備の消費電力が増加する稼働状態の変更を行うか否かを判断している。また、稼働制御部は、稼働状態が変更されている電気設備のうち優先順位の低い電気設備から順に、稼働している電気設備による消費電力の合計から、判断の対象となっている優先順位の低い電気設備の消費電力を減じた電力を、発電電力を調整電力によって調整した電力から減じた電力と、当該閾値とを比較し、当該電気設備の消費電力が減少する稼働状態の変更を行うか否かを判断する。このようにすれば、複数の電気設備のうち、発電電力を、蓄電池の残電力量に応じて設定された調整電力によって調整した電力を複数の電気設備に供給することができるので、より多くの台数の電気設備の稼働状態を制御することができ、分散型電源の発電部によって発電された発電電力と蓄電池に充電された電力を有効に活用することができる。
【0041】
また、本発明において、
前記稼働制御部は、
前記調整電力を設定する期間を変更するようにしてもよい。
【0042】
発電部によって発電される電力の変動が激しい場合には、調整電力を設定しておく期間を長めに変更することができるので、発電部によって発電される電力に応じた調整電気を設定する期間を変更することにより、分散型電源の発電部によって発電された発電電力と蓄電池に充電された電力を有効に活用することができる。
【0043】
また、本発明において、
前記電気設備の過去の消費電力に基づいて、該電気設備の前記閾値を設定するようにしてもよい。
【0044】
このようにすれば、それぞれの電気設備の特性に応じた閾値を設定することができるので、発電電力をより有効に活用することができる。
【0045】
前記電気設備の過去の消費電力は、該電気機器に接続されたスマートメータから取得するようにしてもよい。
【0046】
このように、電気設備の過去の消費電力をスマートメータから取得すれば、別途、電気設備の過去の消費電力を記録する装置を設ける必要がない。
【0047】
また、本発明において、
前記電気設備によって消費された電力量を取得する電力量取得部と、
前記電気設備の停止の可否を判断するための電力量の停止電力量閾値を記憶する停止電力量閾値記憶部と、
を備え、
前記稼働制御部は、
前記電気設備によって消費された前記電力量と、前記停止電力量閾値とを比較し、停止させる前記電気設備を決定するようにしてもよい。
【0048】
本発明においては、複数の電気設備のそれぞれの停止の可否を判断するための電力量の停止電力量閾値を設定している。そして、管理装置電力量取得部が発電部から各電気設備に供給された電力量を取得し、稼働制御部が既に稼働している電気設備に供給された電力量と、停止電力量閾値とを比較し、停止させる電気設備を決定する。このようにすれば、電気設備に必要な電力量が供給された電気設備を停止させることにより、発電電力や、これを蓄電池に充電された電力によって調整した電力を有効に活用して、電気設備を稼働させることができる。
このように、停止電力量閾値に基づいて稼働を停止された電気設備については、優先順位記憶部及び電力閾値記憶部から削除してもよい。
【0049】
また、本発明において、
前記電気設備から該電気設備が停止したことを示す停止信号を受信したとき、該電気設備を制御する優先順位及び該電気設備の閾値の少なくともいずれかを変更するようにしてもよい。
【0050】
このようにすれば、管理装置側における電気設備の消費電力量と停止電力量閾値に基づく制御と、電気設備側の制御とが競合するがことなく、発電電力を、電気設備の他の稼働状態の制御に有効に活用することができる。
【0051】
また、本発明において、
前記電気設備によって過去に消費された電力量に基づいて、該電気設備の前記停止電力量閾値を設定するようにしてもよい。
【0052】
このようにすれば、それぞれの電気設備の特性に応じた停止電力量閾値を設定することができるので、発電電力をより有効に活用することができる。
【0053】
また、本発明において、
前記電気設備によって過去に消費された電力量は、前記電気機器に接続されたスマートメータから取得するようにしてもよい。
【0054】
このように、電気設備の過去に消費された電力量をスマートメータから取得すれば、別途、電気設備の過去に消費された電力量を記録する装置を設ける必要がない。
【0055】
また、本発明は、
分散型電源の発電部によって発電された電力である発電電力が供給される、複合施設に設置された複数の電気設備の稼働状態を制御する
電力管理方法であって、
前記発電電力を監視するステップと、
前記電気設備による消費電力を取得するステップと、
前記電気設備に対する前記稼働状態の制御の内容とこれに関連付けられた優先順位とを取得するステップと、
稼働する前記電気設備による前記消費電力が前記発電電力で賄えるように、前記優先順位に基づいて、前記電気設備の稼働状態を制御するステップと、
を含む。
【0056】
本発明によれば、分散型電源の発電部によって発電された電力を、複合施設に設置された複数の電気設備に供給して活用することができる。分散型電源の発電部が太陽電池のように自然エネルギーを利用して発電する場合には、特に、環境条件によって発電電力が変動するため、複数の電気設備で活用することが難しい。本発明では、複数の電気設備の稼働状態の制御の内容とこれに関連付けられた優先順位を取得している。そして、発電部によって発電された発電電力を監視し、稼働する前記電気設備による消費電力が発電電力で賄えるように、優先順位に基づいて、これに関連付けられた稼働状態の制御内容に従って、電気設備の稼働状態を制御する。稼働する電気設備による消費電力が発電電力で賄えるように電気設備の稼働状態を制御するには、既に稼働している電気設備の消費電力に対する発電電力の余剰分がある場合には、制御情報記憶部に記憶された稼働状態の制御の内容とこれに関連付けられた優先順位に基づいて、稼働中の電気設備の消費電力の合計が増加するように、優先順位の高い順に、新たな電気設備を稼働させ、又は、消費電力が増加す
る動作モードに変更する。そして、既に稼働している電気設備の消費電力に対する発電電力の不足分がある場合には、制御情報記憶部に記憶された稼働状態の制御の内容とこれに関連付けられた優先順位に基づいて、稼働中の電気設備の消費電力の合計が減少するように、優先順位の低い順に、稼働している電気設備を停止させ、又は、消費電力が減少する動作モードに変更する。稼働状態の制御の内容としては、後述するような、稼働状態の変更の可否を判断するための電力の閾値を含めることができるが、これに限られない。電力の閾値を用いて、稼働状態の可否を判断するには、稼働中の電気設備の消費電力と発電電力との差分と、閾値とを比較してもよいし、稼働中の電気設備の消費電力に閾値を加えた電力、又は稼働中の電気設備の消費電力から閾値を減じた電力と発電電力とを比較してもよい。このようにすれば、複合施設に設置された複数の電気設備のうち、分散型電源の発電部によって発電された電力を供給する電気設備の台数を、各電気設備の出力(消費電力)と必要性に応じて制御することにより、分散型電源の発電部によって発電された電力を有効に活用することができる。
ここで、複合施設とは、分散型電源の発電部によって発電された発電電力の複数の電力供給先を含む施設であり、集合住宅のように複数の住戸がまとまった同一の建物を含むが、これに限られず、分散型電源の発電部を共用できる範囲であれば、複数の建物を含む施設も含まれる。
電気設備の消費電力は、稼働中の電気設備において消費されている電力の実測値を取得してもよいし、定格値等としての消費電力を予め取得しておいてもよい。
【0057】
前記稼働状態の制御の内容は、前記稼働状態の変更の有無を判断するための電力の閾値及び該稼働状態の変更の有無を示す指標を含み、
前記電気設備の稼働状態を制御するステップは、
前記稼働状態が変更されていない前記電気設備のうち優先順位の高い前記電気設備から順に、稼働している前記電気設備による消費電力の合計を前記発電電力から減じた電力と、該電気設備について設定された閾値とを比較し、該電気設備の消費電力が増加する前記稼働状態の変更を行うか否かを判断するステップと、
前記稼働状態が変更されている前記電気設備のうち前記優先順位の低い前記電気設備から順に、稼働している前記電気設備による消費電力の合計から前記優先順位の低い前記電気設備の消費電力を減じた電力を前記発電電力から減じた電力と、前記閾値とを比較し、該電気設備の消費電力が減少する前記稼働状態の変更を行うか否かを判断するステップとを含むようにしてもよい。
【0058】
本発明では、複数の電気設備のそれぞれに、制御する優先順位を設定し、さらに、複数の電気設備のそれぞれの稼働状態の変更の可否を判断するための電力の閾値と、稼働状態の変更の有無を示す指標を設定している。そして、発電部によって発電された電力を監視し、稼働状態が変更されていない電気設備のうち優先順位の高い電気設備から順に、稼働している電気設備による消費電力の合計を、発電電力から減じた電力と、閾値とを比較し、当該電気設備の消費電力が増加する稼働状態の変更を行うか否かを判断する。また、稼働状態が変更されている電気設備のうち優先順位の低い電気設備から順に、稼働している電気設備による消費電力の合計から判断の対象となっている当該電気設備の消費電力を減じた電力を、発電電力から減じた電力と、当該閾値とを比較し、当該電気設備の消費電力が減少する稼働状態の変更を行うか否かを判断する。このようにすれば、複合施設に設置された複数の電気設備のうち、分散型電源の発電部によって発電された電力を供給する電気設備の台数を、各電気設備の出力(消費電力)と必要性に応じて制御することにより、分散型電源の発電部によって発電された電力を有効に活用することができる。
また、本発明は、前記電力管理方法の各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラムとして構成することもできる。
【発明の効果】
【0059】
本発明によれば、分散型電源の発電部によって発電された電力を複数の電力供給先を有する複合施設において有効に活用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
図1図1は本発明の実施例1における電力管理システムの概略構成図である。
図2図2は本発明の実施例1における管理装置の機能ブロック図である。
図3図3は本発明の実施例1における電気設備の稼働状態制御処理の手順を示すフローチャートである。
図4図4(A)は本発明の実施例1における電気設備リストであり、図4(B)はその変形例における電気設備リストである、図4(C)は実施例2における電気設備リストである。
図5図5は本発明の実施例1における太陽電池の利用状況を示すグラフである。
図6図6は本発明の実施例3における管理装置の機能ブロック図である。
図7図7(A)は本発明の実施例3における蓄電池調整電力テーブルであり、図7(B)はその変形例における蓄電池調整電力テーブルである。
図8図8は本発明の実施例3における電気設備の稼働状態制御処理の手順を示すフローチャートである。
図9図9は本発明の実施例3における分散型電源の利用状況を示すグラフである。
図10図10は本発明の実施例4における分散型電源の利用状況を示すグラフである。
図11】従来の太陽電池の供給電力の利用状況を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0061】
〔適用例〕
以下、本発明の適用例について、図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明が適用可能な電力管理システム1のブロック図を示す。図1において、各ブロックを連結する実線は電力線を示しており、各ブロックを連結する点線は通信線(無線通信も含む)を示している。本適用例に係る電力管理システム1は、複合施設としての集合住宅1aに対して適用されることを前提としている。この場合、集合住宅1aは、複数の電力供給先を含む複合施設の一例である。また、太陽電池、風力発電機、所謂V2H(Vehicle to
Home)に係る電源や蓄電池等を含む分散型電源を備えることを前提としている。
【0062】
図1において、電力管理システム1は、系統3と繋がっている。そして、分散型電源13による供給電力が、集合住宅1aにおける消費電力より少なく、電力が不足する場合には、系統3から買電することが可能となっている。また、分散型電源13による供給電力が、集合住宅1aにおける消費電力より多い場合には、余剰の電力を系統3に逆潮流させて余剰売電することが可能となっている。系統3は、所謂小売電気事業者であってもよいし、一般電気事業者であってもよい。
【0063】
また、電力管理システム1は、集合住宅1aの外部において、集合住宅1aに設けられたシステムの各構成と通信可能に構成された管理装置2を有している。本適用例では、集合住宅1aに設けられたシステムの各構成と管理装置2とは、LTEルータ6を介した無線通信で情報の授受が行われる。この管理装置2は、より具体的には、クラウド上に備えられたサーバ装置であってもよい。管理装置2の内部構成については、一般的なCPUを含む演算装置、記憶装置、通信装置等(不図示)を備える通常のコンピュータと同等の構成であるので、ここでは詳細な説明は省略する。管理装置2は、本発明の電力管理装置に対応する。
【0064】
また、電力管理システム1の複数の電力供給先は、例えば、集合住宅1aにおける各部
屋1b(以下、入居者ともいう。)である。そして、複数の電力供給先における負荷は、集合住宅1aの各部屋1bにおける電気設備10に相当する。なお、集合住宅1aには、共用部1cが存在する。この共用部1cは、集合住宅1aにおける共用部分である。共用部1cにおける負荷としては、例えば集合住宅1aにおける廊下や玄関の照明等が考えられる。集合住宅1aにおける各部屋1b及び共用部1cには、各々スマートメータ11a、11b・・・11f及び11gが備えられており、集合住宅1aにおける各部屋1b及び共用部1cにおいて消費される電力と、系統3に売電される電力とを測定可能となっている。
【0065】
また、電力管理システム1の分散型電源13には、蓄電池14と太陽電池15が含まれている。蓄電池14には充放電電圧を昇降させる双方向のDC/DCコンバータ及び、蓄電池の充放電に係る電圧の直流/交流を変換するDC/ACコンバータを含む蓄電池パワコン17が接続されている。一方、太陽電池15には太陽電池15の発電電圧を調整するDC/DCコンバータ、山登り法によるMPPT制御を行うための制御回路、太陽電池15の出力電圧の直流/交流を変換するDC/ACコンバータを含む太陽光パワコン16が接続されている。太陽光パワコン16は、蓄電池パワコン17とも電気的に繋がれており、太陽電池15で発電した電力を、太陽光パワコン16及び蓄電池パワコン17を介して、蓄電池14に充電することが可能となっている。
【0066】
従来の集合住宅1aにおける太陽電池15によって発電された電力の利用状況を図11に示す。ここでは、太陽電池15による供給電力を実線で示し、集合住宅1aにおける消費電力を一点鎖線で示す。このように、集合住宅1aの所有者が、分散型電源13による供給電力を利用することにより、系統3からの買電(電力調達)量を低減し、あるいは余剰売電という形で活用していたに過ぎず、集合住宅11における各部屋1b(入居者)が太陽電池15による供給電力を利用することはなかった。
【0067】
本適用例では、太陽電池15によって発電された電力は電力ライン3aを通じて集合住宅1aにおける各部屋1b(入居者)のスマートメータ11a、11b…11fを介して電気設備10a、10b…10fにも供給される。各部屋1bの電気設備10a、10b…10fはコントローラ8bに接続され、さらにLTEルータ6を介して管理装置2に接続される。
【0068】
各部屋1bの電気設備10a、10b…10fについては、使用のための優先順位が予め管理装置2に登録されている。太陽光パワコン16を介して取得される太陽電池15の発電量に応じて、管理装置2が、図4に示すような電気設備リスト26に基づいて、各部屋1bの電気設備10a、10b…10fを優先順位に従い、起動又は停止させる制御を行うことにより、各部屋1bの入居者が、太陽電池15による供給電力をより有効に活用することができる。
【0069】
〔実施例1〕
以下では、本発明の実施例について、図面を用いて、より詳細に説明する。
【0070】
図1に示す電力管理システム1において、集合住宅1aには、系統3からの買電に係る電力が供給されるとともに、太陽電池15と蓄電池14を含む分散型電源13からの電力が供給される。系統3からの電力は、電力ライン3aを介して集合住宅1aの各部屋1bに供給される。電力ライン3aは、途中で分岐され、集合住宅1aに設置されたブレーカ12a、12b及び12cを介しての各部屋1bに設置されたスマートメータ11a、11b、11c・・・11f及び共用部1cに設置されたスマートメータ11gに接続され、これらを介して、各部屋1bにおける電気設備10a、10b、…10f及び共用部1cの負荷に接続されている。
【0071】
太陽電池15は太陽光パワコン16に接続され、太陽光パワコン16はブレーカ12d及びスマートメータ11hを介して電力ライン3aに接続される。蓄電池14は蓄電池パワコン17に接続され、蓄電池パワコン17はブレーカ12e及びスマートメータ11iを介して電力ライン13aに接続される。系統3から買電される電力の電流値、系統3に売電される電力の電流値は電流センサ7a、7bで検出される。電流センサ7aで検出された電流値は、電力量モニタ9、コントローラ8aを介して太陽光パワコン16に入力される。電流センサ7bで検出された電流値は蓄電池パワコン17に入力される。
【0072】
これにより、太陽電池15で発電された電力及び、蓄電池14から放電された電力は、集合住宅1aの各部屋1b(入居者)及び共用部1cに供給可能となっている。
【0073】
太陽光パワコン16の出力電力の情報は、コントローラ8a、LTEルータ6を介して管理装置2に提供される。また、蓄電池パワコン17の入出力電力の情報は、コントローラ8c、LTEルータ6を介して管理装置2に提供される。また、電流センサ7a、7bの検出値に基づき、太陽光パワコン16及び蓄電池パワコン17で取得された、系統3からの買電電力及び系統3への売電電力の情報も管理装置2に提供される。また、太陽光パワコン16におけるMPPE制御の状態、太陽電池15の端末電流値、電圧値等の情報、蓄電池14における蓄電量等の情報も、コントローラ8a及び8c、LTEルータ6を介して管理装置2に提供される。
【0074】
集合住宅1aの各部屋1bの電気設備10a、10b、…10fは、コントローラ8bに接続される。これによって、10a、10b、…10fの起動及び停止等の使用状態に関する情報は、コントローラ8b、LTEルータ6を介して管理装置2に提供される。さらに、管理装置2からの指示情報に基づき、コントローラ8bを介して電気設備10a、10b、…10fの使用状態が制御される。
【0075】
電気設備10a、10b、…10fは、例えば、空気調和機、給湯設備、床暖房設備を含む。ただし、電気設備はこれらに限られるものではなく、系統3、太陽電池15、蓄電池14から供給される電力によって動作し、管理装置2によって制御可能なのものであればよい。
【0076】
図2は、管理装置2の機能ブロック図である。管理装置2は、電力監視部21、電力量取得部22、消費電力取得部23、動作モード取得部24.動作モード設定部25、電気設備リスト26、稼働制御部27を含む。
電力監視部21は、太陽光パワコン16、コントローラ8a及びLTEルータ6を介して、太陽電池15によって発電される電力値を取得する。電力量取得部22は、電気設備10a、10b、…10fによって消費された電力量を取得し保持している。消費電力取得部23は、電気設備10a、10b、…10fのうち稼働している電気設備の消費電力を取得し保持している。動作モード取得部24は、電気設備が複数の動作モードを有する場合に、ユーザによる電気設備の動作モードの設定を受け付け又は電気設備から設定された動作モードを取得する。動作モード設定部25は、動作モード取得部によって取得された動作モードに応じた電力閾値及び電力量閾値を電気設備リストに設定する。電気設備リスト26は、後述するように、電気設備10a、10b、…10fの識別情報と、優先順位と、稼働状態の変更の有無を示す処理フラグと、電力閾値と、電力量閾値を記憶している。この電力閾値は、各電気設備10a、10b、…10fの過去の消費電力に基づいて設定してもよく、過去の消費電力は、電気設備10a、10b、…10fにそれぞれ接続されたスマートメータ11a、11b、…11fから取得してよい。また、電力量閾値も、各電気設備10a、10b、…10fの過去の消費電力量に基づいて設定してもよく、過去の消費電力量は、電気設備10a、10b、…10fにそれぞれ接続されたスマート
メータ11a、11b、…11fから取得してよい。稼働制御部27は、後述する電気設備の稼働状態の制御処理を行う。これらの機能は、所定のプログラムをコンピュータによって実行することによって実現される。ここでは、電気設備リスト26は、本発明の制御情報記憶部に対応する。処理フラグは、本発明の稼働状態の変更の有無を示す指標に対応する。また、電力量閾値は本発明の停止電力量閾値に対応する。そして、電気設備リストは本発明の制御情報記憶部及び停止電力量閾値記憶部に対応する。
【0077】
図3は、電気設備の稼働状態制御処理の手順を示すフローチャートである。電気設備の稼働状態制御処理は、本発明の電力管理方法に対応する。
管理装置2は、図4(A)に示す電気設備リストを保持している。この電気設備リストには、各電気設備を識別する識別情報とその優先順位、処理フラグ、電力閾値及び電力量閾値が格納されている。ここでは、識別情報によって識別される電気設備をA~Dで表している。電気設備Aが優先順位1位とされており、電気設備B~Dの順に優先順位が2~4位と低くなっている。また、電気設備Aの電力閾値が1kW、電力量閾値が3kWhとされており、電気機器Bの電力閾値が1kW、電力量閾値が2.5kWh、電気設備Cの電力閾値が0.5kW、電力量閾値が2.5kWh、電気設備Dの電力閾値が1kW、電力量閾値が1kWhとされている。処理フラグは、原則として、初期値は電気設備の稼働状態の変更が無い場合を示す0とし、起動又は動作モードの変更により稼働状態が変更された場合には、稼働制御部27は稼働状態の変更があった場合を示す1に設定する。
【0078】
まず、太陽電池15による発電電力をモニタリングする(ステップS1)。具体的には、太陽電池15による発電電力に関する情報が太陽光パワコン16に接続されたコントローラ8aからLTEルータ6を介して管理装置2に送信されるので、管理装置2では、太陽電池15による発電電力をモニタリングする。モニタリングの周期は適宜設定することができるが、例えば、1分周期で、太陽電池15による発電電力をモニタリングする。管理装置2は、太陽電池15の発電電力をモニタリングしたタイミングに関する情報(時刻等)とともに記憶しておき、1時間当たりの電力である電力量を算出して記憶しておく。
【0079】
次に、稼働状態が変更されていないことを示す処理フラグが0である電気設備のうち優先順位の高い電気設備から降順で、太陽電池15の発電電力から稼働している電気設備の消費電力の合計を減じた電力が電気設備の電力閾値を超えているか否か判断する(ステップS2)。このとき、稼働している電気設備の消費電力は、電気設備リスト26に登録された閾値を用いてもよいし、消費電力取得部23から取得した消費電力を用いてもよい。
図4(A)の電気設備リスト26に登録された電気設備A~Dを例として説明する。ステップS1における発電電力のモニタリングが開始された時点では、電気設備A~Dのいずれも起動されていない状態であり、処理フラグは0であるとする。稼働してる電気設備の合計は0であるため、優先順位が1位と最も高い電気設備Aの電力閾値1kWに対して、管理装置2が太陽電池15の発電電力がこの1kWを超えているか否かを判断する。
【0080】
ステップS2において、太陽電池15の発電電力が電気設備の電力閾値を超えていると判断された場合には、当該電気設備を起動する、又は消費電力が増加する動作モードの変更を行う(ステップS3)。このとき、当該電気設備が起動又は動作モードを変更したことを示す信号が管理装置2に送信されるので、管理装置2は、当該電気設備が起動又は動作モードを変更したことを示す信号とこれを受信した時刻を記憶しておく。当該電気設備が起動又は動作モードを変更したことを示す信号の受信時刻は、当該電気設備の起動又は動作モード変更時刻として用いられるが、このような起動又は動作モード変更時刻としては、管理装置2から当該電気設備を起動させる又は動作モードを変更する指示を示す信号の送信時刻を用いてもよいし、コントローラ8bから当該電気設備を起動させる又は動作モードを変更させる制御信号を送信した時刻を取得してこれを用いていもよい。
図4(A)の例で、ステップS2において太陽電池15の発電電力が1kWを超えてい
ると判断されると、ステップS3において管理装置2は、コントローラ8bを通じて電気設備Aを起動させる。ここでは、初期状態において電気設備Aは起動されていないので、稼働状態の変更は、動作モードの変更ではなく、起動となる。
【0081】
ステップS3において、電気設備が起動されると、管理装置2は、ステップS2における判断の対象となる電力閾値を変更し(ステップS4)、ステップS1に戻る。
図4(A)の例では、すでに優先順位が1位である電気設備Aが起動され、処理フラグが0に変更されているので、処理フラグが0である電気設備のうち次に優先順位が高い、すなわち優先順位が2位の電気設備Bの電力閾値1kWがステップS2における判断対象となる電力閾値に変更される。
このようにして、ステップS4で変更された起動閾値に対して、ステップS1における太陽電池15の発電電力のモニタリングが行われ、ステップS2において、発電電力から稼働している電気設備の消費電力の合計である電気設備Aの閾値1kWを減じた電力が、電気設備の電力閾値を超えているか否かの判断が行われる。
【0082】
ステップS2において、太陽電池15の発電電力から稼働している電気設備の消費電力を減じた電力が電気設備の電力閾値を超えていないと判断された場合には、管理装置2は稼働状態が変更されている電気設備のうち優先順位の低い電気設備から昇順で、稼働している電気設備による消費電力の合計から対象となっている優先順位の電気設備に対応する閾値を減じた電力を、太陽電池15の発電電力から減じた電力が、電気設備の電力閾値を下回っているか否かを判断する(ステップS5)。
図4(A)の例で、ステップS2において太陽電池15の発電電力が電気設備Aの起動閾値を超えていないと判断された場合には、他の電気設備ですでに起動されているものがない状態であるので、ステップS5の判断を省略してステップS8に進む。
図4(A)の電気設備リストに登録された電気設備A~Dのうち、電気設備A,B及びCが起動されている状態を例にステップS5の処理を説明する。電気設備A,B及びCが稼働している状態で、太陽電池15の発電電力をモニタリングする(ステップS1)。ステップS2において、処理フラグが0である電気設備のうち次に優先順位が高い、すなわち優先順位が4位の電気設備Dの電力閾値が、太陽電池15の発電電力から稼働ししている電気設備A,B及びCの消費電力の合計2.5kWを減じた電力を超えていないと判断されてステップS5に進んだとする。このとき、ステップS5では、稼働している電気設備A,B及びCの消費電力の合計2.5kWから、優先順位が最も低い電気設備Cの消費電力0.5kWを減じた電力2kWを、太陽電池15の発電電力から減じた電力が、電気設備Cの電力閾値0.5kWを下回っているか否かを判断する。すなわち、太陽電池15の発電電力が、稼働している電気設備A,B及びCのすべての稼働状態を継続するに足りる電力であるか否かを判断し、足りない場合には、稼働中の電気設備のうち優先順位の低いものから順に、停止閾値と比較して判断し、停止閾値を下回る電気機器については停止させる制御を行う。例えば、太陽電池15の発電電力が電気設備A及びBを稼働させる電力を0.2kWだけ上回る電力であったとする。このとき、電気機器Cの電力閾値は0.5kWであるから、ステップS5において、管理装置2は、太陽電池15の発電電力から電気設備A及びBの消費電力を減じた電力が、電気設備Cの電力閾値を下回っていると判断する。
【0083】
ステップS5において、下回っていると判断された場合には、管理装置2は、コントローラ8bを介して当該電気機器を停止させる、又は消費電力が減少する動作モードの変更を行う(ステップS6)。このとき、当該電気設備が停止又は動作モードを変更したことを示す信号が管理装置2に送信されるので、管理装置2は、当該電気設備が停止又は動作モードを変更したことを示す信号とこれを受信した時刻を記憶しておく。当該電気設備が停止又は動作モードを変更したことを示す信号の受信時刻は、当該電気設備の停止時刻として用いられるが、このような停止又は動作モード変更時刻としては、管理装置2から当該電気設備を停止させる又は動作モードを変更する指示を示す信号の送信時刻を用いてもよいし、コントローラ8bから当該電気設備を停止させる又は動作モードを変更させる制御信号を送信した時刻を取得してこれを用いてもよい。
上述の例に沿って説明すると、ステップS5において、下回っていると判断された電気設備Cは、管理装置2によって停止するよう制御される。ここでは、電気設備リスト26には、優先順位3位以外に電設備Cは登録されていないので、稼働状態の変更は、動作モードの変更ではなく、停止となる。
【0084】
ステップS6において、ある電機機器が停止されると、管理装置2は、ステップS5における判断の対象となる停止閾値を変更し(ステップS7)、ステップS1に戻る。
上述の例では、稼働中の電気設備A~Cのうち最も優先順位の低い電気設備Cが停止されているので、次に優先順位の低い電気設備Bの電力閾値1kWがステップS5における判断対象となる電力閾値に変更される。
【0085】
ステップS5において、下回っていないと判断された場合には、管理装置2は、太陽電池15の発電電力量のうちいずれかの電気設備に供給された電力量が当該電気設備の電力量閾値を超えているか否かを判断する(ステップS8)。ここでは、稼働中の電気設備について、当該電気設備に供給された電力量が図4(A)に示す電力量閾値を超えているか否かを判断する。当該電気設備に供給された電力量は、当該電気設備の起動時刻と停止時刻から算定することができる。
【0086】
ステップS8において、太陽電池15の発電電力量のうちいずれかの電気設備に供給された電力量が電力量閾値を超えていると判断された場合には、管理装置2は、ステップS6に進み、コントローラ8bを介して当該電気設備を停止させる。このとき、ステップS7では、停止された電気設備が制御対象である電気設備リストから削除される。このとき、優先順位に関わらず、供給された電力量が電力量閾値を超えた電気設備を停止させる。
図4(A)に示す例で、電気設備Aに供給された電力量が3kWhを超えたと判断された場合には、管理装置2がコントローラ8bを介して電気設備Aを停止させ(ステップS6)、電気設備リストから電気設備Aを削除する。
管理装置2が、電気設備10a、10b…10fのいずれかから当該電気設備が停止したことを示す停止信号を受信したときには、管理装置2側において重ねて当該電設備を停止させるための制御を行う必要がないので、優先順位又は電力量閾値の少なくともいずれかを変更する。
【0087】
このように電気設備の稼働状態制御を行った場合の、太陽電池15の発電電力と、集合住宅1aの各部屋1bの電気設備の消費電力と、時間との関係を図5のグラフに示す。太陽電池15の発電電力を実線で示し、電気設備の消費電力を一点鎖線で示す。斜めのハッチングを付した領域が太陽電池15によって賄われた電気設備の消費電力量を示す。
本実施例では、図3に示すように、太陽電池15の発電電力をモニタリングし、集合住宅1aの各部屋1bに設置された複数の電気設備10a、10b…10fを、各電気設備について設定された電力閾値と電力量閾値とに基づき、優先順位を考慮して、起動及び停止制御している。これにより、天候等によって変動する太陽電池15の発電電力の変動に応じて、集合住宅1aの各部屋1bに設置された複数の電気設備10a、10b…10fを稼働させることができるので、太陽電池15の発電電力をより有効に活用することができる。
【0088】
電気設備に対する優先順位の付し方としては、例えば、必要な電力量が多い電気設備の優先順位を高くするようにしてもよい。また、太陽電池の予測発電量と、電気設備に必要な発電量が近い電気設備の優先順位を高くするようにしてもよい。また、停電時には、医療用の電気設備やインフラストラクチャ用の電気設備の優先順位を高くするようにしても
よい。電気設備に対する優先順位の付し方はこれらに限られない。
【0089】
<変形例>
上述の実施例1では、制御対象となる電気設備のそれぞれに優先順位を付しているが、図4(B)の電気設備リスト26bに示すように、一つの電気設備に複数の優先順位を付与してもよい。
図4(A)に示す電気設備リスト26bでは、電気設備Aには優先順位1位が付され、電力閾値が1kW、電力量閾値が3kWhと設定されている。変形例では、電気設備Aについては、優先順位として1位と5位との二つの順位が付与されており、優先順位1位については電力閾値が1kW、電力量閾値が2kWhと設定され、優先順位5については電力閾値が1kW、電力量閾値が1kWhと設定されている。ここでは、一つの電気設備に複数の優先順位として二つの優先順位を付した例を説明したが、優先順位の数はこれに限られる三つ以上の優先順位を付してもよい。
【0090】
本変形例の場合の電気設備の稼働状態制御処理は図3に示す手順と同様であるが、複数の優先順位が付された電気設備については異なる優先順位が付された異なる電気設備と同様に扱われる。
【0091】
このように、同一の電気設備に異なる優先順位を付した複数の電力量閾値を設定することにより、優先順位の低い電気設備に未稼働の電気設備が発生することを防止することができる。
【0092】
〔実施例2〕
以下に、本発明の実施例2について、図面を用いて説明する。
実施例1と同様の構成については、同様の符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0093】
本実施例の電力管理システム1及び管理装置2の構成は図1及び図2と同様であり、本実施例における電気設備の稼働状態制御処理も図3と同様である。
本実施例では、電気設備の稼働状態制御として、動作モードの変更を行う。
本実施例における電気設備リスト26cを図4(C)に示す。ここでは、実施例1の変形例と同様に、同一の電気設備Aに対して1位と5位の二つ優先順位が付与されている。
【0094】
ここで、優先順位1位から4位までの稼働状態の変更が行われ、電気設備A~Dが全て稼働しているとして説明する。このとき、優先順位5位の電気設備Aに対する稼働状態制御におけるステップ2の処理は、太陽電池15の発電電力から稼働している電気設備A~Dの消費電力の合計を減じた電力が、電力閾値0.3kWを超えているか否かを判断する。そして、ステップS2において、超えていると判断された判断された場合には、電気設備Aを消費電力が0.3kW増加する稼働状態に変更する、すなわち、消費電力が1.3kWで稼働する動作モードに変更する。そして、電気設備リスト26cの優先順位5位の処理フラグは1に変更される。
【0095】
このようにして、優先順位1位から4位までの電気設備A~D及び優先順位5位の電気設備Aの処理フラグは全て1に変更される。
ここで、稼働状態制御におけるステップ5の処理は、稼働状態が変更されている電気設備のうち優先順位が低い電気設備である優先順位5位の電気設備Aが判断の対象となり、稼働している電気設備A~D(優先順位1位に対応するAと優先順位5に対応するAとを含む。)による消費電力の合計3.5kWから対象となっている優先順位5位の電気設備Aに対応する閾値0.3kWを減じた電力3.2kWを、太陽電池15の発電電力から減じた電力が、対象となっている優先順位5位の電気設備Aの電力閾値0.3kWを下回っているか否かを判断する。
【0096】
そして、ステップS5において、下回っていると判断された場合には、電気設備Aを消費電力が0.3kW減少する稼働状態に変更する。すなわち、消費電力が1kWで稼働する動作モードに変更する。ここで、処理フラグを0に戻すと、動作モードの変更が繰り返されるので、必要に応じて、当該優先順位の電気設備Aに関する項目を電気設備リスト26cから削除してもよい。
【0097】
このように、電気設備リスト26に、同一の電気設備を登録されている場合に、より低い優先順位に登録された電気設備に対する稼働状態制御は、すでに稼働している電気設備の稼働状態に対して電力閾値に相当する分だけ消費電力が異なる動作モードへの変更として機能する。ここでは、電気設備リスト26に、同一の電気設備が3つ以上異なる優先順位に登録されている場合も同様である。電気設備10a、10b、…10fの動作モード間の消費電力差に相当する電力閾値を設定することにより、電気設備10a、10b、…10fの起動及び停止と、動作モードの変更を稼働状態の変更として同様に扱うことができる。
【0098】
上述の例では、既に起動している電気設備Aの稼働状態を、消費電力が増加する動作モードに変更し、その後、消費電力が減少する動作モードに変更し、起動時の動作モードに戻るように制御している。
消費電力が増加した動作モードを停止まで継続するのであれば、電気設備リストの複数登録されている電気設備Aに関する項目を、最上位の優先順位である優先順位1位の電気設備Aの項目にまとめて、電力閾値及び電力量閾値を書き換えてもよい。
また、起動時の動作モードから消費電力が減少するモードに変更する場合には、処理フラグの初期値を1に設定しておき、ステップS2及びステップS3をスキップするようにしてもよい。
【0099】
〔実施例3〕
以下に、本発明の実施例3について、図面を用いて説明する。
実施例1と同様の構成については、同様の符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0100】
本実施例の電力管理システム1の構成は図1と同様である。本実施例では、分散型電源である太陽電池15の発電電力とともに、同じく分散型電源である蓄電池14に充電された電力を集合住宅1aの各部屋1bの電気設備10a、10b…10fに供給する。このように、太陽電池15の発電電力の変動を、蓄電池14から供給される電力によって補完することにより、太陽電池15の系統3への逆潮流や系統3からの電力供給を最小限にすることができ、また、より多くの電気設備を制御することができる。
【0101】
図6に実施例3に係る管理装置2の機能ブロック図を示す。管理装置2は、図4(A)に示す電気設備リストを保持している。さらに、本実施例では、管理装置2は、図7(A)に示す蓄電池調整電力テーブル28を保持している。この蓄電池調整電力テーブル28は、蓄電池14の残電力量に応じて、図9のステップS1においてモニタリングされた太陽電池15の発電電力に上乗せして調整する電力を設定するものである。ステップS1においてモニタリングされた太陽電池15の発電電力と上乗せされる所定の電力とを合算した電力に基づいて、ステップS2及びステップS5における各電気設備の電力閾値との比較判断を行う。管理装置2は、さらに、残電力量取得部29を有し、蓄電池パワコン17に接続されたコントローラ8cを介して蓄電池14の残電力量を取得し保持している。図7(A)では、蓄電池の残電力量に応じて段階的に太陽電池15の発電電力に対して調整する電力を設定しているが、蓄電池の残電力量に応じてリニアに太陽電池15の発電電力に対して調整する電力を設定するようにしてもよい。ここでは、蓄電池調整電力テーブル28が本発明の調整電力記憶部に対応する。
【0102】
図8は、本実施例の電気設備の稼働状態制御処理の手順を示すフローチャートである。図3と同様の処理については同様の符号を用いて詳細な説明を省略する。電気設備の稼働状態制御処理は、本発明の電力管理方法に対応する。
【0103】
ステップS1からステップS8までの処理は、図3に示す実施例1と同様である。ステップS8において、太陽電池15からいずれかの電気設備に供給された電力量が当該電気設備の電力閾値を超えているか否かを判断する。そして、ステップS8において、太陽電池15からいずれの電気設備に供給された電力量も電力量閾値を超えていないと判断された場合には、ステップS9に進む。
【0104】
ステップS9において、管理装置2は、蓄電池パワコン17から、コントローラ8c及びLTEルータ6を介して蓄電池14の残電力量を取得し、この残電力量が所定の電力量より多いか少ないかを判断する。所定の電力量の値は、予め設定された値を図7(A)に示すような蓄電池調整電力テーブル28として管理装置2が保持しており、例えば、蓄電池14の残電力量が2kW以上である場合には多いと判断し、2kW未満である場合には少ないと判断する。所定の電力量の値はこれに限られない。
【0105】
ステップS9において、蓄電池14の残電力量が多いと判断された場合には、管理装置2は、ステップS1以降の処理を行う場合に、電気設備の電力閾値と比較する対象である電力として、ステップS1でモニタリングされた太陽電池15の発電電力に2kWを加算した電力を設定する。
例えば、図4(A)に示す電気設備リストに基づいて、電気設備Aが起動されていおり、電気設備Bの電力閾値と比較する場合に、太陽電池15の発電電力と2kWを合算した電力から稼働している電気設備Aの消費電力1kWを減じた電力が、図4(A)に示す1kWを超えているか否かを判断する。この場合には、太陽電池15の発電電力に関わらず、2kWを加算した電力から1kWを減じた電力が、電気設備Bの電力閾値を超えているので、電気設備Bが起動される。そして、電気設備Bに続く優先順位が付された電気設備Cの電力閾値0.5kWを、太陽電池15の発電電力と2kWを合算した電力から、稼働している電気設備A及び電気設備Bの消費電力の合計2kWを減じた電力が超えている場合には、電気設備Cが起動されるが、超えていない場合には、電気設備Cは起動されない。
このようにすれば、集合住宅1aの複数の電気設備10a、10b、…10fの出力管理し、太陽電池15の発電電力に応じて稼働させる電気設備の台数を制御し、さらに、蓄電池14に充電された電力も利用することによって、分散型電源による電力を、電気設備の稼働に必要な電力に調整して供給することができる。これによって、太陽電池15の発電電力の系統3への逆潮流や系統3からの電力供給量(買電量)を最小限にすることができる。また、蓄電池14を活用することで、より多くの電気設備を制御することができる。
【0106】
ステップS9において、蓄電池14の残電力量が少ないと判断された場合には、管理装置2は、ステップS1以降の処理を行う場合には、ステップS1においてモニタリングされた太陽電池15の発電電力に上乗せすることなく、そのままの値が、電気設備の電力閾値を超えるか否かを判断する。
【0107】
このように電気設備の稼働状態制御を行った場合の、太陽電池15の発電電力と、集合住宅1aの各部屋1bの電気設備の消費電力と、時間との関係を図9のグラフに示す。太陽電池15の発電電力を実線で示し、電気設備の消費電力を一点鎖線で示す。斜めのハッチングを付した領域が電気設備の消費電力量を示す。ここでは、電気設備の消費電力を示す曲線のCP1、CP2、CP3で示す領域では、電気設備の消費電力が太陽電池15の
発電電力を超えているが、蓄電池14によって太陽電池15の発電力を補完して調整することにより、より多くの電気設備を制御することができる。また、太陽電池15の発電電力のP1で示す領域のように、太陽電池15の発電力が電気設備の消費電力を超えている領域では、余剰電力を蓄電池14に充電して利用することもできる。
【0108】
<変形例>
上述の実施例3では、蓄電池の残電力量に応じて段階的に太陽電池15の発電電力に対して調整する電力を設定しているが、蓄電池14の残電力量と稼働している電気設備の合計電力とに応じて、太陽電池15の発電電力に対して調整する電力を設定するようにしてもよい。管理装置2は、コントローラ8bを介して接続されている電気設備の起動及び停止に関する情報を保持しているので、稼働している電気設備の合計電力を算出することができる。
【0109】
図7(B)は、蓄電池14の残電力量と稼働している電気設備の合計電力とに応じて設定される調整のための電力値を示した蓄電池調整電力テーブル28bである。本変形例では、管理装置2は、蓄電池調整電力テーブル28に代えて、蓄電池調整電力テーブル28bを有している。ここでは、蓄電池調整電力テーブル28bが本発明の調整電力記憶部に対応する。
蓄電池14の残電力量が6kW以上である場合に、稼働している電気設備の合計電力が6kW、3kW、0kWであるときは、調整ための電力値をそれぞれ+0kW、+3kW、+3kWとする。蓄電池14の残電力量が2kWh以上6kWh未満である場合に、稼働している電気設備の合計電力が6kW、3kW、0kWであるときは、調整のための電力値をそれぞれ+0kW、+0kW、+3kWとする。蓄電池14の残電力量が3kWh未満である場合に、稼働している電気設備の合計電力が6kW、3kW、0kWであるときは、調整のための電力値をいずれも+0kWとする。
図7(B)の例では、蓄電池14の残電力量に応じて段階的に、調整のための電力値を設定しているが、蓄電池14の残電力量で稼働できる時間が一定時間(例えば30分)を下回った場合に、調整のための電力値を変更するようにしてもよい。
【0110】
〔実施例4〕
以下に、本発明の実施例4について、図面を用いて説明する。
実施例1、2及び3と同様の構成については、同様の符号を用いて詳細な説明を省略する。
【0111】
本実施例の電力管理システム1の構成は図1と同様である。本実施例でも、分散型電源である太陽電池15の発電電力とともに、同じく分散型電源である蓄電池14に充電された電力を集合住宅1aの各部屋1bの電気設備10a、10b…10fに供給する。このように、太陽電池15の発電電力の変動を、蓄電池14から供給される電力によって補完することにより、太陽電池15の系統3への逆潮流や系統3からの電力供給を最小限にすることができ、また、より多くの電気設備を制御することができる。
【0112】
図10は、本実施例に係る電気設備の稼働状態制御を行った場合の、太陽電池15の発電力と、集合住宅1aの各部屋1bの電気設備の消費電力と、時間との関係を示すグラフである。太陽電池15の発電電力を実線で示し、電気設備の消費電力を一点鎖線で示す。斜めのハッチングを付した領域が太陽電池15によって賄われた電気設備の消費電力量を示す。
【0113】
図10に示すように太陽電池15の変動が大きい場合に対応するために、本実施例では、実施例3と同様に蓄電池14の残電力量に基づいて調整する際の電力を調整する期間(周期)を長め(例えば10分程度)に設定する。このようにすれば、電気設備の消費電力
を示す曲線のCP4、CP5、CP6、CP7で示す領域のように、太陽電池15の発電電力の変動により、電気設備の消費電力が太陽電池15の発電電力を超える場合にも、蓄電池14によって太陽電池15の発電力を補完して調整することにより、より多くの電気設備を制御することができる。
【0114】
〔変形例〕
以下に、実施例1、2、3及び4に対する変形例について説明する。
実施例1、2、3及び4では、図1に示すように、集合住宅1aとして説明したが、複数の需要家が使用する電力を分散型電源の発電力を上回るような施設においても本発明は適用することができる。
電気設備の制御は、集合住宅1aのような同一の建物に限らず、分散型電源を共用できる範囲であれば、複数の建物を含む範囲でも本発明を適用することができる。
実施例1、2、3及び4では、図1に示すように、電気設備10a、10b…10fを、コントローラ8aを介して、クラウド上に備えられた管理装置2によって制御しているが、個々の電気設備10a、10b…10fをクラウド上に備えられた管理装置2によって直接制御するようにしてもよい。また、管理装置2を、コントローラ8a、8b、8cとLAN等によってローカルで接続し、これらを制御するようにしてもよい。
実施例1、2、3及び4では、太陽電池15の発電電力をモニタリングし、閾値に基づいて電気設備を制御していたが、管理装置2が電気設備の出力と必要な電力量を予め記憶しておき、分散型電源の発電パターンとマッチングすることにより、電気設備を制御するようにしてもよい。このとき、分散型電源の発電パターンは、発電予測を活用してもよい。また、分散型電源の発電パターンは、過去の発電パターンと気象条件等の外部データから推定することができる。
電気設備の稼働台数は、分散型電源の発電予測と蓄電池の出力による調整電力に基づいて決定するようにしてもよい。
また、電気設備の使用状況を学習し、電気設備の稼働パターンを作成しておき、管理装置2は、稼働パターンと分散型電源の発電パターンとマッチングすることにより、電気設備を制御するようにしてもよい。このとき、各部屋の住民が設定した電気設備の設定情報(例えば、エコキュートの沸き上げ温度、空気調和機の設定温度や電源の入り切りの予約等)を、電気設備の動作パターンに活用することができる。
電気設備を制御し利益が発生した場合には、電気料金を割り引いたり、ポイントして還元したりするようにしてもよい。このようなポイントを売買し、又は翌月以降の電気料金に充当することにより活用できる。このようにすれば、入居者に電気設備の制御に対するインセンティブが与えられる。
電気設備の制御により分散型電源の自家消費を100%にすることで、電気料金を定額にするようにしてもよい。このようにすれば、入居者に電気設備の制御に対するインセンティブが与えられる。
【0115】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
分散型電源として電力を発電する発電部(15)と、
複合施設(1a)に設置され、前記発電部(15)によって発電された発電電力が供給される複数の電気設備(10a、10b…10f)と、
前記発電電力による前記電気設備(10a、10b…10f)の稼働状態を制御する管理装置(2)と、
を備えた電力管理システム(1)であって、
前記管理装置(2)は、
前記発電電力を監視する電力監視部(21)と、
前記電気設備による消費電力を取得する消費電力取得部(23)と、
前記稼働状態の制御の内容と優先順位とを関連付けて記憶する制御情報記憶部(26)と、
前記電気設備のそれぞれの前記稼働状態を制御する稼働制御部(27)と、
を有し、
前記稼働制御部(27)は、
稼働する前記電気設備(10a、10b…10f)による前記消費電力が前記発電電力で賄えるように、前記優先順位に基づいて、前記電気設備(10a、10b…10f)の稼働状態を制御することを特徴とする電力管理システム(1)。
【符号の説明】
【0116】
1 :電力管理システム
1a :集合住宅
2 :管理装置
10a,10b,10c,10d,10e,10f :電気設備
14 :蓄電池
15 :太陽電池
21 :電力監視部
22 :電力量取得部
23 :消費電力取得部
26 :電気設備リスト
27 :稼働制御部
28 :蓄電池残量調整電力テーブル
29 :残電力量取得部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11