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特許7423979運搬制御装置、運搬制御方法、プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】運搬制御装置、運搬制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/137 20060101AFI20240123BHJP
   G06Q 10/08 20240101ALI20240123BHJP
【FI】
B65G1/137 A
G06Q10/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019195294
(22)【出願日】2019-10-28
(65)【公開番号】P2021066592
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100134544
【弁理士】
【氏名又は名称】森 隆一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 祐史
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-529277(JP,A)
【文献】国際公開第2015/145982(WO,A1)
【文献】特開2000-509655(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/137
G06Q 10/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運搬対象物に掛けられ表面と裏面とで異なる制御指示情報が印字された第一の制御札の撮影画像から前記制御指示情報を取得し、前記運搬対象物の運搬可能な状態に運搬装置を制御する制御部備え、
前記制御部は、前記運搬対象物の運搬可能な状態に前記運搬装置を制御した後に、前記制御指示情報に基づいて前記運搬対象物の運搬制御を行う
運搬制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記運搬対象物に関する制御指示情報を読み取る
請求項1に記載の運搬制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記制御指示情報を取得する前に、前記運搬対象物に付された制御指示情報を読み取る読取位置に移動する
請求項1または請求項2に記載の運搬制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、第二の制御札の撮影画像に写る前記運搬対象物に関する制御修正指示情報を、前記運搬制御を行う間に取得し、
前記制御部は、前記制御修正指示情報に基づいて前記運搬制御を修正する
請求項1から請求項3の何れか一項に記載の運搬制御装置。
【請求項5】
前記制御修正指示情報は、前記運搬制御における移動の停止、スピードの変更、クラクションの鳴動、経路の変更の少なくとも一つを示す指示情報である
請求項4に記載の運搬制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記運搬対象物の運搬制御を行った結果、前記運搬対象物の識別情報と当該運搬対象物の状態を示す状態情報とを出力先へ出力する
請求項1から請求項5の何れか一項に記載の運搬制御装置。
【請求項7】
運搬対象物に掛けられ表面と裏面とで異なる制御指示情報が印字された第一の制御札の撮影画像から前記制御指示情報を取得し、
前記運搬対象物の運搬可能な状態に運搬装置を制御し、
前記運搬対象物の運搬可能な状態に前記運搬装置を制御した後に、前記制御指示情報に基づいて前記運搬対象物の運搬制御を行う
運搬制御方法。
【請求項8】
運搬制御装置のコンピュータを、
運搬対象物に掛けられ表面と裏面とで異なる制御指示情報が印字された第一の制御札の撮影画像から前記制御指示情報を取得する手段、
前記運搬対象物の運搬可能な状態に運搬装置を制御する手段、として機能させ、
前記運搬装置を制御する手段は、さらに、前記運搬対象物の運搬可能な状態に前記運搬装置を制御した後に、前記制御指示情報に基づいて前記運搬対象物の運搬制御を行う
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運搬制御装置、運搬制御方法、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
倉庫などにおいて荷物などの運搬対象物をある運搬元の位置から他の運搬先の位置に移動させるAGV(Automated guided vehicle)などの運搬ロボットが利用されている。このような運搬ロボットを用いたとしても、運搬ロボットが荷物の運搬元に到着したかどうかの確認や、荷物を積む動作など人の力を利用する状況が多い。関連する技術が特許文献1に開示されている。特許文献1の技術は、資材搬送システムに関し、台車のIDと資材のデータに基づいて、台車の移動を管理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第6149145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現状の倉庫などの荷物を管理する施設では、現状では人の力が必要となっており、自動的な運搬元から運搬先への運搬対象物の運搬に、人の判断を融合させて、より効率的に荷物の運搬を行う必要がある。
【0005】
そこでこの発明は、上述の課題を解決する運搬制御装置、運搬制御方法、プログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
発明の第一の態様によれば、運搬制御装置は、運搬対象物に付された制御指示情報を取得する取得部と、前記運搬対象物の運搬可能な状態に運搬装置を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記運搬対象物の運搬可能な状態に前記運搬装置を制御した後に、前記制御指示情報に基づいて前記運搬対象物の運搬制御を行うことを特徴とする。
【0007】
発明の第二の態様によれば、運搬制御方法は、運搬対象物に付された制御指示情報を取得し、前記運搬対象物の運搬可能な状態に運搬装置を制御し、前記運搬対象物の運搬可能な状態に前記運搬装置を制御した後に、前記制御指示情報に基づいて前記運搬対象物の運搬制御を行うことを特徴とする。
【0008】
発明の第三の態様によれば、プログラムは、運搬制御装置のコンピュータを、運搬対象物に付された制御指示情報を取得する手段、前記運搬対象物の運搬可能な状態に運搬装置を制御する手段、として機能させ、前記運搬装置を制御する手段は、さらに、前記運搬対象物の運搬可能な状態に前記運搬装置を制御した後に、前記制御指示情報に基づいて前記運搬対象物の運搬制御を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、人の判断を融合させて、より効率的に荷物等の運搬対象物の運搬を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態による運搬制御システムの概要を示す第一の図である。
図2】本実施形態による運搬制御システムの概要を示す第二の図である。
図3】本実施形態による運搬制御システムのシステム構成図である。
図4】本実施形態による運搬制御装置のハードウェア構成図である。
図5】本実施形態による運搬制御装置の機能ブロック図である。
図6】本実施形態による運搬制御装置の処理フローを示す第一の図である。
図7】本実施形態による運搬制御装置の処理フローを示す第二の図である。
図8】本実施形態による運搬制御装置の最小構成を示す図である。
図9】本実施形態による最小構成の運搬制御装置による処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態による運搬制御装置を含む運搬制御システムを、図面を参照して説明する。
図1は、同実施形態による運搬制御装置を用いた運搬制御システムの概要を示す第一の図である。
図1で示すように運搬制御装置1は運搬ロボット2に設けられている。運搬ロボット2は、運搬制御装置1とカメラ3とを備え、運搬制御装置1の制御に基づいて運搬ロボット2の車輪や操舵装置が駆動することにより、運搬対象物である荷物Oの運搬のために運搬元から運搬先へ移動する。
【0012】
運搬制御装置1は、荷物Oを運搬する際、搬対象物に関する制御指示情報を読み取るための読取位置に移動する。運搬制御装置1は、カメラ3を制御して撮影により生成された画像を取得し、その画像に映る制御指示情報に基づいて、荷物Oを運搬可能な状態に自装置を制御する。例えば、荷物Oは台車5に積まれる。運搬制御装置1は運搬ロボット2を制御して読取位置に移動する。運搬制御装置1はカメラ3を制御して、荷物に掛けられた制御札Bを撮影する。
【0013】
運搬制御装置1は制御札Bの撮影により生成された画像をカメラ3から取得する。制御札Bには制御指示情報が印字される。運搬制御装置1は、カメラ3から取得し画像を解析して制御指示情報を検出する。運搬制御装置1は、制御指示情報に基づいて、制御札Bが掛かる荷物Oが積まれた台車5の連結部分に、運搬ロボット2の連結機構4を連結させる運転制御を行う。運搬制御装置1は、連結が完了すると、連結した台車を引いて、制御指示情報が示す運搬元の位置から運搬先の位置まで移動する運搬制御を行う。
【0014】
図2は、同実施形態による運搬制御装置を用いた運搬制御システムの概要を示す第二の図である。
運搬制御装置1は制御指示情報が示す地図情報に基づいて運搬先までの経路を認識し当該経路を移動する(2a)。運搬制御装置1は移動中にカメラ3が撮影して生成した画像を取得し、運搬先の位置に台車を配置できるかを判定する(2b)。運搬制御装置1は、運搬先の配置位置に台車を配置する運搬制御を行った後、連結機構4を切り離す(2c)。運搬制御装置1は、その後、次の荷物を運搬するための所定の位置(元の場所など)に移動する(2d)。
【0015】
図3は、運搬制御システムのシステム構成図である。
図3で示すように運搬制御装置1は、管理サーバ10と通信接続を行う。運搬制御装置1は、荷物Oの運搬制御を行った結果、運搬対象となった荷物Oの識別情報と当該荷物Oの状態を示す状態情報とを出力先である管理サーバ10へ送信する。状態情報とは、荷物Oの現在位置、移動完了時刻などを含む情報である。
【0016】
図4は、本実施形態による運搬制御装置のハードウェア構成図である。
図4で示すように、運搬制御装置1は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、データベース104、通信モジュール105等の各ハードウェアを備えたコンピュータである。なお管理サーバ10も同様のハードウェア構成を備えたコンピュータである。
【0017】
図5は、本実施形態による運搬制御装置の機能ブロック図である。
運搬制御装置1は、予め記憶する運搬制御プログラムを起動する。これにより、運搬制御装置は、取得部11、制御部12の機能を発揮する。
取得部は、荷物Oに関する制御指示情報を取得する。
制御部12は、荷物Oの運搬可能な状態に自装置を制御する。制御部12は、荷物Oの運搬可能な状態に自装置を備えた運搬ロボット2を制御した後に、制御指示情報に基づいて荷物Oの運搬制御を行う。
【0018】
図6は、本実施形態による運搬制御装置の処理フローを示す第一の図である。
運搬制御装置1の取得部11は、所定の運搬元の位置に移動するよう指示する制御指示情報を、管理サーバ10から取得する(ステップS101)。取得部11は制御指示情報を制御部12へ出力する。制御部12は、運搬ロボット2を運搬元の位置に移動する移動制御を行う(ステップS102)。これにより運搬ロボット2が運搬元に位置に移動する。
【0019】
運搬ロボット2は、一例としては移動経路の床に貼られた磁気テープを検出し、磁気テープの上を外れないように移動する移動方式により移動する。または運搬ロボット2は、地図情報を記憶し、検出した位置と、当該位置に対応する地図情報が示す位置とに基づいて、運搬制御装置1の自立走行制御により移動してもよい。運搬ロボット2は、軌道を走行するものであってもよい。
【0020】
制御部12は、運搬元の位置へ移動したことを検知する(ステップS103)。例えば制御部12は、運搬ロボット2に備わる通信装置が受信した信号の情報を解析し、その信号が、運搬元の位置に設けられた発信機から発信された信号の情報である場合、運搬元の位置に移動したと検知する。または制御部12は、カメラ3を制御して取得した画像を解析し、その画像が運搬元位置に相当する物体が含まれる場合には、運搬元の位置に移動したと検知する。または制御部12は、運搬ロボット2に備わる位置センサで検出した位置が、運搬元を示す場合に、運搬元の位置に移動したと検知してもよい。
【0021】
制御部12は、運搬元の位置に移動したと検知した場合、カメラ3を制御して取得した画像を解析し、画像中に制御札Bが含まれるかを判定する(ステップS104)。制御部12は画像の画素を解析して、色や、札の形、大きさなどを解析し、制御札Bに対応するそれらの情報が検出できた場合には、画像中に制御札Bが含まれると判定する。なおこの判定の段階で、制御札Bに印字された制御指示情報が認識できなくてもよい。
【0022】
制御部12は、画像中に制御札Bが含まれる場合、その制御札Bの位置に応じた読取位置に移動するよう運搬ロボット2を制御する。制御札Bの位置に応じた読取位置は、制御札Bに印字されている制御指示情報等を認識でき、制御札Bが正面となる位置である。例えば制御部12は、画像を解析して、運搬ロボット2と制御札Bの距離、相対位置などを検出する。これら距離や相対位置の検出は公知の技術を用いればよい。運搬ロボット2がレーダを備え、制御部12は、そのレーダの反射波に基づいて算出した対象物までの距離に基づいて、運搬ロボット2と制御札Bの対象物である台車5や制御札の掛けられた荷物Oの形状や、対象物までの距離、相対位置などを検出してもよい。制御部12は、制御札Bまでの距離、制御札Bとの相対距離や、運搬ロボット2の方向に基づいて、読取位置まで移動距離、移動方向、転回角度を算出する。制御部12は、それら移動距離、移動方向、転回角度に基づいて運搬ロボット2を移動制御して読取位置まで移動する制御を行う(ステップS105)。これにより運搬ロボット2は読取位置まで移動し、荷物Oに係る制御札Bの正面の所定の距離の読取位置に停止する。
【0023】
制御部12は、カメラ3から画像を取得し、その画像に映る制御札Bの大きさや位置などに基づいて、読取位置に移動したことを検出する(ステップS106)。制御部12は読取位置に移動したことを検出すると、カメラ3を制御し撮影により生成された画像を取得する。制御部12は、画像に映る制御札Bに印字された制御指示情報を検出する(ステップS107)。
【0024】
例えば制御札Bは、青または赤の下地にコード化された制御指示情報と制御指示情報に対応する制御指示を示す文章が印字されているものとする。一例としては制御札Bの表面は青の下地に、運搬元と運搬先を示すコード化された制御指示情報と、運搬元と運搬先の位置の名称が印字されている。制御札Bの裏面は赤の下地に、一時停止を示す制御指示情報と、一時停止の文字が印字されている。作業者が、制御札Bの青の表面が見えるようにその制御札Bを荷物Oに掛けている場合、制御部12は、運搬元と運搬先を示すコード化された制御指示情報を検出する。または作業者が、制御札Bの赤の裏面が見えるようにその制御札Bを荷物Oに掛けている場合、制御部12は、一時停止を示す制御指示情報を検出する。
【0025】
制御部12は、制御指示情報が示す指示を認識する(ステップS108)。制御部12は、制御指示情報から運搬元と運搬先を認識した場合、制御札Bが掛けられている荷物Oの載置された台車5の連結部に、運搬ロボット2の連結機構4を連結する移動制御を行う(ステップS109)。この処理は、制御部12が、制御指示情報の読み取り後に運搬対象物の運搬可能な状態に運搬ロボット2(運搬装置)を制御する処理の一態様である。制御部12は、その後、運搬ロボット2を運搬先に移動して荷物を運搬する運搬制御を行う(ステップS110)。これにより運搬ロボット2は、連結した台車を引いて運搬先へ移動する。なお制御部12は、連結機構4の台車5の連結部へ連結したことの判定を画像解析によって行ってもよいし、連結機構4からえた連結完了の信号を検知して連結したことを判定してもよい。
【0026】
制御部12は、運搬制御を行う際、運搬元の位置から運搬先の位置までの経路情報を認識する。例えば運搬制御装置1が、予め運搬元と運搬先との組み合わせに応じた経路情報を記憶している。制御部12は、運搬元の識別情報と運搬先の識別情報に紐づいて記憶する経路情報を読み取る。制御部12は、読み取った経路情報に基づいて、運搬ロボット2の運搬制御を行う。なお経路情報は、例えば経路上で進路を変更する分岐点と、その分岐点において移動する方向などの情報が含まれる。制御部12は、運搬制御において、分岐点に達したことを検出すると、その分岐点における移動方向へ移動する制御を行う。
【0027】
より具体的には、制御部12は、経路情報に含まれる一つ目の指示を読み取る。一つ目の指示は次の分岐点の情報と、次の分岐点までに移動する経路に設けられた磁気テープに記録された経路IDである。制御部12は指示に基づいて経路IDが示す磁気テープの上を次の分岐点まで移動するよう運搬ロボット2を制御する。制御部12は、次の分岐点に到着したことを磁気テープから読み取った情報に含まれる分岐点IDに基づいて検出する。制御部12は、次の分岐点に到着したことを検出した場合、経路情報から二つ目の指示を読み取る。制御部12はこのような処理を繰り返し、運搬ロボット2の運搬制御を行う。
【0028】
そして最後の指示に含まれる運搬先の位置を磁気テープから読み取った情報に含まれる場合、制御部12は、運搬ロボット2が運搬先に到着したことを認識する(ステップS111)。制御部12はカメラ3を制御して、撮影により生成された画像を取得する。制御部12は、画像を解析して、運搬先のエリアに荷物Oを積載した台車5を配置するスペースがあるかを解析する(ステップS112)。例えば制御部12は、画像中に所定の色のテープでマークされた矩形のスペースに他の台車5や荷物Oが配置されているかを解析する。制御部12は、スペースがある場合には、そのスペースに台車5が位置するよう運搬ロボット2の移動距離、移動方向、転回角度を算出する。制御部12は、それら移動距離、移動方向、転回角度に基づいて運搬ロボット2を移動制御して、台車5を、運搬先のスペースに配置する。(ステップS113)。制御部12は、カメラ3から取得した画像を解析して台車5を、運搬先のスペースに配置したことを検出する(ステップS114)。制御部12は、運搬ロボット2を制御して、連結機構4を台車5の連結部から切り離す(ステップS115)。
【0029】
制御部12は、台車5の連結部を切り離した後、所定の移動先へ移動するよう運搬ロボット2を制御する(ステップS116)。所定の移動先は、次の運搬元であってもよいし、同じ運搬元であってもよい。制御部12は、次の移動先の問い合わせ情報を管理サーバ10に送信し、その結果、管理サーバ10から受信した指示情報に基づいて、次の移動先を検出してもよい。制御部12は、また台車5を切り離した場合、台車5で運搬先に運搬した荷物Oの識別情報と、運搬先の識別情報と、運搬完了時刻とを含む運搬結果情報を、管理サーバ10へ送信するようにしてもよい。管理サーバ10は、運搬結果情報を受信し、その情報をデータベース等に記憶する。これにより管理サーバ10は、荷物Oがどこにあるか、いつ運搬先に移動したかの情報を記憶することができる。
【0030】
図7は、本実施形態による運搬制御装置の処理フローを示す第二の図である。
次に、運搬制御装置1が運搬ロボット2を運搬制御している際の処理について説明する。
上述したように運搬制御装置1の制御部12は、経路情報に基づいて運搬ロボット2の運搬制御を行う。制御部12は運搬制御をおこなっている間、カメラ3を制御して所定の間隔で画像を取得する(ステップS201)。制御部12は、画像情報を解析し、経路近傍の柱や棚に掛けられている制御札Cが画像中に含まれるかを上述の処理と同様に判定する(ステップS202)。制御部12は、画像中に制御札Cが含まれる場合には、その制御札Cに印字された制御修正指示情報を検出する(ステップS203)。
【0031】
例えば制御札Cは、制御指示情報の印字された制御札Bと同様に、所定の色の下地にコード化された制御修正指示情報や制御修正指示情報に対応する制御修正指示を示す文章が印字されている。一例としては制御修正指示情報が印字された制御札Cの表面は黄色の下地に、コード化された制御修正指示情報と、その制御指示情報を示す指示の名称が印字されている。
【0032】
制御部12は、制御修正指示情報が示す修正指示を認識する(ステップS204)。例えば制御修正指示情報が示す指示内容は、移動の停止、スピードの変更、クラクションの鳴動、経路の変更などである。制御修正指示情報が示す指示内容が移動の停止の場合、その停止の秒数が含まれてよい。制御修正指示情報が示す指示内容がスピードの変更の場合、そのスピードの値が含まれてよい。制御修正指示情報が示す指示内容がクラクションの鳴動である場合、クラクションの種類や、鳴動時間が含まれてよい。制御修正指示情報が示す指示内容が経路の変更である場合、新たな経路情報が含まれてよい。
【0033】
制御部12は、制御修正指示情報が示す修正指示を認識すると、その修正指示に基づいて運搬ロボット2を制御する(ステップS205)。このような処理によれば、運搬制御装置1が運搬ロボット2を運搬制御している間の経路近傍に、ユーザが制御札Cを掛けておくことで、運搬ロボットの運搬制御を変更することができる。例えば、運搬ロボット2の経路を荷物が塞いでいる場合などの緊急時に、運搬ロボット2を緊急停止させるために、緊急停止や経路変更を指示するための制御札Cを、その経路の近傍に掛けるだけで、運搬ロボット2の運搬制御を、近くの作業者自身で変更することができる。
【0034】
なお上述の処理において、制御札に1つの制御指示情報または制御修正指示情報が含まれる場合を例に説明しているが、制御札には複数の制御指示情報または制御修正指示情報が含まれるようにしてよい。制御部12は、取得した画像中の制御札に複数の制御指示情報または制御修正指示情報が含まれる場合、それらの全てを認識する。
【0035】
また上述の処理において、制御札Bに印字される制御指示情報には、運搬元と運搬先の情報が含まれ、これらの情報に基づいて運搬ロボット2の運搬制御をおこなう場合を例示している。しかしながら、制御札Bに印字されている制御指示情報には、運搬ロボット2に所定の制御を行わせるための指示情報が含まれてよい。例えば、前方に移動している運搬ロボット2に台車5を連結させる指示や、運搬元のエリアにおいて台車5の配置位置を変更させる指示などの情報が含まれてよい。
【0036】
上述した制御指示情報や、制御修正指示情報は、一例としてはバーコードや、二次元コードにより符号化されてよい。
【0037】
また運搬制御装置1の制御部12は、運搬ロボット2の位置に基づいて、制御札に含まれる制御指示情報や制御修正指示情報を認識することが必要なエリアや位置にいるかを判定するようにしてもよい。これにより、制御指示情報や制御修正指示情報を認識する必要がない位置で、誤って掛けられた制御札に基づいて、制御指示情報や制御修正指示情報を認識することを防ぐようにしてもよい。
【0038】
また運搬制御装置1の制御部12は、新たな経路情報や地図情報を管理サーバ10に問い合わせ、管理サーバ10からそれら新たな経路情報や地図情報を受信して、運搬制御に利用するようにしてもよい。
【0039】
図8は本実施形態による運搬制御装置の最小構成を示す図である。
図9は本実施形態による最小構成の運搬制御装置による処理フローを示す図である。
運搬制御装置1は、取得部11、制御部12を少なくとも備える。
取得部11は、運搬対象物に付された制御指示情報を取得する(ステップS301)。
制御部12は、制御指示情報の読み取り後に運搬対象物の運搬可能な状態に運搬装置を制御する(ステップS302)。制御部12は、運搬対象物の運搬可能な状態に運搬装置を制御した後に、制御指示情報に基づいて運搬対象物の運搬制御を行う(ステップS303)。
【0040】
上述の各装置は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0041】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0042】
1・・・運搬制御装置
2・・・運搬ロボット
3・・・カメラ
4・・・連結機構
5・・・台車
O・・・荷物(運搬対象物)
B,C・・・制御札
11・・・取得部
12・・・制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9