(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】記録材処理装置および画像形成システム
(51)【国際特許分類】
B42B 5/00 20060101AFI20240123BHJP
B65H 37/04 20060101ALI20240123BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
B42B5/00
B65H37/04 Z
G03G15/00 432
(21)【出願番号】P 2019196438
(22)【出願日】2019-10-29
【審査請求日】2022-09-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104880
【氏名又は名称】古部 次郎
(74)【代理人】
【識別番号】100113310
【氏名又は名称】水戸 洋介
(72)【発明者】
【氏名】松本 匡史
(72)【発明者】
【氏名】小澤 秀明
(72)【発明者】
【氏名】野辺 裕
(72)【発明者】
【氏名】内山 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】深町 昂志
(72)【発明者】
【氏名】牧田 拓也
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 尚人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大志
(72)【発明者】
【氏名】中村 光宏
【審査官】三橋 健二
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-199553(JP,A)
【文献】特開2018-177427(JP,A)
【文献】特開2015-120588(JP,A)
【文献】特開2019-111698(JP,A)
【文献】特開2014-151579(JP,A)
【文献】特開2014-148398(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42B 5/00
B65H 37/04
G03G 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録材束の綴じ処理に用いられる第1の歯と、
直線状の経路に沿って前記第1の歯に向かって移動し、当該第1の歯との間に位置する前記記録材束を押圧する第2の歯と、
前記直線状の経路に沿って配置され、前記第1の歯に向かって移動する前記第2の歯の案内を行う案内部と、
前記第2の歯を前記第1の歯に向けて移動させる移動手段と、
を備え、
前記移動手段は、前記第2の歯に連動する連動部分に噛み合うねじ手段を周方向に回転させて、当該第2の歯を前記第1の歯に向けて移動させ、
前記連動部分は、前記ねじ手段に噛み合い当該ねじ手段からの荷重を受ける荷重受け部材と、前記第2の歯を支持する支持部材とを含んで構成され、
前記支持部材に対して前記荷重受け部材が固定されるとともに、当該固定を解除することで、当該支持部材に対する当該荷重受け部材の移動であって、前記ねじ手段が延びる方向と交差する方向である交差方向への当該荷重受け部材の移動が可能となっており、
前記連動部分に対する前記ねじ手段の移動であって前記交差方向への当該ねじ手段の移動が可能となっており、前記支持部材に対する前記荷重受け部材の移動であって当該交差方向への当該荷重受け部材の移動を行うことで、当該連動部分に対する当該ねじ手段の移動を行える記録材処理装置。
【請求項2】
記録材への画像の形成を行う画像形成装置と、当該画像形成装置により画像が形成された複数枚の記録材によりなる記録材束に対する綴じ処理を行う記録材処理装置とを備え、当該記録材処理装置が請求項
1に記載の記録材処理装置により構成された画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録材処理装置および画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、下歯を、上歯と噛合する位置に移動可能に保持する下歯ブロックに取り付けると共に、下歯が上歯と噛合する位置に移動した下歯をビスにより下アームに固定する構成が開示されている。
特許文献2には、一対の圧着部材と、一対の圧着部材の一方である可動圧着部材を移動させる圧着部材移動手段とを備えた用紙綴じ装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-229262号公報
【文献】特開2014-148398号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
記録材束に対する綴じ処理では、例えば、歯をこの記録材束へ進出させてこの記録材束に対してこの歯を押し当て、記録材束を構成する記録材同士を圧着させ、記録材束の綴じ処理が行われることがある。
ここで、例えば、歯が、記録材束に向かって進出するにあたり、この歯が、曲線状の経路に沿って移動すると、歯が記録材束に押し当てられる際の歯の位置の精度が低下しやすい。この場合、記録材束に対して行われる綴じの質が低下するおそれがある。
本発明の目的は、歯が曲線状の経路に沿って移動して記録材束に押し当てられる構成に比べ、記録材束に対して行われる綴じの質を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、記録材束の綴じ処理に用いられる第1の歯と、直線状の経路に沿って前記第1の歯に向かって移動し、当該第1の歯との間に位置する前記記録材束を押圧する第2の歯と、前記直線状の経路に沿って配置され、前記第1の歯に向かって移動する前記第2の歯の案内を行う案内部と、前記第2の歯を前記第1の歯に向けて移動させる移動手段と、を備え、前記移動手段は、前記第2の歯に連動する連動部分に噛み合うねじ手段を周方向に回転させて、当該第2の歯を前記第1の歯に向けて移動させ、前記連動部分は、前記ねじ手段に噛み合い当該ねじ手段からの荷重を受ける荷重受け部材と、前記第2の歯を支持する支持部材とを含んで構成され、前記支持部材に対して前記荷重受け部材が固定されるとともに、当該固定を解除することで、当該支持部材に対する当該荷重受け部材の移動であって、前記ねじ手段が延びる方向と交差する方向である交差方向への当該荷重受け部材の移動が可能となっており、前記連動部分に対する前記ねじ手段の移動であって前記交差方向への当該ねじ手段の移動が可能となっており、前記支持部材に対する前記荷重受け部材の移動であって当該交差方向への当該荷重受け部材の移動を行うことで、当該連動部分に対する当該ねじ手段の移動を行える記録材処理装置である。
請求項2に記載の発明は、記録材への画像の形成を行う画像形成装置と、当該画像形成装置により画像が形成された複数枚の記録材によりなる記録材束に対する綴じ処理を行う記録材処理装置とを備え、当該記録材処理装置が請求項1に記載の記録材処理装置により構成された画像形成システムである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1、2の発明によれば、歯が曲線状の経路に沿って移動して記録材束に押し当てられる構成に比べ、記録材束に対して行われる綴じの質を向上させることができ、また、連動部分に対するねじ手段の移動が可能になっていない構成に比べ、ねじ手段の姿勢を、本来意図した姿勢に近づけることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】画像形成システムの全体構成を示した図である。
【
図4】
図3の矢印IVで示す方向から第2綴じ処理装置を見た場合の図である。
【
図5】
図4の矢印V方向から第2綴じ処理装置を見た場合の図である。
【
図6】第2綴じ処理装置の他の構成例を示した図である。
【
図7】
図4のVII―VII線における第2綴じ処理装置の断面図である。
【
図8】
図5のVIII-VIII線における第2綴じ処理装置の断面を示した図である。
【
図9】第2綴じ処理装置の他の構成例を示した図である。
【
図10】第2綴じ処理装置の他の構成例であって、
図5の矢印Xで示す方向から連動部等を見た場合の図である。
【
図11】第2綴じ処理装置の他の構成例を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、画像形成システム1の全体構成を示した図である。
図1に示す画像形成システム1は、記録材の一例としての用紙Pに対して画像を形成する画像形成装置2と、画像形成装置2によって画像が形成された用紙Pに対して予め定められた処理を施す用紙処理装置3とを備える。
ここで、画像形成装置2は、電子写真方式やインクジェット方式を用いて、用紙Pへの画像の形成を行う。
【0009】
記録材処理装置の一例としての用紙処理装置3には、画像形成装置2から出力された用紙Pを下流側に搬送する搬送装置10、搬送装置10により搬送される用紙Pに対して厚紙や窓空き用紙P等の合紙を供給する合紙供給装置20が設けられている。
また、用紙処理装置3には、搬送装置10から搬送された用紙Pに対して内三折り(C折り)や外三折り(Z折り)等の折り処理を施す折り装置30が設けられている。
【0010】
また、用紙処理装置3には、折り装置30の下流側に設けられ、用紙Pに穴あけや端綴じ、中綴じ等を行う第1後処理装置40が設けられている。
付言すると、折り装置30の下流側は、画像形成装置2により画像が形成された複数枚の用紙Pによりなる用紙束(記録材束の一例)に対する処理を行ったり、一枚の用紙P毎に用紙Pに対する処理を行ったりする第1後処理装置40が設けられている。
【0011】
また、用紙処理装置3には、第1後処理装置40の下流側に設けられ、中折りや中綴じされた用紙束に対する処理をさらに行う第2後処理装置590が設けられている。
また、用紙処理装置3には、プログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)により構成され、用紙処理装置3の全体を制御する制御部100が設けられている。
【0012】
第1後処理装置40には、用紙Pに穴あけ(パンチ)を施す穿孔ユニット41、用紙束の端を綴じる端綴じステープラユニット42が設けられている。
また、端綴じステープラユニット42を経た用紙Pが積載される第1積載部43、第1後処理装置40での処理が行われない用紙Pまたは穴あけだけが施された用紙Pが積載される第2積載部45が設けられている。
さらに、第1後処理装置40には、用紙束を中折り/中綴じして見開き状の冊子を作製する中綴じユニット44が設けられている。
【0013】
図2は、第1後処理装置40の構成を説明する図である。
第1後処理装置40には、折り装置30から搬送されてきた用紙Pを受け入れる受け入れ口49が設けられている。
受け入れ口49の直後には、穿孔ユニット41が設けられている。穿孔ユニット41は、第1後処理装置40へ搬送されてきた用紙Pに対して、2穴や4穴等の穴あけ(パンチ)を施す。
【0014】
また、この受け入れ口49から端綴じステープラユニット42にかけて設けられ、受け入れ口49にて受け入れられた用紙Pの端綴じステープラユニット42への搬送に用いられる第1用紙搬送経路R11が設けられている。
さらに、第1分岐部B1にて、第1用紙搬送経路R11から分岐し、第2積載部45への用紙Pの搬送に用いられる第2用紙搬送経路R12が設けられている。
【0015】
また、第2分岐部B2にて、第1用紙搬送経路R11から分岐し、中綴じユニット44への用紙Pの搬送に用いられる第3用紙搬送経路R13が設けられている。
また、用紙Pの搬送先を、第1用紙搬送経路R11~第3用紙搬送経路R13の何れかに切り替える(設定する)切り替えゲート70が設けられている。
【0016】
端綴じステープラユニット42には、用紙Pを必要枚数だけ集積させて用紙束を生成する用紙集積部60が設けられている。
用紙集積部60には、水平方向に対して傾斜して配置され、搬送されてきた用紙Pを下方から支持する支持板67が設けられている。本実施形態では、この支持板67の上に、用紙束が生成される。
【0017】
さらに、端綴じステープラユニット42には、用紙集積部60にて生成された用紙束の端部に対して綴じ(端綴じ)を実行する綴じ処理装置50が設けられている。
なお、本実施形態では、後述するように、ステープル針を用いて綴じ処理を行う第1綴じ処理装置51と、ステープル針を用いないで綴じ処理を行う第2綴じ処理装置52の2つの綴じ処理装置50が設けられている。
【0018】
また、端綴じステープラユニット42には、回転駆動を行い、用紙集積部60にて生成された用紙束を第1積載部43へ送り出す搬送ロール61が設けられている。
さらに、搬送ロール61から退避した位置、および、搬送ロール61に圧接する位置へ移動可能な可動ロール62が設けられている。
【0019】
ここで、端綴じステープラユニット42による処理が行われる際には、まず、受け入れ口49にて、搬送されてきた用紙Pが受け入れられる。
その後、この用紙Pは、第1用紙搬送経路R11に沿って搬送され、端綴じステープラユニット42に達する。
そして、この用紙Pは、支持板67の上方まで搬送された後に支持板67に落下する。また、この用紙Pは、支持板67によって下方から支持されるとともに、支持板67に付与された傾斜および回転部材63によって、支持板67の上をスライド移動する。
【0020】
その後、この用紙Pは、支持板67の端部に取り付けられたエンドガイド64に突き当たる。付言すると、本実施形態では、支持板67の端部に対し、図中上方に向かって延びるエンドガイド64が設けられており、支持板67上を移動した用紙Pは、このエンドガイド64に突き当たる。
これにより、本実施形態では、用紙Pの移動が停止される。以後、用紙Pが上流側から搬送されてくる度にこの動作が行われ、支持板67上には、用紙Pが揃えられた用紙束が生成される。
【0021】
なお、本実施形態では、用紙束の幅方向における位置を揃える用紙幅位置揃え部材65がさらに設けられている。
本実施形態では、支持板67上に用紙Pが供給される度に、用紙Pの幅方向における端部(側部)が用紙幅位置揃え部材65により押圧され、用紙P(用紙束)の幅方向における位置も揃えられる。
【0022】
予め定められた枚数の用紙Pが支持板67上に積載されると、第1綴じ処理装置51や第2綴じ処理装置52によって、用紙束の端部に対する綴じが実行される。
なお、第1綴じ処理装置51は、金属製のステープル(U字状針)を用紙束に打ち込んで、綴じを実行する。また、第2綴じ処理装置52は、用紙束を2つの綴じ歯で挟んでこの用紙束を構成する用紙同士を圧着させ、綴じを実行する。
【0023】
その後、本実施形態では、可動ロール62が搬送ロール61に向かって進出し、可動ロール62および搬送ロール61により用紙束が挟まれる。その後、搬送ロール61が回転駆動を行い、用紙束が第1積載部43へ搬送される。
なお、第1綴じ処理装置51、第2綴じ処理装置52は、図中紙面の奥側および手前側に向かって移動可能に設けられており、本実施形態では、複数の箇所にて、用紙Pに対する綴じ処理を行えるようになっている。
【0024】
図3(用紙集積部60を上方から見た場合の図)を参照し、さらに説明すると、本実施形態では、上記のとおり、第1綴じ処理装置51、第2綴じ処理装置52が設けられている。
第1綴じ処理装置51、第2綴じ処理装置52は、第1後処理装置40の奥行き方向における位置が互いに異なるように配置されている。
【0025】
本実施形態では、用紙P(用紙束)の搬送方向と直交する方向である、第1後処理装置40の奥行き方向に沿って、第1綴じ処理装置51、第2綴じ処理装置52が移動する。
付言すると、本実施形態では、1つの共通の経路に沿って、第1綴じ処理装置51、第2綴じ処理装置52が移動する。
本実施形態では、第1綴じ処理装置51、第2綴じ処理装置52が移動可能となっており、用紙束の複数の箇所に対して綴じ処理を行える。
【0026】
ここで、第1綴じ処理装置51、第2綴じ処理装置52の各々は、例えば、第1後処理装置40の奥行き方向において互いに異なる箇所に位置する2点(
図3の(A)位置と(B)位置)にて停止するとともに、この2点において綴じ処理(2点端綴じ処理)を行う。
また、第1綴じ処理装置51、第2綴じ処理装置52の各々は、例えば、用紙束の一方の端(用紙束の一方の角部)(
図3の(D)位置)にて停止するとともに、この停止位置で綴じ処理(1点端綴じ)を行う。
【0027】
また、第1綴じ処理装置51、第2綴じ処理装置52の各々は、例えば、用紙束の他方の端(用紙束の他方の角部)(
図3の(C)位置)にて停止するとともに、この停止位置で綴じ処理(1点端綴じ)を行う。
ここで、本実施形態では、(A)位置と(B)位置との間では、第1綴じ処理装置51、第2綴じ処理装置52の各々は、直線的な移動を行うが、(A)位置と(C)位置との間、および、(B)位置と(D)位置との間では、第1綴じ処理装置51、第2綴じ処理装置52の各々は、例えば45°の回転を伴いながら移動を行う。
【0028】
ここで、本実施形態では、
図3に示すように、エンドガイド64が複数設けられている。
これらのエンドガイド64は、第1後処理装置40の奥行き方向(用紙Pの搬送方向と直交する方向)において、互いに異なる箇所に配置されている。
また、エンドガイド64の各々は、
図3に示すように、規制部641および対向片642を有する。
【0029】
規制部641は、支持板67に対して直交する関係で配置され、本実施形態では、この規制部641に用紙Pの端部が突き当たって用紙Pの移動が規制される。
対向片642は、規制部641に接続されるとともに支持板67に対向するように配置されている。
本実施形態では、支持板67上に用紙Pが載ると、対向片642と支持板67との間にこの用紙Pの端部が入り込む。さらに、この用紙Pの端部が規制部641に突き当たる。これにより、用紙Pの揃えが行われる。
【0030】
なお、
図3の(A)位置にて綴じ処理が行われるときには、
図3にて図中中央(上下方向における中央)に位置する対向片642と、図中下方に位置する対向片642との間に形成された間隙を通じて綴じ処理が行われる。
また、
図3の(B)位置にて綴じ処理が行われるときには、
図3にて図中上方に位置する対向片642と図中中央に位置する対向片642との間に形成された間隙を通じて綴じ処理が行われる。
【0031】
図4は、
図3の矢印IVで示す方向から、第2綴じ処理装置52を見た場合の図である。
図5は、
図4の矢印V方向から第2綴じ処理装置52を見た場合の図である。付言すると、
図5は、第2綴じ処理装置52を正面から見た場合の図である。
なお、
図4において、矢印4Aで示す方向を、以下、第2綴じ処理装置52の幅方向と称し、矢印4Bで示す方向を、第2綴じ処理装置52の奥行き方向と称する。また、矢印4Cで示す方向を、第2綴じ処理装置52の高さ方向と称する。
また、本明細書では、図中矢印4Rで示す方向をリア方向やリア側と称し、図中矢印4Fで示す方向をフロント方向やフロント側と称する。
【0032】
図4に示すように、第2綴じ処理装置52には、記録材束の一例である用紙束T(
図5参照)の綴じ処理に用いられる第1綴じ歯71が設けられている。また、この第1綴じ歯71の上方には、第2綴じ歯72が設けられている。
第1の歯の一例としての第1綴じ歯71、および、第2の歯の一例としての第2綴じ歯72の各々には、凹凸部が設けられている。
【0033】
より具体的には、第1綴じ歯71のうちの第2綴じ歯72側に位置する面、および、第2綴じ歯72のうちの第1綴じ歯71側に位置する面には、凸部と凹部とが図中矢印4Xで示す方向(第1綴じ歯71、第2綴じ歯72の長手方向)に交互に並んだ凹凸部が設けられている。
【0034】
第1綴じ歯71および第2綴じ歯72による綴じ処理が行われる際、本実施形態では、第2綴じ歯72が、第1綴じ歯71に向けて進出する。
付言すると、本実施形態では、綴じ処理が行われる際には、第2綴じ歯72が、図中矢印4Yで示す直線状の経路(以下、「直線状経路4Y」と称する)に沿って下降し、第1綴じ歯71に向かって移動する。
【0035】
そして、本実施形態では、第1綴じ歯71と第2綴じ歯72との間に位置する用紙束Tが、この第1綴じ歯71と第2綴じ歯72とにより挟まれ押圧される。
このとき、本実施形態では、第1綴じ歯71に設けられた凸部と第2綴じ歯72に設けられた凹部とが互いに対向し、第1綴じ歯71に設けられた凹部と第2綴じ歯72に設けられた凸部とが互いに対向し、一方の綴じ歯に設けられた凹部に、他方の綴じ歯に設けられた凸部が入り込む。
これにより、用紙束Tを構成する用紙P同士が圧着され、用紙Pの綴じ処理が行われる。その後、本実施形態では、第2綴じ歯72が、上方へ移動し第1綴じ歯71から退避する。
【0036】
なお、本実施形態では、第1綴じ歯71と第2綴じ歯72の各々にて、凸部と凹部とが交互に並ぶ場合を一例に説明したが、凸部および凹部は、他の並び方で配置してもよい。
また、例えば、第1綴じ歯71と第2綴じ歯72とにより用紙束Tが押圧された際に、この用紙束Tの一部を切断して短冊状の片を形成するとともに、この用紙束Tに貫通孔を形成し、この貫通孔にこの短冊状の片を通して綴じ処理を行うようにしてもよい。
【0037】
第2綴じ処理装置52には、第2綴じ歯72を第1綴じ歯71に向けて移動させる移動手段の一例としての移動機構500が設けられている。
本実施形態の移動機構500は、図中上下方向に沿って延びる棒状のねじ手段510を備え、このねじ手段510を周方向に回転させて、第2綴じ歯72を第1綴じ歯71に向けて移動させる。なおねじ手段510は、ねじの部分があればよく、他の機能をもった部材と一体化されていてもよい。
【0038】
ここで、このねじ手段510は、第2綴じ歯72が移動する直線状経路4Yに沿って配置されている。
なお、ねじ手段510の種類は、特に制限されないが、例えば、台形ねじを用いることができる。また、多条ねじを用いてもよい。
【0039】
ここで、本実施形態では、第2綴じ歯72に連動して移動する連動部分600が設けられており、この連動部分600に対しねじ手段510が噛み合っている。
より具体的には、この連動部分600には、雌ねじ部610が設けられており、本実施形態では、連動部分600のうちのこの雌ねじ部610が設けられている部分に対して、雄ねじであるねじ手段510が噛み合っている。
【0040】
本実施形態の移動機構500は、雌ねじ部610に噛み合うねじ手段510を周方向に回転させて、第2綴じ歯72を第1綴じ歯71に向けて移動させる。
より具体的には、本実施形態では、後述する駆動モータMを正転させると、ねじ手段510が周方向且つ一方向に回転し、連動部分600が下降する。
【0041】
これにより、第2綴じ歯72が下降し、第2綴じ歯72が、第1綴じ歯71に向かう。これにより綴じ処理が行われる。
また、本実施形態では、綴じ処理が終了すると、駆動モータMが逆転し、ねじ手段510が逆方向に回転し、連動部分600が上昇する。これにより、第2綴じ歯72が上昇し、第2綴じ歯72が、第1綴じ歯71から退避する。
【0042】
ここで、移動機構500には、上記のねじ手段510の他に、
図5に示すように、駆動源の一例としての駆動モータMが設けられている。
また、本実施形態では、この駆動モータMの下方に、駆動モータMの出力軸に接続されこの出力軸と同軸上に配置されたピニオンギア(不図示)が設けられている。
さらに、本実施形態では、
図4に示すように、このピニオンギアに噛み合い、このピニオンギアから駆動力を受ける大径ギア520が設けられている。
【0043】
大径ギア520は、ねじ手段510と同軸上に配置されている。また、本実施形態では、この大径ギア520に対して、ねじ手段510の下端部が固定されている。
本実施形態では、駆動モータMによって大径ギア520が回転し、これに伴い、ねじ手段510が周方向に回転する。
そして、ねじ手段510が回転すると、第1綴じ歯71に対して第2綴じ歯72が進退する。
【0044】
ここで、第2綴じ歯72を移動させる構成としては、その他に、カム機構やジャッキ機構を用いるようにしてもよい。但し、本実施形態のようにねじ手段510を用いた方が、第2綴じ処理装置52の小型化を図れる。
ここで、カム機構やジャッキ機構を用いる場合には、例えば、
図4の符号4Zで示す箇所に(第2綴じ処理装置52の上方に)、カム機構やジャッキ機構を設け、このカム機構やジャッキ機構で、連動部分600を上方から押圧して第2綴じ歯72を移動させる態様が考えられる。
【0045】
ところで、この場合は、第2綴じ処理装置52の大型化を抑制しつつ、第1綴じ歯71と第2綴じ歯72との離間量を大きくすることが難しくなる。
付言すると、本実施形態では、第1綴じ歯71と第2綴じ歯72との間が、用紙束Tを受け入れる用紙束受け入れ部となるが、カム機構やジャッキ機構を用いる場合、第2綴じ処理装置52の大型化を抑制しつつ、この用紙束受け入れ部を大きくすることが難しくなる。
【0046】
ここで、カム機構やジャッキ機構を用いる場合、このカム機構やジャッキ機構を大きくすると、第2綴じ歯72の進退量が大きくなるため、用紙束受け入れ部を大きくすることが可能になる。しかしながら、この場合、第2綴じ処理装置52の大型化を招く。
また、用紙束受け入れ部を小さくすると、第2綴じ処理装置52の大型化を抑えられるが、この場合、綴じ処理を行うことが可能な用紙Pの最大枚数が少なくなる。
【0047】
これに対し、本実施形態のように、ねじ手段510を用いると、第2綴じ処理装置52の大型化が抑制され、さらに、用紙束受け入れ部がより大きなものになる。
特に、本実施形態では、
図5に示すように、第2綴じ歯72が移動する直線状経路4Yの側方に、駆動モータM、ねじ手段510などの、移動機構500の一部の構成が設けられる形となり、第2綴じ処理装置52の高さ方向における寸法を小さくしつつ、用紙束受け入れ部の大きさを確保しやすくなる。
【0048】
また、本実施形態では、
図4に示すように、大径ギア520が、第2綴じ歯72が移動する直線状経路4Yと交差する方向に延びるように配置されており、これによっても、第2綴じ処理装置52の高さ方向における寸法が小さくなる。
付言すると、本実施形態では、直線状経路4Yが延びる方向と、大径ギア520の径方向とが交差(直交)する関係となっており、例えば、直線状経路4Yが延びる方向に沿って大径ギア520が設置される場合に比べ、第2綴じ処理装置52の高さ方向における寸法が小さくなる。
【0049】
また、本実施形態では、
図3にて示したエンドガイド64を、第2綴じ処理装置52が通過できるように構成されている。
より具体的には、本実施形態では、第1綴じ歯71と第2綴じ歯72との最大離間量が、エンドガイド64の高さ寸法よりも大きくなっており、上記の用紙束受け入れ部をエンドガイド64が通過する。これにより、第2綴じ処理装置52が、エンドガイド64を通過する。
【0050】
ここで、本実施形態では、
図4に示すように、連動部分600には、ねじ手段510からの荷重を受ける荷重受け部材620、この荷重受け部材620を支持する上方支持部材630が設けられている。
また、連動部分600には、上方支持部材630に取り付けられ下方に向かって延びる2本の棒状手段640、棒状手段640の各々を上方支持部材630に固定するための固定用部材650が設けられている。なお、棒状手段640は棒の部分があればよく、他の機能をもった部材と一体化されていてもよい。
【0051】
固定用部材650は、ボルト651とナット652とにより構成されている。
ボルト651は、棒状手段640の上部に固定され棒状手段640から上方に向かって延びている。ナット652は、棒状手段640よりも上方に位置し、ボルト651に固定されている。
【0052】
ここで、雌ねじ部610は、荷重受け部材620により支持されている。また、2本の棒状手段640は、直線状経路4Yに沿って延びるように配置されている。
また、本実施形態では、第2綴じ歯72は、上方支持部材630に取り付けられている。より具体的には、本実施形態では、上方支持部材630の図中手前側に位置する一端部631に、第2綴じ歯72が取り付けられている。
【0053】
さらに、本実施形態では、連動部分600の下方に、第1綴じ歯71を支持する下方支持部材700が設けられている。言い換えると、上方支持部材630の下方に、第1綴じ歯71を支持する下方支持部材700が設けられている。
この下方支持部材700には、第2綴じ処理装置52の幅方向に延び第1綴じ歯71を下方から支持する歯支持部710が設けられている。
さらに、下方支持部材700には、この歯支持部710の端部の各々に接続され、この端部から第2綴じ処理装置52のリア側へ向かう接続部720が設けられている。
【0054】
また、本実施形態では、
図5に示すように、第2綴じ歯72の案内を行う案内部90が設けられている。
この案内部90は、下方支持部材700に設けられている。また、この案内部90は、第2綴じ歯72が移動する直線状経路4Yに沿って配置されている。
【0055】
本実施形態では、上記のとおり、棒状手段640が設けられており、案内部90は、この棒状手段640の案内を行って、第2綴じ歯72の案内を行う。
より具体的には、本実施形態では、下方支持部材700に、直線状経路4Yに沿って延びる穴部91が設けられている。
本実施形態の案内部90は、この穴部91の内周面91Aにより構成され、本実施形態では、穴部91のこの内周面91Aが用いられて、棒状手段640の案内が行われる。
【0056】
ここで、穴部91は、断面が円形に形成されている。また、本実施形態では、棒状手段640は、例えば、φ10mm以上の円柱状部材により構成される。
本実施形態では、この穴部91に、連動部分600(
図4参照)の一部を構成する円柱状の棒状手段640が入り、この穴部91の内周面91Aによって、棒状手段640が案内される。
【0057】
なお、その他の形態として、例えば、
図6(第2綴じ処理装置52の他の構成例を示した図)に示すように、第2綴じ歯72に連動する連動部分600側に、直線状経路4Yに沿って延びる穴部93を設け、下方支持部材700側に、この穴部93に入り且つ直線状経路4Yに沿って延びる棒状手段640を設けてもよい。
ここで、この構成例では、棒状手段640は、下方支持部材700に固定されている。
この構成例では、棒状手段640の外周面が案内部90となり、この構成例では、この外周面が用いられて連動部分600の案内が行われ、第2綴じ歯72が上下動する。
【0058】
また、本実施形態では(
図4、5にて示した実施形態では)、連動部分600に対するねじ手段510の移動であって、ねじ手段510が延びる方向と交差(直交)する方向へのねじ手段510の移動が可能となっている。
具体的には、本実施形態では、連動部分600に対するねじ手段510の移動であって、
図4にて矢印4Aで示す方向へのねじ手段510の移動が可能になっている。
言い換えると、第2綴じ処理装置52の幅方向へのねじ手段510の移動が可能になっている。
【0059】
ここで、本実施形態では、荷重受け部材620が矢印4Aで示す方向へ移動できるようなっている。
より具体的には、本実施形態では、上方支持部材630に対する荷重受け部材620の相対移動を行える構成となっており、これにより、第2綴じ処理装置52の幅方向への荷重受け部材620の移動が可能になっている。
付言すると、本実施形態では、連動部分600の一部を構成する上方支持部材630、棒状手段640に対する、荷重受け部材620の移動を行える構成となっている。
【0060】
そして、このように、上方支持部材630、棒状手段640に対する、荷重受け部材620の移動を行える構成であると、上方支持部材630、棒状手段640に対する、ねじ手段510の移動を行える。
より具体的には、上方支持部材630、棒状手段640に対する、ねじ手段510の移動であって、ねじ手段510が延びる方向と交差(直交)する方向へのねじ手段510の移動を行える。付言すると、ねじ手段510の径方向へのねじ手段510の移動を行える。
【0061】
図7は、
図4のVII―VII線における第2綴じ処理装置52の断面図であって、第2綴じ処理装置52の上部の部分を示した断面図である。
本実施形態では、
図7に示すように、荷重受け部材620に、貫通孔620Aが形成され、この貫通孔620Aに、上方支持部材630への荷重受け部材620の固定に用いられる固定用ねじ95が通されている。
本実施形態では、貫通孔620Aの内周面と固定用ねじ95との間に間隙が形成されている。さらに、本実施形態では、固定用ねじ95のうちの貫通孔620A内に位置する部分の外周面には、ねじ部が設けられていない。
【0062】
これにより、本実施形態では、上方支持部材630に対する荷重受け部材620の移動であって、図中、矢印7Aで示す方向への荷重受け部材620の移動を行えるようになる。
そして、この場合、上方支持部材630および棒状手段640に対するねじ手段510の移動が可能となる。
付言すると、本実施形態では、連動部分600(
図4参照)に対するねじ手段510の移動であって、ねじ手段510が延びる方向と交差する方向へのねじ手段510の移動が可能になる。
【0063】
ここで、例えば、連動部分600に対するねじ手段510の移動が行えない構成であり、且つ、例えば、ねじ手段510が直線状経路4Yに対して傾斜していると、第1綴じ歯71への第2綴じ歯72の進出時に、第2綴じ歯72が本来の位置とは異なる位置へ向かう。
この場合、第1綴じ歯71に対する第2綴じ歯72の位置が、本来予定していた位置からずれる。
これに対して、本実施形態のように、ねじ手段510が移動可能であると、直線状経路4Yに対するねじ手段510の傾きがより小さいものとなり、第1綴じ歯71に対する第2綴じ歯72のずれがより小さいものとなる。
【0064】
ここで、本実施形態では、
図7に示すように、荷重受け部材620は、その断面形状がT字となっている。
より具体的には、荷重受け部材620は、図中上方に位置する円盤状の大径部621と、この大径部621よりも下方に位置する小径部622とにより構成されている。
ここで、大径部621と小径部622とは同軸上に配置されている。また、大径部621の下端部と小径部622の上端部とが接続されている。
【0065】
さらに、本実施形態では、荷重受け部材620の中心軸上に、雌ねじ部610が設けられている。
雌ねじ部610は、筒状となっており、本実施形態では、この雌ねじ部610に、棒状のねじ手段510(
図4参照)が通される。
また、本実施形態では、第2綴じ歯72の長手方向における長さL1(
図5参照)が、大径部621の外径D1(
図7参照)よりも小さくなっている。
【0066】
また、本実施形態では、大径部621の径方向における位置を比べた場合に、大径部621の一端621A(
図7参照)よりも他端621B側に、第2綴じ歯72(
図4参照)が位置する。
また、大径部621の他端621Bよりも一端621A側に、第2綴じ歯72が位置する。
付言すると、本実施形態では、第2綴じ処理装置52を正面から見た場合に(用紙束受け入れ部が設けられている側から第2綴じ処理装置52を見た場合に)、本実施形態では、大径部621の一端621Aと他端621Bとの間に、第2綴じ歯72が位置する。
【0067】
ここで、本実施形態では、ねじ手段510によって荷重受け部材620が下方に引っ張られ、これに伴い、上方支持部材630のうち、
図7の符号7Xで示す部分が、荷重受け部材620により上方から一様に押圧される。
この場合、上方支持部材630のうち、荷重受け部材620により上方から一様に押圧される部分については、横方向に且つ直線状に延びる形状を概ね維持しながら、下方へ移動しやすい。
その一方で、上方支持部材630のうちのこの押圧部分の両脇に位置する脇部分(
図7にて符号7Yで示す部分)については、符号7Zで示すように、水平方向に対して傾斜しやすい。
【0068】
この場合、例えば、第2綴じ歯72の長手方向における寸法が大きく、第2綴じ歯72の一部が、上記の脇部分(符号7Yで示す部分)まで達する構成であると、第2綴じ歯72が歪みやすくなる。
これに対し、本実施形態のように、第2綴じ歯72が、脇部分まで達しておらず、第2綴じ歯72が、大径部621の一端621Aと他端621Bとの間に収まっている場合、第2綴じ歯72の歪みが生じにくくなる。
【0069】
また、本実施形態では、案内部90(
図5参照)に対する第2綴じ歯72の移動であって、案内部90が延びる方向と交差する方向への第2綴じ歯72の移動が可能となっている。
より具体的には、本実施形態では、穴部91の内周面91Aが案内部90となっており、本実施形態では、この内周面91Aが延びる方向である矢印5Xで示す方向と交差する方向への第2綴じ歯72の移動が可能となっている。
付言すると、本実施形態では、第2綴じ歯72の進退方向と交差する方向への第2綴じ歯72の移動が可能となっている。
【0070】
ここで、本実施形態では、矢印5Yで示す方向への上方支持部材630の移動が可能となっている。
より具体的には、本実施形態では、棒状手段640に対して上方支持部材630が移動可能となっており、また、矢印5Yで示す方向への上方支持部材630の移動が可能となっている。
付言すると、本実施形態では、棒状手段640に対しての上方支持部材630の移動が可能となっており、さらに、第2綴じ歯72の長手方向に沿っての上方支持部材630の移動が可能となっている。
【0071】
これにより、本実施形態では、上方支持部材630を棒状手段640に対して移動させることで、第2綴じ歯72が長手方向に移動する。
付言すると、本実施形態では、上方支持部材630を棒状手段640に対して移動させると、案内部90が延びる方向(図中、矢印5Xで示す方向)と交差する方向へ第2綴じ歯72が移動する。
【0072】
より具体的には、本実施形態では、上記のとおり、また、
図5に示すように、棒状手段640の上端部から上方に向かって突出したボルト651が設けられている。
さらに、本実施形態では、上方支持部材630に、このボルト651が通される貫通孔633が形成されている。この貫通孔633は、いわゆる長穴であり、第2綴じ歯72の長手方向に沿って延びるように形成されている。
【0073】
これにより、本実施形態では、棒状手段640に対する上方支持部材630の移動が可能となり、棒状手段640が延びる方向と交差する方向への第2綴じ歯72の移動を行える。
付言すると、案内部90が延びる方向と交差する方向への第2綴じ歯72の移動を行える。
【0074】
より具体的には、本実施形態では、ボルト651とナット652とによる、棒状手段640への上方支持部材630の固定を解除したうえで、上方支持部材630を、第2綴じ歯72の長手方向へ移動させる。
これにより、第1綴じ歯71と第2綴じ歯72との位置関係が変更される。付言すると、第1綴じ歯71に対する第2綴じ歯72の相対的な位置が調整される。
なお、本実施形態では、第2綴じ歯72の位置の調整が終了すると、ボルト651に対してナット652が固定され、棒状手段640に対して上方支持部材630が再び固定される。
【0075】
なお、本実施形態では、第2綴じ歯72の長手方向に沿って上方支持部材630が移動する構成を一例に説明したが、これに限らず、第2綴じ歯72の長手方向、および、この長手方向に直交する方向の両者に、上方支持部材630が移動する構成としてもよい。
なお、長手方向、直交する方向の両方向へ上方支持部材630が移動できるようにするには、例えば、上方支持部材630に形成される上記の貫通孔633を、ボルト651の外径よりも大きい径を有する丸穴により形成する。
これにより、上方支持部材630は、長手方向、直交する方向の両方向へ移動する。
【0076】
さらに、本実施形態は、
図5に示すように、駆動モータMが、ねじ手段510の軸方向における一端511と他端512との間に収まっている。付言すると、本実施形態では、ねじ手段510の側方に、駆動モータMが位置している。
これにより、本実施形態では、ねじ手段510が延びる方向、言い換えると、第2綴じ歯72の進退方向における、第2綴じ処理装置52の大きさが小さくなる。
【0077】
ここで、駆動モータMが、例えば、
図5の符号5Sで示す箇所などにあると、第2綴じ処理装置52の大型化を招きやすい。
これに対し、本実施形態のように、ねじ手段510の側方に、駆動モータMが位置すると、第2綴じ処理装置52の大型化が抑制される。
【0078】
ここで、本実施形態では、駆動モータMの全てあるいはその大部分が、ねじ手段510の軸方向における一端511と他端512との間に収まっている場合を説明した。
但し、これに限らず、駆動モータMの少なくとも一部が、ねじ手段510の軸方向における一端511よりも他端512側に位置し且つこの他端512よりも一端511側に位置していれば、この一端511と他端512との間に、駆動モータMが全く位置していない構成に比べ、第2綴じ処理装置52の小型化を図れる。
【0079】
図8は、
図5のVIII-VIII線における第2綴じ処理装置52の断面を示した図である。
本実施形態の移動機構500(
図4参照)は、連動部分600の特定箇所に荷重を与えて第2綴じ歯72を第1綴じ歯71に向けて移動させる。
より具体的には、移動機構500は、連動部分600のうちの符号8A(
図8参照)で示す、本実施形態における特定箇所(以下、「荷重付与箇所8A」と称する)に荷重を与えて、第2綴じ歯72を第1綴じ歯71に向けて移動させる。
【0080】
より具体的には、本実施形態では、荷重付与箇所8Aは、雌ねじ部610が設けられている箇所であり、本実施形態では、この雌ねじ部610が設けられている箇所に荷重を与えて、連動部分600を移動させ、第2綴じ歯72を第1綴じ歯71に向けて移動させる。
【0081】
本実施形態では、案内部90(穴部91の内周面91A)は、荷重付与箇所8Aよりも第2綴じ歯72に近い側に位置している。
ここで、近い側に位置するとは、案内部90の全ての部分が、荷重付与箇所8Aよりも第2綴じ歯72に近い側に位置することを意味するのではない。
【0082】
本実施形態では、案内部90のうちの、最もリア側に位置するリア側部分90Bが、荷重付与箇所8Aのうちの、最もリア側に位置するリア側部分8Xよりも、第2綴じ歯72に近い側に位置している。
このように、最もリア側に位置する部分同士を比較した場合に、案内部90のリア側部分90Bが、荷重付与箇所8Aのリア側部分8Xよりも第2綴じ歯72に近い側に位置している場合、本実施形態では、案内部90が、荷重付与箇所8Aよりも第2綴じ歯72に近い側に位置していると言える。
【0083】
本実施形態では、案内部90は、第2綴じ歯72に連動する連動部分600のうち、荷重付与箇所8Aよりも第2綴じ歯72に近い側に位置する部分の案内を行って、第2綴じ歯72の案内を行う。
より具体的には、案内部90は、荷重付与箇所8Aよりも第2綴じ歯72に近い側に位置する棒状手段640の案内を行って、第2綴じ歯72の案内を行う。
【0084】
また、本実施形態では、荷重付与箇所8Aと第2綴じ歯72とを通り且つ直線状経路4Y(
図5参照)に沿った仮想の平面H1を想定した場合に、この平面H1を挟んで相対する2つの領域R1,R2の各々に案内部90が設けられている。
より具体的には、本実施形態では、荷重付与箇所8Aの中心部C1(第2綴じ歯72の長手方向における中心部)と第2綴じ歯72の長手方向における中央部C2とを通り且つ直線状経路4Yに沿った仮想の平面H1を想定した場合に、この平面H1を挟んで相対する2つの領域R1,R2の各々に案内部90が設けられている。
【0085】
付言すると、本実施形態では、ねじ手段510の軸中心510Rと第2綴じ歯72の長手方向における中央部C2とを通り且つ直線状経路4Yに沿った仮想の平面H1を想定した場合に、この平面H1を挟んで相対する2つの領域R1,R2の各々に案内部90が設けられている。
さらに、本実施形態では、この2つの領域R1,R2の各々に設けられた各案内部90は、荷重付与箇所8Aよりも第2綴じ歯72に近い側に配置されている。
【0086】
本実施形態では、第2綴じ歯72が用紙束Tに押し当てられると、反作用により、第2綴じ歯72が上方に向けて押圧され、上方支持部材630の一端部631側が上方へ移動する。
これに対し、本実施形態では、上記のように、案内部90の各々が、荷重付与箇所8Aよりも第2綴じ歯72に近い側に位置している。
この場合、案内部90の位置(第2綴じ処理装置52の奥行方向における位置)と荷重付与箇所8Aの位置(同じく奥行方向における位置)とが揃っている場合に比べ、上方支持部材630の一端部631の上方への移動が起きにくくなる。
【0087】
さらに説明すると、本実施形態では、雌ねじ部610の軸中心610Rを通り且つ第2綴じ歯72の長手方向に沿って延びる仮想線LXを想定した場合に、この仮想線LXから外れた箇所に、案内部90が位置している。
より具体的には、仮想線LXよりも第2綴じ歯72に近い側に、案内部90が位置している。
付言すると、
図8は、第2綴じ処理装置52を上方から見た場合の断面図を示しているが、第2綴じ処理装置52を上方から見た場合の状態では、仮想線LXよりも第2綴じ歯72に近い側に、案内部90が位置している。
【0088】
ここで、仮想線LXよりも第2綴じ歯72に近い側に、案内部90が位置するとは、第2綴じ歯72の長手方向と直交する関係を有する平面H8に対して、案内部90および仮想線LXを投影した場合において(平面H8と直交する方向に向けて投影した場合において)、この案内部90の中央部90C(平面H8が延びる方向における中央部)が、仮想線LXよりも第2綴じ歯72側に位置する状態をいう。
【0089】
付言すると、仮想線LXよりも第2綴じ歯72に近い側に案内部90が位置するとは、仮想線LXよりも第2綴じ歯72に近い側に、案内部90の全ての部分が位置する状態に限られない。
上記のように、案内部90の中央部90Cが、仮想線LXよりも第2綴じ歯72側に位置すれば、仮想線LXよりも第2綴じ歯72に近い側に案内部90が位置する状態にあると言える。
【0090】
この場合、仮想線LX上に案内部90が位置する場合に比べ(仮想線LXの位置と案内部90の中央部90Cの位置とが揃っている場合に比べ)、上方支持部材630の一端部631の上方への移動が起きにくくなる。
そして、この場合、綴じ処理が行われる際に、第2綴じ歯72が上方へ逃げにくくなり、用紙束Tに対してより大きい荷重を作用させられる。
【0091】
さらに、本実施形態では、2つの領域R1,R2の各々に設けられた案内部90は、第2綴じ歯72の長手方向に沿って延びる共通の直線LK上に配置されている。
付言すると、2つの領域R1,R2の各々に設けられた案内部90は、第2綴じ歯72の長手方向に沿って延びる直線であって、雌ねじ部610の軸中心610R以外の箇所を通る直線LK上に配置されている。
ここで、案内部90が直線LK上に配置されているとは、案内部90および直線LKを平面H8に対して投影した場合において(平面H8と直交する方向に向けて投影した場合において)、この案内部90の中央部90C(平面H8が延びる方向における中央部)の位置と直線LKの位置とが一致する状態にあることを言う。
【0092】
さらに、本実施形態では、2つの領域R1,R2のうちの一方の領域R1に設けられた案内部90と平面H1との距離L11と、他方の領域R2に設けられた案内部90と平面H1との距離L21とが等しくなっている。
付言すると、本実施形態では、共通の直線LK上に配置された2つの案内部90の一方の案内部90と平面H1との距離L11と、他方の案内部90と平面H1との距離L21とが等しくなっている。
【0093】
より具体的には、本実施形態では、平面H1、一方の案内部90、他方の案内部90を、第2綴じ歯72の長手方向に沿って延びる平面H15に投影した場合に(平面H15と直交する方向に向けて投影した場合に)、本実施形態では、一方の案内部90の中央部C11(平面H15が延びる方向における中央部)と平面H1との距離L11と、他方の案内部90の中央部C21(平面H15が延びる方向における中央部)と平面H1との距離L21とが等しくなっている。
【0094】
図9は、第2綴じ処理装置52の他の構成例を示した図である。
この構成例では、上記と同様、案内部90が複数設けられている。
さらに、この構成例では、複数の案内部90に含まれる一の案内部90(以下、「案内部90E」と称する)と、他の案内部90(以下、「案内部90F」と称する)との間に第2綴じ歯72が位置する構成となっている。
【0095】
付言すると、
図9では、第2綴じ歯72の移動方向における上流側あるいは下流側から、複数の案内部90および第2綴じ歯72を見た場合の状態を示しており、この
図9では、この複数の案内部90に含まれる一の案内部90Eと他の案内部90Fとの間に第2綴じ歯72が位置する構成となっている。
【0096】
ここで、「間に位置する」とは、第2綴じ歯72の長手方向と直交する関係を有する平面9Aに対して、一方の案内部90E、他方の案内部90F、および、第2綴じ歯72を投影した場合において(平面9Aと直交する方向に向けて投影した場合において)、一方の案内部90E、他方の案内部90F、第2綴じ歯72の3つが重なる部分が存在する状態にあることを言う。
【0097】
また、
図9にて示すこの構成例では、上記と同様、荷重付与箇所8Aと第2綴じ歯72とを通り且つ直線状経路4Yに沿った仮想の平面H1を想定した場合に、この平面H1を挟んで相対する2つの領域R1,R2の各々に案内部90が設けられた構成となっている。
さらに、この構成例では、一方の領域R1に設けられた一方の案内部90Eと平面H1との距離L31と、他方の領域R2に設けられた他方の案内部90Fと平面H1との距離L32とが等しくなっている。
さらに、この構成例では、上記のとおり、一方の案内部90Eと他方の案内部90Fとの間に第2綴じ歯72が位置する構成となっている。
【0098】
この構成例のように、一方の案内部90Eと他方の案内部90Fとの間に第2綴じ歯72が位置する構成では、一方の案内部90Eと他方の案内部90Fとの間から外れた箇所に、第2綴じ歯72が位置する場合に比べ、第2綴じ歯72が上方へさらに逃げにくくなり、用紙束Tに対してより大きい荷重を作用させられる。
【0099】
ここで、
図3(A)、(B)にて示した綴じ位置において、綴じ処理を行う際には、棒状手段640と用紙束Tとの干渉を避けるため、
図8にて示した構成例のように、第2綴じ歯72の両脇に、棒状手段640、案内部90が設けられていない構成とすることが好ましい。
これに対し、例えば、用紙束Tの角部のみに対する綴じを行う第2綴じ処理装置52では、
図9にて示したように、一方の案内部90Eと他方の案内部90Fとの間に第2綴じ歯72が位置する構成であっても、用紙束Tの綴じを行える。
【0100】
なお、その他に、案内部90は、荷重付与箇所8Aを挟み、第2綴じ歯72が位置する側とは反対側に設けるようにしてもよい。
本実施形態では、上記のとおり、第2綴じ歯72が用紙束Tから反作用を受け、上方支持部材630の一端部631が上方へ移動する。この場合、上方支持部材630の他端部634(
図8参照)側は、下方へ移動する。
【0101】
案内部90を、荷重付与箇所8Aを挟み、第2綴じ歯72が位置する側とは反対側に設けると、上方支持部材630の他端部634の下方への移動が規制される。これにより、この場合も、上方支持部材630の一端部631の上方への移動が規制される。
そして、この場合も、第2綴じ歯72が上方へ逃げにくくなり、用紙束Tに対してより大きい荷重を作用させられる。
【0102】
図10は、第2綴じ処理装置52の他の構成例であって、
図5の矢印Xで示す方向から連動部分600等を見た場合の図である。ここで、この
図10では、連動部分600、ねじ手段510等を表示し、他の部材の図示を省略している。
図10にて示すこの構成例では、連動部分600の移動を規制する規制部900が設けられている。より具体的にはこの構成例では、連動部分600のうち、荷重付与箇所8Aを挟んで第2綴じ歯72が位置する側とは反対側に位置する部分の移動を規制する規制部900が設けられている。
【0103】
より具体的には、この構成例では、規制部900は、上方支持部材630のうち、第2綴じ歯72が設けられている側の端部である一端部631とは反対側に位置する他端部634に接触して、この他端部634の下方への移動を規制する。
ここで、本実施形態では、上記の通り、第2綴じ歯72が用紙束Tから反作用を受け、これに伴い、上方支持部材630の他端部634が下方へ移動する。規制部900は、この他端部634の下方への移動を規制する。
【0104】
これにより、この場合も、第2綴じ歯72が上方へ逃げにくくなり、用紙束Tに対して、より大きい荷重を作用させられる。
ここで、本実施形態の規制部900は、回転体により構成され、他端部634の下方への移動を許容しつつ、この他端部634の下方への移動を規制する。
なお、規制部900は、これに限らず、例えば、上下方向に延びるように形成され且つ下方に向かうに従い他端部634側へ近づく傾斜面を設け、この傾斜面で、他端部634の移動を規制してもよい。
【0105】
図11は、第2綴じ処理装置52の他の構成例を示した図である。
ここで、この
図11では、
図4の矢印XI方向から、第2綴じ処理装置52を見た場合の、第2綴じ処理装置52の一部を表示している。付言すると、
図11は、第2綴じ処理装置52のリア側から第2綴じ処理装置52の一部を見た場合の状態を示している。
図11にて示すこの構成例では、第2綴じ処理装置52の背後に、モータ等の駆動源により回転する回転部材950が設けられている。
さらに、この構成例では、上方支持部材630の他端部634に、回転部材950側へ突出した突起951が設けられている。
【0106】
回転部材950には、上方支持部材630に設けられた突起951が収容されこの突起951を案内する溝653が形成されている。この構成例では、溝653の内面により、突起951が案内されることで、上方支持部材630が上下動し、これに伴い、第2綴じ歯72が上下動する。
なお、この構成例でも、上記と同様、棒状手段640が設けられるとともに、この棒状手段640を案内する案内部90が設けられ、この構成例でも、第2綴じ歯72が直線状経路4Yに沿って上下動する。
【符号の説明】
【0107】
3…用紙処理装置、71…第1綴じ歯、72…第2綴じ歯、90…案内部、500…移動機構、510…ねじ手段、600…連動部分