(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】ダクト装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240123BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
G03G21/00 530
G03G21/16 104
(21)【出願番号】P 2019202866
(22)【出願日】2019-11-08
【審査請求日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】P 2019051150
(32)【優先日】2019-03-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】110000039
【氏名又は名称】特許業務法人アイ・ピー・ウィン
(72)【発明者】
【氏名】深田 聡
(72)【発明者】
【氏名】木内 賢二
(72)【発明者】
【氏名】高田 怜
(72)【発明者】
【氏名】西川 聰
(72)【発明者】
【氏名】黒田 能孝
(72)【発明者】
【氏名】奈良 亮佑
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-099503(JP,U)
【文献】特開2007-199289(JP,A)
【文献】実開昭48-005549(JP,U)
【文献】特開2011-141447(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気通路を構成する第1のダクトと、
空気通路を構成し、前記第1のダクトよりも大きな騒音が伝播される第2のダクトと、
を有し、
前記第2のダクトの内部に前記第1のダクトを前記第2のダクトと交差するように配置し、
前記第2のダクトは、前記第1のダクトにより第1の経路と第2の経路とに分かれ、前記第1の経路と前記第2の経路とは、前記第2のダクトを伝播する騒音の波長λの1/2の距離差がある
ダクト装置。
【請求項2】
前記第2のダクトは、前記第1のダクトよりも温度が高い空気が流れる請求項
1記載のダクト装置。
【請求項3】
前記第1のダクトは、前記第2のダクトと交差する部分に耐熱部が形成されている請求項
2記載のダクト装置。
【請求項4】
前記第2のダクトは、前記第1のダクトよりも長さが長い請求項1から
3のいずれか1項に記載のダクト装置。
【請求項5】
前記第2のダクトは、前記第2のダクトを流れる空気が衝突するように屈曲する屈曲部を有する請求項1から
4のいずれか1項に記載のダクト装置。
【請求項6】
前記屈曲部は、前記第2のダクトの少なくとも2箇所に形成されている請求項
5記載のダクト装置。
【請求項7】
前記第2のダクトは、前記第2のダクトを流れる空気の上流側よりも断面積が小さくなるように絞る絞り部を有する請求項1から
6のいずれか1項に記載のダクト装置。
【請求項8】
前記絞り部は、前記第2のダクトの少なくとも2箇所に形成されている請求項
7記載のダクト装置。
【請求項9】
前記第2のダクトは、前記絞り部の断面積よりも大きくなるように拡張する拡張部を有する請求項
7又は
8記載のダクト装置。
【請求項10】
前記拡張部には、前記第2のダクトを流れる空気に含まれる匂いを吸収するフィルタが設けられている請求項
9記載のダクト装置。
【請求項11】
記録媒体に転写されたトナーを記録媒体に定着させる定着装置と、
前記定着装置以外に接続された第1のダクトと、
前記定着装置に接続された第2のダクトと、を有し、
前記第2のダクトの内部に前記第1のダクトを前記第2のダクトと交差するように配置し、
前記第2のダクトは、前記第1のダクトにより第1の経路と第2の経路とに分かれ、前記第1の経路と前記第2の経路とは、前記第2のダクトを伝播する騒音の波長λの1/2の距離差がある
画像形成装置。
【請求項12】
記録媒体に転写されたトナーを記録媒体に定着させる定着装置と、
前記定着装置以外に接続された第1のダクトと、
前記定着装置に接続された第2のダクトと、を有し、
前記第2のダクトの内部に前記第1のダクトを前記第2のダクトと交差するように配置し、
前記第1のダクトは、前記定着装置に記録媒体を吸引して搬送する吸引搬送装置に接続されている
画像形成装置。
【請求項13】
前記第2のダクトは、前記第1のダクトよりも長さが長い請求項
11又は12記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記定着装置、前記第1のダクト、前記第1のダクトを内部に配置した画像形成装置本体をさらに有し、前記第1のダクトは、前記画像形成装置本体の背面方向に延び、前記第2のダクトは、前記画像形成装置本体の幅方向に延びる請求項
11から13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダクト装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、画像形成装置の内部空気を排気するためのファンと、ファンによって排出された空気を機外に排出する開口部と、前記ファンの排気側と前記開口部とを連通するダクトと、を具備する画像形成装置において、該画像形成装置の後側の外装カバーが前記ダクトの壁面を構成していることを特徴とする画像形成装置を開示する。
【0003】
特許文献2は、前記画像形成装置本体の背面壁に排気ファンを複数取り付けて、該排気ファンを覆い排気通路として機能する背面カバーを前記背面壁の背部側に取り付け、前記背面カバーの下方にフィルタを備えた排気口を形成したことを特徴とする画像形成装置を開示する。
【0004】
特許文献3は、電子機器装置の装置内部に滞留する空気を、送風手段により装置外部へと排出することで電子機器装置を冷却する冷却装置において、前記送風手段により排出される空気を、装置下部まで導くと共に下向きに排出させる排気ダクトを備えたことを特徴とする冷却装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2000-293076号公報
【文献】特開平9-190122号公報
【文献】特開平10-56280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、複数のダクトがある場合、一箇所にまとめて吸気又は排気することがある。このように一箇所にまとめて吸気又は排気を行うようにすると、一方のダクトを伝播してくる騒音が大きいと、大きい騒音のまま外部に出される。
【0007】
本発明は、一箇所にまとめて吸気又は排気するものと比較して、騒音源からダクトを伝播してくる騒音を低減させることができるダクト装置及び画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る本発明は、空気通路を構成する第1のダクトと、空気通路を構成し、前記第1のダクトよりも大きな騒音が伝播される第2のダクトと、を有し、前記第2のダクトの内部に前記第1のダクトを前記第2のダクトと交差するように配置し、前記第2のダクトは、前記第1のダクトにより第1の経路と第2の経路とに分かれ、前記第1の経路と前記第2の経路とは、前記第2のダクトを伝播する騒音の波長λの1/2の距離差があるダクト装置である。
【0010】
請求項2に係る本発明は、前記第2のダクトは、前記第1のダクトよりも温度が高い空気が流れる請求項1記載のダクト装置である。
【0011】
請求項3に係る本発明は、前記第1のダクトは、前記第2のダクトと交差する部分に耐熱部が形成されている請求項2記載のダクト装置である。
【0012】
請求項4に係る本発明は、前記第2のダクトは、前記第1のダクトよりも長さが長い請求項1から3のいずれか1項に記載のダクト装置である。
【0013】
請求項5に係る本発明は、前記第2のダクトは、前記第2のダクトを流れる空気が衝突するように屈曲する屈曲部を有する請求項1から4のいずれか1項に記載のダクト装置である。
【0014】
請求項6に係る本発明は、前記屈曲部は、前記第2のダクトの少なくとも2箇所に形成されている請求項5記載のダクト装置である。
【0015】
請求項7に係る本発明は、前記第2のダクトは、前記第2のダクトを流れる空気の上流側よりも断面積が小さくなるように絞る絞り部を有する請求項1から6のいずれか1項に記載のダクト装置である。
【0016】
請求項8に係る本発明は、前記絞り部は、前記第2のダクトの少なくとも2箇所に形成されている請求項7記載のダクト装置である。
【0017】
請求項9に係る本発明は、前記第2のダクトは、前記絞り部の断面積よりも大きくなるように拡張する拡張部を有する請求項7又は8記載のダクト装置である。
【0018】
請求項10に係る本発明は、前記拡張部には、前記第2のダクトを流れる空気に含まれる匂いを吸収するフィルタが設けられている請求項9記載のダクト装置である。
【0020】
請求項11に係る本発明は、記録媒体に転写されたトナーを記録媒体に定着させる定着装置と、前記定着装置以外に接続された第1のダクトと、前記定着装置に接続された第2のダクトと、を有し、前記第2のダクトの内部に前記第1のダクトを前記第2のダクトと交差するように配置し、前記第2のダクトは、前記第1のダクトにより第1の経路と第2の経路とに分かれ、前記第1の経路と前記第2の経路とは、前記第2のダクトを伝播する騒音の波長λの1/2の距離差がある画像形成装置である。
請求項12に係る本発明は、記録媒体に転写されたトナーを記録媒体に定着させる定着装置と、前記定着装置以外に接続された第1のダクトと、前記定着装置に接続された第2のダクトと、を有し、前記第2のダクトの内部に前記第1のダクトを前記第2のダクトと交差するように配置し、前記第1のダクトは、前記定着装置に記録媒体を吸引して搬送する吸引搬送装置に接続されている画像形成装置である。
【0021】
請求項13に係る本発明は、前記第2のダクトは、前記第1のダクトよりも長さが長い請求項11又は12記載の画像形成装置である。
【0022】
請求項14に係る本発明は、 前記定着装置、前記第1のダクト、前記第1のダクトを内部に配置した画像形成装置本体をさらに有し、前記第1のダクトは、前記画像形成装置本体の背面方向に延び、前記第2のダクトは、前記画像形成装置本体の幅方向に延びる請求項11から13のいずれか1項に記載の画像形成装置である。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に係る本発明によれば、一箇所にまとめて吸気又は排気するものと比較して、騒音源からダクトを伝播してくる騒音を低減させることができることに加えて、第1の経路と第2の経路を介して伝播する騒音を打ち消し合うようにすることができる。
【0025】
請求項2に係る本発明によれば、請求項1に係る本発明の効果に加えて、第2のダクトを流れる温度の高い空気を冷やすことができる。
【0026】
請求項3に係る本発明によれば、第2のダクトを流れる熱い空気が第1のダクトを流れる空気を必要以上に温めるのを防ぐことができる。
【0027】
請求項4に係る本発明によれば、請求項1から3のいずれか1項に係る本発明の効果に加えて、前記第1のダクトよりも第2のダクトが短い場合と比較して、第2のダクトを介して伝播する騒音をさらに小さくすることができる。
【0028】
請求項5に係る本発明によれば、請求項1から4のいずれか1項に係る本発明の効果に加えて、前記第2のダクトに屈曲部を設けない場合と比較して、第2のダクトを介して伝播する騒音をさらに小さくすることができる。
【0029】
請求項6に係る本発明によれば、請求項5に係る本発明の効果に加えて、屈曲部が1箇所である場合と比較して、第2のダクトを介して伝播する騒音をさらに小さくすることができる。
【0030】
請求項7に係る本発明によれば、請求項1から6のいずれか1項に係る発明の効果に加えて、絞り部を有しないものと比較して、第2のダクトを介して伝播する騒音をさらに小さくすることができる。
【0031】
請求項8に係る本発明によれば、請求項7に係る本発明の効果に加えて、絞り部が1箇所である場合と比較して、第2のダクトを介して伝播する騒音をさらに小さくすることができる。
【0032】
請求項9に係る本発明によれば、請求項7又は8に係る本発明の効果に加えて、拡張部を有しないものと比較して、第2のダクトを介して伝播する騒音をさらに小さくすることができる。
【0033】
請求項10に係る本発明によれば、請求項9に係る発明の効果に加えて、フィルタを第2のダクトの外側に設ける場合と比較して、スペースを有効に利用することができる。
【0035】
請求項11に係る本発明によれば、第1の経路と第2の経路を介して伝播する騒音を打ち消し合うようにして、一箇所にまとめて吸気又は排気するものと比較して、騒音源からダクトを伝播してくる騒音を低減させることができる。
請求項12に係る本発明によれば、第1の経路と第2の経路を介して伝播する騒音を打ち消し合うようにして、一箇所にまとめて吸気又は排気するものと比較して、騒音源からダクトを伝播してくる騒音を低減させることができることに加えて、吸引搬送装置に接続された第1のダクトを利用することができる。
【0036】
請求項13に係る本発明によれば、請求項11又は12に係る本発明の効果に加えて、前記第1のダクトよりも第2のダクトが短い場合と比較して、第2のダクトを介して伝播する騒音をさらに小さくすることができる画像形成装置を提供することができる。
【0037】
請求項14に係る本発明によれば、請求項11から13のいずれか1項に係る本発明の効果に加えて、第1のダクトと第2のダクトとを背面方向と幅方向とに交差させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置を正面から見た断面図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る画像形成装置に用いられた吸引搬送装置を示す平面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るダクト装置を示す正面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るダクト装置を示す平面図である。
【
図5】本発明の実施形態にかかる画像形成装置において、第1のダクトを含まない場合の第1のダクトを介して伝搬する騒音の波長に対する音圧を示す線図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る画像形成装置を示し、背面側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
次に、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
図1には、本発明の実施形態で用いられる画像形成装置10が示されている。画像形成装置10は、画像形成装置本体12を有し、画像形成装置本体12内に、像形成部14と、転写装置16と、定着装置18と、給紙装置20とが配置されている。また、画像形成装置本体12内には、例えば用紙等の記録媒体を搬送するための搬送路22が形成されている。
なお、画像形成装置10において、
図1の紙面側を正面、
図1の紙面裏側を背面といい、
図1の左右方向を幅方向という。
【0040】
像形成部14は、電子写真方式が採用されていて、記録媒体に画像を形成する。像形成部14は、例えば4つの画像形成ユニット24を有する。4つの画像形成ユニット24は、例えば、イエロー、マゼンタ、シアン、黒等の互いに異なる色のトナー像を形成する。
【0041】
画像形成ユニット24は、感光体ドラム26を有する。感光体ドラム26は、像保持体の一例であって、記録媒体に転写されるトナー像を外周面に保持して回転する。また、画像形成ユニット24は、感光体ドラム26を帯電する帯電装置28、帯電した潜像をトナーにより現像する現像装置30及び転写後の感光体ドラム26を清掃する清掃装置32が設けられている。さらに帯電した感光体ドラム26に潜像を形成する光書込み装置48が設けられている。
【0042】
転写装置16は中間転写ベルト34を有する。中間転写ベルト34には、感光体ドラム26からそれぞれにトナー像が一次転写部材36により一次転写され、一次転写されたトナー像が二次転写部材38により記録媒体に二次転写される。
【0043】
中間転写ベルト34は、複数の支持部材40によって回転することができるように支持されている。また、二次転写部材38に対向してバックアップ部材42が設けられている。
【0044】
定着装置18の上流側には吸引搬送装置50が設けられている。この吸引搬送装置50は、
図2に示すように、搬送ベルト52a,52bと、この搬送ベルト52a,52bが巻き付けられている支持ロール54a,54b及び駆動ロール56a,56bと、搬送ベルト52a,52bの内側で吸気する吸気部58と、を有する。
【0045】
搬送ベルト52a、52bは、無端状に形成されている。この搬送ベルト52a,52bには、該搬送ベルト52a,52bの外側から内側まで貫通する多数の貫通孔60が形成されている。
【0046】
吸気部58は、吸気部本体62を有する。この吸気部本体62は、搬送ベルト52a,52bが回転する方向と直交方向を長手方向として搬送ベルト52a,52の内側に挿入されている。この吸気部本体62には、該吸気部本体62の外側から内側まで貫通する貫通孔(図示せず)が搬送ベルト52a,52bに向けて形成されている。また、吸気部58には第1の吸気ファン64を有する。この第1の吸気ファン64は、吸気部本体62の長手方向一端である背面側に接続されている。
【0047】
吸引搬送装置50は、第1のファン64を回転駆動させることにより、吸気部本体62に形成された貫通孔(図示せず)及び搬送ベルト52a,52bに形成された貫通孔60を介して搬送ベルト52a,52b上に記録媒体を吸引し、駆動ロール56a,56bを回転駆動させることにより、搬送ベルト52a,52bを駆動ロール56a,56bと支持ロール54a,54bとの間で回転させ、二次転写部材38により未定着トナー像が形成された記録媒体を定着装置18へ送り出す。
【0048】
定着装置本体66は、記録媒体に転写されたトナー像を、例えば熱と圧力とを用いて記録媒体に定着する。
【0049】
箱状の定着装置18は、
図1に示すように、定着装置本体66とつながっており、この定着装置本体66内に加熱部68と加圧部70とが収容されている。加熱部66は、無端状の定着ベルト72を有し、この定着ベルト72が第1の加熱部74、第2の加熱部76及び第3の加熱部78に張架されている。第1の加熱部74は、定着装置本体66に固定され、定着ベルト72を挟んで加圧部70を構成する加圧部材80に対向している。加圧部材80は、第1の加熱部74側に押圧されて弾性変形し、第1の加熱部74との間で押圧領域を形成している。第2の加熱部76と第3の加熱部78とは、定着装置本体66に回転自在に支持され、定着ベルト72の回転に伴って回転する。
【0050】
定着装置18には、第2の吸気ファン82と第3の吸気ファン84とが接続されている。この第2の吸気ファン82と第3の吸気ファン84とは、例えばシロッコファンから構成されている。シロッコファンとは、遠心送風機の一種で、細長い板状の羽根が筒状に取付けられ、多翼送風機とも呼ばれている。この第2の吸気ファン82及び第3の吸気ファン84とは、定着装置本体66内で発生した熱を空気と共に画像形成装置本体12外へ排出する。
【0051】
定着ベルト72は、第1の加熱部74、第2の加熱部76及び第3の加熱部78により加熱される。定着ベルト72と加圧部材80との間の押圧領域に搬送された記録媒体は、定着ベルト72の熱と加圧部材80からの加圧とによりトナー像が定着される。
【0052】
搬送路22は、給紙装置20から二次転写部材38とバックアップ部材42との間へ記録媒体を搬送し、定着装置本体66へとさらに記録媒体を搬送し、画像形成装置本体12の外へと排出されるようにさらに記録媒体を搬送する。
【0053】
図3及び
図4には、実施形態に係るダクト装置86が示されている。
ダクト装置86は、第1のダクト88と第2のダクト90とを有する。
【0054】
第1のダクト88は、この第1のダクト88の一端が前述した吸引搬送装置50の第1の吸引ファン64に接続されている。また、この第1のダクト88は、画像形成装置本体12の背面方向に延び、
図6に示すように、画像形成装置本体12の背面12aの幅方向略中央に設けられた第1の排気口92に該第1のダクト88の他端が接続されている。
【0055】
第2のダクト90は、吸引側が2つの分離ダクト部94a,94bに分かれている。1つの分離ダクト部94aは、該第1の分離ダクト部94aの一端が前述した定着装置18の第2の吸気ファン82に接続されている。第2の分離ダクト部94bは、該第2の分離ダクト部94bの一端が前述した定着装置18の第3の吸気ファン84に接続されている。第2の分離ダクト部94bは、第1の分離ダクト部94aに第1の屈曲部95aを介して直交するように接続されている。第2の分離ダクト94bを流れる空気は、第1の屈曲部95aに衝突し、流れる方向が90度変えられるようになっている。
【0056】
第1の分離ダクト部94aと第2の分離ダクト部94bとは、ダクト本体部96に接続されている。第1の分離ダクト部94bとダクト本体部96とは、画像形成装置本体12の幅方向に直線状に延びている。ダクト本体部96の延びた他端は、第2の屈曲部95b(
図4に示す。)により背面側に90度曲げられ、第2の排気口100に接続されている。
図6に示すように、第2の排気口100は、画像形成装置本体12の幅方向一端付近に開口している。
【0057】
ダクト本体部96には、画像形成装置本体12の背面方向に向けて窓部102が形成され、この窓部102を介して第1のダクト88が画像形成装置本体12の背面に向けて貫通している。即ち、第1のダクト88が画像形成装置12の背面方向に延び、第2のダクト90のダクト本体部96が画像形成装置本体12の幅方向に延びて、第2のダクト90内において第1のダクト88が交差している。
【0058】
第1のダクト88は、この交差部分において、定着装置18により加熱された空気が流れる第2のダクト90に衝突する。この第2のダクト90からの熱による第1のダクト88を流れる空気が加熱されないようにするため、第1のダクト88の交差部分は、耐熱部が形成されている。耐熱部は、第2のダクト90からの空気が当たる片側だけでもよい。また、耐熱部は、例えば熱伝導率が低い材料で形成したり、ダクト壁を二重にしたり、あるいは耐熱性材料、例えばフッ化樹脂等により外壁をコーティングしてもよい。
【0059】
第2のダクト90を伝播する定着装置18からの騒音は、第1のダクト88を伝播する吸引搬送装置50からの騒音よりも大きい。また、第2のダクト90の第2の吸引ファン82又は第3の吸引ファン84の接続部分から第2の排出口100までの長さは、第1のダクト88の第1の吸引ファン64から第1の排出口92までの長さよりも大きい。
【0060】
また、第2のダクト90のダクト本体部96の第1のダクト88と交差する部分には、上下方向に膨らんで膨らみ部104が形成されている。第1のダクト88と膨らみ部104との間には、第2のダクト90内の空気通路を上下に分けた空気通路が形成されている。第1のダクト88の上部の空気通路の経路を第1の経路L1、下部の空気通路の経路を第2の経路L2とすれば、L1とL2とは、次の式(1)の関係となっている。
L1=L2-λ/2・・・・・(1)
なお、L1とL2は、第1の経路L1と第2の経路L2が分離される前の予め定められた点を始点とし、第1の経路L1と第2の経路L2が分離される後の予め定められた点を終点とした距離である。また、経路の距離は、経路を構成する上下方向の空気通路の中心線に沿って計測する。
また、λは、第2のダクト90を介して伝播する騒音にあって低減したい音の波長である。
【0061】
図5は、第1のダクト88を挿入しない状態で第2のダクト90を伝播する騒音を測った実験結果を示している。横軸は、騒音の周波数であり、縦軸は音圧(音の大きさを示す)である。ここで、周波数Aが最も音圧が大きく、第2の吸引ファン及び第3の吸引ファン84から発生する騒音である。
【0062】
ここで、音速を周波数Aで割ると、λが求められる。このλを式1に代入すれば、第1の経路L1と第2の経路L2との距離差を求めることができる。第1の経路L1と第2の経路L2との距離差をλ/2とすれば、第1の経路L1を伝播する騒音と第2の経路L2を伝播する騒音とは、周波数は変わらないが、位相が反対側にずれて相殺するので、騒音が低減される。また、第2のダクト90を流れる空気は、第1のダクト88に衝突し、屈曲部98により背面側に曲げられ、さらに第1のダクト88よりも長いので、第2のダクト90を介して伝播する騒音は、さらに低減される。
【0063】
また、第4図、第5図に示すように、ダクト本体部96の膨らみ部104の後流側には、膨らみ部96よりも断面積が小さくして絞った第1の絞り部107aが形成されている。さらに、ダクト本体部96の第1の絞り部107aの後流側には、第1の絞り部107aの断面積に対して断面積が徐々に大きくなるように拡張部108が形成されている。この拡張部108内にはフィルタ110が配置されている。フィルタ110は、活性炭等から構成され、ダクト本体部96を流れる空気から匂いを除去する。このフィルタ110が設けられたダクト本体部96の背面側には図示しない開閉カバーが設けられ、この開閉カバーを開けることによりフィルタ110を交換できるようになっている。
【0064】
また、第2の排気口100は、拡張部108の断面積よりも断面積が小さくなるように絞られ、該第2の排気口100の周囲に第2の絞り部107bが形成されている。
【0065】
したがって、第2の吸気ファン82と第3の吸気ファン84から第2のダクト90に送られた空気は、第1の屈曲部95a及び第2の屈曲部95bにより2回方向が曲げられ、また、第1の絞り部107a及び第2の絞り部107bにより2回絞られるので、第2のダクトを介して伝播する騒音をさらに小さくなる。
【0066】
図6において、前述したように、第1の排気口92は、画像形成装置本体12の背面12aの幅方向略中央に配置され、第2の排気口100は、画像形成装置本体12の背面12aの幅方向一端付近に形成されている。
【0067】
ここで、画像形成装置10を制御するサーバ106が画像形成装置本体12の背面12aに設けられることがある。このサーバ106を画像形成装置本体12の背面12aの幅方向他端付近に配置すれば、サーバ106は、第2の排気口100から排出される空気の熱の影響が避けられる。
【0068】
なお、上記実施形態においては、第1のダクト88が吸引搬送装置50に接続されているものとしたが、他の実施形態として、一次転写部材36、二次転写部材38、光書込み装置48等の周辺の空気を吸引するダクトであってもよいし、給紙装置20内の記録媒体を分離するために送風する送風ダクトであってもよい。また、上記実施形態においては、画像形成装置を対象にしたが、本発明は、これに限定されず、例えば車内の空調ダクトと自動車の排気ダクトと組み合わせであってもよいし、住宅における冷暖房のダクトと台所の換気ダクトとの組み合わせであってもよい。
【符号の説明】
【0069】
10 画像形成装置
12 画像形成装置本体
14 像形成部
16 転写装置
18 定着ダクト接続部
20 給紙装置
22 搬送路
24 画像形成ユニット
26 感光体ドラム
28 帯電装置
30 現像装置
32 清掃装置
34 中間転写ベルト
36 一次転写部材
38 二次転写部材
40 支持部材
42 バックアップ部材
44 収納部
46 送出部材
48 光書込み装置
50 吸引搬送装置
52a,52b 搬送ベルト
54a,54b 支持ロール
56a,56b 駆動ロール
58 吸引部
60 貫通孔
62 吸引部本体
64 第1の吸気ファン
66 定着装置本体
68 加熱部
70 加圧部
72 定着ベルト
74 第1の加熱部
76 第2の加熱部
78 第3の加熱部
80 加圧部材
82 第2の吸気ファン
84 第3の吸気ファン
86 ダクト装置
88 第1のダクト
90 第2のダクト
92 第1の排気口
94a,94b 分離ダクト部
95a,95b 屈曲部
96 ダクト本体部
100 第2の排出口
102 窓部
104 膨らみ部
106 サーバ
107a,107b 絞り部
110 フィルタ