(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】子局装置、無線システム、子局装置の制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04B 1/16 20060101AFI20240123BHJP
H04H 20/59 20080101ALI20240123BHJP
H04H 20/61 20080101ALI20240123BHJP
【FI】
H04B1/16 G
H04H20/59
H04H20/61
(21)【出願番号】P 2019204351
(22)【出願日】2019-11-12
【審査請求日】2022-10-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】上村 浩明
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-227799(JP,A)
【文献】特開2011-004299(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/16
H04H 20/59
H04H 20/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放送音声データを含む放送指示信号を受信する受信手段と、
前記放送音声データから録音音源データを生成し、前記録音音源データを記録媒体に格納する録音手段と、
特定の入力情報に応じて、前記記録媒体に格納された前記録音音源データから再生音声データを再生する再生手段と、
前記再生音声データから変換した再生音声信号を出力デバイスへ出力する出力手段と、を備え
、
前記再生手段が前記再生音声データを再生している間に、前記受信手段が新たな放送指示信号を受信した場合、
前記受信手段は、前記新たな放送指示信号に含まれる情報に基づいて、前記新たな放送指示信号に含まれる新たな放送音声データを、前記出力手段へ送信するか、送信しないかを決定し、
前記受信手段が、前記新たな放送音声データを、前記出力手段へ、送信しないことを決定した場合、
前記録音手段は、前記新たな放送音声データから、新たな録音音源データを生成して、生成した前記新たな録音音源データを、前記記録媒体に格納する
子局装置。
【請求項2】
前記出力手段は、前記放送音声データから変換した放送音声信号、および前記再生音声信号を、異なる出力デバイスへそれぞれ出力する
ことを特徴とする請求項1に記載の子局装置。
【請求項3】
前記再生手段は、第2の入力情報に応じて、前記再生音声データの再生を中断し、他の音源データから他の音声データを再生する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の子局装置。
【請求項4】
前記再生手段は、第3の入力情報に応じて、前記再生音声データの再生を停止する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の子局装置。
【請求項5】
前記再生手段は、第4の入力情報に応じて、前記再生音声データを変則的に再生する
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の子局装置。
【請求項6】
前記再生手段は、人感センサから取得するセンサデータを前記特定の入力情報として、前記録音音源データから前記再生音声データを再生する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の子局装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の子局装置と、入力情報を前記子局装置へ送信する入力デバイスと、前記子局装置から前記再生音声信号を受信して、再生音声を出力する出力デバイスとを備えた子局設備と、
放送指示信号を前記子局装置へ送出する親局装置を備えた親局設備と、
を備えた無線システム。
【請求項8】
放送音声データを含む放送指示信号を受信し、
前記放送音声データから録音音源データを生成し、前記録音音源データを記録媒体に格納し、
特定の入力情報に応じて、前記記録媒体に格納された前記録音音源データから再生音声データを再生し、
前記再生音声データから変換した再生音声信号を出力デバイスへ出力する
ことを含
み、
前記再生音声データを再生している間に、新たな放送指示信号を受信した場合、
前記新たな放送指示信号に含まれる情報に基づいて、前記新たな放送指示信号に含まれる新たな放送音声データを、出力するか、出力しないかを決定し、
前記新たな放送音声データを、出力しないことを決定した場合、
前記新たな放送音声データから、新たな録音音源データを生成して、生成した前記新たな録音音源データを、前記記録媒体に格納する
子局装置の制御方法。
【請求項9】
放送音声データを含む放送指示信号を受信することと、
前記放送音声データから録音音源データを生成し、前記録音音源データを記録媒体に格納することと、
特定の入力情報に応じて、前記記録媒体に格納された前記録音音源データから再生音声データを再生することと、
前記再生音声データから変換した再生音声信号を出力デバイスへ出力することと
をコンピュータに実行させ
、
前記再生音声データを再生している間に、新たな放送指示信号を受信した場合、
前記新たな放送指示信号に含まれる情報に基づいて、前記新たな放送指示信号に含まれる新たな放送音声データを、出力するか、出力しないかを決定し、
前記新たな放送音声データを、出力しないことを決定した場合、
前記新たな放送音声データから、新たな録音音源データを生成して、生成した前記新たな録音音源データを、前記記録媒体に格納する
ことを前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、子局装置、無線システム、子局装置の制御方法、およびプログラムに関し、特に、拡声放送によって、複数の関係者へ情報を一斉に連絡するための同報無線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連する同報無線システム(以下、無線システムと呼ぶ)は、親局設備及び子局設備を備える。親局設備は、親局装置を含む。親局装置は、子局装置への放送指示信号の送出を含む、放送に関する制御一般を行う。また、子局設備は、子局装置を含む。子局装置は、親局装置から受信した放送指示信号に基づいて、拡声器スピーカ(以下、単にスピーカと呼ぶ場合がある)等から放送音声を出力する。
【0003】
親局装置は、子局装置へ送出する放送指示信号において、子局番号またはグループ番号を指定する。あるいは、親局装置は、放送指示信号において、子局番号とグループ番号との両方を指定する。子局番号は、無線システムに含まれる子局設備の識別子である。グループ番号は、複数の子局設備からなるグループに設定される識別子である。グループ番号は、子局設備の設置場所の地理的条件に基づいて設定される場合が多い。以下では、子局番号およびグループ番号を、どちらも子局呼出番号と呼ぶ。
【0004】
関連する他のシステムでは、子局装置が、親局装置から受信した放送音声データを、自局の記録媒体に格納する。子局装置は、聴取者の入力操作に応じて、自局の記録媒体に格納された放送音声データから、再生音声データを再生し、再生音声信号を出力デバイス400へ出力する。(例えば特許文献1、2)
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】市町村デジタル同報通信システム標準規格ARIB STD-T86 3.0版(社団法人電波産業会)(2007年5月29日改定)
【文献】市町村デジタル同報通信システムTYPE2標準規格ARIB STD-T115 2.0版(社団法人電波産業会)(2016年7月6日改定)
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第6220220号
【文献】特開平05-014223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
防災無線等の拡声放送では、聴取者が放送内容を迅速に理解できることが要求される。そのため、話者は、通常、放送の開始直後(すなわち放送の冒頭)に、要点または概要、および、放送の対象者について説明する。具体的には、ボランティアへの連絡に関する拡声放送の一例は以下の通りである。「こちらは、広報です。ボランティアの方は、本日朝8時までに、役場1階のロビーへお越しください。」。
【0008】
また、話者は、同じ放送内容を繰り返し話す場合が多い。上記の例では、話者は、以下のように話す。「...役場1階のロビーへお越しください。...繰り返します。こちらは、広報です。ボランティアの方は、本日朝8時までに、役場1階のロビーへお越しください。(以下続く)」。
【0009】
しかしながら、放送が開始されたとき、聴取者は、放送が聞こえない場所にいたり、あるいは、聴取者にとって、放送が聞こえない状況であったりする場合がある。例えば、聴取者が騒音の大きい場所にいるとき、聴取者は、放送を聞き取りにくくなる。また、防災無線の放送が真夜中に行われた場合、聴取者は就寝中である場合が多い。このような場合も、聴取者は、放送の一部を聞き逃すことが想定される。
【0010】
放送の冒頭を聞き漏らした聴取者は、一回目の放送が終了するまで待ってから、二回目の放送の冒頭を聴取する必要がある。そのため、関連するシステムは、聴取者に対し、迅速な情報提供を実現できない。
【0011】
また、特許文献1に記載されたシステムにおいて、聴取者は、録音放送の冒頭を聞き逃した場合、録音放送の再生が終了してから、再度、録音放送を冒頭から再生する必要がある。そのため、特許文献1に記載のシステムも、聴取者に対し、迅速な情報提供を実現できない。
【0012】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、放送の一部を聞き漏らした聴取者に対して、迅速な情報提供を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様に係わる子局装置は、放送音声データを含む放送指示信号を受信する受信手段と、前記放送音声データから録音音源データを生成し、前記録音音源データを記録媒体に格納する録音手段と、特定の入力情報に応じて、前記記録媒体に格納された前記録音音源データから再生音声データを再生する再生手段と、前記再生音声データから変換した再生音声信号を出力デバイスへ出力する出力手段と、を備える。
【0014】
本発明の一態様に係わる無線システムは、前記子局装置と、入力情報を前記子局装置へ送信する入力デバイスと、前記子局装置から前記再生音声信号を受信して、再生音声を出力する出力デバイスとを備えた子局設備と、放送指示信号を前記子局装置へ送出する親局装置を備えた親局設備とを備える。
【0015】
本発明の一態様に係わる子局装置の制御方法は、放送音声データを含む放送指示信号を受信し、前記放送音声データから録音音源データを生成し、前記録音音源データを記録媒体に格納し、特定の入力情報に応じて、前記記録媒体に格納された前記録音音源データから再生音声データを再生し、前記再生音声データから変換した再生音声信号を出力デバイスへ出力する。
【0016】
本発明の一態様に係わるプログラムは、放送音声データを含む放送指示信号を受信することと、前記放送音声データから録音音源データを生成し、前記録音音源データを記録媒体に格納することと、特定の入力情報に応じて、前記記録媒体に格納された前記録音音源データから再生音声データを再生することと、前記再生音声データから変換した再生音声信号を出力デバイスへ出力することとをコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、放送の一部を聞き漏らした聴取者に対して、迅速な情報提供を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施形態1に係わる無線システムの構成を示すブロック図である。
【
図2】実施形態1に係わる無線システムが備えた親局装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態1に係わる無線システムが備えた親局装置の動作を示すフローチャートである。
【
図4】実施形態1に係わる無線システムが備えた子局装置の構成を示すブロック図である。
【
図5】実施形態1に係わる無線システムが備えた子局装置の動作を示すフローチャートである。
【
図6】実施形態1から6に係わる子局装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
〔実施形態1〕
図1~
図5を参照して、実施形態1について以下で説明する。
【0020】
(無線システム1)
図1は、本実施形態1に係わる同報無線システム1(以下、無線システム1と呼ぶ)の構成を示すブロック図である。
図1に示すように、無線システム1は、親局設備100および子局設備200を備えている。無線システム1は、2つ以上の子局設備200を備えていてもよい。無線システム1は、入力デバイス300および出力デバイス400をさらに備える。例えば、無線システム1は、60MHz帯デジタル同報防災無線システムまたは60MHz帯アナログ同報防災無線システム、あるいは、その他の消防または防災に関わる無線システムである。
【0021】
(親局設備100)
図1に示すように、親局設備100は、親局装置101、親局インタフェース部102(以下では、親局I/F部102と呼ぶ)、および親局記録部103を備えている。親局設備100は、無線システム1が管轄する地域(以下では、管轄エリアと呼ぶ)内にある全ての子局設備200の子局呼出番号を管理する。子局呼出番号は、子局番号またはグループ番号である。子局番号は、無線システムに含まれる子局設備の識別子である。グループ番号は、複数の子局設備からなるグループに設定される識別子である。
【0022】
親局装置101は、親局設備100の動作を統合的に制御する。親局装置101の動作は、例えば1つ以上のメモリに格納されたコンピュータプログラム、および、コンピュータプログラムを実行する1つ以上のプロセッサによって実現される。
【0023】
親局I/F部102は、親局装置101が放送指示信号を送出するための無線アンテナと接続されている。親局I/F部102は、マイクロフォン、ボタン、スイッチ、ダイヤル、タッチパネル、キーボード、マウス、または情報端末などの入力デバイス(図示せず)との接続部を備えている。さらに、親局I/F部102は、無線アンテナ及びモニターなどの出力デバイス(図示せず)との接続部を備えている。
【0024】
親局記録部103には、無線システム1に含まれる全ての子局設備200の子局呼出番号のリストが格納されている。親局記録部103は、親局設備100に内蔵されず、無線システム1と接続した別の装置内またはクラウド上に備えられてもよい。この場合、親局記録部103は、親局I/F部102を介して、親局装置101および親局I/F部102の各々と接続する。
【0025】
親局装置101は、親局I/F部102と接続されたマイクロフォンによって、話者の音声を集音する。親局装置101は、集音した音声をデジタルデータに変換することによって、放送音声データを得る。あるいは、親局装置101は、マイクロフォンが集音する音声の代わりに、予め生成された人工音声や、チャイム音またはサイレン音を用いてもよい。親局装置101は、放送音声をデジタルデータに変換し、変換によって得たデジタルデータから、放送音声データを生成してもよい。以下では、これらの音声または音響のアナログ信号を、まとめて放送音声と呼ぶ。親局装置101は、親局I/F部102と接続された無線アンテナを介して、放送音声データを含む放送指示信号を、放送指示信号の宛先を指定する子局呼出番号とともに、無線システム1内の子局設備200へ無線で送出する。
【0026】
(子局設備200)
本実施形態1に係わる子局設備200は、一例では、各家庭に配布される戸別受信機である。この場合、放送の聴取者は、戸別受信機(すなわち子局設備200)のユーザでもある。
【0027】
図1に示すように、子局設備200は、子局装置201、子局インタフェース部202(以下では、子局I/F部202と呼ぶ)、および子局記録部203を備えている。
【0028】
子局装置201は、子局設備200の動作を統合的に制御する。子局装置201の動作は、例えば1つ以上のメモリに格納されたコンピュータプログラム、および、コンピュータプログラムを実行する1つ以上のプロセッサによって実現される。
【0029】
子局I/F部202は、親局設備100から放送指示信号を受信するための無線アンテナと接続されている。子局I/F部202は、無線アンテナ、ボタン、スイッチ、ダイヤル、タッチパネル、キーボード、マウス、または情報端末などの入力デバイス300との接続部を備えている。
【0030】
子局記録部203には、自局(すなわち子局設備200あるいは子局装置201)の子局呼出番号が格納されている。ここでいう自局の子局呼出番号には、自局単独の子局番号と、自局が属するグループのグループ番号とが含まれる。子局記録部203は、記録媒体の一例である。
【0031】
無線システム1の各子局設備200に対し、子局呼出番号を割り当てる手法は問わない。例えば、無線システム1の管理者は、子局設備200が設置された場所の地理的条件、および、子局設備200が設置された順番に基づいて、各子局設備200に子局呼出番号をそれぞれ割り当てる。無線システム1の管理者は、親局I/F部102と接続された入力デバイス(図示せず)に対して、子局設備200に割り当てる子局呼出番号を入力する。親局装置101は、親局I/F部102と接続された無線アンテナを用いて、子局装置201に対して、割り当てられた子局呼出番号を通知する。子局装置201は、無線システム1の管理者によって割り当てられた自局の子局呼出番号を示す情報を、子局I/F部202を介して受信し、子局記録部203に格納する。または、管理者あるいはユーザは、入力デバイス300から、子局I/F部202を介して、子局記録部203に子局呼出番号を登録しても良い。
【0032】
子局装置201は、子局I/F部202と接続した無線アンテナを介して、親局設備100から送出された放送指示信号を受信する。子局装置201は、放送指示信号に含まれる宛先の子局呼出番号と、子局記録部203に格納された自局の子局呼出番号とを比較する。放送音声データと紐付けられた宛先の子局呼出番号中に、自局の子局呼出番号が含まれる場合、子局装置201は、親局設備100から受信した放送指示信号に基づいて、出力デバイス400(一例では、拡声器スピーカ)へ、放送音声信号(後述)を出力する。
【0033】
(親局装置101)
図2は、親局設備100の親局装置101の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、親局装置101は、宛先指定部111および送出部112を備えている。
【0034】
宛先指定部111は、放送指示信号の宛先として、子局設備200の子局呼出番号を指定する。具体的には、宛先指定部111は、親局設備100の親局I/F部102から、無線システム1の管理者の入力操作に基づくデータ(以下では、入力情報と呼ぶ)を受信する。
【0035】
宛先指定部111は、受信した入力情報から、放送指示信号の宛先を示す情報を抽出する。放送指示信号の宛先を示す情報は、例えば、子局設備200の識別子または放送対象エリアである。宛先指定部111は、親局記録部103に格納された子局呼出番号のリストを参照して、放送指示信号の宛先を示す情報に基づいて、放送指示信号の宛先を示す子局呼出番号を取得する。そして、宛先指定部111は、取得した子局呼出番号を送出部112へ送信する。
【0036】
送出部112は、放送対象エリア内の子局設備200に対して、放送指示信号を送出する。具体的には、送出部112は、放送指示信号の宛先である子局設備200の子局呼出番号を示す情報と、上述した放送音声データとを含む放送指示信号を、親局I/F部102と接続された無線アンテナから、無線で送出する。
【0037】
(親局装置101の動作)
図3を参照して、本実施形態1に係わる親局装置101の動作を説明する。
図3は、親局装置101が実行する処理の流れを示すフローチャートである。まず、無線システム1の管理者は、親局設備100の親局I/F部102と接続された、図示しない入力デバイス(例えばタッチパネル)に対して、放送指示信号の宛先に関する情報を入力する。例えば、管理者は、子局設備200の識別子(例えば、ID(Identification)ナンバー)を、図示しない入力デバイスに対して入力する。あるいは、管理者は、放送指示信号の宛先に関する情報として、放送対象エリアを特定する情報(例えば地域名、郵便番号)を、図示しない入力デバイスに対して入力してもよい。図示しない入力デバイスは、親局I/F部102を介して、管理者の入力操作に基づく入力情報を、親局装置101の宛先指定部111へ送信する。
【0038】
親局装置101の宛先指定部111は、親局I/F部102から、入力情報を受信する。宛先指定部111は、受信した入力情報に基づいて、放送指示信号の宛先を指定する。
【0039】
具体的には、入力情報に、子局設備200の識別子が含まれる場合、宛先指定部111は、親局記録部103に格納された、子局設備200の子局呼出番号のリストを参照して、識別子によって特定される子局設備200の子局呼出番号を取得する。そして、宛先指定部111は、取得した子局呼出番号を、放送指示信号の宛先として指定する(S101)。
【0040】
なお、入力情報に、放送対象エリアを示す情報が含まれる場合、宛先指定部111は、親局記録部103に予め格納された、子局設備200の位置情報を参照して、放送対象エリア内にある子局設備200を特定する。そして、宛先指定部111は、子局設備200の子局呼出番号のリストを参照して、放送対象エリア内の子局設備200に割り当てられた子局呼出番号を、放送指示信号の宛先として指定する。
【0041】
宛先指定部111は、放送指示信号の宛先を示す情報(以下では、宛先指定情報と呼ぶ場合がある)を、送出部112へ送信する。具体的には、宛先指定部111は、子局設備200の子局呼出番号を、送出部112へ送信する。
【0042】
送出部112は、宛先指定部111から、上述した宛先指定情報を受信する。送出部112は、宛先指定情報から、宛先の子局呼出番号を抽出する。そして、送出部112は、放送音声データと、宛先の子局呼出番号とを含む放送指示信号を生成し、親局I/F部102と接続された無線アンテナから、放送指示信号を無線で送出する(S102)。あるいは、送出部112は、宛先指定部111、送出部112、または、図示されない他の回路によって、放送音声データを生成されてもよい。
【0043】
以上で、親局装置101の動作は終了する。
【0044】
(子局装置201)
図4は、本実施形態1に係わる子局装置201の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、子局装置201は、受信部211、再生部213、録音部212、および出力部214を備えている。
【0045】
受信部211は、子局I/F部202と接続された無線アンテナを介して、親局設備100が送出した放送指示信号を無線で受信する。受信部211は、放送指示信号の宛先として指定された子局呼出番号の中に、子局記録部203が保持している自局の子局呼出番号が含まれているか否かを判定する。放送指示信号の宛先として指定された子局呼出番号の中に、自局の子局呼出番号が含まれている場合、受信部211は、放送指示信号に含まれる放送音声データを、録音部212および出力部214へ送信する。
【0046】
録音部212は、受信部211から、放送音声データを受信する。録音部212は、受信した放送音声データをそのまま、または圧縮して、録音音源データとして、子局記録部203に格納する。
【0047】
再生部213は、子局設備200の使用者(すなわち放送の聴取者)による特定の入力操作に応じて、子局記録部203に格納された録音音源データから、音声データ(以下では、再生音声データと呼ぶ)を再生する。具体的には、子局設備200の使用者(放送の聴取者)は、子局I/F部202と接続している再生ボタン(入力デバイス300の一つである)を押下する。あるいは、聴取者は、入力デバイス300に対して、録音音源データの再生を開始させるためのその他の特定の入力操作を行ってもよい。
【0048】
再生部213は、子局I/F部202から、特定の入力操作(例えば再生ボタンの押下)に基づく入力情報を受信したとき、再生音声データを再生する。なお、圧縮された録音音源データが子局記録部203に格納されている場合、再生部213は、圧縮された録音音源データを伸張することによって、再生音声データを再生する。再生部213は、再生音声データを、入力情報とともに、出力部214へ送信する。
【0049】
出力部214は、受信部211から、放送音声データを受信する。出力部214は、再生部213から再生音声データを受信するまで、すなわち、聴取者が特定の入力操作を行うまで、放送音声データからD/A(Digital/Analogue)変換した音声信号(以下では、放送音声信号と呼ぶ)を、出力デバイス400へ出力する。
【0050】
一方、出力部214は放送音声信号を出力デバイス400へ出力中、再生部213から、入力情報とともに、再生音声データを受信したとき、入力情報に基づいて、特定の入力操作(例えば再生ボタンの押下)が行われたと判定する。そして、出力部214は、子局I/F部202と接続された出力デバイス400へ、再生音声データからD/A変換した音声信号(以下では、再生音声信号と呼ぶ)を出力する。このとき、出力部214は、放送音声信号を出力デバイス400へ出力することを停止してもよい。あるいは、出力部214は、再生音声信号と放送音声信号とを同時に、異なる出力デバイス400にそれぞれ出力してもよい(実施形態2)。
【0051】
(子局装置201の動作)
図5を参照して、本実施形態1に係わる子局装置201の動作を説明する。
図5は、子局装置201が実行する処理の流れを示すフローチャートである。
【0052】
図5に示すように、受信部211は、子局I/F部202と接続された無線アンテナを介して、親局設備100から放送指示信号を受信する(S201)。
【0053】
受信部211は、放送指示信号に含まれる放送音声データを、録音部212および出力部214へ送信する。録音部212は、受信部211から受信した放送音声データをそのまま、または圧縮して、録音音源データとして、子局記録部203に格納する(S202)。
【0054】
出力部214は、受信部211から放送音声データを受信し、(デジタルデータである)放送音声データからD/A変換した(アナログ信号である)放送音声信号を、出力デバイス400へ出力する(S203)。より詳細には、出力部214は、子局I/F部202と接続した出力デバイス400(図示せず)に対し、放送音声信号を送信するとともに、放送音声を出力するように、出力デバイス400に対して指示する。出力デバイス400の一例は、拡声器スピーカである。
【0055】
その後、子局設備200の使用者(聴取者)が、再生ボタンを押下した場合(S204でYes)、再生部213は、子局I/F部202から、聴取者が再生ボタンを押下したことを示す入力情報を受信する。再生部213は、子局記録部203から、録音音源データを取得し、録音音源データから再生音声データを再生する(再生処理)。そして、再生部213は、再生した再生音声データを、出力部214へ送信する。出力部214は、(デジタルデータである)再生音声データからD/A変換した(アナログ信号である)再生音声信号を出力デバイス400へ出力する(S205)。
【0056】
録音部212が放送音声データをそのまま、録音音源データとして、子局記録部203に格納していた場合、再生音声データは、録音音源データそのものである。一方、録音音源データが、圧縮された状態で、子局記録部203に格納されていた場合、再生部213は、録音音源データを伸張(展開)することによって、再生音声データを再生する。
【0057】
このとき、再生部213は、子局設備200の使用者に対し、何も通知することなく、再生処理を開始してもよい。しかしながら、再生部213は、再生音声の再生および出力を開始する旨を、ディスプレイ等の出力デバイス400に表示することによって、聴取者へ通知することが好ましい。聴取者にとって、出力デバイス400から出力される音声が、放送音声であるか、それとも再生音声であるかを判別しにくいからである。
【0058】
具体的には、再生部213は、再生処理を開始したとき、子局I/F部202と接続された発光器、スピーカ、バイブレータ、臭い発生器、または発熱器といった出力デバイス400を作動させる。これにより、聴取者は、五感を通じて、再生音声が再生されたことを知ることができる。
【0059】
また、ステップS205において、出力部214は、放送音声信号を出力することを中断してもよい。あるいは、出力部214は、再生音声信号と、放送音声信号とを、互いに異なる出力デバイス400へ出力してもよい(実施形態2参照)。
【0060】
なお、ステップS205において、再生部213は、聴取者による特定の入力操作に応じて、任意の再生位置(再生時刻とも言われる)から再生音声データを再生してもよい。例えば、聴取者は、入力デバイス300を用いて、ディスプレイに表示されたシークバー上のスライダーを動かすことによって、再生位置を指定する。再生部213は、子局I/F部202を介して、入力デバイス300から入力情報を受信する。再生部213は、入力情報を用いて、聴取者が入力操作によって指定する再生位置を示す情報を特定する。再生部213は、聴取者によって指定された再生位置から再生した再生音声データを、出力部214へ送信する。
【0061】
ステップS205の後、聴取者は、子局I/F部202と接続された入力デバイス300に対して、再生音声の再生を停止させるための特定の入力操作(例えば再生停止ボタンの押下)を行ってもよい。この場合、再生部213は、子局I/F部202を介して、再生停止ボタンが押下されたことを示す入力情報を受信する。そして、再生部213は、入力情報に基づいて、再生音声データを再生することを停止する。このとき、再生部213は、出力部214および子局I/F部202を介して、再生音声の再生を停止したことを通知する情報を、出力デバイス400へ出力してもよい。なお、再生部213が再生音声データを再生することを停止した後、出力部214は、受信部211から放送音声データを受信して、出力デバイス400へ放送音声信号を出力する処理を再開してもよいし、そうすることなく、出力デバイス400へ放送音声信号を出力する処理を終了してもよい。
【0062】
一方、子局設備200の使用者(聴取者)が、再生ボタンを押下しない場合(S204でNo)、再生部213は、再生音声データを再生しない。その後、受信部211が、親局設備100から、放送指示信号の送信を完了した旨の通知(以下では、送信完了通知と呼ぶ)を受信したとき、受信部211は、送信完了通知を、録音部212および出力部214へ転送する。
【0063】
録音部212は、受信部211から送信完了通知を受信したとき、録音音源データを子局記録部203へ格納することを終了する。また、出力部214は、受信部211から送信完了通知を受信したとき、放送音声信号の出力を終了する。あるいは、出力部214は、受信部211から送信完了通知を受信したとき、放送音声信号および再生音声信号をどちらも出力していた場合、再生音声信号のみをそのまま出力し続けてもよい。
【0064】
なお、子局設備200が非常用電源で動作中である場合、受信部211は、通常電源が回復するまで、親局設備100との無線接続を切断してもよい。あるいは、受信部211は、親局設備100から放送指示信号を受信することを、一時的に中断してもよい。これにより、非常用電源を節約することができる。
【0065】
以上で、子局装置201の動作は終了する。
【0066】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、受信部211は、放送音声データを含む放送指示信号を受信し、録音部212は、放送音声データから録音音源データを生成し、録音音源データを記録媒体に格納し、再生部213は、特定の入力情報に応じて、録音音源データから再生音声データを再生し、出力部214は、再生音声データから変換した再生音声信号を出力デバイス400へ出力する。
【0067】
以上のように、放送音声データから生成した録音音源データを記録媒体に格納しておき、特定の入力情報に応じて、録音音源データから再生音声データを再生し、出力デバイス400から再生音声を出力するので、放送の一部を聞き漏らした聴取者に対して、放送実施中であっても迅速な情報提供を実現することができる。
【0068】
具体的には、子局設備200の使用者(聴取者)は、放送の一部を聞き漏らした場合であっても、特定の入力操作を行うことによって、再生音声から、要点または概要や、放送の対象者をすぐに理解することができる。
【0069】
〔実施形態2〕
本実施形態2に係わる子局装置は、前記実施形態1で説明した無線システム1の子局装置201と同等の構成を備える。
【0070】
さらに、本実施形態2では、出力部214は、放送音声信号を第1の出力デバイス400へ出力し、再生音声信号を第2の出力デバイス400へ出力する。具体的には、出力部214は、受信部211から放送音声データを受信し、放送音声データを放送音声信号に変換する。そして、出力部214は、放送音声信号を第1の出力デバイス400へ出力する。さらに、再生部213は、子局記録部203から録音音源データを取得し、録音音源データから再生音声データを再生する。再生部213は、再生した再生音声データを、出力部214へ送信する。出力部214は、再生音声データを再生音声信号に変換し、再生音声信号を第2の出力デバイス400へ出力する。第1の出力デバイス400は、例えば拡声器スピーカである。第2の出力デバイス400は、例えばモニター用スピーカである。あるいは、第2の出力デバイス400は、ハンドセットまたはイヤホンであってもよい。
【0071】
モニター用スピーカ、ハンドセット、およびイヤホンは、いずれも、出力される音声を聴取できる空間が狭い。具体的には、聴取者は、これらの第2の出力デバイス400から数メートル程度以内にいる場合に限り、第2の出力デバイス400から出力される音声を聴取することができる。第2の出力デバイス400は、出力される音声を聴取できる空間が狭いという特徴を備える。このような特徴を備えた第2の出力デバイス400を以下では、パーソナルデバイスと呼ぶ。
【0072】
前記実施形態1と同様に、再生部213は、聴取者による入力操作にしたがい、子局記録部203が保持する録音音源データから、再生音声データを再生する。再生部213は、再生音声データを出力部214へ送信する。
【0073】
出力部214は、再生部213から受信した再生音声データを再生音声信号に変換し、子局I/F部202と接続されたパーソナルデバイスへ、再生音声信号を出力する。これにより、パーソナルデバイスの近傍(例えば数メートル以内)にいる聴取者は、パーソナルデバイスからの再生音声を聴取することができる。
【0074】
さらに、出力部214は、放送音声データから変換した放送音声信号を、子局I/F部202と接続された拡声器スピーカ(第1の出力デバイスの一例である)へ出力する。これにより、パーソナルデバイスからある程度(例えば数メートル以上)離れたところにいる聴取者は、パーソナルデバイスからの再生音声に妨害されることなく、拡声器スピーカから出力される放送音声を聴取することができる。
【0075】
本実施形態2においても、前記実施形態1と同様に、受信部211は、放送音声データを含む放送指示信号を受信し、録音部212は、放送音声データから録音音源データを生成し、録音音源データを記録媒体に格納し、再生部213は、特定の入力情報に応じて、録音音源データから再生音声データを再生し、出力部214は、再生音声データから変換した再生音声信号を出力デバイス400へ出力する。
【0076】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、放送音声データから生成した録音音源データを記録媒体に格納しておき、特定の入力情報に応じて、録音音源データから再生音声データを再生し、出力デバイス400から再生音声を出力するので、放送の一部を聞き漏らした聴取者に対して、迅速な情報提供を実現することができる。
【0077】
さらに本実施形態では、出力部214は、放送音声データから変換した放送音声信号、および再生音声データから変換した再生音声信号を、異なる出力デバイスからそれぞれ出力する。例えば、出力部214は、放送音声信号を拡声器スピーカへ、また再生音声信号をパーソナルデバイスへ、それぞれ出力する。これにより、パーソナルデバイスの近傍(例えば数メートル以内)にいる聴取者は、パーソナルデバイスからの再生音声を聴取できる。一方、パーソナルデバイスからある程度(例えば数メートル以上)離れたところにいる聴取者は、パーソナルデバイスからの再生音声に妨害されることなく、拡声器スピーカから出力される放送音声を聴取できる。
【0078】
〔実施形態3〕
本実施形態3に係わる子局装置は、前記実施形態1で説明した無線システム1の子局装置201と同等の構成を備える。
【0079】
さらに、本実施形態3では、再生部213は、第2の入力情報に応じて、再生音声データの再生を中断し、他の音源データから他の音声データを再生する。また再生部213は、第3の入力情報に応じて、再生音声データの再生を停止する。
【0080】
具体的には、再生部213が再生音声データを再生している間に、聴取者は、子局I/F部202と接続された入力デバイス300に対し、任意の音源データを選択し、選択した音源データを再生させるための入力操作を行う。例えば、聴取者は、入力デバイス300の一つであるディスプレイに表示された音源データのリストの中から、一つの音源データを選択した上、再生ボタンを押下する。
【0081】
再生部213は、子局I/F部202から、音源データが選択され、かつ再生ボタンが押下されたことを示す入力情報(第2の入力情報の一例である)を受信する。再生部213は、受信した入力情報に基づいて、子局記録部203から、聴取者によって選択された音源データを取得する。再生部213は、再生音声データの再生を中断し、その代わりに、聴取者が選択した音源データから、音声データを再生する。そして、再生部213は、再生した音声データを、出力部214へ送信する。
【0082】
あるいは、再生部213は、子局I/F部202から、停止ボタン(入力デバイス300の一例である)が押下されたことを示す入力情報(第3の入力情報の一例である)を受信する。再生部213は、受信した入力情報に基づいて、再生音声データの再生を停止する。その後、再生部213は、子局I/F部202から、音源データが選択されたことを示す入力情報(第2の入力情報の一例である)を受信する。再生部213は、受信した入力情報に基づいて、子局記録部203から、聴取者によって選択された音源データを取得する。再生部213は、再生した音声データを、出力部214へ送信する。
【0083】
出力部214は、再生部213から音声データを受信し、子局I/F部202と接続されている出力デバイス400(例えば、拡声器スピーカ)へ、聴取者によって選択された音源データから変換した音声信号を出力する。これにより、聴取者にとって有用な情報を迅速に提供することができる。
【0084】
なお、音源データの再生が完了した後、再生部213は、再生音声データを再生する処理を再開してもよいし、そうすることなく、再生処理を終了(キャンセル)してもよい。
【0085】
本実施形態3においても、前記実施形態1と同様に、受信部211は、放送音声データを含む放送指示信号を受信し、録音部212は、放送音声データから録音音源データを生成し、録音音源データを記録媒体に格納し、再生部213は、特定の入力情報に応じて、録音音源データから再生音声データを再生し、出力部214は、再生音声データから変換した再生音声信号を出力デバイス400へ出力する。
【0086】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、放送音声データから生成した録音音源データを記録媒体に格納しておき、特定の入力情報に応じて、録音音源データから再生音声データを再生し、出力デバイス400から再生音声を出力するので、放送の一部を聞き漏らした聴取者に対して、迅速な情報提供を実現することができる。
【0087】
さらに本実施形態では、再生部213は、第2の入力情報に応じて、再生音声データの再生を中断し、他の音源データから他の音声データを再生する。また再生部213は、第3の入力情報に応じて、再生音声データの再生を停止する。これにより、聴取者は、放送内容が有用でないと判断して、再生音声を聴取することをやめることができるとともに、他の有用な音源データを速やかに聴取することができる。例えば、聴取者は、災害時に放送の冒頭を聞き逃した際、放送が終了することを待つことなく、その放送の内容を冒頭から再生音声により確認できる。さらに、聴取者は、再生音声で確認した放送内容が自身と無関係な情報だった場合、再生音声による放送の聴取をやめて、予め戸別受信機(すなわち子局設備200)に録音している災害時の避難マニュアル等の音源を再生することができる。
【0088】
〔実施形態4〕
本実施形態4に係わる子局装置は、前記実施形態1で説明した無線システム1の子局装置201と同等の構成を備える。
【0089】
さらに、本実施形態4では、出力部214は、放送音声信号を出力せず、再生音声信号のみを出力する。すなわち、出力部214は、前記実施形態3までのように、放送音声信号を出力することがない。
【0090】
具体的には、受信部211は、放送指示信号に含まれる放送音声データを、再生部213へ送信する。聴取者は、子局I/F部202と接続された入力デバイス300に対し、録音音源データを再生させるための特定の入力操作を行う。例えば、聴取者は、入力デバイス300の一つである再生ボタンを押下する。
【0091】
再生部213は、子局I/F部202を介して、入力情報を受信する。再生部213は、子局記録部203から、録音音源データを取得し、録音音源データから再生音声データを再生する。再生部213は、再生音声データを出力部214へ送信する。
【0092】
出力部214は、再生部213から再生音声データを受信して、子局I/F部202と接続された出力デバイス400(例えば拡声器スピーカ)へ、再生音声信号を出力する。
【0093】
前記実施形態1と同様に、再生部213は、聴取者による特定の入力操作に応じて、任意の再生位置から再生音声データを再生してもよい。
【0094】
また、再生部213は、聴取者による特定の入力操作にしたがい、変則的な再生を行ってもよい。例えば、再生部213は、再生音声データの早送り再生や巻き戻し再生を行ってもよい。これにより、聴取者は、自分にとって有用な情報をより迅速に知ることができる(実施形態5)。
【0095】
本実施形態4においても、前記実施形態1と同様に、受信部211は、放送音声データを含む放送指示信号を受信し、録音部212は、放送音声データから録音音源データを生成し、録音音源データを記録媒体に格納し、再生部213は、特定の入力情報に応じて、録音音源データから再生音声データを再生し、出力部214は、再生音声データから変換した再生音声信号を出力デバイス400へ出力する。
【0096】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、放送音声データから生成した録音音源データを記録媒体に格納しておき、特定の入力情報に応じて、録音音源データから再生音声データを再生し、出力デバイス400から再生音声を出力するので、放送の一部を聞き漏らした聴取者に対して、迅速な情報提供を実現することができる。
【0097】
〔実施形態5〕
本実施形態5に係わる子局装置は、前記実施形態1で説明した無線システム1の子局装置201と同等の構成を備える。
【0098】
さらに、本実施形態5では、再生部213は、第4の入力情報に応じて、再生音声データを変則的に再生する。具体的には、再生部213は、聴取者による特定の入力操作にしたがい、変則的な再生を行う。変則的な再生とは、例えば、再生音声の早送り、巻き戻し、分節間の移動、再生位置のジャンプ、スロー再生、または早送り再生である。
【0099】
具体的には、聴取者は、子局I/F部202と接続された入力デバイス300に対し、上述したような変則的な再生を指定する入力操作を行う。例えば、聴取者は、ディスプレイに表示された早送りボタンまたは巻き戻しボタン(どちらも入力デバイス300の一つである)を押下する。
【0100】
再生部213は、子局I/F部202から、入力情報(第4の入力情報の一例である)を受信する。再生部213は、受信した入力情報に基づいて、早送り再生または巻き戻し再生を実行する。再生部213は、変則的な再生を行って得た再生音声データを、出力部214へ送信する。出力部214は、再生部213から受信した再生音声データから変換した再生音声信号を、子局I/F部202と接続された出力デバイス400へ出力する。
【0101】
本実施形態5においても、前記実施形態1と同様に、受信部211は、放送音声データを含む放送指示信号を受信し、録音部212は、放送音声データから録音音源データを生成し、録音音源データを記録媒体に格納し、再生部213は、特定の入力情報に応じて、録音音源データから再生音声データを再生し、出力部214は、再生音声データから変換した再生音声信号を出力デバイス400へ出力する。
【0102】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、放送音声データから生成した録音音源データを記録媒体に格納しておき、特定の入力情報に応じて、録音音源データから再生音声データを再生し、出力デバイス400から再生音声を出力するので、放送の一部を聞き漏らした聴取者に対して、迅速な情報提供を実現することができる。
【0103】
さらに、本実施形態の構成によれば、再生部213は、第4の入力情報に応じて、再生音声データを変則的に再生する。これにより、聴取者は、入力デバイス300に対して、特定の入力操作を行うことによって、自分にとって有用な情報を手軽にかつ迅速に取得することができる。
【0104】
〔実施形態6〕
本実施形態6に係わる子局装置は、前記実施形態1で説明した無線システム1の子局装置201と同等の構成を備える。
【0105】
さらに、本実施形態6では、入力デバイス300は人感センサを含む。人感センサは、人感センサの周辺にいる人の存在を検知して、人の検知結果を含むセンサデータ(入力情報の一例である)を、子局I/F部202を介し、再生部213へ送信する。
【0106】
再生部213は、人感センサからのセンサデータを特定の入力情報として、録音音源データから再生音声データを再生する。
【0107】
具体的には、再生部213は、子局I/F部202を介して、人感センサからセンサデータを受信する。再生部213は、受信したセンサデータに基づいて、人感センサの周辺(より具体的には、出力デバイス400から出力される音声が聴取者に聞こえる距離内)に人が現れたと判定したとき、録音音源データに基づく再生音声データを、冒頭から再生する。再生部213は、再生した再生音声データを、出力部214へ送信する。
【0108】
出力部214は、再生部213から再生音声データを受信し、子局I/F部202と接続された拡声器スピーカ(出力デバイス400の一例である)へ、再生音声信号を出力する。これにより、聴取者は、何も操作を行うことなく、放送を冒頭から聴取することができる。
【0109】
なお、再生部213が再生音声データを再生している間に、受信部211が親局設備100から新たに放送指示信号を受信した場合、受信部211は、新たな放送指示信号に含まれる新たな放送音声データを、録音部212および出力部214へ送信する。出力部214は、新たな放送音声データを受信したとき、再生音声信号の出力を強制的に停止して、新たな放送音声データに基づく放送音声信号を出力する。録音部212は、新たな放送音声データから、新たな録音音源データを生成して、生成した録音音源データを子局記録部203に格納する。
【0110】
あるいは、受信部211は、新たな放送指示信号から、放送種別および放送の音量などの情報を抽出する。そして、受信部211は、抽出した情報に基づいて、新たな放送指示信号に含まれる新たな放送音声データを、出力部214へ送信するか、送信しないかを決定してもよい。受信部211は、新たな放送音声データを、出力部214へ送信しないことを決定した場合、新たな放送音声データを出力部214へ送信せず、録音部212へ送信する。録音部212は、新たな放送音声データから、新たな録音音源データを生成して、生成した録音音源データを子局記録部203に格納する。受信部211が新たな放送指示信号を受信したときに、再生部213が再生音声データを再生している最中であった場合、出力部214は、再生音声信号を出力デバイス400へ出力し続けてもよいし、再生音声信号の出力を強制的に停止してもよい。
【0111】
本実施形態6においても、前記実施形態1と同様に、受信部211は、放送音声データを含む放送指示信号を受信し、録音部212は、放送音声データから録音音源データを生成し、録音音源データを記録媒体に格納し、再生部213は、特定の入力情報に応じて、録音音源データから再生音声データを再生し、出力部214は、再生音声データから変換した再生音声信号を出力デバイス400へ出力する。
【0112】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、放送音声データから生成した録音音源データを記録媒体に格納しておき、特定の入力情報に応じて、録音音源データから再生音声データを再生し、出力デバイス400から再生音声を出力するので、放送の一部を聞き漏らした聴取者に対して、迅速な情報提供を実現することができる。
【0113】
さらに、本実施形態の構成によれば、再生部213は、人感センサからのセンサデータを特定の入力情報として、録音音源データから再生音声データを再生する。これにより、聴取者は、何も操作を行うことなく、放送を冒頭から聴取することができる。
【0114】
(ハードウェア構成について)
前記実施形態1~6で説明した子局装置201の各構成要素は、機能単位のブロックを示している。これらの構成要素の一部又は全部は、例えば
図6に示すような情報処理装置900により実現される。
図6は、情報処理装置900のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0115】
図6に示すように、情報処理装置900は、一例として、以下のような構成を含む。
【0116】
・CPU(Central Processing Unit)901
・ROM(Read Only Memory)902
・RAM(Random Access Memory)903
・RAM903にロードされるプログラム904
・プログラム904を格納する記憶装置905
・記録媒体906の読み書きを行うドライブ装置907
・通信ネットワーク909と接続する通信インタフェース908
・データの入出力を行う入出力インタフェース910
・各構成要素を接続するバス911
前記実施形態1~6で説明した子局装置201の各構成要素は、これらの機能を実現するプログラム904をCPU901が読み込んで実行することで実現される。各構成要素の機能を実現するプログラム904は、例えば、予め記憶装置905やROM902に格納されており、必要に応じてCPU901がRAM903にロードして実行される。なお、プログラム904は、通信ネットワーク909を介してCPU901に供給されてもよいし、予め記録媒体906に格納されており、ドライブ装置907が当該プログラムを読み出してCPU901に供給してもよい。
【0117】
(本実施形態の効果)
本実施形態の構成によれば、前記実施形態において説明した子局装置201が、ハードウェアとして実現される。したがって、前記実施形態1~6において説明した効果と同様の効果を奏することができる。
【0118】
(前記実施形態1~6に適用される他の態様)
なお、無線システム1の種類や運用形態により、親局装置101から子局装置201へ放送音声データを含む放送指示信号の送信手順や、送信に要する時間は異なる。例えば、親局装置101は、放送開始時点で、放送音声データを全て含む放送指示信号を子局装置201へ送信する場合もあれば、放送している間、リアルタイムに放送音声データを子局装置201へ送信し続ける場合もある。さらに、親局装置101は、先に放送音声データを子局装置201へ送信し、その後に子局呼出番号を子局装置201へ送信する(すなわち放送指示信号を分割して子局装置201へ送信する)場合もある。この場合、子局装置201は、録音音源データを子局記録部203に格納しておく。そして、後に受信した子局呼出番号に自局の子局呼出番号が含まれていた場合、子局装置201は、前記実施形態1~6で説明した手順で、子局記録部203に格納された録音音源データから再生音声データを再生し、再生音声信号を出力する。しかしながら、放送指示信号の送信手順の違いは、本発明の課題および効果に何ら影響するものではないため、ここで説明した態様は、前記実施形態1~6のいずれにも適用することが可能である。さらに、本態様の適用例は、前記実施形態1~6で述べた構成に限定されることなく、無線システムにおいて、放送指示信号の送信手順を任意に設計できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0119】
1 無線システム(同報無線システム)
100 親局設備
101 親局装置
102 親局I/F部
103 親局記録部
111 宛先指定部
112 送出部
200 子局設備
201 子局装置
202 子局I/F部
203 子局記録部
211 受信部
212 録音部
213 再生部
214 出力部
300 入力デバイス
400 出力デバイス