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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】通信端末装置、及び通信管理サーバ装置
(51)【国際特許分類】
   H04W 4/00 20180101AFI20240123BHJP
   H04W 88/06 20090101ALI20240123BHJP
   H04W 4/46 20180101ALI20240123BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20240123BHJP
【FI】
H04W4/00 110
H04W88/06
H04W4/46
H04W84/12
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2019209682
(22)【出願日】2019-11-20
(65)【公開番号】P2021082965
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2021-11-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】230120499
【弁護士】
【氏名又は名称】藤江 和典
(74)【代理人】
【識別番号】100201385
【弁理士】
【氏名又は名称】中安 桂子
(72)【発明者】
【氏名】竹内 隆
(72)【発明者】
【氏名】中田 恒夫
【審査官】齋藤 浩兵
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/060217(WO,A1)
【文献】特表2018-502353(JP,A)
【文献】国際公開第2010/041366(WO,A1)
【文献】特開2013-167510(JP,A)
【文献】特開2015-008358(JP,A)
【文献】国際公開第2016/125356(WO,A1)
【文献】特開2019-017101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線LAN方式とは異なる第1の通信方式で、他の通信端末装置と無線通信を行う第1の通信部(100)と、
無線LAN方式であって、前記第1の通信方式よりも通信可能な距離が短い第2の通信方式で、前記他の通信端末装置と無線通信を行う第2の通信部(110)と、
を有し、
前記第1の通信部は、前記第2の通信部が前記他の通信端末装置と通信を開始するために必要な通信処理であって、
基地局として動作するか否かを決定するための役割決定処理、
前記第2の通信方式に規定されるAssociationを実施する処理であって、接続要求と接続要求に対する応答とを含む接続処理、及び、
前記第2の通信方式に規定されるAuthenticationを実施する処理であって、認証要求と認証要求に対する応答とを含む認証処理
のうち少なくとも何れか一つを含む前記通信処理を実施し、
前記第2の通信部は、前記第2の通信方式を用いた通信による前記通信処理を行うことなく、前記第1の通信部によって実施された前記通信処理に従って、前記他の通信端末装置との通信を開始する、
通信端末装置(10)。
【請求項2】
前記通信処理は、前記第2の通信部が前記他の通信端末装置と通信を開始するために必要な接続情報を交換する処理である、
請求項1記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記第2の通信方式は、IEEE802.11の通信規格に準拠する無線通信方式である、
請求項1記載の通信端末装置。
【請求項4】
当該通信端末装置は、移動体に搭載されている、
請求項1記載の通信端末装置。
【請求項5】
当該通信端末装置は、固定物に搭載されている、
請求項1記載の通信端末装置。
【請求項6】
前記他の通信端末装置は、固定物に搭載されている、
請求項4記載の通信端末装置。
【請求項7】
前記他の通信端末装置は、移動体に搭載されている、
請求項4又は5記載の通信端末装置。
【請求項8】
前記認証処理は、前記認証要求と前記認証要求に対する応答とを交換する処理を含む、
請求項1記載の通信端末装置。
【請求項9】
前記役割決定処理は、当該通信端末装置と前記他の通信端末装置のいずれがWi―Fi Direct(登録商標)におけるグループオーナーとして動作するかを決定するための処理である、
請求項1記載の通信端末装置。
【請求項10】
前記第1の通信部と前記第2の通信部を制御する制御部(140)、を有し、
前記第2の通信部は、
前記第2の通信方式でデータの送受信を行う第2の送受信部(111)と、
前記第2の通信方式で通信を開始する際に、前記通信処理における処理結果を用いて前記第2の通信方式での通信の接続情報処理を行う第2の接続情報処理部(112)と、を有し、
前記第1の通信部は、
前記第1の通信方式でデータの送受信を行う第1の送受信部(101)、を有し、
前記制御部が、前記第2の接続情報処理部に対し、前記第1の送受信部を介して前記通信処理を実施するよう指示することにより、前記第1の送受信部が前記通信処理を実施する、
請求項1記載の通信端末装置。
【請求項11】
前記第1の通信部と前記第2の通信部を制御する制御部(140)、を有し、
前記第2の通信部は、
前記第2の通信方式でデータの送受信を行う第2の送受信部(111)と、
前記第2の通信方式で通信を開始する際に、前記通信処理における処理結果を用いて前記第2の通信方式での通信の接続情報処理を行う第2の接続情報処理部(112)と、を有し、
前記第1の通信部は、
前記第1の通信方式でデータの送受信を行う第1の送受信部(101)、を有し、
前記制御部が、前記第2の接続情報処理部に代わり、前記第1の送受信部を制御することにより、前記第1の送受信部が前記通信処理を実施する、
請求項1記載の通信端末装置。
【請求項12】
前記第2の通信方式で通信を行う前記他の通信端末装置を特定する通信先特定部(343)を有し、
前記第1の通信部は、前記他の通信端末装置の位置を示す位置情報及び前記他の通信端末装置のコンテンツの保有状況を示すコンテンツ情報を受信し、
前記通信先特定部は、
前記位置情報に基づいて、前記他の通信端末装置と前記第2の通信方式で接続可能か否かを検証する接続可能性検証部(344)と、
前記コンテンツ情報に基づいて、前記他の通信端末装置との接続が必要か否かを検証する接続必要性検証部(345)と、
を有する、
請求項1記載の通信端末装置。
【請求項13】
前記接続可能性検証部は、さらに、当該通信端末装置の位置情報に基づいて、前記他の通信端末装置と前記第2の通信方式で接続可能か否かを検証する、
請求項12記載の通信端末装置。
【請求項14】
無線LAN方式とは異なる第1の通信方式で他の通信端末装置と無線通信を開始し(S101)、
無線LAN方式であって前記第1の通信方式よりも通信可能な距離が短い第2の通信方式で前記他の通信端末装置と無線通信を開始するために必要な通信処理であって、
基地局として動作するか否かを決定するための役割決定処理、
前記第2の通信方式に規定されるAssociationを実施する処理であって、接続要求と接続要求に対する応答とを含む接続処理、及び、
前記第2の通信方式に規定されるAuthenticationを実施する処理であって、認証要求と認証要求に対する応答とを含む認証処理
のうち少なくとも何れか一つを含む前記通信処理を前記第1の通信方式で実施し、(S102)、
前記第2の通信方式を用いた通信による前記通信処理を行うことなく、前記第1の通信方式で実施された前記通信処理に従って、前記第2の通信方式で前記他の通信端末装置との通信を開始する(S103、S104、S105)、
通信方法。
【請求項15】
無線LAN方式とは異なる第1の通信方式で他の通信端末装置と無線通信を開始し(S101)、
無線LAN方式であって前記第1の通信方式よりも通信可能な距離が短い第2の通信方式で前記他の通信端末装置と無線通信を開始するために必要な通信処理であって、
基地局として動作するか否かを決定するための役割決定処理、
前記第2の通信方式に規定されるAssociationを実施する処理であって、接続要求と接続要求に対する応答とを含む接続処理、及び、
前記第2の通信方式に規定されるAuthenticationを実施する処理であって、認証要求と認証要求に対する応答とを含む認証処理
のうち少なくとも何れか一つを含む前記通信処理を前記第1の通信方式で実施し、(S102)、
前記第2の通信方式を用いた通信による前記通信処理を行うことなく、前記第1の通信方式で実施された前記通信処理に従って、前記第2の通信方式で前記他の通信端末装置との通信を開始する(S103、S104、S105)、
通信プログラム。
【請求項16】
通信管理サーバ装置(50)及び通信端末装置(10)を有する通信システムであって、
前記通信管理サーバ装置は、
前記通信端末装置及び他の通信端末装置から、それぞれの装置の位置を示す位置情報、及びそれぞれの装置のコンテンツの保有状況を示すコンテンツ情報、を受信する受信部(510)と、
前記通信端末装置が第2の通信方式で通信を行う他の通信端末装置を特定する通信先特定部(531)と、
前記通信先特定部で特定した前記他の通信端末装置の通信先情報を、前記通信端末装置に送信する送信部(540)と、を有し、
前記通信先特定部は、
それぞれの前記位置情報に基づいて、前記通信端末装置が前記他の通信端末装置と前記第2の通信方式で接続可能か否かを検証する接続可能性検証部(532)と、
それぞれの前記コンテンツ情報に基づいて、前記通信端末装置が前記他の通信端末装置と接続が必要か否かを検証する接続必要性検証部(533)と、を有し、
前記通信端末装置は、
前記通信先情報を元に、無線LAN方式とは異なる第1の通信方式で、他の通信端末装置と無線通信を行う第1の通信部(100)と、
無線LAN方式であって、前記第1の通信方式よりも通信可能な距離が短い第2の通信方式で、前記他の通信端末装置と無線通信を行う第2の通信部(110)と、を有し、
前記第1の通信部は、前記第2の通信部が前記他の通信端末装置と通信を開始するために必要な通信処理であって、
基地局として動作するか否かを決定するための役割決定処理、
前記第2の通信方式に規定されるAssociationを実施する処理であって、接続要求と接続要求に対する応答とを含む接続処理、及び、
前記第2の通信方式に規定されるAuthenticationを実施する処理であって、認証要求と認証要求に対する応答とを含む認証処理
のうち少なくとも何れか一つを含む前記通信処理を実施し、
前記第2の通信部は、前記第2の通信方式を用いた通信による前記通信処理を行うことなく、前記第1の通信部によって実施された前記通信処理に従って、前記他の通信端末装置との通信を開始する、
通信システム。
【請求項17】
前記通信先特定部は、前記通信端末装置からの要求に応じ、前記通信端末装置が前記第2の通信方式で通信を行う前記他の通信端末装置を特定する、
請求項16記載の通信システム。
【請求項18】
通信管理サーバ装置(50)及び通信端末装置(10)を有する通信システムで実行する通信先選択方法であって、
通信管理サーバ装置は、
前記通信端末装置及び他の通信端末装置から、それぞれの装置の位置を示す位置情報、及びそれぞれの装置のコンテンツの保有状況を示すコンテンツ情報、を受信し(S501)、
それぞれの前記位置情報に基づいて、前記通信端末装置が前記他の通信端末装置と第2の通信方式で接続可能か否かの検証である接続可能性検証を実行し(S503)、
それぞれの前記コンテンツ情報に基づいて、前記通信端末装置が前記他の通信端末装置と接続が必要か否かの検証である接続必要性検証を実行し(S504)、
前記接続可能性検証及び前記接続必要性検証の結果に基づき、前記通信端末装置が前記第2の通信方式で通信を行う他の通信端末装置を特定し(S505)、
特定した前記他の通信端末装置の通信先情報を、前記通信端末装置に送信し(S506)、
前記通信端末装置は、
前記通信先情報を元に、無線LAN方式とは異なる第1の通信方式で他の通信端末装置と無線通信を開始し(S101)、
無線LAN方式であって前記第1の通信方式よりも通信可能な距離が短い第2の通信方式で前記他の通信端末装置と無線通信を開始するために必要な通信処理であって、
基地局として動作するか否かを決定するための役割決定処理、
前記第2の通信方式に規定されるAssociationを実施する処理であって、接続要求と接続要求に対する応答とを含む接続処理、及び、
前記第2の通信方式に規定されるAuthenticationを実施する処理であって、認証要求と認証要求に対する応答とを含む認証処理
のうち少なくとも何れか一つを含む前記通信処理を前記第1の通信方式で実施し、(S102)、
前記第2の通信方式を用いた通信による前記通信処理を行うことなく、前記第1の通信方式で実施された前記通信処理に従って、前記第2の通信方式で前記他の通信端末装置との通信を開始する(S103、S104、S105)、
通信先選択方法。
【請求項19】
通信管理サーバ装置(50)及び通信端末装置(10)を有する通信システムで実行される通信先選択プログラムであって、
通信管理サーバ装置は、
前記通信端末装置及び他の通信端末装置から、それぞれの装置の位置を示す位置情報、及びそれぞれの装置のコンテンツの保有状況を示すコンテンツ情報、を受信し(S501)、
それぞれの前記位置情報に基づいて、前記通信端末装置が前記他の通信端末装置と第2の通信方式で接続可能か否かの検証である接続可能性検証を実行し(S503)、
それぞれの前記コンテンツ情報に基づいて、前記通信端末装置が前記他の通信端末装置と接続が必要か否かの検証である接続必要性検証を実行し(S504)、
前記接続可能性検証及び前記接続必要性検証の結果に基づき、前記通信端末装置が前記第2の通信方式で通信を行う他の通信端末装置を特定し(S505)、
特定した前記他の通信端末装置の通信先情報を、前記通信端末装置に送信し(S506)、
前記通信端末装置は、
前記通信先情報を元に、無線LAN方式とは異なる第1の通信方式で他の通信端末装置と無線通信を開始し(S101)、
無線LAN方式であって前記第1の通信方式よりも通信可能な距離が短い第2の通信方式で前記他の通信端末装置と無線通信を開始するために必要な通信処理であって、
基地局として動作するか否かを決定するための役割決定処理、
前記第2の通信方式に規定されるAssociationを実施する処理であって、接続要求と接続要求に対する応答とを含む接続処理、及び、
前記第2の通信方式に規定されるAuthenticationを実施する処理であって、認証要求と認証要求に対する応答とを含む認証処理
のうち少なくとも何れか一つを含む前記通信処理を前記第1の通信方式で実施し、(S102)、
前記第2の通信方式を用いた通信による前記通信処理を行うことなく、前記第1の通信方式で実施された前記通信処理に従って、前記第2の通信方式で前記他の通信端末装置との通信を開始する(S103、S104、S105)、
通信先選択プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信端末装置間の相対距離が変化しうる環境下で通信を行う通信端末装置、通信方法、通信プログラム、及び通信管理サーバ装置等に関する。
【背景技術】
【0002】
車車間通信や路車間通信のように、自らの通信端末装置又は通信相手先の通信端末装置が車両のような移動体に搭載されている状態で通信を行う場合、無線通信を用いることで、通信の際に相手の通信端末装置との相対距離が変化しうる環境下でも、様々なデータの授受が可能である。
【0003】
特に短距離通信において、上記のような通信端末装置間で直接に無線通信を行うことによって、比較的広帯域で通信コストが低い通信が可能となり、より大容量のコンテンツデータの授受も可能となる。しかしながら、一般に上記のような短距離通信は通信可能距離が制限されており、通信端末装置間の相対距離が変化しうる状況では通信可能時間に制約がある。
【0004】
そこで、通信可能時間が相対的に短くなる場合でも、通信可能時間を効率よく利用する技術が知られている。
【0005】
特許文献1には、短距離通信を開始する前に、自機器の位置及び移動状況に関する情報であって位置検出部によって検出された現在位置を含む位置/移動情報を、長距離通信によって他機器と交換する処理を行い、自機器及び他機器の位置/移動情報から、他機器との間で短距離通信を利用可能な期間及び区間を推定する開示がある。このような推定を行うことによって、短距離通信が利用可能な状況が形成された後に速やかに短距離通信が開始可能となり、短距離通信を効率よく開始することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2013-167510号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、本発明者は、以下の課題を見出した。
通信端末装置間の相対距離が変化しうる環境下で短距離通信を行う場合、利用可能な期間及び区間の推定を行うことにより短距離通信をタイミングよく開始できたとしても、短距離通信が物理的に接続可能となった後に、例えば、認証処理、接続処理、IPアドレス取得処理等、実際のデータ通信を行うまでに通信に必要な接続情報を交換し接続準備を行うことが必要であり、これにより通信可能時間が制限される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の通信端末装置は、第1の通信方式で、他の通信端末装置と通信を行う第1の通信部(100)と、前記第1の通信方式とは異なる第2の通信方式で、前記他の通信端末装置と通信を行う第2の通信部(110)と、を有し、前記第1の通信部は、前記第2の通信部が通信を開始する前に、前記第2の通信部が前記他の通信端末装置と通信を開始するために必要な接続情報を交換する。
なお、特許請求の範囲、及び本項に記載した発明の構成要件に付した括弧内の番号は、本発明と後述の実施形態との対応関係を示すものであり、本発明を限定する趣旨ではない。
【発明の効果】
【0009】
上述のような構成により、第2の通信方式での通信を開始するための情報である接続情報を、第2の通信方式とは異なる第1の通信方式による通信で事前に交換しておくため、通信可能時間が制限されず、第2の通信方式による通信時間を有効に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の第1の実施形態の通信端末装置の構成例を示すブロック図
図2】本開示の第1の実施形態の通信端末装置における第1の通信方式による通信を説明する説明図
図3】本開示の第1の実施形態の通信端末装置における第2の通信方式による通信を説明する説明図
図4】第2の通信方式での通信が開始するまでの通信シーケンスを説明する説明図
図5】本開示の第1の実施形態の通信端末装置における第2の通信方式での通信が開始するまでの時間軸上での通信シーケンスを説明する説明図
図6】本開示の第1の実施形態の通信端末装置における接続情報の交換方法を説明する説明図
図7】本開示の第1の実施形態の通信端末装置における接続情報の交換方法を説明する説明図
図8】本開示の第1の実施形態の通信端末装置の動作を示すフロー図
図9】本開示の第2の実施形態の通信先特定に関しての3つのバリエーションを説明する説明図
図10】本開示の第2Aの実施形態の通信端末装置における第1の通信方式による通信を説明する説明図
図11】本開示の第2Aの実施形態の通信端末装置の構成例を示すブロック図
図12】本開示の第2Aの実施形態の通信端末装置に格納される位置情報とコンテンツ情報の例を説明する説明図
図13】本開示の第2Aの実施形態の通信端末装置の動作を示すフロー図
図14】本開示の第2Aの実施形態の通信端末装置における通信先特定処理の動作を示すフロー図
図15】本開示の第2B及び第2Cの実施形態の通信端末装置における第1の通信方式による通信を説明する説明図
図16】本開示の第2Bの実施形態の通信端末装置の動作を示すフロー図
図17】本開示の第2Cの実施形態の通信管理サーバの構成例を示すブロック図
図18】本開示の第2Cの実施形態の通信管理サーバの動作を示すフロー図
図19】本開示の実施形態の他の通信端末装置がアクセスポイントとなる場合の説明図
図20】本開示の実施形態の通信端末装置がアクセスポイントとなる場合の説明図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0012】
なお、本発明とは、特許請求の範囲又は課題を解決するための手段の項に記載された発明を意味するものであり、以下の実施形態に限定されるものではない。また、少なくともかぎ括弧内の語句は、特許請求の範囲又は課題を解決するための手段の項に記載された語句を意味し、同じく以下の実施形態に限定されるものではない。
【0013】
特許請求の範囲の従属項に記載の構成及び方法は、特許請求の範囲の独立項に記載の発明において任意の構成及び方法である。従属項に記載の構成及び方法に対応する実施形態の構成及び方法、並びに特許請求の範囲に記載がなく実施形態のみに記載の構成及び方法は、本発明において任意の構成及び方法である。特許請求の範囲の記載が実施形態の記載よりも広い場合における実施形態に記載の構成及び方法も、本発明の構成及び方法の例示であるという意味で、本発明において任意の構成及び方法である。いずれの場合も、特許請求の範囲の独立項に記載することで、本発明の必須の構成及び方法となる。
【0014】
実施形態に記載した効果は、本発明の例示としての実施形態の構成を有する場合の効果であり、必ずしも本発明が有する効果ではない。
【0015】
複数の実施形態がある場合、各実施形態に開示の構成は各実施形態のみで閉じるものではなく、実施形態をまたいで組み合わせることが可能である。例えば一の実施形態に開示の構成を、他の実施形態に組み合わせてもよい。また、複数の実施形態それぞれに開示の構成を集めて組み合わせてもよい。
【0016】
発明が解決しようとする課題に記載した課題は公知の課題ではなく、本発明者が独自に知見したものであり、本発明の構成及び方法と共に発明の進歩性を肯定する事実である。
【0017】
1.第1の実施形態
(1)通信端末装置の構成
図1から図8を用いて、第1の実施形態に係る通信端末装置10の構成について説明する。
【0018】
以下の説明では、通信端末装置10を搭載している車両を例にして説明するが、通信端末装置10を搭載する車両を車両200とし、他の通信端末装置が搭載されている車両はそれ以外とする。
また、誤解を生じない範囲で、以下の説明では煩雑さを防ぐため、例えば、車両200に搭載される通信端末装置10と車両201に搭載される他の通信端末装置が通信することを、適宜、車両200と車両201が通信すると簡略化して記載することがある。以下の他の実施形態の説明でも同様とする。
【0019】
図1に示すように、通信端末装置10は、第1の通信部100、第2の通信部110、
位置検出部120、格納部130、及び制御部140を有する。
【0020】
通信端末装置10は、第1の通信部100及び第2の通信部110により、他の通信端末装置と通信を行うが、通信端末装置10は「移動体に搭載されている」場合、他の通信端末装置は、移動体に搭載されていてもよいし、「固定物」に搭載されていてもよい。
また、通信端末装置10は「固定物」に搭載されていてもよいが、その場合は他の通信端末装置は、「移動体に搭載されている」。
つまり、通信端末装置10と他の通信端末装置のいずれか又は両方が移動体に搭載されていて、両者の相対距離が変化しうる。
【0021】
ここで、「移動体」とは、移動可能な物体をいい、移動速度は任意である。また、移動体が停止している場合も当然含む。例えば、自動車、自動二輪車、自転車、歩行者、列車、船舶、航空機、及びこれらに搭載される物を含み、またこれらに限らない。
「移動体に搭載されている」とは、移動体に直接固定されている場合の他、移動体に固定されていないが移動体と共に移動する場合を含む。例えば、移動体に乗った人が所持している場合、移動体に載置された積荷に搭載されている場合、が挙げられる。
「固定物」とは、移動しないものであるが、部屋内で使用するキャスター付きラック等、わずかに移動できるもので、固定物と同視できるものも含む。
【0022】
第1の通信部100は、第1の「通信方式」で、「他の通信端末装置と通信を行う」。
【0023】
ここで、「通信方式」とは、定まった通信形式や通信処理であり、単一の通信形式や通信処理だけでなく、通信経路上複数の通信形式や通信処理が連携するものでもよい。すなわち、無線方式、有線方式、又は無線と有線の混在方式を含み、途中に回線交換機、アクセスポイント、管理サーバが中継するものでもよい。
「他の通信端末装置と通信を行う」とは、他の通信端末装置と直接無線で通信を行う場合の他、基地局を介して電話回線又はネットワークを介して通信する場合、さらにネットワーク上のサーバを介して通信する場合を含む。
【0024】
第1の送受信部101は第1の通信方式での通信によりデータの送受信を行う。
【0025】
また、第1の接続情報処理部102は、第1の通信方式でのデータ通信を開始する前に、他の通信端末装置と通信を開始するために必要な接続情報を他の通信端末装置と交換するよう、第1の送受信部101に指示し、第1の送受信部101が接続情報を交換する。そして、第1の接続情報処理部102は、交換した接続情報を用いて通信を開始するための準備を行う接続情報処理を行う。具体的には、例えば第1の送受信部101が他の通信端末装置と物理層での通信を開始すると、第1の接続情報処理部102は、第1の送受信部101が認証要求と認証応答の情報を交換した後、認証処理(Authentication)を行い、第1の送受信部101が接続要求と接続許可応答の情報を交換した後、接続処理(Association)を行う。
【0026】
図2の(a)から(c)に、車両200が車両201と第1の通信方式での通信を行う場合の例を示す。図2において、通信端末装置10と同様の構成の通信端末装置が車両200と車両201にそれぞれ搭載されている。
【0027】
図2(a)の第1の通信方式での通信では、車両200と車両201が直接に無線通信を行う。LTE等のセルラー通信技術を用いて車と他のものとの接続を提供するセルラーV2Xの技術においては、V2V(車と車間)、V2I(車とインフラ間)、V2P(車と歩行者間)に相当する。
第1の通信方式での通信は、後述の第2の通信方式より通信可能距離が長い。V2Vを例にとれば、通信可能距離は、例えば数百mから数kmである。しかしながら、第2の通信方式での通信よりは狭帯域の通信となり、例えば、数Mbpsの通信速度である。
【0028】
図2(b)の第1の通信方式での通信では、車両200が車両201とモバイル事業者の基地局202、203を経由してセルラー通信網を介して通信する方式である。セルラーV2Xにおいては、V2N(車とネットワーク間)に相当する。V2Nは、例えばLTE(Long Term Evolution)等の通信規格の無線通信から基地局を介して電話回線又はネットワークにつながり、ネットワークを介して車両200と車両201が通信するため、車両200と車両201との間での距離の制約はない。また比較的広帯域の通信が可能で、例えば、数十Mbpsから数百Mbpsである。ただし、後者はモバイル事業者が介在するため、比較的高コストとなる。
【0029】
また、第1の通信方式での通信は、図2(c)に示すように通信管理サーバ40が仲介するものであってもよい。車両200と車両201の無線通信信号は(b)と同様に基地局202、203を経由し、さらにゲートウェイであるGW204、205を通ってインターネットに入り、そのインターネットに接続される通信管理サーバ40に送られる。そして、通信管理サーバ40が、車両200と車両201から送られてきた通信データを確認し、適当な配送先へ再送信する。
つまり、車両200と車両201の間で情報の授受が行われるものの、それぞれの宛先は通信管理サーバが管理するので、携帯電話の識別者番号や端末ID等、詳細の端末情報の漏洩を最小限に留めるメリットがある。一般には、車両200からはモバイル事業者の基地局及びインターネットを介して通信管理サーバと接続されるので、図2(b)と同様に、車両200と車両201との間での距離の制約がなく広帯域であり、比較的高コストである。
【0030】
以上のように、第1の通信方式での通信はさまざまな形態をとりうるが、いずれも後述の第2の通信方式での通信より通信可能距離が長い長距離通信となる。
【0031】
なお、第1の通信方式での通信は上記に限るものではなく、例えば、図2(a)においては、セルラーV2Xとして例えば5Gの規格の無線デバイスを用いてもよいし、セルラー通信技術を利用せず、DSRC(Dedicated Short Range Communication)による車車間の直接の通信でもよい。
【0032】
図1に戻り、第2の通信部110は、第1の通信方式とは「異なる」第2の「通信方式」で、「他の通信端末装置と通信を行う」。
【0033】
ここで、「異なる」とは、原理が異なるものの他、同じ原理を用いるものでパラメータや通信規格のバージョンが異なる場合も含む。例えば、無線LANのIEEE802.11nとIEEE802.11acとの関係が挙げられる。
【0034】
図3に、第2の通信方式の通信の例を示す。
第2の通信方式の通信は、第1の通信方式に比べて通信可能距離(図3の距離r)が短い近距離通信であり、車両200は車両201と限定された通信可能距離の範囲で第2の通信方式の通信を行う。
【0035】
第2の送受信部111は第2の通信方式の通信によりデータの送受信を行う。
【0036】
そして、第2の接続情報処理部112は、第2の通信方式での通信を開始する前に、他の通信端末装置と通信を開始するために必要な接続情報を用いて、通信を開始するための準備を行う接続情報処理を行う。具体的には、例えば第2の通信方式での通信に関して、認証要求と認証応答の情報を用いて認証処理(Authentication)を行い、また接続要求と接続許可応答の情報を用いて接続処理(Association)を行い、IPアドレス取得の要求と応答の情報を用いてIPアドレス取得処理を行う。第2の通信方式での通信開始時の処理シーケンスについては後述する。
【0037】
ここで本実施形態では、他の通信端末装置との接続情報の交換は、第2の送受信部111が行うのではなく、第1の通信部100の第1の送受信部101が、第2の通信部110がデータ通信を開始する前に、第2の通信部110が他の通信端末装置と通信を開始するために必要な「接続情報」を「交換する」。具体的には、第2の送受信部111ではなく、第1の送受信部101が、第2の通信方式での通信に関しての認証要求と認証応答、接続要求と接続許可応答、そしてIPアドレス取得の要求と応答等の接続情報を交換する。接続情報の交換の方法の詳細に関しては、図6及び図7を用いて後述する。
【0038】
ここで、接続情報の例として、認証要求と認証応答、接続要求と接続許可応答、そしてIPアドレス取得の要求と応答を挙げたが、これらの全てを第1の送受信部101が交換する必要はなく、これらの一部を第1の送受信部101で行ってもよい。
【0039】
「接続情報」とは、接続のためのパラメータや文字列等のデータだけでなく、要求、応答等のコマンドを含む。
「交換する」とは、相互に提供及び取得する場合だけでなく、実質的に一方向に情報を提供又は取得するだけの場合も含む。
【0040】
第2の通信方式の通信は例えば無線LAN方式である。無線LANとは、無線リンク上で構築するLANであり、IEEE 802.11の通信規格に準拠する無線通信方式を含む。IEEE 802.11の規格においては、IEEE 802.11nやIEEE 802.11ac等のように、IEEE 802.11に属する一連の規格を含む。
【0041】
第2の通信方式の通信の通信可能距離は、無線通信規格、周波数、送信出力、建物の有無、降雨の状況等で大きく変わるため一概にはいえないが、例えば数mから数十mである。一方、第2の通信方式での通信は、第1の通信方式の通信より低遅延で広帯域の通信が可能である。例えば、数Gbpsの通信速度で通信を行うことができる。また、通信端末装置10同士が直接、無線で通信するので低コストでの通信が可能である。
【0042】
なお、第2の通信方式の通信は無線LAN方式に限るものではなく、例えば車載レーダと共用化した通信方式であるUWB(超広帯域無線システム)であってもよい。
【0043】
位置検出部120はGPS受信機を有して、WGS84等の測地系による絶対位置を検出する。絶対位置の測位には、GPS衛星の他、GLONASS、ガリレオ、みちびき等の他の測位衛星を使用してもよい。また受信時刻の位置を求めるだけでなく、通信端末装置10が移動体に搭載される場合には、GPS受信機で検出される速度で補正して、現在位置を推定してもよい。移動体が車両ならば、車速パルスやジャイロセンサの情報で現在位置の補正、補間をしてもよいし、カーナビゲーションシステムの道路データを利用して、走行道路まで検出するものであってもよい。さらに、GPS受信時刻や現在時刻での位置だけでなく、平均移動速度等の情報とカーナビゲーションシステムの地図データ、道路データ、経路誘導データを利用して、将来取りうる位置を推定するものであってもよい。
本実施形態では、位置検出部120は通信端末装置10に含まれる構成としているが、位置検出部120を通信端末装置10の外部に設け、通信端末装置10が位置検出部120から位置情報を受信して取得するようにしてもよい。
【0044】
格納部130は、取得したコンテンツを格納する。コンテンツは、地図データやカーナビゲーションシステム等のファームウェア、道路交通情報、自然災害情報、近隣の観光地や店舗情報、各種画像や動画データ、商品情報等、各種多様な情報である。
事前に自ら取得したコンテンツの他に、後述するように第2の通信部110の通信を介して、他の車両、通信端末、インターネット上のコンテンツサーバ等から取得したコンテンツが格納される。また、コンテンツを格納した際には、当該コンテンツの取得日時又は更新日時、取得場所、取得元、取得方法等を合わせて格納してもよい。
【0045】
格納部130にはさらに、例えば、無線種別、他の通信端末装置のID、IPアドレス、暗号鍵等のように第1の通信部100及び第2の通信部110の通信に必要な各種データ、他の通信端末装置のコンテンツの保有状況を示すコンテンツ情報、他の通信端末装置の位置を示す位置情報のように第1の通信部100及び第2の通信部110で取得したデータが格納される。
また、格納部130は、通信端末装置10の位置情報やコンテンツ情報を格納してもよい。
【0046】
制御部140は、第1の通信部100を制御する第1の通信制御部141と、第2の通信部110を制御する第2の通信制御部142を有する。制御部140はCPU又はDSP等のプロセッサを含み、第1の通信制御部141、第2の通信制御部142の処理の一部又は全ては、プロセッサで動作するソフトウェアで実現されてもよい。
制御部140は、第1の通信部100と第2の通信部110を制御することによって、他の通信端末装置と通信を行い、各種情報の授受を行う。各種情報としてコンテンツを取得又は提供する際には、格納部130からコンテンツデータを取り出したり、格納する制御も行う。
【0047】
次に本実施形態における接続情報の交換の詳細について説明する前に、図4を用いて、車両200と車両201が従来の方法で第2の通信方式でのデータ通信を行うまでの処理である通信シーケンスについて説明する。
【0048】
図4において、電波を実際に送受信する等の物理層での通信が開始される前に、まず初期設定401を行う。例えば、車両200と車両201のいずれがグループオーナーになるかを決めるGON(Group Owner Negotiation)を行う。図4の例では、車両200がグループオーナーであるとする。グループオーナーとは、アクセスポイントの機能の全部はもちろん、一部を実行するものであればよい。
なお、本明細書においては、グループオーナーである通信端末装置を適宜親機と称し、グループオーナー以外の通信端末装置を子機と称する。
【0049】
グループオーナーは第2の通信方式での通信では通信開始のためのビーコンを送信するが、ビーコンをユニキャスト送信する際には、相手の通信ID等、通信相手を指定するための情報も事前に取得しておく。
もっとも、グループオーナーを事前に設定せず、後述するように動的スキャン方式を行う場合は、第2の通信方式での通信確立後にグループオーナーを決めるので、この初期設定401は特になくてもよい。
【0050】
最初にグループオーナーとなった車両200がビーコン402を送信し、自らのSSID(Service Set Identifier)、ビーコン送信間隔、周波数情報、転送速度等の情報を送る。特定の単一の通信相手が決まっているのなら、単一の相手を指定しての通信であるユニキャストとし、複数の通信相手のうちいずれかと通信を行うのであれば、ブロードキャストでもよい。
なお、上記のようにグループオーナーからビーコンを送信する静的スキャン方式だけでなく、図には示していないが、グループオーナーがあらかじめ決められていないような場合は、例えば、Wi-Fi Direct(登録商標)でのアクセスポイント決定フェーズのように、車両201から車両200へグループオーナーの問い合わせを行うプローブ要求を送信し、車両200がそれに応答するプローブ応答を返すような動的スキャン方式でもよい。
いずれにしても、ビーコン又はプローブ要求及び応答より物理層での通信が開始され、以下の403から405の処理が続いて行われる。
【0051】
認証処理403は、認証処理(Authentication)を行う。例えば互いに認証要求と認証の可否を含む認証応答のやりとりを行う。MAC(Media Access Control address)アドレスによる認証でもよいし、又は互いに事前に用意しておく共有鍵又は公開鍵を用いてパスフレーズの送受信で認証を行ってもよい。又は、クライアントである車両201側から車両200のSSID等の情報を含んだ認証要求があった場合、車両200は必ず認証成功の応答を返すオープン認証でもよい。
【0052】
接続処理404は接続処理(Association)を行う。例えば、車両201が接続要求を送信して、車両200が接続許可応答を返すことで、車両200、車両201それぞれが相手を通信相手として登録する処理を行う。
【0053】
IPアドレス取得処理405は、IPアドレス取得処理を行う。例えば、IP(Internet Protocol)による通信でネットワーク接続するために必要な情報であるIPアドレスの割り当て情報をDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)上で交換する。
【0054】
DHCPとは、IPを介してネットワークに接続して通信を開始する際に必要な情報を、親機側の通信端末装置からクライアント側の通信端末装置に対して、動的に割り当てるために使用されるアプリケーション層プロトコルであり、接続情報としては上記IPアドレスの他、サブネットマスク、デフォルトゲートウェイ等のノード情報が送信される。
【0055】
IPアドレス取得処理405では、車両201のIPアドレス取得要求に対して、車両200が割り当てたIPアドレス等の情報をIPアドレス取得応答で送信する。
IPアドレス取得処理405での具体的な情報やコマンド交換は上記に限らず任意である。例えば、子機からブロードキャストによりDHCPサーバ探索コマンドを送信(Discover)、親機がDHCPによるIPアドレスの提案を行い(Offer)、子機がその提案を受け入れてアドレス提供の要求を送ると(Request)、親機がIPアドレス払い出しの承認を行う応答を返す(Acknowledgement)ような接続情報の交換を行う。
第2の通信方式での通信での互いのIPアドレスが決定すると、ネットワーク層又はインターネット層でのIPプロトコルでの通信が可能となる。すなわち、ユーザ又は上位アプリケーションによるデータ通信が可能となる。
【0056】
以上のように、第2の通信方式により実際にデータ通信を行うためには、ビーコン送信から電波信号を送受信して物理層の接続を行う等の物理的な通信が確立する以外に、GON等の当該通信確立前の処理や、認証処理403、接続処理404、IPアドレス取得処理405等の接続情報処理を行うことが必要である。そして、その前提として、これらの処理に必要な情報である接続情報を交換・取得しておく必要がある。
接続情報処理を行って初めてデータの送受信を行うことが可能となる。例えば、車両200から特定のコンテンツデータの要求を行うと、車両201から該当するコンテンツデータが送信される。
【0057】
しかし、処理シーケンスにおいて、認証要求と認証応答、接続要求と接続許可応答、IPアドレス取得要求とIPアドレス取得応答のような接続情報の交換に少なからず時間がかかる上、認証処理、接続処理、IPアドレス取得等の接続情報処理自体の時間もかかる。
【0058】
図3に示したように、第2の通信部110の通信が行えるエリアは限られており、しかも図3の車両200と車両201のように対向して走行する場合、通信可能な時間はさらに限られてしまう。所望のコンテンツ情報の交換を途中で遮断されることなく、しかもなるべく多くのデータを交換したい場合、接続情報の交換や接続情報処理のようなでデータ通信が開通するまでのオーバヘッドはなるべく小さくした方が好ましい。
【0059】
そこで、本実施形態では、第1の通信部100が、前記第2の通信部110が通信を開始する前に、前記第2の通信部110が前記他の通信端末装置と通信を開始するために必要な接続情報を交換する。
これにより、本来は、第2の通信部110の通信の冒頭で行うべき接続情報処理の一部又は全てについても事前に済ますことができるようなる。事前に行う接続情報処理としては、例えば、GON、認証処理、接続処理及びIPアドレス接続処理を行う。
もちろん、GON、認証処理、接続処理及びIPアドレス接続処理の全てを行う必要はなく、いずれか1つ又は2つ以上だけでもよい。
【0060】
図5に第1の実施の形態の通信端末装置10のデータ通信が開始されるまでの時間軸上での通信シーケンス説明図を示す。図5の上段(a)が従来の第2の通信方式での通信シーケンスであり、下段(b)が、第1の実施の形態の通信端末装置10にかかる第1の通信方式での通信と第2の通信方式での通信の両方を用いた通信シーケンスである。
【0061】
図5(a)に示す通り、従来の第2の通信方式での通信では、接続情報の交換及び接続情報処理を行うために、正味のデータ通信に割く時間が少なくなってしまう。
一方、図5(b)に示すように、事前に第1の通信方式での通信によって、第2の通信方式での通信についての接続情報の交換を行い、接続情報処理を行っておくことによって、第の通信方式での通信開始時の冒頭で行うオーバヘッドの処理が減少する。図5の例では図5(b)の場合、図5(a)に比べてt4-t3分の時間だけ、データ通信を行うことが可能な時間が長くなる。
【0062】
図6及び図7で、第2の通信部110がデータ通信を開始することになった場合にその通信前に行う、接続情報の交換の具体的な方法を説明する。接続情報の交換及び接続情報処理として図6図7で示す2つの例が挙げられる。なお、601から605は、主要な制御データや接続情報等のデータの流れを示す。
【0063】
図6の接続情報の交換方法の第1の例については、図6(a)に示すように、制御部140の第2の通信制御部142が、第2の接続情報処理部112に対し、第1の送受信部101を介して接続情報を交換するよう指示することにより、第1の送受信部101が接続情報を交換する。
具体的な指示としては、第2の通信制御部142は、第2の接続情報処理部112に対し、第2の接続情報処理部112が接続情報の送受信のために設定していたMACアドレスを、第2の送受信部111のMACアドレスから第1の送受信部101のMACアドレスに変更するように指示し、通信経路の変更制御を行う(601)。
これにより、第2の送受信部111ではなく、第1の送受信部101を用いて接続情報の交換が行われる(602)。
例えば、第2の接続情報処理部112が第2の通信方式の通信の認証を行う際、あたかも第2の送受信部111で認証情報を交換するように、第1の送受信部101で認証情報を交換する。他の通信端末装置に送信するデータパケットの送信元のMACアドレスやMAC認証のように認証情報でやり取りするMACアドレスも第1の送受信部101のMACアドレスに変更されているので、問題なく認証を進めることができる。
第2の接続情報処理部112での接続情報処理が終了後、第2の通信制御部142は、第2の接続情報処理部112に対して、MACアドレスを元の設定に戻すように指示する。
【0064】
図6(b)は第1の接続情報の交換方法における通信を階層構造で説明した図である。
本来、第2の通信方式の物理インタフェース層を介して送受信すべき接続情報を、第1の通信方式の物理インタフェース層を介して送受信する。すなわち、第2の通信方式の通信の認証を行う認証層や、IP及びTCPやUDP、そしてIPアドレス設定のためのDHCP等のプロトコルを用いて第2の通信方式の通信でのインターネット通信を行うネットワーク層は第1の通信方式の物理インタフェース層の上にあるような構造となる。
もちろん上記階層構造は一例であり、この階層構造に限定されるものではない。後述の図7(b)も同様である。
【0065】
図7の接続情報の交換方法の第2の例については、図7(a)に示すように、制御部140が、第2の接続情報処理部112に代わり、第1の送受信部101を制御することにより、第1の送受信部101が接続情報を交換する。
具体的には、第2の通信制御部142が、第2の接続情報処理部112より、第2の通信方式よる通信に必要な情報、例えばSSIDやMACアドレスの情報や認証を行うためのデータを取得することで、代替処理制御を開始する(603)。
第1の通信制御部141は第2の接続情報処理部112より取得した情報を元に、第2の接続情報処理部112に代わって第1の送受信部101を制御することにより、第2の通信方式の通信で通信を開始するために必要な接続情報を送受信する(604)。
そして、これらの接続情報を元に、制御部140は、第2の接続情報処理部112に代わって、第2の通信方式の通信における認証等の接続情報処理を行う。
これらの接続情報処理が終了後、第2の通信制御部142は、接続情報処理の結果を第2の接続情報処理部112に送り、代替処理制御を終了する(605)。
【0066】
図7(b)は第2の接続情報の交換方法における通信を階層構造で説明した図である。
本来、第2の通信方式の物理インタフェース層を介して送受信すべき接続情報を、第1の通信方式の物理インタフェース層を介して送受信する点は図6(b)の例と同様である。
図7(b)の方法では、第1の通信方式の通信のネットワーク層を利用して、その上位アプリケーションである制御部ソフトウェアで、接続情報の交換及び接続情報処理を行う。
例えば、制御部ソフトウェアの一部が、第1の通信制御部141に実装されて、第1の通信方式の通信におけるUDP/IPパケットによって第2の通信方式の通信における接続情報の交換を行い、接続情報処理を行う。
【0067】
以上、図6又は図7のような方法により、第1の通信方式での通信によって、第2の通信方式での通信に必要な接続情報の交換を実現することができる。
【0068】
なお、上記の例では、制御部140が、図6のような指示又は図7のような制御を行うことにより、第1の通信方式での通信で、第2の通信方式での通信に必要な接続情報の交換が事前に行われているが、その他の方法として第2の通信部110が自律的に行ったり、第2の通信部110が第1の通信部100と連携してもよく、その実現方法は問わない。
また、第2の接続情報処理部112の処理や、第1の通信制御部141、第2の通信制御部142の処理を含めた処理は、上記のようにソフトウェアで実現して認証や接続の変更に柔軟に対応できるようにしているが、もちろんLSI等のハードウェアで実現してもよい。
【0069】
以上の第1の実施形態の構成により、第2の通信方式での通信を行う前に、第1の通信方式での通信で事前に認証、接続、IPアドレス取得処理等の通信のオーバヘッドとなる処理を行うことが可能となる。その結果、正味のデータ通信の時間を多くとることできて、より大量のコンテンツ情報の提供や取得が可能となる。これは、通信可能時間が短い場合にさらに顕著になる。例えば、自車と対向車線を走行する他車の車車間通信を想定した場合、通信可能時間は2台の車のすれ違いのわずかな時間となるが、そのわずかな時間を有効に利用することができる。
また、大量のコンテンツ情報の取得を第1の通信方式での通信のみで行う場合に比べて、近距離かつ直接の通信で情報を取得するので通信コストも安価になる。
さらに、第2の通信方式での通信の接続前に接続情報の交換及び接続情報処理を済ませることができるので、第2の通信方式での通信を確実に行うことが可能である。
【0070】
(2)通信端末装置の動作
図8のフローチャートを用いて、通信端末装置10の動作について説明する。
なお、以下の動作は、通信端末装置10における通信方法を示すだけでなく、通信端末装置10で実行される通信プログラムの処理手順を示すものである。以下、各実施形態のフローチャートについても同様である。
【0071】
ステップ101で、通信端末装置10と他の通信端末装置との間で、第1の通信方式での通信が開始される。第1の通信方式での通信が開始されると、まず第1の通信方式での通信についての認証処理及び接続処理が行われた後、第1の通信方式での通信によりデータ通信が開始される。
【0072】
ステップ102で、第1の通信方式での通信で、第2の通信方式での通信に係る接続情報の交換及び接続情報処理が実施される。より詳細には、図5の(b)に示すように、第1の通信方式での通信を用いて、第2の通信方式での通信を開始するために必要な接続情報の交換を行い、その接続情報を元に認証処理、接続処理、及びIPアドレス取得処理等の接続情報処理を行う。なお、図5には記載がないが、GONについての情報の交換も行い、その情報を元にいずれの通信端末装置がグループオーナーである親機になるかのネゴシエーション及び決定もなされる。
【0073】
なお、接続情報処理後に、第2の通信方式での通信で送受するデータ、例えば、接続情報以外の機器制御データやコンテンツデータの加工等を行ってもよい。
【0074】
ステップ103で、第2の通信方式での通信で周期的にグループオーナーである親機がビーコンの送信を開始する。
【0075】
ステップ104で、親機のビーコン又は送信信号を子機が受信したならば、すでに第2の通信方式での通信に係る認証及び接続処理は済んでいるので、ステップ105により、第2の通信方式によるデータ通信が行われる。
【0076】
第2の通信方式による通信は、ステップ106で、通信端末装置間の距離が一定距離以上離れるまで、かつステップ104で親機の送信信号が受信できている間、継続される。
【0077】
ステップ106での距離の判定は、例えば第2の通信方式による通信により、定期的に通信先である他の通信端末装置の位置を取得するようにし、位置検出部120から取得した通信端末装置10の位置との差分により、通信端末装置間の距離を求めることによって実現できる。なお、他の通信端末装置のビーコンやパケットの受信強度を用いて、通信端末装置の距離を推定してもよい。
【0078】
ステップ107において、ステップ104で親機の送信信号が受信できなくなり、かつ/又はステップ106で通信端末装置間の距離が一定距離以上離れたと判断されたならば、第2の通信方式での通信を切断して、通信端末装置10の制御部140及び第2の通信部110に設定されていた第2の通信方式の接続情報を消去する。
【0079】
以上の動作により、第1の通信方式での通信を利用することで、第2の通信方式での通信をすみやかに開始し、円滑かつ効率的な通信を行うことができる。
【0080】
2.第2の実施形態
第1の実施形態では、第2の通信部110が他の通信端末装置と通信を開始するために必要な接続情報を事前に交換する点について着目した。もっとも、第1の実施形態では、第2の通信部110での通信先となる他の通信端末装置をどのように特定するかは言及していない。
そこで、本実施形態では、上記通信先をいかに特定するかに着目する。
【0081】
第2の実施形態は、第1の通信方式での通信に関係して、大きく3つのバリエーションが考えられるので、その3つのバリエーションを図9で説明する。
図9において、太線で囲った構成要素が通信先を特定する主体となる要素である。
また、他の通信端末装置は1個の長方形の要素で表しているが、後述するように1個の場合だけでなく2個以上の場合もある。
【0082】
図9(A)は、通信端末装置30が第1の通信方式で他の通信端末装置と直接通信を行うことにより、他の通信端末装置の位置情報及びコンテンツ情報を取得し、通信端末装置30がこれらの情報を用いて、通信先となる他の通信端末装置を特定する。
【0083】
図9(B)は、通信端末装置30が第1の通信方式で通信管理サーバ40と通信を行い、通信管理サーバ40を仲介して他の通信端末装置の位置情報及びコンテンツ情報を取得し、通信端末装置30がこれらの情報を用いて、通信先となる他の通信端末装置を特定する。
【0084】
図9(C)は、図9(B)と同様に通信管理サーバ50が通信を仲介するが、当該通信管理サーバ50が、通信端末装置10の位置情報及びコンテンツ情報、並びに他の通信端末装置の位置情報及びコンテンツ情報を取得し、これらの情報を用いて、通信端末装置10の通信先となる他の通信端末装置を特定する。
【0085】
以下、第2の実施形態のバリエーションを上記図9(A)から(C)に対応させて、枝番として(第2Aの実施形態)から(第2Cの実施形態)で表記して、順に説明を行う。
【0086】
(1)第2Aの実施形態
第2Aの実施形態について、車両間の通信を実施例として説明する。
図10に示すように、車両200に通信端末装置30が搭載され、車両201、車両207、及び車両208に他の通信端末装置が搭載されて、車両200と車両201、車両207、及び車両208とがそれぞれ第1の通信方式での通信を行う。
上記図9(A)で説明したように、第1の通信方式での通信により車両200が、車両201、車両207、及び車両208の位置情報及びコンテンツ情報を取得し、これらの情報を用いて通信先となる他の通信端末装置を特定する。
そのため、車両200に搭載される通信端末装置30は以下に説明する構成をとる。
【0087】
(a)第2Aの実施形態の通信端末装置30の構成
図11に、第2Aの実施形態の通信端末装置30の構成を示す。
なお、第1の実施形態で説明した部分と同一の部分については、同一の符号を付して第1の実施形態の説明を引用し、以下の説明を省略する。以下、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0088】
第1の通信部100は、他の通信端末装置の位置を示す「位置情報」及び他の通信端末装置のコンテンツの保有状況を示す「コンテンツ情報」を受信する。
図10の例で説明すれば、車両200は、車両201、車両207、車両208と順次、第1の通信方式での通信を試みて、各車両とデータ通信が可能になると、各車両の位置情報及び各車両が保有するコンテンツ情報を取得する。
【0089】
ここで、「位置情報」とは、位置に関する情報であればよく、位置としては世界座標を基準とした絶対位置でも、所定の位置を基準にした相対位置でもよい。また、位置情報には、現在位置の情報だけでなく、将来の位置を推定するための情報も含まれてもよく、例えば、位置取得時間、速度、加速度、方位、傾斜角、道路情報を含んでもよい。さらに、位置情報は、間接的に位置を推定できる情報でもよく、例えばビーコンやパケットの受信強度も含まれる。
「コンテンツ情報」とは、保有するコンテンツを示す場合の他、保有しないコンテンツを示す情報、さらに保有しないコンテンツを前提として必要なコンテンツを要求する情報も含まれる。
【0090】
取得した上記位置情報及びコンテンツ情報は格納部130に格納される。格納部130に格納された情報の例を図12に示す。
位置情報としては、絶対位置、速度ベクトル値、走行している道路情報、及びそれらを計測した時間の情報が格納されている。このほか、走行計画や目的地の情報を取得してもよい。
コンテンツ情報としては、各車両が取得しているコンテンツの内容、コンテンツのデータサイズ、予備更新日時の情報が格納されている。
この他、格納部130は、自車両である車両200の位置情報及びコンテンツ情報を格納してもよい。格納される情報の種類は、車両200と他の車両とで異なってもよい。
【0091】
制御部340は、第2の通信方式で通信を行う他の通信端末装置を特定する通信先特定部343を有する。
【0092】
通信先特定部343は、位置情報に基づいて、他の通信端末装置と第2の通信方式で接続可能か否かを検証する接続可能性検証部344と、コンテンツ情報に基づいて、他の通信端末装置との接続が必要か否かを検証する接続必要性検証部345と、を有する。
接続可能性検証部344と接続必要性検証部345の検証結果から、通信先特定部343は、以下のように通信先である他の通信端末装置を特定することとなる。以下の説明では、通信先である他の通信端末装置を特定することを簡略化して、通信先を特定すると表現する。
【0093】
図10の例の場合、接続可能性検証部344は、位置検出部120又は格納部130から、車両200の現在位置、速度、計測時刻、さらに走行している道路の情報を取得し、所定時間経過後の車両200の到達位置や走行道路を推定する。例えば、現在位置、速度、及び計測時刻がわかっているので、一定速度で今後も走行すると仮定すれば、所定時間経過後の位置や速度を推定できる。この他、走行計画や目的地の情報を用いて推定してもよい。
一方、他の車両201、車両207、及び車両208の所定時間経過後の位置や速度も同様に計算することにより、車両200と各車両との相対距離や相対速度を計算する。これにより、接続可能性検証部344は、車両200と各車両との間で第2の通信部110を用いた通信が可能となるか否かを検証する。さらに、第2の通信部110を用いた通信が可能となる場合、通信可能となる時刻及び通信可能な時間を求める。
【0094】
なお、接続可能性検証部344は、通信端末装置30や通信端末装置の位置を推定することに代えて、例えば、通信端末装置30で受信する第1の通信方式での信号レベルを接続可能性の検証に用いることができる。例えば、信号レベルが時間経過とともに大きくなっている場合は、通信端末装置30と他の通信端末装置とが接近してすれ違うとして、接続可能性があると判断してもよい。又は、単純に通信端末装置30が第1の通信方式で他の通信端末装置と通信が可能であるならば、他の通信端末装置は通信端末装置30の近くにいると推測して、接続可能性があると判断してもよい。
【0095】
接続必要性検証部345は、まず格納部130から車両200のコンテンツ情報を取り出す。コンテンツ情報は、車両200が保有するコンテンツを示す場合のほか、車両200が保有するコンテンツを基に、車両200が保有しないコンテンツを予め特定し、これを要求する情報として記述されてもよい。あるいは、車両200が保有しないコンテンツであることを暗黙の前提として、これを要求する情報として記述されていてもよい。例えば、カーナビゲーションシステム等の車内の他システムからの要求、例として渋滞情報、進行先の道路情報、又は更新地図情報を取得してほしいという要求や、ドライバからマンマシンインタフェースを通じて入力されるレストランやショップのコンテンツが欲しいという要求、等が挙げられる。
接続必要性検証部345は、車両200のコンテンツ情報と図12に示す他の車両201、車両207、及び車両208が取得しているコンテンツ情報を比較することによって、車両200が必要とするコンテンツを保有する車両を特定する。すなわち、各車両について第2の通信方式での通信で接続する必要があるか、すなわち接続必要性を検証する。
なお、コンテンツ情報にはコンテンツデータの収録内容だけでなく、データサイズ、更新日時等が含まれていてもよい。そして、接続必要性の検証にはそれらの情報を加味してもよいのは言うまでもない。例えば、ダウンロードに必要な時間が通信可能な時間を超える場合や、所定の日時以前に取得された情報を除くようにしてもよい。
【0096】
図10及び図12の例における通信先特定部343の判断例を説明する。
図10及び図12の場合、接続可能性検証部344は、車両200の位置情報と各車両の位置情報から所定時間経過後の位置を推定すると、車両201、車両208が通信可能距離内に入るのに対し、車両207は車両200から遠ざかり通信可能距離内に入らないことがわかる。したがって、接続可能性検証部344は、車両201、車両208の2台が接続可能性を有すると判断する。
【0097】
図12の例の場合、接続必要性検証部345は、車両200の要求するコンテンツがローカル地図情報である場合、その情報を取得している車両は車両201と車両207であることがわかるので、車両201と車両207のいずれかが接続必要性を有すると判断する。
【0098】
通信先特定部343は、接続可能性検証部344と接続必要性検証部345の検証結果から、第2の通信方式で通信を行うべき通信先として、車両201を選択することになる。
【0099】
なお、位置情報やコンテンツ情報は、図12に示す形式や内容に限らない。
位置情報としては、加速度や車速パルス等の相対速度情報、カーナビゲーションの案内情報等も使用することができる。
コンテンツ情報は図12では便宜上、各車両に1つしか表示していないが、1つに限らず複数のコンテンツ情報を有してよい。また更新日時に代えて更新からの経過時間でもよい。
【0100】
以上のように、通信端末装置30は、通信先特定部343で各車両との第2の通信方式での通信の接続可能性及び接続必要性を検証することにより、他の通信端末装置の中から第2の通信方式での通信を行うべき最適の通信先を特定することができる。
また、接続可能性及び接続必要性を検証して通信先装置を選択するので、第2の通信方式での通信を試みた後での通信の失敗や通信の中止が生じる事象が減少し、通信のリトライも減少するので、実質的に、第2の通信方式での通信が効率的に行われる。
【0101】
(b)第2Aの実施形態に係る通信端末装置の動作
図13のフローチャートを用いて、通信端末装置30の動作について説明する。
なお、第1の実施形態で説明したステップと同一のステップについては、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0102】
ステップ201で、第1の通信方式での通信で周期的に、ビーコン信号を送信する。図10に示すように、ビーコンの送り先は不特定の数の他の通信端末装置なので、ブロードキャスト(放送)方式で、ビーコンを送信する。ビーコンには通信端末装置30自らのSSID等のID情報を含み、また他の通信端末装置側での通信可能性の判断の便宜を図るため、通信端末装置30の位置情報を含めてもよい。
【0103】
ステップ202で、他の通信端末装置の応答信号を受信したかを判断する。受信した他の通信端末装置は1台とは限らず、例えば図10の例では3台である。所定時間内に受信した他の通信端末装置が1台以上存在したときは、ビーコン送信を停止して、ステップ203へ進み、受信できなかったときはビーコン送信を継続する。
【0104】
ステップ203で、他の通信端末装置から位置情報及びコンテンツ情報を取得する。他の通信端末装置が複数存在する際には、他の通信端末装置を順次切り替えて第1の通信方式での通信を行うことにより取得する。取得した情報は、格納部130に格納する。
【0105】
ステップ204で、格納部130に格納された情報を元に通信先の通信端末装置を選択する通信先特定処理を行う。通信先特定処理については後述する。
【0106】
ステップ205で、選択すべき通信先の通信端末装置がなかった場合は、ビーコン送信に戻る。選択すべき通信先の通信端末装置があった場合は、図8で示される第1の実施形態の接続情報の交換・接続情報処理のルーチンに進む。
【0107】
図14のフローチャートを用いて、ステップ204の通信先特定処理をさらに詳しく説明する。
ステップ301で、位置情報から推定した所定時間経過後の他の通信端末装置の推定位置と通信端末装置30の推定位置とから、両者の相対距離を求め、当該距離が所定の閾値以下であるかどうかを検証する。すなわち、第2の通信方式の通信の接続可能性を判断する。所定の閾値としては、例えば第2の通信方式での通信が可能な最大値である最大通信可能距離等が用いられる。
通信端末装置30との相対距離が所定の閾値以下の他の通信端末装置が存在する場合はステップ302に進む。
【0108】
ステップ302で、コンテンツ情報から、通信端末装置30が必要とするコンテンツを他の通信端末装置が取得しているかを判断する。すなわち、第2の通信方式の通信の接続必要性を判断する。検証の結果、他の通信端末装置が、通信端末装置30が必要とするコンテンツを有する場合は、接続必要性有と判断する。
【0109】
ステップ303で、接続可能性及び接続必要性共に有とされた他の通信端末装置を、通信先の通信端末装置として特定する。
該当する他の通信端末装置が複数存在するときには、両者の相対距離やコンテンツの更新日時を用いて優先度を付けて、もっとも優先度が高いものを通信先の通信端末装置として選択してもよい。
優先度をつけた他の通信端末装置の情報は選択候補として格納部130に格納し、先に選択した通信先の通信端末装置との通信が不十分又は失敗した場合には、次順の選択候補を通信先の通信端末装置として選択してもよい。
【0110】
ステップ304で、接続可能性及び接続必要性共に有とされる他の通信端末装置が存在しない場合、選択すべき通信先の通信端末装置は無とする。
【0111】
以上の動作により、通信端末装置30は、他の通信端末装置の中から、第2の通信方式で通信を行うべき通信先を特定する通信先特定処理を行うことで、第2の通信方式での通信先として最適な通信端末装置を選択することができる。
【0112】
(2)第2Bの実施形態
第2Bの実施形態では、図15に示すように、車両200が基地局202、GW204を経由して、また車両201、車両207、車両208が基地局203、GW205を経由してインターネットに入り、インターネットを介して通信管理サーバ40に接続される。
図9(B)で説明したように、車両200が第1の通信方式で通信管理サーバ40と通信を行い、通信管理サーバ40が仲介して、車両201、車両207、車両208の位置情報及びコンテンツ情報を取得し、車両200がこれらの情報を用いて、通信先を特定する。
【0113】
第2Aの実施形態は、車両200が車両201、車両207、及び車両208と直接に通信を行うのに対し、第2Bの実施形態は、通信管理サーバ40を介して車両201、車両207、及び車両208と間接的に通信を行う点で異なる。
したがって、本実施形態の通信端末装置の構成は、第2Aの実施形態の通信端末装置30と同様である、また、第1の通信方式の通信で各車両の位置情報及びコンテンツ情報を取得した後の動作は、第2Aの実施形態にかかる通信端末装置30と同じである。さらに、通信管理サーバ40の通信の仲介についてはすでに図2(c)で説明した通りである。
したがって、以下、第2Bの実施形態にかかる通信端末装置30については、各車両の位置情報及びコンテンツ情報を取得するまでの動作について説明する。
【0114】
(a)第2Bの実施形態に係る通信端末装置の動作
図16のフローチャートを用いて、第2Bの実施形態の通信端末装置30の動作について説明する。なお、第1の実施形態及び第2Aの実施形態で説明したステップと同一のステップについては、同一の符号を付して以下の説明を省略する。
【0115】
ステップ401で、通信端末装置30は定期的に通信管理サーバ40と第1の通信方式で接続する。
【0116】
ステップ402で、通信端末装置30は通信管理サーバ40に他の通信端末装置に関する情報を要求し、通信管理サーバ40から他の通信端末装置の位置情報とコンテンツ情報を取得する。取得した情報は格納部130に格納する。通信管理サーバ40は他の通信端末装置と定期的に通信を行い、他の通信端末装置の位置情報とコンテンツ情報を取得、保持している。
【0117】
ステップ204以降の動作は、第2Aの実施形態に係る通信端末装置30の動作と同様である。
【0118】
なお、通信端末装置30からの要求によらず、通信管理サーバ40の側から定期的に他の通信端末装置の位置情報とコンテンツ情報を送信するようにしてもよい。
また、通信管理サーバ40から送信する位置情報及びコンテンツ情報は、通信端末装置30からの要求の有無とは関係なく、通信端末装置30から送信される通信端末装置30の位置情報に基づき、通信端末装置30の近傍に存在する他の通信端末装置の位置情報及びコンテンツ情報に絞るようにしてもよい。
【0119】
以上の動作により、第1の通信方式での通信で通信管理サーバが仲介する場合であっても、通信端末装置30は、通信の接続可能性や接続必要性を検証して通信先装置を特定することができる。
【0120】
(3)第2Cの実施形態
第2Cの実施形態についても、第2Bの実施形態と同様、図15に示すように、通信管理サーバ50が通信の仲介を行う。ただし、本実施形態では、図9(C)で説明したように、通信管理サーバ50が、車両200の位置情報及びコンテンツ情報、並びに車両201、車両207、及び車両208の位置情報及びコンテンツ情報を取得し、これらの情報を用いて、通信端末装置10が第2の通信方式で通信を行うべき通信先となる車両を特定する。
【0121】
なお、第2Cの実施形態においては、通信管理サーバ50が通信先を特定するので、通信端末装置側では通信端末装置30のように通信先特定部343を有する必要はない。したがって、本実施形態では、第1の実施形態で説明した通信端末装置10を用いることとし、通信端末装置10の構成、動作の説明は省略する。
【0122】
(a)第2Cの実施形態にかかる通信管理サーバ50の構成
図17に、第2Cの実施形態の通信管理サーバ50の構成を示す。
通信管理サーバ50は、受信部510、格納部520、制御部530、及び送信部540を有する。制御部530は、通信先特定部531を有する。
【0123】
受信部510は、通信端末装置10及び他の通信端末装置から、それぞれの装置の位置を示す位置情報、及びそれぞれの装置のコンテンツの保有状況を示すコンテンツ情報を受信する。例えば、位置情報、コンテンツ情報は図12で説明したものと同様である。
【0124】
格納部520は、受信した位置情報、及びコンテンツ情報を格納する。
【0125】
制御部530は、受信部510、格納部520、及び後述する送信部540を制御する。
【0126】
通信先特定部531は、通信端末装置10が第2の通信方式で通信を行う他の通信端末装置を特定する。
【0127】
ここで、通信先特定部531は、通信端末装置10及び他の通信端末装置の位置情報に基づいて、通信端末装置10が他の通信端末装置と第2の通信方式で接続可能か否かを検証する接続可能性検証部532と、通信端末装置10及び他の通信端末装置のコンテンツ情報に基づいて、通信端末装置10が他の通信端末装置と接続が必要か否かを検証する接続必要性検証部533と、を有する。
通信先特定部531は、接続可能性検証部532と接続必要性検証部533の検証結果から、通信先を特定する。
【0128】
接続可能性検証部532及び接続必要性検証部533の具体的な検証の内容は、第2Aの実施形態の通信端末装置30にかかる接続可能性検証部344及び接続必要性検証部345と同様である。
【0129】
ここで、通信先特定部531は、通信端末装置10からの要求を受信したタイミングで、通信端末装置10が第2の通信方式で通信を行う他の通信端末装置を特定してもよい。あるいは、通信端末装置10からの要求とは無関係に定期的に通信先である他の通信端末装置を特定してもよい。
【0130】
送信部540は、通信先特定部531で特定した他の通信端末装置の通信先情報を、通信端末装置10に送信する。
【0131】
通信端末装置10は通信先情報を元に、第1の通信方式で、他の通信端末装置と通信を開始する。本実施形態では、図9(C)のように通信管理サーバ50が通信を仲介しているので、制御部530が、受信部510と送信部540を制御して、通信端末装置10と通信先の他の通信端末装置との送受信の仲介を行うこととなる。
【0132】
なお、通信管理サーバ50が仲介しているため、第1の実施形態における通信管理サーバ40と同様に、通信相手側の詳細なアドレスやIDは必ずしも必要ではなく、サーバの提示するローカルのIDで紐づけされた情報でもよい。
【0133】
以上の構成により、通信管理サーバ50が通信の接続可能性や接続必要性を検証して通信先を特定するので、通信端末装置10が通信先を特定する必要はなく、処理の負荷を減らすことができる。
また、プライベートのアドレスやID情報を極力公開せずまた取得することなく、通信先の通信端末装置を特定して通信することができる。
【0134】
(b)第2Cの実施形態にかかる通信管理サーバ50の動作
図18のフローチャートを用いて、第2Cの実施形態の通信管理サーバ50の動作について説明する。
【0135】
ステップ501で、通信管理サーバ50は、定期的に通信端末装置10及び他の通信端末装置から、位置情報及びコンテンツ情報を取得する。
【0136】
ステップ502で、通信端末装置10からコンテンツの要求があるかを判断する。通信端末装置10からコンテンツ情報が送られてきた場合、ステップ503に進む。
【0137】
ステップ503で、位置情報から通信端末装置10と他の通信端末装置の接続可能性の検証を行い、接続可能性を有する他の通信端末装置が存在するかを検証する。具体的な方法は、第2Aの実施形態の通信先特定処理と同様である。
【0138】
ステップ504で、通信端末装置10が接続必要性を有する他の通信端末装置が存在するかを検証する。具体的な方法は、第2Aの実施形態の通信先特定処理と同様である。
【0139】
ステップ505で、接続可能性と接続必要性を有する他の通信端末装置が存在したならば、当該他の通信端末装置を通信先と特定する。
【0140】
ステップ506で、通信端末装置10に通信先の通信端末装置を識別する情報である通信先情報を送信する。
【0141】
ステップ507で、通信管理サーバ50は、通信端末装置10と通信先の通信端末装置との間における第1の通信方式による通信を仲介する。
通信端末装置10は通信先の通信端末装置と第1の通信方式による通信を行うことで、第2の通信方式で通信先の通信端末装置と通信を開始するために必要な接続情報を交換する。
【0142】
ステップ508で、通信端末装置10と通信先の通信端末装置との接続情報の交換が終了したならば、第1の通信方式による通信を終了する。
【0143】
なお、ステップ507、ステップ508は、本実施形態では任意のステップである。すなわち、通信管理サーバ50は、通信相手の特定のみに特化した装置としてもよい。
【0144】
以上の動作により、通信管理サーバ50は、通信端末装置10が第2の通信方式で通信を行うべき他の通信端末装置を特定することにより、通信端末装置10が通信先を特定する必要はなく、処理の負荷を減らすことができる。
【0145】
3.その他、各実施形態の変形及び応用について
(1)他の通信端末装置が固定物に搭載されている場合
第1の実施形態で、通信端末装置10又は他の通信端末装置のいずれか一方が固定物に搭載されてよいとしたが、第2の実施形態においても、通信端末装置30又は他の通信端末装置のいずれか一方が固定物に搭載されてもよい。
【0146】
図19では、他の通信端末装置の1つがアクセスポイント60となる例を示す。
アクセスポイント60は、インターネットを介して通信管理サーバ50と接続している。例えば、ショップ、レストラン又は公共施設等に備え付けられたWi-Fi(登録商標)やホットスポット(登録商標)サービスのステーションもこれに含まれる。
【0147】
他の通信端末装置がアクセスポイント60であっても、第2の通信方式の通信を行うべき通信先特定の技術は適用可能であり、特に第2Bの実施形態、及び第2Cの実施形態を用いることができる。
【0148】
第2Cの実施形態を例にとれば、通信管理サーバ50はあらかじめ複数のアクセスポイントを管理し、そのアクセスポイントごとに位置とコンテンツ情報を把握している。
通信端末装置10が自身の位置情報と要求するコンテンツ情報を通信管理サーバ50に送信すると、通信管理サーバ50は通信端末装置10の位置情報と要求するコンテンツに基づき、複数のアクセスポイントの中からアクセスポイント60を特定する。
アクセスポイント60が特定された後、通信端末装置10とアクセスポイント60が第1の通信方式での通信を開始するが、通信管理サーバ50がその通信の仲介をしてもよいし、通信管理サーバ50が仲介をせず、通信端末装置30とアクセスポイント60とが直接インターネットを介して通信してもよい。
【0149】
なお、上記通信先特定は通信管理サーバ50ではなく、アクセスポイント60の管理業者側のサーバが行ってもよく、また両サーバが連携してもよく、その構成は問わない。
例えば、通信管理サーバ50は移動している通信端末装置10から定期的に位置情報を取得する必要があるが、アクセスポイント60は移動しないので、管理業者側のサーバ側から位置情報とコンテンツ情報を一度だけ、又は不定期に取得するようにしてもよい。
【0150】
また、アクセスポイント60が一般的にはグループオーナーとなるので、通信端末装置30の第2の通信部110が他の通信端末装置と通信を開始するために必要な接続情報のうち、GONの情報の交換はしなくてもよい。
【0151】
(2)通信端末装置が固定物に搭載されている場合
図20のように、自装置である通信端末装置70が、固定物に搭載されていてもよい。
図20で、通信端末装置70は無線LANのアクセスポイントである。通信端末装置70は、インターネットを介して通信管理サーバ50と接続している。
【0152】
通信端末装置70がアクセスポイントであっても、第2の実施形態のように、第2の通信方式の通信を行うべき通信先特定の技術は適用可能である。
【0153】
なお、通信端末装置70が一般的にはグループオーナーとなるので、通信端末装置70の第2の通信部110が他の通信端末装置と通信を開始するために必要な接続情報のうち、GONの情報の交換はしなくてもよい。
【0154】
(3)GONについて
第1の実施形態で説明したGONの処理は、第2の通信方式による通信において、通信端末装置30と他の通信端末装置のいずれがグループオーナーになるかを決めるものであるが、その方法は任意である。
例えば、第1の通信方式による通信で、ある所定時間の間に通信端末装置30と他の通信端末装置がそれぞれ不特定多数の通信端末装置と通信を行っている場合、その所定時間内に通信を行っていた通信端末装置の数が多い方をグループオーナーとしてもよい。
又は、より多くのコンテンツを有している方をグループオーナーとしてもよい。
又は、通信管理サーバ50が、通信端末装置30と他の通信端末装置以外の通信端末装置の位置を把握して、周辺に存在する通信端末装置が多い方をグループオーナーとしてもよい。
【0155】
(4)通信先特定部について
図11で、通信先特定部343は、接続可能性検証部344及び接続必要性検証部345の検証結果から、第2の通信方式で通信を行う通信先を特定しているが、接続可能性検証部344による検証結果のみから判断して、通信先を特定してもよい。この場合は、例えば、第2の通信方式での通信の冒頭で、コンテンツ情報から接続必要性を判断し、第2の通信方式での通信を継続するか否かを決めることになる。
特に第1の通信方式の通信で、不特定多数の他の通信端末装置と無線通信を行う場合に、プライベート情報の授受を最小限に抑えたい場合等に有効である。
あるいは、接続必要性検証部345による検証結果のみから判断して、通信先を特定してもよい。この場合は、例えば、第1の通信方式で直接接続された通信先に対し、接続必要性を判断し、第2の通信方式での通信を開始するか否かを決めることになる。
【0156】
(5)第2の通信方式の通信について
第2の通信方式の通信が例えば無線LANである場合、複数の通信端末装置で構成されるグループ内での通信が可能である。例えば、渋滞中の車両群でグループを構成すれば、道路渋滞情報等のコンテンツの共有が可能である。
新たな車両がこのグループに参加する場合には、現在のグループオーナーである親機の情報を第1の通信方式の通信で取得するようにしてもよい。このような構成により、GONのための接続情報交換を簡略化するか、又は失くすことができる。
【0157】
(6)接続情報の交換及び接続処理について
例えば図8のステップ102に示すように、通信端末装置30は、第1の通信方式での通信の間に、第2の通信方式で通信を行うために必要な接続情報の交換を行い、その接続情報を元に認証処理、接続処理、及びIPアドレス取得処理等の接続情報処理を行う。この場合において、通信端末装置30と他の通信端末装置の位置情報から、第2の通信方式での通信が可能となるまでの時間を推定し、その時間内に処理が終了するように接続情報の交換や接続情報処理の内容を調整してもよい。例えば、第2の通信方式での通信が可能となるまでの時間が非常に短い場合に、認証処理及び接続処理だけを第1の通信方式での通信が継続している間に行い、IPアドレス取得処理は第2の通信方式での通信が可能となってから行うようにしてもよい。
【0158】
4.総括
以上、本発明の各実施形態における通信端末装置等の特徴について説明した。
【0159】
各実施形態で使用した用語は例示であるので、同義の用語、あるいは同義の機能を含む用語に置き換えてもよい。
【0160】
実施形態の説明に用いたブロック図は、装置の構成を機能毎に分類及び整理したものである。それぞれの機能を示すブロックは、ハードウェア又はソフトウェアの任意の組み合わせで実現される。また、機能を示したものであることから、かかるブロック図は方法の発明、及び当該方法を実現するプログラムの発明の開示としても把握できるものである。
【0161】
各実施形態に記載した処理、フロー、及び方法として把握できるブロック、については、一のステップでその前段の他のステップの結果を利用する関係にある等の制約がない限り、順序を入れ替えてもよい。
【0162】
各実施形態、及び特許請求の範囲で使用する、第1、第2、乃至、第N(Nは整数)、の用語は、同種の2以上の構成や方法を区別するために使用しており、順序や優劣を限定するものではない。
【0163】
各実施形態は、車両に搭載される通信端末装置を前提としているが、本発明は、特許請求の範囲で特に限定する場合を除き、車両用以外の専用又は汎用の通信端末装置も含むものである。
【0164】
各実施形態は、車両に搭載される通信端末装置を前提としているが、歩行者が所持する通信端末装置としてもよい。
【0165】
また、本発明の通信端末装置の形態の例として、以下のものが挙げられる。
部品の形態として、半導体素子、電子回路、モジュール、マイクロコンピュータが挙げられる。
半完成品の形態として、電子制御装置(ECU(Electric Control Unit))、システムボードが挙げられる。
完成品の形態として、携帯電話、スマートフォン、タブレット、パーソナルコンピュータ(PC)、ワークステーション、サーバが挙げられる。
その他、通信機能を有するデバイス等を含み、例えばビデオカメラ、スチルカメラ、カーナビゲーションシステムが挙げられる。
【0166】
本発明の通信管理サーバ装置は、各種サービスの提供を目的とするために用いられることが想定される。かかるサービスの提供に伴い、本発明の通信管理サーバ装置が使用され、本発明の方法が使用され、又は/及び本発明のプログラムが実行されることになる。
【0167】
加えて、本発明は、各実施形態で説明した構成及び機能を有する専用のハードウェアで実現できるだけでなく、メモリやハードディスク等の記録媒体に記録した本発明を実現するためのプログラム、及びこれを実行可能な専用又は汎用CPU及びメモリ等を有する汎用のハードウェアとの組み合わせとしても実現できる。
【0168】
専用や汎用のハードウェアの非遷移的実体的記録媒体(例えば、外部記憶装置(ハードディスク、USBメモリ、CD/BD等)、又は内部記憶装置(RAM、ROM等))に格納されるプログラムは、記録媒体を介して、あるいは記録媒体を介さずにサーバから通信回線を経由して、専用又は汎用のハードウェアに提供することもできる。これにより、プログラムのアップグレードを通じて常に最新の機能を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明の通信端末装置は、主として車両用の通信システムで用いる通信端末装置として説明したが、車両用に限らず、携帯電話やタブレット、ゲーム機等、様々な用途に用いられる通信端末装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0170】
10 通信端末装置、100 第1の通信部、110 第2の通信部、120 位置検出部、140 制御部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20