(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】携帯型心電装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/332 20210101AFI20240123BHJP
A61B 5/1172 20160101ALI20240123BHJP
A61B 5/26 20210101ALI20240123BHJP
【FI】
A61B5/332
A61B5/1172
A61B5/26
(21)【出願番号】P 2019209992
(22)【出願日】2019-11-20
【審査請求日】2022-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江副 美佳
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 充
(72)【発明者】
【氏名】小高 心哉
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-180818(JP,A)
【文献】国際公開第2007/091379(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0071478(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第105708429(CN,A)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0131043(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05-5/0538
A61B 5/24-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心電波形を検出する電極部と、前記電極部で検出された前記心電波形を記憶部に記録する制御部とを有する携帯型心電装置であって、
前記電極部は、心電波形を計測するための一対の測定電極と、身体の電位変化の基準電位を導出するためのアース電極とを含み、
前記アース電極は、前記心電波形を計測する
際に接触する被験者の指
の先端側に配置され、前記測定電極の一方の電極は、前記被験者の、前記アース電極に対して前記先端側が接触された指の基端側に配置され、
前記先端側に配置された前記アース電極には、接触された指の指紋を検出する指紋検出部が設けられる、
ことを特徴とする携帯型心電装置。
【請求項2】
前記先端側には、前記心電波形を計測する前記被験者の指の末節が含まれるとともに、前記基端側には、前記アース電極に対して前記先端側が接触された指の中節部位が含まれる、ことを特徴とする請求項1に記載の携帯型心電装置。
【請求項3】
前記指紋検出部が設けられる前記アース電極の領域は透明電極で構成される、ことを特徴とする請求項1または2に記載の携帯型心電装置。
【請求項4】
前記アース電極には、接触された指の指紋を検出するための指紋検出窓が設けられる、ことを特徴とする請求項1または2に記載の携帯型心電装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記アース電極に設けられた前記指紋検出部を通じて検出された前記被験者の指紋情報を前記記憶部に記録するとともに、前記記憶部に登録された登録指紋情報と前記被験者の指紋情報との照合の結果が所定の基準を満たしているか否かを判定する、ことを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の携帯型心電装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記記憶部に登録された登録指紋情報と前記被験者の指紋情報との照合の結果が所定の基準を満たしているときには、前記被験者の前記心電波形の測定を開始す
る、ことを特徴とする請求項5に記載の携帯型心電装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記記憶部に登録された登録指紋情報と前記被験者の指紋情報との照合の結果が所定の基準を満たしていないと判定するときには、前記被験者の指紋情報を用いた指紋認証が不合格であること、あるいは、前記アース電極に接触させている指の接触状態が非正規であることを前記被験者に通知する、ことを特徴とする請求項5または6に記載の携帯型心電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日常生活等における心電波形測定が可能な携帯型の心電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、日常生活における胸部の痛みや動悸などの異常発生時に、すぐに心電波形を測定可能な携帯型の心電測定装置(以下、「携帯型心電装置」ともいう)が提案されている。医師等においては、家庭や外出先等で動悸等の症状が起きた際に当該心電装置によって測定された心電波形のデータ等に基づいて、心疾患の早期発見や適切な治療行為を施すことが可能になる。
【0003】
なお、本明細書で説明する技術に関連する技術が記載されている先行技術文献としては、以下の特許文献が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-420号公報
【文献】特開2005-211388号公報
【文献】特許第4443335号公報
【文献】米国特許第9089270号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、
図9(a
)、9
(b
)の従来例の携帯型心電測定装置の心電測定事例に示すように、特許文献2では、右手人差し指を指先側電極に当て中節を中節側電極に当てることが開示されている。
図9(b
)に示すように、特許文献2の従来例においては、指先側電極は負電極121つまり測定電極、中節側電極は不関電極123つまりアース電極となり、反対面には正電極122が設けられる構造である。上記測定電極は、力が入りやすく動きやすい指先側に設けられているため、心電計測を行う際には、測定電極との接触状態が不安定になり、心電波形の測定精度が損なわれる場合があった。
【0006】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、ユーザビリティを向上させ、日常生活における心電波形の測定精度を高めることが可能な携帯型心電装置の技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る携帯型心電装置は、
心電波形を検出する電極部と、前記電極部で検出された心電波形を記憶部に記録する制御部とを有する携帯型心電装置であって、
前記電極部は、心電波形を計測するための一対の測定電極と、身体の電位変化の基準電位を導出するためのアース電極とを含み、
前記アース電極は、前記心電波形を計測する被験者の指が接触する先端側に配置され、前記測定電極の一方の電極は、前記被験者の、前記アース電極に対して前記先端側が接触された指の基端側に配置される、ことを特徴とする。
【0008】
このようにすれば、心電波形の計測の際に、本体の上部側の湾曲した形状に沿って略くの字状に屈曲した右手人差し指の先端側をアース電極に密着させて掛るようにし、当該指の基端側を一方の測定電極に密着させた状態で携帯型心電装置が保持できる。よって、よ
り動きにくい指の基端側を測定電極に密着させることが可能になるため、測定時の接触状態が安定する。この結果、被験者の指と電極との接触抵抗が安定するため、心電波形の測定精度を高めることが可能になる。
【0009】
また、本発明において、
前記先端側には、前記心電波形を計測する被験者の指の末節が含まれるとともに、前記基端側には、前記アース電極に対して前記先端側が接触された指の中節部位が含まれるようにしてもよい。このようにすれば、携帯型心電装置を用いて心電波形を測定するユーザ毎の指の長短といった身体的特徴の差異に対応することが可能になる。
【0010】
また、本発明において、
前記先端側に配置されたアース電極には、接触された指の指紋を検出する指紋検出部が設けられるようにしてもよい。このようにすれば、指紋検出部を通じて検出された被験者の指紋情報に基づいて、アース電極に接触された指先の接触状態が正規の状態であるかが判別できる。
【0011】
また、本発明において、
前記指紋検出部が設けられるアース電極の領域は透明電極で構成されるようにしてもよい。このようにすれば、アース電極に接触された指先の指紋を検出する際の指紋照合方式として光学方式を採用することが可能になり、携帯型心電装置に係るコストが抑制できる。
【0012】
また、本発明において、
前記アース電極には、接触された指の指紋を検出するための指紋検出窓が設けられるようにしてもよい。このようにすれば、アース電極の中の指紋を検出するための領域を視認等によって確認できるため、心電波形測定時の使い勝手が向上する。
【0013】
また、本発明において、
前記制御部は、前記アース電極に設けられた指紋検出部を通じて検出された前記被験者の指紋情報を前記記憶部に記録するとともに、前記記憶部に登録された登録指紋情報と前記被験者の指紋情報との照合の結果が所定の基準を満たしているか否かを判定するようにしてもよい。このようにすれば、予め登録された登録指紋情報と、指紋検出部を通じて検出された被験者の指紋情報との照合が可能になる。
【0014】
また、本発明において、
前記制御部は、前記記憶部に登録された登録指紋情報と前記被験者の指紋情報との照合の結果が所定の基準を満たしているときには、前記被験者の心電波形の計測を開始するようにしてもよい。
【0015】
このようにすれば、照合の結果が所定の基準を満たしている場合には、アース電極に接触する指先の接触状態が正規の状態であることが判別できる。
【0016】
また、本発明において、
前記記憶部に登録された登録指紋情報と前記被験者の指紋情報との照合の結果が所定の基準を満たしていないと判定するときには、前記被験者の指紋情報を用いた指紋認証が不合格であること、あるいは、前記アース電極に接触させている指の接触状態が非正規であ
ることを前記被験者に通知するようにしてもよい。このようにすれば、被験者に対して、アース電極に接触させる指の当て方が間違っていることを通知できる。また、被験者に対して、正規の接触状態で心電波形の測定を実施させるように促すことができる。携帯型心電装置においては、心電波形測定時のユーザビリティを高めることが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、ユーザビリティを向上させ、日常生活における心電波形の測定精度を高めることが可能な携帯型心電装置の技術が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る携帯型心電装置の構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態1に係る携帯型心電装置のシステム構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態1に係る携帯型心電装置の心電波形の測定処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、実施形態1に係る携帯型心電装置で計測された心電波形の一例を説明する図である。
【
図5】
図5は、実施形態2に係る携帯型心電装置の構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態2に係る携帯型心電装置のシステム構成の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態2に係る携帯型心電装置の指紋情報を用いた初期設定に関する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態2に関する携帯型心電装置の指紋情報を用いた心電波形の測定に関する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、従来例の携帯型心電測定装置を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。
【0020】
<実施形態1>
まず、
図1から
図4に基づいて、本発明の実施形態の一例について説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0021】
(携帯型心電装置の構成)
図1は、本実施形態に係る携帯型心電装置の構成の一例を示す図である。
図1においては、携帯型心電装置1の6面図が例示されている。
図1に示すように、携帯型心電装置1は、被験者の心電波形を測定するための電極a2、電極b3、電極c4を備える。本実施形態に係る携帯型心電装置1では、上記の各電極を用いた心電波形の計測、測定中の通知表示、測定データに基づく異常波形の検出の有無等の機能が提供される。
【0022】
図1において、携帯型心電装置1の備える各電極は、それぞれ導電性部材によって形成されており、電極a2は、本体1aの底部側、電極b3および電極c4は、本体1aの上部側に設けられる。電極b3は、本体1aの上部側の左側、電極c4は、本体1aの上部側の右側に設けられる。なお、電極b3および電極c4が配置される本体1aの上部側は、例えば、被験者の右手人差し指が当接しやすいように滑らかに湾曲する形状となっている。そして、電極b3および電極c4が配置される本体1aの上部側は、破線で囲まれた矩形領域に示すように、右手人差し指を密着させやすいように凹状の加工(ガイド1c)が施されている。
【0023】
本実施形態に係る携帯型心電装置1においては、本体1aの底部に設けられた電極a2と、本体1aの上部の右側に設けられた電極c4とは、一対の測定電極を構成する。電極a2は、例えば、一対の測定電極の内の正電極であり、電極c4は負電極である。そして、本実施形態に係る携帯型心電装置1においては、本体1aの上部の左側に設けられた電極b3は、身体の電位変化の基準電位を導出するためのアース電極として構成される。
【0024】
ここで、心電測定において、例えば、I誘導測定が行われる場合には、携帯型心電装置1を右手で把持しつつ、本体1aの底部に設けられた電極a2を左手掌に接触させる。携帯型心電装置1を把持する右手の人差し指は、本体1aの上部側に施された凹状の加工(
ガイド1c)に沿って電極b3、電極c4に密着する。被験者では、例えば、電極b3、電極c4が設けられた本体1aの上部側から、底部に設けられた電極a2を左手掌に向かって押し当てる方向に押圧しながら心電測定が行われる。携帯型心電装置1を左手掌方向に押圧しながら保持する右手においては、本体1aの上部側の湾曲した形状に沿って右手人差し指を略くの字状に屈曲させて、指の先端側を左側の電極b3に掛かるように密着させ、基端側は右側の電極c4に密着させて保持できる。ここで、電極b3に密着する「先端側」には、右手人差し指の末節に相当する部位が含まれる。また、電極c4に密着する「基端側」には、例えば、右手人差し指の中節部に相当する部位が含まれる。
【0025】
また、心電測定においてV4誘導測定が行われる場合では、被験者は、例えば、携帯型心電装置1を右手で把持しつつ、本体1aの底部に設けられた電極a2を、左胸部の心窩部やや左方・乳頭下方の皮膚に接触させる。携帯型心電装置1を把持する右手の人差し指は、本体1aの上部側に施された凹状の加工(ガイド1c)に沿って電極b3、電極c4に密着する。そして、電極b3、電極c4が設けられた本体1aの上部側から、底部に設けられた電極a2を、測定部位方向に押し当てる方向に押圧しながら心電測定が行われる。V4誘導測定においても、本体1aの上部側の湾曲した形状に沿って略くの字状に屈曲された右手人差し指の先端側を左側の電極b3に掛かるように密着させ、基端側は右側の電極c4に密着させて携帯型心電装置1を保持できる。この測定形態においても、電極b3に密着する「先端側」は、右手人差し指の末節に相当する部位を含み、電極c4に密着する「基端側」は、右手人差し指の中節部に相当する部位を含む。
【0026】
このように、本実施形態においては、上記心電測定の際に、右手人差し指の先端側の当接位置にアース電極である電極b3を配置し、基端側の当接位置に測定電極の負電極である電極c4を配置することで、測定電極とアース電極への密着性を高めることができる。この結果、本実施形態に係る携帯型心電装置1においては、測定電極との接触状態の不安定さが抑制可能になる。接触状態の不安定さに基づくノイズの重畳等が抑制できるため、心電波形の測定精度を高めることが可能になる。
【0027】
なお、携帯型心電装置1は左側側面に、電源スイッチ6、電源LED7、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)通信を行うためのBLE通信ボタン8が設けられている。同様にして、BLE通信LED9、メモリ残量表示LED10、電池交換LED11が設けられている。電源スイッチ6は、携帯型心電装置1の電源を投入するための押下スイッチであり、電源LED7は電源投入時に点灯する発光素子である。BLE通信ボタン8は、BLE通信方式に準拠した機器との通信を機能させるための操作部品であり、BLE通信LED9は、BLE通信時に点灯する発光素子である。なお、携帯型心電装置1の備える通信機能は、赤外線通信、超音波による情報伝送などの無線通信方法、ケーブルまたはコネクタ等を介して接続される有線通信方式であってもよい。メモリ残量表示LED10は、後述するメモリ部106の空き容量の状態を示す発光素子である。電池交換LED11は、携帯型心電装置1の備える電源(バッテリ)の電力が所定値を下回ったときに点灯し、電池交換を促す発光素子である。
【0028】
また、携帯型心電装置1の他の側面には、測定通知LED12、異常波形検出LED13が設けられている。測定通知LED12は、心電波形の計測時に点灯あるいは明滅する発光素子である。異常波形検出LED13は、計測された心電波形に関し、異常波形が検出された際に点灯する発光素子である。異常波形検出LED13の点灯を通じて、心電波形の測定データから検出された異常波形の有無が被験者に通知される。
【0029】
(携帯型心電装置のシステム構成)
次に、携帯型心電装置のシステム構成を説明する。
図2は、本実施形態に係る携帯型心電装置1のシステム構成の一例を示す図である。
図2に示すように、携帯型心電装置1は、電極部101と、アンプ部102と、AD(Analog to Digital)変換部103と、制御部104と、タイマ部105を含んで構成される。また、携帯型心電装置1の構成には、メモリ部106と、表示部107と、操作部108と、電源部109と、通信部110が含まれる。制御部104と、タイマ部105と、メモリ部106と、表示部107と、操作部108と、電源部109と、通信部110とは相互に接続されている。
【0030】
電極部101は、一対の測定電極として機能する電極a2および電極c4と、アース電極として機能する電極b3を備える。被験者の皮膚に接触された電極部101を通じて、所定期間内における心電波形が検出される。電極部101の各電極で検出された心電波形は、それぞれ、当該電極部に接続されるアンプ部102に入力される。アンプ部102では、電極部101で検出された信号が増幅されてAD変換部103に出力される。AD変換部103では、アンプ部102を通じて増幅された心電波形の検出信号がデジタル変換されて制御部104に出力される。
【0031】
制御部104は、携帯型心電装置1の制御を司る手段であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含んで構成される。制御部104は、操作部108を介して被験者からの心電波形の計測開始の指示を受け付けると、電極部101が検出した所定期間内の心電波形に関する測定データをメモリ部106に記録する。そして、制御部104は、所定期間内で検出された心電波形を解析し、解析結果をメモリ部106に保存する。制御部104は、心電波形の解析の結果、異常波形が検出されたときには異常波形検出LED13を点灯させる。その他、操作部108を通じて被験者の操作に応じた処理を実行するように携帯型心電装置1の各構成要素を制御する。
【0032】
なお、メモリ部106に記録された所定期間内で計測された心電波形に関するデータ、当該心電波形の解析結果は、BLE通信等を通じて、連携するスマートフォンやPC等の情報処理装置に提供される。医療機関等においては、携帯型心電装置1から提供された心電波形の測定データ、解析結果等に基づいて、心疾患の早期発見や適切な治療行為を施すことが可能になる。
【0033】
タイマ部105は、制御部104からの指示を受け付け、心電波形の計測に係る各種期間をカウントする手段である。メモリ部106は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などの主記憶装置の他、例えばフラッシュメモリなどの長期記憶媒体を含んで構成される。メモリ部106には、心電波形の測定や解析に係る各種プログラム、異常波形等を検出するための各種の情報が記憶される。表示部107は、心電波形の計測に係る各種の情報を表示する手段である。表示部107には、電源LED7、BLE通信LED9、メモリ残量表示LED10、電池交換LED11、測定通知LED12、異常波形検出LED13が含まれる。なお、表示部107は、液晶ディスプレイや、被験者に対して音声によるメッセージを報知するためのスピーカ等を含むとしてもよい。
【0034】
操作部108は、被験者からの操作入力を受け付ける手段である。操作部108には、電源スイッチ6、BLE通信ボタン8が含まれる。電源部109は、携帯型心電装置1を機能させるための電力を供給する手段であり、バッテリや2次電池等が含まれる。通信部110は、スマートフォンといった機器との間で信号の送受信を司る通信インターフェィスである。通信部110の提供する通信機能としてBLE通信が例示できるが、他の公知の無線通信方式、有線通信方式が採用できる。
【0035】
(心電波形の測定処理)
図3は、本実施形態に係る携帯型心電装置1の心電波形の測定処理の一例を示すフローチャートである。
図3においては、携帯型心電装置1が単体で心電波形を計測する場合の処理が例示される。本フローは、携帯型心電装置1の制御部104がメモリ部106に記憶されたプログラムを実行することで提供される。
【0036】
本フローの処理の開始は、被験者による本体1aの左側側面に設けられた電源スイッチ6の押下操作の受け付けのときが例示される(ステップ1101)。電源スイッチ6の押下操作を受け付けると、電源LED7を点灯させ、ステップ1102に進む。ステップ1102では、心電波形の計測に係る電極(電極a2、電極b3、電極c4)への電極接触状態が検出される。例えば、アース電極(電極b3)で検出された基準電位に対する相対的な電位差が一対の測定電極(電極a2、電極c4)間で検出され、ステップ1103に進む。ステップ1103では、心電波形の計測に係る電極を通じて検出された電極接触状態の期間が、所定時間を経過しているか否かが判定される。所定時間の経過は、タイマ部105を通じて計測された時間に基づいて判定される。ステップ1103において、所定時間が経過したことを判定する場合には(ステップ1103、“Yes”)、ステップ1104に進む。一方、所定時間が経過していない場合には(ステップ1103、“No”)、ステップ1103に進む。
【0037】
ステップ1104では、被験者の心電波形の計測が開始される。心電波形の計測が開始されると、本体1aに設けられた測定通知LED12が点灯または明滅し、携帯型心電装置1の現在の状態が心電波形の測定中であることを被験者に報知する。また、心電波形の計測が開始されると、計測された心電波形のデータが時刻情報とともにメモリ部106に記録される。ステップ1104の処理後、ステップ1105に進む。
【0038】
ステップ1105では、計測時間が経過したか否かが判定される。計測時間の経過は、タイマ部105を通じて計測された時間に基づいて判定される。ステップ1105において、計測時間が経過したことを判定する場合には(ステップ1105、“Yes”)、ステップ1106に進む。一方、計測時間が経過していない場合には(ステップ1105、“No”)、ステップ1104に戻り、心電波形の計測が継続される。
【0039】
ステップ1106では、計測された心電波形のデータに基づいて被験者の心電波形についての解析が行われる。メモリ部106に記録された時系列上のデータに基づいて心電波形の解析が行われる。ステップ1106の処理後、ステップ1107において、計測された心電波形のデータ、および、解析結果がメモリ部106に保存される。例えば、メモリ部106のRAM等に記録された心電波形のデータおよび解析結果が関連付けされてフラッシュメモリなどの長期記憶媒体に保存される。ステップ1107の処理後、ステップ1108において、心電波形の解析結果、異常波形が検出されたときには、本体1aに設けられた異常波形検出LED13が点灯される。異常波形検出LED13の点灯により、計測された心電波形に異常波形が存在することが被験者に通知される。ステップ1108の処理後、ステップ1109に進み、被験者の操作による電源スイッチ6のオフ操作を受け付ける。携帯型心電装置1は、計測終了後の電源スイッチ6のオフ操作により、電源部109から供給されている電力を切断し、電源LED7を消灯させる。
【0040】
図4は、実施形態1に係る携帯型心電装置1で計測された心電波形の一例を説明する図である。
図4においては、縦軸を電圧値(mv)、横軸を経過時間(秒)とする心電波形のグラフが例示される。
図4(a)においては、測定電極である電極c4への接触が不十分な状態で計測された心電波形のグラフが例示される。また、
図4(b)においては、本実施形態に係る携帯型心電装置1で計測された心電波形のグラフが例示される。
【0041】
図4(a)に示すように、計測された心電波形のグラフでは、測定電極c4への接触が不十分なため、低電位側ではノイズが重畳された状態となっている。また、心電波形のピーク値においても、ノイズの影響を受けるため、相対的な電圧レベルが不安定となりバラつきが確認される。一方、本実施形態では、心電波形測定時に、右手人差し指の基端側が測定電極c4に密着するため、心電波形の測定に係る指と電極との接触状態が安定し、低電位側のノイズの混入が相対的に抑制されていることがわかる。さらに、心電波形のピーク値においても、ノイズの影響が抑制されるため、ピーク値に対する相対的な変動量(ピーク値間における電圧レベルの相対的な変動幅)が抑制され、安定した電圧レベルとなっていることがわかる。
【0042】
以上、説明したように、本実施形態においては、携帯型心電装置1は、本体1aの底部に設けられた電極a2と、本体1aの上部の右側に設けられた電極c4とは、一対の測定電極を構成するように構成した。そして、本体1aの上部の左側に設けられた電極b3を、身体の電位変化の基準電位を導出するためのアース電極として構成した。この結果、身体の電位変化を導出するための測定電極である電極c4に対して、右手人差し指の基端側を密着させた心電波形の計測が可能になり、指と電極との接触状態が安定し、心電波形の測定精度を高めることが可能になる。
【0043】
<実施形態2>
次に、
図5から
図8に基づいて、本発明の実施形態の他の一例について説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、実施形態1と同様の構成については同様の符号を用いて詳細な説明を省略するとともに、実施形態1との相違点を主に説明する。
【0044】
(実施形態2の装置構成)
図5は、本実施形態に係る携帯型心電装置の構成の一例を示す6面図である。本実施形態に係る携帯型心電装置1は、実施形態1と同様に、被験者の心電波形を測定するための電極a2、電極b3、電極c4を備える。そして、
図5に示すように、電極b3には、指紋センサによる被験者の右手人差し指の先端側の指紋が検出可能なように、指紋検出窓14が設けられる。指紋検出窓14は、例えば、透明性を有する透明電極部材(導電性部材)によって形成されている。
【0045】
本実施形態における各電極の配置位置は実施形態1と同様である。すなわち、電極a2は本体1bの底部側、電極b3は本体1bの上部左側、電極c4は本体1bの上部右側に設けられる。そして、電極a2と電極c4とは一対の測定電極を構成し、本体1bの上部左側に設けられた電極b3は、身体の電位変化の基準電位を導出するためのアース電極として構成される。そして、電極b3および電極c4が配置される本体1bの上部側は、破線で囲まれた矩形領域に示すように、右手人差し指を密着させやすいように凹状の加工(ガイド1c)が施されている。
【0046】
このため、I誘導測定による心電測定が行われる場合には、本体1bの上部側の湾曲した形状に沿って略くの字状に屈曲された右手人差し指の先端側を左側の電極b3に密着さ
せ、基端側は右側の電極c4に密着させて携帯型心電装置1を保持できる。V4誘導測定による心電測定が行われる場合も同様である。本実施形態においても、右手人差し指の先端側の当接位置にアース電極である電極b3を配置し、基端側の当接位置に測定電極の負電極である電極c4を配置できるため、心電測定の際の、指と電極との接触状態を安定させることができる。
【0047】
そして、本実施形態に係る携帯型心電装置1においては、心電測定の際に、電極b3に設けられた指紋検出窓14を通じて、当該電極に密着する右手人差し指の先端側の指紋検出が行われる。携帯型心電装置1は、指紋検出窓14を通じて検出された指紋と、予め登録された被験者の右手人差し指の先端側の指紋との照合により、心電波形の測定時に指をあてる方向を誤って電極b3に接触させることを防止する。
【0048】
例えば、予め登録された指紋と、指紋検出窓14を通じて検出された指紋とが所定の条件を満たして合致する場合には、本体1bの上部に当てられた右手人差し指の方向は正規の状態であると判断できる。一方、予め登録された指紋と、指紋検出窓14を通じて検出された指紋とが所定の条件を満たさず照合できない場合には、本体1bの上部に当てられた右手人差し指の方向は非正規の状態であると判断できる。ここで、非正規の状態とは、例えば、右手人差し指の先端側を測定電極の負電極である電極c4に接触させ、基端側をアース電極である電極b3に接触させるような場合である。このような非正規の状態では、例えば、人差し指と測定電極との間の接触が不安定になり易く、接触させようとして指先に力を入れると筋電ノイズが重畳し、心電波形の正確な測定が阻害されてしまう。本実施形態では、予め登録された被験者の右手人差し指の先端側の指紋照合の結果に基づいて、誤った使用状態が判別されるため、心電波形の測定精度を高めることが可能になる。なお、指紋検出窓14を通じて検出された指紋認証の結果は、本体1bの指紋認証結果表示LED15の点灯を通じて被験者に通知される。
【0049】
(実施形態2のシステム構成)
図6は、本実施形態に係る携帯型心電装置1のシステム構成の一例を示す図である。
図6に示すように、携帯型心電装置1には、実施形態1に示す構成に加え、指紋検出部140が備えられる。なお、本体1bに設けられる指紋認証結果表示LED15は、表示部107に含まれる。また、メモリ部106には、予め指紋測定された被験者の右手人差し指の先端側の指紋情報が登録される。
【0050】
指紋検出部140は、指紋検出窓141と、指紋用LED142と、指紋センサ143とを含んで構成される。指紋検出部140は、制御部104に接続される。指紋検出窓141は、電極b3に設けられた指紋検出窓14であり、透明電極部材で形成される。指紋用LED142は、指紋照合用の発光素子である。指紋センサ143は、心電波形の測定開始時において、指紋検出窓14に接触された部位の指紋を検出するためのセンサである。なお、
図6では、指紋照合方式として光学方式を例示するが、例えば、超音波方式、静電容量方式といった他の指紋照合方式を採用してもよい。この場合には、指紋照合方式の形態に応じて指紋検出部140が構成される。指紋検出部140を通じて検出された指紋情報は制御部104に出力される。制御部104では、指紋検出部140を通じて検出された指紋情報と、メモリ部106に登録された指紋情報との照合が行われ、照合結果としての指紋認証の可否が判断される。
【0051】
(処理の流れ)
次に、
図7、
図8を参照し、本実施形態に係る携帯型心電装置1における指紋情報を用いた処理の流れを説明する。
図7は、携帯型心電装置1と連携するスマートフォン等の情報処理装置との間の、指紋情報を用いた初期設定に関する処理の一例を示すフローチャートである。携帯型心電装置1と連携するスマートフォン等の情報処理装置では、例えば、
心電装置の他、血圧計、体組成計、活動量計といった種々の生体情報測定装置で計測された情報を収集可能なアプリケーションプログラム(以下、アプリともいう)が搭載されている。
図7の処理により、連携するスマートフォン等では、携帯型心電装置1を用いて計測された心電波形および解析結果が収集可能なように初期設定が行われる。
【0052】
本フローにおいて、携帯型心電装置1では、ステップ1101で被験者による本体1bの左側側面に設けられた電源スイッチ6の押下操作を受け付けると、電源LED7を点灯させ、ステップ1201に進む。ステップ1201では、被験者による本体1bの左側側面に設けられたBLE通信ボタン8の押下操作を受け付け、連携するスマートフォン等からの通信開始要求を受信するまで待機する。
【0053】
連携するスマートフォン等では、予めユーザ登録が成された識別情報(ID)による認証を通じて、各生体情報測定装置で計測された情報(心電波形、血圧値、体組成値、活動量等)を収集するためのアプリが起動する(ステップ2101)。アプリが起動すると、情報収集の対象となる生体情報測定装置を追加するための選択画面が表示される。スマートフォン等の操作者は、選択画面に表示された各種の生体情報測定装置の中から対象となる測定器の種別(例えば、心電装置)を選択して追加する(ステップ2301)と、処理はステップ2302に進む。ステップ2302では、追加された測定器の種別の中からさらに、心電波形を計測するための機種が選択されると、ステップ2102に進む。ステップ2102では、ステップ2302で選択された携帯型心電装置1とのBLE接続が開始され、通信開始要求が送信される(ステップ2103)。ステップ2103の終了後、情報収集対象の測定装置から指紋情報測定終了の通知が受信されるまで待機する。
【0054】
携帯型心電装置1は、連携するスマートフォン等から送信された通信開始要求を受け付けると、BLE通信LED9を点灯させ、ステップ1301に処理を進める。ステップ1301では、指紋検出窓14が設けられた電極b3に接触された右手人差し指の先端側の指紋情報が測定される。指紋検出部140を構成する指紋センサ143によって検出された指紋情報は、制御部104を通じてメモリ部106に記憶される。ステップ1301の終了後、ステップ1302に処理は進み、指紋情報の測定終了を示す通知が連携するスマートフォン等に送信される。ステップ1302の終了後、連携するスマートフォン等から送信された通信終了要求を受信するまで待機する。
【0055】
連携するスマートフォン等は、ステップ2304において、携帯型心電装置1から送信された指紋測定終了の通知を受信すると、情報収集のための初期設定を終了させる(ステップ2305)。そして、スマートフォン等は、BLE通信を介して接続された携帯型心電装置1に対して通信終了要求を送信する(ステップ2115)。ステップ2115の終了後、携帯型心電装置1との間の通信接続が切断され(ステップ2116)、初期設定のためのアプリが一旦終了する(ステップ2117)。
【0056】
携帯型心電装置1は、連携するスマートフォン等から送信された通信終了要求を受け付けると、BLE通信接続を切断する(ステップ1208)。ステップ1208の終了後、BLE通信LED9を消灯させ、被験者の操作による電源スイッチ6のオフ操作を受け付ける(ステップ1109)。携帯型心電装置1は、電源スイッチ6のオフ操作により、電源部109から供給されている電力を切断し、電源LED7を消灯させる。
【0057】
次に
図8を説明する。
図8は、携帯型心電装置1と連携するスマートフォン等の情報処理装置との間の、指紋情報を用いた心電波形の測定に関する処理の一例を示すフローチャートである。
【0058】
本フローにおいて、携帯型心電装置1では、ステップ1101で被験者による本体1b
の左側側面に設けられた電源スイッチ6の押下操作を受け付けると、電源LED7を点灯させ、ステップ1301に進む。ステップ1301では、指紋検出窓14が設けられた電極b3に接触された右手人差し指の先端側の指紋情報が測定される。指紋検出部140を構成する指紋センサ143によって検出された指紋情報は、制御部104を通じてメモリ部106に記憶され、処理がステップ1201に進む。ステップ1201では、被験者による本体1bの左側側面に設けられたBLE通信ボタン8の押下操作を受け付け、連携するスマートフォン等からの通信開始要求を受信するまで待機する。
【0059】
連携するスマートフォン等では、予めユーザ登録が成された識別情報(ID)による認証を通じて、各生体情報測定装置で計測された情報(心電波形、血圧値、体組成値、活動量等)を収集するためのアプリが起動する(ステップ2101)。そして、ステップ2102では、収集対象になる携帯型心電装置1とのBLE接続が開始され、通信開始要求が送信される(ステップ2103)。ステップ2103の終了後、収集対象の携帯型心電装置1から指紋認証合格の通知が受信されるまで待機する。
【0060】
携帯型心電装置1は、連携するスマートフォン等から送信された通信開始要求を受け付けると、BLE通信LED9を点灯させ、ステップ1303に処理を進める。ステップ1303では、ステップ1301で測定された指紋情報に基づいて、指紋認証の判定が行われる。例えば、測定された指紋情報と、メモリ部106に登録された指紋情報とを照合し、所定の条件を満たすか否かが判定される(指紋認証判定)。照合の結果、例えば、本体1bの上部に当てられた右手人差し指の方向は正規の状態であるか否かが判断できる。
【0061】
ステップ1303において、指紋認証の結果、合格していると判断する場合(ステップ1303、“Yes”)には、ステップ1304に進む。一方、合格していないと判断する場合(ステップ1303、“No”)には、本体1bの指紋認証結果表示LED15を点灯させ(ステップ2307)、ステップ1301に進む。被験者は、指紋認証結果表示LED15の点灯を通じて、電極b3に接触させる指の当て方が間違っていることを視認できる。
【0062】
なお、ステップ1303において、連携するスマートフォン等に対して、指紋認証不合格通知を送信するとしてもよい。待機状態にあるスマートフォン等は、携帯型心電装置1から送信された指紋認証不合格通知の受信を契機として、被験者に対するメッセージを表示することができる。例えば、心電波形を正確に測定するために必要な手順等をスマートフォン等の表示画面や音声を通じて報知できる。例えば、右手人差し指の先端側を電極b3に設けられた指紋検出窓14に接触させ、右手人差し指の基端側を電極c4に接触させるように促すことができる。
【0063】
ステップ1304では、指紋認証合格通知を連携するスマートフォン等に送信する。そして、ステップ1305に処理は進み、被験者の心電波形の計測開始の通知を連携するスマートフォン等に送信する。ステップ1305の処理後、例えば、
図3を用いて説明した心電波形の測定処理が開始される。
【0064】
連携するスマートフォン等は、ステップ2308において、携帯型心電装置1から送信された指紋認証合格通知を受信すると、現在の心電波形の計測に係る右手人差し指の当て方は、正規の状態である旨を被験者に報知する。例えば、スマートフォン等の表示画面やスピーカ等を通じて、上記の旨を被験者に報知できる。ステップ2308の終了後、ステップ2309に進み、携帯型心電装置1から送信された心電波形の計測開始の通知を受信する。
【0065】
以上、説明したように、本実施形態においては、携帯型心電装置1は、身体の電位変化の基準電位を導出するためのアース電極である電極b3に対して、指紋検出窓14を設け
るように構成した。そして、正規の接触状態においては、指紋検出窓14を通じて、指紋センサによる被験者の右手人差し指の先端側の指紋が検出可能な構成を採用した。この結果、心電測定の際に、電極b3に設けられた指紋検出窓14を通じて検出された指紋と、予め登録された被験者の右手人差し指の先端部の指紋とを照合することが可能になる。本実施形態においては、本体1bの上部に当てられた右手人差し指の方向は非正規の状態であると判断する場合には、被験者に通知し、正規の接触状態で心電波形の測定を行うことを促すことができる。本実施形態によれば、心電波形の測定時に指をあてる方向を誤って電極b3に接触させることが防止できるため、心電波形の測定精度を高めることが可能になる。
【符号の説明】
【0066】
1・・・携帯型心電装置、 1a,1b・・・本体、1c・・・ガイド、 2・・・電極a、 3・・・電極b、 4・・・電極c、5・・・電池カバー、 6・・・電源スイッチ、 7・・・電源LED、 8・・・BLE通信ボタン、 9・・・BLE通信LED、 10・・・メモリ残量表示LED、 11・・・電池交換LED、 12・・・測定通知LED、 13・・・異常波形検出LED、 14・・・指紋検出窓、 15・・・指紋認証結果表示LED、 101・・・電極部、 102・・・アンプ部、 103・・・AD変換部、 104・・・制御部、 105・・・タイマ部、 106・・・メモリ部、 107・・・表示部、 108・・・操作部、 109・・・電源部、 110・・・通信部、 140・・・指紋検出部、 141・・・指紋検出窓、 142・・・指紋用LED、 143・・・指紋センサ