(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】真空ポンプ
(51)【国際特許分類】
F04D 19/04 20060101AFI20240123BHJP
F04D 29/54 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
F04D19/04 Z
F04D29/54 D
(21)【出願番号】P 2019213483
(22)【出願日】2019-11-26
【審査請求日】2022-05-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000001993
【氏名又は名称】株式会社島津製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100098305
【氏名又は名称】福島 祥人
(74)【代理人】
【識別番号】100125704
【氏名又は名称】坂根 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】小亀 正人
【審査官】丹治 和幸
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第6412173(US,B1)
【文献】米国特許第5528618(US,A)
【文献】実開昭60-28297(JP,U)
【文献】特表2006-517291(JP,A)
【文献】国際公開第03/025987(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 19/04
F04D 29/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータ軸を含む回転体と前記ロータ軸を回転自在に支持する回転支持部とを備える真空ポンプであって、
前記真空ポンプ内に気体を導入する吸引口と、
前記ロータ軸の径方向で外側において、前記吸引口から導入された気体を、前記ロータ軸の軸方向に送り出すポンプ作用部と、
前記ポンプ作用部により送り出される気体の下流側に配置され、前記ロータ軸の径方向で外側において、前記ロータ軸の軸方向および周方向に延びる排気流路と、
前記ロータ軸の軸方向に関して前記排気流路
の端部に設けられ、前記排気流路を通って送り出された気体を外部に排気する、前記ロータ軸の周方向に延
びる排気口と、
を備え
、
前記排気流路は前記ポンプ作用部の排気部から前記排気口へと至る前記ロータ軸方向全域において同一外径および同一内径を有する円環状空間が連続することにより形成され、前記排気口は、前記ロータ軸の軸方向に向かって前記真空ポンプの外部に開放され、前記ロータ軸の軸方向から見たとき、前記排気口の領域と前記ポンプ作用部の排気部とが重なる、真空ポンプ。
【請求項2】
前記排気口は、円弧形状を有する、
請求項1に記載の真空ポンプ。
【請求項3】
前記排気口は、複数の開口に分割される、
請求項1または請求項2に記載の真空ポンプ。
【請求項4】
前記複数の開口は、前記ロータ軸の周方向に等間隔で配置される、
請求項3に記載の真空ポンプ。
【請求項5】
前記複数の開口は、単一の排気配管に接続される、
請求項3または請求項4に記載の真空ポンプ。
【請求項6】
前記ロータ軸の軸方向に関して、前記真空ポンプの一端面に前記吸引口が設けられ、他端面に前記排気口が設けられる、
請求項1~5のいずれか一項に記載の真空ポンプ。
【請求項7】
前記ポンプ作用部から送り出された気体は、前記排気流路において、前記排気口に至る全域に亘り、前記ロータ軸の軸方向に沿って送り出される、請求項1に記載の真空ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空ポンプの排気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置、液晶パネル製造装置または分析装置などの各種の真空処理装置を真空処理するために真空ポンプが用いられる。真空ポンプの1つであるターボ分子ポンプは、ロータ軸、ロータおよびロータ翼を有する回転体と、ベースおよびステータ翼を有する回転支持部とを備える。ロータ軸がモータにより回転駆動されることにより、回転体が一体となって回転支持部に対して回転する。これにより、真空処理装置内の気体がターボ分子ポンプを介して外部に排出され、真空処理装置の内部が真空処理される。
【0003】
真空ポンプにおいては、吸引口から導入された気体が、ポンプ作用によりロータ軸の軸方向に送り出される。そして、ポンプ作用により送り出された気体は、排気口を介して外部に排気される。下記特許文献1には、ポンプ下部にロータ軸の径方向に向かって延びる排気流路を備えた真空ポンプが開示されている。特許文献1の真空ポンプの排気流路は、ポンプの側面に設けられた排気口に接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の真空ポンプにおいては、ポンプの側面に排気口が設けられるため、排気口の直径は比較的小さい。排気口の直径は、排気抵抗を小さくするために、なるべく大きくしたいという要望がある。
【0006】
本発明の目的は、真空ポンプの排気効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、ロータ軸を含む回転体とロータ軸を回転自在に支持する回転支持部とを備える真空ポンプに関する。真空ポンプは、真空ポンプ内に気体を導入する吸引口と、ロータ軸の径方向で外側において、吸引口から導入された気体を、ロータ軸の軸方向に送り出すポンプ作用部と、ポンプ作用部により送り出される気体の下流側に配置され、ロータ軸の径方向で外側において、ロータ軸の軸方向および周方向に延びる排気流路と、排気流路の軸方向の端部に設けられ、排気流路を通って送り出された気体を外部に排気する、ロータ軸の周方向に延びる排気口とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、真空ポンプの排気効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る真空ポンプの側面断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す真空ポンプのII-II断面図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る真空ポンプの底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(1)真空ポンプの全体構成
以下、本発明の実施の形態に係る真空ポンプについて、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、実施の形態に係る真空ポンプ100の側面断面図である。
図1に示すように、実施の形態に係る真空ポンプ100は、ターボ分子ポンプである。真空ポンプ100は、ロータ軸30、ロータ31、ロータ翼33およびロータ円筒部35を有する回転体3と、ベース21、ケーシング22およびステータ25を有する回転支持部2とを備える。ロータ軸30がモータ43により回転駆動されることにより、回転体3が一体となって回転支持部2に対して回転する。
【0011】
図1に示すように、ロータ軸30は、軸心100aを中心に回転駆動する。以下の説明において、軸心100aが延びる方向を、ロータ軸30の軸方向または真空ポンプ100の軸方向と呼ぶ。軸心100aに対して垂直に延びる方向を、ロータ軸30の径方向または真空ポンプ100の径方向と呼ぶ。軸心100aを中心として円周方向に延びる方向を、ロータ軸30の周方向または真空ポンプ100の周方向と呼ぶ。また、以下の説明において、
図1における上下方向を真空ポンプ100の上下方向として説明する。
【0012】
回転支持部2が備えるベース21は、真空ポンプ100の回転支持部2の下部および軸心100aの周辺部を構成する。ベース21は金属製であり、略円筒形状を有する。回転支持部2が備えるケーシング22は、ベース21の上部に配置され、真空ポンプ100の上部の外壁を構成する。ケーシング22は、金属製であり、略円筒形状を有する。ベース21の径方向で中心部分には上下方向に延びる空間が形成されており、その空間にロータ軸30が配置される。ケーシング22の上部には、吸引口100bが設けられる。真空処理を行う対象である真空処理装置から吸引された気体は、吸引口100bから真空ポンプ100に導入される。
【0013】
モータ43は、モータステータおよびモータロータを含み、軸心100aを中心として回転駆動する。モータステータは、ベース21の内周面に固定される。モータロータは、ロータ軸30の外周面に固定される。モータ43には、電力線(図示省略)を介して制御部および電源部に接続される。モータ43は、制御部の駆動により回転駆動する。
【0014】
ロータ軸30の外周で、モータ43より上方位置には、ロータ軸30と一体となって回転するロータ31が取り付けられている。ロータ31は、概略筒形状を有している。ロータ31の外周には、径方向で外側に向かって延びる複数のロータ翼33が設けられる。
図1に示す実施の形態においては、上下方向に8段のロータ翼33が配置されている。
【0015】
ケーシング22の内周面には、径方向で内側に向かって延びる複数のステータ翼23が設けられる。
図1に示す実施の形態においては、上下方向に8段のステータ翼23が配置されている。そして、複数のロータ翼33とステータ翼23が上下方向の隙間を空けて交互に配列されることにより、ターボポンプTPが構成されている。複数のロータ翼33および複数のステータ翼23を上下方向に通過する領域によって流路R1が形成されている。
【0016】
ロータ31の下部には、ロータ円筒部35が設けられている。ロータ円筒部35は、ロータ31の下部から下方(ロータ軸30の軸方向)に向かって延びている。ロータ円筒部35の径方向で外側には、ステータ25が配置されている。ステータ25は、ベース21に固定されている。ロータ円筒部35およびステータ25の間に形成された微小な隙間によって流路R2が形成されている。ロータ円筒部35またはステータ25のいずれかには図示しないねじ溝が設けられている。ロータ円筒部35およびステータ25により、HolweckポンプHPが構成されている。HolweckポンプHPの下端部、つまり、流路R2の下端部は、HolweckポンプHPの排気部P1を構成している。このように、本実施の形態においては、HolweckポンプHPがターボポンプTPの下流に設けられている。
【0017】
ベース21には、ロータ軸30を支持する軸受41a,41bが設けられている。軸受41aは、モータ43の上方に配置される。軸受41bは、モータ43の下方に配置される。軸受41a,41bは、例えば転がり軸受であり、ロータ軸30の上部および下部を回転可能に支持する。本実施の形態においては、軸受41a,41bは玉軸受(ボールベアリング)であるが、実施の形態はこれに限定されない。軸受41a,41bは、ころ軸受等の他の転がり軸受であってもよい。
【0018】
ベース21には、ロータ軸30を支持する磁気軸受42a,42bが設けられている。ロータ軸30の上部は、磁気軸受42aにより回転可能にかつ非接触方式でベース21に支持される。ロータ軸30の下部は、磁気軸受42bにより回転可能にかつ非接触方式でベース21に支持される。
【0019】
ロータ軸30の下端には、平面視(軸心100aの延びる方向から見た場合)で円形のロータディスク36が設けられている。ベース21には、ロータディスク36を上下から挟み込むように磁気軸受42cが設けられる。磁気軸受42cの電磁石は、ロータディスク36の上下に隙間を空けて配置される。磁気軸受42cによりロータディスク36を吸引することにより、ロータ軸30が軸方向に浮上する。
【0020】
(2)真空ポンプの排気構造
次に、ターボポンプTPおよびHolweckポンプHPにより送り出された気体の排気構造について説明する。
図2は、
図1に示す真空ポンプ100のII-II断面図である。ベース21には、円筒形状の排気流路R3が形成されている。
図1に示すように、排気流路R3は、HolweckポンプHPの下流側に設けられる。流路R2の下端、つまり、HolweckポンプHPの排気部P1から送り出された気体は、排気流路R3を通って下方に向かって流れる。排気流路R3は、排気部P1から真空ポンプ100の底面100cまで直線状に延びる。
【0021】
図3は、真空ポンプ100の底面図である。真空ポンプ100の底面100cには、3つの排気口27a,27b,27cが設けられている。排気口27a,27b,27cは、軸心100aの周方向に延びる円弧形状を有している。排気口27a,27b,27cは、軸心100aの周方向において等間隔で配置されている。排気口27a,27b,27cは、全て排気流路R3に繋がっている。つまり、円筒形状の排気流路R3を流れる気体は、排気口27a,27b,27cのいずれかを介して真空ポンプ100の外部に排気される。
【0022】
(3)真空ポンプの動作および排気の流れ
以上のとおり構成された真空ポンプ100の動作について説明する。モータ43が回転駆動されると、モータロータに固定されたロータ軸30が回転する。これにより、ロータ軸30と一体となって、ロータ31および複数のロータ翼33が回転する。これにより、複数のロータ翼33が複数のステータ翼23に対して相対回転し、ターボポンプTPが駆動する。
【0023】
ターボポンプTPの作用により、真空ポンプ100の上端に設けられた吸引口100bから気体が吸引される。吸引口100bは、真空処理装置(図示省略)に接続されており、真空処理装置内の気体が吸引口100bを介して真空ポンプ100に導入される。吸引口100bから導入された気体は、
図1の流路R1で示すように、複数のロータ翼33および複数のステータ翼23の間を通過し、圧縮されながら下方に向かって送られる。
【0024】
複数のロータ翼33および複数のステータ翼23を通過して下方に送られた気体は、HolweckポンプHPの上流側に流れ込む。モータ43の回転により、ロータ円筒部35はロータ31と一体となって回転する。これにより、ロータ円筒部35がステータ25に対して相対回転し、HolweckポンプHPが駆動する。HolweckポンプHPの作用により、ロータ円筒部35およびステータ25の隙間に形成された流路R2において、圧縮された気体が下流に向かって送り出される。流路R2を下方に送られた気体は、排気部P1からベース21に設けられた排気流路R3に流れ込む。
【0025】
以上説明したように、本実施の形態の真空ポンプ100は、ターボポンプTPおよびHolweckポンプHPにより送り出される気体の下流側に排気流路R3が配置される。排気流路R3は、ロータ軸30の径方向で外側において、ロータ軸30の軸方向および周方向に延びる。また、真空ポンプ100は、排気流路R3の軸方向の下端部に設けられ、排気流路R3を通って送り出された気体を外部に排気する排気口27a,27b,27cを備える。排気口27a,27b,27cは、ロータ軸の周方向に延びる。
【0026】
これにより、ターボポンプTPおよびHolweckポンプHPから送り出された気体は、周方向に延びる排気流路R3および排気口27a,27b,27cを介して排気されるので、排気効率が向上する。排気口を真空ポンプの側面に取り付けると、排気口の直径が小さくなり排気抵抗が大きくなるが、本実施の形態においては、真空ポンプ100の底面100cに、大きな径の排気口27a,27b,27cを設けることができるので、排気抵抗を小さくすることができる。真空ポンプの側面に対しては、従来、例えば40mm径程度の排気口が設けられている。これに対して、本実施の形態においては、例えば真空ポンプ100のポンプ径が300mmであれば、排気口27a,27b,27cの開口面積を合計すると、100mm径程度の円形排気口と同等の開口面積を確保することができる。
【0027】
また、排気流路R3は、排気部P1から排気口27a,27b,27cに至る全域に亘って回転体3の回転軸(軸心100a)と同軸方向に延びる構成となっている。これにより、回転体3により送り出される気体が、排気口27a,27b,27cに至る流路の全域において、よどみが生じることがなく、排気口27a,27b,27cからスムーズに排気される。
【0028】
また、本実施の形態の真空ポンプ100において、ロータ軸30の軸方向から見たとき、排気口27a,27b,27cの領域とHolweckポンプHPにより送り出される気体の排気部P1とが重なる。つまり、真空ポンプ100を底面100c側から見たとき、排気口27a,27b,27cと排気部P1とが重なっている。これにより、ターボポンプTPおよびHolweckポンプHPから送り出された気体は、真空ポンプ100の軸方向にまっすぐ送り出されるので、排気効率が向上する。
【0029】
また、本実施の形態の真空ポンプ100においては、排気流路R3が円筒形状を有している。これにより、
図1に示すように、排気流路R3は、流路R1および流路R2と軸方向で連続するように延びる。つまり、真空ポンプ100内において、流路R1,流路R2および排気流路R3は、全体としてロータ軸30の軸方向に円筒状に延びる。これにより、回転体3により送り出される気体が周方向において圧力差が生じることがなく、よどみなく排気口27a,27b,27cから排気される。
【0030】
排気流路において、気体の流れによどみが発生した場合、排気流路内に圧力差が生じる。このとき、圧力が上昇した部分において、気体が液化または固化することで不要な生成物が堆積する場合がある。本実施の形態の真空ポンプ100においては、排気流路R3において生じる圧力差が低減されるので、生成物の堆積を防止することができる。
【0031】
また、本実施の形態の真空ポンプ100においては、排気口27a,27b,27cは円弧形状を有している。具体的には、排気口27a,27b,27cは、円筒形状である排気流路R3と近い径を有する円弧形状を有している。これにより、排気流路R3をよどみなく送り出される気体は、そのまま排気口27a,27b,27cにおいて、抵抗を与えられることなく排気される。
【0032】
また、本実施の形態においては、排気口27a,27b,27cは、同一の形状を有しており、また、排気口27a,27b,27cは、ロータ軸30の周方向で等間隔に配置されている。これにより、排気口27a,27b,27cにおいては、ロータ軸30の周方向において、排気される気体の圧力は、周方向で偏りが生じない。排気流路R3を流れる気体は、圧力差が生じることなく、よどみなく排気口27a,27b,27cから排気される。
【0033】
(4)排気配管の接続
図1に示すように、真空ポンプ100の底面100cには、排気配管5が接続される。排気配管5は、本実施の形態においては、略円筒形状を有している。排気配管5は、真空ポンプ100の排気口27a,27b,27cの全てを含む径を有している。つまり、排気口27a,27b,27cから排気された気体は、全て1つの排気配管5において排気される。このように、排気口27a,27b,27cから下流側には大きな径の排気配管5が接続されるので、排気流路R3および排気口27a,27b,27cを流れる気体は、小さい排気抵抗で外部に排気される。
【0034】
(5)請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。上記の実施の形態では、ターボポンプTPまたはHolweckポンプHPがポンプ作用部の例である。上記の実施の形態では、排気口27a,27b,27cが複数の開口の例である。
【0035】
請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する種々の要素を用いることもできる。
【0036】
(6)他の実施の形態
上記実施の形態において、真空ポンプ100がターボ分子ポンプである場合が示されているが、本発明はこれに限定されない。例えば、本発明はジークバーンポンプまたはHolweckポンプ等のドラッグポンプ(ネジ溝ポンプ)のみを備えた真空ポンプにも適用可能であり、またはターボ分子ポンプおよびドラッグポンプの組み合わせからなる真空ポンプにも適用可能である。
【0037】
上記実施の形態においては、排気流路R3は、ロータ軸30の周方向において全周に亘って延びる円筒形状を有している。別の実施の形態としては、排気流路R3は、周方向において分割されていてもよい。たとえば、軸方向から見て3個または4個などの円弧形状を有していてもよい。たとえば、軸方向から見て排気口27a,27b,27cと同様の形状の開口が、軸方向で上下方向に延びて排気流路R3を構成してもよい。排気流路R3が複数に分割される場合、排気口は分割されることなく、ロータ軸30の周方向の全周に亘って繋がっていてもよい。
【0038】
上記実施の形態においては、排気口27a,27b,27cが円弧形状であるが、排気口27a,27b,27cの形状は円弧形状に限定されない。例えば、排気口27a,27b,27cは、
図3で示す開口を包含するような矩形を有していてもよい。
【0039】
上記実施の形態において、排気流路R3は、真空ポンプ100の軸方向から見たとき、ロータ軸30の径方向で外側に設けられている。さらに、上記実施の形態において、排気流路R3は、真空ポンプ100の軸方向から見たとき、磁気軸受42cの径方向で外側に設けられている。これにより、流路R1,流路R2および排気流路R3が、軸方向で略直線上に配置されるため、送り出される気体の排気抵抗をより小さくすることが可能である。
【0040】
なお、本発明の具体的な構成は、前述の実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更および修正が可能である。
【0041】
(7)態様
上述した複数の例示的な実施の形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0042】
(第1項)一態様に係る真空ポンプは、
ロータ軸を含む回転体と前記ロータ軸を回転自在に支持する回転支持部とを備える真空ポンプであって、
前記真空ポンプ内に気体を導入する吸引口と、
前記ロータ軸の径方向で外側において、前記吸引口から導入された気体を、前記ロータ軸の軸方向に送り出すポンプ作用部と、
前記ポンプ作用部により送り出される気体の下流側に配置され、前記ロータ軸の径方向で外側において、前記ロータ軸の軸方向および周方向に延びる排気流路と、
前記排気流路の軸方向の端部に設けられ、前記排気流路を通って送り出された気体を外部に排気する、前記ロータ軸の周方向に延びる排気口と、
を備える。
【0043】
ポンプ作用部から送り出された気体は、周方向に延びる排気通路および排気口から排気されるので、排気効率が向上する。
【0044】
(第2項)第1項に記載の真空ポンプにおいて、
前記ロータ軸の軸方向から見たとき、前記排気口の領域と前記ポンプ作用部の排気部とが重なってもよい。
【0045】
ポンプ作用部から送り出された気体は、真空ポンプの軸方向にまっすぐ送り出されるので、排気効率が向上する。
【0046】
(第3項)
第1項または第2項に記載の真空ポンプにおいて、
前記排気流路は、円筒形状を有してもよい。
【0047】
回転体により送り出される気体が周方向において圧力差が生じることがなく、よどみなく排気口から排気される。
【0048】
(第4項)第1項~第3項のいずれか一項に記載の真空ポンプにおいて、
前記排気口は、円弧形状を有してもよい。
【0049】
排気流路をよどみなく送り出される気体は、そのまま排気口において、抵抗を与えられることなく排気される。
【0050】
(第5項)第1項~第4項のいずれか一項に記載の真空ポンプにおいて、
前記排気口は、複数の開口に分割されてもよい。
【0051】
真空ポンプのベースを支持する構造を維持しながら、広い開口面積を確保することができる。
【0052】
(第6項)第5項に記載の真空ポンプにおいて、
前記複数の開口は、前記ロータ軸の周方向に等間隔で配置されてもよい。
【0053】
ロータ軸の周方向において、排気される気体の圧力は、周方向で偏りが生じない。排気流路を流れる気体は、圧力差が生じることなく、よどみなく排気口から排気される。
【0054】
(第7項)第5項または第6項に記載の真空ポンプにおいて、
前記複数の開口は、単一の排気配管に接続されてもよい。
【0055】
複数の開口から外部に排気される気体に抵抗が生じることなく、スムーズに排気される。
【0056】
(第8項)第1項~第7項のいずれか一項に記載の真空ポンプにおいて、
前記ロータ軸の軸方向に関して、前記真空ポンプの一端面に前記吸引口が設けられ、他端面に前記排気口が設けられてもよい。
【符号の説明】
【0057】
2…回転支持部,21…ベース,22…ケーシング,23…ステータ翼,25…ステータ,27a・27b・27c…排気口,3…回転体,30…ロータ軸,31…ロータ,33…ロータ翼,35…ロータ円筒部,41a・41b…軸受,42a・42b・42c…磁気軸受,43…モータ,100…真空ポンプ,TP…ターボポンプ,HP…Holweckポンプ,R1・R2…流路,R3…排気流路