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特許7424011プロファイル設定装置及びプロファイル設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】プロファイル設定装置及びプロファイル設定方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 48/92 20190101AFI20240123BHJP
   B29C 55/12 20060101ALI20240123BHJP
   B29C 48/08 20190101ALI20240123BHJP
   B29C 48/31 20190101ALI20240123BHJP
【FI】
B29C48/92
B29C55/12
B29C48/08
B29C48/31
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019216239
(22)【出願日】2019-11-29
(65)【公開番号】P2021084378
(43)【公開日】2021-06-03
【審査請求日】2022-11-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100188307
【弁理士】
【氏名又は名称】太田 昌宏
(74)【代理人】
【識別番号】100169823
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 雄郎
(72)【発明者】
【氏名】小林 一三
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-277601(JP,A)
【文献】特開昭59-089121(JP,A)
【文献】特開2002-127223(JP,A)
【文献】特開平11-020001(JP,A)
【文献】特開平11-156876(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 48/00-48/96
B29C 55/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの製造工程において前記シートの幅方向の厚みの目標値として用いられるプロファイル設定値を生成するプロファイル設定装置であって、
前記シートの一端側の第1部分において少なくとも3つの第1選択点の入力を受け付ける入力部と、
前記少なくとも3つの第1選択点を通過する第1曲線を算出し、前記第1曲線に基づいて前記第1部分における前記プロファイル設定値である第1設定値を算出する制御部と、を備え、
前記入力部は、前記シートの幅方向の中心を含む第3部分において少なくとも3つの第2選択点の入力を受け付け、
前記制御部は、
前記第1設定値を前記シートの幅方向の中心に対して線対称に変換して、前記シートの他端側の第2部分における前記プロファイル設定値である第2設定値を算出し、
前記少なくとも3つの第2選択点を通過する第2曲線を算出し、前記第2曲線に基づいて前記第3部分における前記プロファイル設定値である第3設定値を算出し、
前記第1設定値と、前記第2設定値と、前記第3設定値とに基づいて前記プロファイル設定値を生成する、プロファイル設定装置。
【請求項2】
請求項に記載のプロファイル設定装置において、
前記プロファイル設定値を表示する表示部をさらに備える、プロファイル設定装置。
【請求項3】
請求項に記載のプロファイル設定装置において、
前記制御部は、前記プロファイル設定値を、棒状で前記表示部に表示させる、プロファイル設定装置。
【請求項4】
請求項1からのいずれか一項に記載のプロファイル設定装置において、
前記制御部は、前記シートの製造工程で用いられるTダイが有する複数の操作端を制御するプロファイル制御装置に、前記プロファイル設定値を送信する、プロファイル設定装置。
【請求項5】
シートの製造工程において前記シートの幅方向の厚みの目標値として用いられるプロファイル設定値を生成するプロファイル設定装置におけるプロファイル設定方法であって、
前記シートの一端側の第1部分において少なくとも3つの第1選択点の入力を受け付けるステップと、
前記シートの幅方向の中心を含む第3部分において少なくとも3つの第2選択点の入力を受け付けるステップと、
前記少なくとも3つの選択点を通過する第1曲線を算出し、前記第1曲線に基づいて前記第1部分における前記プロファイル設定値である第1設定値を算出するステップと、
前記第1設定値を前記シートの幅方向の中心に対して線対称に変換して、前記シートの他端側の第2部分における前記プロファイル設定値である第2設定値を算出するステップと、
前記少なくとも3つの第2選択点を通過する第2曲線を算出し、前記第2曲線に基づいて前記第3部分における前記プロファイル設定値である第3設定値を算出するステップと、
前記第1設定値と、前記第2設定値と、前記第3設定値とに基づいて前記プロファイル設定値を生成するステップと、を含むプロファイル設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プロファイル設定装置及びプロファイル設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばフィルムのようなシートを延伸機を用いて引き延ばして製造する技術が知られている。
【0003】
シートを延伸機で引き延ばして製造する際、シートの幅方向の厚みを所望の品質とするために、シートの幅方向の厚みを制御するプロファイル制御が行われている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平7-189165号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
シートを引き延ばして製造する延伸機として二軸延伸機がある。二軸延伸機は、シートを縦方向に引き延ばすだけでなく、横方向(幅方向)にも引き延ばす。
【0006】
二軸延伸機には、幅方向にシートを引き延ばす際、シートの端部をクリップで挟持して引き延ばす方式のものがある。この方式の場合、シートの端部がクリップを引っ掛けやすい形状となっていると、シートの端部をクリップで挟持して引き延ばしたときに、クリップが外れにくいため好ましい。
【0007】
シートの端部をクリップで引っ掛けやすい形状とするためには、シートを製造する際のプロファイルの設定を、シートの端部がクリップで引っ掛けやすい形状、例えばコブ状の形状となるような設定にする必要がある。
【0008】
しかしながら、従来、プロファイルの設定作業は時間のかかる作業であった。例えば、シートの製造にTダイを用いている場合、Tダイが有する複数の操作端のそれぞれについてプロファイルの設定値を入力する必要がある。例えば、操作端の数が50個である場合、50個の設定値をユーザが入力する必要があり、プロファイルの設定に10~15分程度を要することもあった。そのため、シートの重さなどに応じて、シートの端部の形状をクリップが引っ掛けやすい形状に調整しようとすると、その都度、プロファイルの設定値の入力に時間がかかり、多大な工数を必要としていた。
【0009】
そこで、本開示は、プロファイルの設定作業を簡易に行うことを可能とするプロファイル設定装置及びプロファイル設定方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
幾つかの実施形態に係るプロファイル設定装置は、シートの製造工程において前記シートの幅方向の厚みの目標値として用いられるプロファイル設定値を生成するプロファイル設定装置であって、前記シートの一端側の第1部分において少なくとも3つの第1選択点の入力を受け付ける入力部と、前記少なくとも3つの第1選択点を通過する第1曲線を算出し、前記第1曲線に基づいて前記第1部分における前記プロファイル設定値である第1設定値を算出する制御部と、を備え、前記制御部は、前記第1設定値を前記シートの幅方向の中心に対して線対称に変換して、前記シートの他端側の第2部分における前記プロファイル設定値である第2設定値を算出し、前記第1設定値及び前記第2設定値に基づいて前記プロファイル設定値を生成する。このようなプロファイル設定装置によれば、プロファイルの設定作業を簡易に行うことが可能である。
【0011】
一実施形態に係るプロファイル設定装置において、前記入力部は、前記シートの幅方向の中心を含む第3部分において少なくとも3つの第2選択点の入力を受け付けてよく、前記制御部は、前記少なくとも3つの第2選択点を通過する第2曲線を算出し、前記第2曲線に基づいて前記第3部分における前記プロファイル設定値である第3設定値を算出し、前記第1設定値と、前記第2設定値と、前記第3設定値とに基づいて前記プロファイル設定値を生成してもよい。これにより、プロファイル設定装置は、従来の技術であれば多くの設定値を個別に入力する必要があったシートの幅方向の中心を含む第3部分において、少なくとも3つの第2選択点の入力を受け付けることで、第3設定値を算出することができる。従って、プロファイル設定装置は、プロファイルの設定作業をさらに簡易に行うことができる。
【0012】
一実施形態に係るプロファイル設定装置において、前記プロファイル設定装置は、前記プロファイル設定値を表示する表示部をさらに備えてもよい。これにより、プロファイル設定装置のユーザは、表示部におけるプロファイル設定値の表示を見ながら、プロファイル設定値の生成作業を直観的に行うことができる。
【0013】
一実施形態に係るプロファイル設定装置において、前記制御部は、前記プロファイル設定値を、棒状で前記表示部に表示させてもよい。これにより、プロファイル設定装置のユーザは、Tダイの各操作端における設定値を容易に把握することができる。
【0014】
一実施形態に係るプロファイル設定装置において、前記制御部は、前記シートの製造工程で用いられるTダイが有する複数の操作端を制御するプロファイル制御装置に、前記プロファイル設定値を送信してもよい。これにより、プロファイル設定装置からプロファイル設定値を受信したプロファイル制御装置は、受信したプロファイル設定値に基づくシートの厚みを目標値として、Tダイを制御することができる。
【0015】
幾つかの実施形態に係るプロファイル設定方法は、シートの製造工程において前記シートの幅方向の厚みの目標値として用いられるプロファイル設定値を生成するプロファイル設定装置におけるプロファイル設定方法であって、前記シートの一端側の第1部分において少なくとも3つの第1選択点の入力を受け付けるステップと、前記少なくとも3つの選択点を通過する第1曲線を算出し、前記第1曲線に基づいて前記第1部分における前記プロファイル設定値である第1設定値を算出するステップと、前記第1設定値を前記シートの幅方向の中心に対して線対称に変換して、前記シートの他端側の第2部分における前記プロファイル設定値である第2設定値を算出するステップと、前記第1設定値及び前記第2設定値に基づいて前記プロファイル設定値を生成するステップと、を含む。このようなプロファイル設定方法によれば、プロファイルの設定作業を簡易に行うことが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、プロファイルの設定作業を簡易に行うことを可能とするプロファイル設定装置及びプロファイル設定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態に係るプロファイル設定装置を含むシート製造システムの概略構成を示す図である。
図2A図1のTダイの側面の概略構成図である。
図2B図1のTダイの正面の概略構成図である。
図3】一実施形態に係るプロファイル設定装置のブロック図である。
図4】3つの第1選択点の入力を受け付けた状態の一例を示す図である。
図5】第1曲線が算出された状態の一例を示す図である。
図6】第1設定値が算出された状態の一例を示す図である。
図7】第1設定値から第2設定値が算出された状態の一例を示す図である。
図8】3つの第2選択点の入力を受け付け、第2曲線及び第3設定値が算出された状態の一例を示す図である。
図9】プロファイル設定装置の操作画面の一例を示す図である。
図10】一実施形態に係るプロファイル設定装置の動作の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示の一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0019】
図1は、一実施形態に係るプロファイル設定装置10を含むシート製造システム1の概略構成を示す図である。図1を参照して、シート製造システム1の構成及び機能の概略について説明する。
【0020】
シート製造システム1は、フィルム又は紙などのシート2を製造するシステムである。シート製造システム1は、シート2を縦方向及び横方向の2つの方向に引き延ばす2軸延伸と称される製造方法によってシート2を製造する。図1において縦方向とは、図1に示す座標のY軸方向である。また、図1において横方向とは、図1に示す座標のX軸方向である。以下の説明において、「横方向」については「幅方向」とも称する。
【0021】
シート製造システム1は、プロファイル設定装置10と、押し出し機20と、Tダイ30と、冷却ロール40と、第1測定機50と、乾燥炉60と、第2測定機70と、巻取機80と、プロファイル制御装置90とを備える。図1において、破線は通信線を示す。通信線は、有線であってもよいし、無線であってもよい。
【0022】
プロファイル設定装置10は、シート製造システム1によるシート2の製造において用いられるプロファイル設定値を生成する装置である。プロファイル設定値は、シート2の製造工程においてシート2の幅方向の厚みの目標値として用いられる設定値である。プロファイル設定値は、例えば、第1測定機50によって測定されるシート2の幅方向の厚みの目標値であってよい。
【0023】
プロファイル設定装置10は、生成したプロファイル設定値をプロファイル制御装置90に送信する。
【0024】
プロファイル設定装置10は、シート製造システム1に用いられる専用のコンピュータであってもよいし、汎用のPC(Personal Computer)であってもよい。プロファイル設定装置10の構成及び機能の詳細については後述する。
【0025】
押し出し機20は、シート2を製造するための材料を加圧して押し出し、シート2を製造するための材料をTダイ30に供給する。例えばシート2がプラスチックフィルムである場合、押し出し機20は、溶融樹脂を加圧して押し出して、Tダイ30に供給する。
【0026】
Tダイ30は、押し出し機20から供給されたシート2の材料をシート状に成形して吐出する。
【0027】
図2A及び図2Bを参照して、Tダイ30の構成及び機能について説明する。図2Aは、Tダイ30の側面の概略構成図であり、図1においてX軸正方向からTダイ30を見た図である。図2Bは、Tダイ30の正面の概略構成図であり、図1においてY軸正方向からTダイ30を見た図である。なお、図2A及び図2Bは、Tダイ30の構成及び機能の概略を説明するための概念的な図であり、実際の構造及び寸法を示したものではない。
【0028】
Tダイ30は、図2A及び図2Bに示すように、空洞部31と、リップ32と、リップ33と、吐出口34と、複数の操作端35とを備える。
【0029】
押し出し機20からTダイ30に供給されたシート2の材料は、空洞部31に溜められた後、リップ32及びリップ33の間のスリット状の吐出口34を通過してシート状に成形される。シート状に成形されたシート2は、吐出口34から吐出されて、冷却ロール40に送られる。
【0030】
図2Bに示すように、Tダイ30のリップ33には、シート2の幅方向(X軸方向)に沿って、複数の操作端35が所定間隔で設けられている。操作端35は、図2Aに示す方向Aに沿って移動又は変形可能である。操作端35は、プロファイル制御装置90から受信する制御信号に基づいて方向Aに沿って移動又は変形する。操作端35は、例えばヒートボルトであってよい。
【0031】
図2Aに示すように、操作端35が方向Aに沿って移動又は変形するとリップ33に加わる荷重が変化し、これにより、吐出口34の間隔が変化する。吐出口34の間隔が変化することにより、その部分のシート2の厚みが変化する。複数の操作端35のそれぞれの移動量又は変形量は、プロファイル制御装置90によって独立して制御される。プロファイル制御装置90は、複数の操作端35の移動量又は変形量を、それぞれ独立に制御することにより、シート2の幅方向の厚みのプロファイルを制御する。
【0032】
再び図1を参照して、シート製造システム1の構成の説明を続ける。
【0033】
冷却ロール40は、Tダイ30から送られてきたシート2を冷却する。冷却ロール40は、冷却したシート2を、第1測定機50を通して乾燥炉60に送る。
【0034】
第1測定機50は、冷却ロール40から送られてきた段階のシート2の厚みを測定する。第1測定機50は、シート2の幅方向を走査方向として往復可能なセンサを備える。第1測定機50が備えるセンサは、例えば、赤外線式センサ、X線式センサ又はベータ線式センサなどであってよい。第1測定機50が備えるセンサが赤外線式センサである場合、当該センサは、赤外線がシート2を透過するときの減衰量から、シート2の厚みを測定することができる。第1測定機50が備えるセンサがX線式センサである場合、当該センサは、X線がシート2を透過するときの減衰量から、シート2の厚みを測定することができる。第1測定機50が備えるセンサがベータ線式センサである場合、当該センサは、ベータ線がシート2を透過するときの減衰量から、シート2の厚みを測定することができる。
【0035】
第1測定機50は、測定したシート2の厚みの情報をプロファイル制御装置90に送信する。
【0036】
乾燥炉60は、冷却ロール40から第1測定機50を通して送られてきたシート2を温めて乾燥させる。また、乾燥炉60は、シート2を幅方向に延伸させる延伸機構を備える。乾燥炉60において、シート2が幅方向に延伸されることにより、シート2は、縦方向(図1のY軸方向)と、幅方向(図1のX軸方向)とに2軸延伸される。
【0037】
乾燥炉60が備える延伸機構は、シート2の幅方向の一端を挟持するクリップと、シート2の幅方向の他端を挟持するクリップとを有する。例えば、シート2のX軸正方向側の端部を挟持するクリップがシート2をX軸正方向側に引き延ばし、シート2のX軸負方向側の端部を挟持するクリップがシート2をX軸負方向側に引き延ばすことにより、乾燥炉60においてシート2はX軸方向に延伸される。このように、乾燥炉60が備えるクリップがシート2の端部を挟持して引き延ばすことから、シート2の端部は、クリップが挟持しやすい形状にTダイ30において成形されていることが望ましい。
【0038】
乾燥炉60は、2軸延伸させたシート2を、第2測定機70を通して巻取機80に送る。
【0039】
第2測定機70は、乾燥炉60から送られてきた段階のシート2の厚みを測定する。第2測定機70は、シート2の幅方向を走査方向として往復可能なセンサを備える。第2測定機70が備えるセンサは、例えば、赤外線式センサ、X線式センサ又はベータ線式センサなどであってよい。第2測定機70が備えるセンサが赤外線式センサである場合、当該センサは、赤外線がシート2を透過するときの減衰量から、シート2の厚みを測定することができる。第2測定機70が備えるセンサがX線式センサである場合、当該センサは、X線がシート2を透過するときの減衰量から、シート2の厚みを測定することができる。第2測定機70が備えるセンサがベータ線式センサである場合、当該センサは、ベータ線がシート2を透過するときの減衰量から、シート2の厚みを測定することができる。
【0040】
第2測定機70は、測定したシート2の厚みの情報をプロファイル制御装置90に送信する。
【0041】
巻取機80は、乾燥炉60から第2測定機70を通して送られてきたシート2を巻き取る。巻取機80によって巻き取られたシート2は、梱包などの処理が行われた後、製品として出荷される。
【0042】
プロファイル制御装置90は、プロファイル設定装置10から、プロファイル設定装置10が生成したプロファイル設定値を受信する。プロファイル制御装置90は、第1測定機50から、第1測定機50が測定したシート2の厚みの情報を受信する。プロファイル制御装置90は、第2測定機70から、第2測定機70が測定したシート2の厚みの情報を受信する。
【0043】
プロファイル制御装置90は、第1測定機50が測定したシート2の厚みのプロファイルが、プロファイル設定装置10から受信したプロファイル設定値に近づくように、Tダイ30の複数の操作端35をフィードバック制御するための制御信号を、Tダイ30に送信する。
【0044】
プロファイル制御装置90は、第1測定機50が測定したシート2の厚みのプロファイルの代わりに、第2測定機70が測定したシート2の厚みのプロファイルが、プロファイル設定装置10から受信したプロファイル設定値に近づくように、Tダイ30の複数の操作端35をフィードバック制御するための制御信号を、Tダイ30に送信してもよい。
【0045】
図3を参照して、一実施形態に係るプロファイル設定装置10の構成を説明する。
【0046】
プロファイル設定装置10は、通信部11と、記憶部12と、入力部13と、表示部14と、制御部15とを備える。
【0047】
通信部11は、プロファイル制御装置90と通信可能に接続するための通信モジュールを含む。例えば、通信部11は、LAN(Local Area Network)に対応する通信モジュールを含んでよい。あるいは、通信部11は、LTE(Long Term Evolution)、4G(4th Generation)及び5G(5th Generation)などのような移動体通信規格に対応する通信モジュールを含んでもよい。通信部11は、プロファイル制御装置90との間で、多様な情報を送信及び受信する。
【0048】
記憶部12は、例えば半導体メモリ、磁気メモリ、又は光メモリ等であるが、これらに限定されない。記憶部12は、例えば主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能してもよい。記憶部12は、プロファイル設定装置10の動作に用いられる任意の情報を記憶する。例えば、記憶部12は、システムプログラム、アプリケーションプログラム、及び通信部11によって受信された各種情報等を記憶してもよい。記憶部12に記憶された情報は、例えば通信部11を介して受信される情報で更新可能であってもよい。記憶部12の一部は、プロファイル設定装置10の外部に設置されていてもよい。その場合、外部に設置されている記憶部12の一部は、任意のインタフェースを介してプロファイル設定装置10と接続されてよい。
【0049】
入力部13は、ユーザ入力を検出して、ユーザの操作に基づく入力情報を取得する1つ以上の入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、キーボード、マウス、表示部14と一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイク等であるが、これらに限定されない。
【0050】
表示部14は、各種情報を表示する。表示部14は、例えば液晶ディスプレイであるが、これに限定されない。表示部14は、例えば、制御部15によって生成されたプロファイル設定値を表示する。
【0051】
制御部15は、少なくとも1つのプロセッサ、少なくとも1つの専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPU(Central Processing Unit)若しくはGPU(Graphics Processing Unit)などの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。制御部15は、プロファイル設定装置10の各部を制御しながら、プロファイル設定装置10の動作に関わる処理を実行する。
【0052】
(プロファイル設定値の生成)
プロファイル設定装置10がプロファイル設定値を生成する処理について、図4図9を参照して説明する。図4図9は、プロファイル設定装置10においてプロファイル設定値を生成するためのアプリケーションが実行され、当該アプリケーションの実行画面がプロファイル設定装置10の表示部14に表示されている一例を示したものである。
【0053】
図4図9において、表示部14の下方に表示されている1、10、20、30、40、50との数字は、Tダイ30の操作端35の番号を示す。例えば、数字「1」は、図2Bに示す複数の操作端35のうち、左から1番目の操作端35に対応する。また、例えば、数字「50」は、図2Bに示す複数の操作端35のうち、左から50番目の操作端35に対応する。図4図9は、Tダイ30の複数の操作端35の個数が50個の場合を示したものである。なお、操作端35の個数を50個としたのは一例であり、操作端35の個数は、これに限定されない。
【0054】
図4図9において、各操作端35の番号における縦軸の値は、当該操作端35の位置におけるシート2の厚みに対応している。縦軸の値が大きいほど、当該操作端35の位置におけるシート2の厚みが大きくなるようにプロファイル設定値が設定され、縦軸の値が小さいほど、当該操作端35の位置におけるシート2の厚みが小さくなるようにプロファイル設定値が設定される。
【0055】
プロファイル設定装置10の入力部13は、シート2の一端側の第1部分において、少なくとも3つの第1選択点の入力を受け付ける。図4に、入力部13が3つの第1選択点201の入力を受け付け、3つの第1選択点201がプロファイル設定装置10の表示部14に表示されている様子を示す。図4に示す例においては、シート2の一端側は、シート2のX軸正方向側である。また、第1部分は、シート2において第1選択点201の入力を受け付けた範囲である。また、第1選択点201は、ある操作端35の位置においてシート2の厚みが選択された点である。入力部13がマウスである場合、入力部13は、ユーザによるマウスのクリック操作により、第1選択点201の入力を受け付けてよい。
【0056】
プロファイル設定装置10の制御部15は、少なくとも3つの第1選択点を通過する第1曲線を算出する。図5に、制御部15が、3つの第1選択点201を通過する第1曲線202を算出し、算出した第1曲線202を表示部14に表示させている様子を示す。
【0057】
制御部15は、3つの第1選択点201を通過する第1曲線202を算出する際、例えば、スプライン曲線として第1曲線202を算出してよい。制御部15は、第1曲線202を算出する際、張力値に依存させて第1曲線202の丸みを調整してよい。張力値は、入力部13が入力を受け付けてよい。例えば張力値が0~1の値の範囲で設定可能である場合、制御部15は、張力値が大きいほど第1曲線202の丸みを大きくしてよい。
【0058】
制御部15は、第1曲線に基づいて、第1部分におけるプロファイル設定値である第1設定値を算出する。図6に、制御部15が、第1曲線202に基づいて第1設定値203を算出し、算出した第1設定値203を表示部14に表示させている様子を示す。
【0059】
制御部15は、Tダイ30の操作端35の位置における第1曲線202の値を抽出することによって、第1設定値203を算出してよい。図6に示す例においては、制御部15は、12個の操作端35の位置において第1設定値203を算出している。このように、第1曲線202に基づいて第1設定値203を算出していることにより、制御部15は、滑らかな形状に対応する第1設定値203を容易に算出することができる。
【0060】
制御部15は、図6に示すように、第1設定値203を棒状で表示部14に表示させてよい。このように第1設定値203を棒状で表示させることにより、ユーザは、各操作端35におけるプロファイル設定値の値を容易に認識することができる。
【0061】
制御部15は、第1設定値をシート2の幅方向の中心に対して線対称に変換して、シート2の他端側の第2部分におけるプロファイル設定値である第2設定値を算出する。図7に、制御部15が、第1設定値203をシート2の幅方向の中心に対して線対称に変換して第2設定値204を算出し、算出した第2設定値204を表示部14に表示させている様子を示す。図7に示す例においては、シート2の他端側は、シート2のX軸負方向側である。また、第2部分は、第1部分がシート2の幅方向の中心に対して線対称に変換されたときに占める範囲に対応する。このように、第1設定値203をシート2の幅方向の中心に対して線対称に変換して第2設定値204を算出することにより、制御部15は、シート2の他端側の第2設定値204を容易に算出することができる。
【0062】
制御部15は、第1設定値203及び第2設定値204に基づいて、プロファイル設定値を生成してよい。制御部15は、例えば、第1設定値203及び第2設定値204を結合して、プロファイル設定値を生成してよい。この場合、制御部15は、第1設定値203及び第2設定値204が設定されていない部分のプロファイル設定値の値は、例えば、シート2の平坦部分の厚みに対応する値としてよい。
【0063】
図7に示すような、シート2の両端で凸部を有するプロファイル設定値を制御部15が生成することにより、シート製造システム1は、両端に凸部を有するシート2を製造することができる。シート2が両端に凸部を有することで、乾燥炉60が備えるクリップは、シート2の両端をしっかりと挟持することができる。
【0064】
入力部13は、さらに、シート2の幅方向の中心を含む第3部分において、少なくとも3つの第2選択点の入力を受け付けてよい。図8に、入力部13が3つの第2選択点205の入力を受け付け、3つの第2選択点205がプロファイル設定装置10の表示部14に表示されている様子を示す。第2選択点205は、ある操作端35の位置においてシート2の厚みが選択された点である。入力部13がマウスである場合、入力部13は、ユーザによるマウスのクリック操作により、第2選択点205の入力を受け付けてよい。
【0065】
制御部15は、少なくとも3つの第2選択点を通過する第2曲線を算出する。図8に、制御部15が、3つの第2選択点205を通過する第2曲線206を算出し、算出した第2曲線206を表示部14に表示させている様子を示す。
【0066】
制御部15は、3つの第2選択点205を通過する第2曲線206を算出する際、例えば、スプライン曲線として第2曲線206を算出してよい。制御部15は、第2曲線206を算出する際、張力値に依存させて第2曲線206の丸みを変更させてよい。張力値は、入力部13が入力を受け付けてよい。例えば張力値が0~1の値の範囲で設定可能である場合、制御部15は、張力値が大きいほど第2曲線206の丸みを大きくしてよい。
【0067】
制御部15は、第2曲線に基づいて、第3部分におけるプロファイル設定値である第3設定値を算出する。図8に、制御部15が、第2曲線206に基づいて第3設定値207を算出し、算出した第3設定値207を表示部14に表示させている様子を示す。
【0068】
制御部15は、Tダイ30の操作端35の位置における第2曲線206の値を抽出することによって、第3設定値207を算出してよい。
【0069】
制御部15は、第3設定値207を算出した場合、第1設定値203と、第2設定値204と、第3設定値207とに基づいて、プロファイル設定値を生成してよい。
【0070】
制御部15は、図8に示すように、第1設定値203及び第2設定値204に加えて、第3設定値207も棒状で表示部14に表示させてよい。このように第1設定値203、第2設定値204及び第3設定値207を棒状で表示させることにより、ユーザは、各操作端35におけるプロファイル設定値の値を容易に認識することができる。
【0071】
図8に示すような、シート2の中央で凸部を有するプロファイル設定値を制御部15が生成することにより、シート製造システム1は、乾燥炉60に入る前の段階で中央に凸部を有するシート2を製造することができる。シート2が中央に凸部を有することで、乾燥炉60が備えるクリップによってシート2がX軸方向に引き延ばされたときに、シート2の幅方向の中央部が平坦になるようにすることができる。
【0072】
制御部15は、生成したプロファイル設定値を記憶部12に格納してよい。制御部15は、以前に生成したプロファイル設定値を用いる場合は、記憶部12に格納されているプロファイル設定値を記憶部12から読み出してよい。
【0073】
図9に、プロファイル設定値を生成するためのアプリケーションにおいて、各種アイコンなどが表示されている場合の一例を示す。プロファイル設定値を生成するためのアプリケーションは、例えば、図9に示すような、スライダーバー208、及びアイコン209~211などを、表示部14に表示させてよい。
【0074】
スライダーバー208は、第1曲線202及び第2曲線206の丸みの程度を決定するための張力値の入力を受け付ける。図9は、張力値として0.91が選択されている場合の例を示している。
【0075】
アイコン209は、第1設定値203、第2設定値204及び第3設定値207の棒状の表示のオン/オフを切り替えるためのアイコンである。入力部13によってアイコン209が選択されるたびに、第1設定値203、第2設定値204及び第3設定値207の棒状の表示のオン/オフが切り替わる。
【0076】
アイコン210は、図7に示した処理、すなわち、第1設定値203から第2設定値204を算出する処理を実行するためのアイコンである。入力部13によってアイコン210が選択されると、第1設定値203から第2設定値204が算出される。アイコン210は、図6に示したようにX軸正方向側に第1設定値203がある場合に選択されるアイコンである。
【0077】
アイコン211は、アイコン210と同様に、第1設定値203から第2設定値204を算出する処理を実行するためのアイコンである。アイコン211は、図6とは異なり、X軸負方向側に第1設定値203がある場合に選択されるアイコンである。例えば図4に示す例と異なり、X軸負方向側において第1選択点201が選択された場合は、X軸負方向側に第1設定値203が算出されて表示されているため、アイコン211が選択される。
【0078】
図9に示す表示部14の表示は一例であり、他のアイコンがさらに表示されていてもよい。例えば、プロファイル設定値のプロファイル制御装置90への送信を実行するためのアイコンが表示されていてもよい。また、例えば、プロファイル設定値を全体的に所定量だけシフトさせて、プロファイル設定値の平均値をゼロに変換するためのアイコンが表示されていてもよい。
【0079】
図10に示すフローチャートを参照して、プロファイル設定装置10の動作を説明する。
【0080】
プロファイル設定装置10の入力部13は、シート2の一端側の第1部分において、少なくとも3つの第1選択点201の入力を受け付ける(ステップS101)。
【0081】
プロファイル設定装置10の制御部15は、少なくとも3つの第1選択点201を通過する第1曲線202を算出する(ステップS102)。この際、制御部15は、入力部13が入力を受け付けた張力値に基づいて第1曲線202の丸みを調整してもよい。
【0082】
制御部15は、第1曲線202に基づいて、第1部分におけるプロファイル設定値である第1設定値203を算出する(ステップS103)。
【0083】
制御部15は、第1設定値203をシート2の幅方向の中心に対して線対称に変換して、シート2の他端側の第2部分におけるプロファイル設定値である第2設定値204を算出する(ステップS104)。
【0084】
入力部13は、シート2の幅方向の中心を含む第3部分において、少なくとも3つの第2選択点205の入力を受け付ける(ステップS105)。
【0085】
制御部15は、少なくとも3つの第2選択点205を通過する第2曲線206を算出する(ステップS106)。この際、制御部15は、入力部13が入力を受け付けた張力値に基づいて第2曲線206の丸みを調整してもよい。
【0086】
制御部15は、第2曲線206に基づいて、第3部分におけるプロファイル設定値である第3設定値207を算出する(ステップS107)。
【0087】
制御部15は、第1設定値203、第2設定値204及び第3設定値207に基づいて、プロファイル設定値を生成する(ステップS108)。
【0088】
制御部15は、生成したプロファイル設定値を、通信部11を介してプロファイル制御装置90に送信する(ステップS109)。
【0089】
図10に示すフローチャートにおいて、ステップS105からステップS107までの処理は省略してもよい。この場合、制御部15は、第1設定値203及び第2設定値204に基づいて、プロファイル設定値を生成してよい。
【0090】
以上のような一実施形態に係るプロファイル設定装置10によれば、シート2の製造工程において、プロファイルの設定作業を簡易に行うことが可能となる。より具体的には、プロファイル設定装置10は、シート2の一端側の第1部分において少なくとも3つの第1選択点の入力を受け付ける入力部13と、少なくとも3つの第1選択点を通過する第1曲線を算出し、第1曲線に基づいて第1部分におけるプロファイル設定値である第1設定値を算出する制御部15と、を備える。制御部15は、第1設定値をシート2の幅方向の中心に対して線対称に変換して、シート2の他端側の第2部分におけるプロファイル設定値である第2設定値を算出し、第1設定値及び第2設定値に基づいてプロファイル設定値を生成する。このように、プロファイル設定装置10は、入力部13が入力を受け付けた少なくとも3つの第1選択点について、制御部15が所定の処理をすることで、容易にプロファイル設定値を算出することができる。ユーザは、少なくとも3つの第1選択点をマウスなどの入力部13で選択するだけでよいので、従来のようにTダイの全ての操作端について設定値を入力する場合に比べて、プロファイル設定値の生成に要する時間を低減することができる。
【0091】
本開示は、その精神又はその本質的な特徴から離れることなく、上述した実施形態以外の他の所定の形態で実現できることは当業者にとって明白である。従って、先の記述は例示的であり、これに限定されない。開示の範囲は、先の記述によってではなく、付加した請求項によって定義される。あらゆる変更のうちその均等の範囲内にあるいくつかの変更は、その中に包含される。
【0092】
例えば、上述した各構成部の配置及び個数等は、上記の説明及び図面における図示の内容に限定されない。各構成部の配置及び個数等は、その機能を実現できるのであれば、任意に構成されてもよい。
【0093】
また、本開示において、装置を中心に説明してきたが、本開示は装置の各構成部が実行するステップを含む方法、装置が備えるプロセッサにより実行される方法、プログラム、又はプログラムを記録した記憶媒体としても実現し得るものであり、本開示の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【符号の説明】
【0094】
1 シート製造システム
2 シート
10 プロファイル設定装置
11 通信部
12 記憶部
13 入力部
14 表示部
15 制御部
20 押し出し機
30 Tダイ
31 空洞部
32 リップ
33 リップ
34 吐出口
35 操作端
40 冷却ロール
50 第1測定機
60 乾燥炉
70 第2測定機
80 巻取機
90 プロファイル制御装置
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10