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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】ロボット操作端末
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/06 20060101AFI20240123BHJP
   G05B 19/18 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
B25J19/06
G05B19/18 X
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019226402
(22)【出願日】2019-12-16
(65)【公開番号】P2021094630
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-10-03
(73)【特許権者】
【識別番号】501428545
【氏名又は名称】株式会社デンソーウェーブ
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】中村 瑞季
(72)【発明者】
【氏名】當眞 博太
(72)【発明者】
【氏名】山本 智哉
【審査官】杉山 悟史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/119382(WO,A1)
【文献】特開2016-112651(JP,A)
【文献】特開2005-131747(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ~ 21/02
G05B 19/18 ~ 19/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットを制御するコントローラに接続され、操作者が入力操作を行うことで前記ロボットの運転や設定を行うための操作端末であって、
前記操作者について操作権限を確認するための固有ログイン処理の要否が、それぞれ個別に設定されている複数のアプリケーションプログラムが搭載され
端末本体が起動された際に、初期設定されている任意のアプリケーションプログラムが起動され、
前記複数のアプリケーションプログラムが実行される際のプロセスを管理する管理プログラムが搭載されており、
操作者が入力操作を開始する際には、前記初期設定されているアプリケーションプログラムよりも前に前記管理プログラムが起動され、
前記管理プログラムは、前記操作者に対して操作権限を確認するための管理ログイン処理を実行させ、
その後に前記操作者の選択に応じて実行されるアプリケーションプログラムについて、前記操作者が操作権限を有しているか否かを判断し、
操作権限を有していると判断すると、前記アプリケーションプログラムに処理を引き渡し、
操作権限を有していないと判断すると、前記管理ログイン処理を実行させてから前記アプリケーションプログラムに処理を引き渡し、
前記アプリケーションプログラムが前記固有ログイン処理を必要とするものであれば、前記操作者に当該固有ログイン処理を実行させるロボット操作端末。
【請求項2】
前記固有ログイン処理が不要であり、前記操作者が前記ロボットの基本的な動作を指示できるアプリケーションプログラムが初期設定されている請求項記載のロボット操作端末。
【請求項3】
前記複数のアプリケーションプログラムには、当該プログラムの実行中において、更に操作権限が異なる固有ログイン処理を1回以上必要とするものを含む請求項1又は2記載のロボット操作端末。
【請求項4】
前記操作権限が、3段階以上に設定されている請求項1からの何れか一項に記載のロボット操作端末。
【請求項5】
前記ロボットの動作状態を変更するための操作子や、当該ロボットに関する複数のステータスがシンボルで表示されるスーテタスバーが表示画面の一部に表示される請求項1からの何れか一項に記載のロボット操作端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットを操作するために操作者が入力を行う端末に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばティーチングペンダントと称されるロボットの操作端末は、近年処理能力の向上や通信速度の高速化、画面に表示される画像の解像度の向上等が進むと共に多機能化が進んでおり、様々なアプリケーションプログラムが搭載されている。また、工場等に生産設備として設置される産業用ロボットについては、その周囲にある物品の破壊等を防止し、人の安全を確保するため、悪意のある操作や誤った操作が行われることを排除する必要がある。
【0003】
更に、操作者の役割は、産業用ロボットの製品ライフサイクルの各段階,例えば開発,製造,システムインテグレータによる特定用途への適用,現場稼働,保守,研究などの段階に応じて異なる。加えて、ロボットが生産現場において稼働している状態では、不特定多数の操作者が操作端末の操作に関わる可能性がある。
【0004】
このように、多様なニーズがあるロボット操作端末については、安全性を確保する点から、例えばパーソナルコンピュータにおけるログイン処理のように操作者の身元や操作権限を識別する処理を行った上で、入力操作が可能になるものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-131747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、現状のロボットの操作端末には、ログイン処理が必要な端末か、必要でない端末の何れかしか選択肢がなく、それぞれの機能が異なる多様なアプリケーションプログラムを実行するに当たって、適切な操作者を識別できているとは言い難い。
【0007】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、様々なアプリケーションプログラムを実行する際に、それぞれに適切な操作者を識別できるロボット操作端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載のロボット操作端末によれば、操作者について操作権限を確認するための固有ログイン処理の要否が、それぞれ個別に設定されている複数のアプリケーションプログラムが搭載されている。このように構成すれば、アプリケーションプログラムの内容に応じて適切な操作権限の要否を確認した上で、対応するプログラムにおける操作を操作者に許可することができる。したがって、ロボットを動作させる際の安全性を向上させることができる。
【0009】
また、請求項記載のロボット操作端末によれば、端末本体が起動された際に、初期設定されている任意のアプリケーションプログラムが起動される。これにより、初期設定されたプログラムが固有ログイン処理を要しないものであれば、操作者は、直ちに当該プログラムを実行できる。また、固有ログイン処理を要するものであれば操作者が当該ログイン操作を行うことで、安全性が確認された上で当該プログラムを実行できる。
さらに、請求項1記載のロボット操作端末によれば、複数のアプリケーションプログラムが実行される際のプロセスを管理する管理プログラムが搭載され、操作者が入力操作を開始する際には、最初に管理プログラムが起動される。管理プログラムは、操作者に対して操作権限を確認するための管理ログイン処理を実行させる。また管理プログラムは、その後に操作者の選択に応じて実行されるアプリケーションプログラムについて、当該操作者が操作権限を有しているか否かを判断する。
そして、管理プログラムは、操作権限を有していると判断すると前記アプリケーションプログラムに処理を引き渡し、操作権限を有していないと判断すると管理ログイン処理を実行させてから前記プログラムに処理を引き渡す。処理を引き渡されたアプリケーションプログラムが固有ログイン処理を必要とするものであれば、操作者が当該固有ログイン処理を実行することになる。
このように構成すれば、操作者の操作権限を、更に、管理プログラムにおける管理ログイン処理のみ又は当該管理ログイン処理と、アプリケーションプログラムにおける固有ログインとの2段階によっても確認することができる。前者の場合は、管理ログイン処理を実行することで操作権限が確認された操作者については、その後の固有ログイン処理を不要とすることができる。また、後者の場合は2段階のログイン処理によって、ロボットを動作させる際の安全性を更に向上させることができる。
【0010】
請求項記載のロボット操作端末によれば、固有ログイン処理が不要で、操作者がロボットの基本的な動作を指示できるアプリケーションプログラムが初期設定されている。これにより、操作者は、ロボットが設置されている現場において、ログイン処理を行うことなくロボットを直ちに動作させることが可能になる。
【0014】
請求項記載のロボット操作端末によれば、複数のアプリケーションプログラムに、当該プログラムの実行中において、更に操作権限が異なる固有ログイン処理を1回以上必要とするものを含む。これにより、1つのアプリケーションプログラムにより複数の機能が実行される際に、その機能の内容に応じて実行前に、操作者の操作権限を確認できる。
【0015】
請求項記載のロボット操作端末によれば、操作権限が3段階以上に設定されるので、アプリケーションプログラムの機能に応じて、必要とされるレベルの操作権限を適切に設定できる。
【0016】
請求項記載のロボット操作端末によれば、ロボットの動作状態を変更するための操作子や、動作状態を示す複数のステータスがシンボルで表示されるスーテタスバーを表示画面の一部に表示する。これにより、操作者は、ロボットの動作中においても、スーテタスバーを参照することでロボットの動作状態の概要を把握でき、表示されている操作子を操作することでロボットの動作状態を容易に変更できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態であり、ロボット制御システムの構成を示す機能ブロック図
図2】操作端末に搭載されるアプリケーションプログラムの異なる例を示す図
図3】操作端末における処理を要旨に係る部分について示すフローチャート
図4】操作端末に電源が投入されて起動された場合に表示される初期画面の例を示す図(その1)
図5】操作端末に電源が投入されて起動された場合に表示される初期画面の例を示す図(その2)
図6】操作端末に電源が投入されて起動された場合に表示される初期画面の例を示す図(その3)
図7】操作端末に電源が投入されて起動された場合に表示される初期画面の例を示す図(その4)
図8】「リスト型」の表示により起動アプリを選択するよりリアルな画面表示を示す図
図9】「モニタ型」の表示により起動アプリを選択するよりリアルな画面表示を示す図
図10】タスクバーを拡大して示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態のロボット制御システム1は、ロボット本体及びそのコントローラを含むロボット2と、ロボット2に接続される操作端末3及び外部機器4とを備えている。ロボット2のコントローラには、ロボットを制御するアプリケーションプログラムであるロボット制御アプリケーション5が搭載されている。以下「アプリケーションプログラム」については、「アプリケーション」又は「アプリ」と称する場合がある。
【0019】
操作端末3には、操作端末アプリ6及びその他の任意アプリ7~9が搭載されており、任意アプリ7及び8については、何れもロボット2の操作が可能なアプリである。そして、任意アプリ7は外部機器4の制御や、外部機器4からの信号入力が行われるアプリであり、任意アプリ8は外部機器4には接続されないアプリである。操作端末アプリ6は、操作端末3自体の設定変更を行ったり、操作者がロボット2の基本的な、簡易な動作を指示できるアプリである。また、アプリ管理アプリ10は、アプリ6~9にてそれぞれ実行されるプロセスの管理を行うアプリであり、管理プログラムに相当する。以下、単に「管理アプリ10」と称す。
【0020】
外部機器4は、例えばカメラ11,センサ12及びアクチュエータ13を備えている。カメラ11は、例えばロボット2が稼働する際に必要な画像情報を取得してコントローラに入力する。センサ12も同様に、ロボット2が稼働する際に必要なセンシング情報を取得してコントローラに入力する。アクチュエータ13は、例えばロボット2以外の制御対象であるサーボモータなどである。これらを含む外部機器4は、ロボット制御アプリ5により制御される。尚、ロボット2,操作端末3,外部機器4間における各信号のやり取りは、図中に示す「物理的接続」線又は回線を介して行われる。
【0021】
また、図1では、例示的に4つのアプリ6~9を示しているが、操作端末3に実際に搭載されているアプリケーションプログラムの数は、より多いのが一般的である。図2では、異なる分類で示す複数のアプリを示している。本実施形態では、アプリ毎に固有のログイン処理の要否が設定されている。操作端末3を操作する者として、例えば下記のようにレベル1~4の権限が設定されており、レベル1の権限が最も低い。
1.オペレータ
2.プログラマ
3.保守
4.管理者
これらのうち「オペレータ」は、操作端末3自体へのログイン処理が不要な操作者であり、それ以外の「プログラマ」~「管理者」は、何れも操作端末3自体へのログイン処理が必要な操作者である。以下では、操作者を「ユーザ」と称する場合がある。
【0022】
「オペレータ」は、操作端末アプリ6及びアプリ21を、アプリ固有のログイン処理無しで実行できる。アプリ22については、固有のログイン処理を行う必要があり、「4段階」とは、アプリ22を実行する際の各段階に応じて、4つの異なるログイン処理を行う必要があることを意味する。以下、上記「固有のログイン」を「固有ログイン」と称する。また、これとは別に、管理アプリ10において実行されるログインを「管理ログイン」と称する。
【0023】
「プログラマ」は、「オペレータ」が実行可能な上記のアプリに加えて、アプリ23~25を実行できる。アプリ23は固有ログイン処理無しで実行できるが、アプリ24及び25は固有ログイン処理を行う必要がある。アプリ25はアプリ22と同様に、実行する際の各段階に応じて4つの異なるログイン処理を行う必要がある。
【0024】
「保守」は、「プログラマ」が実行可能なアプリに加えて、アプリ26及び27を実行できる。アプリ26は固有ログイン処理無しで実行できるが、アプリ27は固有のログイン処理,且つ実行する各段階に応じて2つの異なるログイン処理を行う必要がある。
【0025】
「管理者」は、「保守」が実行可能なアプリに加えて、アプリ28~30を実行できる。アプリ28は固有ログイン処理無しで実行できるが、アプリ29及び30は固有ログイン処理を行う必要がある。アプリ30はアプリ22と同様に、実行する際の4つの段階に応じて異なるログイン処理を行う必要がある。
【0026】
次に、本実施形態の作用について説明する。尚、図3中の「TP」は「ティーチングペンダント」であり、操作端末3を意味する。この図3に示すように、操作端末3に電源が投入されると、最初に管理アプリ10が起動され(S1)、続いて予め選択により設定されている任意のアプリケーションが起動される(S2)。ユーザが選択により変更しなければ、通常は操作端末アプリ6が起動される。
【0027】
管理アプリ10は、ステップS2において起動されるアプリである起動時アプリの変更が無ければ(S3;NO)ステップS7に移行する。起動時アプリの変更があれば(S3;YES)、現在のユーザが当該変更を行う操作権限,例えばリスクアセス権限を有しているユーザか否かを判断する(S4)。尚、「現在のユーザ」は、起動時アプリの変更が無い限り、前回に操作端末3の操作を行っていたユーザとなる。現在のユーザに起動時アプリの操作権限が無ければ(NO)ステップS7に移行する。一方、現在のユーザに前記操作権限があれば(YES)、ユーザが起動時アプリの選択を行い(S5)、管理アプリ10が次回の起動時アプリを変更する(S6)。
【0028】
ステップS7では、その時点でユーザの切り替えがあれば(YES)、ユーザが選択的に管理アプリ10での管理ログイン操作を行い(S8,S9)ユーザを変更する(S10)。それから、ステップS11に移行する。ステップS7でユーザの切り替えがなければ(NO)そのままステップS11に移行する。
【0029】
ステップS11において、ユーザが起動時アプリの機能を実行することを選択すると(YES)、管理アプリ10は、前記機能について操作権限が必要か否かを判断する(S12)。ここで「機能」とは、起動時アプリの全体によりなされるものに限らず、起動時アプリが複数の機能を選択的に実行可能であれば、ユーザにより選択された一部の機能でも良い。そして、実行対象の機能について操作権限が必要であれば(YES)、管理アプリ10は、ユーザに管理ログイン操作を行わせる(S13)。
【0030】
尚、デフォルトで設定する起動時アプリとしては、固有ログイン処理が不要で、操作者がロボットの基本的な動作を指示できる操作端末アプリ6が望ましい。これにより、操作者は、ロボット2が設置されている現場において、ログイン処理を行うことなくロボット2を直ちに動作させることが可能になる。
【0031】
それから、管理アプリ10は、処理を起動時アプリに引き渡してその機能を実行させる(S14)。起動時アプリが、当該プログラムの全体又は一部の機能を実行する際に固有ログインを必要とするものであれば、ここで固有ログイン処理が実行される。その後、ステップS15に移行する。ステップS11において、ユーザが起動時アプリの機能を実行しなければ(NO)、そのままステップS15に移行する。
【0032】
ステップS15において、ユーザがアプリの切り替えを選択すると(YES)、管理アプリ10は、選択されたアプリについて前記機能について操作権限が必要か否かを判断する(S16)。操作権限が必要であれば(YES)、管理アプリ10は、ユーザに管理ログイン操作を行わせてから(S17)アプリの切り替えを実行し、処理を切替え後のアプリに引き渡す(S18)。ここでも、切り替え後のアプリが、当該プログラムの全体又は一部の機能を実行する際に固有ログインを必要とするものであれば、ここで固有ログイン処理が実行される。その後、操作端末3の操作を継続するのであれば(S19;NO)ステップS3に戻る。
【0033】
尚、図3では、各ログイン処理の結果、ユーザに操作権限が無いと判断された場合の処理を示していない。この場合は、例えば異なるユーザによるログイン操作を求めたり、操作端末3の操作自体を中止するなどすれば良い。
【0034】
以上のように制御することで、本実施形態の操作端末3におけるログイン処理の態様は、以下の4態様となる。
(1)ログイン無し
(2)固有ログインのみ
(3)管理ログインのみ
(4)固有ログイン及び管理ログイン
【0035】
これらのうち、(1)及び(2)については、例えば操作端末3において使用したい機能がロボット2の機能と独立しているアプリが適している。例えば、表管理や文書編集を行う生産支援ソフト等である。
(3)については、使用したい機能がロボット2の機能に内包されているアプリが適している。例えば、ロボット2のモード切替えや制御プログラムのようにロボット2の制御機能を有するソフトである。
(4)については、使用したい機能の一部がロボット2の機能の一部と重複しているアプリが適している。例えば、カメラ11やセンサ12の設定変更のように外部機器4の制御機能を有するソフトである。
【0036】
ここで、図4から図7は、操作端末3に電源が投入されて起動された場合に、操作端末3のディスプレイに表示される初期画面の例を示す。図4は「プレビュー型」であり、画面左側にアプリ1~6の名称を表示し、右側に現在選択されているアプリ1のプレビューを表示させる。プレビューとしては、選択中のアプリの機能の概要等を表示させても良い。この場合、アプリの情報量を多く提示できる。
【0037】
図5は「リスト型」であり、図4における左側のリスト形式の表示のみを行う。図6は「モニタ型」であり、画面全体を例えば6分割してアプリ1~6の名称を表示する。これらによれば、操作端末3にインストールされているアプリの全体を、見通し良くユーザに提示できる。特に「リスト型」は、省スペース化を図ることができる。
【0038】
図7は「カルーセル型」であり、インストールされているアプリが「1~6」であれば、中央に先頭のアプリ1,その右側にアプリ2,アプリ1の左側に末尾のアプリ6を表示する。そして、ユーザがカーソルを操作することで、表示するアプリを循環させる。これは、「プレビュー型」と「リスト型」との中間の表示形態であり、アプリの情報量の確保と表示画面の省スペース化とのバランスをとったものになる。
【0039】
図8及び図9は、操作端末3の画面表示をよりリアルな形態で示すもので、図8は「リスト型」の表示により起動アプリを選択する画面、図9は「モニタ型」の表示によりアプリの切り替えを行う画面の例である。尚、これらの画面の上端側には、ステータスバー14が表示されているが、以下、ステータスバー14の詳細について説明する。
【0040】
図10に示すように、ステータスバー14には、ロボットの動作状態を切替えるための操作子や、ロボットの動作状態を示す複数のステータスがシンボルで表示される。
(1)「モード切替」
自動,手動,ティーチチェック,リモート及びダイレクトといった動作モードを切り替えるための操作子である。
(2)「起動権」
ANY,Ether,IO,TP等のロボットプログラムを起動できる操作子である。
(3)「プログラム実行状態」
プログラムの実行中及び停止中,特権タスク実行中,プログラム及び特権タスク実行中,メッセージ出力,特異点近傍等の状態を表示する。
(4)「I/O設定」
IOロック,擬似入力,拡張機能有り等、I/Oに関する設定を表示する。
(5)「システム稼働状態」
【0041】
エラー有り,ワーニング有り,外部機器接続中等のシステムの稼働状態を表示する。
(6)「ハードSW状態」
非常停止,防護停止,自動イネーブル,イネーブルスイッチといったハードウェアスイッチの設定状態を表示する。
(7)「ロボット名称」
ユーザが任意に入力指定したロボットの名称が表示される。
(8)「ワーク/ツール番号」
例えばW0は対象としているワーク0番,T0は使用しているツール0番を示す。
(9)「速度」
ロボットの動作速度をパーセンテージで示す。
【0042】
以上のように本実施形態によれば、操作端末3は、操作者について操作権限を確認するための固有ログイン処理の要否が、それぞれ個別に設定されている複数のアプリケーションプログラム7~9又は21~30が搭載される。したがって、アプリ7~9等の内容に応じて適切な操作権限の要否を確認した上で、対応するアプリ7~9等における操作を操作者に許可することができる。これにより、ロボット2を動作させる際の安全性を向上させることができる。
【0043】
そして、操作端末3には、アプリ7~9等が実行される際のプロセスを管理するアプリ管理アプリ10が搭載され、操作端末3が起動されて操作者が入力操作を開始する際には、最初に管理アプリ10が起動される。管理アプリ10は、操作者に対して操作権限を確認するための管理ログイン処理を実行させる。また、その後に操作者の選択に応じて実行されるアプリケーションプログラムについて、操作者が操作権限を有しているか否かを判断する。
【0044】
管理アプリ10は、操作権限を有していると判断すると前記アプリケーションプログラムに処理を引き渡し、操作権限を有していないと判断すると管理ログイン処理を実行させてから前記プログラムに処理を引き渡す。処理を引き渡されたアプリケーションプログラムが固有ログイン処理を必要とするものであれば、操作者に当該固有ログイン処理を実行させる。このように構成すれば、操作者の操作権限を、更に管理アプリ10における管理ログイン処理のみ又は当該管理ログイン処理及びアプリにおける固有ログインとの2段階でも確認することができる。前者の場合は、管理ログイン処理を実行することで操作権限が確認された操作者については、その後の固有ログイン処理を不要にできる。また、後者の場合は2段階のログイン処理によって、ロボットを動作させる際の安全性を更に向上させることができる。
【0045】
また、アプリ21~30に、当該プログラムの実行中において、更に操作権限が異なる固有ログイン処理を1回以上必要とするものとしてアプリ22,25,30を含む。これにより、1つのアプリ22等により複数の機能が実行される際に、その機能の内容に応じて実行前に、操作者の操作権限を確認できる。そして、操作者の操作権限を4段階に設定したので、アプリケーションプログラムの機能に応じて、必要とされるレベルの操作権限を適切に設定できる。
【0046】
また、デフォルトで設定する起動時アプリとを操作端末アプリ6とすることで、操作者は、ロボット2が設置されている現場において、ログイン処理を行うことなくロボット2を直ちに動作させることが可能になる。
【0047】
更に、操作端末3は、ロボット2の動作状態を変更するための操作子や、動作状態を示す複数のステータスがシンボルで表示されるスーテタスバー14を表示画面の一部に表示する。これにより、操作者は、ロボット2の動作中においても、スーテタスバー14を参照することでロボット2の動作状態の概要を把握でき、表示されている操作子を操作することでロボット2の動作状態を容易に変更できる。
【0048】
本発明は上記した、又は図面に記載した実施形態にのみ限定されるものではなく、以下のような変形又は拡張が可能である。
操作端末3が起動された際に、最初に起動されるプログラムは管理アプリ10に限らず、操作者の選択に応じて任意のアプリ7~9,21~30等でも良い。
スーテタスバー14に表示する項目は(1)~(9)の全てに限らず、これらを必要に応じて選択すれば良い。また、10項目以上を表示させても良い。
スーテタスバー14を表示する位置は、画面の下端や左端,右端でも良い。また、上端及び下端の両側や左端及び右端の両側,或いは画面の4辺に沿って表示させても良い。また、スーテタスバー14は必要に応じて表示すれば良い。
【0049】
操作権限の段階数は、必要に応じて適宜設定すれば良い。例えば「管理者」より上位となる「リスクアセッサ」を設定しても良い。
起動時に全てのアプリを立ち上げても良い。
固有ログイン処理をアプリの実行開始時に要求せず、アプリ内において操作権限が必要となる機能の実行時に要求しても良い。
最初に起動される任意のアプリは、予めメーカが設定してアプリでも良い。この場合、
操作端末3に異常が発生しても、ロボット2のコントローラからの監視でロボット2を安全に停止できるアプリを優先して設定できる。
【0050】
起動するアプリに優先順位を設定しても良い。例えば、「ロボット操作」用のメーカアプリ,EVP(イージービジョンピッキング)や原点復帰等のメーカアプリ,ユーザが選択したアプリのように順位を設定する。優先順位の基準は、例えばCPU優先度、マルチコア構成の場合にコアの割り当て、通信制限、プロセス監視等に基づく。
【0051】
複数のアプリを同時に実行しても良い。例えば、画面切り替えの速度が十分であれば、アプリケーション毎の操作をバックグラウンドでも実行できる。また、アプリ毎に終了,再起動ができる。
アプリ管理アプリ10は、プロセス監視により各アプリを管理する。監視対象としては、例えばCPUの負荷率,メモリ使用量,生存確認、ホワイトリストなどである。
複数のアプリの制御は互いに独立しており、他のアプリの影響が極力排除される。
【符号の説明】
【0052】
図面中、1はロボット制御システム、2はロボット、3は操作端末、6は操作端末アプリ6、7~9は任意アプリ、10はアプリ管理アプリ、14はステータスバー、21~30はアプリである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10