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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/00 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
G03G21/00
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019228443
(22)【出願日】2019-12-18
(65)【公開番号】P2021096394
(43)【公開日】2021-06-24
【審査請求日】2022-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】芳賀 正安
(72)【発明者】
【氏名】森田 さや香
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 國智
【審査官】飯野 修司
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-097171(JP,A)
【文献】特開2016-133526(JP,A)
【文献】特開2009-198895(JP,A)
【文献】特開2009-015229(JP,A)
【文献】特開2009-008818(JP,A)
【文献】特開2010-091961(JP,A)
【文献】特開2018-031948(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体と、
前記像担持体上に潤滑剤を塗布する塗布部と、
前記像担持体上の前記潤滑剤の量を調整するモードを、第1モードと第2モードとに切替可能な切替部とを備え、
前記第1モードは、前記像担持体上の前記潤滑剤の量を増やすモードであり、
前記第2モードは、前記像担持体上の前記潤滑剤の量を減らすモードであり、
前記切替部は、前記像担持体および前記塗布部の各々の駆動状況に基づいて、前記モードを前記第1モードと前記第2モードとに切り換え
前記切替部は、前記像担持体の駆動に対する前記塗布部の駆動割合に基づいて、前記モードを前記第1モードと前記第2モードとに切り換える、画像形成装置。
【請求項2】
像担持体と、
前記像担持体上に潤滑剤を塗布する塗布部と、
前記像担持体上の前記潤滑剤の量を調整するモードを、第1モードと第2モードとに切替可能な切替部とを備え、
前記第1モードは、前記像担持体上の前記潤滑剤の量を増やすモードであり、
前記第2モードは、前記像担持体上の前記潤滑剤の量を減らすモードであり、
前記切替部は、前記像担持体および前記塗布部の各々の駆動状況に基づいて、前記モードを前記第1モードと前記第2モードとに切り換え、
前記切替部は、前記像担持体の駆動距離と前記塗布部の駆動距離との比率、または、前記像担持体の駆動時間と前記塗布部の駆動時間との比率に基づいて、前記モードを前記第1モードと前記第2モードとに切り換える、画像形成装置。
【請求項3】
像担持体と、
前記像担持体上に潤滑剤を塗布する塗布部と、
前記像担持体上の前記潤滑剤の量を調整するモードを、第1モードと第2モードとに切替可能な切替部とを備え、
前記第1モードは、前記像担持体上の前記潤滑剤の量を増やすモードであり、
前記第2モードは、前記像担持体上の前記潤滑剤の量を減らすモードであり、
前記切替部は、前記像担持体および前記塗布部の各々の駆動状況に基づいて、前記モードを前記第1モードと前記第2モードとに切り換え、
前記切替部は、前記像担持体の駆動距離または前記像担持体の駆動時間と、前記像担持体の駆動に対する前記塗布部の駆動割合とに基づいて、前記モードを前記第1モードと前記第2モードとに切り換える、画像形成装置。
【請求項4】
像担持体と、
前記像担持体上に潤滑剤を塗布する塗布部と、
前記像担持体上の前記潤滑剤の量を調整するモードを、第1モードと第2モードとに切替可能な切替部とを備え、
前記第1モードは、前記像担持体上の前記潤滑剤の量を増やすモードであり、
前記第2モードは、前記像担持体上の前記潤滑剤の量を減らすモードであり、
前記切替部は、前記像担持体および前記塗布部の各々の駆動状況に基づいて、前記モードを前記第1モードと前記第2モードとに切り換え、
前記切替部は、
前記像担持体の駆動に対する前記塗布部の駆動割合が第1閾値を下回る場合には、前記モードを前記第1モードに切り替え、
前記像担持体の駆動に対する前記塗布部の駆動割合が第2閾値を上回る場合には、前記モードを前記第2モードに切り替え、
前記第1閾値は前記第2閾値以下である、画像形成装置。
【請求項5】
前記切替部は、
前記像担持体の駆動距離または前記像担持体の駆動時間が第3閾値を超え、かつ、前記像担持体の駆動に対する前記塗布部の駆動割合が前記第1閾値を下回る場合には、前記モードを前記第1モードに切り替え、
前記像担持体の駆動距離または前記像担持体の駆動時間が前記第3閾値を超え、かつ、前記像担持体の駆動に対する前記塗布部の駆動割合が前記第2閾値を上回る場合には、前記モードを前記第2モードに切り替える、請求項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
像担持体と、
前記像担持体上に潤滑剤を塗布する塗布部と、
前記像担持体上の前記潤滑剤の量を調整するモードを、第1モードと第2モードとに切替可能な切替部とを備え、
前記第1モードは、前記像担持体上の前記潤滑剤の量を増やすモードであり、
前記第2モードは、前記像担持体上の前記潤滑剤の量を減らすモードであり、
前記切替部は、前記像担持体および前記塗布部の各々の駆動状況に基づいて、前記モードを前記第1モードと前記第2モードとに切り換え、
前記モードに制御される時間は、前記像担持体の駆動に対する前記塗布部の駆動割合に基づいて決定される、画像形成装置。
【請求項7】
前記第1モードは、前記像担持体と前記塗布部とを駆動するモードであり、
前記第2モードは、前記像担持体を駆動させるが、前記塗布部を駆動させないモードである、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記切替部は、画像形成動作が終了した後の所定のタイミングで、前記モードを前記第1モードと前記第2モードとに切り換える、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記切替部は、画像形成動作を中断して、前記モードを前記第1モードまたは前記第2モードに切り換える、請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記像担持体の駆動状況と前記塗布部の駆動状況とを記憶する記憶部をさらに備え、
前記記憶部は、前記モードに制御された後に、前記像担持体の駆動状況と前記塗布部の駆動状況とを初期化する、請求項1~請求項のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式に従う画像形成装置は、帯電された像担持体上に各色のトナー像を形成し、それらを転写ベルト上で重ね合わせ、重ね合わせたトナー像をシートに転写する。このような画像形成装置においては、像担持体の表面に潤滑剤を塗布する塗布装置を備えているものがある。塗布装置は、潤滑剤棒と塗布ブラシとを備える。塗布装置は、塗布ブラシの回転によって潤滑剤棒を削り取り、削り取った潤滑剤を像担持体に塗布する。像担持体の表面に潤滑剤を塗布することにより、像担持体上に形成されたトナー像を転写ベルトに転写するときの転写不良の発生を抑え、転写されたトナー像の画質を高めることができる。その一方で、像担持体の表面に潤滑剤を塗布しすぎると、像担持体の表面電位が低下し、かえって画像不良を引き起こしてしまう。そこで、最適な量の潤滑剤が像担持体上に塗布されていることが必要とされている。
【0003】
特開2008-180789号公報(特許文献1)には、感光体ドラムに潤滑剤を塗布するモードを備え、当該モードの実行間隔を1枚あたりの画像面積と1ジョブあたりの印刷枚数とに基づいて変更する画像形成装置が記載されている。
【0004】
特開2006-259091号公報(特許文献2)には、作像が終了する毎に像担持体へ潤滑剤を塗布し、潤滑剤を塗布する時間を作像数に応じて変更する画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2008-180789号公報
【文献】特開2006-259091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特開2008-180789号公報または特開2006-259091号公報に記載された画像形成装置は、像担持体上の潤滑剤を適切なタイミングで補充することにより、像担持体上の潤滑剤の量の調整を図るものであった。このため、両文献に記載された画像形成装置では、像担持体上の潤滑剤の量が過多の場合に像担持体上の潤滑剤の量を調整することについては考慮されていなかった。
【0007】
本開示は、係る実情に鑑みてなされたものであり、像担持体上の潤滑剤の量が不足している場合のみならず、過多の場合にも、像担持体上の潤滑剤の量を調整することのできる画像形成装置を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
ある実施の形態に従う画像形成装置は、像担持体と、像担持体上に潤滑剤を塗布する塗布部と、像担持体上の潤滑剤の量を調整するモードを、第1モードと第2モードとに切替可能な切替部とを備える。第1モードは、像担持体上の潤滑剤の量を増やすモードであり、第2モードは、像担持体上の潤滑剤の量を減らすモードである。切替部は、像担持体および塗布部の各々の駆動状況に基づいて、モードを第1モードと第2モードとに切り換える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、像担持体上の潤滑剤の量が不足している場合のみならず、過多の場合にも、像担持体上の潤滑剤の量を調整することができるので、像担持体上の潤滑剤の量が最適化され、画像不良が発生しにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】画像形成装置の全体構成を示す図である。
図2】画像形成装置のハードウエア構成を示す図である。
図3】イメージングユニットを示す図である。
図4】画像形成装置における画像形成時の、感光体ドラムと塗布ブラシとの駆動タイミングを示すタイミングチャートである。
図5】画像形成装置における、感光体ドラムの駆動に対する塗布ブラシの駆動割合を1ジョブあたりの印刷枚数別に示す図である。
図6】駆動制御切替処理を示すフローチャートである。
図7】制御モードと制御時間とを塗布ブラシの駆動割合別に示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0012】
図1図3を参照して、画像形成装置100の概要を説明する。図1は、画像形成装置100の全体構成を示す図である。図2は、画像形成装置100のハードウエア構成を示す図である。画像形成装置100は、カラーの複合機(MFP:Multi-Functional Peripheral)であるが、モノクロの複合機でもよい。また、画像形成装置100は、複写機やプリンターでもよい。
【0013】
画像形成装置100は、スキャナー10、プリンター20、給紙部30、操作パネル40、通信インターフェース50、制御部60、およびハードディスク70を備える。スキャナー10、プリンター20、給紙部30、操作パネル40、通信インターフェース50、制御部60、およびハードディスク70は、バス90を介して接続される。
【0014】
スキャナー10は、原稿を光学的に読み取って画像に変換する。
【0015】
プリンター20は、ジョブに基づいてシートに画像を形成する(以下、「印刷する」とも称す)。プリンター20は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)のそれぞれのトナー像を形成するイメージングユニット200C,200M,200Y,200K(以下、「イメージングユニット200」と総称することもある。)を含む。プリンター20は、イメージングユニット200が形成したトナー像を中間転写ベルト206上で重ね合わせる。プリンター20は、重ね合わせたトナー像を給紙部30から搬送されてきたシートに転写し、トナー像が定着したシートを排紙トレイ5へ排出する。
【0016】
給紙部30は、給紙トレイ31に収容されているシートを1枚ずつプリンター20へ供給する。なお、給紙トレイ31に収容されるシートは、普通紙に限られず、薄紙、厚紙、封筒、またはOHP(Overhead Projector)フィルム等でもよい。
【0017】
操作パネル40は、ユーザーによる入力操作を受け付ける、タッチパネル式のディスプレイである。操作パネル40には、各種設定画面やユーザーへの通知が表示される。
【0018】
通信インターフェース50は、他の装置(例えば、PC等)と通信する。通信インターフェース50は、PCから送信されてきた画像データを受信する。通信インターフェース50は、例えば、USBインターフェース、Bluetooth(登録商標)インターフェース、またはネットワークインターフェース等である。
【0019】
制御部60は、CPU(Central Processing Unit)61、RAM(Random Access Memory)62、およびROM(Read Only Memory)63を備える。CPU61は、ROM63に保存されている動作プログラムを実行することにより、画像形成装置100全体を総括的に制御する。ROM63は、CPU61が実行するプログラムやその他のデータを記憶する。RAM62は、CPU61がプログラムを実行する際の作業領域となるものであり、プログラムやプログラムを実行する際のデータ等を一時的に記憶する。
【0020】
ハードディスク70は、プログラムや各種データを記憶する。各種データは、例えば、操作パネル40より入力された印刷に関する設定内容や、後述する制御モードと制御時間とを纏めたテーブル等である。
【0021】
図3は、イメージングユニット200を示す図である。イメージングユニット200は、感光体ドラム201、帯電装置202、露光装置203、現像装置204、中間転写装置205、中間転写ベルト206、クリーニング装置207、および潤滑剤塗布装置211を含む。帯電装置202、露光装置203、現像装置204、中間転写装置205、クリーニング装置207、および潤滑剤塗布装置211は、感光体ドラム201の周囲に配置されている。
【0022】
感光体ドラム201は、像担持体の一例である。感光体ドラム201には、その表面にトナー像を担持する感光層が形成されている。感光体ドラム201は、その表面にトナー像が形成されるように配置され、中間転写ベルト206の回転方向に対応する方向に回転する。なお、像担持体は、感光体ドラム201に限られず、感光体ベルトであってもよい。感光体ドラム201の表面には、静電潜像が露光装置203によって形成される。感光体ドラム201の表面に形成された静電潜像が現像装置204によって現像されることにより、トナー像が感光体ドラム201の表面に形成される。
【0023】
帯電装置202は、感光体ドラム201の表面を所定電位に一様に帯電する。
【0024】
露光装置203は、指定された画像パターンに従って感光体ドラム201の表面を露光することで、その表面上に静電潜像を形成する。
【0025】
現像装置204は、感光体ドラム201と現像領域を介して対向するように配置された現像ローラー204Aを有する。現像ローラー204Aは、現像領域に現像剤を供給する。現像剤にはトナーが含まれている。現像領域に到達したトナーは、感光体ドラム201に形成された静電潜像と現像ローラー204Aとの電位差に従い、静電潜像に付着する。これにより、静電潜像が現像される。
【0026】
現像装置204により感光体ドラム201上に形成されたトナー像は、感光体ドラム201と中間転写装置205との間に形成される転写領域に運ばれる。中間転写装置205にはトナーの帯電極性とは逆極性の転写バイアスが印加されており、この転写バイアスによって、転写領域において感光体ドラム201上のトナー像は中間転写ベルト206へ転写される。このように、中間転写装置205は、トナー像を被転写媒体である中間転写ベルト206に転写する。
【0027】
転写領域において中間転写ベルト206へ転写されずに感光体ドラム201上に残ったトナーは、クリーニング装置207によって除去される。クリーニング装置207は、クリーニングブレードと搬送スクリューとを含む。クリーニングブレードは、弾性体からなる平板状のブレードであり、感光体ドラム201の表面に当接している。感光体ドラム201上の残留トナーは、クリーニングブレードによって回収され、搬送スクリューによってクリーニング装置207の外部に搬送される。
【0028】
潤滑剤塗布装置211は、感光体ドラム201に潤滑剤を塗布する。潤滑剤塗布装置211は、潤滑剤棒208、塗布ブラシ209、および均しブレード210を含む。
【0029】
潤滑剤棒208は、金属石鹸(例えば、ステアリン酸亜鉛)の粉体を溶融して棒状に整形したものである。塗布ブラシ209は、感光体ドラム201とは逆方向に回転する。塗布ブラシ209の周速は、感光体ドラム201の周速の約1.6倍に設定されている。塗布ブラシ209の回転によって、潤滑剤棒208の一部が削り取られて感光体ドラム201の表面に塗布される。均しブレード210は、感光体ドラム201に塗布された紛体の潤滑剤を押し潰して感光体ドラム201上に均す。これにより、潤滑剤の皮膜が、感光体ドラム201の表面に均一に形成される。
【0030】
クリーニング装置207によりトナーが除去され、潤滑剤塗布装置211により潤滑剤を塗布された感光体ドラム201は再び帯電装置202により帯電され、次の静電潜像およびトナー像が形成される。イメージングユニット200では、このような一連の画像形成動作が繰り返される。潤滑剤塗布装置211によって感光体ドラム201に塗布された潤滑剤は、感光体ドラム201の駆動に伴って消費される。
【0031】
画像形成装置100では、感光体ドラム201の表面に潤滑剤の皮膜が形成されることにより、感光体ドラム201の表面に形成されたトナー像の中間転写ベルト206への転写不良の発生が抑えられる。また、感光体ドラム201の表面に潤滑剤の皮膜が形成されることにより、感光体ドラム201の表面層の削れが抑えられるので、感光体ドラム201の劣化が抑制される。すなわち、感光体ドラム201上の潤滑剤の量が不足すると、転写不良による画像不良が発生したり、感光体ドラム201の劣化が進んだりする。その一方で、感光体ドラム201上の潤滑剤の量が過多になると、感光体ドラム201の表面電位が低下し、かえって画像不良が発生してしまう。
【0032】
上述の通り、塗布ブラシ209の駆動によって、潤滑剤が感光体ドラム201の表面に塗布される。塗布された潤滑剤は、感光体ドラム201の駆動に伴って消費される。したがって、感光体ドラム201の駆動に対する塗布ブラシ209の駆動割合によって、感光体ドラム201上の潤滑剤が過多であるか否かが分かる。画像形成装置100では、塗布ブラシ209の駆動距離が感光体ドラム201の駆動距離の1.2倍である場合に、感光体ドラム201上の潤滑剤の量が最適となる。
【0033】
図4を参照して、画像形成装置100における画像形成時の塗布ブラシ209の駆動について説明する。図4は、画像形成装置100における画像形成時の、感光体ドラム201と塗布ブラシ209との駆動タイミングを示すタイミングチャートである。図4では、1回の印刷(以下、「1ジョブ」と称す)における印刷枚数が1枚の場合、1ジョブあたりの印刷枚数が2枚の場合、および1ジョブあたりの印刷枚数が3枚の場合について、感光体ドラム201と塗布ブラシ209との駆動タイミングを記している。
【0034】
画像形成装置100では、画像形成開始時には、まず、感光体ドラム201の駆動が開始し、その後に塗布ブラシ209の駆動が開始する。また、画像形成装置100では、画像形成終了時には、まず、塗布ブラシ209の駆動が停止し、その後に感光体ドラム201の駆動が停止する。例えば、1ジョブあたりの印刷枚数が1枚の場合には、塗布ブラシ209の駆動時間は感光体ドラム201の駆動時間の3割程度である。1ジョブあたりの印刷枚数が2枚の場合には、塗布ブラシ209の駆動時間は感光体ドラム201の駆動時間の5割程度である。1ジョブあたりの印刷枚数が3枚の場合には、塗布ブラシ209の駆動時間は感光体ドラム201の駆動時間の6割程度である。このように、画像形成装置100では、1ジョブあたりの印刷枚数が増えると、塗布ブラシ209の駆動時間が長くなる。
【0035】
図5は、画像形成装置100における、感光体ドラム201の駆動に対する塗布ブラシ209の駆動割合を1ジョブあたりの印刷枚数別に示す図である。感光体ドラム201の駆動に対する塗布ブラシ209の駆動割合(以下、単に「塗布ブラシ209の駆動割合」とも称す)とは、塗布ブラシ209の駆動距離を感光体ドラム201の駆動距離で割った値である。
【0036】
画像形成装置100では、1ジョブあたりの印刷枚数によって、塗布ブラシ209の駆動割合が変化する。例えば、1ジョブあたりの印刷枚数が15枚の場合には、塗布ブラシ209の駆動割合は1.2である。1ジョブあたりの印刷枚数が1枚の場合には、塗布ブラシ209の駆動割合は0.5である。1ジョブあたりの印刷枚数が1000枚の場合には、塗布ブラシ209の駆動割合は1.6である。このように、1ジョブあたりの印刷枚数によって塗布ブラシ209の駆動割合が変化する理由は、塗布ブラシ209の周速が感光体ドラム201の周速よりも速く、1ジョブあたりの印刷枚数が増えるにつれて塗布ブラシ209の駆動時間が長くなる傾向にあるためである。
【0037】
先に述べた通り、画像形成装置100では、塗布ブラシ209の駆動距離が感光体ドラム201の駆動距離の1.2倍である場合に、感光体ドラム201上の潤滑剤の量が最適となる。すなわち、1ジョブあたりの印刷枚数が15枚の場合には、塗布ブラシ209の駆動割合が1.2となり、感光体ドラム201上の潤滑剤の量が最適となる。これに対し、1ジョブあたりの印刷枚数が1枚の場合には、塗布ブラシ209の駆動割合が0.5であることから、感光体ドラム201上の潤滑剤の量は不足している。また、1ジョブあたりの印刷枚数が1000枚の場合には、塗布ブラシ209の駆動割合が1.6であることから、感光体ドラム201上の潤滑剤の量は過多である。
【0038】
そこで、画像形成装置100は、感光体ドラム201上の潤滑剤の量が最適となるように、感光体ドラム201と塗布ブラシ209との駆動を制御して、塗布ブラシ209の駆動割合が1.2となるように調整する。具体的には、画像形成装置100は、ある時点における塗布ブラシ209の駆動割合に応じて、制御モードを切り替えることにより、塗布ブラシ209の駆動割合が1.2となるように調整する。制御モードには、感光体ドラム201と塗布ブラシ209とを駆動する第1モードと、感光体ドラム201を駆動させるが塗布ブラシ209を駆動させない第2モードとがある。第1モードは、塗布ブラシ209が駆動するモードであることから、感光体ドラム201上の潤滑剤の量を増やすモードである。第2モードは、感光体ドラム201を駆動させるが塗布ブラシ209を駆動させないことから、感光体ドラム201上の潤滑剤の量を減らすモードである。画像形成装置100は、ある時点における塗布ブラシ209の駆動割合に応じて、制御モードと制御時間とを決定し、決定した制御内容に従って、感光体ドラム201と塗布ブラシ209との駆動を制御する。
【0039】
図6および図7を参照して、画像形成装置100において、感光体ドラム201上の潤滑剤の量を調整するために、感光体ドラム201と塗布ブラシ209との駆動を制御する制御モードを切り替える処理(以下、「駆動制御切替処理」とも称す)について説明する。
【0040】
図6は、駆動制御切替処理を示すフローチャートである。図6に示す処理は、制御部60が行う処理であり、CPU61がROM63に格納されている所定のプログラムを実行することにより実現される。図7は、制御モードと制御時間とを塗布ブラシ209の駆動割合別に示すテーブルである。当該テーブルは、ハードディスク70またはROM63に格納され、図6に示す駆動制御切替処理において参照される。当該テーブルでは、塗布ブラシ209の駆動割合が1.2となるように、ある時点における塗布ブラシ209の駆動割合別に、制御すべきモードと制御すべき時間とが割り当てられている。
【0041】
図6を参照して、制御部60は、感光体ドラム201の駆動距離が100メートルに達したか否かを判定する(ステップS605)。感光体ドラム201が駆動した距離の積算値は、ハードディスク70またはROM63に格納されている。感光体ドラム201の駆動距離が100メートルに達した場合には(ステップS605においてYES)、制御部60は、処理をステップS610に移行する。一方、感光体ドラム201の駆動距離が100メートルに達していない場合には(ステップS605においてNO)、制御部60は、図6に示す一連の処理を終了する。
【0042】
ステップS610において、制御部60は、塗布ブラシ209の駆動割合を算出する。塗布ブラシ209の駆動割合は、塗布ブラシ209の駆動距離を感光体ドラム201の駆動距離で割った値である。塗布ブラシ209が駆動した距離の積算値は、ハードディスク70またはROM63に格納されている。
【0043】
次いで、制御部60は、塗布ブラシ209の駆動割合が1.2であるか否かを判定する(ステップS615)。塗布ブラシ209の駆動割合が1.2である場合には(ステップS615においてYES)、制御部60は、処理をステップS640に移行する。一方、塗布ブラシ209の駆動割合が1.2ではない場合には(ステップS615においてNO)、制御部60は、処理をステップS620に移行する。
【0044】
ステップS620において、制御部60は、塗布ブラシ209の駆動割合が1.2未満であるか否かを判定する。塗布ブラシ209の駆動割合が1.2未満である場合には(ステップS620においてYES)、制御部60は、処理をステップS625に移行する。一方、塗布ブラシ209の駆動割合が1.2以上である場合には(ステップS620においてNO)、制御部60は、処理をステップS645に移行する。
【0045】
ステップS625において、制御部60は、感光体ドラム201と塗布ブラシ209との駆動を制御する制御モードを第1モードに切り替えることを決定する。
【0046】
次いで、制御部60は、図7に示すテーブルを参照して、第1モードで制御する時間を決定する(ステップS630)。例えば、ステップS610で算出した塗布ブラシ209の駆動割合が0.7である場合には、制御部60は、第1モードで制御する時間を250秒に決定する。
【0047】
次いで、制御部60は、制御モードを第1モードに切り替え、ステップS630で決定した時間分だけ、制御モードを第1モードに維持する(ステップS635)。画像形成動作中の場合には、制御部60は、画像形成を中断して、制御モードを第1モードに切り替える。仮に、ステップS610で算出した塗布ブラシ209の駆動割合が0.7である場合には、感光体ドラム201と塗布ブラシ209とが250秒間駆動する(250秒間、第1モードに制御される)。ステップS610で算出した塗布ブラシ209の駆動割合が0.7である場合には、感光体ドラム201上の潤滑剤の量が不足しているが、250秒間、第1モードに制御される結果、塗布ブラシ209の駆動割合が1.2となるので、感光体ドラム201上の潤滑剤の量が最適化される。制御部60は、ステップS635の後、処理をステップS640に移行する。
【0048】
ステップS645において、制御部60は、感光体ドラム201と塗布ブラシ209との駆動を制御する制御モードを第2モードに切り替えることを決定する。
【0049】
次いで、制御部60は、図7に示すテーブルを参照して、第2モードで制御する時間を決定する(ステップS650)。例えば、ステップS610で算出した塗布ブラシ209の駆動割合が1.5である場合には、制御部60は、第2モードで制御する時間を75秒に決定する。
【0050】
次いで、制御部60は、制御モードを第2モードに切り替え、ステップS650で決定した時間分だけ、制御モードを第2モードに維持する(ステップS655)。画像形成動作中の場合には、制御部60は、画像形成を中断して、制御モードを第2モードに切り替える。仮に、ステップS610で算出した塗布ブラシ209の駆動割合が1.5である場合には、塗布ブラシ209が駆動していない状態で、75秒間、感光体ドラム201が駆動する(75秒間、第2モードに制御される)。ステップS610で算出した塗布ブラシ209の駆動割合が1.5である場合には、感光体ドラム201上の潤滑剤の量が過多であるが、75秒間、第2モードに制御される結果、塗布ブラシ209の駆動割合が1.2となるので、感光体ドラム201上の潤滑剤の量が最適化される。制御部60は、ステップS655の後、処理をステップS640に移行する。
【0051】
ステップS640において、制御部60は、ハードディスク70またはROM63に格納されている、感光体ドラム201が駆動した距離の積算値と、塗布ブラシ209が駆動した距離の積算値とを初期化する。制御部60は、ステップS640の後、図6に示す一連の処理を終了する。
【0052】
このように、画像形成装置100は、ある時点における塗布ブラシ209の駆動割合に応じて、制御モードと制御時間とを決定し、決定した制御内容に従って、感光体ドラム201と塗布ブラシ209との駆動を制御する。制御モードには、感光体ドラム201と塗布ブラシ209とを駆動する第1モードと、感光体ドラム201を駆動させるが塗布ブラシ209を駆動させない第2モードとがある。第1モードは、塗布ブラシ209が駆動するモードであることから、感光体ドラム201上の潤滑剤の量を増やすモードである。第2モードは、感光体ドラム201を駆動させるが塗布ブラシ209を駆動させないことから、感光体ドラム201上の潤滑剤の量を減らすモードである。このような制御により、塗布ブラシ209の駆動割合が1.2となり、感光体ドラム201上の潤滑剤の量が最適となるので、画像不良が発生しにくくなる。
【0053】
なお、上記実施の形態では、塗布ブラシ209の駆動割合が1.2となる場合に、感光体ドラム201上の潤滑剤の量が最適となるとしたが、「1.2」は例示にすぎない。
【0054】
また、上記実施の形態では、画像形成装置100は、塗布ブラシ209の駆動割合が所定値(上記実施の形態では、「1.2」)未満の場合には、制御モードを第1モードに切り替え、塗布ブラシ209の駆動割合が所定値を超える場合には、制御モードを第2モードに切り替えた。他の実施の形態として、画像形成装置100は、塗布ブラシ209の駆動割合が第1閾値を下回る場合には、制御モードを第1モードに切り替え、塗布ブラシ209の駆動割合が第2閾値を上回る場合には、制御モードを第2モードに切り替えてもよい。なお、この形態において、第1閾値は第2閾値以下である。
【0055】
また、上記実施の形態では、塗布ブラシ209の駆動割合は、塗布ブラシ209の駆動距離を感光体ドラム201の駆動距離で割った値としたが、塗布ブラシ209の駆動時間を感光体ドラム201の駆動時間で割った値としてもよい。
【0056】
また、上記実施の形態では、画像形成装置100は、感光体ドラム201の駆動距離が100メートルに達したことを契機に駆動制御切替処理を開始したが、感光体ドラム201の駆動量が所定量に達したこと(例えば、感光体ドラム201の駆動時間が所定時間に達したこと、印字枚数が所定枚数に達したこと)を契機に駆動制御切替処理を開始してもよい。また、画像形成装置100は、ジョブが終了する毎に駆動制御切替処理を開始してもよい。また、画像形成装置100は、所定の画像形成動作が終了する毎に駆動制御切替処理を開始してもよい。また、画像形成装置100は、ジョブが終了した後の所定のタイミングで駆動制御切替処理を開始してもよい。また、画像形成装置100は、画像形成動作が終了した後の所定のタイミングで駆動制御切替処理を開始してもよい。
【0057】
また、上記実施の形態では、画像形成装置100は、制御モードの切り替えを感光体ドラム201の駆動量が所定量(上記実施の形態では、「感光体ドラム201の駆動距離が100メートル」)に達したタイミングで行った。画像形成動作中の場合には、制御部60は、画像形成を中断して、制御モードを切り替えた。これに対し、画像形成装置100は、感光体ドラム201の駆動量が所定量に達したタイミングでは制御モードと制御時間とを決定するに留め、実行中のジョブが終了したタイミング、または、実行中のジョブが終了した後の所定のタイミングで制御モードを切り替えるようにしてもよい。また、画像形成装置100は、感光体ドラム201の駆動量が所定量に達したタイミングでは制御モードと制御時間とを決定するに留め、実行中の画像形成動作が終了したタイミング、または、実行中の画像形成動作が終了した後の所定のタイミングで制御モードを切り替えるようにしてもよい。また、画像形成装置100は、感光体ドラム201の駆動量が所定量に達したタイミングでは制御モードと制御時間とを決定するに留め、実行中の画像形成動作を継続し、所定時間が経過した後に制御モードを切り替えるようにしてもよい。
【0058】
また、CPU61によって実行されるプログラムは、上記したようにROM63に格納されている代わりに、ハードディスク70に格納されていてもよいし、画像形成装置100に対して着脱可能な記憶媒体に格納されていてもよい。当該プログラムが格納される記憶媒体は、たとえば、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリー、メモリーカード、FD(Floppy Disk)、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、磁気テープ、カセットテープ、MO(Magneto Optical Disc)、MD(Mini Disc)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリーカードを除く)、光カード、マスクROM(Read Only Memory)、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの、不揮発的にデータを格納する媒体が挙げられる。
【0059】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0060】
20 プリンター、60 制御部、62 RAM、63 ROM、70 ハードディスク、100 画像形成装置、200,200C,200K,200M,200Y イメージングユニット、201 感光体ドラム、202 帯電装置、203 露光装置、204 現像装置、205 中間転写装置、206 中間転写ベルト、207 クリーニング装置、208 潤滑剤棒、209 塗布ブラシ、210 均しブレード、211 潤滑剤塗布装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7