(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】携帯型心電波形計測装置、情報管理システム、携帯型心電波形計測装置の制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/332 20210101AFI20240123BHJP
【FI】
A61B5/332
(21)【出願番号】P 2019230660
(22)【出願日】2019-12-20
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】503246015
【氏名又は名称】オムロンヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】江副 美佳
(72)【発明者】
【氏名】鮫島 充
(72)【発明者】
【氏名】小高 心哉
(72)【発明者】
【氏名】平木 美穂
【審査官】永田 浩司
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-086770(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第3575005(EP,A1)
【文献】特開2012-45195(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心電波形を計測するための複数の電極と、振動を発生させる振動手段と、前記心電波形の計測処理を実行する制御手段と、
LED表示手段と、を備え、電池を電源とする携帯型心電波形計測装置であって、
前記制御手段は、
前記振動手段を振動させる際に、所定の振動パターンに対応付けられた所定の点滅パターンで、前記LED表示手段を点滅させる制御を行うものであって、
前記心電波形の計測処理の開始時に、第1の振動パターンで前記振動手段を振動させ、
前記心電波形の計測処理の終了時に、第2の振動パターンで前記振動手段を振動させる、
ことを特徴とする、携帯型心電波形計測装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
前記心電波形の計測処理が正常に完了できなかった場合に、第3の振動パターンで前記振動手段を振動させる、
ことを特徴とする、請求項1に記載の携帯型心電波形計測装置。
【請求項3】
情報処理端末と通信を行うための通信手段をさらに備え、
前記制御手段は、
前記情報処理端末との通信処理をさらに実行し、該通信処理中に前記情報処理端末との通信に異常が生じた場合に、第4の振動パターンで前記振動手段を振動させる、
ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の携帯型心電波形計測装置。
【請求項4】
前記制御手段は、
前記通信手段を、通信が可能な状態であるON状態と、通信不可の状態であるOFF状態と、に切り換える通信設定処理をさらに実行する、
ことを特徴とする、請求項3に記載の携帯型心電波形計測装置。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記通信手段を、前記ON状態に切り換える処理を行った場合に、第5の振動パターン
で前記振動手段を振動させる、
ことを特徴とする、請求項4に記載の携帯型心電波形計測装置。
【請求項6】
前記制御手段は、
前記通信手段を、前記OFF状態に切り換える処理を行った場合に、第6の振動パターンで前記振動手段を振動させる、
ことを特徴とする、請求項4又は5に記載の携帯型心電波形計測装置。
【請求項7】
ユーザーからの入力を受け付ける入力手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記入力手段を介して前記通信処理の実行の指示を受け付けた際に、前記通信手段が前記OFF状態である場合に、第7の振動パターンで前記振動手段を振動させる、
ことを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の携帯型心電波形計測装置。
【請求項8】
少なくとも前記情報処理端末を機器登録するための情報を保存する記憶手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記情報処理端末を機器登録するペアリング処理をさらに実行し、該ペアリング処理の実行の開始時に、第8の振動パターンで前記振動手段を振動させる、
ことを特徴とする、請求項3から7のいずれか一項に記載の携帯型心電波形計測装置。
【請求項9】
前記制御手段は
前記電池の放電電圧が所定の閾値以下となった場合に、第9の振動パターンで前記振動手段を振動させる、
ことを特徴とする、請求項1から8のいずれか一項に記載の携帯型心電波形計測装置。
【請求項10】
請求項3に記載の携帯型心電波形計測装置と、前記携帯型心電波形計測装置と通信可能な通信手段を備える情報処理端末とを有する、情報管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヘルスケア関連の技術分野に属し、特に、携帯型心電波形計測装置、情報管理システム、携帯型心電波形計測装置の制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、血圧値、心電波形などの、個人の身体・健康に関する情報(以下、生体情報ともいう)を計測装置によって計測し、当該計測結果を情報処理端末で記録、分析することで、健康管理を行うことが普及しつつある。
【0003】
上記のような計測装置の一例として、日常生活において胸部の痛みや動悸などの異常発生時にすぐに心電波形を測定する携帯型の心電測定装置が提案されており、心疾患の早期発見や適切な治療への貢献が期待されている(例えば、特許文献1など)。
【0004】
ところで、このような携帯型の心電測定装置を用いて胸部誘導による測定を行うような場合には、着衣のままで心電測定を行うことも当然に測定されるが、衣服によって装置が覆われてしまうと、その状態では表示部を視認することはできず、測定の開始、終了、測定エラー等の異常発生、といったイベントを確認することが困難であるという問題がある。
【0005】
これに対して、容態の異常が認められた場合に音又は振動により異常を通知する技術(特許文献2)、同様に音又は振動により心電測定の開始、終了を通知する技術(特許文献3)、振動により心電波形の異常、電池電圧の低下を通知する技術(特許文献4)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-420号公報
【文献】特開2002-02179号公報
【文献】特開2008-86770号公報
【文献】特開2012-45195号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記の特許文献2から4に記載の技術によっても、音が発生することが憚られる状況では音声による通知は不都合であり、振動による通知であっても、単に振動するだけではどのようなイベントが生じているのか判別できないという問題があった。
【0008】
上記のような従来の技術に鑑み、本発明は、携帯型の心電計測装置において、視認せずとも、心電計測処理の開始時と終了時を明確に区別しつつ認識できる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明に係る携帯型心電波形計測装置は
心電波形を計測するための複数の電極と、振動を発生させる振動手段と、前記心電波形の計測処理を実行する制御手段と、を備え、電池を電源とする携帯型心電波形計測装置であって、
前記制御手段は、
前記心電波形の計測処理の開始時に、第1の振動パターンで前記振動手段を振動させ、
前記心電波形の計測処理の終了時に、第2の振動パターンで前記振動手段を振動させる、
ことを特徴とする。
【0010】
このような構成であれば計測開始時と計測終了時において、異なる振動パターンで振動をすることにより、計測開始時と計測終了時を明確に区別しつつ、視覚や聴覚によらずに認識することができる。
【0011】
また、前記制御手段は、前記心電波形の計測処理が正常に完了できなかった場合に、第3の振動パターンで前記振動手段を振動させる、ものであってもよい。このような構成であると、計測処理に異常が発生した場合にも、そのことを視覚や聴覚によらずに認識することができる。
【0012】
また、携帯型心電波形計測装置は、前記情報処理端末と通信を行うための通信手段をさらに備え、前記制御手段は、前記情報処理端末との通信処理をさらに実行し、該通信処理中に前記情報処理端末との通信に異常が生じた場合に、第4の振動パターンで前記振動手段を振動させる、ものであってもよい。
【0013】
このような構成によれば、情報処理端末を連携して携帯型心電計測装置を用いることができ、かつ、該情報処理端末との間で通信エラーが発生した場合には、そのことを視覚や聴覚によらずに認識することができる。
【0014】
また、前記制御手段は、前記通信手段を、通信が可能な状態であるON状態と、通信不可の状態であるOFF状態と、に切り換える通信設定処理をさらに実行する、ものであってもよい。また、前記制御手段は、前記通信手段を、前記ON状態に切り換える処理を行った場合に、第5の振動パターンで前記振動手段を振動させる、ものであってもよい。また、前記制御手段は、前記通信手段を、前記OFF状態に切り換える処理を行った場合に、第6の振動パターンで前記振動手段を振動させる、ものであってもよい。
【0015】
このような構成であると、携帯型心電計測装置の通信設定の切り換えを、視覚や聴覚によらずに認識することができる。
【0016】
また、前記携帯型心電計測装置は、ユーザーからの入力を受け付ける入力手段をさらに備え、前記制御手段は、前記入力手段を介して前記通信処理の実行の指示を受け付けた際に、前記通信手段が前記OFF状態である場合に、第7の振動パターンで前記振動手段を
振動させる、ものであってもよい。
【0017】
また、前記携帯型心電計測装置は、少なくとも前記情報処理端末を機器登録するための情報を保存する記憶手段をさらに備え、前記制御手段は、前記情報処理端末を機器登録するペアリング処理をさらに実行し、該ペアリング処理実行開始時に、第8の振動パターンで前記振動手段を振動させる、ものであってもよい。このような構成であると、ペアリングモードへの遷移を、視覚や聴覚によらずに容易に認識することができる。
【0018】
また、前記制御手段は前記電池の放電電圧が所定の閾値以下となった場合に、第9の振動パターンで前記振動手段を振動させる、ものであってもよい。
【0019】
また、携帯型心電計測装置はLED表示手段を備え、前記制御手段は、前記振動手段を振動させる際に、前記の各振動パターンに対応付けられた所定の点滅パターンで、前記L
ED表示手段を点滅させる制御を行う、ものであってもよい。このような構成であると、LED表示部の点滅を(衣服越しにでも)視認することが可能な状態であれば、より明確にイベントの発生及びその内容を把握することが可能になる。
【0020】
また、本発明に係る情報管理システムは、通信手段を備える前記の携帯型心電波形計測装置と、これと通信可能な通信手段を備える情報処理端末とを有する。
【0021】
また、本発明に係る携帯型心電波形計測装置の制御方法は、振動を発生させる振動手段を備える携帯型心電波形計測装置を制御する方法であって、
心電波形の計測開始時に、前記振動手段を第1の振動パターンで振動させるステップと、
心電波形の計測を実行するステップと、
心電波形の計測終了時に、前記振動手段を第2の振動パターンで振動させるステップと、
を有することを特徴とする。
【0022】
また、本発明は、上記の方法を心電計測装置に実行させるためのプログラム、そのようなプログラムを非一時的に記録したコンピュータ読取可能な記録媒体として捉えることもできる。
【0023】
また、上記構成及び処理の各々は技術的な矛盾が生じない限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、携帯型の心電計測装置において、視認せずとも、心電計測処理の開始時と終了時を明確に区別しつつ認識できる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1Aは、実施形態に係る携帯型心電計測装置の構成を示す正面図である。
図1Bは、実施形態に係る携帯型心電計測装置の構成を示す背面図である。
図1Cは、実施形態に係る携帯型心電計測装置の構成を示す左側面図である。
図1Dは、実施形態に係る携帯型心電計測装置の構成を示す右側面図である。
図1Eは、実施形態に係る携帯型心電計測装置の構成を示す平面図である。
図1Fは、実施形態に係る携帯型心電計測装置の構成を示す底面図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る携帯型心電計測装置の機能構成を説明するブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る携帯型心電計測装置における心電波形計測処理の流れを示すフローチャートである。
【
図4】
図4Aは、実施形態に係る携帯型心電計測装置における振動パターンとLED点滅パターンの例を示す第1の図である。
図4Bは、実施形態に係る携帯型心電計測装置における振動パターンとLED点滅パターンの例を示す第2の図である。
図4Cは、実施形態に係る携帯型心電計測装置における振動パターンとLED点滅パターンの例を示す第3の図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る携帯型心電計測装置における心電波形計測処理の流れの他の例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態に係る携帯型心電計測装置における通信設定の処理に関する第1のフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施形態に係る携帯型心電計測装置における通信設定の処理に関する第2のフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態に係る携帯型心電計測装置における通信設定の処理に関する第3のフローチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態に係る携帯型心電計測装置でBLE通信を行う際の処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、実施形態に係る携帯型心電計測装置における心電波形計測処理の流れの他の例を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、実施形態に係る情報管理システムの概略を説明するブロック図である。
【
図12】
図12は、実施形態に係る情報管理システムにおいて、携帯型心電計とスマートフォンとを通信接続する場合の、それぞれの処理の流れの一部を示す第1のフローチャートである。
【
図13】
図13は、実施形態に係る情報管理システムにおいて、携帯型心電計とスマートフォンとを通信接続する場合の、それぞれの処理の流れの一部を示す第2のフローチャートである。
【
図14】
図14は、実施形態に係る情報管理システムにおいて、携帯型心電計とスマートフォンとを通信接続する場合の、それぞれの処理の流れの一部を示す第3のフローチャートである。
【
図15】
図15は、実施形態に係る情報処理端末でBLE通信を行う際の処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【
図16】
図16は、実施形態に係る携帯型心電計測装置において通信エラーを管理する際の処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
<実施形態1>
以下、本発明の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0027】
(心電計測装置)
図1は、本実施形態における携帯型心電計10の構成を示す図である。
図1Aは本体の正面を示す正面図であり、同様に
図1Bは背面図、
図1Cは左側面図、
図1Dは右側面図、
図1Eは平面図、
図1Fは底面図、となっている。
【0028】
携帯型心電計10の底面には、心電計測時に身体の左側に接触させる左側電極12aが設けられており、反対側面の上面側には、同様に右手人差し指の中節を接触させる第一右側電極12bと、右手人指し指の基節を接触させる第二右側電極12cが設けられている。なお、第一右側電極12bはGND電極としての機能を果たす電極である。
【0029】
心電計測時には、右手で携帯型心電計10を保持し、右手人差し指を、第一右側電極12b、第二右側電極12cに正しく接触するように携帯型心電計10の上面部に配置する。そのうえで、左側電極12aを所望の誘導種別に対応する箇所の皮膚に接触させる。例えば、いわゆるI誘導で計測を行う場合には、左側電極12aを左手の掌に当てて接触させ、いわゆるV4誘導で計測を行う場合には、左胸部の心窩部やや左方・乳頭下方の肌に接触させる。
【0030】
また、携帯型心電計10の左側面には各種の操作部、及びインジケータが配置されている。具体的には、計測スイッチ16、計測モードLED16a、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)通信ボタン17、BLE通信LED17a、メモリー残表示LED18、電池交換LED19、等を備えている。
【0031】
また、携帯型心電計10の正面には、計測状態通知LED13、解析結果通知LED1
4、が設けられ、携帯型心電計10の背面には、バッテリーの収容口(図示せず)、当該収容口を覆う電池カバー15が配置されている。
【0032】
図2には携帯型心電計10の機能構成を示すブロック図が記載されている。
図2に示すように、携帯型心電計10は制御部101、電極部12、アンプ部102、AD(Analog to Digital)変換部103、タイマ部104、記憶部105、表示部106、操作部107、電源部108、通信部10
9、解析部110、振動部111の各機能部を備える構成となっている。
【0033】
制御部101は、携帯型心電計10の制御を司る手段であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)などを含んで構成される。制御部101は、操作部107を介してユーザーの操作を受け付けると、所定のプログラムに従って心電計測、情報通信など各種の処理を実行するように携帯型心電計10の各構成要素を制御する。なお、所定のプログラムは後述の記憶部105に保存され、ここから読み出される。
【0034】
また、制御部101は、機能モジュールとして、心電波形の解析を行う解析部110を備えている。解析部110は計測された心電波形について、波形の乱れの有無などを解析し、少なくとも計測時の心電波形が正常か否かの結果をアウトプットする。
【0035】
電極部12は、左側電極12a、第一右側電極12b、第二右側電極12cからなり、心電波形を検出するセンサとして機能する。アンプ部102は、電極部12から出力された信号を増幅する機能を有している。AD変換部103は、アンプ部102で増幅されたアナログ信号をデジタル信号に変換し、制御部101へ伝送する機能を有している。
【0036】
タイマ部104は図示しないRTC(Real Time Clock)を参照して、時間を計測する機能を有している。後述するように、例えば、心電計測時に計測終了までの時間をカウントし、これをアウトプットする。
【0037】
記憶部105は、RAM(Random Access Memory)などの主記憶装置(図示せず)を含んで構成され、アプリケーションプログラム、計測心電波形、解析結果などの各種の情報を記憶する。また、RAMに加えて、例えばフラッシュメモリなどの長期記憶媒体を備えていても良い。
【0038】
表示部106は、前述の計測モードLED16a、BLE通信LED17a、メモリー残表示LED18、電池交換LED19などの発光素子を含んで構成され、LEDの点灯、点滅などによって装置の状態、所定のイベントの発生をユーザーに伝達する。また、操作部107は、計測スイッチ16、通信ボタン17等を含み、ユーザーからの入力操作を受け付け、当該操作に応じた処理を制御部101に実行させるための機能を有する。
【0039】
電源部108は、装置の稼働に必要な電力を供給するバッテリー(図示せず)を含んで構成される。バッテリーは、例えばリチウムイオンバッテリーなどの二次電池であっても良いし、一次電池としても良い。
【0040】
通信部109は、無線通信用のアンテナ(図示せず)を含み、少なくともBLE通信により、後述する情報処理端末などの他の機器と通信する機能を有する。また、有線による通信のための端子を備えていても良い。
【0041】
振動部111は、小型モータ等からなるバイブレータ(図示せず)を含んで構成され、後述するように、所定のパターンで振動を生じさせることにより、当該パターンに対応する所定のイベントの発生をユーザーに通知する機能を有する。
【0042】
(携帯型心電計を用いた心電計測処理)
次に、心電計測を行う際の携帯型心電計10の動作について説明する。
図3は、本実施形態に係る携帯型心電計10を用いて心電計測を行う際の処理の手順を示すフローチャートである。
【0043】
心電波形の計測に先立ち、まずユーザーが計測スイッチ16を押下すると、装置の電源がONになり、計測モードが実行され、計測モードLED16aが点灯して計測モード実行中であることを表示する。計測モードが実行されている状態でユーザーは右手で携帯型心電計10を保持し、右手人差し指を、第一右側電極12b、第二右側電極12cに接触させ、計測を行う箇所の肌に、左側電極12aを接触させる。そうすると、制御部101は電極部12を介して接触状態を検出する(S1101)。その後、制御部101は電極が計測部位に適切に接触された状態であるか否か(即ち接触検知エラーが発生しているか否か)を判定する処理を行い(S1102)、接触検知エラーが発生していれば、正常に計測が行われなかったことを意味する所定の振動パターン(以下、パターンCという)で振動部111を振動させ(S1103)、計測処理を終了する。なお、この際に、例えば計測状態通知LED13をパターンCに対応付けられた所定のパターンで点滅させるようにしてもよい。
【0044】
一方、ステップS1102で接触検知エラーが発生していないと判断されれば、制御部101は次に、電極が適切に接触された状態で所定時間が経過したか否かを判定する処理を行う(S1104)。ここで、所定時間が経過していないと判断すれば、ステップS1102に戻って、同様の処理を繰り返す。一方、所定時間が経過したと判断すると、心電計測を開始することを意味する所定の振動パターン(以下、パターンAという)で、振動部111を振動させ(S1105)、実際の心電計測を実行する(S1106)。なお、計測された心電波形のデータは、記憶部105に保存される。また、ステップS1105において、例えば計測状態通知LED13をパターンAに対応付けられた所定のパターンで点滅させるようにしてもよい。
【0045】
次に、制御部101は心電計測の時間が所定の計測時間(例えば30秒)を経過したか否かを判定する処理を行う(ステップS1107)。ここで、まだ所定の時間を経過していないと判断した場合には、ステップS1107の処理を繰り返す。一方、所定の計測時間が経過したと判断した場合には、制御部101の解析部110により、記憶部105に保存された心電波形データの解析が行われる(S1110)。そして、制御部101は心電波形の解析が適切に行われたか否か(即ち解析エラーが発生したか否か)を判定する処理を行い(S1111)、解析エラーが発生したと判断した場合には、パターンCで振動部111を振動させ(S1114)、計測処理を終了する。
【0046】
一方、ステップS1111で、解析が適切に行われたと判断された場合には、解析結果と心電波形データとを記憶部105に保存し(S1112)、計測に係る一連の処理が正常に終了したことを意味する所定の振動パターン(以下、パターンBという)で振動部111を振動させ、一連の処理を終了する。また、ここで、例えば計測状態通知LED13をパターンBに対応付けられた所定のパターンで点滅させるようにしてもよい。
【0047】
以上のように、本実施形態に係る携帯型心電計10は、心電波形データの取得開始時、計測処理の正常終了時、及びエラーにより計測が終了した時に、それぞれ異なるパターンで振動部111が振動する構成である。これにより、ユーザーは振動パターンの違いから、携帯型心電計10の計測処理に係るイベントの発生及びその内容を、表示部106を視認することなく知ることができる。このため、例えば着衣のままで胸部誘導による心電計測を行う場合であっても、心電計測の開始、終了のタイミングを容易に把握することがで
きる。
【0048】
また、表示部106のLED(例えば計測状態通知LED13など)を各振動パターンに対応付けられた点滅パターンで点滅されることにより、より明確に心電計測処理に係るイベントの発生及びその内容を知ることができる。
図4にパターンAからパターンCの振動部111の振動パターンと、各振動パターンに対応付けられた表示部106のLED点滅パターンの一例を示す。
【0049】
(計測処理の変形例)
上記では、心電波形データの解析が正常に終了し、波形データと解析データの保存が終了したことを以て、計測に係る一連の処理が正常に終了したとしてパターンBで振動部111を振動させていたが、パターンBで振動部111を振動させるタイミングはこれに限られない。
図5に基づいて、携帯型心電計10の他の計測処理の例を説明する。
図5は、携帯型心電計10を用いて心電計測を行う際の変形例の処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下では既に説明したものと同様の構成、処理については同一の符号を付して、再度の説明は省略する。
【0050】
図5に示すように、本変形例の計測処理の手順は、ステップS1107までは上記実施形態と同様の処理を行うものである。そして、制御部101は心電計測の時間が所定の計測時間(例えば30秒)を経過したと判断した場合には、心電波形のデータを記憶部109に保存し(S1108)、それに続けてパターンBで振動部111を振動させる処理を行う。即ち、本変形例においては、心電波形の解析を行わずに、心電波形データを取得できれば、計測処理が正常に終了したとしてパターンBの振動によりユーザーに通知を行うものである。
【0051】
(通信設定に係るイベントの振動通知)
本実施形態に係る携帯型心電計10は、通信部109により他の情報処理端末とBLE通信接続して用いることが可能である。そして、情報処理端末との接続のための通信設定に係るイベントの発生とその内容についても、振動部111の振動により把握することができる。以下では、
図6から
図9に基づいて、携帯型心電計10の通信設定に関する動作について説明する。
【0052】
図6から
図8は、携帯型心電計10の通信設定に関する処理の流れを示すフローチャートである。
図6に示すように、ユーザーによりBLE通信ボタン17が押下されると(S1201)、制御部101は現在の通信設定がBLE通信可能な設定か否かを判断する(S1202)。ここで、BLE通信が可能な状態(以下、BLE通信設定ONという)であると制御部101が判断した場合には、
図7のステップS1211に進み、BLE通信ボタン17が引き続き押下されているか(いわゆる長押しの状態か)否かの判定を行う(S1213)。ここで、BLE通信ボタン17が継続して押下されていないと判断された場合には、制御部101はBLE接続に係る所定のサブルーチンを実施し(S1212)、処理を終了する。所定のサブルーチンについては後述する。
【0053】
一方、ステップS1211において、BLE通信ボタン17が長押しされていると判断された場合には、当該長押しの時間が、第一の所定時間(例えば2秒)を超えているか否かの判定を行う(S1213)。ここで、第一の所定時間を超えていないと判断された場合には、ステップS1211に戻って以降の処理を繰り返す。一方、ステップS1213で、第一の所定時間を超えていると判断された場合には、制御部101は通信設定をペアリング(機器登録)待機状態へ遷移させ、当該ペアリング待機状態に遷移したことを意味する振動パターン(以下、パターンDという)で振動部111を振動させる(S1214)。
【0054】
次に、制御部101は、BLE通信ボタン17がさらに継続して押下されているか否かを判定する処理を行う(S1215)。ここで、BLE通信ボタン17が押下されていないと判断された場合には、通信設定をペアリングモードにして(S1216)、一連の処理を終了する。一方、ステップS1215で、BLE通信ボタン17が長押し状態であると判断された場合には、当該長押しの時間が、第二の所定時間(例えば10秒)を超えているか否かの判定を行う(S1217)。
【0055】
ここで、第二の所定時間を超えていないと判断された場合には、ステップS1215に戻って以降の処理を繰り返す。一方、ステップS1217で、第二の所定時間を超えていると判断された場合には、制御部101は、通信設定をBLE通信が不可能な状態(以下、BLE通信設定OFFという)へ切り換えることを意味する振動パターン(以下、パターンEという)で振動部111を振動させ(S1218)、BLE通信設定をOFFにして(S1219)一連の処理を終了する。
【0056】
続けて、
図8に基づいて、ステップS1202において、BLE通信設定がOFFであると判断された場合の処理について説明する。ステップS1202において、BLE通信設定がOFFであると判断された場合には、制御部101はBLE通信ボタン17が、長押しの状態であるか否かを判定する(ステップS1231)。ここで、長押しの状態でないと判断された場合には、制御部101は、BLE通信設定がOFFの状態であることを意味する振動パターン(以下、パターンFという)で、振動部111を振動させ(S1232)、一連の処理を終了する。
【0057】
一方、ステップS1231で、BLE通信ボタン17が長押しの状態であると判断された場合には、当該長押しの時間が、第三の所定時間(例えば5秒)を超えるか否かを判定する(S1233)。ここで、第三の所定時間を超えていないと判断された場合には、ステップS1231に戻って以降の処理を繰り返す。一方、ステップS1233で、第三の所定時間を超えていると判断された場合には、制御部101は、通信設定をBLE通信設定ONへ切り換えることを意味する振動パターン(以下、パターンGという)で振動部111を振動させ(S1234)、BLE通信設定をONにして(S1235)一連の処理を終了する。
【0058】
次に、
図9に基づいて、ステップS1212のサブルーチンについて説明する。
図9に示すように、制御部101は、まず通信部109からBLE通信のためのアドバタイズ信号を発信する(S1901)。次に、制御部101は情報処理端末からBLE通信の接続要求を受
信したか否かの判定を行う(S1902)。ここで、BLE通信の接続要求を受信していないと判断すると、所定時間の経過、或いは操作部107の操作により、BLE通信の処理がキャンセルされるまで同様の処理を繰り返す。一方、BLE通信の接続要求を受信したと判断した場合には、ステップS1903に進み、当該接続要求を送信した機器とのBLE接続を行う。BLE通信接続が確立されると、制御部101はサブルーチン
を終了する。
【0059】
以上のように、本実施形態に係る携帯型心電計10は、情報処理端末との接続のための通信設定に係るイベントの発生とその内容についても、振動部111の振動のパターンの違い(パターンD乃至G)により把握することができる。また、例えば、BLE通信LED17aを各振動パターンに対応付けられた点滅パターンで点滅させるようにしてもよい。このようにすると、より明確に通信設定に係るイベントの発生とその内容を把握することができる。
【0060】
(その他のイベントの振動による通知)
振動部111の振動及びそのパターンの違いによるイベント内容の通知は、携帯型心電計10に係るその他のイベントの通知にも適用することが可能である。その一例として、電源であるバッテリーの放電電圧低下を振動部111の振動によって通知する処理を
図10に基づいて説明する。
図10は、バッテリーの放電電圧を振動部111の振
動によって通知する動作の流れを示すフローチャートである。
【0061】
ユーザーにより計測スイッチ16が押下されると、制御部101はまず、バッテリーの放電電圧を取得する処理を行う(S1191)。次に、当該取得した放電電圧が所定の閾値を下回るか否かを判定し(S1192)、閾値を下回っていると判断した場合には、制御部101は、バッテリー電圧が低下していることを意味する振動パターン(以下、パターンIという)で振動部111を振動させ(S1193)、処理を終了する。一方、ステップS1192において、バッテリーの放電電圧が閾値以上であると判断された場合には、既に述べた心電波形の計測処理を実行する(S1101、S1106、S1110、S1112)。
【0062】
なお、ステップS1193においては、例えば、電池交換LED19を、パターンIに対応付けられた点滅パターンで点滅させるようにしてもよい。また、その後、電池交換がなされるまでは、電池交換LED19を常時点灯するようにしてもよい。
【0063】
<実施形態2>
上記の実施形態1のように、携帯型心電計10はそれ単体でも心電計測、計測データの解析及び解析結果の表示を行うことが可能であるが、情報処理端末と通信接続して用いることで、より利便性を高めることができる。以下、
図11から
図16に基づいて、携帯型心電計10と情報処理端末の一例であるスマートフォン20とからなる情報管理システム1の実施形態について説明する。
【0064】
図11は、本実施形態に係る情報管理システム1の構成例を示す概略図である。
図11に示すように、情報管理システム1は、携帯型心電計10と、スマートフォン20を含み、これらが通信接続可能に構成されている。なお、携帯型心電計10については、実施形態1で説明したものと同様の構成であるため、説明は省略する。
【0065】
(情報処理端末)
情報処理端末の一例であるスマートフォン20は、
図11に示すように、制御部21、通信部22、タッチパネルディスプレイ23、記憶部24、を含んで構成される。制御部21はスマートフォン20の制御を司る手段であり、例えばCPUなどを含んで構成され、記憶部24に格納された各種プログラムを実行することにより、これらに応じた機能を発揮する。通信部22は、無線通信用のアンテナを含み、携帯型心電計10などの他の機器、無線基地局との通信を行う機能である。また、有線通信のための端子を備えていてもよい。
【0066】
タッチパネルディスプレイ23は、出力手段の一つとしての表示手段と入力手段とを兼ねており、後述するように、携帯型心電計10と通信接続が確立されている場合には、計測終了時までの残り時間などのステータス情報、心電波形のグラフデータ、などを表示することができる。その他、各種の入力用画像を介してユーザーからの操作を受け付ける。
【0067】
記憶部24は、RAMなどの主記憶装置の他、例えばフラッシュメモリなどの長期記憶媒体を含んで構成され、アプリケーションプログラム、計測心電波形、解析結果などの各種の情報を記憶する。
【0068】
以下では、
図12から
図14に基づいて携帯型心電計10とスマートフォン20とをB
LE通信で連携させて心電計測を行う場合の処理について説明する。
図12から
図14は、携帯型心電計10とスマートフォン20とをBLE通信接続して用いる場合のそれぞれの処理の流れと、機器間の情報の伝達のタイミングを示す図である。なお、携帯型心電計10の処理の流れについて、上述したものについては同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0069】
まず、ユーザーが携帯型心電計10のBLE通信設定ONの状態でBLE通信ボタン17を押下することにより、制御部101は、BLE通信のためのサブルーチンの処理を実行する(S1212)。当該サブルーチンについては上述の通りである。
【0070】
また、ユーザーはスマートフォン20を、携帯型心電計10とBLE通信が可能な状態にする。具体的にはタッチパネルディスプレイ23を操作して、設定メニュー等から、BLE接続設定をONにする。或いは、携帯型心電計10と連携するための専用のアプリケーションプログラムを起動させることによってBLE接続設定をONにするのであってもよい。
【0071】
BLE接続設定がONになると、スマートフォン20の制御部21は、通信部22を介してBLE接続のためのサブルーチンを実行する(S2101)。
図15に当該サブルーチンの処理について示す。具体的には、サブルーチンが開始されると、制御部21は、携帯型心電計10からのアドバタイズ信号受信の待機を行う(S2901)。そして、アドバタイズ信号を受信したか否かの判定を行い(S2902)、信号を受信したと判断されるまで、その処理を繰り返す。ステップS2902において、アドバタイズ信号を受信した場合には、通信部22を介して、携帯型心電計10に対してBLE接続要求信号を送信する(S2903)。そして、携帯型心電計10とBLE接続を行い(S2904。上記S1903に対応。)、サブルーチンを終了する。そして、
図12のステップS2102において、制御部21は、携帯型心電計10に対して、通信開始要求を送信する。
【0072】
一方、携帯型心電計10の制御部101は電極接触状態を検出(S1101)した後、電極接触状態に係る情報をスマートフォン20に向けて送信し(S1301)、スマートフォン20において当該情報が受信される(S2103)。
【0073】
電極接触状態の情報を受信したスマートフォン20では、タッチパネルディスプレイ23に電極接触状態を表示する(S2104)。例えば、「電極は適切に接触しています」或いは「電極は正しく接触していません」などのメッセージを表示してもよい。
【0074】
携帯型心電計10の制御部101はステップS1301の後、電極接触エラーの有無を判定する処理を行う(S1102)。ここで、エラーがあったと判断すると、スマートフォンに対して電極接触エラー信号を送信し(S1302)、
図14のステップS1103に進んでパターンCの振動で振動部111を振動させ、計測が正常に終了しなかった旨の信号をスマートフォン20に送信する(S1311)。
【0075】
一方、スマートフォン20ではステップS2104の後、携帯型心電計10から電極接触エラー信号を受信したか否かの判定を行い(S2105)、受信していた場合には、
図14のステップS2201に進み、計測が正常に終了しなかった旨の信号をさらに受信する。そして、タッチパネルディスプレイ23に計測が正常に終了しなかった旨の表示を行い、携帯型心電計10に対して、通信終了を要求する信号を送信する(S2203)。その後、携帯型心電計10と、スマートフォン20とはBLE接続を切断し(S1312、S2204)、一連の処理を終了する。
【0076】
携帯型心電計10の制御部101は、ステップS1102で、接触検知エラーが発生していないと判断すると、次に電極が適切に接触された状態で所定時間が経過したか否かを判定する処理を行う(S1104)。ここで、所定時間が経過していないと判断すれば、ステップS1101に戻って、同様の処理を繰り返す。一方、所定時間が経過したと判断すると、パターンAで振動部111を振動させ(S1105)、実際の心電計測を実行する(S1106)。そして、計測した心電波形のデータと心電計測時間(計測終了までの残り時間)をスマートフォン20に送信する処理を実行する(S1303)。
【0077】
ステップS1303で携帯型心電計10から送信されたデータは、スマートフォン20において受信され(S2106)、タッチパネルディスプレイ23に心電計測時間及び心電波形グラフが表示される(S2107)。具体的には、例えば「心電計測終了まで〇〇秒」というようなカウントダウンのメッセージとともに、心電波形のグラフが表示されるようにしてもよい。
【0078】
携帯型心電計10の制御部101はその後、ステップS1107において所定の計測時間が経過したか否かを判定し、まだ所定時間が経過していなければ、ステップS1106に戻って以降の処理を繰り返す。一方、ステップS1107で所定の計測時間が経過したと判断した場合には、
図13のステップS1110に進み、解析部110において心電波形の解析を行う(S1303)。そして、解析中はその旨の信号をスマートフォン20へ送信し(S1304)、解析が終了すれば当該解析結果と心電波形のデータを記憶部105に保存し(S1112)、パターンBで振動部111を振動させる。
【0079】
さらに、制御部101は解析結果情報をスマートフォン20に送信し(S1305)、スマートフォン20に対して未送信のデータ(心電波形、解析結果)があるか否かを判定する(S1306)。ここで、未送信データがあれば、当該データをスマートフォン20に対して送信し(S1307)、スマートフォン20からの通信終了要求を待って、BLE接続を切断し(S1308)、一連の処理を終了する。なお、ステップS1306で未送信のデータがないと判断した場合には、ステップS1307の処理を飛ばして、ステップS1308へと進む。
【0080】
スマートフォン20の制御部21は、ステップS2107の後、通信部22を介して心電波形の解析中である旨の情報を受信すると(S2108)、タッチパネルディスプレイ23に当該情報を表示する(S2109)。そして、携帯型心電計10から送信された解析結果情報を通信部22を介して受信すると(S2110)、当該結果をタッチパネルディスプレイ23に表示させる(S2111)。
【0081】
その後、携帯型心電計10から未送信データが送信された場合にはこれを受信したうえで、携帯型心電計10に対して通信終了を要求する信号を送信し(S2112)、BLE接続を切断し(S2113)、一連の処理を終了する。
【0082】
以上、本実施形態で説明した携帯型心電計10、及び情報管理システム1によれば、スマートフォン20などの情報処理端末と連携して用いることにより、心電波形データ等の各種データをディスプレイに表示させて閲覧することができる。また、受信したデータを保存して、アプリケーションプログラムなどを用いて有効活用することもできる。
【0083】
(通信エラー発生時の振動による通知)
なお、本実施形態の場合において、携帯型心電計10とスマートフォン20との通信エラーが発生した場合にも、携帯型心電計10の振動部111を所定の振動パターンで振動させることにより、当該通信エラーをユーザーに通知することが可能である。その場合の処理の流れを
図16に基づいて説明する。
図16は、携帯型心電計10とスマートフォン20との間でBLE通信にエラーが生じた場合の動作を示すフローチャートである。
【0084】
図16に示すように、BLE接続が行われれると(S1903)、携帯型心電計10の制御部101は当該BLE通信の接続が正常な切断処理によらずに切断されたか否かを判定する(S1321)。ここで、正常な切断処理によらずに通信が切断されたと判断した場合には、制御部101は通信エラーが発生したことを意味する振動パターン(以下、パターンHという)で、振動部111を振動させ(S1324)、処理を終了する。
【0085】
一方、ステップS1321で、BLE通信が切断されていないと判断した場合には、制御部101は心電波形データ・解析結果など、スマートフォン20に対して送信すべきデータが全て送信できたか否かを判定する(S1322)。ここで、データが全て送信できていないと判断した場合には、ステップS1321に戻り、以降の処理を繰り返す。一方、ステップS1322で全てのデータを送信したと判断した場合には、送信結果が問題なかったか(即ち、送信時にエラーが発生しなかったか否か)を判定する(S1323)。ここで、送信結果に問題がないと判断した場合にはそのまま処理を終了する。一方、ステップS1323で送信エラーがあったと判断した場合には、制御部101はパターンHの振動パターンで振動部111を振動させ(S1324)、処理を終了する。
【0086】
このような構成により、計測処理そのものには異常がないものの、正常にスマートフォン20と通信エラーが発生した場合についても、そのことを示す振動パターンによって、ユーザーは通信エラーの発生を知ることが可能になる。また、例えば、パターンHの振動に対応付けられた点滅パターンで、BLE通信LED17aを点滅させるようにすれば、
より明確に、通信エラーの発生を認識することが可能になる。
【0087】
<その他>
上記の各例の説明は、本発明を例示的に説明するものに過ぎず、本発明は上記の具体的な形態には限定されない。本発明は、その技術的思想の範囲内で種々の変形及び組み合わせが可能である。
【0088】
例えば、情報処理端末はスマートフォンにかぎらず、タブレット端末などの他の携帯情報処理端末であってもよいし、据置型の端末であってもよい。また、通信部は、BLE通信を行うためのものに限らず、Wi-Fi(登録商標)、赤外線通信など他の無線通信を行うことが可能なアンテナであってもよい。また、有線接続による通信を行うものであってもよい。
【符号の説明】
【0089】
1・・・生体情報管理システム
10・・・携帯型心電計
12a・・・左側電極
12b・・・第一右側電極
12c・・・第二右側電極
13・・・計測状態通知LED
14・・・解析結果通知LED
15・・・電池カバー
16・・・計測スイッチ
16a・・・計測モードLED
17・・・通信ボタン
17a・・・BLE通信LED
18・・・メモリー残表示LED
19・・・電池交換LED
20・・・スマートフォン