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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】熱音響装置
(51)【国際特許分類】
   F25B 9/00 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
F25B9/00 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020001020
(22)【出願日】2020-01-07
(65)【公開番号】P2021110477
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河内 達磨
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-121361(JP,A)
【文献】特開2012-174405(JP,A)
【文献】特開平05-106926(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 9/00-9/14
H01B 12/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度勾配によって音波を発生させるスタックと、
前記スタックの一方側に設けられ前記スタックとの間で熱交換を行う第1熱交換器と、
前記スタックの他方側に設けられ前記スタックとの間で熱交換を行う第2熱交換器と、
前記第1熱交換器から延び、前記スタックを内部に収容する第1配管と、
前記第2熱交換器から延び、前記第1配管を内部に収容する第2配管と、
前記第2配管の先端と、前記第1熱交換器との間に介在して両者の間を密封するシール部材と、を備える
熱音響装置。
【請求項2】
前記第1熱交換器は、前記温度勾配における高温側となるように熱交換を行い、
前記第2熱交換器は、前記温度勾配における低温側となるように熱交換を行う
請求項1に記載の熱音響装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱音響装置に関する。
【背景技術】
【0002】
熱エネルギーと音エネルギーとの変換現象である熱音響効果を利用した熱音響装置は、作動気体が封入されるループ管と、ループ管内に設けられたスタック(再生器)とを備える。スタックにおいて温度勾配が生じると、自励の音波が発生する。この音波のエネルギーは様々な仕事に用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-214406号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように、スタックは、ループ管内に設けられる。スタックをループ管内に収容するために、ループ管には、ループ管の一部を切り離し可能に接続するフランジ部が設けられることがある。
【0005】
図6は、ループ管においてフランジ部が設けられた部分の断面図である。
図6中、ループ管100内には、スタック102が設けられている。
スタック102の両端には、スタック102に温度勾配を生じさせるための第1熱交換器104及び第2熱交換器106が設けられている。両熱交換器104,106のうち、一方は外部からの熱を吸熱する高温側の熱交換器であり、他方は熱を外部へ放熱する低温側の熱交換器である。
【0006】
ループ管100の一端部100a及び他端部100bには、フランジ部108及びフランジ部110が設けられている。
両フランジ部108,110の間には、両者の隙間を密封するガスケット112が介在している。
スタック102は、両フランジ部108,110を切り離した状態で、ループ管100内に収容され、両熱交換器104,106の間に設けられる。
【0007】
ここで、熱音響装置を効率的に動作させるためには、スタック102において生じさせる温度勾配を外部環境から保護する必要がある。
そこで、スタック102が設けられているループ管100の外周部分には、断熱材114が設けられる。これにより、スタック102を外部環境から断熱し、スタック102の温度勾配を外部環境から保護する。
【0008】
しかし、図6に示すように、スタック102が設けられているループ管100の外周部分にフランジ部108,110が存在すると、ループ管100の実質的な厚みがループ管11の延伸方向において不連続となり、ループ管100の熱容量が不連続になる。
このため、フランジ部108,110を覆うようにしてループ管100の外周部分に断熱材114を設けたとしても、スタック102をループ管11の延伸方向に一様(均一)に断熱することが困難となる。
スタック102を一様に断熱できなければ、スタック102における温度勾配を外部環境から適切に保護することが困難となり、熱音響装置の効率的な動作を阻害するおそれが生じる。
【0009】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、スタックを一様に断熱することができる熱音響装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明に係る熱音響装置は、温度勾配によって音波を発生させるスタックと、前記スタックの一方側に設けられ前記スタックとの間で熱交換を行う第1熱交換器と、前記スタックの他方側に設けられ前記スタックとの間で熱交換を行う第2熱交換器と、前記第1熱交換器から延び、前記スタックを内部に収容する第1配管と、前記第2熱交換器から延び、前記第1配管を内部に収容する第2配管と、を備える。
【0011】
上記構成によれば、第1配管の外側面と、第2配管の内側面との間に、両熱交換器間において両配管の延伸方向に一様に延びる筒状空間が形成される。この筒状空間が断熱層となる。筒状空間は、両配管の延伸方向に一様なので、断熱特性は両配管の延伸方向に均一である。よって、第1配管内に収容されるスタックを一様に断熱することができる。
【0012】
(2)上記熱音響装置において、前記第1熱交換器は、前記温度勾配における高温側となるように熱交換を行い、前記第2熱交換器は、前記温度勾配における低温側となるように熱交換を行うことが好ましい。
この場合、第1配管の第1熱交換器側の端部が高温となり、第1配管にもスタックと同様の温度勾配が生じる。このような温度勾配が生じる第1配管をスタックに近接配置することができ、スタックにおける温度勾配の維持に寄与させることができる。
さらに、低温側となる第2熱交換器に設けられることで比較的低温となる第2配管を第1配管よりも外部側に配置できるので、装置の取り扱い性を高めることができる。
【0013】
(3)上記熱音響装置において、前記第2配管の先端と、前記第1熱交換器との間に介在して両者の間を密封するシール部材をさらに備えていてもよい。
この場合、第2配管の先端と第1熱交換器との間を密封することができる。さらに、第1熱交換器が高温側である場合、第2配管を第1熱交換器に直接接触させないことで、第2配管が第1熱交換器によって加熱されるのを抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、スタックを一様に断熱することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、実施形態に係る熱音響装置の一例を示す概略構成図である。
図2図2は、ループ管において第1スタックが設けられた部分を示す断面図である。
図3図3は、図2中、III-III線矢視断面図である。
図4図4は、第1配管体と、第2配管体とを組み合わせる前の分離状態を示した断面図である。
図5図5は、第1収容配管の先端部分を拡大した断面図である。
図6図6は、ループ管においてフランジ部が設けられた部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
〔熱音響装置の全体構成〕
図1は、実施形態に係る熱音響装置の一例を示す概略構成図である。この熱音響装置10は、1つのループ管11と、ループ管11内に設けられた第1スタック20及び第2スタック30とを備える。ループ管11には、作動気体が封入される。
作動気体は、例えば、空気、窒素、ヘリウム、アルゴン、又はこれらのうち少なくとも2つの混合気である。
【0017】
第1スタック20は、円柱状の部材であり、ループ管11の延伸方向に沿って貫通する複数の微小流路21を有する。第2スタック30も、円柱状の部材であり、ループ管11の延伸方向に沿って貫通する複数の微小流路31を有する。微小流路21,31は、作動気体の通路となる。
【0018】
第1スタック20において、軸方向の一方端22と他方端23との間に温度勾配が生じる。本実施形態では、第1スタック20の一方端22の温度が他方端23の温度より高くなる温度勾配が生じる。この温度勾配が臨界点を越えると、第1スタック20内の作動気体が振動する。作動気体の振動は音波を発生させる。この結果、ループ管11内の作動気体に定在波を含む音波が発生する。この音波によって、第2スタック30の微小流路31内の作動気体が振動する。すると、第2スタック30において温度勾配が生じる。本開示では、第2スタック30の一方端32の温度が他方端33の温度より高くなる温度勾配が生じる。
このように、第1スタック20では、熱エネルギーが音エネルギーに変換される。
一方、第2スタック30では、音エネルギーが熱エネルギーに変換される。
【0019】
第1スタック20と第2スタック30とは異なる構成(例えば、軸方向の長さが異なる構成等)であってもよいが、本実施形態では同じである。第1スタック20及び第2スタック30は例えばセラミックス製である。なお、スタック20,30は金属製(例えばステンレス鋼製)であってもよい。
【0020】
第1スタック20において高温となる一方端22側に、第1熱交換器24が設けられる。第1スタック20において低温となる他方端23側に、第2熱交換器25が設けられる。熱交換器24,25は、ループ管11の外部と第1スタック20との間で熱を交換することで、第1スタック20に温度勾配を生じさせる。
【0021】
第1熱交換器24は、ループ管11内の作動気体の通過を妨げることなく、ループ管11内の第1スタック20の一方端22との間で熱交換を行う。第1熱交換器24は、外部の熱源29より熱(熱エネルギー)を受け取り、第1スタック20の一方端22へ与える。このように、第1熱交換器24は、ループ管11の外部から吸熱して、第1スタック20の一方端22を加熱し、一方端22を(他方端23よりも)高温とする。
【0022】
第2熱交換器25は、ループ管11内の作動気体の通過を妨げることなく、ループ管11内の第1スタック20の他方端23との間で熱交換を行う。第2熱交換器25は、ループ管11の外部と第1スタック20の他方端23との間で熱を伝導させることにより、他方端23側の温度を調整する。具体的に説明すると、第2熱交換器25は、第1スタック20の他方端23から熱を受け取り、外部へ放熱する。これにより、第2熱交換器25は、第1スタック20の他方端23の温度が所定の基準温度(第一基準温度)を超えないように調整する。前記第一基準温度は、第1スタック20の一方端22の温度よりも低い温度、例えば、室温である。
【0023】
第1スタック20の一方端22と他方端23との間の温度勾配(温度差)は、第1熱交換器24及び第2熱交換器25によって制御される。第1スタック20、第1熱交換器24、及び第2熱交換器25は、熱源29の熱を、ループ管11内の作動気体の振動に変換して音波を発生させる熱音響原動機(熱音響エンジン)を構成する。
【0024】
上述の通り、第1スタック20に温度勾配を生じさせると音波が発生する。この音波により第2スタック30に温度勾配が生じ、第2スタック30の一方端32の温度が他方端33の温度よりも高くなる。
第2スタック30において高温となる一方端32側に、第1熱交換器34が設けられる。第2スタック30において低温となる他方端33側に、第2熱交換器35が設けられる。
【0025】
第1熱交換器34は、ループ管11内の作動気体の通過を妨げることなく、ループ管11内の第2スタック30の一方端32との間で熱交換を行う。第1熱交換器34は、ループ管11の外部と第2スタック30の一方端32との間で熱を伝導させることにより、一方端32側の温度を調整する。例えば、第1熱交換器34は、第2スタック30の一方端32の温度を一定(例えば、第一基準温度)に保つ。
【0026】
第2熱交換器35は、ループ管11内の作動気体の通過を妨げることなく、ループ管11内の第2スタック30の他方端33との間で熱交換を行う。第2熱交換器35は、ループ管11の外部の冷却対象39に熱伝導可能に接続される。第2熱交換器35は、ループ管11の外部(冷却対象39)から熱を受け取り、第2スタック30の他方端33へ与える。これにより、冷却対象39を冷却することができる。言い換えれば、第2熱交換器35は、第2スタック30内に生じた温度勾配によって温度が低い第2スタック30の他方端33の冷熱を取り出し、ループ管11の外部(冷却対象39)へ与える。
【0027】
このように、第2スタック30、第1熱交換器34、及び第2熱交換器35は、音波(作動気体の振動)から温度勾配を発生させる熱音響ヒートポンプを構成する。
【0028】
〔スタック周辺の構成〕
図2は、ループ管11において第1スタック20が設けられた部分を示す断面図であり、図3は、図2中、III-III線矢視断面図である。なお、図2では、第1熱交換器24及び第2熱交換器25の一部を断面で示している。
また、第1スタック20周辺の構成と、第2スタック30周辺の構成とはほぼ同様である。よって、以下の説明では、第1スタック20のみについて説明する。
【0029】
図3に示すように、第1スタック20は、多数の微小流路21を有する。多数の微小流路21は、上述のように、ループ管11の延伸方向に沿って貫通している。
図2に示すように、本実施形態のループ管11は、第1スタック20をループ管11内に設けるために、配管組立体40を有する。
この配管組立体40は、ループ管11を構成する配管11aの一端部11a1と、他端部11a2との間に接続されている。
配管組立体40は、第1熱交換器24及び第2熱交換器25を含んで構成されている。配管組立体40は、第1熱交換器24と第2熱交換器25との間に第1スタック20を収容する。
【0030】
配管組立体40は、第1熱交換器24を含んで構成される第1配管体42と、第2熱交換器25を含んで構成される第2配管体44とを備える。第1配管体42と、第2配管体44とは、後述するように分離可能である。
第1配管体42は、第1熱交換器24と、第1熱交換器24から延びて第1スタック20を内部に収容する第1収容配管46と、配管11aの一端部11a1に接続される第1接続配管48とを備える。
【0031】
図2中、第1熱交換器24は、銅等を用いて円板状に形成された本体部43を備えている。本体部43の第1スタック20側に向く一面43aには、第1スタック20の一方端22が嵌め込まれた凹部43bが設けられている。
第1熱交換器24の凹部43bに対応する領域には、一面43a及び一面43aの裏面である他面43cを連通するスリット43dが多数設けられている。第1熱交換器24は、多数のスリット43dによって、ループ管11内の作動気体の通過を妨げることなく、ループ管11内の第1スタック20の一方端22との間で熱交換を行うことができる。
【0032】
第1収容配管46は、ステンレス鋼等からなる円筒状の管部材である。第1収容配管46は、一面43aにろう付けによって固定されており、これによって本体部43から延びている。第1収容配管46は、一面43aの凹部43bに嵌め込まれた第1スタック20と同心とされ第1スタック20の軸方向に沿って延びている。第1収容配管46の内周面46aと、第1スタック20の外周面20aとの間には、僅かな隙間が設けられている。第1収容配管46は、第2熱交換器25近傍まで延びており、第1スタック20を内部に収容する。
【0033】
第1収容配管46の先端には、フランジ部46bが設けられている。フランジ部46bと第2熱交換器25の一面45aとの間には、環状のシール部材50が介在している。このシール部材50によって、第1収容配管46と第2熱交換器25との間が密封される。なお、第2熱交換器25は低温側である。このため、シール部材50は、例えば、合成ゴム等によって形成することができる。
【0034】
第1接続配管48は、ステンレス鋼等からなる円筒状の管部材であり、他面43cにろう付けによって固定されている。第1接続配管48は、第1収容配管46と同一サイズの管部材であり、第1収容配管46と同心となるように他面43cに固定されている。第1接続配管48の先端には、配管11aの一端部11a1に接続するためのフランジ部48aが設けられており、第1接続配管48は、フランジ部48aによって一端部11a1に接続されている。
【0035】
第2配管体44は、第2熱交換器25と、第2熱交換器25から延びて第1収容配管46を内部に収容する第2収容配管56と、配管11aの他端部11a2に接続される第2接続配管58とを備える。
図2中、第2熱交換器25は、銅等を用いて円板状に形成された本体部45を備えている。本体部45の第1スタック20側に向く一面45aには、第1スタック20の他方端23が嵌め込まれた凹部45bが設けられている。
第2熱交換器25の凹部45bに対応する領域には、一面45a及び一面45aの裏面である他面45cを連通するスリット45dが多数設けられている。第2熱交換器25は、多数のスリット45dによって、ループ管11内の作動気体の通過を妨げることなく、ループ管11内の第1スタック20の他方端23との間で熱交換を行うことができる。
【0036】
第2収容配管56は、ステンレス鋼等からなる円筒状の管部材である。第2収容配管56は、一面45aの端縁にろう付けによって固定されており、これによって、本体部45から延びている。第2収容配管56は、第1収容配管46及び第1スタック20と同心とされ第1スタック20の軸方向に沿って延びている。第2収容配管56の内径は、第1収容配管46の外径よりも大きい。よって、第1収容配管46の外周面46cと、第2収容配管56の内周面56aとの間には、隙間が設けられている。第2収容配管56は、第1熱交換器24近傍まで延びており、第1スタック20及び第1収容配管46を内部に収容する。
よって、第1収容配管46の外周面46cと、第2収容配管56の内周面56aとの間には、両熱交換器24,25間において両配管46,56の延伸方向に一様に延びる筒状空間Kが形成される。
【0037】
第2収容配管56の先端には、フランジ部56bが設けられている。フランジ部56bと第1熱交換器24の一面43aとの間には、環状のシール部材60が介在している。シール部材60は、第2収容配管56と第1熱交換器24とが直接接触しないように両者の間に介在する。
第1熱交換器24は熱源29から熱を受け取る高温側であり、第1熱交換器24の本体部43は、比較的高温となる。このため、シール部材60としては、例えば、金属の薄板と非金属のフィラーとを交互に重ねて構成された渦巻き形ガスケット等、耐熱性を有するシール部材が用いられる。
【0038】
このように、シール部材60が、第2収容配管56と、第1熱交換器24との間を密封しつつ、第2収容配管56を第1熱交換器24の本体部43に直接接触させないので、装置外部に面する第2収容配管56が本体部43によって加熱されるのを抑制できる。
【0039】
また、上述のように、シール部材50によって、第1収容配管46と第2熱交換器25との間も密封されている。よって、筒状空間Kは、ループ管11及び装置外部に対して密封された密封空間である。
【0040】
本実施形態では、第1収容配管46の外周面46cと、第2収容配管56の内周面56aとの間に筒状空間Kが形成される。この筒状空間Kが断熱層となる。筒状空間Kは、両配管46,56の延伸方向に一定の幅で一様に設けられており、断熱性は両配管46,56の延伸方向に均一である。よって、第1収容配管46内に収容される第1スタック20を一様(均一)に断熱することができる。
これにより、第1スタック20における温度勾配を外部環境から適切に保護することができ、熱音響装置10を効率的に動作させることができる。
【0041】
第2接続配管58は、ステンレス鋼等からなる円筒状の管部材であり、他面45cにろう付けによって固定されている。第2接続配管58は、第1収容配管46と同一サイズの管部材であり、第1収容配管46及び第2収容配管56と同心となるように他面45cに固定されている。第2接続配管58の先端には、配管11aの他端部11a2に接続するためのフランジ部58aが設けられており、第2接続配管58は、フランジ部58aによって他端部11a2に接続されている。
【0042】
第1接続配管48のフランジ部48aと、第2接続配管58のフランジ部58aとは、複数のボルト66及び複数のナット68によって長手方向に締結されている。これによって、第1配管体42と、第2配管体44とは、第1スタック20を内部に収容した状態で一体に組み合わされ、互いに連結される。
配管組立体40は、第1スタック20を収容した状態で、配管11aの一端部11a1と、他端部11a2との間に接続される。また、第2スタック30を収容した配管組立体も配管11aに接続される。これにより、ループ管11内において、作動気体の流通が可能となる。また、第1スタック20は配管組立体40によってループ管11内に設けられる。
【0043】
配管組立体40を構成する、第1配管体42と、第2配管体44とは分離可能である。
図4は、第1配管体42と、第2配管体44とを組み合わせる前の分離状態を示した断面図である。
第1スタック20は、図4に示すように、第1配管体42と、第2配管体44とが分離された状態のときに、第1配管体42の第1収容配管46の内部に収容される。
その後、第1スタック20を収容した第1配管体42の第1収容配管46を、第2配管体44の第2収容配管56の内周側へ挿入する。
このとき、第1収容配管46の先端は、シール部材50を介在した状態で、第2配管体44の第2熱交換器25に突き合わされる。
【0044】
図5は、第1収容配管46の先端部分を拡大した断面図である。
図4及び図5に示すように、第2熱交換器25の本体部45の一面45aには、環状突起72が設けられている。環状突起72は、第2接続配管58と同心となるように一面45aに固定されている。
第1収容配管46の先端には、環状段差74が設けられている。図5に示すように、環状段差74には、環状突起72が挿入される。環状突起72の内周面72aは、環状段差74に挿入されたときに、第1収容配管46の内周面46aに対して面一となる。
【0045】
第1収容配管46の先端を第2熱交換器25に突き合わせる際、環状突起72が環状段差74に挿入されると、第1配管体42と第2配管体44とは、互いに同心となるように位置決めされる。つまり、環状突起72及び環状段差74は、第1配管体42と、第2配管体44とを同心に配置するためのガイドとして機能する。これにより、第1収容配管46、第1接続配管48、第2収容配管56、及び第2接続配管58は、互いに同心となる。
【0046】
以上のように、第1収容配管46を第2収容配管56の内周側へ挿入し、第1収容配管46の先端を第2熱交換器25に突き合わせることで、第1配管体42と、第2配管体44とが組み合わされる。これにより、第1スタック20を収容した配管組立体40を得ることができる。
【0047】
〔その他〕
なお、今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。
例えば、上記各実施形態では、高温側の第1熱交換器24に第1収容配管46を設け、低温側の第2熱交換器25に第2収容配管56を設けた場合を例示したが、例えば、第1収容配管46を低温側の第2熱交換器25に設け、第2収容配管56を高温側の熱交換器24に設けてもよい。この場合においても、第1収容配管46の外周面46cと、第2収容配管56の内周面56aとの間に断熱層となる筒状空間Kが形成される。よって、第1収容配管46内に収容される第1スタック20を一様に断熱することができる。
【0048】
ただし、上記実施形態のように、高温側の第1熱交換器24に第1収容配管46を設ければ、第1収容配管46の第1熱交換器24側の端部が高温となり、第1収容配管46にも第1スタック20と同様の温度勾配が生じる。このような温度勾配が生じる第1収容配管46を第1スタック20に近接配置することができ、第1スタック20における温度勾配の維持に寄与させることができる。さらに、低温側の第2熱交換器25に設けられることで比較的低温となる第2収容配管56が第1収容配管46よりも外部側に配置されるので、装置10の取り扱い性を高めることができる。
【0049】
また、上記説明では、第1スタック20を収容する配管組立体40について説明したが、第2スタック30も配管組立体40と同様の構成の配管組立体に収容される。よって、第2スタック30も一様(均一)に断熱され、第2スタック30における温度勾配を外部環境から適切に保護することができる。
【0050】
本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0051】
10 熱音響装置 20 第1スタック 22 一方端
23 他方端 24 第1熱交換器 25 第2熱交換器
30 第2スタック 32 一方端 33 他方端
34 第1熱交換器 35 第2熱交換器 46 第1収容配管
56 第2収容配管 60 シール部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6