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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】車載装置及び車両用システム
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20240123BHJP
   H04M 1/00 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
B60R11/02 W
H04M1/00 U
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020003088
(22)【出願日】2020-01-10
(65)【公開番号】P2021109560
(43)【公開日】2021-08-02
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】村上 豊生
【審査官】池田 晃一
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-256979(JP,A)
【文献】特開2006-319727(JP,A)
【文献】特開2017-123598(JP,A)
【文献】特開2003-037605(JP,A)
【文献】特開2017-222302(JP,A)
【文献】特開2016-012918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
B60R 11/00 - 11/06
B60R 16/02
H04M 1/00 - 99/00
H04B 7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両で用いられて、
ユーザに携帯される携帯端末(2,3)から送信される電波を前記車両に設けられる複数のアンテナ(45)のそれぞれで受信する受信結果をもとに、前記車両の車室内での前記携帯端末の位置を特定する位置特定部(405)と、
前記車両が始動している場合であって、且つ、前記位置特定部で前記携帯端末が運転席に位置することを特定した場合に、運転手が運転中に表示を確認すべきでない通知である特定通知を前記位置特定部で運転席に位置することを特定したその携帯端末で行わせないようにするための指示を行わせる指示処理部(409)と、
前記車両に運転手以外も乗車しているか否かを判定する乗員判定部(407)とを備え、
前記指示処理部は、
前記乗員判定部で前記車両に運転手以外も乗車していると判定した場合には、前記車両が始動した場合であって、且つ、前記位置特定部で前記携帯端末が運転席に位置することを特定した場合に、運転手が運転中に表示を確認すべきでない通知である特定通知を、前記位置特定部で運転席に位置することを特定したその携帯端末で行わせないようにするための指示を行わせる一方、
前記乗員判定部で前記車両に運転手以外は乗車していないと判定した場合には、前記車両が始動した場合に、前記特定通知を、前記位置特定部で位置を特定した全ての前記携帯端末で行わせないようにするための指示を行わせる車載装置。
【請求項2】
前記位置特定部で位置を特定する前記携帯端末は、表示機能及び通信機能を有する多機能携帯電話機(2)及び表示機能及び通信機能を有するウェアラブル端末(3)の少なくともいずれかである請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記位置特定部で位置を特定する前記携帯端末は、少なくとも前記多機能携帯電話機であって、
前記指示処理部は、前記特定通知を行わせないようにする指示を前記多機能携帯電話機に向けて送信させることで、前記特定通知を前記携帯端末としての前記多機能携帯電話機で行わせないようにするための指示を行わせる請求項に記載の車載装置。
【請求項4】
車両で用いられて、
ユーザに携帯される携帯端末(2,3)から送信される電波を前記車両に設けられる複数のアンテナ(45)のそれぞれで受信する受信結果をもとに、前記車両の車室内での前記携帯端末の位置を特定する位置特定部(405)と、
前記車両が始動している場合であって、且つ、前記位置特定部で前記携帯端末が運転席に位置することを特定した場合に、運転手が運転中に表示を確認すべきでない通知である特定通知を前記位置特定部で運転席に位置することを特定したその携帯端末で行わせないようにするための指示を行わせる指示処理部(409)とを備え
前記位置特定部で位置を特定する前記携帯端末は、表示機能及び通信機能を有する多機能携帯電話機(2)及び表示機能及び通信機能を有するウェアラブル端末(3)の少なくともいずれかであり、
前記位置特定部で位置を特定する前記携帯端末は、少なくとも前記ウェアラブル端末であって、
前記ウェアラブル端末は、表示機能及び通信機能を有する多機能携帯電話機と通信接続されている場合に、この多機能携帯電話機で行われる前記特定通知を自端末から行わせるものであり、
前記指示処理部は、前記特定通知を行わせないようにする指示を前記ウェアラブル端末と通信接続されている前記多機能携帯電話機に向けて送信させることで、前記特定通知を前記携帯端末としての前記ウェアラブル端末で行わせないようにするための指示を行わせる車載装置。
【請求項5】
車両で用いられて、
ユーザに携帯される携帯端末(2,3)から送信される電波を前記車両に設けられる複数のアンテナ(45)のそれぞれで受信する受信結果をもとに、前記車両の車室内での前記携帯端末の位置を特定する位置特定部(405)と、
前記車両が始動している場合であって、且つ、前記位置特定部で前記携帯端末が運転席に位置することを特定した場合に、運転手が運転中に表示を確認すべきでない通知である特定通知を前記位置特定部で運転席に位置することを特定したその携帯端末で行わせないようにするための指示を行わせる指示処理部(409)とを備え
前記位置特定部で位置を特定する前記携帯端末は、表示機能及び通信機能を有する多機能携帯電話機(2)及び表示機能及び通信機能を有するウェアラブル端末(3)の少なくともいずれかであり、
前記位置特定部で位置を特定する前記携帯端末は、少なくとも前記ウェアラブル端末であって、
前記ウェアラブル端末は、表示機能及び通信機能を有する多機能携帯電話機と通信接続されている場合に、この多機能携帯電話機で行われる前記特定通知を自端末から行わせるものであり、
前記指示処理部は、前記ウェアラブル端末との通信接続を解除させる指示を前記ウェアラブル端末と通信接続されている前記多機能携帯電話機に向けて送信させることで、前記特定通知を前記携帯端末としての前記ウェアラブル端末で行わせないようにするための指示を行わせる車載装置。
【請求項6】
前記位置特定部で位置を特定する前記携帯端末は、少なくとも前記ウェアラブル端末であって、
前記ウェアラブル端末は、表示機能及び通信機能を有する多機能携帯電話機と通信接続されている場合に、この多機能携帯電話機で行われる前記特定通知を自端末から行わせるものであって、
前記多機能携帯電話機は、近距離無線通信を介した認証によって前記車両の制御の許可を行う際に用いられる前記車両の電子キーとしての機能を有するものであり、
前記アンテナは、近距離無線通信を介した認証の際に前記多機能携帯電話機からの電波を受信するものでもあり、
前記位置特定部は、前記電子キーとしての前記多機能携帯電話機から送信される所定周波数帯の電波である所定周波数帯電波を複数の前記アンテナのそれぞれで受信する受信結果をもとに、前記車両の車室内での前記多機能携帯電話機の位置を特定するのに加え、通信接続されている前記多機能携帯電話機と前記ウェアラブル端末との間での前記所定周波数帯電波を用いた通信を複数の前記アンテナのそれぞれで傍受して受信する受信結果をもとに、前記車両の車室内での前記携帯端末としての前記ウェアラブル端末の位置を特定する請求項4又は5に記載の車載装置。
【請求項7】
車両で用いられて、
ユーザに携帯される携帯端末(2,3)から送信される電波を前記車両に設けられる複数のアンテナ(45)のそれぞれで受信する受信結果をもとに、前記車両の車室内での前記携帯端末の位置を特定する位置特定部(405)と、
前記車両が始動している場合であって、且つ、前記位置特定部で前記携帯端末が運転席に位置することを特定した場合に、運転手が運転中に表示を確認すべきでない通知である特定通知を前記位置特定部で運転席に位置することを特定したその携帯端末で行わせないようにするための指示を行わせる指示処理部(409)とを備え
前記位置特定部で位置を特定する前記携帯端末は、表示機能及び通信機能を有する多機能携帯電話機(2)及び表示機能及び通信機能を有するウェアラブル端末(3)の少なくともいずれかであり、
前記位置特定部で位置を特定する前記携帯端末は、少なくとも前記ウェアラブル端末であって、
前記ウェアラブル端末は、表示機能及び通信機能を有する多機能携帯電話機と通信接続されている場合に、この多機能携帯電話機で行われる前記特定通知を自端末から行わせるものであって、
前記多機能携帯電話機は、近距離無線通信を介した認証によって前記車両の制御の許可を行う際に用いられる前記車両の電子キーとしての機能を有するものであり、
前記アンテナは、近距離無線通信を介した認証の際に前記多機能携帯電話機からの電波を受信するものでもあり、
前記位置特定部は、前記電子キーとしての前記多機能携帯電話機から送信される所定周波数帯の電波である所定周波数帯電波を複数の前記アンテナのそれぞれで受信する受信結果をもとに、前記車両の車室内での前記多機能携帯電話機の位置を特定するのに加え、通信接続されている前記多機能携帯電話機と前記ウェアラブル端末との間での前記所定周波数帯電波を用いた通信を複数の前記アンテナのそれぞれで傍受して受信する受信結果をもとに、前記車両の車室内での前記携帯端末としての前記ウェアラブル端末の位置を特定する車載装置。
【請求項8】
車両で用いられて、
ユーザに携帯される携帯端末(2,3)と、
前記車両に設けられる複数のアンテナ(45)と、
請求項1~7のいずれか1項に記載の車載装置(40)とを含む車両用システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車室内での運転者の携帯端末の機能を制限する車載装置及び車両用システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スマートフォン,スマートウォッチ等の携帯端末は、運転手の利用時であれば、運転中に運転手が表示を確認すべきでない通知を行わないように処置を行うことが望ましい。特許文献1には、携帯電話端末が、自機が使用されている状態にあるときに、自動車による移動中であることを検知すると、一旦、スリープモードに遷移する技術が開示されている。また、特許文献1には、携帯電話端末のユーザが運転者でないことがカメラ部を通じて撮影されることにより得られる映像データに基づいて確認できた場合に通常の動作モードに復帰することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-172360号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、携帯電話端末をスリープモードに遷移するため、自動車による移動中に機能を制限する必要のない機能まで制限してしまい、利便性が低下してしまうおそれがある。また、特許文献1に開示の技術では、携帯電話端末のユーザが運転手でないことを、カメラ部を通じて撮影されることにより得られる映像データに基づいて確認するので、カメラ機能が使用されなければ、運転手以外のユーザの携帯電話端末を通常の動作モードに復帰することができない。
【0005】
この開示のひとつの目的は、ユーザの手間を抑えながらも運転手の携帯端末を区別し、車両の運転中に制限すべき運転手の携帯端末の機能を、その携帯端末の利便性の低下を抑えつつ制限することを可能にする車載装置及び車両用システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は、開示の更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、ひとつの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の第1の車載装置は、車両で用いられて、ユーザに携帯される携帯端末(2,3)から送信される電波を車両に設けられる複数のアンテナ(45)のそれぞれで受信する受信結果をもとに、車両の車室内での携帯端末の位置を特定する位置特定部(405)と、車両が始動している場合であって、且つ、位置特定部で携帯端末が運転席に位置することを特定した場合に、運転手が運転中に表示を確認すべきでない通知である特定通知を位置特定部で運転席に位置することを特定したその携帯端末で行わせないようにするための指示を行わせる指示処理部(409)と、車両に運転手以外も乗車しているか否かを判定する乗員判定部(407)とを備え、指示処理部は、乗員判定部で車両に運転手以外も乗車していると判定した場合には、車両が始動した場合であって、且つ、位置特定部で携帯端末が運転席に位置することを特定した場合に、運転手が運転中に表示を確認すべきでない通知である特定通知を、位置特定部で運転席に位置することを特定したその携帯端末で行わせないようにするための指示を行わせる一方、乗員判定部で車両に運転手以外は乗車していないと判定した場合には、車両が始動した場合に、特定通知を、位置特定部で位置を特定した全ての携帯端末で行わせないようにするための指示を行わせる。
上記目的を達成するために、本開示の第2の車載装置は、車両で用いられて、ユーザに携帯される携帯端末(2,3)から送信される電波を車両に設けられる複数のアンテナ(45)のそれぞれで受信する受信結果をもとに、車両の車室内での携帯端末の位置を特定する位置特定部(405)と、車両が始動している場合であって、且つ、位置特定部で携帯端末が運転席に位置することを特定した場合に、運転手が運転中に表示を確認すべきでない通知である特定通知を位置特定部で運転席に位置することを特定したその携帯端末で行わせないようにするための指示を行わせる指示処理部(409)とを備え、位置特定部で位置を特定する携帯端末は、表示機能及び通信機能を有する多機能携帯電話機(2)及び表示機能及び通信機能を有するウェアラブル端末(3)の少なくともいずれかであり、位置特定部で位置を特定する携帯端末は、少なくともウェアラブル端末であって、ウェアラブル端末は、表示機能及び通信機能を有する多機能携帯電話機と通信接続されている場合に、この多機能携帯電話機で行われる特定通知を自端末から行わせるものであり、指示処理部は、特定通知を行わせないようにする指示をウェアラブル端末と通信接続されている多機能携帯電話機に向けて送信させることで、特定通知を携帯端末としてのウェアラブル端末で行わせないようにするための指示を行わせる。
上記目的を達成するために、本開示の第3の車載装置は、車両で用いられて、ユーザに携帯される携帯端末(2,3)から送信される電波を車両に設けられる複数のアンテナ(45)のそれぞれで受信する受信結果をもとに、車両の車室内での携帯端末の位置を特定する位置特定部(405)と、車両が始動している場合であって、且つ、位置特定部で携帯端末が運転席に位置することを特定した場合に、運転手が運転中に表示を確認すべきでない通知である特定通知を位置特定部で運転席に位置することを特定したその携帯端末で行わせないようにするための指示を行わせる指示処理部(409)とを備え、位置特定部で位置を特定する携帯端末は、表示機能及び通信機能を有する多機能携帯電話機(2)及び表示機能及び通信機能を有するウェアラブル端末(3)の少なくともいずれかであり、位置特定部で位置を特定する携帯端末は、少なくともウェアラブル端末であって、ウェアラブル端末は、表示機能及び通信機能を有する多機能携帯電話機と通信接続されている場合に、この多機能携帯電話機で行われる特定通知を自端末から行わせるものであり、指示処理部は、ウェアラブル端末との通信接続を解除させる指示をウェアラブル端末と通信接続されている多機能携帯電話機に向けて送信させることで、特定通知を携帯端末としてのウェアラブル端末で行わせないようにするための指示を行わせる。
上記目的を達成するために、本開示の第4の車載装置は、車両で用いられて、ユーザに携帯される携帯端末(2,3)から送信される電波を車両に設けられる複数のアンテナ(45)のそれぞれで受信する受信結果をもとに、車両の車室内での携帯端末の位置を特定する位置特定部(405)と、車両が始動している場合であって、且つ、位置特定部で携帯端末が運転席に位置することを特定した場合に、運転手が運転中に表示を確認すべきでない通知である特定通知を位置特定部で運転席に位置することを特定したその携帯端末で行わせないようにするための指示を行わせる指示処理部(409)とを備え、位置特定部で位置を特定する携帯端末は、表示機能及び通信機能を有する多機能携帯電話機(2)及び表示機能及び通信機能を有するウェアラブル端末(3)の少なくともいずれかであり、位置特定部で位置を特定する携帯端末は、少なくともウェアラブル端末であって、ウェアラブル端末は、表示機能及び通信機能を有する多機能携帯電話機と通信接続されている場合に、この多機能携帯電話機で行われる特定通知を自端末から行わせるものであって、多機能携帯電話機は、近距離無線通信を介した認証によって車両の制御の許可を行う際に用いられる車両の電子キーとしての機能を有するものであり、アンテナは、近距離無線通信を介した認証の際に多機能携帯電話機からの電波を受信するものでもあり、位置特定部は、電子キーとしての多機能携帯電話機から送信される所定周波数帯の電波である所定周波数帯電波を複数のアンテナのそれぞれで受信する受信結果をもとに、車両の車室内での多機能携帯電話機の位置を特定するのに加え、通信接続されている多機能携帯電話機とウェアラブル端末との間での所定周波数帯電波を用いた通信を複数のアンテナのそれぞれで傍受して受信する受信結果をもとに、車両の車室内での携帯端末としてのウェアラブル端末の位置を特定する。
【0008】
これによれば、車両が始動している場合であって、且つ、位置特定部で携帯端末が運転席に位置することを特定した場合に、運転手が運転中に表示を確認すべきでない通知である特定通知を位置特定部で運転席に位置することを特定したその携帯端末で行わせないようにするための指示を指示処理部が行わせるので、運転手が運転中に表示を確認すべきでない特定通知に絞って制限することが可能になる。よって、車両の運転中に制限すべき運転手の携帯端末の機能を、その携帯端末の利便性の低下を抑えつつ制限することが可能になる。また、携帯端末が運転席に位置することは、ユーザに携帯される携帯端末から送信される電波を車両に設けられる複数のアンテナのそれぞれで受信する受信結果をもとに位置特定部で特定されるので、ユーザの手間を抑えながらも運転手の携帯端末を区別することが可能になる。その結果、ユーザの手間を抑えながらも運転手の携帯端末を区別し、車両の運転中に制限すべき運転手の携帯端末の機能を、その携帯端末の利便性の低下を抑えつつ制限することが可能になる。
【0009】
上記目的を達成するために、本開示の車両用システムは、車両で用いられて、ユーザに携帯される携帯端末(2,3)と、車両に設けられる複数のアンテナ(45)と、前述の車載装置(40)とを含む。
【0010】
これによれは、前述の車載装置を含むので、ユーザの手間を抑えながらも運転手の携帯端末を区別し、車両の運転中に制限すべき運転手の携帯端末の機能を、その携帯端末の利便性の低下を抑えつつ制限することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】車両用システム1の概略的な構成の一例を示す図である。
図2】スマホ2の概略的な構成の一例を示す図である。
図3】ウェアラブル端末3の概略的な構成の一例を示す図である。
図4】車両側ユニット4の概略的な構成の一例を示す図である。
図5】BLEモジュール45(45a~45j)の配置の一例を示す図である。
図6】照合ECU40の概略的な構成の一例を示す図である。
図7】車両用システム1の利用場面の一例を示す図である。
図8】車両用システム1の利用場面の一例を示す図である。
図9】車両用システム1の利用場面の一例を示す図である。
図10】照合ECU40での特定通知制限関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11】車両用システム1aの概略的な構成及び利用場面の一例を示す図である。
図12】照合ECU40aの概略的な構成の一例を示す図である。
図13】車両用システム1aの利用場面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面を参照しながら、開示のための複数の実施形態を説明する。なお、説明の便宜上、複数の実施形態の間において、それまでの説明に用いた図に示した部分と同一の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。同一の符号を付した部分については、他の実施形態における説明を参照することができる。
【0013】
(実施形態1)
<車両用システム1の概略構成>
以下、本実施形態について図面を用いて説明する。まず、図1を用いて、車両用システム1の説明を行う。図1に示すように、車両用システム1は、スマートフォン(以下、スマホ)2、ウェアラブル端末3、及び車両側ユニット4を含んでいる。車両用システム1は、車両で用いられる。図1のHVが車両を示している。
【0014】
スマホ2は、ユーザに携帯される多機能携帯電話機である。スマホ2は、少なくとも表示機能及び通信機能を有しているものとする。なお、「ユーザに携帯される」とは、ユーザが携帯して用いることができることを示している。つまり、「ユーザに携帯される」とは、ユーザに携帯されている状態に限るものではなく、ユーザに携帯されていない状態も含むものとする。例えば、スマホ2がスマホ2のユーザが乗車した車両の車室内に置かれている状態も含む。
【0015】
スマホ2は、各種アプリケーション(以下、アプリ)に関する通知を行う。スマホ2は、アプリに関する通知として、運転手が運転中に表示を確認すべきでない通知(以下、特定通知)を行うことが可能となっているものとする。例えば、特定通知の例としては、以下が挙げられる。メールアプリでのメールの着信の通知がある。メッセージアプリでのメッセージの着信の通知がある。カレンダーアプリでの予定の通知がある。ニュースアプリでのニュースの通知がある。ナビゲーションアプリでの案内通知は、運転支援に関するものなでの特定通知に含まないものとすればよい。特定通知自体は、必ずしも表示によって行う必要はなく、音,光等で行ってもよい。運転手が運転中に表示を確認すべきでない通知における表示とは、通知によってユーザが気付かされる事柄についての内容を確認するための表示である。
【0016】
ウェアラブル端末3は、ユーザに装着されて用いられる端末である。ウェアラブル端末3は、少なくとも表示機能及び通信機能を有しているものとする。ウェアラブル端末3は、スマホ2と通信機能によって通信接続されて、スマホ2と連携する構成とすればよい。ウェアラブル端末3は、スマホ2と連携することで、スマホ2で行う特定通知を行うことが可能な通知とすればよい。ウェアラブル端末3は、特定通知によってユーザが気付かされる事柄についての内容を確認するための表示までを行う必要はない。この表示は、ウェアラブル端末3と連携するスマホ2で行う構成とすればよい。なお、この表示の内容の一部をウェアラブル端末3の表示機能によって簡略に表示する構成としてもよい。
【0017】
ウェアラブル端末3としては、車両の運転時に装着が認められる各種のタイプを用いることができる。例えば、時計型,リストバンド型,クリップ型等が挙げられる。以下では、ウェアラブル端末3が、時計型,リストバンド型等の手に装着するものである場合を例に挙げて説明を行う。
【0018】
車両側ユニット4は、車両で用いられる。車両側ユニット4を用いる車両を以降では自車と呼ぶ。車両側ユニット4は、スマホ2と通信接続して近距離無線通信を行うことが可能となっている。車両側ユニット4は、この近距離無線通信を介したコード照合によって車両の利用の許可に関する認証を行う。車両用システム1では、スマホ2が車両の電子キーとして機能する。
【0019】
<スマホ2の概略構成>
次に、図2を用いてスマホ2についての説明を行う。図2に示すように、スマホ2は、制御部20、通信モジュール21、スピーカ22、及び表示装置23を備えている。なお、本実施形態では、便宜上、スマホ2のうちの、電子キー及び特定通知に関連する構成以外については説明を省略している。
【0020】
通信モジュール21は、通信接続相手として予め登録されている車両側ユニット4,ウェアラブル端末3との間で通信接続して近距離無線通信を行うための通信モジュールである。近距離無線通信とは、例えば通信範囲が最大でも数十メートル程度におさまる所定の近距離無線通信規格に準拠した通信である。近距離無線通信規格としては、Bluetooth(登録商標)、Bluetooth Low Energy(以下、BLE)、Wi-Fi(登録商標)、ZigBee(登録商標)等を採用することができる。近距離無線通信には、例えば2.4GHz帯等の電波といった所定周波数帯の高周波電波が用いられる。本実施形態では、通信モジュール21がBLEに準拠した通信を2.4GHz帯で行う場合を例に挙げて以降の説明を行う。2.4GHz帯とは、2400MHzから2500MHzの電波である。
【0021】
通信モジュール21は、車両側ユニット4から定期的に送信されるアドバタイジングパケットを、定期的にスキャンして受信し、車両側ユニット4とコネクション(つまり、通信接続)を確立する。そして、仮想的な専用通信路であるこのコネクションを通じて、認証についての情報の送受信を行う。一例として、通信モジュール21は、車両側ユニット4からコード照合のためのコードの要求を受信する。また、通信モジュール21は、この要求に対して、コード照合のためのコードを、2.4GHz帯の電波にのせて車両側ユニット4に送信させる。
【0022】
また、通信モジュール21は、通信範囲内のウェアラブル端末3との間で通信接続して近距離無線通信を行う。通信モジュール21とウェアラブル端末3との間での近距離無線通信は、スマホ2とウェアラブル端末3との連携に用いられる。通信モジュール21とウェアラブル端末3との間での近距離無線通信も、2.4GHz帯の電波にのせて情報のやり取りが行われる。
【0023】
スピーカ22は、制御部20の指示に従って音を出力する。一例として、スピーカ22は、制御部20でのアプリの実行によって特定通知が必要となった場合に、音によって特定通知を行う。なお、特定通知は、音によって行う構成に限らず、振動子の振動,LEDといった発光体の発光等によって行ってもよい。
【0024】
表示装置23は、制御部20の指示に従って表示を行う。表示装置23は、例えば液晶ディスプレイ等である。表示装置23は、特定通知によってユーザに確認を促すアプリが提供する情報の内容を表示する。一例としては、以下の通りである。特定通知がメールアプリ,メッセージアプリでのメール,メッセージの着信の通知の場合には、着信したメール,メッセージの内容を表示する。特定通知がカレンダーアプリでの予定の通知の場合には、この予定の内容を表示する。特定通知がニュースアプリでのニュースの通知の場合には、このニュースの内容を表示する。
【0025】
制御部20は、例えばプロセッサ,メモリ等からなるものであって、電子キー及び特定通知に関連する処理を実行する。制御部20は、通信モジュール21で車両側ユニット4から送信されるコードの要求を受信した場合に、コード照合のためのコードを通信モジュール21に出力する。これにより、通信モジュール21から、このコードが、2.4GHz帯の電波にのせて車両側ユニット4に送信される。
【0026】
一例として、車両側ユニット4から乱数コードが送信されてくる場合には、制御部20は、通信モジュール21を介して取得するこの乱数コードを、共通鍵暗号方式で用いる秘密鍵及び暗号化アルゴリズムで暗号化し、暗号化コードを生成する。そして、この暗号化コードを、コード照合のためのコードとして通信モジュール21に出力すればよい。なお、コード照合のためのコードは、車両の正規のキー情報としてセンタ等から配信されるコードであってもよい。
【0027】
他にも、制御部20は、スマホ2とウェアラブル端末3とを連携させるための情報を、通信モジュール21から通信接続中のウェアラブル端末3に送信させる。一例としては、スマホ2のアプリで特定通知が必要になった場合に、特定通知を行わせるための情報を、通信モジュール21から通信接続中のウェアラブル端末3に送信させる。これにより、ウェアラブル端末3で特定通知が行われることになる。
【0028】
また、制御部20は、通信モジュール21と通信接続した車両側ユニット4から、特定通知を行わせないようにする指示(以下、特定通知禁止指示)を通信モジュール21で受信した場合に、特定通知を行わせないようにする。これにより、スマホ2は、ウェアラブル端末3と連携していない場合には、自機器からの特定通知を行わせないことで、自機器で行う筈の特定通知を行わせないようにする。一方、スマホ2は、ウェアラブル端末3と連携している場合には、自機器からの特定通知を行わせないことで、通信モジュール21と通信接続しているウェアラブル端末3から行う筈の特定通知を行わせないようにする。
【0029】
なお、制御部20は、自機器がウェアラブル端末3と連携している場合には、通信モジュール21と通信接続した車両側ユニット4から、ウェアラブル端末3との通信接続を解除させるようにする指示(以下、接続解除指示)を通信モジュール21で受信した場合に、ウェアラブル端末3との通信接続を解除する構成としてもよい。これにより、スマホ2は、ウェアラブル端末3と連携している場合に、このウェアラブル端末3との通信接続を解除することで、通信モジュール21と通信接続しているウェアラブル端末3から行う筈の特定通知を行わせないようにする。
【0030】
制御部20は、自機器又は通信モジュール21と通信接続しているウェアラブル端末3から特定通知を行わせないようにした場合には、例えば通信モジュール21と通信接続した車両側ユニット4から、解除指示を通信モジュール21で受信するまで、特定通知を行わせない状態を継続する構成とすればよい。
【0031】
<ウェアラブル端末3の概略構成>
次に、図3を用いてウェアラブル端末3についての説明を行う。図3に示すように、ウェアラブル端末3は、制御部30、通信モジュール31、スピーカ32、及び表示装置33を備えている。なお、本実施形態では、便宜上、ウェアラブル端末3のうちの、特定通知に関連する構成以外については説明を省略している。
【0032】
通信モジュール31は、通信接続相手として予め登録されているウェアラブル端末3との間で通信接続して近距離無線通信を行うための通信モジュールである。近距離無線通信としては、スマホ2と車両側ユニット4との間で行われる近距離無線通信と同じ通信規格に準拠した近距離無線通信を用いるものとする。つまり、本実施形態の例では、通信モジュール31がBLEに準拠した通信を2.4GHz帯で行う。本実施形態では、同一のユーザに用いられるスマホ2とウェアラブル端末3との通信接続は予め確立しているものとして説明を行う。
【0033】
スピーカ32は、制御部30の指示に従って音を出力する。一例として、スピーカ32は、スマホ2とウェアラブル端末3との連携によって特定通知が必要となった場合に、音によって特定通知を行う。なお、特定通知は、音によって行う構成に限らず、振動子の振動,LEDといった発光体の発光等によって行ってもよい。
【0034】
表示装置33は、制御部30の指示に従って表示を行う。表示装置33は、例えば液晶ディスプレイ等である。表示装置33は、特定通知によってユーザに確認を促すアプリが提供する情報の見出し等の簡略化した内容(以下、簡略内容)を表示する構成としてもよい。
【0035】
制御部30は、例えばプロセッサ,メモリ等からなるものであって、特定通知に関連する処理を実行する。制御部30は、通信モジュール31と通信接続中のスマホ2から送信される、特定通知を行わせるための情報を通信モジュール31で受信した場合に、この情報をもとに、例えばスピーカ32から特定通知を行わせる。制御部30は、通信モジュール31で受信した、特定通知を行わせるための情報をもとに、表示装置33に前述の簡略内容を表示させてもよい。
【0036】
<車両側ユニット4の概略構成>
次に、図4を用いて、車両側ユニット4の概略的な構成の一例について説明を行う。図4に示すように、車両側ユニット4は、照合ECU40、車両センサ41、施開錠スイッチ(以下、施開錠SW)42、始動スイッチ(以下、始動SW)43、スマホキーECU44、BLEモジュール45、ボデーECU46、及びパワーユニットECU47を含んでいる。例えば、照合ECU40、車両センサ41、ボデーECU46、及びパワーユニットECU47は、車内LANに接続される構成とすればよい。
【0037】
車両センサ41は、自車の各種状態を検出するためのセンサ群である。車両センサ41としては、自車の乗員をモニタするためのセンサがある。このようなセンサとしては、自車の室内を撮像する室内カメラ,各座席の着座状態を検出する着座センサ等がある。また、車両センサ41としては、自車の走行状態,操作状態等を検出するためのセンサがある。このようなセンサとしては、自車の車速を検出する車速センサ,シフトポジションを検出するシフトポジションセンサ等がある。
【0038】
施開錠SW42は、運転席のドア,助手席のドア,トランクルームドアといった車両ドアの施開錠を要求するためのスイッチである。施開錠SW42は、車両のアウタードアハンドルに設けられたり、リアバンパに設けられたりする構成とすればよい。施開錠SW42としては、例えばタッチスイッチを用いたり、メカニカルなボタンスイッチを用いたりすることができる。施開錠SW42の信号は、例えばボデーECU46に出力される構成とすればよい。
【0039】
始動SW43は、自車の走行駆動源の始動を要求するためのスイッチである。始動SW43は、例えば運転席前方に設けられる。始動SW43としては、例えばメカニカルなボタンスイッチを用いることができる。始動SW43の信号は、例えば照合ECU40に出力される構成とすればよい。
【0040】
スマホキーECU44は、例えばプロセッサ,メモリ等からなる電子制御装置である。スマホキーECU44は、図4に示すように、スマホキー制御部440及びBLE通信部441を備える。スマホキーECU44は、スマホ2を電子キーとして用いるスマホキーシステムに関連する処理を実行する。スマホキーECU44は、照合ECU40及びBLEモジュール45と接続されている。
【0041】
BLE通信部441は、例えばIC,アンテナ,通信回路等からなる通信モジュールである。BLE通信部441は、スマホキー制御部440の指示に従って、BLEに準拠した無線通信を行う。スマホキー制御部440は、例えばプロセッサ,メモリ等からなるものであって、BLE通信部441での通信を制御する。
【0042】
スマホキー制御部440は、照合ECU40の指示に従って、自車の駐車時に、BLE通信部441からアドバタイジングパケットを定期的に送信させるポーリングを行わせる。スマホキー制御部440は、照合ECU40の指示がない場合には、このポーリングを行わせない。このアドバタイジングパケットをスマホ2の通信モジュール21で取得できた場合に、通信モジュール21とBLE通信部441との通信接続が確立する。そして、この通信接続が確立した後、スマホキー制御部440は、コード照合のためのコードをBLE通信部441からスマホ2に送信させる。また、スマホキー制御部440は、始動SW43が操作される場合にも、照合ECU40から指示を受けて、コード照合のためのコードをBLE通信部441からスマホ2に送信させる。
【0043】
以降では、コード照合のためのコードとして乱数コードを用いる場合を例に挙げて説明を行う。BLE通信部441から送信される乱数コードを受信したスマホ2は、暗号化コードの送信を行う。スマホキー制御部440は、通信モジュール21から送信されてくる暗号化コードを、BLE通信部441を介して取得し、照合ECU40に出力する。
【0044】
なお、自車に複数のユーザのスマホ2が持ち込まれる場合には、各ユーザのスマホ2の通信モジュール21とBLE通信部441との通信接続が行われる構成としてもよい。以降では、自車に複数のユーザのスマホ2が持ち込まれる場合には、各ユーザのスマホ2の通信モジュール21とBLE通信部441との通信接続が行われる場合を例に挙げて説明を行う。
【0045】
BLEモジュール45は、BLEに準拠した無線通信を行うことが可能な通信モジュールである。BLEモジュール45は、BLE通信部441と同様に、例えばIC,アンテナ,通信回路等からなる構成とすればよい。このBLEモジュール45がアンテナに相当する。また、BLEモジュール45は、例えば、受信する電波の受信信号強度(以下、RSSI)を測定するRSSI測定回路を有している構成とすればよい。
【0046】
BLEモジュール45は、通信モジュール21とBLE通信部441との間で通信接続を確立して行っている通信に用いられる電波のスニッフィング(つまり、傍受)によって、この電波を受信してRSSIを測定する。また、BLEモジュール45は、スマホ2とウェアラブル端末3との間で通信接続を確立して行っている通信に用いられる電波のスニッフィング(つまり、傍受)によって、この電波を受信してRSSIを測定する。
【0047】
BLEモジュール45は、例えば自車の車室内外の複数箇所に設けられ、各設置場所において、スマホ2又はウェアラブル端末3から送信される電波のRSSIを測定することが好ましい。例えば、BLEモジュール45は、車室外の所定範囲が強電界エリアとなるように、例えば、車両ドアの外側面,車両の屋根部,ボンネット,ピラー等に配置される。また、BLEモジュール45は、車室内の所定範囲が強電界エリアとなるように、センターコンソールとインストルメントパネルとの境界部分,車両ドアの内側面,トランクルーム等に配置される。
【0048】
一例として、図5に示すように、車室外に配置されるBLEモジュール45として、車両の左右の側面の前部から後部にわたってBLEモジュール45a~45fを備える構成とすればよい。また、一例として、図5に示すように、車室内に配置されるBLEモジュール45として、車室内にBLEモジュール45g~45jを備える構成とすればよい。
【0049】
BLEモジュール45aは、車両の前部座席の右側ドアの外側面に配置される。BLEモジュール45bは、車両の後部座席の右側ドアの外側面に配置される。BLEモジュール45cは、車両の後端部の右コーナー付近に配置される。BLEモジュール45dは、車両の前部座席の左側ドアの外側面に配置される。BLEモジュール45eは、車両の後部座席の左側ドアの外側面に配置される。BLEモジュール45fは、車両の後端部の左コーナー付近に配置される。
【0050】
BLEモジュール45gは、車両のセンターコンソールとインストルメントパネルとの境界部分に配置される。BLEモジュール45hは、後部座席の右側ドアの内側面に配置される。BLEモジュール45iは、トランクルームの床部に配置される。BLEモジュール45jは、車両の後部座席の左側ドアの内側面に配置される。
【0051】
BLEモジュール45は、測定したRSSIをスマホキー制御部440に出力する。RSSIは、距離減衰特性を持つため、BLEモジュール45で測定したRSSIから、BLEモジュール45と電波の送信元のスマホ2,ウェアラブル端末3との距離を算出することが可能になる。また、BLEモジュール45とスマホ2,ウェアラブル端末3との距離から、自車に対するスマホ2,ウェアラブル端末3の位置を特定することが可能になる。
【0052】
例えば、3つ以上のBLEモジュール45で測定したRSSIのそれぞれから算出した距離、及びこれらのBLEモジュール45の自車における配置位置に基づいて、三角測量の原理によって自車の基準点に対するスマホ2,ウェアラブル端末3の位置を特定することができる。
【0053】
なお、ここでは、RSSIを利用して自車に対するスマホ2,ウェアラブル端末3の位置を特定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、電波の到来角度を用いて定位を行うAoA(Angle of Arrival)方式を利用して自車に対するスマホ2,ウェアラブル端末3の位置を特定する構成としてもよい。また、電波の飛行時間を用いて定位を行うToF(Time of Flight)方式を利用して自車に対するスマホ2,ウェアラブル端末3の位置を特定する構成としてもよい。
【0054】
ボデーECU46は、例えばプロセッサ,メモリ等からなる電子制御装置である。ボデーECU46は、各車両ドアの施開錠を制御するための駆動信号を各車両ドアに設けられたドアロックモータに出力することで、各車両ドアの施開錠を行う。また、ボデーECU46には、施開錠SW42が接続されており、施開錠SW42のオンオフに応じた信号が入力される。
【0055】
パワーユニットECU47は、車両の内燃機関又はモータジェネレータといった走行駆動源を制御する電子制御装置である。パワーユニットECU47は、照合ECU40から走行駆動源の始動許可信号を取得すると、自車の走行駆動源を始動させる。
【0056】
照合ECU40は、例えばプロセッサ、メモリ、I/O、これらを接続するバスを備え、メモリに記憶された制御プログラムを実行することで各種の処理を実行する。照合ECU40は、自車での認証に関する処理,自車での特定通知の制限に関する処理(以下、特定通知制限関連処理)等を実行する。ここで言うところのメモリは、コンピュータによって読み取り可能なプログラム及びデータを非一時的に格納する非遷移的実体的記憶媒体(non-transitory tangible storage medium)である。また、非遷移的実体的記憶媒体は、半導体メモリ又は磁気ディスクなどによって実現される。この照合ECU40が車載装置に相当する。なお、照合ECU40の詳細については、以下で述べる。
【0057】
<照合ECU40の概略構成>
ここで、図6を用いて、照合ECU40の概略的な構成の一例について説明を行う。図6に示すように、照合ECU40は、車両状態判定部401、通信処理部402、記憶部403、認証部404、位置特定部405、許可部406、乗員判定部407、対象特定部408、及び指示処理部409を機能ブロックとして備える。なお、照合ECU40が実行する機能の一部又は全部を、1つ或いは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、照合ECU40が備える機能ブロックの一部又は全部は、プロセッサによるソフトウェアの実行とハードウェア部材の組み合わせによって実現されてもよい。
【0058】
車両状態判定部401は、車両センサ41で検出する車両状態に関するセンシング結果をもとに、車両の状態を判定する。例えば、車速センサで検出する車速,シフトポジションセンサで検出するシフトポジション等をもとに、車両が駐車中か否か判定する。
【0059】
通信処理部402は、スマホキーECU44と協働してスマホ2との間でのデータの送受信を行う。通信処理部402は、ボデーECU46から入力される信号,車両状態判定部401で判定する車両状態等に応じて、スマホキーECU44にアドバタイジングパケットの送信を要求する。
【0060】
例えば、通信処理部402は、自車が駐車中であって、且つ、自車の全車両ドアが施錠されてから一定時間経過後に、定期的にアドバタイジングパケットを送信させるようスマホキーECU44に要求を行う。この要求に従って、スマホキーECU44は、BLE通信部441からアドバタイジングパケットを定期的に送信させるポーリングを行わせる。通信処理部402は、アドバタイジングパケットを受信したスマホ2と通信接続が確立した場合に、スマホキーECU44を介してこのスマホ2へ乱数コードを送信させる。そして、このスマホ2から送信される暗号化コードを、スマホキーECU44を介して取得する。
【0061】
また、通信処理部402は、始動SW43が操作された場合にも、スマホキーECU44を介してこのスマホ2へ乱数コードを送信させればよい。そして、このスマホ2から送信される暗号化コードを、スマホキーECU44を介して取得すればよい。始動SW43が操作されたことは、始動SW43の信号から特定すればよい。
【0062】
さらに、通信処理部402は、BLEモジュール45でそれぞれ測定される、暗号化コードの送信に用いられた電波のRSSIを、スマホキーECU44を介して取得する。通信処理部402は、自車に複数設けられているBLEモジュール45ごとにRSSIを取得する。一例として、乗員の降車後から乗車までは車室外のBLEモジュール45を用い、乗員の乗車後から降車までは車室内のBLEモジュール45を用いればよい。乗員の降車及び乗車は、車両ドアの開閉,車両ドアの施開錠状態,着座センサで検出する着座状態等から判断すればよい。
【0063】
また、通信処理部402は、自車の走行駆動源の始動が許可されて始動した場合といった所定タイミングに、スマホ2とBLE通信部441との間、及び/又はスマホ2とウェアラブル端末3との間での2.4GHz帯での通信時においてBLEモジュール45で測定されるRSSIを取得すればよい。例えば、自車に複数のユーザのスマホ2が持ち込まれる場合には、各ユーザのスマホ2の通信モジュール21とBLE通信部441との通信時においてBLEモジュール45で測定されるRSSIを取得すればよい。自車に複数のユーザのスマホ2及びウェアラブル端末3が持ち込まれる場合には、各ユーザのスマホ2の通信モジュール21とウェアラブル端末3の通信モジュール31とのBLE通信部441との通信時においてBLEモジュール45で測定されるRSSIを取得すればよい。なお、ここで言うところの所定タイミングは、自車の走行駆動源の始動後の一定周期ごととする構成としても構わない。
【0064】
記憶部403は、認証のための情報が記憶されている。認証のための情報は、例えば共通鍵暗号方式で用いる秘密鍵等である。記憶部403は、例えば電気的に書き換え可能な不揮発性メモリである。
【0065】
認証部404は、コード照合による認証を行う。認証部404は、通信処理部402で取得する暗号化コードと、BLE通信部441から送信させた乱数コードを記憶部403に記憶されている秘密鍵で暗号化して得られる暗号化コードとのコード照合を行う。コード照合の成否の結果は、許可部406に出力される。
【0066】
位置特定部405は、スマホ2,ウェアラブル端末3から送信される電波を自車に設けられる複数のBLEモジュール45のそれぞれで傍受して受信する受信結果をもとに、自車に対するスマホ2,ウェアラブル端末3の位置を特定する。一例としては、複数のBLEモジュール45のそれぞれで傍受した電波のRSSIから自車に対するスマホ2,ウェアラブル端末3の位置を特定する。なお、位置特定部405は、複数のBLEモジュール45のそれぞれで傍受して受信する受信結果をもとに、前述したように、AoA方式,ToF方式等を利用して、自車に対するスマホ2,ウェアラブル端末3の位置を特定してもよい。
【0067】
位置特定部405は、例えば自車の走行駆動源が始動した場合においては、スマホ2,ウェアラブル端末3から送信される電波を自車に設けられる複数のBLEモジュール45のそれぞれで傍受して受信する受信結果をもとに、自車の車室内でのスマホ2,ウェアラブル端末3の位置を特定すればよい。
【0068】
位置特定部405は、例えば自車が駐車中の場合においては、スマホ2から送信される電波を自車に設けられる複数のBLEモジュール45のそれぞれで傍受して受信する受信結果をもとに、自車の車室内外でのスマホ2の位置を特定すればよい。そして、特定したスマホ2の位置から、スマホ2が自車の車室内外のいずれに位置するかを特定すればよい。
【0069】
本実施形態では、位置特定部405は、電子キーとしてのスマホ2から送信される2.4GHz帯の電波を複数のBLEモジュール45のそれぞれで受信する受信結果をもとに、自車の車室内でのスマホ2の位置を特定する。位置特定部405は、これに加え、通信接続されているスマホ2とウェアラブル端末3との間での2.4GHz帯の電波を用いた通信を複数のBLEモジュール45のそれぞれで傍受して受信する受信結果をもとに、自車の車室内でのウェアラブル端末3の位置を特定する。
【0070】
許可部406は、例えば自車が駐車中且つ施錠状態の場合には、認証部404での照合が成立し、且つ、照合に用いられたスマホ2が車室外に位置すると位置特定部405で特定した場合に、各車両ドアの開錠を許可する信号をボデーECU46に送ればよい。これにより、各車両ドアの開錠が許可される。一方、許可部406は、認証部404での照合が成立した場合であっても、照合に用いられたスマホ2が車室外に位置しないと位置特定部405で特定した場合に、各車両ドアの開錠を許可する信号をボデーECU46に送らなければよい。この場合、各車両ドアの開錠は許可されない。許可部406は、認証部404での照合が成立しなかった場合にも、各車両ドアの開錠を許可する信号をボデーECU46に送らない。例えば、自車が駐車中であることは、車両状態判定部401での判定結果から特定すればよい。
【0071】
また、許可部406は、例えば始動SWが操作された場合には、認証部404での照合が成立し、且つ、照合に用いられたスマホ2が車室内に位置すると位置特定部405で特定した場合に、走行駆動源の始動許可信号をパワーユニットECU47に送ればよい。これにより、自車の走行駆動源が始動される。一方、許可部406は、認証部404での照合が成立した場合であっても、照合に用いられたスマホ2が車室内に位置しないと位置特定部405で特定した場合に、走行駆動源の始動許可信号をパワーユニットECU47に送らなければよい。この場合、自車の走行駆動源は始動されない。許可部406は、認証部404での照合が成立しなかった場合にも、走行駆動源の始動許可信号をパワーユニットECU47に送らない。
【0072】
乗員判定部407は、自車に運転手以外も乗車しているか否かを判定する。乗員判定部407は、例えば車両センサ41のうちの着座センサで検出する各座席の着座状態をもとに、自車に運転手以外も乗車しているか否かを判定すればよい。
【0073】
対象特定部408は、特定通知の制限についての指示を送る対象(以下、指示対象)を特定する。対象特定部408は、乗員判定部407での判定結果に応じて、指示対象を特定する。例えば、乗員判定部407で自車に運転手以外も乗車していると判定した場合、自車の運転席に位置するスマホ2又は自車の運転席に位置するウェアラブル端末3と通信接続しているスマホ2を指示対象と特定すればよい。自車の車室内でのスマホ2及びウェアラブル端末3の位置は、位置特定部405で特定すればよい。一方、乗員判定部407で自車に運転手以外が乗車していない(つまり、運転手のみ)と判定した場合、自車の車室内に位置する全てのスマホ2を指示対象と特定すればよい。
【0074】
指示処理部409は、乗員判定部407で自車に運転手以外も乗車していると判定した場合には、自車が始動した場合であって、且つ、位置特定部405でスマホ2又はウェアラブル端末3が運転席に位置することを特定した場合に、特定通知を、運転席に位置することを特定したそのスマホ2又はウェアラブル端末3で行わせないようにするための指示を行わせればよい。この指示としては、前述した特定通知禁止指示を、対象特定部408で指示対象と特定したスマホ2に送信する構成とすればよい。また、指示対象が、自車の運転席に位置するウェアラブル端末3と通信接続しているスマホ2の場合は、前述した接続解除指示をこのスマホ2に送信する構成としてもよい。
【0075】
なお、自車の始動とは、走行駆動源が始動したこととすればよい。この場合、走行駆動源が始動したことは、例えばパワーユニットECU47を照合ECU40がモニタすることで特定すればよい。他にも、自車の始動とは、自車が走行を開始したこととしてもよい。この場合、自車が走行を開始したことは、車両センサ41のうちの車速センサで検出する車速をもとに照合ECU40が特定すればよい。
【0076】
以上の構成によれば、運転手の装着するウェアラブル端末3と通信接続している運転手のスマホ2が運転席にない場合でも、このウェアラブル端末3と通信接続しているスマホ2を指示対象として特定通知を行わせないようにする指示を送信するので、運転手の装着するウェアラブル端末3からの特定通知を制限することが可能になる。
【0077】
また、以上の構成によれば、図7に示すように、運転席Aに着座するユーザ(つまり、運転手)のスマホ2と後部座席Cに着座する運転手以外のユーザのスマホ2とが自車の車室内に混在する場合でも、運転手のスマホ2に絞って、特定通知を行わせないようにする指示を送信することが可能になる。よって、運転手以外のユーザのスマホ2からの特定通知を制限することで利便性を低下させてしまうことを抑制することが可能になる。図7の例では、運転席Aに着座するユーザがウェアラブル端末3を装着しており、このウェアラブル端末3と通信接続しているこのユーザのスマホ2は助手席Bに置かれている。また、後部座席Cには、ウェアラブル端末3を装着せずにスマホ2を持っているユーザが着座している。
【0078】
また、図8に示すように、運転手以外のユーザもウェアラブル端末3を装着している場合でも、このウェアラブル端末3と通信接続しているスマホ2には、特定通知を行わせないようにする指示を送信しないので、運転手以外のユーザのウェアラブル端末3からの特定通知を制限することで利便性を低下させてしまうことを抑制することが可能になる。図8の例では、運転席Aに着座するユーザがウェアラブル端末3を装着しており、このウェアラブル端末3と通信接続しているこのユーザのスマホ2は助手席Bに置かれている。また、後部座席Cに着座するユーザもウェアラブル端末3を装着しており、このウェアラブル端末3と通信接続しているこのユーザのスマホ2は後部座席Cに置かれた鞄の中に入っている。
【0079】
一方、指示処理部409は、乗員判定部407で自車に運転手以外は乗車していないと判定した場合には、自車が始動した場合に、特定通知を、位置特定部405で位置を特定した全てのスマホ2で行わせないようにするための指示を行わせればよい。ここで言うところの位置特定部405で位置を特定した全てのスマホ2とは、自車の車室内に位置を特定した全てのスマホ2とすることがより好ましい。
【0080】
以上の構成による効果について図9を用いて説明を行う。図9の例では、車両HVの乗員は運転席Aのユーザ(つまり、運転手)のみである。また、図9の例では、運転手はウェアラブル端末3を装着せず、運転手のスマホ2は助手席Bに置かれている。図9の例のように、車両HVの乗員が運転手のみの場合、スマホ2が運転席A以外に位置しない場合でも、このスマホ2が運転手のスマホ2である可能性が非常に高い。よって、図9に示すように、運転手がウェアラブル端末3を装着しておらず、スマホ2を運転席A以外に置いている場合でも、以上の構成によれば、運転手のスマホ2である可能性が非常に高いスマホ2を指示対象として特定通知を行わせないようにする指示を送信することが可能になる。
【0081】
また、指示処理部409は、指示対象に対して、特定通知を行わせないようにする指示を一旦送信した後、自車が走行していない状態における所定のタイミングでこの指示を取り消す旨の指示(以下、制限終了指示)を送信する構成とすればよい。所定のタイミングとしては、自車の駐車時,自車の始動SW43のオフ時等とすればよい。これによれば、自車が走行していない状態となった場合に、ユーザのスマホ2,ウェアラブル端末3で特定通知を行うことが可能な状態に速やかに移行し、特定通知を受けることが可能になる。以降では、所定のタイミングが始動SW43のオフ時である場合を例に挙げて説明を行う。
【0082】
<照合ECU40での特定通知制限関連処理>
次に、図10のフローチャートを用いて、照合ECU40での特定通知制限関連処理の流れの一例について説明を行う。図10のフローチャートは、始動SW43がオンになって電子キーとしてのスマホ2との間での照合によって自車の走行駆動源の始動が許可され、自車の走行駆動源が始動した場合に開始する構成とすればよい。
【0083】
まず、ステップS1では、乗員判定部407が、自車に運転手以外も乗車しているか否かを判定する。そして、自車に運転手のみ乗車していると判定した場合(S1でYES)には、ステップS2に移る。一方、自車に運転手以外も乗車していると判定した場合(S1でNO)には、ステップS4に移る。
【0084】
ステップS2では、位置特定部405が、車室内の複数のBLEモジュール45のそれぞれで傍受して受信する受信結果をもとに、自車の車室内でのスマホ2,ウェアラブル端末3の位置を特定する。ステップS3では、対象特定部408が、S2で自車の車室内に位置すると特定した全てのスマホ2を指示対象と特定し、ステップS6に移る。
【0085】
ステップS4では、S2と同様にして、位置特定部405が、自車の車室内でのスマホ2,ウェアラブル端末3の位置を特定する。ステップS5では、対象特定部408が、S4で自車の運転席に位置すると特定したスマホ2、又はS4で自車の運転席に位置すると特定したウェアラブル端末3と通信接続しているスマホ2を指示対象と特定し、ステップS6に移る。
【0086】
ステップS6では、指示処理部409が、S3若しくはS5で特定された指示対象に対して、特定通知を行わせないようにするための指示を送信する。特定通知を行わせないようにするための指示を受信したスマホ2では、特定通知を行わせないようにする。例えば、運転席に位置すると特定されたスマホ2であれば、このスマホ2から特定通知を行わせないようにする。また、運転席に位置すると特定されたウェアラブル端末3と通信接続されているスマホ2であれば、このスマホ2から特定通知を行わせないようにしたり、この通信接続を解除したりすることで、このウェアラブル端末3から特定通知が行われないようにする。
【0087】
ステップS7では、特定通知制限関連処理の終了タイミングであった場合(S7でYES)には、ステップS8に移る。一方、特定通知制限関連処理の終了タイミングでなかった場合(S7でNO)には、S7の処理を繰り返す。特定通知制限関連処理の終了タイミングは、例えば始動SW43がオフになったとき等とすればよい。
【0088】
ステップS8では、指示処理部409が、S3若しくはS5で特定された指示対象に対して、制限終了指示を送信する。制限終了指示を受信した指示対象のスマホ2では、特定通知を行わせないようにするための指示が解除され、特定通知を行わせることが可能になる。そして、特定通知制限関連処理を終了する。
【0089】
なお、本実施形態では、一例として、位置特定部405で特定したスマホ2の位置を車両の制御の許可に利用する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、車両からの乗員の降車時のスマホ2の車室内への閉じ込めを検出して警告を出力するといった他のアプリケーションに位置特定部405で特定するスマホ2の位置を利用する構成としてもよい。
【0090】
<実施形態1のまとめ>
実施形態1の構成によれば、自車が始動している場合であって、且つ、位置特定部405でスマホ2,ウェアラブル端末3といった携帯端末が運転席に位置することを特定した場合に、特定通知をその携帯端末で行わせないようにするための指示を指示処理部409が行わせるので、運転手が運転中に表示を確認すべきでない特定通知に絞って制限することが可能になる。よって、車両の運転中に制限すべき運転手の携帯端末の機能を、その携帯端末の利便性の低下を抑えつつ制限することが可能になる。また、携帯端末が運転席に位置することは、ユーザに携帯される携帯端末から送信される電波を車両に設けられる複数のBLEモジュール45のそれぞれで受信する受信結果をもとに位置特定部405で特定されるので、ユーザの手間を抑えながらも運転手の携帯端末を区別することが可能になる。その結果、ユーザの手間を抑えながらも運転手の携帯端末を区別し、車両の運転中に制限すべき運転手の携帯端末の機能を、その携帯端末の利便性の低下を抑えつつ制限することが可能になる。
【0091】
また、実施形態1の構成によれば、近距離無線通信を介した車両の制御の許可のための認証の際にスマホ2からの電波を受信するBLEモジュール45を、特定通知を制限する対象を特定する際のスマホ2,ウェアラブル端末3の車室内での位置の特定にも流用する。よって、特定通知を制限する対象を特定する際のスマホ2,ウェアラブル端末3の車室内での位置の特定のためだけに車両にBLEモジュール45を設ける構成に比べて、無駄を省くことが可能になる。
【0092】
(実施形態2)
実施形態1では、スマホ2が車両の電子キーとしても機能する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、スマホ2が車両の電子キーとして機能しない構成であってもよい。この場合、スマホキーECU44及びBLEモジュール45は、近距離無線通信を介した車両の制御の許可のための認証に用いられず、特定通知を制限する対象を特定する際のスマホ2,ウェアラブル端末3の車室内での位置の特定のために用いられる構成とすればよい。
【0093】
(実施形態3)
実施形態1では、ウェアラブル端末3と連携する携帯端末としてスマホ2を例に挙げて説明を行ったが、必ずしもこれに限らない。例えば、ウェアラブル端末3と連携する携帯端末は、ウェアラブル端末3と連携可能な携帯端末であれば、スマホ2以外のタブレット端末等の携帯端末であってもよい。
【0094】
(実施形態4)
前述の実施形態1では、車両用システム1にウェアラブル端末3を含む構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ウェアラブル端末3を含まない構成(以下、実施形態4)としてもよい。以下では、実施形態4の一例について図を用いて説明する。
【0095】
図11に示すように、実施形態4の車両用システム1aは、ウェアラブル端末3を含まないことと、車両側ユニット4の代わりに車両側ユニット4aを含む点とを除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。また、車両側ユニット4aは、照合ECU40の代わりに照合ECU40aを備える点を除けば、実施形態1の車両側ユニット4と同様である。
【0096】
ここで、図12を用いて、照合ECU40aの概略的な構成の一例について説明を行う。図12に示すように、照合ECU40aは、車両状態判定部401、通信処理部402a、記憶部403、認証部404、位置特定部405a、許可部406、乗員判定部407、対象特定部408a、及び指示処理部409aを機能ブロックとして備える。照合ECU40aは、通信処理部402、位置特定部405、対象特定部408、及び指示処理部409の代わりに、通信処理部402a、位置特定部405a、対象特定部408a、及び指示処理部409aを備える点を除けば、実施形態1の照合ECU40と同様である。この照合ECU40aも車載装置に相当する。
【0097】
通信処理部402aは、車両用システム1aにウェアラブル端末3を含まないので、スマホ2とウェアラブル端末3との間での通信時においてBLEモジュール45で測定されるRSSIは取得しない。この点を除けば、通信処理部402aは、実施形態1の通信処理部402と同様である。
【0098】
位置特定部405aは、車両用システム1aにウェアラブル端末3を含まないので、ウェアラブル端末3の位置は特定しない。この点を除けば、位置特定部405aは、実施形態1の位置特定部405と同様である。
【0099】
対象特定部408aは、車両用システム1aにウェアラブル端末3を含まないので、ウェアラブル端末3と通信接続しているスマホ2を指示対象と特定しない。この点を除けば、対象特定部408aは、実施形態1の対象特定部408と同様である。
【0100】
指示処理部409aは、車両用システム1aにウェアラブル端末3を含まないので、ウェアラブル端末3と通信接続しているスマホ2を指示対象として指示を行わない。この点を除けば、指示処理部409aは、実施形態1の指示処理部409と同様である。
【0101】
例えば、指示処理部409aは、乗員判定部407で自車に運転手以外も乗車していると判定した場合には、自車が始動した場合であって、且つ、位置特定部405aでスマホ2が運転席に位置することを特定した場合に、特定通知を、運転席に位置することを特定したそのスマホ2で行わせないようにするための指示を行わせればよい。この指示としては、前述した特定通知禁止指示を、対象特定部408で指示対象と特定したスマホ2に送信する構成とすればよい。
【0102】
以上の構成によれば、図11に示すように、運転席Aに着座するユーザ(つまり、運転手)のスマホ2と助手席Bに着座する運転手以外のユーザのスマホ2とが自車の車室内に混在する場合でも、運転手のスマホ2に絞って、特定通知を行わせないようにする指示を送信することが可能になる。よって、運転手以外のユーザのスマホ2からの特定通知を制限することで利便性を低下させてしまうことを抑制することが可能になる。図11の例では、運転席Aに着座するユーザのスマホ2は、例えばこのユーザのポケットに収められる等して運転席Aに位置している。また、助手席Bに着座するユーザのスマホ2は、例えばこのユーザの手に持たれる等して助手席Bに位置している。
【0103】
一方、例えば指示処理部409aは、乗員判定部407で自車に運転手以外は乗車していないと判定した場合には、自車が始動した場合に、特定通知を、位置特定部405で位置を特定した全てのスマホ2で行わせないようにするための指示を行わせればよい。ここで言うところの位置特定部405で位置を特定した全てのスマホ2とは、自車の車室内に位置を特定した全てのスマホ2とすることがより好ましい。
【0104】
以上の構成による効果について図13を用いて説明を行う。図13の例では、車両HVの乗員は運転席Aのユーザ(つまり、運転手)のみである。また、図13の例では、運転手のスマホ2は助手席Bに置かれている。図13の例のように、車両HVの乗員が運転手のみの場合、スマホ2が運転席A以外に位置しない場合でも、このスマホ2が運転手のスマホ2である可能性が非常に高い。よって、図13に示すように、運転手がスマホ2を運転席A以外に置いている場合でも、以上の構成によれば、運転手のスマホ2である可能性が非常に高いスマホ2を指示対象として特定通知を行わせないようにする指示を送信することが可能になる。
【0105】
実施形態4の構成であっても、運転手のスマホ2に対して特定通知を行わせないようにできる点は同様であるので、実施形態1と同様に、ユーザの手間を抑えながらも運転手の携帯端末を区別し、車両の運転中に制限すべき運転手の携帯端末の機能を、その携帯端末の利便性の低下を抑えつつ制限することが可能になる。
【0106】
(実施形態5)
実施形態1では、ウェアラブル端末3が車両側ユニット4との間で通信接続を行わない構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、ウェアラブル端末3が車両側ユニット4との間で通信接続可能な構成としてもよい。この場合、実施形態4のスマホ2をウェアラブル端末3に置き換えた構成とすればよい。
【0107】
(実施形態6)
実施形態1及び実施形態4では、乗員判定部407で自車に運転手以外が乗車しているか否で指示処理部409,409aの処理を切り替える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、照合ECU40,40aに乗員判定部407を備えず、自車に運転手以外が乗車しているか否で指示処理部409,409aの処理を切り替えない構成としてもよい。
【0108】
この場合、例えば指示処理部409,409aは、自車が始動している場合であって、且つ、位置特定部405,405aでスマホ2,ウェアラブル端末3といった携帯端末が運転席に位置することを特定した場合に、特定通知をその携帯端末で行わせないようにするための指示を行わせる構成とすればよい。
【0109】
(実施形態7)
実施形態1及び実施形態4では、車両の制御を許可するための認証も行う照合ECU40,40aで特定通知に関連する処理も行う構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、車両の制御を許可するための認証を行うECU以外のECUで特定通知に関連する処理を行う構成としてもよい。この場合、車両の制御を許可するための認証を行うECU以外のこのECUが車載装置に相当する。
【0110】
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。また、本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと1つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された1つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0111】
1,1a 車両用システム、2 スマホ(多機能携帯電話機,携帯端末)、3 ウェアラブル端末(携帯端末)、4,4a 車両側ユニット、40,40a 照合ECU(車載装置)、45 BLEモジュール(アンテナ)、405 位置特定部、407 乗員判定部、409 指示処理部
図1
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図10
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図13