(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20240123BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20240123BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240123BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
B41J29/38 203
B41J29/38 801
B41J29/38 205
B41J29/46 Z
G03G21/00 390
H04N1/00 912
(21)【出願番号】P 2020012274
(22)【出願日】2020-01-29
【審査請求日】2022-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高原 正和
【審査官】大関 朋子
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-165738(JP,A)
【文献】特開2005-025562(JP,A)
【文献】特開2005-044079(JP,A)
【文献】特開2011-004087(JP,A)
【文献】特開2008-116562(JP,A)
【文献】特開2011-223416(JP,A)
【文献】特開2017-181620(JP,A)
【文献】特開2010-260264(JP,A)
【文献】特開2007-109159(JP,A)
【文献】特開平09-030057(JP,A)
【文献】特開2002-116897(JP,A)
【文献】特開2018-154000(JP,A)
【文献】特開2005-144764(JP,A)
【文献】特開2007-317137(JP,A)
【文献】特開2013-242736(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/38
B41J 29/46
G03G 21/00
H04N 1/00
G06F 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示パネルを含み、設定を受け付ける操作パネルと、
印刷を行うプリンター部と、
実行したジョブの種類であるジョブ種類と、ジョブの実行者と、ジョブを行った日時と、を含む履歴データを記憶する記憶部と、
入力された識別情報に基づいてジョブの実行者を識別して前記履歴データを前記記憶部に記憶させ、
前記履歴データに基づき、前記ジョブ種類ごとに、各時間帯での利用回数を、予め定められた業務単位で集計した集計データを生成し、
前記集計データに基づき、それぞれの前記ジョブ種類について、前記時間帯ごとに、利用の制限又は許可を定めた制限リストを生成し、
前記業務単位ごとに前記制限リストを生成し、
前記制限リストに基づき、利用制限と利用許可を行う制御部と、を
含み、
前記記憶部は、利用を許可又は制限する前記ジョブ種類と前記時間帯を定義した優先定義データを記憶し、
前記制御部は、
前記優先定義データに定義された前記時間帯において、前記優先定義データに定義された前記ジョブ種類の利用を許可又は制限するように前記制限リストを調整し、
調整された前記制限リストに基づき、利用制限と利用許可を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記操作パネルが利用を制限している前記ジョブ種類の選択を受け付けたとき、
前記制御部は、選択した前記ジョブ種類を実行できないことを前記表示パネルに表示させることを特徴とする請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
画像を表示する表示パネルを含み、設定を受け付ける操作パネルと、
印刷を行うプリンター部と、
実行したジョブの種類であるジョブ種類と、ジョブの実行者と、ジョブを行った日時と、を含む履歴データを記憶する記憶部と、
入力された識別情報に基づいてジョブの実行者を識別して前記履歴データを前記記憶部に記憶させ、
前記履歴データに基づき、前記ジョブ種類ごとに、各時間帯での利用回数を、予め定められた業務単位で集計した集計データを生成し、
前記集計データに基づき、それぞれの前記ジョブ種類について、前記時間帯ごとに、利用の制限又は許可を定めた制限リストを生成し、
前記業務単位ごとに前記制限リストを生成し、
前記制限リストに基づき、利用制限と利用許可を行う制御部と、を含
み、
前記操作パネルが利用を制限している前記ジョブ種類の選択を受け付けたとき、
前記制御部は、選択した前記ジョブ種類を実行できないことを前記表示パネルに表示させ、
選択した前記ジョブ種類を実行できないことを前記表示パネルに表示させたとき、
前記制御部は、選択した前記ジョブ種類を実行できる他の画像形成装置を前記表示パネルに表示させることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記履歴データは、実行したそれぞれのジョブの履歴として、ジョブ実行に要した時間である利用時間を含み、
前記制御部は、前記利用回数が予め定められた基準値以上、かつ、前記利用時間の長さが予め定められた基準時間以上の前記ジョブ種類がある前記時間帯については、前記基準値以上、かつ、前記基準時間以上の前記ジョブ種類の利用を制限する前記制限リストを生成することを特徴とする請求項1
乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記利用回数が前記基準値未満、又は、前記利用時間の長さが前記基準時間未満の前記ジョブ種類がある前記時間帯については、前記基準値未満、かつ、前記基準時間未満の前記ジョブ種類の利用を許可する前記制限リストを生成することを特徴とする請求項
4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記操作パネルは、前記制限リストの内容の変更を受け付け、
前記制御部は、変更後の前記制限リストに基づき、利用制限と利用許可を行うことを特徴とする請求項1乃至
5の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記記憶部は、未習熟者と扱う使用者を定義した未習熟者データを記憶し、
入社してからの期間が一定期間内である使用者が前記未習熟者として定義され、
識別した使用者が前記未習熟者データに登録された使用者のとき、
前記制御部は、生成した前記制限リストのうち、利用制限が最も厳しい前記制限リスト、又は、予め作成された前記未習熟者用の前記制限リストに基づき、利用制限と利用許可を行うことを特徴とする請求項1乃至
6の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記業務単位には優先順位が定められ、
識別した使用者が複数の前記業務単位に属する場合、
前記制御部は、
複数の前記制限リストのうち、最も優先順位が高い前記業務単位の前記制限リストを選択し、
選択した前記制限リストに基づき、利用制限と利用許可を行うことを特徴とする請求項1乃至
7の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記操作パネルは前記集計データの印刷指示を受け付け、
前記集計データの前記印刷指示がなされたとき、前記制御部は、前記集計データに基づく印刷を前記プリンター部に行わせることを特徴とする請求項1乃至
8の何れか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者の所属に応じて、ジョブを制限する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機、プリンター、複写機のような画像形成装置がある。画像形成装置は重要書類のデータを扱うことがある。情報セキュリティ上の安全性を考慮して、画像形成装置では、使用者の認証と、使用者に応じた機能の利用制限を行うことがある。識別した使用者に応じて画像形成装置の機能を制限するシステムの一例が特許文献1に記載されている。
【0003】
具体的に、特許文献1には、ユーザーの画像形成装置の機能の利用履歴を管理する管理装置と画像形成装置とを含む情報処理システムであり、管理装置は、画像形成装置から認証媒体を用いた認証要求、又は、画像形成装置で入力されたユーザー認証情報を用いた認証要求を受け付け、画像形成装置から認証媒体を用いた認証要求を受け付けた場合に、ユーザーによる利用頻度が少ない機能を制限する機能情報を画像形成装置に通知する、又は、画像形成装置で入力されたユーザー認証情報を用いた認証要求を受け付けた場合に、画像形成装置を利用するために予め設定されている機能情報を画像形成装置に通知し、画像形成装置は、認証媒体の読み取りによる認証要求、又は、ユーザー認証情報の入力による認証要求を管理装置に出力し、認証要求の結果得られた機能情報に基づいて、画像形成装置の機能を制御する情報処理システムが記載されている。この構成により、認証媒体の読み取り、又は、ユーザー認証情報の入力の結果得られた機能情報に基づいて、機能を制御しようとする(特許文献1:請求項1、段落[0009]等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
機密情報の漏洩の防止、コスト削減の観点から、画像形成装置の利用制限をかけることが増えてきている。使用者ごとに、利用できる機能の制限がかけられている。例えば、印刷枚数に上限を設ける場合がある。また、ファクシミリのような通信料金のかかるジョブを実行できないようにする場合もある。
【0006】
画像形成装置で利用できる機能を制限する場合、使いたいときに機能を使えない場合がある。この場合、管理者に依頼して制限解除の作業をしてもらうか、機能を利用できる者に代行してもらうことになる。依頼、又は、代行は、手間がかかり、不便である。特に、近年、より効率的に仕事ができるように、職場での人員と仕事の割り振り方が多様化しつつある。例えば、チーム制を導入し、部署の垣根を越えて、チームとして仕事をできるようにすることがある。画像形成装置を利用する場合、所属部署ではあまり使わなかった種類のジョブの利用が増えることがある。実際の人員の割り振り、実際の利用状況を考慮して制限を課すべきである。実際に利用するうえで不便が生じないように制限を課すべきという問題がある。
【0007】
特許文献1記載の技術では、ユーザーが利用していない機能を一律に利用不可にする。いったん利用不可になれば、その機能は利用できない。利用していない期間が続き、実質的に利用不可の期間がずっと続く。担当する仕事が変わった場合など、利用したくても、利用できない場合が出てくる。
【0008】
本発明は上記従来技術の問題点に鑑み、実際の利用状況を考慮し、実際に利用で不便が生じないように画像形成装置の機能を制限する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題解決のため、本発明に係る画像形成装置は、操作パネル、プリンター部、記憶部、制御部を含む。前記操作パネルは、画像を表示する表示パネルを含む。前記操作パネルは設定を受け付ける。前記プリンター部は印刷を行う。前記記憶部は、実行したジョブの種類であるジョブ種類と、ジョブの実行者と、ジョブを行った日時と、を含む履歴データを記憶する。入力された識別情報に基づいて、前記制御部は、ジョブの実行者を識別して前記履歴データを前記記憶部に記憶させる。前記履歴データに基づき、前記制御部は、前記ジョブ種類ごとに、各時間帯での利用回数を、予め定められた業務単位で集計した集計データを生成する。前記集計データに基づき、前記制御部は、それぞれの前記ジョブ種類について、前記時間帯ごとに、利用の制限又は許可を定めた制限リストを生成する。前記制御部は、前記業務単位ごとに前記制限リストを生成する。前記制限リストに基づき、前記制御部は利用制限と利用許可を行う。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、実際の利用状況を考慮し、画像形成装置の機能を制限することができる。実際に利用で不便が生じないように画像形成装置の機能を制限することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施形態に係る複合機の一例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る使用者データの一例を示す図である。
【
図3】実施形態に係る複合機で実行できるジョブの種類の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係る履歴データの一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る制限リストの生成の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る集計データの一例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る制限リストの一例を示す図である。
【
図8】実施形態に係る優先定義データの一例を示す図である。
【
図9】実施形態に係る優先定義データの一例を示す図である。
【
図10】実施形態に係る制限リストの調整の一例を示す図である。
【
図11】実施形態に係る制限リストによるジョブの許可と制限の一例を示す図である。
【
図12】実施形態に係る制限通知画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、
図1~
図12を用いて本発明に係る画像形成装置の一例を説明する。以下の説明では、画像形成装置として複合機100を例に挙げて説明する。複合機100では、スキャン、送信、プリント、画像データの保存などが可能である。なお、但し、本実施の形態に記載されている構成、配置等の各要素は発明の範囲を限定するものではなく単なる説明例にすぎない。
【0013】
(複合機100)
次に、
図1に基づき、実施形態に係る複合機100の一例を説明する。
図1は実施形態に係る複合機100の一例を示す図である。
【0014】
例えば、複合機100はカラー印刷可能である。複合機100は制御部1、記憶部2、原稿搬送部3a、画像読取部3b、操作パネル4、プリンター部5を含む。
【0015】
制御部1は複合機100の動作を制御する。制御部1は制御回路10、画像処理回路11、通信回路12を含む。制御回路10は、例えば、CPUである。記憶部2に記憶されたプログラム、データに基づき、制御回路10は各部(原稿搬送部3a、画像読取部3b、操作パネル4、プリンター部5、通信回路12)を制御する。画像処理回路11は各種画像処理を行う。例えば、画像処理回路11は画像処理専用の回路(ASIC)である。
【0016】
通信回路12は、コネクター、通信制御回路(通信用チップ)、通信用メモリーを含む。通信用メモリーは通信ソフトウェアを記憶する。通信回路12は、コンピューター200、ファクシミリ装置300、第1装置101、第2装置102と通信する。例えば、コンピューター200はPCやサーバーである。第1装置101、第2装置102は、他の画像形成装置である。コンピューター200、第1装置101、第2装置102は、複合機100と同じローカルネットワークに接続される。例えば、第1装置101、第2装置102は、複合機100、又は、プリンターである。
【0017】
複合機100は、記憶部2として、ROM、RAM、ストレージを含む。ROMは、例えば、フラッシュROMである。ROM、RAMは、制御部1(制御基板)に搭載される。ストレージは、HDDやSSDのような大容量の不揮発性記憶装置である。ストレージは、ケーブルで制御基板と接続される。記憶部2は、各種データ、制御用プログラムを記憶する。例えば、記憶部2は制御用データ、設定データ、画像データを記憶する。
【0018】
原稿搬送部3aは、原稿トレイ、原稿搬送ローラー対、原稿搬送モーターを含む。原稿搬送部3aはセットされた原稿を原稿の読み取り位置に向けて搬送する。画像読取部3bは、イメージセンサー、ランプを含む。また、画像読取部3bは、搬送読取用コンタクトガラスを含む。搬送される原稿は、搬送読取用コンタクトガラスの一面側を通過する。画像読取部3bのランプは、搬送される原稿に光を照射する。反射光に基づき、イメージセンサーは、搬送される原稿を読み取る。
【0019】
また、画像読取部3bは原稿台(コンタクトガラス)を含む。原稿台の一面側に読み取る原稿を1枚ずつセットすることができる。原稿台上の原稿を読み取るとき、ランプは、原稿台にセットされた原稿に光を照射する。イメージセンサーは、原稿台上の原稿を読み取る。画像読取部3bのイメージセンサーが生成したアナログ画像信号は、制御部1に入力される。制御部1の画像処理回路11は、アナログ画像信号に基づき、読取画像データ(原稿の画像データ)を生成する。
【0020】
操作パネル4は表示パネル41、タッチパネル42、ハードキー43を含む。表示パネル41は画面、画像を表示する。制御部1は表示パネル41の表示を制御する。制御部1はジョブの設定に用いる操作画像を表示パネル41に表示させる。例えば、操作画像はボタンやキーである。タッチパネル42は、表示パネル41での使用者の操作を受け付ける。タッチパネル42の出力に基づき、制御部1は、操作された操作画像を認識する。操作された操作画像に基づき、制御部1は使用者の操作内容を認識する。ハードキー43も使用者の操作を受け付ける。
【0021】
プリンター部5は、給紙部51、用紙搬送部52、画像形成部53、定着部54を含む。給紙部51は用紙カセット、給紙ローラーを含む。用紙束が用紙カセットにセットされる。印刷ジョブのとき、制御部1は給紙ローラーを回転させ、用紙を供給する。用紙搬送部52は、搬送ローラー対、搬送モーターを含む。搬送モーターは搬送ローラー対を回転させる。制御部1は搬送モーターと搬送ローラー対を回転させ、用紙を用紙搬送部52に搬送させる。
【0022】
制御部1は画像データに基づくトナー像を画像形成部53に形成させる。画像形成部53は4色分(ブラック、マゼンタ、シアン、イエロー)の画像形成ユニット、露光装置、及び、中間転写ユニットを含む。各画像形成ユニットは、感光体ドラム、帯電装置、現像装置を含む。印刷のとき、制御部1は、メインモーター(不図示)を回転させ、感光体ドラムを回転させる。また、制御部1は、感光体ドラムを帯電装置に帯電させる。また、制御部1は、出力用画像データに基づき感光体ドラムを露光装置に露光させる制御部1は、感光体ドラムの静電潜像を現像装置にトナーで現像させる。中間転写ユニットは、中間転写ベルト、複数の張架用ローラー、2次転写ローラーを含む。各感光体ドラムのトナー像は中間転写ベルトに1次転写される。2次転写ローラーを用いて、中間転写ベルトから搬送される用紙へのトナー像の2次転写が行われる。
【0023】
制御部1は、用紙に転写されたトナー像の定着を定着部54に行わせる。具体的に、定着部54は、例えば、ヒーターと複数の定着用回転体を含む。ヒーターは定着用回転体を熱する。トナー像が転写された用紙は、定着用回転体のニップに進入し、加熱、加圧される。この加熱、加圧により、用紙にトナー像が定着する。制御部1は、機外に向けて定着後の用紙を用紙搬送部52に排出させる。
【0024】
(使用者の識別)
次に、
図1、
図2を用いて、実施形態に係る複合機100での使用者の識別の一例を説明する。
図2は、実施形態に係る使用者データD1の一例を示す図である。
【0025】
複合機100を利用するには、ログインすることが必要である。ログインしていない状態のとき(ログアウト状態のとき)、制御部1は、ログインすべきことを知らせるメッセージを表示パネル41に表示させる。使用者が誰かを識別したとき、制御部1は、操作パネル4をログイン状態とする。ログイン状態では、操作パネル4は、ジョブ種類の選択、選択したジョブ種類で用いる設定項目の選択、選択した設定項目の設定値の設定、ジョブの実行開始指示を受け付ける。
【0026】
使用者の識別のため、各使用者は識別用カードを保持する。識別用カードは識別情報を記憶する。例えば、識別用カードはIDカードである。識別用カードは、アンテナ、メモリーを含む。メモリーは識別情報を不揮発的に記憶する。
【0027】
複合機100はリーダーライター6を含む(
図1参照)。リーダーライター6はアンテナ、通信制御回路を含む。リーダーライター6は、無線通信により、かざされた識別用カードの情報を読み取る。なお、リーダーライター6は、複合機100で編集した識別情報を、かざされた識別用カードに書き込むこともできる。
【0028】
識別情報は、使用者(カード所持者)が誰かを認識するための情報を含む。例えば、識別情報は、複合機100を利用できる者の名前、ID、パスワードを含む。識別情報は、さらに他の情報を含んでもよい。
【0029】
使用者の認識のため、記憶部2は使用者データD1を不揮発的に記憶する。例えば、記憶部2のストレージが使用者データD1を記憶する。使用者データD1は、複合機100の利用権限を有する者ごとに、識別するための情報を定義したデータである。使用者データD1は、例えば、名前、ID、パスワード、業務単位を含む。業務単位は、仕事を行う上での単位(人のあつまり)である。業務単位は、例えば、チーム、所属部署、フロア(仕事をする階)である。チーム、所属部署、フロアの定義は必須ではない(定義されていなくてもよい)。一方、使用者データD1において、各個人に定義される業務単位は、チーム、所属部署、フロアのうち1つでもよいし、複数でもよい。
【0030】
制御部1は、使用者データD1のうち、入力された(読み取った)識別情報と一致する人物(情報)を検索する。制御部1は、一致した人物が複合機100の使用者であると識別(認識)する。この場合、制御部1は操作パネル4をログイン状態とし、設定用の画面を表示パネル41に表示させる。ジョブが実行されたとき、制御部1は識別した使用者をジョブ実行者と認識する。なお、入力された(読み取った)識別情報と一致する使用者がいない場合、制御部1は識別失敗と判定する。制御部1は操作パネル4をログアウト状態で維持する。
【0031】
カードを用いず、操作パネル4が識別情報の入力を受け付けてもよい。この場合、ログアウト状態のとき、制御部1はソフトウェアキーボード画面を表示パネル41に表示させる。使用者はこの画面を用いて、識別情報を入力する。例えば、使用者は名前やパスワードを入力する。入力された情報に基づき、制御部1は使用者を識別する。
【0032】
(実行できるジョブの種類)
次に、
図3を用いて、実施形態に係る複合機100で実行できるジョブの種類の一例を説明する。
図3は、実施形態に係る複合機100で実行できるジョブの種類の一例を示す図である。
【0033】
複合機100はスキャン機能、送受信機能、印刷機能、ボックス機能を有する。スキャン機能を用いるとき、制御部1は原稿を画像読取部3bに読み取らせ、原稿の画像データを生成する。送受信機能を用いるとき、制御部1は、コンピューター200、又は、ファクシミリ装置300との通信を通信回路12に行わせる。印刷機能を用いるとき、制御部1は画像データに基づく印刷をプリンター部5に行わせる。ボックス機能を用いるとき、制御部1は、記憶部2(ストレージ)に画像データの読み書きを行わせる。ストレージには、ボックス機能用の記憶領域が予め設定される。ボックスはボックス機能用の記憶領域を意味する。
【0034】
スキャン機能、送受信機能、印刷機能、ボックス機能の2つ以上を組み合わせて、複合機100では、様々なジョブを実行することができる。ジョブ実行のとき、制御部1の画像処理回路11が画像データへの画像処理を行う。
図3は複合機100で実行できるジョブの一例を示す図である。複合機100は、
図3以外の種類のジョブを行えてもよい。
【0035】
「Host to Print」は、コンピューター200から受信したプリントジョブデータを処理して画像処理回路11が印刷用画像データを生成し、生成した印刷用画像データに基づき、プリンター部5が印刷するジョブである。「Scan to Print」は、画像読取部3bの読み取りで得られた原稿の画像データを処理して画像処理回路11が印刷用画像データを生成し、印刷用画像データに基づき、プリンター部5が印刷するジョブである(いわゆるコピージョブ)。「Scan to Fax」は、画像読取部3bの読み取りで得られた原稿の画像データを処理して画像処理回路11が送信用データを生成し、通信回路12が生成した送信用データをファクシミリ送信するジョブである。
【0036】
「Scan to Email」は、画像読取部3bの読み取りで得られた原稿の画像データを処理して画像処理回路11が送信用ファイルを生成し、通信回路12が生成された送信用ファイルを電子メールに添付して送信するジョブである。「Scan to Box」は、画像読取部3bの読み取りで得られた原稿の画像データを処理して画像処理回路11が保存用ファイルを生成し、記憶部2(ストレージ)が保存用ファイルを記憶するジョブである。「Scan to SMB」は、画像読取部3bの読み取りで得られた原稿の画像データを処理して画像処理回路11が保存用ファイルを生成し、通信回路12が指定されたコンピューター200の共有フォルダーに向けて、保存用ファイルを送信するジョブである。
【0037】
「Box to Print」は、画像処理回路11が、記憶部2(ストレージ)が記憶する保存用ファイルを処理して印刷用画像データを生成し、生成した印刷用画像データに基づき、プリンター部5が印刷するジョブである。「Box to Fax」は、画像処理回路11が、記憶部2(ストレージ)が記憶する保存用ファイルを処理して送信用データを生成し、通信回路12が生成した送信用データをファクシミリ送信するジョブである。「Box to Email」は、制御部1が保存用ファイルを記憶部2(ストレージ)から読み出し、通信回路12が読み出した保存用ファイルを電子メールに添付して送信するジョブである。「Box to SMB」は、制御部1が保存用ファイルを記憶部2(ストレージ)から読み出し、通信回路12が保存用ファイルを、指定されたコンピューター200の共有フォルダーに送信するジョブである。
【0038】
(履歴データD2の保存)
次に、
図4を用いて、実施形態に係る複合機100での履歴データD2の保存の一例を説明する。
図4は実施形態に係る履歴データD2の一例を示す図である。
【0039】
記憶部2は履歴データD2を不揮発的に記憶する(
図1参照)。履歴データD2は、実行したそれぞれのジョブの履歴(複合機100で実行されたジョブの内容)を示すデータである。ジョブが実行されるたびに、制御部1は、実行されたジョブの履歴データD2を記憶部2に追加する。
【0040】
図4は履歴データD2の一例を示す図である。履歴データD2は、ジョブの実行者、実行者の所属、実行したジョブの種類(ジョブ種類)、実行したジョブの内容、ジョブを実行した日時と、利用時間(ジョブの開始から終了までの所要時間、ジョブ実行に要した時間)を含む。
【0041】
入力された識別情報に基づき、制御部1はジョブの実行者を識別する。なお、通信回路12はコンピューター200からプリントジョブデータを受信する。プリントジョブデータの送信者(プリントジョブの実行者)を識別するため、記憶部2は、送信者特定用データを不揮発的に記憶する。送信者特定用データは、使用者ごとに、使用者が利用するコンピューター200の名前、コンピューター200のアドレスを定義したデータである。Host to Printの場合、制御部1は、プリントジョブデータを送信したコンピューター200の名前、アドレスに基づき、使用者を識別(認識)する。
【0042】
ジョブの開始とともに、制御部1はジョブに要する時間(利用時間)を測り始める。ジョブが完了したとき、制御部1は履歴データD2を生成する。履歴データD2には、測った利用時間、ジョブの内容、ジョブの種類、ジョブの開始日時(利用日時)を含める。制御部1は、生成した履歴データD2を記憶部2に不揮発的に記憶させる。
【0043】
(制限リストD5の生成)
次に、
図5~
図10を用いて、実施形態に係る制限リストD5の生成の一例を説明する。
図5は、実施形態に係る制限リストD5の生成の一例を示す図である。
図6は実施形態に係る集計データD3の一例を示す図である。
図7は実施形態に係る制限リストD5の一例を示す図である。
図8、
図9は、実施形態に係る優先定義データD4の一例を示す図である。
図10は実施形態に係る制限リストD5の調整の一例を示す図である。
【0044】
制御部1は、周期的に、制限リストD5を生成する。制限リストD5は、時間帯ごとに、利用を制限するジョブ種類と、利用を許可するジョブ種類を定めたリストである。制限リストD5を生成するとき、履歴データD2を集計する。集計結果に基づき、制御部1は制限リストD5を生成する。
【0045】
制限リストD5の生成周期は、予め定められる。例えば、1週間に1度、制御部1は制限リストD5を生成する。生成周期は1週間に限られず、生成周期は1日、数日、数週間、1ヶ月、数ヶ月、1年でもよい。操作パネル4は、生成周期の設定を受け付けてもよい。この場合、設定された生成周期が経過するごとに、制御部1は生成リストを生成する。また、操作パネル4は、制限リストD5を生成する日時の設定を受け付けてもよい。この場合、設定された日時に、制御部1は生成リストを生成する。
【0046】
制限リストD5での各時間帯の長さは予め定められる。本説明では、1日を第1時間帯、第2時間帯、第3時間帯の3つに分ける例を説明する。第1時間帯は、就業時間中の前半の(午前の)時間帯である。例えば、第1時間帯は9時から13時まである。第2時間帯は、就業時間中の後半の(午後の)時間帯である。例えば、第2時間帯は13時から18時である。第3時間帯は夜間(深夜)の時間帯である。例えば、第3時間帯は18時から24時、及び、0時から9時である。
【0047】
1日を1つの時間帯としてもよいし、1日を2つの時間帯に分けてもよいし、1日を4つ以上の時間帯に分けてもよい(例えば、3時間ずつ)。操作パネル4は、時間帯の長さの設定を受け付ける。制御部1は、操作パネル4で設定された時間帯で1日を分ける。
【0048】
まず、
図5のスタートは、制限リストD5の生成を開始する時点である。まず、制御部1は集計データD3を生成する(ステップ♯1)。制御部1は、集計期間の間に実行されたジョブの履歴データD2を集計して集計データD3を生成する。集計データD3は、ジョブ種類ごとの各時間帯での利用回数を集計したデータである。
【0049】
集計期間は予め定められる。例えば、集計期間は、前回、制限リストD5を生成した時点から、今回、生成リストを生成するまでの期間である。この場合、集計期間の長さは、制限リストD5の生成周期と一致する。集計期間は、生成周期より長くてもよい。例えば、生成周期の数周期分の長さとしてもよい。操作パネル4は、集計期間の設定を受け付ける。制御部1は、設定された集計期間の履歴データD2に基づき、集計を生成する。
【0050】
制御部1は、使用者個人ごとに集計データD3を生成する。使用者データD1に登録された人数が50人の場合、50人分の集計データD3を生成する。また、制御部1は、業務単位ごとの集計データD3も生成する。例えば、制御部1は、業務単位に属する各使用者の集計データD3を合計して、業務単位の集計データD3を生成する。例えば、制御部1は、チームごと、部署ごと、フロアごとに集計データD3を生成する。
【0051】
図6は、実施形態に係る集計データD3の一例を示す図である。
図6はチームAの業務単位の集計データD3の一例を示す。
図6のうち、曜日の下の数字「1」の下の列は第1時間帯を示す。曜日の下の数字「2」の下の列は第2時間帯を示す。曜日の下の数字「3」の下の列は第3時間帯を示す。回数は、時間帯内でのチームAの所属者が実行したジョブの合計回数を示す。時間は、時間帯内でのチームAの所属者のジョブの実行時間の合計を示す。
図6の集計データD3を見ると、チームAは複合機100で印刷することが多く、データ送信は少ない業務単位であることがわかる。
【0052】
制御部1は生成した集計データD3を記憶部2(ストレージ)に記憶させる(ステップ♯2)。いつでも参照できるように、記憶部2は不揮発的に生成された集計データD3を記憶する。なお、新たな集計データD3を記憶させたとき、制御部1は、以前に生成された(前回以前の制限リストD5の生成時に生成された集計データD3)を記憶部2に消去させてもよい。
【0053】
ここで、生成された集計データD3は閲覧できる。また、操作パネル4は集計データD3の印刷指示を受け付ける。このとき、制御部1は、集計データD3に基づく印刷をプリンター部5に行わせる。集計データD3の印刷物が得られる。時間帯ごとの複合機100の利用状況がわかる資料が得られる。また、操作パネル4は、集計データD3の表示指示を受け付ける。このとき、制御部1は、集計データD3の内容を表示パネル41に表示させる。時間帯ごとの複合機100の利用状況を確認することができる。
【0054】
なお、操作パネル4は、集計データD3を印刷する、又は、表示する使用者、もしくは、業務単位の指定を受け付けてもよい。操作パネル4が使用者個人の指定と表示指示を受け付けたとき、制御部1は、指定された使用者の集計データD3の表示を表示パネル41に行わせる。操作パネル4が使用者個人の指定と印刷指示を受け付けたとき、制御部1は、指定された使用者の集計データD3の印刷をプリンター部5に行わせる。操作パネル4が業務単位の指定と表示指示を受け付けたとき、制御部1は、指定された業務単位の集計データD3の表示を表示パネル41に行わせる。操作パネル4が業務単位の指定と印刷指示を受け付けたとき、制御部1は、指定された使業務単位の集計データD3の印刷をプリンター部5に行わせる。
【0055】
次に、制御部1は、使用者ごと、及び、業務単位ごとに、集計データD3に基づき、制限リストD5を生成する(ステップ♯3)。制限リストD5は、それぞれのジョブ種類について、利用の制限又は許可を定めたデータである。
【0056】
制御部1は、利用回数が予め定められた基準値以上、かつ、利用時間の長さが予め定められた基準時間以上のジョブ種類がある時間帯については、基準値以上、かつ、基準時間以上のジョブ種類の利用を制限する制限リストD5を生成する。使いすぎを防ぐ制限リストD5を生成することができる。ここで、制御部1は、利用の一切を禁止する制限を行ってもよい。また、制御部1は、所定回数までは当該ジョブ種類を実行させ(使用を認め)、所定回数以上は当該ジョブ種類を実行させない制限を行ってもよい(所定回数以上の利用禁止)。操作パネル4は、所定回数の設定を受け付けてもよい。さらに、操作パネル4は、使用者ごと、及び、業務単位ごとに、利用の一切を禁止する制限を課すか、所定回数まではジョブ種類の実行を認める制限を課すかの選択を受け付けてもよい。この場合、制御部1は、選択された制限内容で制限を行う。
【0057】
利用しすぎたジョブ種類について利用を制限した場合、次の制限リストD5の作成時には利用が制限されない制限リストD5が生成される。使用者は、利用回数を気にして、ジョブを実行する。複合機100のランニングコストが減るように仕向けることができる。
【0058】
制御部1は、利用回数が基準値未満、又は、利用時間の長さが基準時間未満のジョブ種類がある時間帯については、基準値未満、かつ、基準時間未満のジョブ種類の利用を許可する制限リストD5を生成する。利用が少ないジョブの種類の利用を制限しない。
【0059】
基準値、基準時間は予め定められる。記憶部2(ストレージ)は基準値と基準時間を不揮発的に記憶する。操作パネル4は基準値と基準時間の設定を受け付けてもよい。この場合、記憶部2は設定された基準値と基準時間を記憶する。制御部1は、設定された基準値と利用回数を比較する。制御部1は、設定された基準時間と利用時間を比較する。
【0060】
図7は利用回数と利用時間に基づき定めた制限リストD5の一例を示す。
図7はチームAの業務単位の制限リストD5の一例を示す。制限リストD5での〇は利用を許可する時間帯を示す。制限リストD5での※は利用を制限する時間帯を示す。使用者の実際の利用状況を勘案した制限リストD5を生成することができる。さらに、利用したいときに利用できない、といった不都合を無くすため、優先定義データD4に基づき、制御部1は、制限リストD5の内容を調整する(ステップ♯4)。
【0061】
図8、
図9は実施形態に係る優先定義データD4の一例を示す。
図8、
図9の「〇」は利用の許可を示す。
図8、
図9の「※」は利用を制限(例えば、禁止)することを示す。
図8、
図9の「-」は許可、制限を優先定義データD4で調整しないことを示す(最初に生成された制限リストD5のままとする部分)。
【0062】
図8、
図9に示すように、深夜及び土日については、全時間帯で全てのジョブの種類の利用を制限(例えば、禁止)してもよい。規定の業務時間内に仕事を終えるように仕向けることができる。
【0063】
図8は、チームAの業務単位の優先定義データD4の一例を示す。
図8の優先定義データD4はデータ送信に関するジョブの種類の利用について、一律に制限(例えば、禁止)をかける内容となっている。例えば、業務単位(チームA)の業務がデータ送信に関するジョブを行う必要がなく、かつ、他の画像形成装置(第1装置101、又は、第2装置102)の方が、通信に要するコストが安い場合、
図8のように、複合機100では、送信に関するジョブの利用を制限してもよい。この場合、データ送信に関するジョブを行うとき、他の画像形成装置(第1装置101、又は、第2装置102)を利用するように仕向けることができる。
図8に示す優先定義データD4では、特定の曜日の特定の時間帯に印刷を許可する内容となっている。
【0064】
図9は、チームBの業務単位の優先定義データD4の一例を示す。例えば、複合機100が第1装置101や第2装置102よりも通信のコストが抑えられるとする。また、チームBは、印刷よりもデータのやりとりの方が多いチームとする。このような場合、
図9に示すような、データ送信に関するジョブの種類を基本的に利用できる内容の優先定義データD4とすればよい。また、印刷をほとんどしないことを考慮し、基本的に、業務時間内での印刷を許可する内容の優先定義データD4としてもよい。
【0065】
図10は、
図8の優先定義データD4で
図7の制限リストD5を調整した後の制限リストD5の一例を示す。
図10の制限リストD5は、
図8での送信制限の影響を受け、画像データの送信を行うジョブの種類の利用が制限される内容に調整されたリストの一例を示す。優先定義データD4を用いて調整する場合、制御部1は、優先定義データD4で利用を許可(〇印)すると定義された時間帯については、制限リストD5での同じジョブ種類、同じ時間帯を、利用を許可する時間帯に設定する。制御部1は、優先定義データD4で利用を制限(※印)すると定義された時間帯については、制限リストD5での同じジョブ種類、同じ時間帯を、利用を制限する時間帯に設定する。
【0066】
業務単位ごとに優先定義データD4を定めることができる。また、使用者ごとに優先定義データD4を定めることもできる。例えば、複合機100の管理者が操作パネル4を用いて優先定義データD4を作成編集する。記憶部2(ストレージ)は、作成された優先定義データD4を不揮発的に記憶する。また、業務単位について、優先定義データD4を定めないようにすることもできる。各使用者について、優先定義データD4を定めないようにすることもできる。
【0067】
また、制御部1は、自動で各業務単位又は各使用者の優先定義データD4を自動生成してもよい。記憶部2(ストレージ)は、自動作成された優先定義データD4を不揮発的に記憶する。例えば、優先定義データD4を自動的に作成する場合、作成者(管理者)は、制限の方針を入力する。例えば、操作パネル4は優先定義データD4の自動生成の方針の設定を受け付ける。例えば、操作パネル4は、常時使用を許可するジョブ種類とその時間帯、常時使用を制限するジョブ種類とその時間帯、優先定義データD4で調整しないジョブ種類とその時間帯の設定を受け付ける。設定された方針に応じて、制御部1は、優先定義データD4を自動生成する。これにより、優先定義データD4の作成作業の負担を軽くすることができる。なお、自動生成された優先定義データD4に不満があれば、管理者は操作パネル4にて、自動生成された優先定義データD4を編集すればよい。
【0068】
優先定義データD4が設定されていない使用者、業務単位については、制御部1は、制限リストD5を調整しない。制御部1は、調整した(場合により調整しない)各業務単位、及び、各使用者の制限リストD5を記憶部2に不揮発的に記憶させる(ステップ♯5、
図1参照)。制御部1は、制限リストD5の生成に関する処理を終了する(エンド)。
【0069】
(制限リストD5に基づく許可と制限)
次に、
図11、
図12を用いて、実施形態に係る制限リストD5に基づくジョブの許可と制限の一例を説明する。
図11は、実施形態に係る制限リストD5に基づくジョブの許可と制限の一例を示す図である。
図12は、実施形態に係る制限通知画面44の一例を示す図である。
【0070】
図11のスタートは、使用者が識別を受け、操作パネル4でジョブの種類を選択した時点、又は、プリントジョブデータを送信したコンピューター200に基づき、制御部1は使用者を識別した時点である。
【0071】
まず、制御部1は、識別した使用者が未習熟者であるか否かを確認する(ステップ♯21)。新入社員や中途採用者など、新たな人材が働き始めることがある。新たな人材は複合機100(画像形成装置)の操作に慣れていない。未習熟者に様々な機能を利用させると、何度も失敗する可能性がある。用紙、電力、通信費の無駄が多くなる可能性がある。そこで、複合機100では、未習熟者については、強めの制限をかける。
【0072】
記憶部2(ストレージ)は未習熟者データD6を不揮発的に記憶する。未習熟者データD6は未習熟者と扱う使用者を定義したデータである。複合機100の管理者が未習熟者データD6を設定する。例えば、管理者は、入社してからの期間が一定期間内の者の名前、ID、パスワードなどを未習熟者データD6に含める。
【0073】
識別した使用者が未習熟者の場合(ステップ♯21のYes)、制御部1は、生成された制限リストD5のうち、利用制限が最も厳しい制限リストD5、又は、予め作成された未習熟者用の制限リストD5を選択する(ステップ♯22)。これにより、未習熟者がいずれかの業務単位に属していても、属する業務単位よりも厳しい利用制限を自動的にかけることができる。
【0074】
例えば、利用制限が最も厳しい制限リストD5は、記憶部2が記憶する各使用者及び業務単位の制限リストD5のうち、全ジョブ種類において、利用が許可された時間帯の数が最も少ない制限リストD5である。
【0075】
未習熟者用の制限リストD5は、予め設定される。管理者が操作パネル4を操作し、未習熟者用の制限リストD5を作成する。例えば、未習熟者用の制限リストD5は、特定の時間帯のみで、コピー(Scan to Print)のみ可能な内容としてもよい。
【0076】
操作パネル4は、利用制限が最も厳しい制限リストD5と、未習熟者用の制限リストD5のうち、何れを用いるかの選択を受け付けてもよい。使用者が未習熟者のとき、制御部1は、選択された制限リストD5を採用する。
【0077】
識別した使用者が未習熟者でないとき(ステップ♯21のNo)、制御部1は、識別した使用者が何れかの業務単位が属しているか否かを確認する(ステップ♯23)。業務単位に属していないとき(ステップ♯23のNo)、制御部1は、識別した使用者個人の制限リストD5を選択する(ステップ♯24)。業務単位が設定されているとき(ステップ♯23のYes)、制御部1は、識別した使用者の業務単位が複数であるか否かを確認する(ステップ♯25)。
【0078】
使用者が属する業務単位が1つの場合(ステップ♯25のNo)、制御部1は、使用者が属する業務単位の制限リストD5を選択する(ステップ♯26)。使用者が属する業務単位が複数の場合(ステップ♯25のYes)、制御部1は、複数の業務単位の制限リストD5のうち1つを選択する(ステップ♯27)。
【0079】
業務単位には、予め優先順位が定められる。操作パネル4は業務単位の優先順位の設定を受け付ける。制御部1は設定された業務単位の優先順位を優先順位データD7として記憶部2(ストレージ)に記憶させる。記憶部2は不揮発的に優先順位データD7を記憶する。優先順位データD7を参照し、制御部1は、1つの制限リストD5を選択する。
【0080】
例えば、業務単位のうち、Aチームが優先順位で1位であり、識別した使用者がAチームの所属の場合、制御部1はAチームの制限リストD5を選択する。ある部署の優先順位が2位であり、識別した使用者がある部署の所属であるが1位の業務単位に属さない場合、制御部1は当該部署の制限リストD5を選択する。チーム、部署、フロアがそれぞれ複数の場合もある。そのため、使用者データD1に登録された業務単位のそれぞれに、優先順位が定められる。
【0081】
制御部1は、選択した制限リストD5を参照し、現在の時間帯で、選択された(実行しようとする)ジョブ種類の実行を禁止するか否かを判定する(ステップ♯28)。利用禁止の制限の場合、制御部1は実行禁止と判定する。所定回数までは利用可能な場合、選択した制限リストD5及び選択されたジョブ種類について、既に所定回数実行済のとき、制御部1は実行禁止と判定する。一方、選択した制限リストD5及び選択されたジョブ種類についての実行回数が所定回数未満のとき、制御部1は禁止しないと判定する。実行禁止と判定した場合(ステップ♯28のYes)、制御部1は制限通知画面44を表示パネル41に表示させる(ステップ♯29)。そして、本フローチャートの処理は終了する(エンド)。
【0082】
図12は制限通知画面44の一例を示す。制限通知画面44にて、制御部1は、選択したジョブ種類を実行できないことを表示パネル41に表示させる。
図12の例では、制御部1は、「本機能は利用できません」のメッセージを表示させる。
【0083】
図12に示すように、選択したジョブ種類を実行できないことを表示パネル41に表示させたとき、制御部1は、ジョブ種類を実行できる他の画像形成装置を表示パネル41に表示させてもよい。例えば、印刷禁止のとき、制御部1は、複合機100よりも印刷コストが安い他の画像形成装置(例えば、第1装置101と第2装置102の何れか一方、又は、両方)を表示パネル41に表示させる。データ送信禁止のとき、制御部1は、複合機100よりも通信コストが安い他の画像形成装置(例えば、第1装置101と第2装置102の何れか一方、又は、両方)を表示パネル41に表示させる。コストが安い他の画像形成装置を利用するように仕向けることができる。
【0084】
また、
図12に示すように、選択したジョブ種類を実行できないことを表示パネル41に表示させたとき、制御部1は、制限リストD5において選択したジョブ種類を実行できる日付と時間帯を表示パネル41に表示させてもよい。選択したジョブを実行できる時間帯を知らせることができる。
【0085】
禁止しないと判定した場合(ステップ♯28のNo)、制御部1は選択されたジョブ種類のジョブを実行する(ステップ♯210)。ステップ♯210により、本フローチャートの処理は終了する(エンド)。なお、ジョブ完了後、新たな履歴データD2が保存される。
【0086】
(制限リストD5の変更)
次に、実施形態に係る制限リストD5の変更の一例を説明する。実際の利用に即して、制御部1は制限リストD5を作成する。しかし、一部のジョブ種類について、ある時間帯だけ使用できるようにしたい場合があり得る。反対に、特定のジョブ種類を特定の時間帯で使用できないようにしたい場合もありえる。そこで、事後的に制限リストD5の内容を変更することができる。
【0087】
操作パネル4は、制限リストD5の内容の変更を受け付ける。制限リストD5の内容変更は、管理者のみ可能としてもよい。この場合、管理者と識別できたときのみ、制限リストD5の内容の変更を受け付ける。制限リストD5が変更されたとき、制御部1は、変更後の制限リストD5に基づき、利用制限と利用許可を行う。
【0088】
このようにして、実施形態に係る画像形成装置(複合機100)は、操作パネル4、プリンター部5、記憶部2、制御部1を含む。操作パネル4は、画像を表示する表示パネル41を含む。操作パネル4は設定を受け付ける。プリンター部5は印刷を行う。記憶部2は、実行したジョブの種類であるジョブ種類と、ジョブの実行者と、ジョブを行った日時と、を含む履歴データD2を記憶する。入力された識別情報に基づいて、制御部1は、ジョブの実行者を識別して履歴データD2を記憶部2に記憶させる。履歴データD2に基づき、制御部1は、ジョブ種類ごとに、各時間帯での利用回数を、予め定められた業務単位で集計した集計データD3を生成する。集計データD3に基づき、制御部1は、それぞれのジョブ種類について、時間帯ごとに、利用の制限又は許可を定めた制限リストD5を生成する。制御部1は、業務単位ごとに制限リストD5を生成する。制限リストD5に基づき、制御部1は利用制限と利用許可を行う。
【0089】
使用者の一定の単位(例えば、チーム)ごと、ジョブ種類ごとに、利用の可否を自動的に設定することができる。使用者の単位(業務単位)を基準に、画像形成装置で利用できるジョブ種類を自動的に制限することができる。業務単位での実際の利用状況を考慮して、利用したくても、利用できない場合が出てこないように、画像形成装置で利用できるジョブ種類を自動的に設定することができる。
【0090】
履歴データD2は、実行したそれぞれのジョブの履歴として、ジョブ実行に要した時間である利用時間を含む。制御部1は、利用回数が予め定められた基準値以上、かつ、利用時間の長さが予め定められた基準時間以上のジョブ種類がある時間帯については、基準値以上、かつ、基準時間以上のジョブ種類の利用を制限する制限リストD5を生成する。利用が許可されているからといって、無制限に画像形成装置を使いすぎることは好ましくない。使いすぎと認められるジョブ種類の利用を制限することができる。利用を抑えるように仕向けることができる。
【0091】
制御部1は、利用回数が基準値未満、又は、利用時間の長さが基準時間未満のジョブ種類がある時間帯については、基準値未満、かつ、基準時間未満のジョブ種類の利用を許可する制限リストD5を生成する。利用回数が少ない場合、自動的に利用の制限を解除することができる。利用したくても、利用できない場合が生ずることを減らすことができる。
【0092】
操作パネル4は、制限リストD5の内容の変更を受け付ける。変更後の制限リストD5に基づき、制御部1は、利用制限と利用許可を行う。自動生成された制限リストD5の内容を修正することができる。例えば、操作パネル4での設定(操作)により、特定の業務単位について、特定のジョブ種類の利用を禁止することができる。
【0093】
記憶部2は、利用を許可又は制限するジョブ種類と時間帯を定義した優先定義データD4を記憶する。制御部1は、優先定義データD4に定義された時間帯において、優先定義データD4に定義されたジョブ種類の利用を許可又は制限するように制限リストD5を調整する。調整された制限リストD5リストに基づき、制御部1は、利用制限と利用許可を行う。特定の業務単位、特定の時間帯、特定のジョブ種類について、常に利用を許可、又は、制限することができる。利用回数、利用時間と関係なく、必ず許可、又は、制限する時間帯を定めることができる。事情を勘案して制限リストD5の内容を調整することができる。また、意図的に制限を課すことで、他の画像形成装置を利用するように仕向けることもできる。例えば、印刷コストが高い画像形成装置での印刷を制限し、他の画像形成装置で印刷を行わせるように仕向けることができる。
【0094】
操作パネル4が利用を制限しているジョブ種類の選択を受け付けたとき、制御部1は、選択したジョブ種類を実行できないことを表示パネル41に表示させる。選択したジョブが実行不可であることを使用者に知らせることができる。
【0095】
選択したジョブ種類を実行できないことを表示パネル41に表示させたとき、制御部1は、選択したジョブ種類を実行できる他の画像形成装置を表示パネル41に表示させる。他の画像形成装置を利用するように仕向けることができる。例えば、印刷コストが高い画像形成装置ではなく、印刷コストが安い画像形成装置で印刷するように仕向けることができる。
【0096】
記憶部2は、未習熟者と扱う使用者を定義した未習熟者データD6を記憶する。識別した使用者が未習熟者データD6に登録された使用者のとき、制御部1は、生成した制限リストD5のうち、利用制限が最も厳しい制限リストD5、又は、予め作成された未習熟者用の制限リストD5に基づき、利用制限と利用許可を行う。業務に慣れていない新入社員や中途採用者に対し、厳しめの利用制限をかけることができる。同じ業務単位に属しても、業務に慣れ、不慣れに応じて、利用できる機能に差を設けることができる。
【0097】
業務単位には優先順位が定められる。識別した使用者が複数の業務単位に属する場合、制御部1は、複数の制限リストD5のうち、最も優先順位が高い業務単位の制限リストD5を選択する。選択した制限リストD5に基づき、制御部1は利用制限と利用許可を行う。複数の制限リストD5に優先順位を付けることができる。優先順位の高い制限リストD5に基づき、ジョブ種類の利用の制限と許可を行うことができる。
【0098】
操作パネル4は集計データD3の印刷指示を受け付ける。集計データD3の印刷指示がなされたとき、制御部1は、集計データD3に基づく印刷をプリンター部5に行わせる。集計リストの内容を確認することができる。画像形成装置の利用状況を把握することができる。例えば、よく利用される時間帯、利用が少ない時間帯を知ることができる。
【0099】
本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、使用者を識別する画像形成装置に利用可能である。
【符号の説明】
【0101】
100 複合機(画像形成装置) 4 操作パネル
5 プリンター部 2 記憶部
1 制御部 41 表示パネル
D2 履歴データ D3 集計データ
D4 優先定義データ D5 制限リスト
D6 未習熟者データ