IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 富士ゼロックス株式会社の特許一覧

特許7424092情報処理装置、及びコンピュータプログラム
<>
  • 特許-情報処理装置、及びコンピュータプログラム 図1
  • 特許-情報処理装置、及びコンピュータプログラム 図2
  • 特許-情報処理装置、及びコンピュータプログラム 図3
  • 特許-情報処理装置、及びコンピュータプログラム 図4
  • 特許-情報処理装置、及びコンピュータプログラム 図5
  • 特許-情報処理装置、及びコンピュータプログラム 図6
  • 特許-情報処理装置、及びコンピュータプログラム 図7
  • 特許-情報処理装置、及びコンピュータプログラム 図8
  • 特許-情報処理装置、及びコンピュータプログラム 図9
  • 特許-情報処理装置、及びコンピュータプログラム 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】情報処理装置、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20240123BHJP
【FI】
G06Q50/08
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020024252
(22)【出願日】2020-02-17
(65)【公開番号】P2021128676
(43)【公開日】2021-09-02
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 淳
【審査官】松野 広一
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-073561(JP,A)
【文献】特開2012-123533(JP,A)
【文献】特開2011-186621(JP,A)
【文献】特開2019-041322(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、
前記プロセッサは、
複数の工程を有する案件のいずれにも証跡として登録されていない画像の撮像場所を、前記画像の位置情報に基づいて地図上に示す第1のマップと、
前記第1のマップで前記撮像場所が選択されると、当該撮像場所から所定の範囲に含まれる前記案件の場所を地図上に示す第2のマップと、
前記第2のマップで示した前記案件について、前記工程のそれぞれの日付に関する情報及び証跡の登録の有無を示すリストと、
を1つの画面に提示する
処理を実行する、情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記第1のマップで前記撮像場所が選択されると、当該撮像場所で撮像された画像を証跡として登録する案件及び工程の候補を前記リストに提示する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記日付に関する情報は、前記工程のそれぞれの期日であり、
前記プロセッサは、前記期日を過ぎていない工程を候補として前記リストに提示する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記日付に関する情報は、前記工程のそれぞれの期日であり、
前記プロセッサは、前記期日を過ぎているが、証跡が登録されていない工程を候補として前記リストに提示する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、前記第1のマップで前記撮像場所が選択されると、当該撮像場所で撮像された画像を前記第1のマップに重畳して提示する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、前記第1のマップで前記撮像場所が選択されると、当該撮像場所で撮像された画像を前記第1のマップと別の画面で提示する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記第2のマップで前記案件の場所が選択されると、当該案件で証跡として登録された画像を前記第2のマップに重畳して提示する、請求項5又は6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記第2のマップで前記案件の場所が選択されると、当該案件で証跡として登録された画像を前記第2のマップと別の画面で提示する、請求項5又は6に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータに、
複数の工程を有する案件のいずれにも証跡として登録されていない画像の撮像場所を、前記画像の位置情報に基づいて地図上に示す第1のマップと、
前記第1のマップで前記撮像場所が選択されると、当該撮像場所から所定の範囲に含まれる前記案件の場所を地図上に示す第2のマップと、
前記第2のマップで示した前記案件について、前記工程のそれぞれの日付に関する情報及び証跡の登録の有無を示すリストと、
を1つの画面に提示する
処理を実行させる、コンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、分類名の付与されたディレクトリにコンテンツおよび前記コンテンツに対応する分類情報を格納可能な記憶部と、所望の端末から所望のコンテンツに対応する分類情報を受信する受信部と、前記端末から受信した分類情報と前記記憶部の分類情報とを比較し、前記比較の結果に応じて、前記端末からのコンテンツの格納先となるディレクトリである格納先候補を決定する格納先候補決定部と、前記格納先候補決定部の決定した格納先候補の分類名を前記端末に送信する送信部と、を含むコンテンツ管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-79788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
道路、橋又は歩道橋、トンネル等を点検する場合、点検結果の写真を工程ごとに証跡として残すことが、国土交通省が定めた定期点検要領により義務付けられている。点検結果の写真をサーバにアップロードすることで証跡として登録する場合、点検実施者が点検現場で写真を逐一アップロードするのは点検作業の負担となる。点検終了後に点検箇所の写真を登録しようとすると、観光地のモニュメントとは異なり、どの写真がどの点検箇所のものかを判断するのが困難である。
【0005】
本発明は、点検箇所の画像の登録業務を支援することができる情報処理装置及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、複数の工程を有する案件のいずれにも証跡として登録されていない画像の撮像場所を、前記画像の位置情報に基づいて地図上に示す第1のマップと、前記第1のマップで前記撮像場所が選択されると、当該撮像場所から所定の範囲に含まれる前記案件の場所を地図上に示す第2のマップと、前記第2のマップで示した前記案件について、前記工程のそれぞれの日付に関する情報及び証跡の登録の有無を示すリストと、を1つの画面に提示する処理を実行する。
【0007】
本発明の第2態様に係る情報処理装置は、本発明の第1態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記第1のマップで前記撮像場所が選択されると、当該撮像場所で撮像された画像を証跡として登録する案件及び工程の候補を前記リストに提示する。
【0008】
本発明の第3態様に係る情報処理装置は、本発明の第2態様に係る情報処理装置であって、前記日付に関する情報は、前記工程のそれぞれの期日であり、前記プロセッサは、前記期日を過ぎていない工程を候補として前記リストに提示する。
【0009】
本発明の第4態様に係る情報処理装置は、本発明の第2態様に係る情報処理装置であって、前記日付に関する情報は、前記工程のそれぞれの期日であり、前記プロセッサは、前記期日を過ぎているが、証跡が登録されていない工程を候補として前記リストに提示する。
【0010】
本発明の第5態様に係る情報処理装置は、本発明の第1態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記第1のマップで前記撮像場所が選択されると、当該撮像場所で撮像された画像を前記第1のマップに重畳して提示する。
【0011】
本発明の第6態様に係る情報処理装置は、本発明の第1態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記第1のマップで前記撮像場所が選択されると、当該撮像場所で撮像された画像を前記第1のマップと別の画面で提示する。
【0012】
本発明の第7態様に係る情報処理装置は、本発明の第5態様又は第6態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記第2のマップで前記案件の場所が選択されると、当該案件で証跡として登録された画像を前記第2のマップに重畳して提示する。
【0013】
本発明の第8態様に係る情報処理装置は、本発明の第5態様又は第6態様に係る情報処理装置であって、前記プロセッサは、前記第2のマップで前記案件の場所が選択されると、当該案件で証跡として登録された画像を前記第2のマップと別の画面で提示する。
【0014】
本発明の第9態様に係るコンピュータプログラムは、コンピュータに、複数の工程を有する案件のいずれにも証跡として登録されていない画像の撮像場所を、前記画像の位置情報に基づいて地図上に示す第1のマップと、前記第1のマップで前記撮像場所が選択されると、当該撮像場所から所定の範囲に含まれる前記案件の場所を地図上に示す第2のマップと、前記第2のマップで示した前記案件について、前記工程のそれぞれの日付に関する情報及び証跡の登録の有無を示すリストと、を1つの画面に提示する処理を実行させる。
【0015】
本発明の第1態様によれば、案件のいずれにも証跡として登録されていない画像の撮像場所の情報と、各案件の工程についての証跡の登録の有無とを1つの画面に提示することで、点検箇所の画像の登録業務を支援することができる。
【0016】
本発明の第2態様によれば、選択された画像を証跡として登録できる案件及び工程を提案できる。
【0017】
本発明の第3態様によれば、工程の期日が過ぎていない案件を、選択された画像を証跡として登録できる案件及び工程として提案できる。
【0018】
本発明の第4態様によれば、工程の期日が過ぎている案件において、証跡が登録されていない工程を、選択された画像を証跡として登録できる案件及び工程として提案できる。
【0019】
本発明の第5態様によれば、選択された撮像場所で撮像された画像を確認させることが出来る。
【0020】
本発明の第6態様によれば、選択された撮像場所で撮像された画像を確認させることが出来る。
【0021】
本発明の第7態様によれば、選択された案件の場所で証跡として登録された画像を確認させることが出来る。
【0022】
本発明の第8態様によれば、選択された案件の場所で証跡として登録された画像を確認させることが出来る。
【0023】
本発明の第9態様によれば、案件のいずれにも証跡として登録されていない画像の撮像場所の情報と、各案件の工程についての証跡の登録の有無とを1つの画面に提示することで、点検箇所の画像の登録業務を支援することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、案件のいずれにも証跡として登録されていない画像の撮像場所の情報と、各案件の工程についての証跡の登録の有無とを1つの画面に提示することで、点検箇所の画像の登録業務を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
図2】サーバのハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】サーバの機能構成の例を示すブロック図である。
図4】画像の仮登録処理の流れを示すフローチャートである。
図5】仮登録画像の撮像位置の地図上への表示処理の流れを示すフローチャートである。
図6】仮登録画像の選択に応じた、仮登録画像の登録候補となる案件の表示処理の流れを示すフローチャートである。
図7】ユーザインタフェースの例を示す図である。
図8】案件DBに登録されるデータ例を示す図である。
図9】案件DBに登録されるデータ例を示す図である。
図10】仮登録画像の証跡登録処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0027】
図1は、本実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る情報処理システムは、道路、トンネル、橋梁又は歩道橋のような建築物の点検業務に用いられるシステムである。本実施形態に係る情報処理システムは、サーバ10と、端末装置20と、を有する。
【0028】
サーバ10は、情報処理装置の一例であり、点検業務を行った点検作業者が点検現場で撮像した画像を格納し、端末装置20からのリクエストに応じて点検業務に関する情報を端末装置20に提示する。すなわち、サーバ10は、点検現場で撮像された画像を証跡として保存する。サーバ10は、点検業務に関する情報を端末装置20に提示する際に、サーバ10に格納され、点検業務の案件のいずれのステップにも証跡として登録されていない画像の撮像場所の情報と、各案件のステップについての証跡の登録の有無とを1つの画面に提示する。本実施形態における案件とは、1つの点検対象物に対する一連の点検作業を指し、1つの案件は1つ以上のステップからなる。またステップは本発明の工程の一例である。ステップとしては、例えば定期点検ステップ、点検時に異常が確認された場合に応急処置を施した応急処置ステップ、修繕が完了した修繕後ステップ等がある。
【0029】
端末装置20は、点検作業者が点検現場で撮像した画像をサーバ10へ登録する処理を実行する。点検作業者は、例えばデジタルスチルカメラ、スマートフォン等を用いて点検現場を撮像する。また、端末装置20は、点検業務に関する情報の提示をサーバ10にリクエストする処理を実行する。端末装置20は、インターネット又はイントラネット等のネットワーク30を通じてサーバ10に接続する。端末装置20は、情報処理システムのユーザが使用する端末である。端末装置20は、サーバ10から提供される情報を表示し、ユーザからの情報の編集操作を受け付けることができるものであれば、デスクトップ型コンピュータ、ノート型コンピュータ、タブレット又はスマートフォン等のいかなる端末であってもよい。端末装置20がサーバ10から提示を受ける、点検業務に関する情報の例は後述する。
【0030】
ネットワーク30は、有線回線であっても無線回線であってもよく、また、特定のユーザだけが利用する専用回線であっても、不特定多数のユーザで同じ回線が共有される公衆回線であってもよい。
【0031】
なお、図1では1台のサーバ10と1台の端末装置20とが図示されているが、本発明は、サーバと端末装置との台数は係る例に限定されるものではない。
【0032】
図2は、サーバ10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0033】
図2に示すように、サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力部15、表示部16及び通信インタフェース(I/F)17を有する。各構成は、バス19を介して相互に通信可能に接続されている。
【0034】
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12またはストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12またはストレージ14に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12またはストレージ14には、点検業務に関する情報を処理する情報処理プログラムが格納されている。
【0035】
ROM12は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)またはフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0036】
入力部15は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0037】
表示部16は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部16は、タッチパネル方式を採用して、入力部15として機能しても良い。
【0038】
通信インタフェース17は、端末装置20等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0039】
上記の情報処理プログラムを実行する際に、サーバ10は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。サーバ10が実現する機能構成について説明する。
【0040】
図3は、サーバ10の機能構成の例を示すブロック図である。
【0041】
図3に示すように、サーバ10は、機能構成として、処理受付部101、データ登録部102、候補抽出部103、及び処理応答部104を有する。各機能構成は、CPU11がROM12またはストレージ14に記憶された情報処理プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0042】
処理受付部101は、端末装置20からの種々のリクエストを受け付ける。例えば、処理受付部101は、端末装置20からの画像の登録を受け付ける。また例えば、処理受付部101は、端末装置20からの点検業務に関する情報の提示のリクエストを受け付ける。処理受付部101は、端末装置20から受け付けたリクエストを、データ登録部102又は候補抽出部103に送る。
【0043】
データ登録部102は、処理受付部101が受け付けた、画像の登録のリクエストに基づいて、端末装置20から送られた画像を案件DB105に登録する。なお、案件DB105は、ストレージ14に設けられるデータベースである。案件DB105は、点検業務の案件の情報と、点検業務において撮像された画像と、を格納する。点検業務において撮像された画像は、それぞれ属性情報を有する。属性情報としては、例えば、撮影日時、撮影場所、案件、ステップ等がある。
【0044】
データ登録部102は、画像の初回登録時には、画像の属性情報に、どの案件のどのステップも登録しない。また、データ登録部102は、画像の初回登録時には、画像が撮像された場所の位置情報及び撮像された日時の情報を画像の属性情報に登録する。画像の初回登録のことを、以下では画像の仮登録と称する。また、どの案件のどのステップも属性情報に登録されていない画像、すなわち仮登録された画像を仮登録画像と称する。後述の対象選択時には、データ登録部102は、画像の属性情報に、端末装置20で選択された案件及びステップを登録する。データ登録部102は、画像の登録の結果を処理応答部104に渡す。
【0045】
候補抽出部103は、処理受付部101が受け付けた、点検業務に関する情報の提示のリクエストに基づいて、提示する情報の候補を案件DB105から抽出する。具体的には、候補抽出部103は、後述するユーザインタフェースにおいて端末装置20で選択された画像の撮像位置に基づいて、点検対象の案件の候補、及び登録対象のステップを案件DB105から抽出する。上記ユーザインタフェースは、後述するように、第1のマップ、第2のマップ、及び案件リストを1つの画面で提示したものである。第1のマップは、どの案件にも証跡として登録されていない画像の撮像場所を地図上に示したものである。第2のマップは、第1のマップで選択された画像の撮像場所に近い案件の場所を地図上に示したものである。案件リストは、第1のマップで選択された画像の撮像場所に近い案件に関する情報をリスト形式で提示するものである。
【0046】
候補抽出部103は、抽出の結果を処理応答部104に渡す。例えば、候補抽出部103は、端末装置20で選択された画像の撮像位置から所定の範囲内にある案件を案件DB105から抽出する。所定の範囲内とは、例えば、選択された画像の撮像位置からの直線距離が所定の距離以内にあるものである。また例えば、候補抽出部103は、画像の撮像日時と、各ステップに設定された期日とを比較し、所定の期間内にある案件を案件DB105から抽出する。以下の説明では、各ステップに設定された期日のことを納期とする。
【0047】
処理応答部104は、端末装置20からの種々のリクエストに対する応答を端末装置20に出力する。例えば、処理応答部104は、端末装置20からの画像の登録のリクエストに対する応答を端末装置20に出力する。また例えば、処理応答部104は、端末装置20からの点検業務に関する情報の提示のリクエストに対する応答を端末装置20に出力する。例えば、処理応答部104は、点検業務に関する情報が表示されたユーザインタフェースを端末装置20に表示させるための応答を出力する。
【0048】
なお本実施形態では、案件DB105はサーバ10に存在するが、本発明は係る例に限定されるものではない。サーバ10と異なる装置に案件DB105が存在していてもよい。
【0049】
次に、サーバ10の作用について説明する。
【0050】
図4は、サーバ10による画像の仮登録処理の流れを示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14から情報処理プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、画像の仮登録処理が行なわれる。
【0051】
CPU11は、画像の仮登録のリクエストを端末装置20から受け付ける(ステップS101)。画像の仮登録のリクエストは、例えば端末装置20に表示されたユーザインタフェースの操作に応じて、端末装置20からサーバ10に送信される。
【0052】
ステップS101に続いて、CPU11は、端末装置20からのリクエストに基づいて、画像の属性を登録する(ステップS102)。ここでは、CPU11は、画像の仮登録を行うため、画像の属性情報にはどの案件のどのステップも登録しない。また、CPU11は、画像の仮登録時には、画像が撮像された場所の位置情報及び撮像された日時の情報を案件DB105に登録する。CPU11は、画像が撮像された場所の位置情報として、点検作業者が画像を撮像した際に、画像のメタデータに付与されたものを用いる。画像のメタデータに付与される位置情報は、撮像に用いた装置に備わるGPS(Global Positioning System)センサ等の位置情報センサによって得られうる。
【0053】
なお、点検作業者が点検現場で撮像した画像のメタデータに位置情報が付与されない場合が考えられる。点検作業者が点検現場で撮像した画像のメタデータに位置情報がなければ、CPU11は、過去に撮像された画像の中から類似の被写体が写っている画像を探索し、類似の被写体が写っている画像の位置情報を利用してもよい。そして、CPU11は、画像の仮登録の際に、画像の撮像場所が正しいかどうかを、リクエスト元の端末装置20に提示させてもよい。画像の属性の登録が完了すると、CPU11は、仮登録処理の結果を、リクエスト元の端末装置20に応答し、画像の仮登録処理を終了する。
【0054】
図5は、サーバ10による、端末装置20に対する、仮登録画像の撮像位置の第1のマップへの表示処理の流れを示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14から情報処理プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより第1のマップへの表示処理が行なわれる。
【0055】
CPU11は、仮登録画像の撮像位置の第1のマップへの表示のリクエストを端末装置20から受け付ける(ステップS111)。仮登録画像の撮像位置の第1のマップへの表示のリクエストは、例えば端末装置20に表示されたユーザインタフェースの操作に応じて、端末装置20からサーバ10に送信される。
【0056】
ステップS111に続いて、CPU11は、端末装置20からのリクエストに基づいて、仮登録画像の属性を案件DB105から抽出する(ステップS112)。ここで、CPU11が抽出する、仮登録画像の属性には、画像が撮像された場所の位置情報が含まれる。
【0057】
ステップS112に続いて、CPU11は、リクエスト元の端末装置20に対し、仮登録画像の撮像位置を第1のマップに表示するための応答を送信する(ステップS113)。端末装置20に応答を送信すると、CPU11は表示処理を終了する。
【0058】
図6は、サーバ10による、端末装置20に対する、仮登録画像の選択に応じた、仮登録画像の登録候補となる案件の第2のマップ及び案件リストへの表示処理の流れを示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14から情報処理プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより案件の第2のマップ及び案件リストへの表示処理が行なわれる。
【0059】
CPU11は、仮登録画像の登録候補となる案件の第2のマップ及び案件リストへの表示のリクエストを端末装置20から受け付ける(ステップS121)。仮登録画像の登録候補となる案件の表示のリクエストは、例えば端末装置20に表示されたユーザインタフェースの操作に応じて、端末装置20からサーバ10に送信される。
【0060】
ステップS121に続いて、CPU11は、端末装置20からのリクエストに基づいて、仮登録画像の登録候補となる案件を案件DB105から抽出する(ステップS122)。具体的には、CPU11は、端末装置20で選択された仮登録画像の撮像位置と、案件に予め登録された位置情報とを比較し、所定の範囲内にある案件を、仮登録画像の登録候補として抽出する。さらに、CPU11は、仮登録画像の撮像日時と比較して、納期の方が後である、又は納期の方が前であるが証跡が登録されていないステップを仮登録画像の登録候補として抽出する。仮登録画像の登録候補となる案件及びステップは複数抽出されうる。
【0061】
ステップS122に続いて、CPU11は、リクエスト元の端末装置20に対し、仮登録画像の登録候補となる案件を第2のマップ及び案件リストへ表示するための応答を送信する(ステップS123)。端末装置20に応答を送信すると、CPU11は表示処理を終了する。
【0062】
図7は、CPU11が端末装置20に提供するユーザインタフェースの例を示す図である。図7に示したユーザインタフェース200は、第1のマップ210、第2のマップ220、及び案件リスト230を含む。図7には、上述の図6のステップS123によってサーバ10から応答を受けた端末装置20に提示されるユーザインタフェース200の例が示されている。なお、第1のマップ210及び第2のマップ220の縮尺は、端末装置20のユーザにより変更が可能である。
【0063】
第1のマップ210は、仮登録画像の撮像場所を地図上に表示したものである。図7では、第1のマップ210に、仮登録画像の撮像場所を示すポインタ211A、211Bが示されている。また第1のマップ210でポインタ211A、211Bのいずれかが選択されると、CPU11は、当該撮像場所で撮像された仮登録画像212を第1のマップ210に重畳して表示する。なお、CPU11は仮登録画像212をユーザインタフェース200とは別のウィンドウで表示してもよい。
【0064】
第2のマップ220は、第1のマップ210で選択された撮像場所から所定の範囲内にある案件の場所を地図上に表示したものである。図7では、第2のマップ220に、第1のマップ210で選択された撮像場所から所定の範囲内にある案件の場所を示すポインタ221A、221Bが示されている。また第2のマップ220でポインタ221A、221Bのいずれかが選択されると、CPU11は、当該案件に証跡として登録された画像222を第2のマップ220に重畳して表示する。CPU11は画像222をユーザインタフェース200とは別のウィンドウで表示してもよい。なお、案件に証跡として登録された画像がなければ、CPU11は画像の表示を行わない。また、案件に証跡として登録された画像が複数存在していれば、CPU11は、直近で案件に証跡として登録された画像のみを表示してもよく、全ての画像を表示してもよい。
【0065】
案件リスト230は、第1のマップ210で選択された撮像場所から所定の範囲内にある案件をリストで示したものである。CPU11は、案件リスト230を端末装置20に提示する際に、第2のマップ220で選択された案件を、例えば枠231で囲む等して強調表示してもよい。CPU11は、案件リスト230を端末装置20に提示する際に、仮登録画像の登録候補となるステップを、例えば枠232で囲む等して強調表示してもよい。枠で囲むことで強調表示する場合、図7では、CPU11は枠231、232を実線と破線とで区別しているが、枠231、232を色の違いで区別してもよい。
【0066】
なお、ユーザインタフェース200のレイアウトは、図7に示した例に限定されるものではない。例えば、図7では第1のマップ210と第2のマップ220とが左右に並べられているが、第1のマップ210と第2のマップ220とが上下に並べられてもよい。
【0067】
ここで、具体的な案件DB105のデータ例を参照しつつ、図6に示した表示処理を説明する。
【0068】
図8は、案件DB105に登録されるデータ例を示す図である。図8に示したのは仮登録画像の属性情報の例である。図8には2つの仮登録画像について、撮像場所及び撮像日時の属性情報が案件DB105に登録されている例が示されている。
【0069】
図9は、案件DB105に登録されるデータ例を示す図である。図9に示したのは案件の情報の例である。図9では、各案件の場所、及び各案件のステップが示されている。本実施形態では、各案件のステップとして「定期点検」、「応急処置」及び「修繕後」の3つが設定さている。そして、各ステップには納期及び証跡の有無の情報が設定される。
【0070】
例えば、図8に示した2つの仮登録画像のうち、仮登録画像Bが第1のマップ210で選択されたとする。CPU11は、仮登録画像Bの撮像場所から所定の範囲にある案件P及びQの場所を第2のマップ220に表示するとともに、案件P及びQを案件リスト230で提示する。
【0071】
そして、CPU11は、仮登録画像Bの撮像日時と、案件P及びQの各ステップの納期とを比較し、納期の方が後である、又は納期の方が前であるが証跡が登録されていないステップを案件リスト230で強調表示する。
【0072】
図9の例では、案件Pについては、仮登録画像Bの撮像日時と比較して、応急処置の納期の方が後であるので、CPU11は、案件Pの応急処置のステップを案件リスト230で強調表示する。
【0073】
また図9の例では、案件Qについては、仮登録画像Bの撮像日時と比較して、定期点検の納期の方が前であるのでCPU11は、案件Qの定期点検のステップを案件リスト230で強調表示する。
【0074】
さらに、図9の例では、案件Qについては、仮登録画像Bの撮像日時と比較して、応急処置の納期の方が後であるので、CPU11は、案件Qの応急処置のステップを案件リスト230で強調表示する。
【0075】
なお、図7の例では、仮登録画像の撮像日時と、案件の各ステップの納期とを比較し、納期の方が後であるステップについては、納期が先である1つのステップのみが強調表示されていたが、この場合、CPU11は2つ以上のステップを強調表示してもよい。すなわちCPU11は、「橋梁A」の案件について、応急処置のステップだけでなく、修繕後のステップも強調表示してもよい。この場合、CPU11は納期が先のステップと、納期が後のステップとで強調表示の態様を変化させてもよい。
【0076】
図10は、サーバ10による、端末装置20に対する、仮登録画像の証跡登録処理の流れを示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14から情報処理プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより登録処理が行なわれる。
【0077】
CPU11は、仮登録画像の証跡登録のリクエストを端末装置20から受け付ける(ステップS131)。例えば、端末装置20において、案件リスト230の中から証跡を登録したい案件及びステップが選択され、証跡の登録が指定されると、仮登録画像の証跡登録のリクエストが端末装置20からCPU11に送信される。
【0078】
ステップS131に続いて、CPU11は、端末装置20で選択された仮登録画像を、端末装置20で選択された案件及びステップに証跡として登録する(ステップS132)。画像の登録が完了すると、CPU11は、登録処理の結果を、リクエスト元の端末装置20に応答し、画像の登録処理を終了する。
【0079】
道路、橋又は歩道橋、トンネルといった建築物を定期的に点検する場合、点検結果の写真を工程ごとに証跡として残すことが、国土交通省が定めた定期点検要領により義務付けられている。一方、点検作業者が点検現場で撮像する画像の量は膨大となり、また橋又は歩道橋等の建築物は似たような構造が多いため、画像だけでどの点検現場のものかを把握することも難しい。従って、どの画像がどの点検現場で撮像したものかを後から照らし合わせて、証跡として画像を登録することは困難であった。
【0080】
本実施形態に係るサーバ10は、案件のいずれにも証跡として登録されていない画像の撮像場所の情報と、各案件の工程についての証跡の登録の有無とを1つの画面に提示することができる。本実施形態は、案件のいずれにも証跡として登録されていない画像の撮像場所の情報と、各案件の工程についての証跡の登録の有無とを1つの画面に提示すること点検箇所の画像の登録業務を支援することができる。
【0081】
なお、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した情報処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、情報処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0082】
また、上記各実施形態では、情報処理のプログラムがROMまたはストレージに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的(non-transitory)記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【0083】
また上記各実施形態におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施形態において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【符号の説明】
【0084】
10 サーバ
20 端末装置
30 ネットワーク
200 ユーザインタフェース
210 第1のマップ
220 第2のマップ
230 案件リスト
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10