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特許7424100情報提示システム、情報提示装置、情報提示方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】情報提示システム、情報提示装置、情報提示方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20230101AFI20240123BHJP
【FI】
G06Q40/02
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020028799
(22)【出願日】2020-02-21
(65)【公開番号】P2021135547
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(74)【代理人】
【識別番号】100183162
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 義文
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】竹腰 貴成
【審査官】宮地 匡人
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-142746(JP,A)
【文献】特開2020-003920(JP,A)
【文献】特開2009-157592(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
法律で制定されている顧客を支援する支援制度に繋がる支援制度情報を提示する情報提示システムであって、
金融機関の顧客が操作する顧客用端末と、
前記支援制度情報を提示手段に提示させる情報提示装置と、を備え、
前記情報提示装置は、
前記顧客用端末から取得した前記顧客の操作情報を用いて前記支援制度の利用の要否を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づき、前記提示手段に対して前記支援制度情報の提示を指示する提示指示部と、を有し、
前記判定部は、前記顧客用端末を操作する時間に関する操作時間情報および操作の間違いに関する誤操作情報の何れか一方または双方に基づき適切な前記支援制度を選定する制度判定部を有する、
ことを特徴とする情報提示システム。
【請求項2】
前記支援制度には、前記顧客に代わって他の者が予め決められた範囲内で手続きを行うことができる任意代理人制度と、判断能力の低下した顧客に代わって他の者が財産管理を行うことができる成年後見制度と、が含まれており
前記提示指示部は、前記判定部によって判定された前記支援制度に応じた前記支援制度情報を提示させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提示システム。
【請求項3】
前記判定部は、前記支援制度情報を提示する対象者を決定する提示先判定部を有し、
前記制度判定部は、前記成年後見制度の利用において任意後見制度と法定後見制度との利用をさらに判定し、
前記提示先判定部は、
適切な前記支援制度として前記任意代理人制度または任意後見制度が選定された場合に、前記支援制度情報の提示を前記顧客に対して行うように決定し、
適切な前記支援制度として法定後見制度が選定された場合に、前記支援制度情報の提示を顧客関係者に対して行うように決定する、
ことを特徴とする請求項に記載の情報提示システム。
【請求項4】
前記提示手段は、金融機関の店舗内で金融機関関係者が使用する端末であり、
前記提示指示部は、前記顧客または顧客関係者が前記店舗に来店した場合に、前記支援制度情報を前記提示手段に提示させる、
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の情報提示システム。
【請求項5】
法律で制定されている顧客を支援する支援制度に繋がる支援制度情報を提示する情報提示装置であって、
金融機関の顧客が操作する顧客用端末から取得した前記顧客の操作情報を用いて前記支援制度の利用の要否を判定する判定部と、
前記判定部の判定結果に基づき、提示手段に対して前記支援制度情報の提示を指示する提示指示部と、を有し、
前記判定部は、前記顧客用端末を操作する時間に関する操作時間情報および操作の間違いに関する誤操作情報の何れか一方または双方に基づき適切な前記支援制度を選定する制度判定部を有する、
ことを特徴とする情報提示装置。
【請求項6】
コンピュータが、法律で制定されている顧客を支援する支援制度に繋がる支援制度情報を提示させる情報提示方法であって、
前記コンピュータは、
金融機関の顧客が操作する顧客用端末から取得した前記顧客の操作情報を用いて前記支援制度の利用の要否を判定する判定ステップと、
前記判定ステップの判定結果に基づき、提示手段に対して前記支援制度情報の提示を指示する提示指示ステップと、を実行し、
前記判定ステップは、前記顧客用端末を操作する時間に関する操作時間情報および操作の間違いに関する誤操作情報の何れか一方または双方に基づき適切な前記支援制度を選定する制度判定ステップを有する、
ことを特徴とする情報提示方法。
【請求項7】
請求項に記載の情報提示方法を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提示システム、情報提示装置、情報提示方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢化に伴う様々な問題が顕在化している。例えば、認知症を原因とする徘徊や事故が社会問題となっている。これに関連して、例えば特許文献1ないし3に記載される技術が開発されている。
【0003】
特許文献1に記載される技術は、家庭用電気器具の操作内容から認知症の可能性を判定し、認知症の可能性がある場合にそのことを示す情報を予め決められた装置に送信するものである。特許文献2に記載される技術は、運転操作から認知症の進行具合を判断するものである。特許文献3に記載される技術は、家庭用電気製品の操作状況を検出し、その操作状況を管理することにより監視対象者の生活状況を監視するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-104289号公報
【文献】特開2007-292908号公報
【文献】特開平10-248093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、高齢化に伴う問題の一つとして、高齢者を狙った金銭を目的とする詐欺事件があり、後を絶たない状況である。その対策として、成年後見制度や任意代理人制度の利用が考えられる。特に、銀行に代表される金融機関では、委任状と金融機関への届け出書とを兼ねる独自の代理人届を用意し、任意代理人制度を利用しやすい環境を作っている。しかしながら、これらの制度が有効に利用されているとはいえなかった。
【0006】
その原因として、行政機関による制度の周知が十分ではないという状況がある。またその他にも、詐欺事件の現場となる金融機関で制度を利用すべき顧客に適切なタイミングで説明を行えていないことや、後見人や代理人になるべき家族等が説明を受ける機会がないことなどの問題があった。また、顧客が制度の利用が必要な状態であることがそもそも分からない(判断できない)という問題があった。
【0007】
本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、金融機関の手続きに関する支援制度の利用を促すことができる、情報提示システム、情報提示装置、情報提示方法およびプログラムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の情報提示システムは、法律で制定されている顧客を支援する支援制度に繋がる支援制度情報を提示する情報提示システムであって、金融機関の顧客が操作する顧客用端末と、前記支援制度情報を提示手段に提示させる情報提示装置と、を備え、前記情報提示装置は、前記顧客用端末から取得した前記顧客の操作情報を用いて前記支援制度の利用の要否を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づき、前記提示手段に対して前記支援制度情報の提示を指示する提示指示部と、を有し、前記判定部は、前記顧客用端末を操作する時間に関する操作時間情報および操作の間違いに関する誤操作情報の何れか一方または双方に基づき適切な前記支援制度を選定する制度判定部を有することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の情報提示装置は、法律で制定されている顧客を支援する支援制度に繋がる支援制度情報を提示する情報提示装置であって、金融機関の顧客が操作する顧客用端末から取得した前記顧客の操作情報を用いて前記支援制度の利用の要否を判定する判定部と、前記判定部の判定結果に基づき、提示手段に対して前記支援制度情報の提示を指示する提示指示部と、を有し、前記判定部は、前記顧客用端末を操作する時間に関する操作時間情報および操作の間違いに関する誤操作情報の何れか一方または双方に基づき適切な前記支援制度を選定する制度判定部を有することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の情報提示方法は、コンピュータが、法律で制定されている顧客を支援する支援制度に繋がる支援制度情報を提示させる情報提示方法であって、前記コンピュータは、金融機関の顧客が操作する顧客用端末から取得した前記顧客の操作情報を用いて前記支援制度の利用の要否を判定する判定ステップと、前記判定ステップの判定結果に基づき、提示手段に対して前記支援制度情報の提示を指示する提示指示ステップと、を実行し、前記判定ステップは、前記顧客用端末を操作する時間に関する操作時間情報および操作の間違いに関する誤操作情報の何れか一方または双方に基づき適切な前記支援制度を選定する制度判定ステップを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明のプログラムは、前記した情報提示方法を前記コンピュータに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、金融機関の手続きに関する支援制度の利用を促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の第1実施形態に係る情報提示システムの概略構成図である。
図2】ATMおよびアプリケーションサーバの機能ブロック図である。
図3】顧客情報DBのデータ構成例である。
図4】判断力情報DBのデータ構成例である。
図5】説明履歴DBのデータ構成例である。
図6】アプリケーションサーバの機能ブロック図である。
図7】アプリケーションサーバによる支援制度の判定処理を説明するための図であり、(a)は操作に関する第一の判定基準であり、(b)は操作に関する第二の判定基準であり、(c)は操作に関する第三の判定基準であり、(d)は操作の精度と対応する支援制度とを対応付けたテーブルである。
図8】顧客の判断力の判定処理に関するフローチャートの例示である。
図9】顧客家族への支援制度情報の提示処理に関するフローチャートの例示である。
図10】本発明の第2実施形態に係る情報提示システムの概略構成図である。
図11】窓口端末およびアプリケーションサーバの機能ブロック図である。
図12】金融機関関係者への支援制度情報の提示処理に関するフローチャートの例示である。
図13】本発明の第3実施形態に係る情報提示システムの概略構成図である。
図14】ATM、ロビースタッフ用端末およびアプリケーションサーバの機能ブロック図である。
図15】金融機関関係者への支援制度情報の提示処理に関するフローチャートの例示である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0015】
[用語の説明]
「金融機関の手続きに関する支援制度」は、広く種々の制度を含むものであってよく、例えば「任意代理人制度」と「成年後見制度」とを含む概念である。
【0016】
「任意代理人制度」は、本人(ここでは、金融機関の顧客を想定)の意思に基づいた代理人(例えば、当該顧客の家族)を選任することにより、選任した代理人の行為による法律効果を直接本人に帰属させる制度である。任意代理人制度によれば、顧客に代わって他の者が予め決められた範囲内で金融取引に関する手続きを行うことができる。なお、「任意代理人」を省略して「代理人」と呼ぶ場合がある。
【0017】
「成年後見制度」は、判断能力の低下した顧客に代わって他の者が財産管理を行うことができる制度である。成年後見制度によれば、顧客に代わって他の者が金融取引に関する手続きを行うことができる。成年後見制度には、本人に十分な判断能力がある内に将来を見越して後見人を選任する「任意後見制度」と、精神上の障害により本人の判断能力が不十分になった後で後見人を選任する「法定後見制度」とがある。
【0018】
「支援制度情報」は、支援制度に関する情報であって、例えば支援制度の説明、支援制度の適用対象者の情報、支援制度の適用の可否を判定するうえで参考になる情報(例えば、判断能力に関する情報)などを含む。
【0019】
「顧客関係者」は、顧客に関係する者であり、例えば家族(親、配偶者(夫、妻)、子など)、同居人、介助者、代理人、後見人、並びに代理人および後見人に選任される可能性が高い者(例えば、弁護士)などである。
【0020】
「金融機関関係者」は、金融機関に関係する者であり、例えば店舗内にいる行員、店舗外で取引や面談を行う渉外の担当者などである。
【0021】
「要制度説明顧客」は、金融機関の顧客の中で支援制度を利用する必要性が高い者(つまり、判断力が低下している者)である。要制度説明顧客は、例えば日常生活(特に、現金自動預け払い機(ATM:Automated Teller Machine)の操作)においてサポートが必要な高齢者である。
【0022】
[実施形態の概要]
第1実施形態では、顧客がATMを操作する場面を想定し、ATMの操作に基づいて当該顧客が要制度説明顧客であるか否かの判定を行い、要制度説明顧客に関する情報を登録する。また、要制度説明顧客の家族がATMを操作する場面を想定し、家族に要制度説明顧客がいることや支援制度の説明などを通知することで、支援制度の利用を促す仕組みを説明する。
【0023】
第2,3実施形態は、支援制度の利用を促す仕組みの他のバリエーションである。
第2実施形態では、顧客が金融機関を訪れた場面を想定し、窓口端末を操作するオペレータに対して支援制度の説明などを指示する。
第3実施形態では、顧客が金融機関を訪れてATMを操作する場面を想定し、ロビースタッフに対して支援制度の説明などを指示する。
【0024】
[第1実施形態]
<第1実施形態に係る情報提示システムの構成>
図1を参照して、第1実施形態に係る情報提示システム1Aの構成を説明する。図1は、第1実施形態に係る情報提示システム1Aの概略構成図である。
【0025】
情報提示システム1Aは、金融機関の手続きに関する支援制度に関する支援制度情報を提示するシステムである。情報提示システム1Aは、金融機関が提供する金融サービスを利用する様々な場面で使用することができる。本実施形態では、現金自動預け払い機(ATM:Automated Teller Machine)を操作する場面を想定して説明を行う。しかしながら、情報提示システム1Aの構成はここで説明する構成に限定されない。
【0026】
情報提示システム1Aは、現金自動預け払い機2(ATM2)と、アプリケーションサーバ3とを備える。ATM2とアプリケーションサーバ3は、通信用ケーブル4(例えば、IEEEなどの規格に則った通信用のイーサネットケーブル)を利用し、広域インターネット回線や金融機関独自の専用回線を介して通信する。
【0027】
ATM2は、例えば金融機関店舗内、ATMコーナー、コンビニエンスストアなどに設置され、利用者との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。ATM2は、画面表示用のディスプレイや情報入力デバイス(キーボード、タッチパネル)などを搭載する。ATM2は、特許請求の範囲における「顧客用端末」や「提示手段」の一例である。
【0028】
アプリケーションサーバ3は、顧客情報および顧客情報を基にATM2に送出する情報を処理・判断する機能を有する。アプリケーションサーバ3が有する機能は、例えばプログラムを実行することにより実現する。アプリケーションサーバ3は、特許請求の範囲における「情報提示装置」の一例である。
【0029】
図2を参照して、ATM2およびアプリケーションサーバ3のより具体的な構成を説明する。図2は、ATM2およびアプリケーションサーバ3の機能ブロック図である。なお、図2に示す構成はあくまで例示であり、ここに示す構成に限定されない。
【0030】
図2に示すように、ATM2は、タッチパネルやキーボード等による操作入力部21、液晶ディスプレイによる画面表示部22、LAN等による通信を行う通信制御部24、およびこれらを制御する制御部23を備える。
【0031】
制御部23は、CPU(Central Processing Unit)によるプログラムの実行処理や、専用回路等により実現される。制御部23がプログラムによって実現される場合、そのプログラムをコンピュータによる読み取り可能な記録媒体(例:CD-ROM)に記憶して提供することができる。また、そのプログラムを、インターネットなどのネットワークを通して提供することもできる。
【0032】
制御部23は、操作入力部21の操作に関する情報(操作情報)を記憶しておき、アプリケーションサーバ3からの求めに応じて操作情報を送信する。操作情報は、例えば取引単位に記憶されている。操作情報には、操作の時間に関する情報(操作時間情報)、操作の間違いに関する情報(誤操作情報)などが含まれているのがよい。
【0033】
操作時間情報は、例えばボタン操作やタッチ操作の統計的な値(例えば、平均間隔)、1画面当たり(1画面の操作に要する)の統計的な値(例えば、平均時間)などである。誤操作情報は、例えば戻るボタン、取消しボタン、訂正ボタンを押した回数の情報である。
【0034】
図2に示すように、アプリケーションサーバ3は、LAN等による通信を行う通信制御部31、顧客情報等を記憶する記憶部33、およびこれらを制御する制御部32を備える。
【0035】
図3ないし図5を参照して、記憶部33に記憶される情報について説明する。図3は、顧客情報DB331のデータ構成例である。図4は、判断力情報DB332のデータ構成例である。図5は、説明履歴DB333のデータ構成例である。図3に示す顧客情報DB331は、金融取引を行う前に予め登録されている。図4に示す判断力情報DB332および図5に示す説明履歴DB333は、金融取引を行う過程で更新されていく。
【0036】
顧客情報DB331について説明する。図3に示すように、ここでの顧客情報DB331には、各々の顧客の情報がレコード単位に登録されており、氏名、CIF(Customer Information File)、店番、科目、口座番号、生年月日、住所、電話番号、勤務先、第n家族情報(nは自然数であり、ここでは第1家族情報および第2家族情報を示している)などの情報で構成されている。
【0037】
第n家族情報は、家族nCIF、家族n続柄、家族n同居などの情報で構成される。
第n家族CIFは、当該レコードで示される顧客が有する家族のCIFの情報である。図3に示すCIF「1234567890」の「沖 太郎」には、CIF「1111111111」の「沖 花子」およびCIF「2222222222」の「沖 次郎」が登録されている。
【0038】
家族n続柄は、当該レコードで示される顧客と当該家族との関係である。図3に示す「沖 太郎」では、CIF「1111111111」の顧客が妻であり、CIF「2222222222」の顧客が子であることを示している。
【0039】
家族n同居は、当該レコードで示される顧客と当該家族とが同居しているか否かを示す情報であり、同居している場合には「yes」が登録され、同居していない場合には「no」が登録される。図3に示す「沖 太郎」では、CIF「1111111111」の顧客およびCIF「2222222222」の顧客と同居していることを示している。
【0040】
判断力情報DB332について説明する。図4に示すように、ここでの判断力情報DB332には、各々の顧客の情報がレコード単位に登録されており、氏名、CIF(Customer Information File)、判断力判定結果情報、代理人制度登録有無、成年後見制度登録有無、要制度説明家族、要制度説明家族CIFなどの情報で構成されている。
【0041】
判断力判定結果情報は、当該レコードで示される顧客の判断力を判定した結果である。判断力判定結果情報は、ATM2の操作情報に基づいて判定される。詳細は後述する。
【0042】
代理人制度登録有無は、当該レコードで示される顧客に代理人が登録されているか否かを示す情報である。代理人が登録されている場合には「有り」が登録され、代理人が登録されていない場合には「無し」が登録される。図4では、CIF「1234567890」の「沖 太郎」に代理人が登録されている。
【0043】
成年後見制度登録有無は、当該レコードで示される顧客が成年後見制度を利用しているか否か(顧客に成年後見人が登録されているか否か)を示す情報である。成年後見人が登録されている場合には「有り」が登録され、成年後見人が登録されていない場合には「無し」が登録される。図4では、いずれの顧客にも成年後見人が登録されていない。
【0044】
要制度説明家族は、当該レコードで示される顧客の家族に要制度説明顧客がいるか否かの情報である。図4においてCIF「1234567890」の「沖 太郎」が要制度説明顧客であると想定した場合、CIF「1111111111」の「沖 花子」やCIF「2222222222」の「沖 次郎」からみて「沖 太郎」は要制度説明家族である。家族に要制度説明家族がいる場合に「有り」が登録され、家族に要制度説明家族がいない場合に「無し」が登録される。詳細は後述するが、要制度説明顧客の判断力が著しく低下している場合、支援制度情報を当該要制度説明顧客の家族に提示する。判断力が著しく低下している要制度説明顧客では支援制度の利用の要否を正しく理解できないためである。
【0045】
要制度説明家族CIFは、要制度説明家族のCIFの情報である。ここでは、要制度説明家族CIFとしての「沖 太郎」の情報が「沖 花子」や「沖 次郎」に登録されている。
【0046】
説明履歴DB333について説明する。図5に示すように、ここでの説明履歴DB333には、各々の顧客の情報がレコード単位に登録されており、氏名、CIF(Customer Information File)、前回説明日時(本人向け)、前回説明内容(本人向け)、前回説明日時(家族向け)、前回説明内容(家族向け)、前回説明対象CIF(家族向け)などの情報で構成されている。
【0047】
前回説明日時(本人向け)は、当該レコードで示される顧客に対して、支援制度の説明を行った前回の日時の情報である。
前回説明内容(本人向け)は、当該レコードで示される顧客に対して、支援制度の説明を行った内容に関する情報である。
図5に示す「沖 太郎」を例に挙げると、「2015年10月1日」に「代理人制度」の説明を「沖 太郎」に対して行っている。
【0048】
前回説明日時(家族向け)は、当該レコードで示される顧客に対して、要制度説明家族に関する支援制度の説明を行った前回の日時の情報である。
前回説明内容(家族向け)は、当該レコードで示される顧客に対して、要制度説明家族に関する支援制度の説明を行った内容に関する情報である。
前回説明対象CIF(家族向け)は、当該レコードで示される顧客に対して、支援制度の説明を行った対象となる要制度説明家族のCIFの情報である。
図5に示す「沖 花子」を例に挙げると、「2018年12月15日」にCIF「1234567890」の「沖 太郎」を対象として「成年後見制度」の説明を「沖 花子」に対して行っている。一方、「沖 太郎」の家族の「沖 次郎」に対しては未だに支援制度の説明を行っていない状況である。
【0049】
図6を参照して、アプリケーションサーバ3の制御部32が実現する機能について説明する。図6は、アプリケーションサーバ3の機能ブロック図である。制御部32は、CPU(Central Processing Unit)によるプログラムの実行処理や、専用回路等により実現される。制御部32がプログラムによって実現される場合、そのプログラムをコンピュータによる読み取り可能な記録媒体(例:CD-ROM)に記憶して提供することができる。また、そのプログラムを、インターネットなどのネットワークを通して提供することもできる。
【0050】
制御部32は、取得部321と、判定部322と、提示指示部323とを備える。判定部322は、制度判定部322aと、提示先判定部322bとを有する。
【0051】
取得部321は、ATM2から操作入力部21の操作に関する情報(操作情報)を取得する。取得部321は、例えばCIFと操作情報とを対応付けた状態でこれらの情報を取得する。操作情報には、操作の時間に関する情報(操作時間情報)、操作の間違いに関する情報(誤操作情報)などが含まれている。
【0052】
判定部322は、ATM2から取得した操作情報を用いて支援制度の利用の要否を判定するものである。制度判定部322aは、ATM2から取得した操作情報を用いて適切な支援制度を判定する。制度判定部322aは、例えば、図7(a)に示す判定基準A、図7(b)に示す判定基準B、および図7(c)に示す判定基準Cを用いてATM2の操作をポイントに変換し、三つの判定基準A~Cの合計ポイントを算出する。そして、図7(d)に示すテーブルを用いて、ATM2を操作した顧客の判断力を四つの段階の何れに該当するかを判定する。
【0053】
制度判定部322aは、合計ポイントが「0~4」である場合に、段階(1)であると判定する。段階(1)は、顧客の判断力に問題がない状態である。つまり、段階(1)であると判定された顧客は、要制度説明顧客ではなく、支援制度の利用の必要性がない状態といえる。この場合には、特に対応を行わない。一方、制度判定部322aは、合計ポイントが「5以上」である場合に、合計ポイントに応じて段階(2)~(4)であると判定する。段階(2)~(4)は、顧客の判断力に問題がある状態である。つまり、段階(2)~(4)であると判定された顧客は、要制度説明顧客であり、支援制度の利用の必要性がある状態といえる。以下、各段階の判定について説明する。
【0054】
制度判定部322aは、合計ポイントが「5~7」かまたは年齢が70歳以上である場合に、段階(2)であると判定する。段階(2)は、顧客の判断力に軽微な問題が認められた状態である。この場合には、顧客にまだ十分な判断力があると考え、顧客本人に代理人制度を説明する。なお、年齢の条件はなくてもよい。
【0055】
制度判定部322aは、合計ポイントが「8~10」である場合に、段階(3)であると判定する。段階(3)は、顧客の判断力に段階(2)よりも重い問題が認められた状態である。この場合には、顧客に十分までいかないまでも一応の判断力があると考え、顧客本人に成年後見制度を説明する。一応の判断力があるとは、例えば判断力の低下があるものの法定後見制度の適用が認められるまでにはない程度の状態である。段階(3)では、顧客本人に任意後見制度を説明するのがよい。なお、段階(3)と判定された場合であっても、任意代理人制度・成年後見制度共に未登録であれば、成年後見制度だけでなく、任意代理人制度を説明してもよい。
【0056】
制度判定部322aは、合計ポイントが「11以上」である場合に、段階(4)であると判定する。段階(4)は、顧客の判断力に段階(3)よりもさらに重い問題が認められた状態である。この場合には、顧客に必要な判断力がないと考え、顧客の家族に成年後見制度を説明する。必要な判断力がないとは、例えば法定後見制度の適用が認められるか、認められないまでもそれに近い程度の判断力しかない状態である。段階(4)では、顧客の家族に法定後見制度を説明するのがよい。なお、段階(4)で顧客の家族に任意後見制度を説明してもよい。
【0057】
提示先判定部322bは、支援制度情報を提示する対象者を決定する。提示先判定部322bは、制度判定部322aにより選定された支援制度に適した対象者を支援制度情報の提示先として決定するのがよい。例えば、提示先判定部322bは、図7(d)に示すように、顧客の判定結果が段階(2),(3)である場合に、支援制度情報の提示を顧客に対して行うように決定する。また、提示先判定部322bは、図7(d)に示すように、顧客の判定結果が段階(4)である場合に、支援制度情報の提示を顧客の家族に対して行うように決定する。提示先判定部322bは、図4に示す判断力情報DB332を参照して具体的な対象者を決定する。
【0058】
提示指示部323は、支援制度情報の提示に関する処理を行う。提示指示部323は、例えば提示先判定部322bで決定された対象者に対して、制度判定部322aの判定結果により選定した支援制度の支援制度情報の提示を指示する。支援制度情報を実際に提示する提示手段は、例えばATM2や顧客やその家族が所有する端末であってよい。また、第三者(例えば、金融機関関係者)に支援制度情報の提示し、第三者が顧客や家族に説明を行うことによって、第三者を介して支援制度情報の内容を顧客やその家族に間接的に提示してもよい。
【0059】
なお、アプリケーションサーバ3が備える機能の一部をATM2が有する構成であってもよく、例えば、ATM2が判定部322を有する構成であってもよい。その場合、アプリケーションサーバ3で実行した処理の一部がATM2で実行される。
【0060】
<第1実施形態に係る情報提示システムの動作>
第1実施形態に係る情報提示システム1Aの動作について説明する。ここでは、「顧客の判断力の判定処理」および「支援制度情報の提示処理」について説明する。
【0061】
(顧客の判断力の判定処理)
図8を参照して、顧客の判断力の判定処理について説明する。顧客がATM2まで移動し、ATM2を用いた取引を開始する(ステップS11)。取引中に、ATM2は、操作情報を取得する。ATM2は、例えば、取引の中で各画面の画面遷移にかかる時間、ボタン操作等による入力操作の情報などを取得する。一つの取引が完了すると(ステップS12)、ATM2は操作情報をアプリケーションサーバ3に送信する(ステップS13)。
【0062】
制度判定部322aは、図7(a)に示す判定基準Aに基づいて、顧客の操作の精度を判定する(ステップS14)。具体的には、判定基準Aに基づいて、顧客の操作をポイントに変換する。また、制度判定部322aは、図7(b)に示す判定基準Bに基づいて、顧客の操作の精度を判定する(ステップS15)。具体的には、判定基準Bに基づいて、顧客の操作をポイントに変換する。
【0063】
また、制度判定部322aは、図7(c)に示す判定基準Cに基づいて、顧客の操作の精度を判定する(ステップS16)。具体的には、判定基準Cに基づいて、顧客の操作をポイントに変換する。また、制度判定部322aは、顧客の年齢情報を取得する(ステップS17)。なお、ステップS14~S17の順番は特に限定されず、同時に実行されてもよい。
【0064】
次に、制度判定部322aは、ステップS14~S16で算出したポイント(顧客精度情報)、ステップS17で取得した年齢および図7(d)に示すテーブルに基づいて、顧客が支援制度の適用が必要な状態であって制度の説明をすべき要制度説明顧客であるか否かの判定結果を得る(ステップS18)。
【0065】
制度判定部322aは、判定結果を顧客情報と紐づけて記憶部33(特に、図4に示す判断力情報DB332)に保存する。
【0066】
(支援制度情報の提示処理)
ここでは、支援制度情報の提示処理として、「顧客本人(要制度説明顧客)への提示処理」と「顧客家族への提示処理」とに分けて説明する。
【0067】
「顧客本人(要制度説明顧客)への提示処理」
提示指示部323は、顧客本人へ支援制度を説明する必要がある場合、例えば当該顧客が次回以降に来店したときにATM2に支援制度の説明を提示させる。例えば、提示指示部323は、顧客の判断力が段階(2)であると判定されている場合に、顧客本人に代理人制度に関する説明を表示させるように制御する。また、提示指示部323は、顧客の判断力が段階(3)であると判定されている場合に、顧客本人に成年後見制度に関する説明を表示させるように制御する。
【0068】
「顧客家族への提示処理」
提示指示部323は、顧客の家族へ支援制度を説明する必要がある場合(つまり、顧客の判断力が著しく低下している場合)、例えば当該顧客の家族が来店したときにATM2に支援制度の説明を提示させる。
【0069】
図9を参照して、顧客の家族への支援制度情報の提示処理について説明する。ここで、ATM2を利用する顧客には、同一金融機関において口座を保有し、家族構成の情報が登録されている家族がいる状態を前提としている(図3参照)。
【0070】
顧客がATM2まで移動し、ATM2を用いた取引を開始する(ステップS31)。ATM2は、顧客の取引開始の後で(取引開始と同時でもよい)、顧客情報(店番号、口座番号)をアプリケーションサーバ3に送信する(ステップS32)。
【0071】
アプリケーションサーバ3の提示指示部323は、情報を取得した顧客と紐づけて登録されている家族の判断力判定結果情報を記憶部33から取得する(ステップS33)。提示指示部323は、例えば、顧客情報DB331を参照して該当する顧客の家族nCIFを認識し、家族nCIFをキーにして判断力情報DB332を参照して家族の判断力判定結果情報を取得する。
【0072】
次に、提示指示部323は、判断力判定結果情報が段階(4)の家族がいるか否かを判定する(ステップS34)。判断力判定結果情報が段階(4)の家族がいる場合(ステップS34で“Yes”)に処理をステップS35に進める。一方、判断力判定結果情報が段階(4)の家族がいない場合(ステップS34で“No”)に処理を終了する。
【0073】
段階(4)の家族がいる場合(ステップS34で“Yes”)、提示指示部323は、要制度説明家族の成年後見制度の登録有無の情報を取得する(ステップS35)。提示指示部323は、図4に示す判断力情報DB332を参照して、家族の成年後見制度の登録有無を取得する。
【0074】
次に、提示指示部323は、要制度説明家族が成年後見制度を登録済みであるか否かを判定する(ステップS36)。成年後見制度が登録済みでない場合(ステップS36で“No”)に処理をステップS37に進める。一方、成年後見制度が登録済みである場合(ステップS36で“Yes”)に処理を終了する。
【0075】
成年後見制度が登録済みでない場合(ステップS36で“No”)、提示指示部323は、要制度説明家族に関連して、顧客への過去の成年後見制度について説明を行った履歴を取得する(ステップS37)。提示指示部323は、図5に示す説明履歴DB333を参照して、家族向けの説明履歴を取得する。
【0076】
次に、提示指示部323は、要制度説明家族に関連して、最後に顧客に制度説明をしてから半年以上経過しているか否かを判定する(ステップS38)。最後の説明から半年以上経過している場合(ステップS38で“Yes”)に処理をステップS39に進める。一方、最後の説明から半年以上経過していない場合(ステップS38で“No”)に処理を終了する。なお、最後の説明からの期間(ここでは半年)は、適宜設定してよい。
【0077】
最後の説明から半年以上経過している場合(ステップS38で“Yes”)、提示指示部323は、要制度説明家族の登録済の制度情報(成年後見制度)をATM2に送信する(ステップS39)。
【0078】
続いて、ATM2は、取引完了の画面において、要制度説明家族がいること、そのため成年後見制度について確認してほしい旨を表示する(ステップS40)。また、ATM2は、成年後見制度の概要を表示する(ステップS41)。また、ATM2は、窓口において制度の詳細と手続き内容について説明するために来店してほしい旨を表示する(ステップS42)。なお、提示する情報は、ステップS40ないしステップS42の何れか一つであってもよい。
【0079】
以上のように、第1実施形態に係る情報提示システム1Aは、アプリケーションサーバ3(情報提示端末)がATM2の操作情報を取得してその情報を解析する。それにより、顧客が認知症によって情報認識にどの程度の問題があるのかや、身体的な衰えによって操作にどの程度の不自由があるのかなどの顧客の総合的な状態を把握することができる。そのため、顧客に適切な支援制度(例えば、成年後見制度、代理人制度など)を選定および説明することができる。
【0080】
また、第1実施形態に係る情報提示システム1Aでは、支援制度適用の対象である顧客の判断力が著しく低下していることが想定される場合には、顧客本人ではなく家族に対して当該顧客の状況や適用できる可能性がある支援制度について通知を行う。そのため、適切な人物に対してより確実に支援制度を周知することができるので、支援制度の利用を促すことが可能である。
【0081】
[第2実施形態]
<第2実施形態に係る情報提示システムの構成>
図10を参照して、第2実施形態に係る情報提示システム1Bの構成を説明する。図10は、第2実施形態に係る情報提示システム1Bの概略構成図である。
【0082】
情報提示システム1Bは、窓口端末5と、アプリケーションサーバ3とを備える。窓口端末5とアプリケーションサーバ3は、通信用ケーブル4(例えば、IEEEなどの規格に則った通信用のイーサネットケーブル)を利用し、広域インターネット回線や金融機関独自の専用回線を介して通信する。
【0083】
窓口端末5は、金融機関向けの専用の情報処理端末もしくは汎用的なコンピュータであり、画面表示用のディスプレイや情報入力デバイス(キーボード、マウス、タッチパネル)などを搭載する。窓口端末5は、特許請求の範囲における「提示手段」の一例である。
【0084】
アプリケーションサーバ3は、顧客情報および顧客情報を基に窓口端末5に送出する情報を処理・判断する機能を有する。アプリケーションサーバ3が有する機能は、例えばプログラムを実行することにより実現する。
【0085】
図11を参照して、窓口端末5およびアプリケーションサーバ3のより具体的な構成を説明する。図11は、窓口端末5およびアプリケーションサーバ3の機能ブロック図である。なお、図11に示す構成はあくまで例示であり、ここに示す構成に限定されない。
【0086】
図11に示すように、窓口端末5は、マウスやキーボード等による操作入力部51、液晶ディスプレイによる画面表示部52、LAN等による通信を行う通信制御部54、およびこれらを制御する制御部53を備える。
【0087】
図11に示すように、アプリケーションサーバ3は、LAN等による通信を行う通信制御部31、顧客情報等を記憶する記憶部33、およびこれらを制御する制御部32を備える。アプリケーションサーバ3は、第1実施形態の構成と同様である。
【0088】
<第2実施形態に係る情報提示システムの動作>
第2実施形態に係る情報提示システム1Bの動作について説明する。ここでは、第1実施形態の判定および登録処理によって、判定結果が既にアプリケーションサーバ3に登録されていることを前提としている。
【0089】
「金融機関関係者への提示処理」
提示指示部323は、顧客本人や顧客の家族へ支援制度を説明する必要がある場合(つまり、顧客の判断力が低下している場合)、金融関係者(ここでは、窓口端末5を操作するオペレータ)に支援制度の説明を行わせる。
【0090】
図12を参照して、金融機関関係者への支援制度情報の提示処理について説明する。窓口端末5のオペレータは、窓口にて順番が来た顧客を呼び出す(ステップS51)。窓口端末5は、顧客の呼び出す中に、顧客情報(店番号、口座番号)をアプリケーションサーバ3に送信し、判断力判定結果を問い合わせる(ステップS52)。
【0091】
続いて、アプリケーションサーバ3の提示指示部323は、窓口で呼び出し中の顧客の成年後見制度および代理人制度の登録有無の情報を取得する(ステップS53)。提示指示部323は、図4に示す判断力情報DB332を参照して、当該顧客の成年後見制度および代理人制度の登録有無を取得する。
【0092】
次に、提示指示部323は、窓口で呼び出し中の顧客が成年後見制度を登録済みであるか否かを判定する(ステップS54)。成年後見制度が登録済みである場合(ステップS54で“Yes”)に処理をステップS55に進め、当該顧客の登録済の制度情報(成年後見制度)を窓口端末5に送信する(ステップS55)。一方、成年後見制度が登録済みでない場合(ステップS54で“No”)に処理をステップS56に進める。
【0093】
成年後見制度が登録済みでない場合(ステップS54で“No”)、提示指示部323は、顧客への過去の成年後見制度、代理人制度について説明を行った履歴を取得する(ステップS56)。提示指示部323は、図5に示す説明履歴DB333を参照して、当該顧客向けの説明履歴を取得する。
【0094】
次に、提示指示部323は、顧客の年齢情報を取得する(ステップS57)。また、提示指示部323は、顧客の判断力判定結果情報を取得する(ステップS58)。そして、提示指示部323は、最新の判断力判定結果が説明済の段階よりも悪化しているか否かを判定する(ステップS59)。
【0095】
説明済の段階よりも悪化していない場合(ステップS59で“No”)、提示指示部323は、どの制度について、いつ説明済であるかといった履歴情報を窓口端末5に送信する(ステップS60)。一方、説明済の段階よりも悪化している場合(ステップS59で“Yes”)、提示指示部323は、代理人制度に登録済であればその登録情報、過去の制度説明の履歴情報、最新の判定結果を窓口端末5に送信する(ステップS61)。
【0096】
ステップS60に続いて、窓口端末5は、登録済の制度の情報を自身の画面に表示し、登録済の制度の情報をオペレータに通知する(ステップS62)。オペレータは、その情報に沿って顧客に合わせた対応を行う。そして、処理を終了する。
【0097】
ステップS61に続いて、窓口端末5は、代理人制度に登録済であればその登録情報、過去の制度説明の履歴情報、最新の判定結果を自身の画面に表示し、これらの情報をオペレータに通知する(ステップS63)。
【0098】
ステップS63に続いて、窓口端末5は、最新の判断力判定結果が段階(4)以外であるか否かを判定する(ステップS64)。段階(4)以外である場合(ステップS64で“Yes”)に処理をステップS65に進める。一方、段階(4)である場合(ステップS64で“No”)に処理は終了する。
【0099】
段階(4)以外である場合(ステップS64で“Yes”)、窓口端末5は、最後に顧客に制度説明をしてから半年以上経過しているか否かを判定する(ステップS65)。最後の説明から半年以上経過している場合(ステップS65で“Yes”)に処理をステップS66に進める。一方、最後の説明から半年以上経過していない場合(ステップS65で“No”)に処理を終了する。
【0100】
最後の説明から半年以上経過している場合(ステップS65で“Yes”)、窓口端末5は、判断力判定結果に基づき、成年後見制度、代理人制度の説明が必要である旨を自身の画面に表示し、取引完了後に制度説明を行うようオペレータに指示をする(ステップS66)。
【0101】
以上のように、第2実施形態に係る情報提示システム1Bは、顧客の状態に合わせて行員が取引のフォローを行うだけではなく、現在の状態に合わせた支援制度の説明をまだしていない場合や最後の説明から期間が空いているような場合に、支援制度の説明を行うことができる。そのため、支援制度を必要な顧客により確実に周知させることができる。
【0102】
[第3実施形態]
<第3実施形態に係る情報提示システムの構成>
図13を参照して、第3実施形態に係る情報提示システム1Cの構成を説明する。図13は、第3実施形態に係る情報提示システム1Cの概略構成図である。
【0103】
情報提示システム1Cは、ATM2と、アプリケーションサーバ3と、ロビースタッフ用端末6とを備える。ATM2とアプリケーションサーバ3は、通信用ケーブル4(例えば、IEEEなどの規格に則った通信用のイーサネットケーブル)を利用し、広域インターネット回線や金融機関独自の専用回線を介して通信する。また、ロビースタッフ用端末6とアプリケーションサーバ3は、通信用ケーブル4(例えば、IEEEなどの規格に則った通信用のイーサネットケーブル)やWi-Fi、赤外線、Bluetooth(登録商標)等による無線通信(図示せず)を利用し、広域インターネット回線や金融機関独自の専用回線を介して通信する。
【0104】
ATM2は、例えば金融機関店舗内、ATMコーナー、コンビニエンスストアなどに設置され、利用者との間で入金取引や出金取引等の現金に関する取引を行う。ATM2は、画面表示用のディスプレイや情報入力デバイス(キーボード、タッチパネル)などを搭載する。
【0105】
ロビースタッフ用端末6は、汎用コンピュータやタブレット端末等であり、液晶ディスプレイによる画面出力と、キーボード、タッチパネル等によって入力操作ができる機能を同時に搭載する。ロビースタッフ用端末6は、特許請求の範囲における「提示手段」の一例である。
【0106】
アプリケーションサーバ3は、顧客情報および顧客情報を基にATM2やロビースタッフ用端末6に送出する情報を処理・判断する機能を有する。アプリケーションサーバ3が有する機能は、例えばプログラムを実行することにより実現する。
【0107】
図14を参照して、ATM2、ロビースタッフ用端末6およびアプリケーションサーバ3のより具体的な構成を説明する。図14は、ATM2、ロビースタッフ用端末6およびアプリケーションサーバ3の機能ブロック図である。なお、図14に示す構成はあくまで例示であり、ここに示す構成に限定されない。
【0108】
図14に示すように、ATM2は、タッチパネルやキーボード等による操作入力部21、液晶ディスプレイによる画面表示部22、LAN等による通信を行う通信制御部24、およびこれらを制御する制御部23を備える。ATM2は、第1実施形態の構成と同様である。
【0109】
図14に示すように、アプリケーションサーバ3は、LAN等による通信を行う通信制御部31、顧客情報等を記憶する記憶部33、およびこれらを制御する制御部32を備える。アプリケーションサーバ3は、第1,2実施形態の構成と同様である。
【0110】
図14に示すように、ロビースタッフ用端末6は、タッチパネルやキーボード等による操作入力部61、液晶ディスプレイによる画面表示部62、LANや無線等による通信を行う通信制御部64、およびこれらを制御する制御部63を備える。
【0111】
<第3実施形態に係る情報提示システムの動作>
第3実施形態に係る情報提示システム1Cの動作について説明する。ここでは、第1実施形態の判定および登録処理によって、判定結果が既にアプリケーションサーバ3に登録されていることを前提としている。
【0112】
「金融機関関係者への提示処理」
提示指示部323は、顧客本人や顧客の家族へ支援制度を説明する必要がある場合(つまり、顧客の判断力が低下している場合)、金融関係者(ここでは、ロビースタッフ)に支援制度の説明を行わせる。
【0113】
図15を参照して、金融機関関係者への支援制度情報の提示処理について説明する。顧客がATM2まで移動し、ATM2を用いた取引を開始する(ステップS71)。ATM2は、顧客の取引開始の後で(取引開始と同時でもよい)、顧客情報(店番号、口座番号)をアプリケーションサーバ3に送信する(ステップS72)。
【0114】
図15に示すアプリケーションサーバ3のステップS73~ステップS81の処理は、情報の送信先がロビースタッフ用端末6に変更されている以外は図12に示すステップS53~ステップS61と同じである。そのため、ここでは処理の詳細な説明を省略する。
【0115】
ステップS80に続いて、ロビースタッフ用端末6は、最新の判断力判定結果を確認する(ステップS82)。最新の判断力判定結果が段階(1),(2)である場合に処理は終了する。一方、最新の判断力判定結果が段階(3),(4)である場合に処理をステップS88に進める。
【0116】
ステップS81に続いて、ロビースタッフ用端末6は、最新の判断力判定結果を確認する(ステップS83)。最新の判断力判定結果が段階(2)である場合に、ロビースタッフ用端末6は、当該顧客の判断力判定結果、顧客情報、操作中のATM2がどれであるかを自身の画面に表示し、これらの情報をロビースタッフに通知する(ステップS84)。また、ロビースタッフ用端末6は、取引完了後に代理人制度の説明を促すよう画面に表示し、ロビースタッフに制度の説明を指示する(ステップS85)。ロビースタッフは、例えば当該顧客が取引完了したのを確認した後で制度説明のためにお声がけをする。
【0117】
ステップS83で最新の判断力判定結果が段階(3)である場合に、ロビースタッフ用端末6は、顧客の成年後見制度登録情報、判断力判定結果、顧客情報、操作中のATM2がどれであるかを自身の画面に表示し、これらの情報をロビースタッフに通知すると共に顧客のATM2を用いた取引のサポートを指示する(ステップS86)。また、ロビースタッフ用端末6は、取引及びサポート完了後に成年後見制度の説明を促すよう画面に表示し、ロビースタッフに制度の説明を指示する(ステップS86)。ロビースタッフは、例えば当該顧客が取引完了したのを確認した後で制度説明のためにお声がけをする。
【0118】
ステップS82で最新の判断力判定結果が段階(3),(4)である場合、または、ステップS83で最新の判断力判定結果が段階(4)である場合に、ロビースタッフ用端末6は、顧客の成年後見制度登録情報、判断力判定結果、顧客情報、操作中のATMがどれであるかを自身の画面に表示し、これらの情報をロビースタッフに通知すると共に顧客のATM2を用いた取引のサポートを指示する(ステップS88)。
【0119】
以上のように、第3実施形態に係る情報提示システム1Cは、顧客が自ら声を上げなくとも、ロビースタッフによるサポートが必要かどうかを判断し、サポートを行うことができる。また、適用できる可能性がある支援制度の説明の機会を増やすことができる。
【0120】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を変えない範囲で実施することができる。実施形態の変形例は、例えば以下に示す通りである。
【0121】
第1実施形態では、ATM2の操作情報から顧客の判断力を判定し、その判定結果に基づいて利用を勧める支援制度を決定していた。しかしながら、操作情報を取得する装置はATM2に限定されない。操作情報を取得する装置は、例えば金融機関の受付端末、金融機関のアプリをダウンロードしたスマーフォンなどであってもよい。その場合、図7に示す判定基準やテーブルは、操作情報を取得する装置に合わせて調整するのがよい。調整の方法は、図7に示す判定基準に対する重みづけであってもよい。
【0122】
また、第1実施形態では、支援制度に関する説明をATM2に提示する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、支援制度に関する説明を提示する装置はATM2に限定されない。例えば、顧客の家族が金融機関の店舗に来店して受付端末を利用した場合、金融機関の窓口で取引を行った場合、インターネットバンキングにアクセスした場合などに支援制度に関する説明を提示してもよい。
【0123】
また、各実施形態では、顧客とその家族が同一の金融機関で口座を保有している場合を想定して説明を行った。しかしながら、判断力判定結果や支援制度をマイナンバーといった特定の金融機関に縛られない情報に紐づけて保持するデータベースを構築してもよい。そのようにすることで、家族構成の情報を別途登録する必要がないので、対象の顧客や家族に漏れなくかつ迅速に支援制度を説明する機会を設けることができる。また、顧客の本人確認等に伴って取得するKYC(Know Your Customer)の情報を用いてデータベースを構築してもよい。
【0124】
また、第2,3実施形態では、顧客が店舗に来店した場合を想定して説明したが、店舗外で取引や面談を行う場合にも適用できる。例えば渉外の担当者が顧客の自宅に赴く場合などの顧客来店時以外であっても、往訪を予定している顧客の情報を予め窓口端末やアプリケーションサーバに接続されたコンピュータを用いて取得しておくことにより、往訪時にも顧客に対して支援制度の説明を行える。
【0125】
また、各実施形態では、画面を介して支援制度情報を表示する場合を想定していた。しかしながら、提示の方法はこれに限定されず、音声や書面などを用いて支援制度情報を顧客などに通知してもよい。
【符号の説明】
【0126】
1A,1B,1C 情報提示システム
2 ATM(顧客用端末、提示手段)
3 アプリケーションサーバ(情報提示装置)
5 窓口端末(提示手段)
6 ロビースタッフ用端末(提示手段)
32 制御部
321 取得部
322 判定部
322a 制度判定部
322b 提示先判定部
323 提示指示部
33 記憶部
331 顧客情報DB
332 判断力情報DB
333 説明履歴DB
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15