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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20240123BHJP
   H02K 21/22 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
H02K3/04 E
H02K21/22 M
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020042290
(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公開番号】P2021145455
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-12-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河田 真治
(72)【発明者】
【氏名】大塚 光
(72)【発明者】
【氏名】森川 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】鍬田 新
(72)【発明者】
【氏名】林 祐史
【審査官】保田 亨介
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-060693(JP,A)
【文献】特開2000-201443(JP,A)
【文献】特開2004-343952(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K3/00-3/52
21/00-21/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能に支持された回転軸(12)と、
導電性の巻線を用いて形成され、回転軸方向へ延びると共に回転周方向へ並んで配置された複数の導線部(34A、35A、36A)と、前記導線部における回転軸方向の端側から回転径方向内側又は外側へ向けて延びる複数のコイルエンド部(34B、35B、36B)と、を有し、前記巻線へ通電がなされることで前記回転軸が回転する電気子(22、62)と、
を備え、
一の前記コイルエンド部と他の前記コイルエンド部とが、回転軸方向又は回転径方向に重なるようにかつ前記導線部の回転径方向内側又は外側において該導線部と回転径方向に重なるように配置されており、
回転周方向へ間隔をあけて配置された一対の前記導線部と、当該一対の前記導線部を回転軸方向一方側及び他方側においてそれぞれ回転周方向につなぐ一対の前記コイルエンド部と、によってコイル体(34)が形成されているモータ(10、60、66)。
【請求項2】
前記電気子は、環状に形成されたコイル支持部材(32)をさらに備えており、
前記コイル支持部材の外周部又は内周部には、回転径方向外側の面又は内側の面に沿って前記複数の導線部が配置される導線部配列部(32A)が設けられ、
前記コイル支持部材における前記導線部配列部の回転径方向内側又は外側には、一の前記コイルエンド部と他の前記コイルエンド部とが、回転軸方向又は回転径方向に重ねられた状態で収容されるコイルエンド部収容部(32E)が設けられている請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
回転可能に支持された回転軸(12)と、
導電性の巻線を用いて形成され、回転軸方向へ延びると共に回転周方向へ並んで配置された複数の導線部(34A、35A、36A)と、前記導線部における回転軸方向の端側から回転径方向内側又は外側へ向けて延びる複数のコイルエンド部(34B、35B、36B)と、を有し、前記巻線へ通電がなされることで前記回転軸が回転する電気子(22、62)と、
を備え、
一の前記コイルエンド部と他の前記コイルエンド部とが、回転軸方向又は回転径方向に重なるようにかつ前記導線部の回転径方向内側又は外側において該導線部と回転径方向に重なるように配置されており、
前記電気子は、環状に形成されたコイル支持部材(32)をさらに備えており、
前記コイル支持部材の外周部又は内周部には、回転径方向外側の面又は内側の面に沿って前記複数の導線部が配置される導線部配列部(32A)が設けられ、
前記コイル支持部材における前記導線部配列部の回転径方向内側又は外側には、一の前記コイルエンド部と他の前記コイルエンド部とが、回転軸方向又は回転径方向に重ねられた状態で収容されるコイルエンド部収容部(32E)が設けられており、
前記電気子は、固定子支持部材(18)に支持される固定子(22)とされ、
前記コイル支持部材は、前記複数の導線部が回転径方向外側の面に沿って配置される前記導線部配列部と、該導線部配列部の回転径方向内側に配置されていると共に前記固定子支持部材に係止される係止部(32B)と、前記導線部配列部と前記係止部との間に設けられた前記コイルエンド部収容部と、前記導線部配列部と前記係止部とを回転径方向につなぐ接続部(32D)と、を含んで構成されていモータ。
【請求項4】
回転可能に支持された回転軸(12)と、
導電性の巻線を用いて形成され、回転軸方向へ延びると共に回転周方向へ並んで配置された複数の導線部(34A、35A、36A)と、前記導線部における回転軸方向の端側から回転径方向内側又は外側へ向けて延びる複数のコイルエンド部(34B、35B、36B)と、を有し、前記巻線へ通電がなされることで前記回転軸が回転する電気子(22、62)と、
を備え、
一の前記コイルエンド部と他の前記コイルエンド部とが、回転軸方向又は回転径方向に重なるようにかつ前記導線部の回転径方向内側又は外側において該導線部と回転径方向に重なるように配置されており、
前記電気子は、環状に形成されたコイル支持部材(32)をさらに備えており、
前記コイル支持部材の外周部又は内周部には、回転径方向外側の面又は内側の面に沿って前記複数の導線部が配置される導線部配列部(32A)が設けられ、
前記コイル支持部材における前記導線部配列部の回転径方向内側又は外側には、一の前記コイルエンド部と他の前記コイルエンド部とが、回転軸方向又は回転径方向に重ねられた状態で収容されるコイルエンド部収容部(32E)が設けられており、
回転周方向へ間隔をあけて配置された一対の前記導線部と、該一対の導線部を回転軸方向一方側及び他方側においてそれぞれ回転周方向につなぐ一対の前記コイルエンド部と、を有するU相のコイル体(34)と、
回転周方向へ間隔をあけて配置された一対の前記導線部と、該一対の導線部を回転軸方向一方側及び他方側においてそれぞれ回転周方向につなぐ一対の前記コイルエンド部と、を有するV相のコイル体(35)と、
回転周方向へ間隔をあけて配置された一対の前記導線部と、該一対の導線部を回転軸方向一方側及び他方側においてそれぞれ回転周方向につなぐ一対の前記コイルエンド部と、を有するW相のコイル体(36)と、
を備え、
前記U相のコイル体の前記コイルエンド部の一部と、前記V相のコイル体の前記コイルエンド部の一部と、前記W相のコイル体の前記コイルエンド部の一部とが、回転周方向に沿って回転軸方向に階段状に重ねられていモータ。
【請求項5】
回転可能に支持された回転軸(12)と、
導電性の巻線を用いて形成され、回転軸方向へ延びると共に回転周方向へ並んで配置された複数の導線部(34A、35A、36A)と、前記導線部における回転軸方向の端側から回転径方向内側又は外側へ向けて延びる複数のコイルエンド部(34B、35B、36B)と、を有し、前記巻線へ通電がなされることで前記回転軸が回転する電気子(22、62)と、
を備え、
一の前記コイルエンド部と他の前記コイルエンド部とが、回転軸方向又は回転径方向に重なるようにかつ前記導線部の回転径方向内側又は外側において該導線部と回転径方向に重なるように配置されており、
前記電気子は、環状に形成されたコイル支持部材(32)をさらに備えており、
前記コイル支持部材の外周部又は内周部には、回転径方向外側の面又は内側の面に沿って前記複数の導線部が配置される導線部配列部(32A)が設けられ、
前記コイル支持部材における前記導線部配列部の回転径方向内側又は外側には、一の前記コイルエンド部と他の前記コイルエンド部とが、回転軸方向又は回転径方向に重ねられた状態で収容されるコイルエンド部収容部(32E)が設けられており、
前記コイル支持部材には、絶縁性の部材を用いて形成されたインシュレータ(64)が取付けられ、
前記インシュレータには、前記コイルエンド部が回転径方向に対して回転軸方向一方側へ傾斜している状態で該コイルエンド部を支持する傾斜支持面(64F)が設けられていモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、電気子コイルへ通電がなされることによりロータが回転するモータが開示されている。この文献に記載されたモータの電気子コイルは、所定の形状に形成されていると共に周方向へ配列された複数の内部コイル体と、所定の形状に形成されていると共に周方向へ配列された複数の外部コイル体と、を含んで構成されている。また、複数の外部コイル体の軸方向の一部分と、複数の内部コイル体の軸方向の一部分とは、軸方向に重ねられた状態で配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-343952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載されたモータのように、複数の内部コイル体の一部分と複数の外部コイル体の一部分とが軸方向に重ねられる構成では、電気子コイルの軸方向への体格の小型化が妨げられることが考えられる。その結果、モータの軸方向への小型化が妨げられることが考えられる。
【0005】
本開示は上記事実を考慮し、軸方向への小型化が妨げられることを抑制することができるモータを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するモータ(10、60、66)は、回転可能に支持された回転軸(12)と、導電性の巻線を用いて形成され、回転軸方向へ延びると共に回転周方向へ並んで配置された複数の導線部(34A、35A、36A)と、前記導線部における回転軸方向の端側から回転径方向内側又は外側へ向けて延びる複数のコイルエンド部(34B、35B、36B)と、を有し、前記巻線へ通電がなされることで前記回転軸が回転する電気子(22、62)と、を備え、一の前記コイルエンド部と他の前記コイルエンド部とが、回転軸方向又は回転径方向に重なるようにかつ前記導線部の回転径方向内側又は外側において該導線部と回転径方向に重なるように配置されている。
【0007】
この様に構成することで、軸方向への小型化が妨げられることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係るモータを回転軸方向に沿って切断した断面を示す断面図である。
図2】第1実施形態に係るモータの一部を構成するステータを示す斜視図である。
図3】第1実施形態に係るモータの一部を構成するステータコアを示す斜視図である。
図4】第1実施形態に係るモータの製造工程の一部を示す斜視図であり、U相のコイル体が取付けられる工程を示している。
図5】第1実施形態に係るモータの製造工程の一部を示す斜視図であり、V相のコイル体が取付けられる工程を示している。
図6】他の形態のモータを回転軸方向に沿って切断した断面を模式的に示す断面図である。
図7A】他の形態のステータコアを示す斜視図である。
図7B】他の形態のステータコアを示す斜視図である。
図8】第2実施形態に係るモータの一部を構成するステータを回転軸方向に沿って切断した断面を示す断面図である。
図9】第2実施形態に係るモータの製造工程の一部を示す斜視図であり、U相のコイル体が取付けられる工程を示している。
図10】第2実施形態に係るモータの一部を構成するステータコアを示す斜視図である。
図11】他の形態のインシュレータを示す斜視図である。
図12】第3実施形態に係るモータを模式的に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施形態)
図1図5を用いて本開示の第1実施形態に係るモータについて説明する。
【0010】
図1に示されるように、本実施形態のモータ10は、車両用空調装置の一部を構成するファンを回転させるために用いられるアウタロータ型のモータ(ブラシレスモータ)である。このモータ10は、回転軸12を回転させるモータ本体14と、モータ本体14への通電を制御することにより回転軸12の回転を制御する制御部16と、モータ本体14及び制御部16を支持するセンタピース18と、を備えている。なお、図中に適宜示す矢印Z方向、矢印R方向及び矢印C方向は、回転軸12の回転軸方向一方側、回転径方向外側及び回転周方向一方側をそれぞれ示すものとする。また以下、単に軸方向、径方向、周方向を示す場合は、特に断りのない限り、回転軸12の回転軸方向、回転径方向、回転周方向を示すものとする。
【0011】
モータ本体14は、回転軸12と、回転子としてのロータ20と、電気子及び固定子としてのステータ22と、を主要な要素として構成されている。
【0012】
回転軸12は、円柱状の鋼材を用いて形成されている。この回転軸12は、センタピース18に固定された一対のベアリング26によって回転自在に支持されている。
【0013】
ロータ20は、軸方向他方側が開放された有底円筒状に形成されたロータハウジング28にマグネット30が固定されることによって構成されている。ロータハウジング28は、円板状に形成された底壁28Aと、底壁28Aの径方向外側の端から軸方向他方側へ屈曲して延びる円筒状の周壁28Bと、を備えている。底壁28Aの中心部には、回転軸12が挿入される挿入部28Cが設けられている。回転軸12が挿入部28Cに圧入されることで、ロータハウジング28と回転軸12とが一体回転可能に結合されている。
【0014】
マグネット30は、ロータハウジング28の周壁28Bの径方向内側の面に接着剤等を介して固定されている。また、マグネット30は、当該マグネット30の軸方向の中心とステータコア32の径方向外側の部分(後述する導線部配列部32A)の軸方向の中心とが一致した状態で、ステータ22と径方向に対向して配置されている。なお、マグネット30は、保持力Hcが400[kA/m]以上かつ残留磁束密度Brが1.0[T]以上の磁性材料を用いて形成されている。一例として、本実施形態のマグネット30は、NdFe11TiN、NdFe14B、SmFe17、FeNi等の磁性材料を用いて形成されている。
【0015】
図2に示されるように、ステータ22は、環状に形成されたコイル支持部材としてのステータコア32と、ステータコア32の径方向外側の部分に固定された複数のコイル体34、35、36と、を含んで構成されている。
【0016】
図3に示されるように、ステータコア32は、磁性材料である鉄や鋼の板材を用いて所定の形状に形成された複数のコアシートが軸方向に積層されて一体化されること等によって形成されている。ここで、複数のコアシートは、一例としてその一部が互いに凹凸嵌合されることにより一体化されている。なお、ステータコア32は、複数のコアシートが軸方向に積層された構成でなくてもよい。例えば、ステータコア32は、金属の粉体を焼固めた焼結金属により構成されていてもよい。また、ステータコア32は、樹脂材料により構成されていてもよい。
【0017】
具体的には、ステータコア32は、当該ステータコア32の外周部を構成する環状の導線部配列部32Aと、導線部配列部32Aの回転径方向内側に配置されていると共にステータコア32の内周部を構成する環状の係止部32Bと、を備えている。係止部32Bの中心には、センタピース18に形成されたステータコア支持部18Aが挿入される支持孔32Cが形成されている。そして、図1及び図3に示されるように、センタピース18に形成されたステータコア支持部18Aがステータコア32の支持孔32Cに挿入されることで、ステータコア32(ステータ22)がセンタピース18に支持(係止)されるようになっている。
【0018】
図3に示されるように、ステータコア32は、導線部配列部32Aと係止部32Bとを径方向につなぐ接続部32Dを備えている。本実施形態のステータコア32は、導線部配列部32Aの軸方向の略中央部と係止部32Bの軸方向の略中央部とを径方向につなぐ円板状の第1接続部32D1を備えている。また、ステータコア32は、第1接続部32D1の軸方向一方側において導線部配列部32Aと係止部32Bとを径方向につなぐと共に周方向に等間隔に配置された4つの第2接続部32D2を備えている。さらに、ステータコア32は、第1接続部32D1の軸方向一方側かつ4つの第2接続部32D2と周方向に隣合う位置において導線部配列部32Aと係止部32Bとを径方向につなぐ4つの第3接続部32D3を備えている。第3接続部32D3の軸方向一方側の面は、導線部配列部32Aの軸方向一方側の面及び係止部32Bの軸方向一方側の面と面一となっている。また、第2接続部32D2の軸方向一方側の面は、第1接続部32D1の軸方向一方側の面と第3接続部32D3の軸方向一方側の面との軸方向の中央部に位置している。これにより、第1接続部32D1、第2接続部32D2及び第3接続部32D3が、周方向一方側に沿って階段状になっている。
【0019】
なお、図示は省略するが、ステータコア32における第1接続部32D1の軸方向他方側にも、第2接続部32D2及び第3接続部32D3が設けられている。また、ステータコア32における第1接続部32D1の軸方向他方側に設けられた第2接続部32D2及び第3接続部32D3は、ステータコア32における第1接続部32D1の軸方向一方側に設けられた第2接続部32D2及び第3接続部32D3に対して周方向に45°ずれた位置に配置されている。
【0020】
以上説明したステータコア32における導線部配列部32Aと係止部32Bとの間の部分(ステータコア32の軸方向の端面に対して窪んだ部分内の空間)は、後述するコイル体34、35のコイルエンド部34B、35Bの一部が重ねられた状態で収容されるコイルエンド部収容部32Eとなっている。
【0021】
図2に示されるように、コイル体34、35、36は、導電性の素線が束ねられることで形成されていると共に束ねられた素線間の抵抗値が素線そのものの抵抗値よりも大きい素線集合体である導線を用いて構成されている。具体的には、複数の導線がステータコア32の径方向外側の部分を覆う形状に湾曲及び屈曲されること等により形成されている。ここで、本実施形態では、U相、V相、W相をそれぞれ構成する導線を所謂波巻の分布巻きとすることでU相のコイル体34、V相のコイル体35及びW相のコイル体36がそれぞれ形成されている。なお、各々のコイル体34、35、36を構成する導線は、細線や撚り線であってもよい。
【0022】
図4に示されるように、U相のコイル体34は、ステータコア32の導線部配列部32Aの径方向外側の面に沿って軸方向にのびる(当該部分を構成する導線が軸方向にのびる)と共に周方向へ等間隔に配置された複数(本実施形態では8つ)の導線部34Aを備えている。また、U相のコイル体34は、周方向に隣り合う一対の導線部34Aを軸方向一方側において周方向につなぐコイルエンド部34Bを備えている。本実施形態では、周方向に隣り合う一対の導線部34Aの軸方向一方側が、1つ目のコイルエンド部34Bによって周方向につながれている。また、1つ目のコイルエンド部34Bによって周方向につながれた一対の導線部34Aに対して周方向一方側に配置された一対の導線部34Aの軸方向一方側は、2つ目のコイルエンド部34Bによって周方向につながれている。さらに、2つ目のコイルエンド部34Bによって周方向につながれた一対の導線部34Aに対して周方向一方側に配置された一対の導線部34Aの軸方向一方側は、3つ目のコイルエンド部34Bによって周方向につながれている。また、3つ目のコイルエンド部34Bによって周方向につながれた一対の導線部34Aに対して周方向一方側に配置された一対の導線部34Aの軸方向一方側は、4つ目のコイルエンド部34Bによって周方向につながれている。なお、図示は省略するが、各導線部34Aの軸方向他方側も同様に、4つのコイルエンド部34Bによってつながれている。
【0023】
また、U相のコイル体34のコイルエンド部34Bは、導線部34Aの軸方向の端からステータコア32の導線部配列部32Aの軸方向の端面に沿って延びる第1コイルエンド部34B1と、第1コイルエンド部34B1の径方向内側の端からステータコア32の導線部配列部32Aの径方向内側の面に沿って延びる第2コイルエンド部34B2と、第2コイルエンド部34B2における第1コイルエンド部34B1とは反対側の端からステータコア32の第1接続部32D1における軸方向の面に沿って延びる第3コイルエンド部34B3と、を備えている。
【0024】
図5に示されるように、V相のコイル体35は、ステータコア32の導線部配列部32Aの径方向外側の面に沿って軸方向にのびる(当該部分を構成する導線が軸方向にのびる)と共に周方向へ等間隔に配置された複数(本実施形態では8つ)の導線部35Aを備えている。これら8つのV相のコイル体35の導線部35Aは、8つのU相のコイル体34の導線部34Aに対してそれぞれ周方向一方側に配置されている。また、V相のコイル体35は、周方向に隣り合う一対の導線部35Aを軸方向一方側において周方向につなぐコイルエンド部35Bを備えている。本実施形態では、周方向に隣り合う一対の導線部35Aの軸方向一方側が、1つ目のコイルエンド部35Bによって周方向につながれている。また、1つ目のコイルエンド部35Bによって周方向につながれた一対の導線部35Aに対して周方向一方側に配置された一対の導線部35Aの軸方向一方側は、2つ目のコイルエンド部35Bによって周方向につながれている。さらに、2つ目のコイルエンド部35Bによって周方向につながれた一対の導線部35Aに対して周方向一方側に配置された一対の導線部35Aの軸方向一方側は、3つ目のコイルエンド部35Bによって周方向につながれている。また、3つ目のコイルエンド部35Bによって周方向につながれた一対の導線部35Aに対して周方向一方側に配置された一対の導線部35Aの軸方向一方側は、4つ目のコイルエンド部35Bによって周方向につながれている。なお、図示は省略するが、各導線部35Aの軸方向他方側も同様に、4つのコイルエンド部35Bによってつながれている。
【0025】
また、V相のコイル体35のコイルエンド部35Bは、導線部35Aの軸方向の端からステータコア32の導線部配列部32Aの軸方向の端面に沿って延びる第1コイルエンド部35B1と、第1コイルエンド部35B1の径方向内側の端からステータコア32の導線部配列部32Aの径方向内側の面に沿って延びる第2コイルエンド部35B2と、第2コイルエンド部35B2における第1コイルエンド部34B1とは反対側の端からステータコア32の第2接続部32D2における軸方向の面及びU相のコイル体34の第3コイルエンド部34B3に沿って延びる第3コイルエンド部35B3と、を備えている。この第3コイルエンド部35B3は、U相のコイル体34の第3コイルエンド部34B3に対して導線部34Aと対応する分だけ周方向一方側へオフセットした状態で当該第3コイルエンド部34B3と軸方向に重なっている。また、第3コイルエンド部35B3は、U相のコイル体34の第3コイルエンド部34B3と共にステータコア32のコイルエンド部収容部32E内に収容されている。
【0026】
図2に示されるように、W相のコイル体36は、ステータコア32の導線部配列部32Aの径方向外側の面に沿って軸方向にのびる(当該部分を構成する導線が軸方向にのびる)と共に周方向へ等間隔に配置された複数(本実施形態では8つ)の導線部36Aを備えている。これら8つのW相のコイル体36の導線部36Aは、8つのV相のコイル体35の導線部35Aに対してそれぞれ周方向一方側かつ8つのU相のコイル体34の導線部34Aに対してそれぞれ周方向他方側に配置されている。また、W相のコイル体36は、周方向に隣り合う一対の導線部36Aを軸方向一方側において周方向につなぐコイルエンド部36Bを備えている。本実施形態では、周方向に隣り合う一対の導線部36Aの軸方向一方側が、1つ目のコイルエンド部36Bによって周方向につながれている。また、1つ目のコイルエンド部36Bによって周方向につながれた一対の導線部36Aに対して周方向一方側に配置された一対の導線部36Aの軸方向一方側は、2つ目のコイルエンド部36Bによって周方向につながれている。さらに、2つ目のコイルエンド部36Bによって周方向につながれた一対の導線部36Aに対して周方向一方側に配置された一対の導線部36Aの軸方向一方側は、3つ目のコイルエンド部36Bによって周方向につながれている。また、3つ目のコイルエンド部36Bによって周方向につながれた一対の導線部36Aに対して周方向一方側に配置された一対の導線部36Aの軸方向一方側は、4つ目のコイルエンド部36Bによって周方向につながれている。なお、図示は省略するが、各導線部36Aの軸方向他方側も同様に、4つのコイルエンド部36Bによってつながれている。
【0027】
また、W相のコイル体36のコイルエンド部36Bは、導線部36Aの軸方向の端からステータコア32の導線部配列部32Aの軸方向の端面及び第3接続部32D3の軸方向の端面に沿って延びる第1コイルエンド部36B1と、第1コイルエンド部36B1の径方向内側からステータコア32の第3接続部32D3の軸方向の端面及びV相のコイル体35の第3コイルエンド部35B3に沿って延びる第2コイルエンド部36B2と、を備えている。この第2コイルエンド部36B2は、V相のコイル体35の第3コイルエンド部35B3に対して導線部35Aと対応する分だけ周方向一方側へオフセットした状態で当該第3コイルエンド部35B3と軸方向に重なっている。これにより、U相のコイル体34の第3コイルエンド部34B3と、V相のコイル体35の第3コイルエンド部35B3と、W相のコイル体36の第2コイルエンド部36B2とが、周方向に沿って軸方向へ階段状に重なっている。
【0028】
(本実施形態の作用並びに効果)
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0029】
図1図5に示されるように、本実施形態のモータ10では、ステータ22の各コイル体34、35、36への通電が制御部16によって制御されると、各コイル体34、35、36が磁束(磁界)を発する。これにより、ロータ20が回転軸12と共に回転する。
【0030】
ここで、本実施形態では、図2及び図5に示されるように、V相のコイル体35の第3コイルエンド部35B3が、U相のコイル体34の第3コイルエンド部34B3と共に軸方向に重ねられた状態でステータコア32のコイルエンド部収容部32E内に収容されている。これにより、V相のコイル体35の第3コイルエンド部35B3及びU相のコイル体34の第3コイルエンド部34B3等が、各々のコイル体34、35、36の導線部34A、35A、36Aの径方向内側において当該導線部34A、35A、36Aと径方向に重なった状態となる。これにより、本実施形態のステータ22では、ステータコア32の軸方向の端面上においてコイルエンド部が複数層となるように軸方向へ重ねた構成と比べて、ステータ22の軸方向への体格の大型化を抑制することができる。これにより、当該ステータ22を含んで構成されたモータ10の軸方向への体格の大型化を抑制することができる。また、コイルエンド部収容部32Eをステータコア32に形成することにより、ステータコア32の軽量化を図ることができる。その結果、モータ10の軽量化を図ることができる。
【0031】
なお、図6に示されるように、V相のコイル体35のコイルエンド部35Bの一部が、U相のコイル体34のコイルエンド部34Bの一部と共に径方向に重ねられた状態でステータコア32のコイルエンド部収容部32E内に収容されている構成とすることで、モータ60の軸方向への体格の大型化を抑制してもよい。
【0032】
また、本実施形態では、図2及び図3に示されるように、ステータコア32の導線部配列部32Aと係止部32Bとが、前述の構成の接続部32D(第1接続部32D1、第2接続部32D2及び第3接続部32D3)を介してつながれている。これにより、ステータコア32の一部品化が図られている。これにより、ステータ22を構成する部品の点数が増加することが抑制され、その結果、モータ10を構成する部品の点数が増加することを抑制することができる。また、接続部32D(第1接続部32D1、第2接続部32D2及び第3接続部32D3)の断面形状を適宜設定することにより、ステータコア32の強度及び剛性を所望の強度及び剛性とすることができる。なお、ステータ22に要求される強度や剛性によっては、図7Aに示されるように第2接続部32D2及び第3接続部32D3と対応する部分を有していない構成や、図7Bに示されるように第1接続部32D1及び第2接続部32D2と対応する部分を有していない構成としてもよい。
【0033】
また、図2及び図3に示されるように、本実施形態では、導線部配列部32Aと係止部32Bをつなぐ接続部32D(第1接続部32D1、第2接続部32D2及び第3接続部32D3)が前述のように階段状に構成されている。これにより、U相のコイル体34の第3コイルエンド部34B3、V相のコイル体35の第3コイルエンド部35B3及びW相のコイル体36の第2コイルエンド部36B2をそれぞれステータコア32の第1接続部32D1、第2接続部32D2及び第3接続部32D3に沿わせて階段状に重ねるようにして、各々のコイル体34、35、36をステータコア32に取付ける、という製造方法を実現することができる。これにより、各々のコイル体34、35、36をステータコア32に取付ける際における各々のコイル体34、35、36のステータコア32に対する位置決めを容易にすることができる。
【0034】
また、U相のコイル体34の第3コイルエンド部34B3、V相のコイル体35の第3コイルエンド部35B3及びW相のコイル体36の第2コイルエンド部36B2をそれぞれステータコア32の第1接続部32D1、第2接続部32D2及び第3接続部32D3に沿わせて配置させる構成とすることで、各々のコイル体34、35、36からステータコア32への放熱経路を確保することができる。
【0035】
なお、本実施形態では、U相、V相、W相をそれぞれ構成する導線を所謂波巻の分布巻きとすることでU相のコイル体34、V相のコイル体35及びW相のコイル体36をそれぞれ形成した例について説明したが、本発明はこれに限定されない。例えば、U相、V相、W相をそれぞれ構成する導線を集中巻きとすることでU相のコイル体、V相のコイル体及びW相のコイル体をそれぞれ形成してもよい。
【0036】
(第2実施形態)
次に、図8図11を用いて本開示の第2実施形態に係るモータの一部を構成するステータ62について説明する。なお、第2実施形態に係るモータの一部を構成するステータ62において前述の第1実施形態に係るモータ10の一部を構成するステータ22と対応する部材及び部分には、ステータ22と対応する部材及び部分と同じ符号を付してその説明を省略することがある。
【0037】
図8及び図9に示されるように、第2実施形態に係るモータの一部を構成するステータ62は、各々のコイル体34、35、36とステータコア32との間に樹脂材料を用いて形成された一対のインシュレータ64が設けられていることに特徴がある。
【0038】
ここで、図10に示されるように、本実施形態のステータ62のステータコア32は、前述の第1実施形態に係るモータ10の一部を構成するステータ22のステータコア32に対して第1接続部32D1及び第2接続部32D2と対応する部分を有していない構成となっている。
【0039】
図9に示されるように、一対のインシュレータ64は、ステータコア32における軸方向一方側及び他方側にそれぞれ取付けられている。このインシュレータ64は、ステータコア32の導線部配列部32Aの軸方向の端面に沿って延びる円板状の第1被腹部64Aと、ステータコア32の係止部32Bの軸方向の端面に沿って延びる円板状の第2被腹部64Bと、ステータコア32の係止部32Bの径方向外側の面に沿って延びる第3被腹部64Cと、を備えている。また、インシュレータ64は、ステータコア32の第3接続部32D3における軸方向の端面に沿って延びると共に第1被腹部64Aと第2被腹部64Bとを径方向につなぐ第4被腹部64Dを備えている。さらに、インシュレータ64は、ステータコア32の第3接続部32D3における周方向の両端面に沿って延びる第5被腹部64Eを備えている。さらに、インシュレータ64は、第1被腹部64Aの径方向内側の端と、第3被腹部64Cにおける第2被腹部64Bとは反対側の端とを径方向につなぐ傾斜支持面としての傾斜壁部64Fを備えている。この傾斜壁部64Fは、径方向内側へ向かうにつれてステータコア32の軸方向の中央部側へ向けて傾斜している。なお、傾斜壁部64Fの周方向の両端は、第5被腹部64Eにおける第4被腹部64Dとは反対側の端とつながっている
【0040】
以上説明したインシュレータ64を備えた構成では、U相のコイル体34のコイルエンド部34B及びV相のコイル体35のコイルエンド部35Bをインシュレータ64の傾斜壁部64Fに沿わせる(這わせるように)変形させながら、U相のコイル体34及びV相のコイル体35をステータコア32に取付けることができる。また、この構成では、インシュレータ64の傾斜壁部64FとU相のコイル体34のコイルエンド部34B及びV相のコイル体35のコイルエンド部35Bとを接着することにより、U相のコイル体34等をステータコア32にインシュレータ64を介して強固に保持させることができる。また、図11に示されるように、インシュレータ64の第1被腹部64Aに各々のコイル体34、35、36を形成する導線が嵌まり込む複数の溝64Gを周方向に沿って形成することで、各々のコイル体34、35、36のステータコア32(インシュレータ64)に対する周方向へのズレ動きを効果的に抑制することができる。
【0041】
なお、以上説明した第1実施形態及び第2実施形態では、ステータコア32のまわりに各々のコイル体34、35、36を形成した例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、ステータコア32を有していない構成(いわゆるコアレスの構成)としてもよい。
【0042】
また、以上説明した第1実施形態及び第2実施形態では、アウタロータ型のブラシレスモータに本開示の要部の構成を適用した例について説明したが、本開示はこれに限定されない。例えば、図12に示されるように、インナロータ型のブラシレスのモータ66に本開示の要部の構成を適用してもよい。また、本開示で説明したステータ22の構成を図12に示されたロータ20に適用してもよい。さらに、本開示の構成は、3相(U相、V相、W相)のモータだけではなく、例えば、2相や6相のモータにも適用することができる。
【0043】
以上、本開示の一実施形態について説明したが、本開示は、上記に限定されるものでなく、その主旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
10 モータ、12 回転軸、18 センタピース(固定子支持部材)、22 ステータ(電気子、固定子)、32 ステータコア、32A 導線部配列部、32B 係止部、32D 接続部、32E コイルエンド部収容部、34 コイル体、34A 導線部、34B コイルエンド部、35 コイル体、35A 導線部、35B コイルエンド部、36 コイル体、36A 導線部、36B コイルエンド部、60 モータ、62 ステータ(電気子、固定子)、64 インシュレータ、64F 傾斜壁部(傾斜支持面)、66 モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11
図12