(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】支援装置、支援方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
G05B23/02 301W
G05B23/02 301N
(21)【出願番号】P 2020044680
(22)【出願日】2020-03-13
【審査請求日】2023-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大西 貴子
【審査官】田中 友章
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-211377(JP,A)
【文献】特開2010-204887(JP,A)
【文献】特開2019-197461(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の装置が連動して作業を行う設備の保全を支援する支援装置であって、
前記1以上の装置から、前記作業を構成する工程毎に記録されたログデータの履歴と、前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データの履歴と、を取得することと、
前記ログデータの履歴を解析し、前記作業を構成する工程毎の前記1以上の装置に関する稼働状態を示すリストを作成することと、
前記リストに基づいて、前記作業を構成する工程毎の前記1以上の装置の稼働状態の所定期間内における推移を、前記作業を構成する工程の種別とともにグラフ化した第1チャートを作成することと、
前記検出データの履歴に基づいて、前記第1チャートと同一期間内で推移する前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データを個別にグラフ化した第2チャートを作成することと、
作成された前記第1チャートと前記第2チャートを、表示部の同一画面内に上下に並列させて表示することと、
前記表示部に表示された前記第1チャートへのカーソルを用いた操作指示を受け付けることと、
前記第1チャートの前記カーソルの表示位置に対応付けられた工程の種別と時刻情報とを取得することと、
取得された前記工程の種別と時刻情報とに基づいて、前記1以上の装置から取得された前記ログデータの履歴の中から前記カーソルの表示位置が示す時刻情報に該当するログデータのレコードを抽出して表示すること、
を実行する制御部を備えることを特徴とする支援装置。
【請求項2】
1以上の装置が連動して作業を行う設備の保全を支援する支援装置であって、
前記1以上の装置から、前記作業を構成する工程毎に記録されたログデータの履歴と、前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データの履歴と、を取得することと、
前記ログデータの履歴を解析し、前記作業を構成する工程毎の前記1以上の装置に関す
る稼働状態を示すリストを作成することと、
前記リストに基づいて、前記作業を構成する工程毎の前記1以上の装置の稼働状態の所定期間内における推移を、前記作業を構成する工程の種別とともにグラフ化した第1チャートを作成することと、
前記検出データの履歴に基づいて、前記第1チャートと同一期間内で推移する前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データを個別にグラフ化した第2チャートを作成することと、
作成された前記第1チャートと前記第2チャートを、表示部の同一画面内に上下に並列させて表示することと、
前記表示部に表示された前記第1チャートへのカーソルを用いた操作指示を受け付けることと、
前記第1チャートの前記カーソルの表示位置に対応付けられた工程の種別と時刻情報とを取得することと、
取得された前記工程の種別に基づいて、前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データを選別する
こと、
を実行する制御部を備えることを特徴とする支援装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記選別された装置内の動作状態を示す1以上の検出データを取得するためのデバイス情報を、前記第1チャートと前記第2チャートが表示された同一画面内に表示する、ことをさらに実行する請求項
2に記載の支援装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記選別された装置内の動作状態を示す1以上の検出データを取得するためのデバイス情報の表示を契機として、前記第2チャートに表示させる表示対象を前記選別された装置内の動作状態を示す1以上の検出データに切替える、ことをさらに実行する請求項
3に記載の支援装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1チャートおよび前記第2チャートの時間軸上において、表示位置の時刻が共通するマーカを表示させる、ことをさらに実行する請求項1から
4の何れか一項に記載の支援装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第1チャートおよび前記第2チャートが表示される期間を連動させて、拡大表示または縮小表示を行う、ことをさらに実行する請求項1から
5の何れか一項に記載の支援装置。
【請求項7】
1以上の装置が連動して作業を行う設備の保全を支援する支援装置であって、
前記1以上の装置から、前記作業を構成する工程毎に記録されたログデータの履歴と、前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データの履歴と、を取得することと、
前記ログデータの履歴を解析し、前記作業を構成する工程毎の前記1以上の装置に関する稼働状態を示すリストを作成することと、
前記リストに基づいて、前記作業を構成する工程毎の前記1以上の装置の稼働状態の所定期間内における推移を、前記作業を構成する工程の種別とともにグラフ化した第1チャートを作成することと、
前記検出データの履歴に基づいて、前記第1チャートと同一期間内で推移する前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データを個別にグラフ化した第2チャートを作成することと、
作成された前記第1チャートと前記第2チャートを、表示部の同一画面内に上下に並列させて表示することと、
前記1以上の装置に記録された前記ログデータの履歴、および、前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データの履歴を圧縮して記憶部に保持するとともに、前記1以上の装置に記録された圧縮前の前記ログデータの履歴、および、前記検出データの履歴を削除する
こと、
を実行する制御部を備えることを特徴とする支援装置。
【請求項8】
1以上の装置が連動して作業を行う設備の保全を支援する支援方法であって、
前記1以上の装置から、前記作業を構成する工程毎に記録されたログデータの履歴と、前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データの履歴と、を取得することと、
前記ログデータの履歴を解析し、前記作業を構成する工程毎の前記1以上の装置に関する稼働状態を示すリストを作成することと、
前記リストに基づいて、前記作業を構成する工程毎の前記1以上の装置の稼働状態の所定期間内における推移を、前記作業を構成する工程の種別とともにグラフ化した第1チャートを作成することと、
前記検出データの履歴に基づいて、前記第1チャートと同一期間内で推移する前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データを個別にグラフ化した第2チャートを作成することと、
作成された前記第1チャートと前記第2チャートを、表示部の同一画面内に上下に並列させて表示することと、
前記表示部に表示された前記第1チャートへのカーソルを用いた操作指示を受け付けることと、
前記第1チャートの前記カーソルの表示位置に対応付けられた工程の種別と時刻情報とを取得することと、
取得された前記工程の種別と時刻情報とに基づいて、前記1以上の装置から取得された前記ログデータの履歴の中から前記カーソルの表示位置が示す時刻情報に該当するログデータのレコードを抽出して表示すること、または、取得された前記工程の種別に基づいて、前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データを選別すること、
を含むことを特徴とする支援方法。
【請求項9】
1以上の装置が連動して作業を行う設備の保全を支援する支援方法であって、
前記1以上の装置から、前記作業を構成する工程毎に記録されたログデータの履歴と、前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データの履歴と、を取得することと、
前記ログデータの履歴を解析し、前記作業を構成する工程毎の前記1以上の装置に関する稼働状態を示すリストを作成することと、
前記リストに基づいて、前記作業を構成する工程毎の前記1以上の装置の稼働状態の所定期間内における推移を、前記作業を構成する工程の種別とともにグラフ化した第1チャートを作成することと、
前記検出データの履歴に基づいて、前記第1チャートと同一期間内で推移する前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データを個別にグラフ化した第2チャートを作成することと、
作成された前記第1チャートと前記第2チャートを、表示部の同一画面内に上下に並列させて表示することと、
前記表示部に表示された前記第1チャートへのカーソルを用いた操作指示を受け付けることと、
前記第1チャートの前記カーソルの表示位置に対応付けられた工程の種別と時刻情報と
を取得することと、
前記1以上の装置に記録された前記ログデータの履歴、および、前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データの履歴を圧縮して記憶部に保持するとともに、前記1以上の装置に記録された圧縮前の前記ログデータの履歴、および、前記検出データの履歴を削除すること、
を含むことを特徴とする支援方法。
【請求項10】
コンピュータを請求項1から7の何れか一項に記載の前記支援装置
として機能させるためのプログラム
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業用途の保全業務に関する障害原因の分析を支援する支援装置、支援方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
産業用途の装置(或いは設備)の保全業務に関し、装置の動作の停止、性能の低下などの障害が生じた場合には、その原因の分析が行われる。そして、このような障害原因の分析は、オペレーターが、ソフトウェアの動作記録(ログ)、装置の機械部品の稼働状態(各種センサ計測値、モーター回転数など)、制御装置(コンピュータ)の稼働状態(CPU使用率、メモリ使用量、ネットワーク送受信量、基板温度など)、といった多様な情報を相互参照しながら、分析を行うのが一般的である。しかしながら、このように多様な情報を突き合わせて分析を行う方法によると、オペレーターの負担が大きい、分析結果が個人の経験・知識に大きく左右される、といった課題が生じていた。
【0003】
これに対して、例えば、アラームの発生やユーザーの操作等のイベント履歴が示されたイベント一覧から、ユーザーがイベントを選択すると、当該イベントが発生した時刻の前後の時間に発生した、イベント及び当該イベントに関連付けられている連続データをグラフ表示することによって、ユーザーによるイベントの解析を補助する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述の特許文献1に開示の技術においては、予めイベントと対応付けられたデータ(温度計測値、流量計測値等)に限定してイベント及び当該イベントに関連付けられている連続データがグラフ表示される。このため、例えば、処理速度の低下といった明確なイベントに関連付けされない動作状態については適用することが困難な場合があった。
【0006】
本発明は、上記のような実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、1以上の装置が連動して作業が行われる設備の保全業務に関し、装置の稼働状況に関連する多様な情報の相互参照や絞り込みを効率的に行うことが可能な支援技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するための本発明の一側面に係る支援装置は、
1以上の装置が連動して作業を行う設備の保全を支援する支援装置であって、
前記1以上の装置から、前記作業を構成する工程毎に記録されたログデータの履歴と、前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データの履歴と、を取得することと、
前記ログデータの履歴を解析し、前記作業を構成する工程毎の前記1以上の装置に関する稼働状態を示すリストを作成することと、
前記リストに基づいて、前記作業を構成する工程毎の前記1以上の装置の稼働状態の所定期間内における推移を、前記作業を構成する工程の種別とともにグラフ化した第1チャートを作成することと、
前記検出データの履歴に基づいて、前記第1チャートと同一期間内で推移する前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データを個別にグラフ化した第2チャートを作成することと、
作成された前記第1チャートと前記第2チャートを、表示部の同一画面内に上下に並列させて表示することと、
を実行する制御部を備えることを特徴とする。
【0008】
これにより、1以上の装置20が連動して実行される作業の各工程における各装置の稼働状況の推移をログチャートとしてグラフ化して可視化でき、各工程に対応する装置内の各種デバイスによって検出されたデータの増加減する推移をデバイスチャートとしてグラフ化して可視化できる。そして、ログチャートおよびデバイスチャートは、共通の時間軸を有し、同一画面内で上下に並列させて表示できる。本支援装置においては、1以上の装置20が連動して実行される作業の各工程における装置毎の稼働状態と作業量(処理量、制御量、負荷量)との相対的な関係を、同一期間内で観測された時系列上の推移として表すことが可能になる。本実施例によれば、1以上の装置が連動して作業が行われる設備の保全業務に関し、装置の稼働状況に関連する多様な情報の相互参照や絞り込みを効率的に行うことが可能な支援技術が提供できる。
【0009】
また、本発明の一側面においては、前記制御部は、前記表示部に表示された前記第1チャートへのカーソルを用いた操作指示を受け付けることと、前記第1チャートの前記カーソルの表示位置に対応付けられた工程の種別と時刻情報とを取得することと、取得された前記工程の種別と時刻情報とに基づいて、前記1以上の装置から取得された前記ログデータの履歴の中から前記カーソルの表示位置が示す時刻情報に該当するログデータのレコードを抽出して表示するようにしてもよい。これにより、操作者が意図するプロセスおよび時刻における、装置内の制御に関するログデータをテキスト形式で表示することが可能になる。例えば、処理速度の低下や通信量の増大といった、障害には至らない程度の動作状態について、ピンポイントでログデータを特定することが可能になり適宜な原因分析を行うことが可能になる。
【0010】
また、本発明の一側面においては、前記制御部は、前記表示部に表示された前記第1チャートへのカーソルを用いた操作指示を受け付けることと、前記第1チャートの前記カーソルの表示位置に対応付けられた工程の種別と時刻情報とを取得することと、取得された前記工程の種別に基づいて、前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データを選別するようにしてもよい。これにより、工程の種別に関連する各種のデバイスが自動的に選定されるため、統一的な手法に基づく分析が可能になる。分析結果が個人の経験・知識に大きく左右されるといった属人化が抑制できる。
【0011】
また、本発明の一側面においては、前記制御部は、前記選別された装置内の動作状態を示す1以上の検出データを取得するためのデバイス情報を、前記第1チャートと前記第2チャートが表示された同一画面内に表示するようにしてもよい。これにより、原因分析に係る操作者は、ログチャートとデバイスチャートが表示された同一画面内に表示されたデバイス情報の中から、動作状態を示す物理量を意図的に選別することが可能になる。
【0012】
また、本発明の一側面においては、前記制御部は、前記選別された装置内の動作状態を示す1以上の検出データを取得するためのデバイス情報の表示を契機として、前記第2チャートに表示させる表示対象を前記選別された装置内の動作状態を示す1以上の検出データに切替えるようにしてもよい。これにより、原因分析に係る操作者は、装置の稼働状況に関連する多様な情報の相互参照や絞り込みを効率的に行うことが可能になる。
【0013】
また、本発明の一側面においては、前記制御部は、前記第1チャートおよび前記第2チ
ャートの時間軸上において、表示位置の時刻が共通するマーカを表示させるようにしてもよい。ログチャートとデバイスチャートの共通する時間軸上において、マーカ位置を目安として1以上の装置についての前後する時間域における動作解析が可能になる。
【0014】
また、本発明の一側面においては、前記制御部は、前記第1チャートおよび前記第2チャートが表示される期間を連動させて、拡大表示または縮小表示を行うようにしてもよい。これにより、相互のチャートが時間軸上で連動するため、相互参照や絞り込みが効率的に行える。
【0015】
また、本発明の一側面においては、前記制御部は、前記1以上の装置に記録された前記ログデータの履歴、および、前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データの履歴を圧縮して記憶部に保持するとともに、前記1以上の装置に記録された圧縮前の前記ログデータの履歴、および、前記検出データの履歴を削除するようにしてもよい。これにより、自装置の備える記憶部に格納された圧縮データに基づいて、ログチャートおよびデバイスチャートを表示することが可能になる。ネットワークN1を通じて接続された1以上の装置20から取得する場合と比較して、相対的に処理速度が向上できる。また、ログデータおよびデバイスデータを記録するメモリの空き容量を増やすことができるため、各装置においては長期間に亘るログデータおよびデバイスデータの蓄積が可能になる。
【0016】
また、本発明の他の側面は、
1以上の装置が連動して作業を行う設備の保全を支援する支援方法であって、
前記1以上の装置から、前記作業を構成する工程毎に記録されたログデータの履歴と、前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データの履歴と、を取得することと、
前記ログデータの履歴を解析し、前記作業を構成する工程毎の前記1以上の装置に関する稼働状態を示すリストを作成することと、
前記リストに基づいて、前記作業を構成する工程毎の前記1以上の装置の稼働状態の所定期間内における推移を、前記作業を構成する工程の種別とともにグラフ化した第1チャートを作成することと、
前記検出データの履歴に基づいて、前記第1チャートと同一期間内で推移する前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の物理量を個別にグラフ化した第2チャートを作成することと、
作成された前記第1チャートと前記第2チャートを、表示部の同一画面内に上下に並列させて表示することと、
を含むことを特徴とする。
【0017】
このような形態であっても、1以上の装置20が連動して実行される作業の各工程における各装置の稼働状況の推移をログチャートとしてグラフ化して可視化でき、各工程に対応する装置内の各種デバイスによって検出されたデータの増加減する推移をデバイスチャートとしてグラフ化して可視化できる。そして、ログチャートおよびデバイスチャートは、共通の時間軸を有し、同一画面内で上下に並列させて表示できる。本支援装置においては、1以上の装置20が連動して実行される作業の各工程における装置毎の稼働状態と作業量(処理量、制御量、負荷量)との相対的な関係を、同一期間内で観測された時系列上の推移として表すことが可能になる。本実施例によれば、1以上の装置が連動して作業が行われる設備の保全業務に関し、装置の稼働状況に関連する多様な情報の相互参照や絞り込みを効率的に行うことが可能な支援技術が提供できる。
【0018】
また、本発明の他の側面は、
1以上の装置が連動して作業を行う設備の保全を支援する支援装置に実行させるプログ
ラムであって、
前記1以上の装置から、前記作業を構成する工程毎に記録されたログデータの履歴と、前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データの履歴と、を取得することと、
前記ログデータの履歴を解析し、前記作業を構成する工程毎の前記1以上の装置に関する稼働状態を示すリストを作成することと、
前記リストに基づいて、前記作業を構成する工程毎の前記1以上の装置の稼働状態の所定期間内における推移を、前記作業を構成する工程の種別とともにグラフ化した第1チャートを作成することと、
前記検出データの履歴に基づいて、前記第1チャートと同一期間内で推移する前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データを個別にグラフ化した第2チャートを作成することと、
作成された前記第1チャートと前記第2チャートを、表示部の同一画面内に上下に並列させて表示することと、
を実行させるプログラムである。
【0019】
このような形態であっても、1以上の装置20が連動して実行される作業の各工程における各装置の稼働状況の推移をログチャートとしてグラフ化して可視化でき、各工程に対応する装置内の各種デバイスによって検出されたデータの増加減する推移をデバイスチャートとしてグラフ化して可視化できる。そして、ログチャートおよびデバイスチャートは、共通の時間軸を有し、同一画面内で上下に並列させて表示できる。本支援装置においては、1以上の装置20が連動して実行される作業の各工程における装置毎の稼働状態と作業量(処理量、制御量、負荷量)との相対的な関係を、同一期間内で観測された時系列上の推移として表すことが可能になる。本実施例によれば、1以上の装置が連動して作業が行われる設備の保全業務に関し、装置の稼働状況に関連する多様な情報の相互参照や絞り込みを効率的に行うことが可能な支援技術が提供できる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、1以上の装置が連動して作業が行われる設備の保全業務に関し、装置の稼働状況に関連する多様な情報の相互参照や絞り込みを効率的に行うことが可能な支援技術が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例1に係る支援システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施例1におけるログチャートおよびデバイスチャートの処理機能を説明する図である。
【
図3】本発明の実施例1における操作入力に伴う画面処理を説明する図である。
【
図4】本発明の実施例1における表示画面の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施例1における1以上の装置リストを表示する表示画面の一例である。
【
図6】本発明の実施例1における支援装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図7】本発明の実施例1における支援装置のより詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】本発明の実施例1におけるログテキスト表示の処理に関するフローの一例を示す図である。
【
図9】本発明の実施例1におけるデバイス選択機能の処理に関するフローの一例を示す図である。
【
図10】本発明の実施例1におけるデータ圧縮・削減機能の処理に関するフローの一例を示す図である。
【
図11】本発明の実施例1に係る各種チャートの表示処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
〔適用例〕
以下、本発明の適用例について、図面を参照しつつ説明する。
図1は、本発明の適用例に係る支援装置20を含む支援システム1の機略構成を示すブロック図である。
図1には、ネットワークN1を通じて本支援装置と接続される、産業用途の生産設備等を構成する1以上の装置20が例示される。装置20は、例えば、生産設備等において実行される一連の作業に関する工程を制御・処理する機器である。1以上の装置20は連動して実行される各工程における制御・処理を司る。装置20は、自身の関与する作業工程を制御・処理するための各種のデバイス(21a~21n)と、ログデータが格納される記憶装置22(ログデータ22))と、デバイスデータが格納される記憶装置23(デバイスデータ23)とを含み構成される。
【0023】
本適用例に係る支援装置20は、ネットワークN1に接続された1以上の装置20について、動作停止や性能低下といった事象が生じた際の原因分析を支援するコンピュータである。
図2等に示すように、本適用例に関する支援装置10は、ネットワークN1を通じて接続された1以上の装置20からログデータ22およびデバイスデータ23に蓄積された履歴情報を装置毎に取得する。そして、本適用例における支援装置10は、取得された装置毎のログデータ22に蓄積された履歴情報から、1以上の装置20が連動して実行される作業の各工程における稼働状況の推移をグラフ化し、「ログチャート」として可視化する。ログチャートには、作業の各工程における装置毎の稼働状況の流れ(動作フロー)が横軸を時間軸として表示される。また、1以上の装置20が連動して実行される作業内の各工程、例えば、「搬入」、「撮像」、「検査」、「結果出力」、「搬出」といったプロセスが実行されるシーケンス順に縦軸に表示される。各工程における装置20の稼働状況は、時間軸方向に延伸する横棒として表示される。
【0024】
また、本適用例における支援装置10は、装置毎に取得されたデバイスデータB2に基づいて、連動して作業を実行する工程毎の各装置について各種デバイスによって検出された物理量の、時間軸に沿って変動する推移状況をグラフ化し、「デバイスチャート」として可視化する。本適用例においては、ログチャートB4aおよびデバイスチャートB4bに示すように、同一期間内で推移する時間軸を揃えて可視化される。そして、本適用例においては、
図2に示すように、ログチャートB4aおよびデバイスチャートB4bは、同一画面内の領域に、上下に並列されて表示される。
【0025】
本適用例に係る支援装置10では、ログチャートB4aによって1以上の装置20が連動する作業の全体的な工程進捗に関する稼働状況のシーケンスを一望できるとともに、各工程における装置状態の時間的な変化の推移を絞り込むことが可能になる。この結果、本支援装置においては、1以上の装置20が連動して実行される作業の各工程における装置毎の稼働状態と作業量(処理量、制御量、負荷量)との相対的な関係を、同一期間内で観測された時系列上の推移として表すことが可能になる。1以上の装置が連動して作業が行われる設備の保全業務に関し、装置の稼働状況に関連する多様な情報の相互参照や絞り込みを効率的に行うことが可能な支援技術が提供できる。
【0026】
〔実施例1〕
以下では、本発明の実施例に係る支援装置について、図面を用いて、より詳細に説明する。
【0027】
<システム構成>
図1は、本発明の実施例に係る支援システム1の機略構成を示すブロック図である。本実施例における支援システム1は、産業用途の生産設備等を構成する装置の保全業務を支援するためのシステムである。
図1においては、生産設備等を構成する1以上の装置(20a~20n)とネットワークN1を通じて相互に接続された支援装置10を含むシステム形態が例示される。ネットワークN1には、保全対象の生産設備等が設けられた構内におけるLAN(Local Area Network)等の有線や無線で接続される各種のネットワークが含まれる。以下、1以上の装置(20a~20n)を総称して「装置20」ともいう。なお、ネットワークN1には、複数の支援装置10が接続し得る。
【0028】
装置20は、生産設備等において実行される一連の作業に関する工程を制御・処理する機器である。例えば、工業製品の検査作業を説明例にすれば、当該作業には、製品を搬入する工程、製品のX線画像や光学画像等の検査画像の撮像工程、撮像された画像に基づいて検査を実行する工程、検査後の製品を搬出する工程等の複数の工程が含まれる。そして、検査対象の製品を搬入する工程では、例えば、当該製品を搭載したワークの移動制御を司る機器として装置20aが例示される。同様にして、製品のX線検査を行うための画像を撮像し当該画像に基づく検査を実行する工程ではX線検査機が装置20bとして、製品の光学画像を撮像し当該画像に基づく検査を実行する工程では光学検査機が装置20cとして例示される。X線検査機や光学検査機に接続され画像解析を行うサーバ等のコンピュータは台数に応じて装置20dから装置20n-1として例示される。そして、検査後の製品を搬出するためのワークの移動制御を司る機器として装置20nが例示される。なお、1つの工程を単一の装置20、あるいは、複数の装置20が連動して制御・処理してもよく、また、複数の工程が単一の装置20によって制御・処理されてもよい。
【0029】
装置20は、自身の関与する作業工程を制御・処理するための各種のデバイス(21a~21n)と、ログデータが格納される記憶装置22(ログデータ22))と、デバイスデータが格納される記憶装置23(デバイスデータ23)とを含み構成される。例えば、上述した説明例の、製品を搬入する装置20aにおいては、ワークの位置を検出するための1以上のワーク検知用センサ、コンベアを移動させるモータの回転量、トルク量等を検出するための1以上のセンサ、検査作業の前工程におけるコンベアのレディステータスを検出するリレー等が各種のデバイス(21a~21n)として例示される。また、画像解析を行うサーバ等においてはメモリ使用量を検出するデバイス、CPU使用量を検出する検出デバイス、ディスク残量を検出するデバイス、マザーボード温度を検出する温度センサ、サーバ内温度を検出する温度センサ等が各種のデバイス(21a~21n)として例示される。以下では、各種のデバイス(21aから21n)を総称して「デバイス21」ともいう。各種のデバイス21からは、当該デバイスによって検出された物理量を示す信号の履歴が当該デバイスを識別する識別番号に関連付けされたデバイスデータとして当該データが格納される記憶装置23に蓄積される。また、装置20は、日付とミリ秒までの時刻情報、装置内で実行された処理ID、コマンド実行文等が含まれるログの履歴を自身の稼働状態を示す情報であるログデータとして記憶装置22に蓄積する。
【0030】
本実施例に係る支援装置10は、ネットワークN1に接続された1以上の装置20について、動作停止や性能低下といった事象が生じた際の原因分析を支援するコンピュータである。本実施例に関する支援装置10は、ネットワークN1を通じて接続された1以上の装置20からログデータ22およびデバイスデータ23に蓄積された履歴情報を装置毎に取得する。ログデータ22およびデバイスデータ23に蓄積された履歴情報は、各装置を識別する識別情報(例えば、装置ID等)に関連付けされて取得される。そして、本実施例の支援装置10は、取得された装置毎のログデータ22に蓄積された履歴情報から、1以上の装置20が連動して実行される作業の各工程における稼働状況の推移をグラフ化し、「ログチャート」として可視化する。ログチャートには、作業の各工程における装置毎の稼働状況の流れ(動作フロー)が横軸を時間軸として表示される。
【0031】
また、本実施例に係る支援装置10は、装置毎のデバイスデータ23に蓄積された履歴情報から、1以上の装置20が連動して実行される作業における工程毎の、各種デバイスによって検出された物理量が増加減する変動の推移をグラフ化し、「デバイスチャート」として可視化する。デバイスチャートには、横軸を時間軸として、各種デバイスによって検出された物理量に対する装置毎の制御量の流れ、処理量の流れが表示される。
【0032】
本実施例に係る支援装置10は、グラフ化されたログチャートとデバイスチャートを表示デバイス270の同一画面上に上下に並列させて表示させる。上下に並列されるログチャートとデバイスチャートは共通する時間軸上に表示される。共通する時間軸上で表示されたログチャートおよびデバイスチャートにより、各工程における装置毎の作業進捗と作業量(負荷量)との相対的な関係を、同一期間内の共通する時間ステップで観測された状況の推移として表すことが可能になる。
【0033】
図2は、本実施例におけるログチャートおよびデバイスチャートの処理機能を説明する図である。本実施例に係る支援装置10は、ネットワークN1を通じて接続された1以上の装置20から、ログデータ22に蓄積されたログファイルB1を取得する。ログファイルB1は、日付とミリ秒までの時刻情報、装置内で実行された処理ID、コマンド実行文等が含まれるログの履歴がテキスト形式で表されたテキストファイルである。ログファイルB1においては、時刻情報毎のログがレコード行として格納される。
【0034】
本実施例に係る支援装置10は、装置毎に取得されたログファイルB1を解析し、1以上の装置20が連動して実行される作業の各工程における稼働状況を表すプロセスリストB3を作成する。プロセスリストB3には、装置毎の識別情報(装置ID)に関連付けされた、当該装置における処理の開始時刻、終了時刻、1以上の装置20が連動して実行される作業の各工程において当該装置の属する工程の種別を示す情報がレコードとして含まれる。本実施例では、1以上の装置20が連動して実行される作業の各工程を「プロセス」とも称して説明する。但し、既に説明したように、1つの工程を単一の装置20、あるいは、複数の装置20が連動して制御・処理することも、複数の工程が単一の装置20によって制御・処理することもあり得る。したがって、本実施例における「プロセス」は、必ずしも単一の装置20が実行する工程を表すのではなく、単一の装置20の中で実行される複数の工程を含む概念である。
図2のプロセスリストB3では、例えば、装置ID「3」に関連付けされたレコードにおいては、当該装置が属するプロセスの種別「検査」が開始時刻「21:00:39」および終了時刻「21:00:53」とともに格納されている。
【0035】
同様にして、本実施例に係る支援装置10は、ネットワークN1を通じて接続された1以上の装置20から、デバイスデータ23に蓄積されたデバイスデータB2を取得する。デバイスデータB2は、連動して複数の作業工程を実行する装置毎に取得される。なお、装置毎のデバイスデータB2は、それぞれに含まれるデバイス数に対応して取得される。
図2に示すように、デバイスデータB2には、当該デバイスによって検出された物理量を示すデータ値が単位ステップで表された時刻に関連付けされて、連続データとして記録される。
【0036】
そして、本実施例に係る支援装置10は、装置毎に取得された履歴情報のログファイルB1およびデバイスデータB2に基づいて、ログチャートおよびデバイスチャートを生成する。生成された各チャートは、
図2の表示画面B4に示すように、本支援装置が備えるLCD等の表示デバイス上に表示される。表示画面B4においては、1以上の装置20が連動して実行される作業内の各工程における装置の稼働状況が時間軸に沿って推移するシーケンスがグラフ化された、ログチャートB4aとして可視化される。また、上記連動し
て作業を実行する工程毎の各装置について各種デバイスによって検出された物理量の、時間軸に沿って変動する推移状況がグラフ化された、デバイスチャートB4bとして可視化される。
【0037】
図2に示すように、ログチャートB4aおよびデバイスチャートB4bは、同一画面内の領域に、上下に並列されて表示される。
図2の表示画面B4においては、上側の表示領域にログチャートB4aが表示され、下側の表示領域にデバイスチャートB4bが表示される形態が例示されている。そして、表示画面B4内のログチャートB4aとデバイスチャートB4bは、各状況が推移する時間軸を共通にして表示される。
【0038】
図2のログチャートB4aに示すように、1以上の装置20が連動して実行される作業内の各工程、例えば、「搬入」、「撮像」、「検査」、「結果出力」、「搬出」といったプロセスが実行されるシーケンス順に縦軸に表示されている。そして、ログチャートB4aにおいては、縦軸に示す工程ごとの稼働状況が時間の推移に伴う横棒として表示されている。例えば、搬入工程の稼働状況が、横棒B4a1として表され、撮像工程の稼働状況が横棒B4a2、B4a4、B4a6として表され、検査工程における稼働状況が、横棒B4a3、B4a5、B5a7として表されている。また、結果出力工程の稼働状況は、横棒B4a8で表され、搬出工程における稼働状況が横棒B4a9で表されている。
【0039】
図2のデバイスチャートB4bおいては、コンベア回転量およびCPU使用量といった、各種デバイスによって検出された装置20内の物理量の増加減する時間推移が表示されている。このように、デバイスチャートB4bにおいては、連動する1以上の装置20に関連する複数の情報が表示可能である。例えば、
図2に示すコンベア回転量に関する情報は、搬入工程および搬出工程を制御・処理する装置20から取得され、CPU使用量に関する情報は検査工程を制御・処置する装置20から取得される。なお、それぞれのデバイスチャートB4bにおける縦軸は、デバイス毎に正規化された物理量を表している。
【0040】
図2のコンベア回転量に関連するデバイスチャートB4bにおいては、ログチャートB4aの搬入工程および搬出工程の稼働状況に対応して、回転量が変動していることがわかる。また、CPU使用量に関連するデバイスチャートB4bにおいては、ログチャートB4aの検査工程の稼働状況に対応して、使用量が変動していることがわかる。そして、コンベア回転量は、搬入工程と搬出工程以外においては所定の状態で推移し、同様にしてCPU使用量は、検査工程以外においては所定の状態を保ったまま推移していることがわかる。
【0041】
なお、表示画面B4に上下方向に並列させて表示されたログチャートB4aおよびデバイスチャートB4bの時間軸は、スケールの変更(例えば、拡大・縮小)に同期して連動する。つまり、ログチャートB4aに対する拡大・縮小操作を受け付けた場合には、表示画面B4において下側の表示領域に表示されたデバイスチャートB4bの時間軸も連動して拡大・縮小される。このように、同一画面上に表示されたログチャートB4aおよびデバイスチャートB4bの時間軸に対する拡大・縮小を連動させることにより、単一の工程内における物理量の時間変化の詳細を閲覧することが可能になる。本実施例に係る支援装置10では、ログチャートB4aによって1以上の装置20が連動する作業の全体的な工程進捗に関する稼働状況のシーケンスを一望できるとともに、各工程における装置状態の時間的な変化の推移を絞り込むことが可能になる。
【0042】
なお、表示画面B4に表示させるデバイスチャートB4bは、本支援装置を操作する操作者の入力を受け付けて選定するようにしてもよい。
図3は、操作入力に伴う画面処理を説明する図である。
図3のデバイスリストB5に示すように、本支援装置は、連動する各装置から取得された各種のデバイスデータに基づいて、デバイスの種類を一覧可能なデバ
イスリストを生成するようにしてもよい。
図3に例示のデバイスリストB5は、デバイスの種別と、当該デバイスによって検出される情報(検出データ)の内容種別と、デバイス毎のチャート表示の可否等を項目に含むリスト例である。
図3おいては、デバイスチャートB4bとして表示選択(チャート表示ON)されたデバイス種別が「コンベア」のテータ種別「回転量」、および、デバイス種別が「PC」のデータ種別「CPU使用量」が例示されている。
【0043】
本支援装置は、例えば、操作者のデバイスリストB5の呼び出しに応じてサブウィンドウを表示画面に表示させ、当該ウィンドウ内に作成したデバイスリストB5を表示させる。そして、当該ウィンドウ内に表示させたデバイスリストに対する操作入力に応じて、デバイスチャートB4bに表示する対象の情報種別を選定するようにしてもよい(Op1)。操作者の操作入力は、例えば、マウス等のポインティングデバイスによって表示画面B4内を指示するカーソル操作として受け付けられる。本支援装置は、操作者によって選定された各種デバイスに関する情報を、デバイス種別を示す情報およびデータ種別を示す情報とともにデバイスチャートB4bに表示する。これにより、操作者の意図するデバイス種別および当該デバイスで検出された物理量の推移がデバイスチャートB4bに追加することが可能になる。
【0044】
なお、各装置が備えるデバイスの種別は、予め特定することも可能である。つまり、支援装置10は、装置IDで識別される装置毎のデバイスリストを記憶装置等に保持することもできる。そして、支援装置10は、各工程に関連する装置毎のデバイスリストを、ログチャートおよびデバイスチャートが表示される同一画面内に予め表示することもできる。
【0045】
図4は、装置毎のデバイスリストが、ログチャートおよびデバイスチャートとともに表示される表示画面の一例である。なお、
図4においては、さらに装置20の属性情報を表示する表示領域を備える表示形態が例示される。
図4の表示画面B6においては、ログチャートが表示領域B6c2に表示され、デバイスチャートが表示領域B6c1に時間軸を共通にして表示されている。そして、ログチャートおよびデバイスチャートが表示される表示領域B6cに対して、横方向(左方向)に隣接する表示領域B6bにはデバイスリストが表示される。そして、表示画面B6の左端部の表示領域B6aには、表示領域B6bに表示されたデバイスリストに対応する装置20の属性情報が表示されている。装置20の属性情報は、例えば、当該装置の名称やモデル型番といった属性情報が表示されている。なお、属性情報の内訳は任意である。例えば、装置20の装置IDが含まれてもよく、当該装置の製造年式や製造元のメーカ名が含まれてもよい。
【0046】
図4に示すデバイスリストに対応付けてデバイスチャートに表示される情報には、例えば、センサ計測値、ステージ座標、モータ動作量、カメラ制御信号、コンベア等のREADY信号等が含まれる。また、メモリ使用量やCPU使用量、ネットワーク通信量、マザーボード温度、ファイルI/O量、メモリ残量等が含まれる。本支援装置は、表示画面B6の表示領域B6bに表示されたデバイスリストに対する選択操作を受け付けるとともに、選択されたデバイスに関する上記データをデバイスチャートに表示させる。
【0047】
さらに、支援装置10は、ネットワークN1に接続された1以上の装置に関する装置リストを表示させるとしてもよい。
図5は、本実施例における、1以上の装置リストを表示する表示画面B7の一例である。表示画面B7においては、装置毎の装置の状態や稼働履歴を簡易的に表示するためのチェックボックスを示す「サマリ」、装置20のモデル種別を示す「モデル」、装置20を識別する型番を示す「名称」、各種のデバイス状態を示す「デバイス状態」を含む、表示領域B7aが左端側に設けられている。表示領域B7aに表示された装置リストに対して、サマリのチェックボックスを有効に指定すると、当該装
置についての簡易的な動作状態を表す装置状態サマリB7b1が表示される。同様にして、サマリのチェックボックスが有効にされた装置20の稼働に関する履歴が稼働履歴B7b2に表示される。なお、
図5においても、装置状態サマリB7b1と稼働履歴B7b2とは共通の時間軸上に表示される。
【0048】
図3に戻り、支援装置10は、マーカM1に示すように、所定のイベントの発生に関連する指標をログチャートB4a、デバイスチャートB4bの時間軸上に表示するとしてもよい。このようなイベントとして、例えば、「エラー停止」といった障害の発生に関連するイベントが例示される。本支援装置の操作者は、各チャートの時間軸上に表示されたマーカM1に基づいて、イベントの発生に前後する時間軸上のログデータの推移や各種デバイスの状況の推移を画面上で特定できる。
【0049】
また、表示画面B4に表示されたログチャートB4aに関し、本支援装置は、カーソル等で指定されたチャート上の任意の時刻に対し、当該時刻の前後におけるログデータが記録されたログテキストを表示するとしてもよい(Op2)。例えば、本支援装置は、ポインティングデバイスを通じて、表示画面B4上で指定されたログチャートB4aの時刻情報を取得する。そして、本支援装置は、時刻情報に基づいて対象になる作業工程、および、作業工程に関連するログファイルを特定する。ログファイルには、ログチャート上でカーソル等によって指定された時刻情報を含む前後のログデータ(処理ID、コマンド実行文等)が含まれる。本支援装置は、表示画面B4に重畳して表示されたサブウィンドウ等に、特定されたログファイルを表示させる。これにより、本支援装置の操作者は、イベント等が生じた場合の原因分析において、前後する期間内で取得されたデータログを時刻指定により、閲覧可能になる。膨大なデータ量の中から所望のデータログが時刻指定で閲覧可能になるため、イベント等の原因分析に係る作業の効率化を図ることができる。
【0050】
さらに、本支援装置においては、各工程のプロセス障害の分析に関し、予め当該分析調査に有効なデバイスの種別を特定して保持することもできる。本支援装置は、上述したログチャート上における時刻情報の指定の際に、当該時刻情報に対応する作業工程に基づいて、保持された有効デバイスの中から当該工程のプロセス障害の分析に有効なデバイスを抽出する。そして、本支援装置は抽出された有効デバイスに基づいて、当該デバイスに対応するデバイスチャートB4bを作成し、表示画面B4に表示させる。これにより、本支援装置の操作者は、ログチャートB4aに表示された時間軸上で時刻の指定操作を行うことで、当該時刻が含まれる作業工程の装置の状態を分析するために有効なデバイスチャートB4bが閲覧可能になる。操作者は、所望のデバイスチャートB4bが表示画面上で確認できるため、当該デバイスチャートを表示させる手間を省くことができ、原因分析に係る作業の効率を向上できる。
【0051】
<装置構成>
図6は、支援装置10のハードウェア構成の一例を示す図である。
図6に示すように、支援装置10は、接続バス16によって相互に接続されたプロセッサ11、主記憶装置12、補助記憶装置13、通信IF14、入出力IF15を構成要素に含むコンピュータである。主記憶装置12および補助記憶装置13は、支援装置10が読み取り可能な記録媒体である。上記の構成要素はそれぞれ複数に設けられてもよいし、一部の構成要素を設けないようにしてもよい。なお、装置20は、支援装置10と実質的に同等のハードウェア構成によって実現される。
【0052】
プロセッサ11は、支援装置10全体の制御を行う中央処理演算装置である。プロセッサ11は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro-Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)等である。プロセッサ11は、例えば、補助記憶装置13に記憶されたプログラムを主記憶装置12の作業領域に実行可能に展開し、
当該プログラムの実行を通じて周辺機器の制御を行うことで所定の目的に合致した機能を提供する。但し、プロセッサ11が提供する一部または全部の機能が、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、GPU(Graphics Processing Unit)等によっ
て提供されてもよい。同様にして、一部または全部の機能が、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、数値演算プロセッサ、ベクトルプロセッサ、画像処理プロセッサ等
の専用LSI(large scale integration)、その他のハードウェア回路で実現されても
よい。本実施形態では、支援装置10のプロセッサ11は、「制御部」の一例である。
【0053】
主記憶装置12は、プロセッサ11が実行するプログラム、当該プロセッサが処理するデータ等を記憶する。主記憶装置12は、フラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)を含む。補助記憶装置13は、プロセッサ11等により実行されるプログラムや、動作の設定情報などを記憶する記憶媒体である。補助記憶装置13は、例えば、HDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、EPROM(Erasable Programmable ROM)、フラッシュメモリ、USBメモリ、SD(Secure Digital)メモリカード等を含む。通信IF14は、支援装置10と装置20等の他の
装置とを接続させるための通信インタフェースである。通信IF14は、他の機器との接続方式に応じて適宜の構成を採用できる。入出力IF15は、支援装置10に接続される入力デバイス、出力デバイスとの間でデータの入出力を行うインタフェースである。入出力IF15を通じて、連動して複数の作業工程を実行する1以上の装置20から取得されたログファイルB1およびデバイスデータB2に基づいて生成されたログチャートおよびデバイスチャートが、支援装置10のLCD等の表示デバイス270や、支援装置10に接続されたプリンタ等の出力デバイスに出力される。また、入出力IF15を通じて、表示画面に表示されたログチャートおよびデバイスチャートに対する操作指示が受け付けられ、当該操作指示に基づいて操作者の意図する処理が行われる。
【0054】
<機能構成>
図7は、本実施例に係る支援装置10のより詳細な機能構成の一例を示すブロック図である。本実施例に係る支援装置10は、機能要素として、データ制御部110と、ログデータ/プロセス対応テーブル120と、ログテキスト表示部130と、デバイス選択ルール140と、デバイス選択部150と、加工ログデータ160と、加工デバイスデータ170と、操作部180を備える。また、本支援装置10は、ログチャート表示部190と、デバイスチャート表示部200と、ログデータ解析部210と、データ削除部220と、ログデータ読出し部230と、デバイスデータ読出し部240と、データ加工部250と、加工データ書き込み部260とを備える。なお、ログデータ/プロセス対応テーブル120、デバイス選択ルール140、加工ログデータ160、加工デバイスデータ170は、例えば、補助記憶装置13に構築されたデータベースである。
【0055】
本実施例に係る支援装置10は、プロセッサ11が補助記憶装置13等に格納されたソフトウェアプログラムの実行を通じて上記機能要素を提供することで、時間軸を共通にするログチャートおよびデバイスチャートを同一画面内に上下に並列させて表示する。
【0056】
なお、
図7においては、ネットワークN1を通じて接続された装置20のより詳細な機能構成が例示されている。
図7に示す装置20は、例えば、装置制御部24と、ログデータ出力部25aと、デバイスデータ出力部25bと、デバイスモニタ部25cとを構成要素に備える。装置内に設けられた各種のデバイス(21a~21n)は、デバイスネットワークN2を通じて装置制御部24およびデバイスモニタ部25cに接続される。装置20において、装置制御部24は、自身の関与する作業工程を制御するための当該制御に関するログをログデータ出力部25aに出力する。ログデータ出力部25aは、装置制御部24から出力された制御に関するログを取得し、日付とミリ秒までの時刻情報とを対応付けてログデータ22に蓄積する。ログデータ22においては、自身の関与する作業工程を制
御する過程で実行された処理ID、コマンド実行文等が、自装置の稼働状態を示す情報として格納される。
【0057】
また、装置20において、デバイスモニタ部25cは、デバイスネットワークN2を通じて各種のデバイス21によって検出された検出データを取得し、それぞれのデバイスを識別する識別番号に対応付けてデバイスデータ出力部25bに出力する。デバイスデータ出力部25cは、デバイスモニタ部25cから出力された検出データを取得し、日付および時刻情報を対応付けてデバイスデータ23に蓄積する。デバイスデータ23においては、各種のデバイス21によって検出された検出データの履歴が識別番号、時刻情報に関連付けされたデバイスデータとして格納される。装置20のログデータ22およびデバイスデータ23に蓄積された履歴情報は、ネットワークN1を通じて接続された本支援装置により取得される。なお、それぞれに蓄積された履歴情報は、装置20を識別する装置IDに関連付けられて取得される。
【0058】
本実施例の支援装置10において、装置20のログデータ22に蓄積された履歴情報は、ログデータ読出し部230により取得される。また、装置20のデバイスデータ23に蓄積された履歴情報は、デバイスデータ読出し部240によって取得される。ログデータ読出し部230によって取得された履歴情報は、
図2に示すように、ログファイルB1としてログデータ解析部210に引き渡される。ログファイルB1には、時刻情報毎のログがレコード行として格納される。ログデータ解析部210は、ログデータ読出し部230から引き渡されたログファイルB1を解析し、
図2に示すように、1以上の装置20が連動して実行される作業の各工程における稼働状況を表すプロセスリストB3を作成する。プロセスリストB3には、装置毎の識別情報(装置ID)に関連付けされた、当該装置における処理の開始時刻、終了時刻、1以上の装置20が連動して実行される作業の各工程において当該装置の属する工程の種別を示す情報がレコードとして含まれる。ログデータ解析部210は、作成したプロセスリストB3をデータ制御部110に引き渡す。また、デバイスデータ読出し部240によって取得されたデバイスデータB2は、
図2で説明したように、当該デバイスによって検出された物理量を示すデータ値が単位ステップで表された時刻に関連付けされて、連続データとして記録される。
【0059】
また、ログデータ解析部210は、操作者によって指定された時刻におけるログの詳細を表すログテキストを特定するため、ログデータ/プロセス対応テーブルを生成する。後述するように、生成されたログデータ/プロセス対応テーブルは、ログデータ/プロセス対応テーブル120に格納される。
【0060】
データ制御部110においては、装置毎に取得された履歴情報のログファイルB1およびデバイスデータB2に基づいて、ログチャートおよびデバイスチャートが生成される。
図2のログチャートB4aに示すように、1以上の装置20が連動して実行される作業内の各工程(例えば、「搬入」、「撮像」、「検査」、「結果出力」、「搬出」等)のプロセスが実行順に、当該チャートの縦軸に表示される。また、それぞれの工程における装置20の稼働状況の開始時刻および終了時刻が指定される。
【0061】
また、
図2のデバイスチャートB4bにおいては、コンベア回転量およびCPU使用量といった、各種デバイスによって検出された装置20内の物理量の増加減する時間推移が時系列のデータとして指定される。そして、データ制御部110は、ログチャートおよびデバイスチャートの時間軸を共通の時間ステップで推移する時間軸として指定する。データ制御部110は、作成したログチャートに関する画像情報をログチャート表示部190に引き渡す。同様にして、データ制御部110は、作成したデバイスチャートに関する画像情報をデバイスチャート表示部200に引き渡す。
【0062】
ログチャート表示部190およびデバイスチャート表示部200は、データ制御部110から引き渡された各チャートの画像情報に基づいてグラフ化し、本支援装置の備える表示画面上に可視化して表示させる。
図2に示すように、可視化されたログチャートおよびデバイスチャートは、同一画面を構成する所定の表示領域に上下に並列させて表示される。ログチャート表示部190は、例えば、表示画面B4の上側の表示領域を指定して、可視化されたログチャートB4aを表示させる。同様にして、デバイスチャート表示部200は、例えば、表示画面B4の下側の表示領域を指定して、可視化されたデバイスチャートB4bを表示させる。本支援装置の備えるLCD等の表示デバイスには、1以上の装置20が連動して実行される作業内の各工程における装置の稼働状況が時間軸に沿って推移するシーケンスがログチャートB4aとして可視化される。また、上記連動して作業を実行する工程毎の各装置について各種デバイスによって検出された物理量の、時間軸に沿って変動する推移状況がデバイスチャートB4bとして可視化される。
【0063】
本実施例に係る支援装置10は、操作部180を通じて、表示画面に表示された各チャートに対する操作者の操作入力を受け付ける。操作入力は、例えば、マウス等のポインティングデバイスによるカーソル操作として受け付けられる。操作部180を通じて受け付けた操作入力に従って、操作者の意図する処理が行われる。
【0064】
例えば、表示画面B4に上下方向に並列させて表示されたログチャートB4aおよびデバイスチャートB4bに対する拡大操作または縮小操作が行われたときには、データ制御部110は指示に従って画面上のログチャートB4aおよびデバイスチャートB4bの時間軸の表示スケールを変更する。データ制御部110は、例えば、ログチャート表示部190およびデバイスチャート表示部200に対して、表示画面B4に表示された各チャートの時間軸表示が、拡大表示または縮小表示の際に同期して連動するように指示する。ログチャート表示部190およびデバイスチャート表示部200は、各チャートの時間軸表示が連動して拡大表示または縮小表示が行われるように同期させる。
【0065】
また、本支援装置においては、
図3で説明したように、カーソル等で指定されたログチャート上の任意の時刻に対し、当該時刻の前後におけるログデータが記録されたログテキストを表示する機能(ログテキスト表示機能)を有する。ログテキスト表示機能は、主にデータ制御部110と、ログデータ/プロセス対応テーブル120と、ログテキスト表示部130により提供される。
【0066】
図8は、本実施例におけるログテキスト表示の処理に関するフローの一例を示す図である。
図8に示すように、表示画面に表示されたログチャート上の任意の時刻に対する操作入力を受け付けると、カーソル等で指定された表示画面の2次元座標に基づいて、作業の工程種別を示す情報(プロセスID)と時刻情報が取得される(Op4)。表示画面の2次元座標は、例えば、左上角部を原点(0,0)として横方向をX軸方向、縦方向をY軸方向として2次元座標(x、y)で表すことができる。データ制御部110は、ログデータ/プロセス対応テーブル120に格納されたログデータ/プロセス対応テーブルを検索し、プロセスIDに対応するログファイルと行番号を特定する(Op5)。
図8の120aに示すように、ログデータ/プロセス対応テーブルには、プロセスリストに含まれるプロセスID毎のログ該当箇所を示す情報が含まれる。例えば、プロセスID「4」で指定される開始時刻「21:00:54」および終了時刻「21:01:00」のプロセス「撮像」では、ログ該当箇所として、ファイル名「log20200213_003.txt」の行番号「Line200~300」が格納されている。
【0067】
データ制御部110は、ネットワークN1を通じて接続された装置20のログデータ22から、特定されたログファイルに対応するログデータを取得する(Op6)。但し、ログチャートおよびデバイスチャートの生成時に取得されたログデータが自装置のメモリ等
に残されている場合には、当該メモリ等に記録されたログデータを用いてもよい。データ制御部110は、操作者によって指定された時刻情報とともに、装置20のログデータ22から取得されたログファイルの行番号に対応するログデータをログテキスト表示部130に引き渡す(Op7)。
【0068】
ログテキスト表示部130は、130aに示すように、引き渡されたログファイルの行番号に対応するログデータの時刻を示す時刻文字列を解析する。そして、ログテキスト表示部130は、操作者によって指定された時刻に最も近い行を検出する。そして、130bに示すように、ログテキスト表示部130は、検出された行に対してハイライト表示等のフォーカス処理を行い、当該フォーカス行を含むログテキストを表示画面に表示させる。例えば、
図3で説明したように、ログチャートが表示された表示画面に重畳させて表示されたサブウィンドウ等に、フォーカス処理が施された行を含むログテキストが表示される。
【0069】
また、本支援装置においては、
図3で説明したように、カーソル等で指定されたログチャート上の任意の時刻に対し、当該時刻に対応する作業プロセスの障害の分析に有効なデバイスを選別して提示する機能を有する(デバイス選択機能)。デバイス選別機能は、主にデータ制御部110と、デバイス選択ルール140と、デバイス選択部150により提供される。
【0070】
図9は、本実施例におけるデバイス選択機能の処理に関するフローの一例を示す図である。
図9に示すように、表示画面に表示されたログチャート上の任意の時刻に対する操作入力を受け付けると、カーソル等で指定された表示画面の2次元座標に基づいて、作業の工程種別を示す情報(プロセスID)が取得される(Op8)。データ制御部110は、デバイス選択ルール130を検索し、作業の工程種別を示す情報(プロセスID)に対応するデバイスの集合を示す情報を取得する(Op9)。デバイス選択ルール130には、プロセス種別に予め関連付けされたデバイス集合を示す対応表が、デバイス選択ルールとして保持される。
【0071】
図9のルールテーブル140aに示すように、作業工程を実行する装置20の種別と、プロセス種別と、表示すべきデバイス集合とが、テーブル形式で関連付けされている。例えば、プロセス種別が「撮像」であり、当該工程を実行する装置種別が「光学検査機」の場合には、「ステージ座標、モータ動作量、カメラ制御信号」といった物理量を検出する各種のデバイスがデバイス集合として対応付けされている。また、プロセス種別が「検査」であり、当該工程を実行する装置種別が「光学検査機」や「X線検査機」の場合には、「メモリ使用量、CPU使用量、マザーボード温度」といった物理量を検出する各種のデバイスがデバイス集合として対応付けられている。
【0072】
なお、
図9に示すルールテーブル140aは一例であり、作業工程であるプロセスを実行する装置種別に対応付けられるデバイス集合の選別は、作業内容、プロセスを実行する装置種別に応じて任意に設定可能であることは言うまでもない。装置20内に設けられた、処理状態を検出するセンサ(デバイス)の種別や数量に応じて適宜に追加・変更が可能である。また、型番や製造年式等が異なる装置20が、同じプロセスを実行する場合も想定される。このような場合に対処するため、ルールテーブル140aは、装置の識別情報(装置ID)を装置種別に含めるようにしてもよい。そして、装置IDに対応付けて、デバイス集合を対応付けるとしてもよい。
【0073】
データ制御部110は、デバイス選択ルール130から取得されたプロセスIDに対応するデバイス集合を示す情報を、デバイス選択部150に通知する(Op10)。デバイス選択部150は、通知されたデバイス集合を、例えば、
図4において、デバイスリスト
が表示される表示領域B6bにデバイス集合を表示するようにしてもよい(150a)。この場合には、表示領域B6bのリスト内容に応じてデバイスチャートの表示内容が切り替わるようにしてもよい。また、例えば、ログチャートが表示された表示画面に重畳させて表示されたサブウィンドウ等に、デバイス集合を表示してもよい。
【0074】
さらに、本実施例に係る支援装置10は、装置20に設けられたログデータ22およびデバイスデータ23に格納された各種データを圧縮する圧縮機能およびデータ削減機能を有する。これらの機能は、主にデータ制御部110と、加工ログデータ160と、加工デバイスデータ170と、データ削除部220と、データ加工部250と、加工データ書込み部260により提供される。なお、これらの機能は、ネットワークN1に接続された1以上の装置20に対して定期的に実行される。
【0075】
図10は、本実施例におけるデータ圧縮・削減機能の処理に関するフローの一例を示す図である。
図10に示すように、データ制御部110は、ネットワークN1を通じて接続された1以上の装置20から、ログデータ22およびデバイスデータ23に蓄積された各種の履歴情報を、装置毎の装置IDに対応付けて取得する(Op11)。ログデータ22およびデバイスデータ23から取得された各種の履歴情報は、装置IDとともにデータ加工部250に引き渡される。
【0076】
データ加工部250においては、引き渡された各種の履歴情報を圧縮させた加工ログデータおよび加工デバイスデータが生成される。加工ログデータおよび加工デバイスデータには、圧縮されたデータ履歴の開始日時および終了日時を示す情報が付加される。データ加工部250で生成された加工ログデータおよび加工デバイスデータは、加工データ書込み部260に引き渡される。
【0077】
加工データ書込み部260は、引き渡された加工ログデータおよび加工デバイスデータのそれぞれに、装置IDと、圧縮されたデータ履歴の開始日時および終了日時を示す情報とを対応付けて、加工ログデータ160および加工デバイスデータ170に格納する。加工ログデータ160には、ネットワークN1を通じて接続された1以上の装置20から取得されたログテキストを圧縮した加工ログデータが、取得先の装置IDと、圧縮されたデータ履歴の開始日時および終了日時を示す情報とに対応付けされて蓄積される(Op12)。同様にして、加工デバイスデータ170には、ネットワークN1を通じて接続された1以上の装置20から取得された各種デバイスの時系列データを圧縮した加工デバイスデータが、取得先の装置IDと、圧縮されたデータ履歴の開始日時および終了日時を示す情報とに対応付けされて蓄積される(Op13)。
【0078】
なお、既に説明したように、装置20のログデータ22に蓄積された履歴情報からは、1以上の装置20が連動して実行される作業の各工程における稼働状況を表すプロセスリストが作成される。加工データ書込み部260は、ログデータ解析部210によって作成された解析後のプロセスリストを加工ログデータ160に格納する。これにより、本支援装置においては、加工ログデータ160に格納されたプロセスリストおよび加工ログデータに基づいて、ログチャートおよびログテキストの表示が可能になる。表示されたログチャートを再び表示画面上に表示する際には、加工ログデータ160に格納されたプロセスリストおよび加工ログデータが使用可能になるため、ネットワークN1を通じて接続された1以上の装置20から取得する場合と比較して、相対的に処理速度を向上することができる。
【0079】
データ削除部220は、各装置から取得した各種の履歴情報を圧縮して加工ログデータ160および加工デバイスデータ170に格納後のタイミングで、ログデータ22およびデバイスデータ23から圧縮済みのデータを削除する(Op14)。これにより、ログデ
ータ22およびデバイスデータ23の空き容量を増やすことが可能になり、各装置においては長期間に亘るログデータおよびデバイスデータの取得が可能になる。なお、データ削除部220は、予め定められた規定期間を経過したデータをログデータ22およびデバイスデータ23から抽出し、抽出された当該データを削除するようにしてもよい。これにより、ネットワークN1を通じて接続された1以上の装置20においては、ログデータ22およびデバイスデータ23の空き容量を定期的にメンテナンスすることが可能になる。
【0080】
<処理の流れ>
図11は、本実施例に係る支援装置10で提供される各種チャートの表示処理の一例を示すフローチャートである。
図11のフローにおいては、ネットワークN1に接続された1以上の装置20から取得されたログデータおよびデバイスデータに基づいて作成された、共通の時間軸を有するログチャートおよびデバイスチャートが、同一画面内に上下に並列して表示される。
【0081】
ステップS101において、支援装置10は、通信IF14を通じて接続された1以上の装置20から、ログデータ22およびデバイスデータ23に蓄積された各履歴情報を装置毎に取得する。ログデータ22およびデバイスデータ23に蓄積された各履歴情報は、装置20を識別する装置IDに対応付けて取得される。ステップS101の処理後、処理はステップS102に進む。ステップS102においては、装置毎に取得されたログデータ(ログファイル)の解析が行われ、
図2に示すプロセスリスト、
図8に示すログデータ/プロセス対応テーブル120aが生成される。生成されたプロセスリストは、装置IDに対応付けられて加工ログデータ160に格納される。また、生成されたログデータ/プロセス対応テーブル120aは、装置IDに対応付けされてログデータ/プロセス対応テーブル120に格納される。ステップS102の処理後、処理はステップS103に進む。
【0082】
ステップS103においては、ステップS101で取得されたデバイスデータ、および、ステップS102で作成されたプロセスリストに基づいて、共通の時間軸を有するログチャートおよびデバイスチャートが作成される。ログチャートにおいては、1以上の装置20が連動して実行される作業の各工程における稼働状況の推移が、グラフ化される。なお、各工程における装置20の稼働時間は、時間軸方向に延伸する横棒として可視化される。ログチャートにおける横棒の長さは、対応する工程内の装置20の稼働時間に比例する。また、デバイスチャートにおいては、各工程に対応する装置内の各種デバイスによって検出された物理量の増加減する推移がグラフ化される。デバイスデータとして単位ステップで記録されたデータ値が、時間軸上で変化する連続データとして可視化される。ステップS103の処理後、処理はステップS104に進む。ステップS104においては、ステップS103で作成された各チャートが、
図2等に示すように、同一画面内に上下に並列して表示される。ステップS104の処理が終了すると本ルーチンを一旦終了する。
【0083】
以上、説明したように、本実施例においては、支援装置10は、1以上の装置20が連動して実行される作業の各工程における、装置毎のログデータの履歴およびデバイスデータの履歴を、ネットワークN1を通じて取得することができる。ログデータの履歴には、日付とミリ秒単位の時刻情報、装置内で実行された処理を識別する処理ID、当該処理で実行されるコマンド実行文等がテキスト形式で記録されたレコード行が含まれる。デバイスデータの履歴には、単位時間で取得された装置内の稼働状況を示す物理量が連続データとして含まれる。本支援装置10は、装置毎のログデータの履歴を解析し、1以上の装置20が連動して実行される作業の各工程における稼働状況を表すプロセスリストを生成する。プロセスリストには、装置IDに関連付けされた、処理の開始時刻、終了時刻、当該装置の属する工程の種別を示す情報がレコードとして含まれる。
【0084】
そして、本支援装置は、プロセスリストに基づいて、1以上の装置20が連動して実行される作業の各工程における各装置の稼働状況の推移をログチャートとしてグラフ化して可視化する。ログチャートにおいては、作業内の各工程がシーケンス順に縦軸に表示され、工程ごとの装置の稼働状況が時間の推移に伴う横棒として表示される。また、本支援装置は、デバイスデータに基づいて、各工程に対応する装置内の各種デバイスによって検出された物理量の増加減する推移をグラフ化して可視化する。ログチャートおよびデバイスチャートは、共通の時間軸を有するように可視化される。そして、本支援装置は、共通の時間軸を有するログチャートおよびデバイスチャートを、同一画面内で上下に並列させて表示する。この結果、本支援装置においては、1以上の装置20が連動して実行される作業の各工程における装置毎の稼働状態と作業量(処理量、制御量、負荷量)との相対的な関係を、同一期間内で観測された時系列上の推移として表すことが可能になる。本実施例によれば、1以上の装置が連動して作業が行われる設備の保全業務に関し、装置の稼働状況に関連する多様な情報の相互参照や絞り込みを効率的に行うことが可能な支援技術が提供できる。
【0085】
(その他)
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本実施の形態の開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組合せて実施することができる。
【0086】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0087】
《コンピュータが読み取り可能な記録媒体》
情報処理装置その他の機械、装置(以下、コンピュータ等)に上記何れかの機能を実現させるプログラムをコンピュータ等が読み取り可能な記録媒体に記録することができる。そして、コンピュータ等に、この記録媒体のプログラムを読み込ませて実行させることにより、その機能を提供させることができる。
【0088】
ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的、または化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。このような記録媒体のうちコンピュータ等から取り外し可能なものとしては、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R/W、DVD、ブルーレイディスク、DAT、8mmテープ、フラッシュメモリなどのメモリカード等がある。また、コンピュータ等に固定された記録媒体としてハードディスクやROM等がある。
【0089】
なお、以下には本発明の構成要件と実施例の構成とを対比可能とするために、本発明の構成要件を図面の符号付きで記載しておく。
<発明1>
1以上の装置(20)が連動して作業を行う設備の保全を支援する支援装置(10)であって、
前記1以上の装置(20)から、前記作業を構成する工程毎に記録されたログデータの履歴と、前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データの履歴と、を取得することと、
前記ログデータの履歴を解析し、前記作業を構成する工程毎の前記1以上の装置(20)に関する稼働状態を示すリストを作成することと、
前記リストに基づいて、前記作業を構成する工程毎の前記1以上の装置(20)の稼働
状態の所定期間内における推移を、前記作業を構成する工程の種別とともにグラフ化した第1チャートを作成することと、
前記検出データの履歴に基づいて、前記第1チャートと同一期間内で推移する前記工程の進行過程において検出された装置内の動作状態を示す1以上の検出データを個別にグラフ化した第2チャートを作成することと、
作成された前記第1チャートと前記第2チャートを、表示部の同一画面内に上下に並列させて表示することと、
を実行する制御部(11)を備えることを特徴とする支援装置(10)。
【符号の説明】
【0090】
1:支援システム
10:支援装置
11:プロセッサ
12:主記憶装置
13:補助記憶装置
14:通信IF
15:入出力IF
16:接続バス
20:装置
21:デバイス
22:ログデータ(記憶部)
23:デバイスデータ(記憶部)
24:装置制御部
25a:ログデータ出力部
25b:デバイスデータ出力部
25c:デバイスモニタ部
110:データ制御部
120:ログデータ/プロセス対応テーブル(記憶部)
130:ログテキスト表示部
140:デバイス選択ルール(記憶部)
150:デバイス選択部
160:加工ログデータ(記憶部)
170:加工デバイスデータ(記憶部)
180:操作部
190:ログチャート表示部
200:デバイスチャート表示部
210:ログデータ解析部
220:データ削除部
230:ログデータ読出し部
240:デバイスデータ読出し部
250:データ加工部
260:加工データ書込み部
270:表示デバイス