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特許7424139帯電部材、帯電装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
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  • 特許-帯電部材、帯電装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】帯電部材、帯電装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/02 20060101AFI20240123BHJP
   F16C 13/00 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
G03G15/02 101
F16C13/00 B
F16C13/00 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020047992
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2020160444
(43)【公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2019052981
(32)【優先日】2019-03-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】衣田 康彦
(72)【発明者】
【氏名】泊 省吾
(72)【発明者】
【氏名】小林 紘子
(72)【発明者】
【氏名】成田 幸介
(72)【発明者】
【氏名】山本 拓弥
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-097275(JP,A)
【文献】特開2018-105980(JP,A)
【文献】特開2011-095725(JP,A)
【文献】特開2004-306519(JP,A)
【文献】特開2004-309910(JP,A)
【文献】特開2008-122915(JP,A)
【文献】特開2010-113177(JP,A)
【文献】特開2008-083404(JP,A)
【文献】特開2018-063425(JP,A)
【文献】特開2007-127952(JP,A)
【文献】特開2012-063763(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 15/02
F16C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性基材と、
前記導電性基材上に設けられた弾性層と、
前記弾性層上に設けられた表面層と、を有し、
前記表面層の表面において、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比、及び突出山高さSpkが、15≦Sm/Rz≦35、かつ、Spk≦μmである、
帯電部材。
【請求項2】
導電性基材と、
前記導電性基材上に設けられた弾性層と、
前記弾性層上に設けられた表面層と、を有し、
前記表面層の表面において、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比、及び突出山高さSpkが、15≦Sm/Rz≦35、かつ、Spk≦5μmであ
前記表面層の表面において、周方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比(Sm/Rz)をAとし、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比(Sm/Rz)をBとしたとき、前記Bに対する前記Aの比が、0.8≦A/B≦1.2である、
帯電部材。
【請求項3】
導電性基材と、
前記導電性基材上に設けられた弾性層と、
前記弾性層上に設けられた表面層と、を有し、
前記表面層の表面において、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比、及び突出山高さSpkが、15≦Sm/Rz≦35、かつ、Spk≦5μmであ
前記Spkに対する前記Smの比が、25≦Sm/Spk≦75である、
帯電部材。
【請求項4】
導電性基材と、
前記導電性基材上に設けられた弾性層と、
前記弾性層上に設けられた表面層と、を有し、
前記表面層の表面において、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比、及び突出山高さSpkが、15≦Sm/Rz≦35、かつ、Spk≦5μmであ
前記弾性層の表面層側の表面において、軸方向での十点平均粗さRz2が、3≦Rz2≦10である、
帯電部材。
【請求項5】
導電性基材と、
前記導電性基材上に設けられた弾性層と、
前記弾性層上に設けられた表面層と、を有し、
前記表面層の表面において、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比、及び突出山高さSpkが、15≦Sm/Rz≦35、かつ、Spk≦5μmであ
前記弾性層の表面層側の表面において、軸方向での十点平均粗さRz2に対する凹凸間距離Sm2の比、及び突出山高さSpk2が、15≦Sm2/Rz2≦35、かつ、Spk2≦5μmである、
帯電部材。
【請求項6】
導電性基材と、
前記導電性基材上に設けられた弾性層と、
前記弾性層上に設けられた表面層と、を有し、
前記表面層の表面において、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比、及び突出山高さSpkが、15≦Sm/Rz≦35、かつ、Spk≦5μmであ
前記弾性層の表面層側の表面において、周方向での十点平均粗さRz2に対する凹凸間距離Sm2の比(Sm2/Rz2)をA2とし、軸方向での十点平均粗さRz2に対する凹凸間距離Sm2の比(Sm2/Rz2)をB2としたとき、前記B2に対する前記A2の比が、0.8≦A2/B2≦1.2である、
帯電部材。
【請求項7】
導電性基材と、
前記導電性基材上に設けられた弾性層と、
前記弾性層上に設けられた表面層と、を有し、
前記表面層の表面において、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比、及び突出山高さSpkが、15≦Sm/Rz≦35、かつ、Spk≦5μmであ
前記表面層が凹凸形成用粒子としてポリアミド粒子を含有する、
帯電部材。
【請求項8】
導電性基材と、
前記導電性基材上に設けられた弾性層と、
前記弾性層上に設けられた表面層と、を有し、
前記表面層の表面において、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比、及び突出山高さSpkが、15≦Sm/Rz≦35、かつ、Spk≦5μmであ
前記表面層が、体積平均粒径5μm以上20μm以下である凹凸形成用粒子を、結着樹脂100質量部に対して5質量部以上30質量部以下で含有する、
帯電部材。
【請求項9】
前記表面層の表面において、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比が、20≦Sm/Rz≦30である、請求項1~請求項8のいずれか1項に記載の帯電部材。
【請求項10】

前記突出山高さSpkが、Spk≦3.5μmである、請求項1~請求項9のいずれか1項に記載の帯電部材。
【請求項11】
前記A/Bが、0.9≦A/B≦1.1である、請求項に記載の帯電部材。
【請求項12】
前記表面層が凹凸形成用粒子を含有する、請求項1~6及び9~11のいずれか1項に記載の帯電部材。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載の帯電部材を有し、接触帯電方式により電子写真感光体を帯電させる、帯電装置。
【請求項14】
電子写真感光体と、
請求項1~12のいずれか1項に記載の帯電部材を有し、接触帯電方式により前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、
を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項15】
電子写真感光体と、
請求項1~12のいずれか1項に記載の帯電部材を有し、接触帯電方式により前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
前記電子写真感光体の表面に形成された潜像を、トナーを含む現像剤により現像して、前記電子写真感光体の表面にトナー像を形成する現像装置と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯電部材、帯電装置、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置が備える帯電部材としては、導電性基材上に少なくとも弾性層を配置した帯電部材が知られており、具体的には例えば下記が知られている。
【0003】
特許文献1には、「芯金の外周に少なくとも一層の導電性ゴム弾性層を有する帯電ロールにおいて、前記帯電ロールの表面状態は、当該帯電ロールの軸方向の十点平均粗さRz1、当該帯電ロールの周方向の十点平均粗さRz2、当該帯電ロールの軸方向の凹凸の平均間隔Sm1、当該帯電ロールの周方向の凹凸の平均間隔Sm2としたとき、下記式を満たし、前記帯電ロールのマイクロ硬度は、48~60°であることを特徴とする帯電ロール。[数1]1.00<Rz1/Rz2≦2.00 0<Sm1/Sm2≦1.00 Rz1>11μm」が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2011-095725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電子写真感光体上の汚染物質が帯電部材に移行することにより、帯電部材によっては、画像スジが発生する場合があった。また、帯電部材によっては、電子写真感光体の表面が摩耗する場合があった。
【0006】
本発明の課題は、導電性基材と、前記導電性基材上に設けられた弾性層と、前記弾性層上に設けられた表面層とを有する帯電部材において、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比(Sm/Rz)が15未満若しくは35超、又は軸方向での突出山高さSpkが5μm超である場合に比べ、画像スジの発生を抑制するとともに、電子写真感光体の表面の摩耗が抑制される帯電部材を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための具体的手段には、下記の態様が含まれる。
【0008】
<1>
導電性基材と、
前記導電性基材上に設けられた弾性層と、
前記弾性層上に設けられた表面層と、を有し、
前記表面層の表面において、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比、及び突出山高さSpkが、15≦Sm/Rz≦35、かつ、Spk≦5μmである、帯電部材。
<2>
前記Rzに対する前記Smの比が、20≦Sm/Rz≦30である、<1>に記載の帯電部材。
<3>
前記突出山高さSpkが、Spk≦4μmである、<1>又は<2>に記載の帯電部材。
<4>
前記突出山高さSpkが、Spk≦3.5μmである、<3>に記載の帯電部材。
<5>
前記表面層の表面において、周方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比(Sm/Rz)をAとし、前記軸方向での前記Rzに対する前記Smの比(Sm/Rz)をBとしたとき、前記Bに対する前記Aの比が、0.8≦A/B≦1.2である、<1>~<4>のいずれか1項に記載の帯電部材。
<6>
前記A/Bが、0.9≦A/B≦1.1である、<5>に記載の帯電部材
<7>
前記軸方向における前記Spkに対する前記Smの比が、25≦Sm/Spk≦75である、<1>~<6>のいずれか1項に記載の帯電部材。
<8>
前記弾性層の表面層側の表面において、軸方向での十点平均粗さRz2が、3≦Rz2≦10である、<1>~<7>のいずれか1項に記載の帯電部材。
<9>
前記弾性層の表面層側の表面において、軸方向での十点平均粗さRz2に対する凹凸間距離Sm2の比、及び突出山高さSpk2が、15≦Sm2/Rz2≦35、かつ、Spk2≦5μmである、<1>~<8>のいずれか1項に記載の帯電部材。
<10>
前記弾性層の表面層側の表面において、周方向での十点平均粗さRz2に対する凹凸間距離Sm2の比(Sm2/Rz2)をA2とし、前記軸方向での前記Rz2に対する前記Sm2の比(Sm2/Rz2)をB2としたとき、前記B2に対する前記A2の比が、0.8≦A2/B2≦1.2である、<1>~<9>のいずれか1項に記載の帯電部材。
<11>
前記表面層が凹凸形成用粒子を含有する、<1>~<10>のいずれか1項に記載の帯電部材。
<12>
前記凹凸形成用粒子が、ポリアミド粒子である、<11>に記載の帯電部材。
<13>
前記表面層が、前記凹凸形成用粒子として、体積平均粒径5μm以上20μm以下である凹凸形成用粒子を、結着樹脂100質量部に対して5質量部以上30質量部以下で含有する、<11>又は<12>に記載の帯電部材。
<14>
<1>~<13>のいずれか1項に記載の帯電部材を有し、接触帯電方式により電子写真感光体を帯電させる、帯電装置。
<15>
電子写真感光体と、
<1>~<13>のいずれか1項に記載の帯電部材を有し、接触帯電方式により前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、
を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
<16>
電子写真感光体と、
<1>~<13>のいずれか1項に記載の帯電部材を有し、接触帯電方式により前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、
帯電した前記電子写真感光体の表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
前記電子写真感光体の表面に形成された潜像を、トナーを含む現像剤により現像して、前記電子写真感光体の表面にトナー像を形成する現像装置と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
を備える画像形成装置。
【発明の効果】
【0009】
<1>、<2>、<3>、<4>に係る発明によれば、導電性基材と、前記導電性基材上に設けられた弾性層と、前記弾性層上に設けられた表面層とを有する帯電部材において、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比(Sm/Rz)が15未満若しくは35超、又は、軸方向での突出山高さSpkが5μm超である場合に比べ、画像スジの発生を抑制するとともに、電子写真感光体の表面の摩耗が抑制される帯電部材が提供される。
<5>、<6>に係る発明によれば、周方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比(Sm/Rz)をAとし、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比(Sm/Rz)をBとしたとき、Bに対するAの比(A/B)が0.8未満又は1.2超である場合に比べ、画像スジの発生を抑制するとともに、電子写真感光体の表面の摩耗が抑制される帯電部材が提供される。
<7>に係る発明によれば、軸方向におけるSpkに対するSmの比(Sm/Spk)が25未満又は75超である場合に比べ、画像スジの発生を抑制するとともに、電子写真感光体の表面の摩耗が抑制される帯電部材が提供される。
<8>に係る発明によれば、弾性層の表面層側の表面において、軸方向での十点平均粗さRz2が3未満又は10超である場合に比べ、画像スジの発生を抑制するとともに、電子写真感光体の表面の摩耗が抑制される帯電部材が提供される。
<9>、<10>に係る発明によれば、表面層に凹凸形成用粒子を含有させる必要がなくなる帯電部材が提供される。
<11>に係る発明によれば、表面層の表面において、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比(Sm/Rz)が15未満若しくは35超、又は、軸方向での突出山高さSpkが5μm超である場合に比べ、表面層に凹凸形成用粒子を含む帯電部材であって、画像スジの発生を抑制するとともに、電子写真感光体の表面の摩耗が抑制される帯電部材が提供される。
<12>に係る発明によれば、表面層の表面において、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比(Sm/Rz)が15未満若しくは35超、又は、軸方向での突出山高さSpkが5μm超である場合に比べ、表面層に含まれる凹凸形成用粒子が、ポリアミド粒子である帯電部材であって、画像スジの発生を抑制するとともに、電子写真感光体の表面の摩耗が抑制される帯電部材が提供される。
<13>に係る発明によれば、表面層に含まれる凹凸形成用粒子の体積平均粒径が5μm未満若しくは20μm超、又は、表面層に含まれる凹凸形成用粒子の含有量が結着樹脂100質量部に対して5質量部未満若しくは30質量部超である場合に比べ、画像スジの発生を抑制するとともに、電子写真感光体の表面の摩耗が抑制される帯電部材が提供される。
【0010】
<14>に係る発明によれば、表面層の表面において、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比(Sm/Rz)が15未満若しくは35超、又は、軸方向での突出山高さSpkが5μm超である場合に比べ、画像スジの発生を抑制するとともに、電子写真感光体の表面の摩耗が抑制される帯電部材が適用された、接触帯電方式により前記電子写真感光体を帯電させる、帯電装置が提供される。
<15>に係る発明によれば、表面層の表面において、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比(Sm/Rz)が15未満若しくは35超、又は、軸方向での突出山高さSpkが5μm超である場合に比べ、画像スジの発生を抑制するとともに、電子写真感光体の表面の摩耗が抑制される帯電部材が適用された、接触帯電方式により前記電子写真感光体を帯電させる、帯電装置を備えるプロセスカートリッジが提供される。
<16>に係る発明によれば、表面層の表面において、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比(Sm/Rz)が15未満若しくは35超、又は、軸方向での突出山高さSpkが5μm超である場合に比べ、画像スジの発生を抑制するとともに、電子写真感光体の表面の摩耗が抑制される帯電部材が適用された、接触帯電方式により前記電子写真感光体を帯電させる、帯電装置を備える画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態に係る帯電部材の一例を示す概略構成図である。
図2】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
図3】本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図4】本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。
図5】本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、発明の実施形態を説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、発明の範囲を制限するものではない。
【0013】
本明細書において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本明細書において、「電子写真感光体」を単に「感光体」ともいう。
本明細書において、帯電部材の「軸方向」とは、帯電部材の回転軸が延びる方向を意味する。「周方向」とは、帯電部材の回転方向を意味する。
また、本明細書において「導電性」とは、20℃における体積抵抗率が1×1014Ωcm以下であることを意味する。
【0014】
<帯電部材>
本実施形態に係る帯電部材は、導電性基材と、前記導電性基材上に設けられた弾性層と、前記弾性層上に設けられた表面層と、を有する。
そして、前記表面層の表面において、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比、及び突出山高さSpkが、15≦Sm/Rz≦35、かつ、Spk≦5μmである。
【0015】
現在の電子写真技術の領域では、小型かつ低コストな電子写真装置の構築が求められており、帯電には接触帯電方式が採用される場合が多い。例えば、接触帯電方式用の帯電部材の表面には、トナー粒子、外添剤等により汚染される場合がある。接触帯電方式用の帯電部材を使用したときに生じる、トナー粒子、外添剤等による汚染は、感光体と帯電部材との接触部に存在する、感光体クリーニング部でクリーニングしきれない、いわゆる「すり抜け」と呼ばれるトナー、外添剤等が起因となっている。帯電部材上の汚染物質の除去は、帯電部材用の清掃部材などにより清掃する工夫が知られている。もともと感光体上に存在していた汚染物質は、感光体と帯電部材との接触部で帯電部材へ移行する。
【0016】
例えば、導電性基材と、前記導電性基材上に設けられた弾性層と、前記弾性層上に設けられた表面層とを有する帯電部材が知られている。このような帯電部材において、表面層の表面において、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比(Sm/Rz)が小さすぎると、帯電部材に付着した汚染物質を帯電部材用の清掃部材で除去しにくくなるため、帯電部材の表面に汚染物質が堆積しやすくなり、画像スジが発生する。また、Sm/Rzが大きすぎると、感光体と帯電部材との接触領域が大きくなるため、感光体上に存在していた汚染物質が帯電部材に移行しやすくなり、画像スジが発生しやすくなる。
【0017】
一方、突出山高さSpkが大きすぎると、感光体と帯電部材との接触部よりも回転方向の上流側(いわゆるプレニップ部)と感光体と帯電部材との接触部よりも回転方向の下流側(いわゆるポストニップ部)だけでなく、感光体と帯電部材との接触部においても、放電が生じてしまう。このため、放電ストレスにより、感光体の表面が摩耗しやすくなる。特に、感光体表面の摩耗は、有機材料を用いた感光層を備える有機感光体で顕著である。
【0018】
これに対し、本実施形態に係る帯電部材は、上記構成により、画像スジの発生を抑制するとともに、電子写真感光体の表面の摩耗が抑制される。その理由は、定かではないが、以下に示すように推測される。
【0019】
本実施形態に係る帯電部材は、表面層の表面において、軸方向でのSm/Rzが15以上35以下であることで、感光体上に残留していた汚染物質が移行しにくく、かつ、移行した汚染物質を除去しやすい。また、表面層の表面において、軸方向での突出山高さSpkが5μm以下であることで、感光体と帯電部材との接触部における放電が抑えられるため、感光体表面への放電ストレスが抑制される。その結果、画像スジの発生を抑制するとともに、電子写真感光体の表面の摩耗が抑制されると考えられる。
【0020】
以下、本実施形態に係る帯電部材の詳細について説明する。
【0021】
本実施形態に係る帯電部材の形状としては、特に限定されるものではないが、ロール状、ブラシ状、ベルト(チューブ)状、ブレード状等の形状を挙げられる。これらの中でも、図1に例示するようなロール状帯電部材、すなわち、いわゆる帯電ロールの形態をとるものが好ましい。
【0022】
図1は、本実施形態に係る帯電部材の一例を示している。図1に示す帯電部材208Aは、中空又は非中空の円筒部材である導電性基材30と、導電性基材30の外周面に配置された弾性層31と、弾性層31の外周面に配置された表面層32とを有する。
【0023】
本実施形態に係る帯電部材は、表面層の表面において、軸方向での十点平均粗さRzに対する凹凸間距離Smの比(Sm/Rz)が、15≦Sm/Rz≦35である。画像スジの発生を抑制する観点で、Sm/Rzが、20≦Sm/Rz≦30であることが好ましい。また、本実施形態に係る帯電部材は、表面層の表面において、軸方向での突出山高さSpkが、Spk≦5μmである。電子写真感光体の表面の摩耗を抑制する観点で、突出山高さSpkは、小さいほうが好ましい。この点で、突出山高さSpkは、Spk≦4μmであることが好ましく、Spk≦3.5μmであることがより好ましい。突出山高さSpkの下限値は、例えば、2μm以上であってもよい(つまり、Spkは、2μm≦Spk≦5μmであってもよい)。Spkの下限値が2μm以上であると、画像スジの発生を抑制するとともに、電子写真感光体の表面の摩耗を抑制する帯電部材が得られやすくなる。
【0024】
軸方向での凹凸間距離Smは、画像スジの発生を抑制する観点で、50μm以上250μm以下であることが好ましく、80μm以上200μm以下であることがより好ましい。
軸方向での十点平均粗さRzは、画像スジの発生を抑制する観点で、3μm以上15μm以下であることが好ましく、4μm以上10μm以下であることがより好ましい。
【0025】
十点平均粗さRzは、JIS B 0601:1994に準拠して測定される。十点平均粗さRzである。表面粗さRzは、23℃、55%RHの環境下において、接触式表面粗さ測定装置(サーフコム570A、東京精密社製)を用いて測定される。測定距離を2.5mmとし、接触針としてはその先端がダイヤモンド(5μmR、90°円錐)のものを用いて測定し、その平均値を算出する。軸方向の場合、十点平均粗さRzは、例えば、軸方向を6等分し、6等分したうちの中央部を測定した値の平均値である。周方向の場合、例えば、十点平均粗さRzは、軸方向中央部での周方向を6等分し、6等分したうちの中央になる位置を測定した値の平均値である。
【0026】
凹凸間距離Smは、JIS B 0601:1994に準拠して測定される。凹凸間距離Smとは、粗さ曲線からその平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分において1つの山及びそれに隣り合う1つの谷に対応する平均線の長さの和を求め、この多数の凹凸の間隔の算術平均値をマイクロメートル(μm)で表したものである。凹凸間距離Smの測定は、23℃、55%RHの環境下において、接触式表面粗さ測定装置(サーフコム570A、東京精密社製)を用いて測定される。測定距離を4mmとし、接触針としてはその先端がダイヤモンド(5μmR、90°円錐)のものを用いて測定し、その平均値を算出する。軸方向の場合、凹凸間距離Smは、例えば、軸方向を6等分し、6等分したうちの中央部を測定した値の平均値である。周方向の場合、凹凸間距離Smは、例えば、軸方向中央部での周方向を6等分し、6等分したうちの中央になる位置を測定した値の平均値である。
【0027】
突出山高さSpkは、ISO25178-2:2012に定義された三次元表面性状を表すパラメータであり、三次元表面粗さプロファイルにより算出される。測定した表面の粗さ曲線においてコア部の上にある突出山部の平均高さのことである。レーザーマイクロスコープ(VK-X150、キーエンス社製)により、対物レンズ倍率20倍、測定サイズ2048×1536ピクセル(0.34μm/ピクセル)、測定ピッチ0.75μmで観察した画像から、画像全体の曲面補正をして3次元計測をすることで算出することができる。突出山高さSpkは、軸方向の異なる位置で3か所測定し、その平均値を算出する。突出山高さSpkは、例えば、軸方向を3等分し、3等分したうちの中央部を測定した値の平均値である。
【0028】
本実施形態に係る帯電部材は、画像スジの発生を抑制するとともに、電子写真感光体の表面の摩耗が抑制される観点で、表面層の表面において、周方向でのRzとSmとの比(Sm/Rz)をAとし、軸方向でのRzとSmとの比(Sm/Rz)をBとしたとき、Bに対するAの比(A/B)が、0.8≦A/B≦1.2であることが好ましく、0.9≦A/B≦1.1であることがより好ましい。
【0029】
本実施形態に係る帯電部材は、画像スジの発生を抑制するとともに、電子写真感光体の表面の摩耗が抑制される観点で、SmとSpkとの比(Sm/Spk)が、25≦Sm/Spk≦75であることが好ましく、30≦Sm/Spk≦60であることがより好ましい。Sm/Spkは、表面層の表面において、軸方向でのSmと軸方向でのSpkの比を表す。
【0030】
本実施形態に係る帯電部材は、表面層に、凹凸形成用粒子を含むことがより好ましい。表面層に凹凸形成用粒子を含ませることにより、前述のSm/Rzの範囲、前述のSpk上限値、前述のA/Bの範囲、及び、前述のSm/Spkの範囲を満足する帯電部材の作製が容易になる。
また、凹凸形成用粒子の種類や含有量、各層の層形成時の形成温度や時間を選択することにより、表面層における目的とする凹凸形状を形成し、Sm/Rz比、Spk、A/B比、及び、Sm/Spk比を調整してもよい。
凹凸形成用粒子の粒子径と表面層の膜厚の組合せで、これら特性を調整してもよい。さらに、表面層に凹凸形成用粒子を含み、弾性層の軸方向での十点平均粗さRz2を調整することで、これら特性を調整してもよい。または、表面層に凹凸形成用粒子を含まず、弾性層に凹凸形成用粒子を含むことで、弾性層の表面層側の表面に凹凸を形成し、これによって表面層のRz、Sm及びSpkを調整してもよい。または、表面層に凹凸形成用粒子を含まず、弾性層を研磨することで弾性層の表面層側の表面に凹凸を形成し、これによって表面層のRz、Sm及びSpkを調整してもよい。
【0031】
(凹凸形成用粒子)
表面層に含まれる凹凸形成用粒子の材質としては、特に制限はなく、無機粒子であっても、有機粒子であってもよい。
表面層に含まれる前記凹凸形成用粒子として、具体的には、シリカ粒子、アルミナ粒子、ジルコン(ZrSiO)粒子等の無機粒子、及び、ポリアミド粒子、フッ素樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子等の樹脂粒子が挙げられる。
中でも、表面層に含まれる前記凹凸形成用粒子は、画像スジの発生を抑制する観点で、樹脂粒子であることがより好ましく、ポリアミド粒子であることがさらに好ましい。
前記凹凸形成用粒子は、表面層に、1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
【0032】
また、表面層は、画像スジの発生を抑制するとともに、電子写真感光体の表面の摩耗が抑制される観点で、凹凸形成用粒子として、体積平均粒径が5μm以上20μm以下である凹凸形成用粒子を、結着樹脂100質量部に対して5質量部以上30質量部以下で含有することが好ましい。また、体積平均粒径が5μm以上10μm以下である凹凸形成用粒子を、結着樹脂100質量部に対して8質量部以上20質量部以下で含有することがより好ましい。
【0033】
本実施形態における粒子の体積平均粒径の測定方法は、層を切り出した試料を用い、電子顕微鏡により観察し、粒子の100個の直径(最大径)を測定し、それを体積平均することにより算出する。また、平均粒径は、例えば、シスメックス社製ゼータサイザーナノZSを用いて測定してもよい。
【0034】
本実施形態に係る帯電部材は、表面層に凹凸形成用粒子を含む場合、表面層のみに含有していてもよく、表面層と弾性層との両層に含有していてもよい。
【0035】
[導電性基材]
導電性基材は、帯電部材の電極及び支持体として機能する。
導電性基材としては、例えば、アルミニウム、銅合金、ステンレス鋼等の金属または合金;クロム、ニッケル等で鍍金処理を施した鉄;導電性の樹脂などの導電性の材質で構成されたものが用いられる。本実施形態における導電性基材は、帯電ロールの電極及び支持部材として機能するものであり、例えば、その材質としては鉄(快削鋼等)、銅、真鍮、ステンレス、アルミニウム,ニッケル等の金属が挙げられる。本実施形態においては、前記導電性基材は、導電性の棒状部材であり、前記導電性基材としては、外周面にメッキ処理を施した部材(例えば樹脂や、セラミック部材)、導電剤が分散された部材(例えば樹脂や、セラミック部材)等も挙げられる。前記導電性基材は、中空状の部材(筒状部材)であってもよく、非中空状の部材であってもよい。
【0036】
[弾性層]
弾性層は、例えば、弾性材料と、導電剤と、を含む導電性の層である。弾性層は、必要に応じて、その他添加剤を含んでもよい。
【0037】
弾性層は、単層でもよく、複数の層が積層した積層体でもよい。弾性層は、導電性の発泡弾性層でもよく、導電性の非発泡弾性層でもよく、導電性の発泡弾性層と導電性の非発泡弾性層とが積層されていてもよい。
【0038】
弾性材料としては、例えば、ポリウレタン、ニトリルゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン-プロピレンゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、エピクロロヒドリンゴム、エピクロロヒドリン-エチレンオキシドゴム、エピクロロヒドリン-エチレンオキシド-アリルグリシジルエーテルゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、塩素化ポリイソプレン、水素化ポリブタジエン、ブチルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、及びこれらを混合した弾性材料が挙げられる。これらの弾性材料の中でも、ポリウレタン、シリコーンゴム、ニトリルゴム、エピクロロヒドリンゴム、エピクロロヒドリン-エチレンオキシドゴム、エピクロロヒドリン-エチレンオキシド-アリルグリシジルエーテルゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、及びこれらを混合した弾性材料が好ましい。
【0039】
導電剤としては、電子導電剤とイオン導電剤とが挙げられる。
電子導電剤としては、ファーネスブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、カラーブラック等のカーボンブラック;熱分解カーボン;グラファイト;アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス鋼等の金属又は合金;酸化スズ、酸化インジウム、酸化チタン、酸化スズ-酸化アンチモン固溶体、酸化スズ-酸化インジウム固溶体等の金属酸化物;絶縁物質の表面を導電化処理した物質;などの粉末が挙げられる。
イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリアルキルアンモニウム等の過塩素酸塩又は塩素酸塩;リチウム、マグネシウム等のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属の過塩素酸塩又は塩素酸塩;などが挙げられる。
導電剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
導電剤は、例えば、平均一次粒径が1nm以上200nm以下であることが好ましい。
【0040】
弾性層における電子導電剤の含有量は、弾性材料100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下が好ましく、15質量部以上25質量部以下がより好ましい。
弾性層におけるイオン導電剤の含有量は、弾性材料100質量部に対して、0.1質量部以上5質量部以下が好ましく、0.5質量部以上3質量部以下がより好ましい。
なお、平均粒子径は、弾性層を切り出した試料を用い、電子顕微鏡により観察し、導電剤の100個の直径(最大径)を測定し、それを平均することにより算出する。また、平均粒径は、例えば、シスメックス社製ゼータサイザーナノZSを用いて測定してもよい。
【0041】
導電剤の含有量は特に制限はないが、上記電子導電剤の場合は、弾性材料100質量部に対して、1質量部以上30質量部以下の範囲であることが好ましく、15質量部以上25質量部以下の範囲であることがより好ましい。一方、上記イオン導電剤の場合は、弾性材料100質量部に対して、0.1質量部以上5.0質量部以下の範囲であることが好ましく、0.5質量部以上3.0質量部以下の範囲であることがより好ましい。
【0042】
弾性層に配合されるその他添加剤としては、例えば、軟化剤、可塑剤、硬化剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、酸化防止剤、界面活性剤、カップリング剤、充填剤(シリカ、炭酸カルシウム、粘土鉱物等)等が挙げられる。
【0043】
弾性層の厚さは、1mm以上10mm以下が好ましく、2mm以上5mm以下がより好ましい。
弾性層の体積抵抗率は、1×10Ωcm以上1×1014Ωcm以下が好ましい。
【0044】
なお、弾性層の体積抵抗率は、次に示す方法により測定された値である。
弾性層からシート状の測定試料を採取し、その測定試料に対し、JIS K 6911(1995)に従って、測定治具(R12702A/Bレジスティビティ・チェンバ:アドバンテスト社製)と高抵抗測定器(R8340Aデジタル高抵抗/微小電流計:アドバンテスト社製)とを用い、電場(印加電圧/組成物シート厚)が1000V/cmになるよう調節した電圧を30秒印加した後、その流れる電流値より、下記式を用いて算出する。
体積抵抗率(Ωcm)=(19.63×印加電圧(V))/(電流値(A)×測定試料厚(cm))
【0045】
弾性層は、画像スジの発生を抑制するとともに、電子写真感光体の表面の摩耗が抑制される観点で、表面層側の表面(つまり、表面層を除く弾性層の表面)において、軸方向での十点平均粗さRz2が、3≦Rz2≦10であることが好ましい。Rz2は、4≦Rz2≦8であることがより好ましく、4≦Rz2≦6であることがさらに好ましい。
【0046】
弾性層の表面層側の表面において、軸方向での凹凸間距離Sm2は、画像スジの発生を抑制する観点で、50μm≦Sm2≦250μmであることが好ましく、80μm≦Sm2≦200μmであることがより好ましい。
【0047】
弾性層の表面層側の表面において、軸方向での突出山高さSpk2は、Spk2≦5μmであることが好ましく、Spk2≦4μmであることがより好ましく、Spk2≦3.5μmであることが更に好ましい。弾性層の表面層側の表面において、突出山高さSpk2の下限値は、例えば、2μm以上であってもよい(つまり、Spk2は、2μm≦Spk2≦5μmであってもよい)。
【0048】
弾性層は、表面層に凹凸形成用粒子を含有させる必要がなくなり、その結果、表面層に含まれる凹凸形成用粒子への応力集中を回避し、表面層へのクラックの発生を抑制する観点から、表面層側の表面(つまり、表面層を除く弾性層の表面)において、軸方向での十点平均粗さRz2に対する凹凸間距離Sm2の比、及び突出山高さSpk2が、15≦Sm2/Rz2≦35、かつ、Spk2≦5μmであることが好ましい。
【0049】
弾性層の表面層側の表面において、軸方向でのSm2とSpk2との比(Sm2/Spk2)は、画像スジの発生を抑制する観点から、25≦Sm2/Spk2≦75であることが好ましく、30≦Sm2/Spk2≦60であることがより好ましい。
【0050】
Rz2、Sm2及びSpk2を上記範囲とするには、例えば、導電性基材上に弾性層を形成した後、弾性層表面の研磨条件を調整することによって、制御することが挙げられる。または、弾性層に凹凸形成用粒子を含むことで、Rz2、Sm2及びSpk2を上記範囲に調整してもよい。
【0051】
弾性層は、表面層に凹凸形成用粒子を含有させる必要がなくなり、その結果、表面層に含まれる凹凸形成用粒子への応力集中を回避し、表面層へのクラックの発生を抑制する観点から、表面層側の表面(つまり、表面層を除く弾性層の表面)において、周方向での十点平均粗さRz2に対する凹凸間距離Sm2の比(Sm2/Rz2)をA2とし、軸方向での十点平均粗さRz2に対する凹凸間距離Sm2の比(Sm2/Rz2)をB2としたとき、B2に対するA2の比が、0.8≦A2/B2≦1.2であることが好ましく、0.9≦A2/B2≦1.1であることがより好ましい。
【0052】
Rz2、Sm2及びSpk2の測定方法は、まず、測定対象となる帯電部材の表面層を除去することが可能な有機溶剤(例えば、メタノール等のアルコール溶剤)で溶解して弾性層を露出させる。次に、露出させた弾性層の表面を、前述の十点平均粗さRz、凹凸間距離Sm及び突出山高さSpkの測定方法と同様な方法によって測定する。
【0053】
弾性層に含まれる凹凸形成用粒子の形態としては、表面層に含まれる凹凸形成用粒子と同様の形態が挙げられる。
弾性層は、体積平均粒径が5μm以上20μm以下である凹凸形成用粒子を、弾性材料100質量部に対して5質量部以上30質量部以下で含有することが好ましい。弾性層は、体積平均粒径が5μm以上10μm以下である凹凸形成用粒子を、弾性材料100質量部に対して8質量部以上20質量部以下で含有することがより好ましい。
【0054】
弾性層を、導電性基材上に形成する方法としては、例えば、弾性材料、導電剤、その他添加剤を混合した弾性層形成用組成物と、円筒状の導電性基材とを、共に押出成形機から押出して、導電性基材の外周面上に弾性層形成用組成物の層を形成し、次いで、弾性層形成用組成物の層を加熱して架橋反応させ弾性層とする方法;無端ベルト状の導電性基材の外周面に、弾性材料、導電剤、その他添加剤を混合した弾性層形成用組成物を押出成形機から押出して、導電性基材の外周面上に弾性層形成用組成物の層を形成し、次いで、弾性層形成用組成物の層を加熱して架橋反応させ弾性層とする方法;などが挙げられる。導電性基材は、その外周面に接着層を有していてもよい。
【0055】
[表面層]
本実施形態に係る帯電部材は、弾性層上に表面層を更に有する。表面層は、例えば、樹脂を含む層である。表面層は、必要に応じて、その他添加剤等を含んでもよい。
表面層に用いることのできる前記結着樹脂としては、ウレタン樹脂、ポリエステル、フェノール、アクリル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、セルロース等が挙げられる。
表面層の抵抗率を適当な値に調整するために導電性粒子を含有させる場合が多い。
導電性粒子としては、粒径が3μm以下で体積抵抗率が10Ωcm以下であるものが好ましい。例えば、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛等の金属酸化物、若しくはそれらの合金からなる粒子、又はカーボンブラック等を用いられる。
【0056】
前記表面層の厚さは、2μm以上15μm以下が好ましく、2μm以上10μm以下がより好ましく、3μm以上8μm以下がさらに好ましい。
表面層の体積抵抗率は、1×10Ωcm以上1×10Ωcm以下が好ましい。
【0057】
表面層の塗布方法としては、ロール塗布法、ブレード塗布法、ワイヤーバー塗布法、スプレー塗布法、浸漬塗布法、ビード塗布法、エアーナイフ塗布法、カーテン塗布法等の通常の方法を用いることができる。ロール塗布法は端部ダレを生じないため、端部付近を中央部付近より厚くする本発明に好ましく適用される。また、浸漬塗布法は端部ダレが生じるものの、欠陥の少ない膜を効率的に形成できるため好ましく適用される。
【0058】
[接着層]
本実施形態に係る帯電部材は、導電性基材と弾性層との間に、接着層を有していてもよい。
弾性層と導電性基材との間に介在する接着層としては、樹脂層が挙げられ、具体的には、ポリオレフィン、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ニトリルゴム、塩素ゴム、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエステル、フェノール樹脂、シリコーン樹脂等の樹脂層が挙げられる。接着層は、導電剤(例えば、前述の電子導電剤又はイオン導電剤)を含有していてもよい。
【0059】
接着層の厚さは、密着性の観点から、1μm以上100μm以下が好ましく、2μm以上50μm以下がより好ましく、5μm以上20μm以下が特に好ましい。
【0060】
<帯電装置、画像形成装置、及び、プロセスカートリッジ>
本実施形態に係る帯電装置は、本実施形態に係る帯電部材を有し、接触帯電方式により電子写真感光体を帯電させる帯電装置である。
本実施形態に係る画像形成装置は、本実施形態に係る帯電装置を有するものであれば特に制限されず、電子写真感光体と、本実施形態に係る帯電部材を有し、接触帯電方式により電子写真感光体を帯電させる帯電装置を備える。すなわち、本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体と、本実施形態に係る帯電部材を有し、接触帯電方式により前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、帯電した前記電子写真感光体の表面に潜像を形成する潜像形成装置と、前記電子写真感光体の表面に形成された潜像を、トナーを含む現像剤により現像して、前記電子写真感光体の表面にトナー像を形成する現像装置と、
前記電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写装置と、
を備える。
【0061】
本実施形態に係る画像形成装置に適用される帯電装置は、直流電圧のみを印加する方式(DC帯電方式)、交流電圧のみを帯電部材に印加する方式(AC帯電方式)、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧を帯電部材に印加する方式(AC/DC帯電方式)のいずれでもよい。
【0062】
なお、帯電装置が、交流電圧を印加する方式の装置である場合(つまり、AC帯電方式、及びAC/DC帯電方式)、交流電圧を印加する方式では、交流電圧が印加されるため、DC帯電方式と比べて、感光体への放電量が増加する。そのため、交流電圧を印加する方式の帯電装置の場合、感光体表面の摩耗を生じさせやすくなる傾向がある。これに対し、本実施形態の帯電部材は、前述のように、画像スジの発生を抑制し、電子写真感光体の表面の摩耗を抑制する。このため、帯電装置が交流電圧を印加する直接帯電方式の帯電装置であっても、本実施形態に係る帯電部材を適用することで、画像スジの発生を抑制するとともに、電子写真感光体の表面の摩耗が抑制されやすい。また、感光体表面の摩耗は、アルミニウムなどの導電性基体と、導電性基体上に設けられ、結着樹脂、電荷発生材料、電荷輸送材料など公知の材料を含む感光層とを備えた有機感光体で顕著にみられるが、感光体が有機感光体であっても、本実施形態に係る帯電部材を適用することで、画像スジの発生を抑制するとともに、電子写真感光体の表面の摩耗が抑制されやすい。
【0063】
本実施形態に係る画像形成装置は、トナー像を記録媒体に定着させる定着装置;トナー像の転写後、帯電前の感光体の表面をクリーニングするクリーニング装置;トナー像の転写後、帯電前に感光体の表面に光を照射して除電する除電装置;から選ばれる少なくとも1つをさらに備えていてもよい。
【0064】
本実施形態に係る画像形成装置は、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に直接転写する直接転写方式の装置、及び、電子写真感光体の表面に形成されたトナー像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置、のいずれでもよい。
【0065】
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、画像形成装置に着脱されるカートリッジであり、本実施形態に係る帯電部材を有し、接触帯電方式により電子写真感光体を帯電させる帯電装置を備える。すなわち、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、電子写真感光体と、本実施形態に係る帯電部材を有し、接触帯電方式により前記電子写真感光体を帯電させる帯電装置と、を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、現像装置、感光体のクリーニング装置、感光体の除電装置、転写装置等から選択される少なくとも1つの装置を更に備えていてもよい。
【0066】
以下、本実施形態に係る帯電装置、画像形成装置及びプロセスカートリッジの構成を、図面を参照しながら説明する。
【0067】
図2は、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。図2は、直接転写方式の画像形成装置を示す概略図である。図3は、本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。図3は、中間転写方式の画像形成装置を示す概略図である。
【0068】
図2に示す画像形成装置200は、電子写真感光体(単に「感光体」ともいう。)207と、感光体207表面を帯電させる帯電装置208と、帯電装置208に接続した電源209と、感光体207表面を露光して潜像を形成する露光装置206と、感光体207上の潜像を、トナーを含む現像剤により現像する現像装置211と、感光体207上のトナー像を記録媒体500に転写する転写装置212と、トナー像を記録媒体500に定着させる定着装置215と、感光体207上に残留したトナーを除去するクリーニング装置213と、感光体207表面を除電する除電装置214と、を備える。除電装置214は、備えられていなくてもよい。
【0069】
図3に示す画像形成装置210は、感光体207と、帯電装置208と、電源209と、露光装置206と、現像装置211と、感光体207上のトナー像を記録媒体500に転写する1次転写部材212a及び2次転写部材212bと、定着装置215と、クリーニング装置213と、を備える。画像形成装置210は、画像形成装置200と同様に除電装置を備えていてもよい。
【0070】
帯電装置208は、ロール状の帯電部材からなり、感光体207の表面に接触して、感光体207の表面を帯電させる、接触帯電方式の帯電装置である。帯電装置208には、電源209から、直流電圧のみが印加される、交流電圧のみが印加される又は、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が印加される。
【0071】
露光装置206としては、半導体レーザ、LED(light emitting diode)等の光源を備える光学系装置が挙げられる。
【0072】
現像装置211は、トナーを感光体207に供給する装置である。現像装置211は、例えば、ロール状の現像剤保持体を感光体207に接触又は近接させて、感光体207上の潜像にトナーを付着させてトナー像を形成する。
【0073】
転写装置212としては、例えば、コロナ放電発生器、記録媒体500を介して感光体207に押圧する導電性ロールが挙げられる。
【0074】
1次転写部材212aとしては、例えば、感光体207に接触して回転する導電性ロールが挙げられる。2次転写部材212bとしては、例えば、記録媒体500を介して1次転写部材212aに押圧する導電性ロールが挙げられる。
【0075】
定着装置215としては、例えば、加熱ロールと、該加熱ロールに押圧する加圧ロールとを備える加熱定着装置が挙げられる。
【0076】
クリーニング装置213としては、クリーニング部材として、ブレード、ブラシ、ロール等を備える装置が挙げられる。クリーニングブレードの材質としては、ウレタンゴム、ネオプレンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。
【0077】
除電装置214は、例えば、転写後の感光体207表面に光を照射して、感光体207の残留電位を除電する装置である。除電装置214は、備えられていなくてもよい。
【0078】
図4は、本実施形態に係る画像形成装置の他の一例を示す概略構成図である。図4は、4つの画像形成ユニットを並列配置したタンデム方式且つ中間転写方式の画像形成装置を示す概略図である。
【0079】
画像形成装置220は、ハウジング400内に、各色のトナーに対応する4つの画像形成ユニットと、レーザ光源を備える露光装置403と、中間転写ベルト409と、2次転写ロール413と、定着装置414と、クリーニングブレード416を有するクリーニング装置と、を備える。
【0080】
4つの画像形成ユニットは同じ構成を有するため、これらを代表して、感光体401aを含む画像形成ユニットの構成を説明する。
感光体401aの周囲には、感光体401aの回転方向に順に、帯電ロール402a、現像装置404a、1次転写ロール410a、クリーニングブレード415aが配置されている。1次転写ロール410aは、中間転写ベルト409を介して感光体401aに押圧している。現像装置404aには、トナーカートリッジ405aに収容されたトナーが供給される。
【0081】
帯電ロール402aは、感光体401aの表面に接触して、感光体401aの表面を帯電させる、接触帯電方式の帯電装置である。帯電ロール402aには、電源から、直流電圧のみが印加される、交流電圧のみが印加される、又は、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が印加される。
【0082】
中間転写ベルト409は、駆動ロール406、張架ロール407及び背面ロール408により張架されており、これらのロールの回転により走行する。
【0083】
2次転写ロール413は、中間転写ベルト409を介して背面ロール408に押圧するように配置されている。
【0084】
定着装置414は、例えば、加熱ロールと加圧ロールとを備える加熱定着装置である。
【0085】
クリーニングブレード416は、中間転写ベルト409上に残留したトナーを除去する部材である。クリーニングブレード416は、背面ロール408の下流に配置されており、転写後の中間転写ベルト409上に残留したトナーを除去する。
【0086】
ハウジング400内には、記録媒体500を収容するトレイ411が設けられている。トレイ411内の記録媒体500は、搬送ロール412により中間転写ベルト409と2次転写ロール413との接触部に搬送され、さらには定着装置414に搬送され、記録媒体500上に画像が形成される。画像形成後の記録媒体500は、ハウジング400の外部に排出される。
【0087】
図5は、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示す概略図である。図5に示すプロセスカートリッジ300は、例えば、露光装置、転写装置及び定着装置を備える画像形成装置本体に着脱される。
【0088】
プロセスカートリッジ300は、感光体207と、帯電装置208と、現像装置211と、クリーニング装置213とが、ハウジング301によって一体化されている。ハウジング301には、画像形成装置に着脱するための取り付けレール302と、露光のための開口部303と、除電露光のための開口部304とが設けられている。
【0089】
プロセスカートリッジ300が備える帯電装置208は、ロール状の帯電部材からなり、感光体207の表面に接触して、感光体207の表面を帯電させる、接触帯電方式の帯電装置である。プロセスカートリッジ300が画像形成装置に装着され画像形成を行う際に、帯電装置208には、電源から、直流電圧のみが印加される、交流電圧のみが印加される、又は、直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が印加される。
【0090】
<現像剤、トナー>
本実施形態に係る画像形成装置に適用される現像剤は、特に限定されない。現像剤は、トナーのみを含む一成分現像剤でもよく、トナーとキャリアとを混合した二成分現像剤でもよい。
【0091】
現像剤に含まれるトナーは、特に限定されない。トナーは、例えば、結着樹脂、着色剤、離型剤を含む。トナーの結着樹脂としては、例えば、ポリエステル、スチレン-アクリル樹脂が挙げられる。
【0092】
トナーは、外添剤が外添されていてもよい。トナーの外添剤としては、例えば、シリカ、チタニア、アルミナ等の無機粒子が挙げられる。
【0093】
トナーは、トナー粒子を製造し、そのトナー粒子に外添剤を外添して調製する。トナー粒子の製造方法としては、混練粉砕法、凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法などが挙げられる。トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
【0094】
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)は、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
【0095】
二成分現像剤に含まれるキャリアは、特に限定されない。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散して配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;が挙げられる。
【0096】
二成分現像剤におけるトナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
【実施例
【0097】
以下、実施例により発明の実施形態を詳細に説明するが、発明の実施形態は、これら実施例に何ら限定されるものではない。以下の説明において、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0098】
<実施例1>
〔帯電部材の作製〕
-導電性基材の準備-
SUM23L製の基材に5μmの厚さの無電解ニッケルメッキ後、6価クロム酸を施し直径8mmの導電性基材を得た。
【0099】
-接着層の形成-
次いで、下記混合物をボールミルで1時間混合後、刷毛塗りにより前記導電性基材表面に膜厚10μmの接着層を形成した。
・塩素化ポリプロピレン樹脂(無水マレイン酸塩素化ポリプロピレン樹脂、スーパークロン930、日本製紙ケミカル(株)製):100部
・エポキシ樹脂(EP4000、(株)ADEKA製):10部
・導電剤(カーボンブラック、ケッチェンブラックEC、ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製):2.5部
なお、粘度調整には、トルエン又はキシレンを用いた。
【0100】
-弾性層の形成-
・エピクロロヒドリンゴム(Hydrin T3106、日本ゼオン(株)製):100質量部
・カーボンブラック(旭♯60、旭カーボン(株)製):6質量部
・炭酸カルシウム(ホワイトンSB、白石カルシウム(株)製):20質量部
・イオン導電剤(BTEAC、ライオン(株)製):5質量部
・加硫促進剤:ステアリン酸(日油(株)製):1質量部
・加硫剤:硫黄(パルノックR、大内新興化学工業(株)製):1質量部
・加硫促進剤:酸化亜鉛:1.5質量部
上記に示した組成の混合物を、接線式加圧ニーダーを用いて混練してストレーナーを通過させゴム組成物を調製した。得られたゴム組成物をオープンロールで混練りし、準備した導電性基材の表面に、接着層を介して押出し成形機を用いて直径12mmのロールを形成した後、175℃で70分間加熱、ロール状の弾性層を得た。次いで、軸方向での十点平均粗さRz2が表1に示す値となるように、得られた弾性層を研磨した。
【0101】
-表面層の形成-
・結着樹脂:N-メトキシメチル化ナイロン1(商品名:FR101、(株)鉛市製):100質量部
・導電剤:カーボンブラック(体積平均粒径:43nm、商品名:MONAHRCH1000、キャボット社製):15質量部
・凹凸形成用粒子:ポリアミド粒子(体積平均粒径10μm、商品名:Orgasol2001EXDNat1、アルケマ社製):12質量部
上記組成の混合物をメタノールで希釈し、ビーズミルにて下記条件にて分散した。
・ビーズ材質:ガラス
・ビーズ径:1.3mm
・プロペラ回転数:2,000rpm
・分散時間:60分
上記で得られた分散液を前記弾性層の表面にブレードコート法で塗布した後、150℃で30分間加熱乾燥し、膜厚10μmの表面層を形成し、実施例1の帯電ロールを得た。
【0102】
<実施例2~9>
表1にしたがって、凹凸形成用粒子の配合量を変更した以外は実施例1と同様にして各実施例の帯電ロールを得た。
【0103】
<実施例10>
凹凸形成用粒子をポリアミド粒子(体積平均粒径20μm、商品名:Orgasol2002DNat1、アルケマ社製)とし、配合量を6部とし、膜厚を15μmとした以外は、実施例1と同様にして、実施例6の帯電ロールを得た。
【0104】
<実施例11、12>
表1にしたがって、凹凸形成用粒子の配合量を変更した以外は実施例10と同様にして各実施例の帯電ロールを得た。
【0105】
<実施例13>
凹凸形成用粒子として、ポリアミド粒子をSiO粒子(体積平均粒子径12μm、サンスフェアH121、AGC エスアイテック(株)製)とし、配合量を10質量部とした以外は、実施例1と同様にして、実施例13の帯電ロールを得た。
【0106】
<比較例1>
凹凸形成用粒子の配合量を10部とした以外は実施例10と同様にして比較例1の帯電ロールを得た。
【0107】
<比較例2、3>
凹凸形成用粒子をポリアミド粒子(体積平均粒径5μm、商品名:Orgasol2001UDNat1、アルケマ社製)とし、表1に示す配合量とした以外は実施例1と同様にして各比較例の帯電ロールを得た。
【0108】
<比較例4、5>
表1にしたがって、弾性層における軸方向でのRz2を変更した以外は、実施例1と同様にして各比較例の帯電ロールを得た。
【0109】
<実施例101>
〔帯電部材の作製〕
-導電性基材の準備-
実施例1と同様にして導電性基材を得た。
【0110】
-接着層の形成-
実施例1と同様にして接着層を形成した。
【0111】
-弾性層の形成-
実施例1と同様にして弾性層を形成した。次いで、Rz2、Sm2、Spk2が表2に示す値となるように、得られた弾性層を研磨した。
【0112】
-表面層の形成-
実施例1と同様にして、但し、凹凸形成用粒子を使用せずに表面層を形成し、各実施例の帯電ロールを得た。
【0113】
<実施例102~113>
実施例101と同様にして、但し、Rz2、Sm2、Spk2が表2に示す値となるように弾性層を研磨して、各実施例の帯電ロールを得た。
【0114】
<比較例101~105>
実施例101と同様にして、但し、Rz2、Sm2、Spk2が表2に示す値となるように弾性層を研磨して、各比較例の帯電ロールを得た。
【0115】
[表面層と弾性層の表面性状]
表面層の表面における軸方向でのRz、Sm及びSpk並びに周方向でのRz及びSmは、既述の方法で測定し、Sm/Rz、Sm/Spk、A/Bを算出した。表1に測定結果を示す。
弾性層の表面層側の表面における軸方向でのRz2、Sm2及びSpk2並びに周方向でのRz2及びSm2は、既述の方法で測定し、Sm2/Rz2、Sm2/Spk2、A2/B2を算出した。表2に測定結果を示す。
【0116】
[画像スジ評価]
画像形成装置(DocuCentre-V C7776)の改造機に、上記実施例又は比較例で得られた帯電ロールを組みこんで、低温低湿(10℃15%RH)の条件下にて画像密度20%のA4ハーフトーン画像を200,000枚出力した後、画像密度60%のハーフトーン画像を1枚出力した。1枚出力した画像密度60%のハーフトーン画像上に発生した、帯電ロールの汚染を起因とする画像スジのレベルから、G0~G4で評価した。G0~G3で使用上問題無いレベルである。表1及び表2に評価結果を示す。
【0117】
[感光体表面の摩耗評価]
画像スジ評価後の感光体の膜厚を渦電流式膜厚測定機(フィッシャースコープMMS)にて測定し、摩耗厚みを感光体走行サイクルで除算して摩耗レートを算出した。摩耗レートは低いほうが摩耗が少ないことを表す。表1及び表2に評価結果を示す。
【0118】
【表1】
【0119】
【表2】
【0120】
表中の「周方向A/軸方向B」は、表面層の表面における、軸方向での(Sm/Rz)比Bに対する周方向での(Sm/Rz)比Aの比(A/B)を表す。
表中の「周方向A2/軸方向B2」は、弾性層の表面層側の表面における、軸方向での(Sm2/Rz2)比B2に対する周方向での(Sm2/Rz2)比A2の比(A2/B2)を表す。
表中の「PA粒子」はポリアミド粒子を表す。
【0121】
上記評価結果から、本実施例は、比較例に比べ、画像スジ評価の評価が良好であり、かつ、感光体表面の摩耗評価が良好であることがわかる。
【符号の説明】
【0122】
208A 帯電部材、30 導電性基材、31 弾性層、32 表面層
【0123】
200,210,220 画像形成装置、206 露光装置、207 電子写真感光体(感光体)、208 帯電装置、209 電源、211 現像装置、212 転写装置、212a 1次転写部材、212b 2次転写部材、213 クリーニング装置、214 除電装置、215 定着装置、500 記録媒体
【0124】
400 ハウジング、401a,401b,401c,401d 感光体、402a,402b,402c,402d 帯電ロール、403 露光装置、404a,404b,404c,404d 現像装置、405a,405b,405c,405d トナーカートリッジ、406 駆動ロール、407 張架ロール、408 背面ロール、409 中間転写ベルト、410a,410b,410c,410d 1次転写ロール、411 トレイ、412 搬送ロール、413 2次転写ロール、414 定着装置、415a,415b,415c,415d クリーニングブレード、416 クリーニングブレード
【0125】
300 プロセスカートリッジ、301 ハウジング、302 取り付けレール、303 露光のための開口部、304 除電露光のための開口部
図1
図2
図3
図4
図5