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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】トレイ
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/22 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
B65D5/22 C
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020053700
(22)【出願日】2020-03-25
(65)【公開番号】P2021151889
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2022-06-24
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】夏川 準司
(72)【発明者】
【氏名】中路 哲也
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】実公昭45-012226(JP,Y1)
【文献】実公昭49-026587(JP,Y1)
【文献】特開2014-097810(JP,A)
【文献】特開2009-202882(JP,A)
【文献】実公平05-013712(JP,Y2)
【文献】特開2018-188153(JP,A)
【文献】特開2015-058937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
段ボール製のシートによって形成されているトレイであって、
底板と、
前記底板の前後の縁部に立ち上げられた前後の外壁と、
前記外壁の上縁部に連設され、前記外壁の内面側に折り返された内壁と、
前記底板の左右の縁部に立ち上げられた左右の側壁と、
隣り合う前記外壁の側縁部と前記側壁の側縁部とに連設され、前記外壁と前記内壁との間に折り畳まれた状態で挟まれている中間壁と、を備え、
前記中間壁は、
前記外壁の側縁部に連設され、前記外壁の内面に重ねられた第一板部と、
前記側壁の側縁部に連設され、前記第一板部の内面に重ねられた第二板部と、を備え、
前記第一板部と前記第二板部とは、中間折れ線を介して連設され、
前記中間折れ線の下端部は、前記外壁の側縁部の下端部と前記側壁の側縁部の下端部との交点に接続されており、
前記外壁の側縁部と前記中間折れ線との間の角度よりも、前記側壁の側縁部と前記中間折れ線との間の角度が大きく形成されており、
前記外壁と前記第一板部とは、第一折れ線を介して連設され、
前記第一折れ線は、前記外壁の段ボールの段目に沿って形成されており、
前記第一板部には、前記第一折れ線に平行して他の折れ線が形成されていることを特徴とするトレイ。
【請求項2】
請求項1に記載のトレイであって、
前記第一板部および前記第二板部の厚さは、潰し加工により前記外壁および前記側壁の厚さよりも薄く形成されていることを特徴とするトレイ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のトレイであって、
前記中間折れ線の上端部には切れ込みが形成されていることを特徴とするトレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイに関する。
【背景技術】
【0002】
段ボール製のトレイとしては、底板と、前後の外壁と、外壁の内面側に折り返された内壁と、左右の側壁と、外壁と側壁との間に連設された中間壁と、を備え、中間壁が折り畳まれた状態で外壁と内壁との間に挟まれているものがある(例えば、特許文献1参照)。
従来のトレイの中間壁は、正方形に形成されており、外壁の側縁部の下端部と側壁の側縁部の下端部との交点から中間壁の対角線上に中間折れ線が形成されている。そして、中間壁は、中間折れ線において二つ折りに折り畳まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許6410248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来のトレイを組み立てるときには、ブランクシートの底板に対して外壁および側壁を立ち上げて中間壁を折り畳んだ後に、内壁を外壁の内面側に折り返している。
従来のトレイでは、中間壁を折り畳んだときに、中間壁が外壁の内面から大きく離れてしまうため、作業者は中間壁を外壁の内面に押さえ付けながら、内壁を外壁の内面側に折り返して、外壁と内壁との間に中間壁を挟んでいる。したがって、従来のトレイは組み立て作業が煩雑になるという問題がある。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、容易に組み立てることができるトレイを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、段ボール製のシートによって形成されているトレイであって、底板と、前記底板の前後の縁部に立ち上げられた前後の外壁と、前記外壁の上縁部に連設され、前記外壁の内面側に折り返された内壁と、前記底板の左右の縁部に立ち上げられた左右の側壁と、を備えている。また、前記トレイは、隣り合う前記外壁の側縁部と前記側壁の側縁部とに連設され、前記外壁と前記内壁との間に折り畳まれた状態で挟まれている中間壁を備えている。前記中間壁は、前記外壁の側縁部に連設され、前記外壁の内面に重ねられた第一板部と、前記側壁の側縁部に連設され、前記第一板部の内面に重ねられた第二板部と、を備えている。前記第一板部と前記第二板部とは、中間折れ線を介して連設されている。前記中間折れ線の下端部は、前記外壁の側縁部の下端部と前記側壁の側縁部の下端部との交点に接続されている。前記外壁の側縁部と前記中間折れ線との間の角度よりも、前記側壁の側縁部と前記中間折れ線との間の角度が大きく形成されている。前記外壁と前記第一板部とは、第一折れ線を介して連設され、前記第一折れ線は、前記外壁の段ボールの段目に沿って形成されており、前記第一板部には、前記第一折れ線に平行して他の折れ線が形成されている
【0007】
本発明のトレイでは、中間壁の第一板部と第二板部とが均等に形成されておらず、第二板部の方が大きく形成されている。このようにすると、ブランクシートの底板に対して外壁および側壁を立ち上げて、外壁と側壁との間で中間壁が折り畳まれたときに、第二板部に押されて中間壁が外壁の内面側に移動する。このようにして、中間壁が外壁の内面に寄せられるため、作業者が内壁を外壁の内面側に折り返すときに、中間壁を外壁と内壁との間に挟み込み易くなる。
【0008】
本発明のトレイでは、外壁と側壁との間で中間壁が折り畳まれるときに、第一板部が外壁の内面側に傾き易くなるため、中間壁を外壁の内面に確実に寄せることができる。
【0009】
前記したトレイにおいて、前記第一板部および前記第二板部の厚さを潰し加工により前記外壁および前記側壁の厚さよりも薄く形成した場合には、中間壁を折り畳んだときの復元力が小さくなるため、中間壁を外壁の内面に確実に寄せることができる。
【0010】
前記したトレイにおいて、前記中間折れ線の上端部に切れ込みを形成して、中間折れ線を短くすると、中間壁を折り畳んだときの復元力が小さくなるため、中間壁を外壁の内面に確実に寄せることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明のトレイを組み立てるときに、外壁と側壁との間で中間壁を折り畳むと、中間壁が外壁の内面に寄せられるため、作業者が内壁を外壁の内面側に折り返すときに、中間壁を外壁と内壁との間に挟み易くなる。このように、本発明では、トレイを容易に組み立てることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る包装箱を前方左上から見た斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
図3】本発明の実施形態に係る包装箱の組み立て方法において、底板に対して側壁を立ち上げた状態を示した部分斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る包装箱の組み立て方法において、底板に対して外壁を立ち上げて中間壁を折り畳んだ状態を示した部分斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右方向とは、本実施形態のトレイを説明する上で便宜上設定したものであり、トレイの構成や使用状態を限定するものではない。
【0014】
本実施形態のトレイ1は、図1に示すように、底板10と、底板10に立ち上げられた前後の外壁20,20と、外壁20の内面側に折り返された内壁30と、底板10に立ち上げられた左右の側壁40,40と、を備えている。また、トレイ1は、四つの中間壁50を備えている。
【0015】
トレイ1は、図2に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートSを各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。図2に示すブランクシートSは内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートSの折れ線は、ブランクシートSの表面を線状に押し込んで形成された罫線(押罫)である。なお、罫線に断続的な切れ込みを形成してもよい。このようにすると、罫線においてブランクシートSを折り曲げ易くなる。
また、シートの表面のみを切断したハーフカットの切れ込みやシートを貫通した切れ込みを断続して線状に形成することで折れ線を構成してもよい。
【0016】
底板10は、図1に示すように、四角形に形成されている。底板10の前後方向の縁部において、左右方向の中央部には連結穴11が貫通している。連結穴11の前後方向の幅は、後記する内壁30の厚さの二倍以上に形成されている。
【0017】
前側の外壁20は、折れ線を介して底板10の前縁部に連設されている。後側の外壁20は、底板10の後縁部に折れ線を介して連設されている(図2参照)。前後の外壁20,20は、底板10の前後の縁部から上方に向けて延びている。前後の外壁20,20は、四角形の同じ形状に形成されている(図2参照)。
【0018】
外壁20の上縁部には、前後二本の折れ線を介して内壁30が連設されている。内壁30は、四角形に形成されている(図2参照)。内壁30は、外壁20の内面側に折り返されている。内壁30の下縁部は、底板10の上面に接している。
【0019】
内壁30の上縁部において、左右方向の中央部には上側連結部31が突出している。上側連結部31は、トレイ1に他のトレイ1を積み重ねたときに、他のトレイ1の底板10に形成された連結穴11に下側から差し込まれる。
内壁30の下縁部において、左右方向の中間部には下側連結部32(図2参照)が突出している。下側連結部32は、底板10の連結穴11に上側から差し込まれている。
【0020】
左側の側壁40は、折れ線を介して底板10の左縁部に連設されている。右側の側壁40は、底板10の右縁部に折れ線を介して連設されている。左右の側壁40,40は、底板10の左右の縁部から上方に向けて延びている。左右の側壁40,40は、四角形の同じ形状に形成されている(図2参照)。
【0021】
中間壁50は、隣り合う外壁20の側縁部と側壁40の側縁部とに連設されており、折り畳まれた状態で外壁20と内壁30との間に挟まれている。中間壁50は、図2に示すブランクシートSの状態では略四角形に形成されている。
【0022】
中間壁50は、外壁20の側縁部に連設された第一板部51と、側壁40の側縁部に連設された第二板部52と、を備え、第一板部51と第二板部52とが中間折れ線L10を介して連設されている。
【0023】
第一板部51および第二板部52の厚さは、潰し加工によりシートを表裏から圧縮することで、外壁20および側壁40の厚さよりも薄く形成されている。
【0024】
第一板部51は、外壁20の側縁部に第一折れ線L1を介して連設されている。第一板部51は、図1に示すように、第一折れ線L1において外壁20に対して内側に折り返されており、外壁20の内面に重ねられている(図4参照)。
【0025】
図2に示すように、第一板部51と外壁20との間の第一折れ線L1には弱め加工が施されている。本実施形態では、第一折れ線L1に平行して他の折れ線L2を形成することで、第一折れ線L1において第一板部51が外壁20に対して折れ曲がり易くなるように加工されている。
【0026】
また、本実施形態では、第一折れ線L1が外壁20の段ボールの段目(フルートの延長方向)に沿って形成されている。これにより、第一板部51が外壁20に対して折れ曲がり易くなっている。
【0027】
第二板部52は、側壁40の側縁部に第二折れ線L3を介して連設されている。第二板部52は、図4に示すように、第二折れ線L3において側壁40に対して内側に折り曲げられており、第一板部51の内面に重ねられている。
【0028】
第一板部51と第二板部52とは、中間折れ線L10を介して連設されている(図2参照)。中間折れ線L10の下端部は、外壁20の側縁部の下端部と側壁40の側縁部の下端部との交点に接続されている。中間折れ線L10は、外壁20の側縁部の下端部と側壁40の側縁部の下端部との交点から斜め上向きに延びている。
【0029】
中間折れ線L10の上端部には切れ込み53が形成されている。本実施形態では、中間壁50の先端部(側壁40側の反対側の端部)の角部を切り取ることで、切れ込み53が形成されている。
【0030】
本実施形態のトレイ1では、図2に示すように、外壁20の側縁部と中間折れ線L10との間の角度θ2よりも、側壁40の側縁部と中間折れ線L10との間の角度θ1が大きく形成されている。
角度θ1と角度θ2との差は限定されるものではないが、角度θ1と角度θ2との差は微小に設定されている。例えば、角度θ1と角度θ2との差を1度以上2度以下の間に設定することが好ましい。このように、角度θ1と角度θ2との差を微小に設定すると、側壁40が第二板部52に押されて外側に大きく傾斜するのを抑えることができる。
【0031】
次に、本実施形態のトレイ1の組み立て方法について説明する。
まず、作業者は、図2に示すブランクシートSの状態から、図3に示すように、底板10に対して左右の側壁40,40を立ち上げる。
続いて、図4に示すように、作業者が底板10に対して外壁20を立ち上げると、外壁20と側壁40との間で、中間壁50が中間折れ線L10において折り畳まれる。
このとき、中間壁50をトレイ1の内側から見ると、第一板部51は、第一折れ線L1(図3参照)において外壁20に対して谷折りに折り返されるとともに、第二板部52は、第二折れ線L3において側壁40に対して谷折りに折り曲げられる。また、第一板部51および第二板部52は、中間折れ線L10において山折りに折り曲げられる。
【0032】
その後、図1に示すように、作業者は内壁30を外壁20の内面側に折り返して、外壁20と内壁30との間に中間壁50を挟み込む。
また、内壁30の下側連結部32を底板10の連結穴11に差し込んで、内壁30を底板10に固定して、トレイ1の組み立て作業を完了する。
【0033】
以上のようなトレイ1では、図2に示すように、外壁20の側縁部と中間折れ線L10との間の角度θ2よりも、側壁40の側縁部と中間折れ線L10との間の角度θ1が大きく形成されている。つまり、トレイ1では、中間壁50の第一板部51と第二板部52とが均等に形成されておらず、第二板部52の方が大きく形成されている。
このようにすると、図4に示すように、底板10に対して外壁20および側壁40を立ち上げて、外壁20と側壁40との間で中間壁50が折り畳まれたときに、第二板部52に押されて中間壁50が外壁20の内面側に移動する。このようにして、中間壁50が外壁20の内面に寄せられる。
【0034】
また、本実施形態のトレイ1では、図2に示すように、外壁20と第一板部51との間の第一折れ線L1に弱め加工が施されているため、中間壁50が折り畳まれるときに、第一板部51が外壁20の内面に向けて傾き易い。
【0035】
また、本実施形態のトレイ1では、中間壁50の厚さが潰し加工により外壁20および側壁40の厚さよりも薄く形成されているため、中間壁50を折り畳んだときの復元力が小さくなっている。
【0036】
また、本実施形態のトレイ1では、図4に示すように、中間折れ線L10の上端部に切れ込み53が形成されており、中間折れ線L10を短くなっているため、中間壁50を折り畳んだときの復元力が小さくなっている。
【0037】
以上のように、本実施形態のトレイ1では、外壁20と側壁40との間で中間壁50が折り畳まれたときに、中間壁50が外壁20の内面に確実に寄せられる。これにより、作業者が内壁30を外壁20の内面側に折り返すときに、中間壁50を外壁20と内壁30との間に挟み込み易くなるため、トレイ1を容易に組み立てることができる。
【0038】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態の中間壁50では、図4に示すように、中間折れ線L10の上端部に切れ込み53が形成されているが、中間壁50に切れ込み53を形成しなくてもよい。
【0039】
本実施形態では、図2に示すように、第一板部51と外壁20との間の第一折れ線L1に平行して他の折れ線L2を形成することで弱め加工が施されているが、本発明の参考例としては、弱め加工の構成は限定されるものではない。例えば、第一折れ線L1全体をハーフカット線に形成してもよい。
【0040】
本実施形態のトレイ1は段ボール製であるが、本発明の参考例としては、各種公知の板紙によってトレイを形成してもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 トレイ
10 底板
11 連結穴
20 外壁
30 内壁
31 上側連結部
32 下側連結部
40 側壁
50 中間壁
51 第一板部
52 第二板部
L1 第一折れ線
L2 他の折れ線
L3 第二折れ線
L10 中間折れ線
S ブランクシート
図1
図2
図3
図4