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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】位置検出装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/04 20060101AFI20240123BHJP
   G01D 5/245 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
G01D5/04 A
G01D5/245 110L
G01D5/245 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020075890
(22)【出願日】2020-04-22
(65)【公開番号】P2021173571
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【弁理士】
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】菊井 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 将幹
【審査官】榮永 雅夫
(56)【参考文献】
【文献】特開平2-281514(JP,A)
【文献】特開2013-18058(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/00 - 5/252
G01D 5/39 - 5/62
G01B 7/00 - 7/34
G01B 21/00 - 21/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置検出の対象の移動に応じて、軸線を中心に回転するレバー部と、
前記レバー部とともに前記軸線を中心に回転する回転体と、
前記回転体の回転を検出する検出部と、
前記回転体を回転可能に支持する支持部と、を備え、
前記レバー部は、第1板部と、前記第1板部よりも前記軸線から遠くに位置し、前記第1板部よりも薄厚の第2板部と、前記軸線を中心とした径方向に延び、前記第1板部と前記第2板部を繋ぐテーパ部と、を備え、
前記テーパ部は、前記第1板部の表面と前記第2板部の表面を繋ぐ傾斜面を有し、
前記テーパ部には、前記傾斜面から凹み、前記径方向に沿う溝部が形成され
前記支持部は、前記軸線に沿う方向で前記回転体を受ける受け部材を有し、
前記回転体は、前記受け部材と対向する対向面を有し、
前記対向面は、前記軸線から遠ざかるに従って前記受け部材から離れて傾斜する、
位置検出装置。
【請求項2】
位置検出の対象の移動に応じて、軸線を中心に回転するレバー部と、
前記レバー部とともに前記軸線を中心に回転する回転体と、
前記回転体の回転を検出する検出部と、
前記回転体を回転可能に支持する支持部と、を備え、
前記レバー部は、第1板部と、前記第1板部よりも前記軸線から遠くに位置し、前記第1板部よりも薄厚の第2板部と、前記軸線を中心とした径方向に延び、前記第1板部と前記第2板部を繋ぐテーパ部と、を備え、
前記テーパ部は、前記第1板部の表面と前記第2板部の表面を繋ぐ傾斜面を有し、
前記テーパ部には、前記傾斜面から凹み、前記径方向に沿う溝部が形成され、
前記支持部は、前記軸線に沿う方向で前記回転体を受ける受け部材を有し、
前記受け部材は、前記回転体と対向する受け面を有し、
前記受け面は、前記軸線から遠ざかるに従って前記回転体から離れて傾斜する、
位置検出装置。
【請求項3】
前記支持部は、前記回転体を収容するケースを有し、
前記受け部材は、前記軸線を中心としてリング状をなすとともに、前記径方向に向く一対の平面部を有し、
前記一対の平面部の各々は、前記受け部材の外周面が面取りされて形成され、
前記ケースは、前記受け部材が挿入される挿入部を有し、
前記挿入部は、前記一対の平面部の各々と接触する接触平面部を有する、
請求項又はに記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記レバー部の可動範囲を示し、前記軸線に対する中心角を可動範囲角とすると、
前記一対の平面部は、前記可動範囲角の二等分線と平行に設けられている、
請求項に記載の位置検出装置。
【請求項5】
前記傾斜面と前記溝部の底面とは平行である、
請求項1乃至のいずれか1項に記載の位置検出装置。
【請求項6】
前記回転体は、磁石を有し、
前記検出部は、磁気センサを有する、
請求項1乃至のいずれか1項に記載の位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の回転センサ装置においては、レバーエレメントの回転に伴いマグネットエレメントがセンサエレメントに対して回転する。これにより、センサエレメントによりレバーエレメントの回転が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2017/0276511号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の構成では、レバーエレメントはその回転中心軸と直交する方向に延びる平板状に形成されている。このため、レバーエレメントにおける回転中心軸から遠い端部に、回転中心軸に沿う方向の力が加わると、レバーエレメントにおける回転中心軸の周辺部に応力が集中する虞がある。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、応力集中を抑制できる位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係る位置検出装置は、
位置検出の対象の移動に応じて、軸線を中心に回転するレバー部と、
前記レバー部とともに前記軸線を中心に回転する回転体と、
前記回転体の回転を検出する検出部と、
前記回転体を回転可能に支持する支持部と、を備え、
前記レバー部は、第1板部と、前記第1板部よりも前記軸線から遠くに位置し、前記第1板部よりも薄厚の第2板部と、前記軸線を中心とした径方向に延び、前記第1板部と前記第2板部を繋ぐテーパ部と、を備え、
前記テーパ部は、前記第1板部の表面と前記第2板部の表面を繋ぐ傾斜面を有し、
前記テーパ部には、前記傾斜面から凹み、前記径方向に沿う溝部が形成され
前記支持部は、前記軸線に沿う方向で前記回転体を受ける受け部材を有し、
前記回転体は、前記受け部材と対向する対向面を有し、
前記対向面は、前記軸線から遠ざかるに従って前記受け部材から離れて傾斜する。
また、本発明の第2の観点に係る位置検出装置は、
位置検出の対象の移動に応じて、軸線を中心に回転するレバー部と、
前記レバー部とともに前記軸線を中心に回転する回転体と、
前記回転体の回転を検出する検出部と、
前記回転体を回転可能に支持する支持部と、を備え、
前記レバー部は、第1板部と、前記第1板部よりも前記軸線から遠くに位置し、前記第1板部よりも薄厚の第2板部と、前記軸線を中心とした径方向に延び、前記第1板部と前記第2板部を繋ぐテーパ部と、を備え、
前記テーパ部は、前記第1板部の表面と前記第2板部の表面を繋ぐ傾斜面を有し、
前記テーパ部には、前記傾斜面から凹み、前記径方向に沿う溝部が形成され、
前記支持部は、前記軸線に沿う方向で前記回転体を受ける受け部材を有し、
前記受け部材は、前記回転体と対向する受け面を有し、
前記受け面は、前記軸線から遠ざかるに従って前記回転体から離れて傾斜する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、応力集中を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態に係る位置検出装置の平面図である。
図2】同上実施形態に係る位置検出装置の図1に示すA-A線での断面図である。
図3】同上実施形態に係る位置検出装置の斜視図である。
図4】同上実施形態に係る位置検出装置の斜視図である。
図5】同上実施形態に係るテーパ部の図1に示すB-B線での断面図である。
図6】同上実施形態に係る位置検出装置の要部を拡大した断面図である。
図7】(a)は、同上実施形態に係る受け部材とホルダの対向部との関係を示す模式図であり、(b)は、変形例に係る受け部材とホルダの対向部との関係を示す模式図である。
図8】同上実施形態に係るレバー部の可動範囲例と受け部材との関係を示す模式図である。
図9】(a)及び(b)は、同上実施形態に係る受け部材と挿入部との関係を示す拡大図である。
図10】同上実施形態に係る溝部の端部周辺の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
位置検出装置100は、図1図2等に示すように、位置検出の対象の移動に応じて軸線AXを中心に回転するレバー部10と、レバー部10とともに回転する回転体20と、磁気センサ30と、回転体20を回転可能に支持する支持部40と、を備える。位置検出装置100は、例えば、車両内において運動を行う対象の位置を検出する。
【0011】
支持部40は、回転体20を軸線AX周りに回転可能に支持するものであり、主に図2に示すように、ケース50と、平板リング状の受け部材60と、を有する。
【0012】
ケース50は、軸線AXを中心に回転体20を回転可能に収容する回転体収容部51と、受け部材60が挿入される挿入部52と、磁気センサ30が実装されたPCB(Printed Circuit Board)31を収容する基板収容部53と、PCB31と接続されたコード32を保持するコード保持部54と、を有する。回転体収容部51は、軸線AXを中心に形成され、図2の左方に向かって開口する有底孔を有する。回転体20は、この有底孔内で摺動回転する。挿入部52は、回転体収容部51の開口端部に位置する。基板収容部53は、回転体収容部51の内底の裏側に形成され、PCB31を収容する。PCB31は、その基材主面の法線が軸線AXと平行となる姿勢で基板収容部53内に固定されている。コード保持部54は、基板収容部53よりも軸線AXから離れた位置に設けられ、グロメット33を介してコード32を保持する。
【0013】
受け部材60は、挿入部52に挿入されるリング状の部材であり、軸線AXに沿う方向で回転体20(具体的には、後述のホルダ23)を受ける。また、受け部材60は、その開口内で後述のブッシュ22を軸支する。例えば、受け部材60は、金属製のワッシャーからなる。受け部材60は、図8に示すように、軸線AXを中心とした径方向(以下、単に「径方向」とも言う。)に向く一対の平面部60a,60bを有する。一対の平面部60a,60bの各々は、受け部材60の外周面の一部が面取りされて形成された部分である。ケース50の挿入部52は、受け部材60が軸線AXに沿う方向に挿入される孔を有している。挿入部52が有する孔の内周部には、図9(a),(b)に示すように、一対の平面部60a,60bの各々と接触する接触平面部52a,52bが形成されている。つまり、軸線AXを中心とした径方向において、平面部60aと接触平面部52aとが互いに対向し、平面部60bと接触平面部52bとが互いに対向する。平面部60a,60b及び接触平面部52a,52bにより、ケース50の挿入部52に対して、受け部材60が空転してしまうことを防止できる。
【0014】
ここで、図8に示すように、レバー部10の可動範囲を示し、軸線AXに対する中心角を可動範囲角Rとする。この場合、一対の平面部60a,60bは、可動範囲角Rの二等分線BXと平行に設けられていることが好ましい。こうすれば、可動範囲角Rにおいてレバー部10へ荷重がかかった時に、効率的に荷重を受けることができ、且つ、受け部材60の空回りを防止することができる。
【0015】
図2に示す磁気センサ30は、軸線AXに沿う方向で回転体20が備える磁石21と対向して位置し、回転体20の回転に伴う磁場の変化を検出する。磁気センサ30は、例えば、ホール素子、オペアンプ等を含むホールIC(Integrated Circuit)からなる。磁気センサ30は、検出した磁場(磁束密度)に応じた電圧信号をPCB31へ出力する。なお、磁気センサ30は、MR(Magneto Resistive Sensor)素子などを利用した他の公知のセンサであってもよい。
【0016】
PCB31は、磁気センサ30、図示しないマイクロコンピュータなどの各種電子部品を実装する。マイクロコンピュータは、磁気センサ30から電圧信号を取得し、取得した電圧信号に基づいて公知の手法により対象の位置を算出し、検出結果とする。そして、PCB31は、検出結果を示す検出信号を、例えば計器などの機器(図示せず)へ伝送する。当該機器において、対象の位置が報知される。
【0017】
回転体20は、図2図6に示すように、磁石21と、ブッシュ22と、磁石21及びブッシュ22を保持するホルダ23と、を備える。
【0018】
磁石21は、ネオジム、フェライト等の公知の材料から円盤状に形成され、回転体20の回転に伴い磁気センサ30に磁場の変化を与える。ブッシュ22は、軸線AXを中心とした円筒状をなす。ブッシュ22には、レバー部10の後述するピン12が圧入される。ホルダ23は、樹脂により形成され、軸線AXに沿う円筒状をなす。ホルダ23は、軸線AXに沿う一方の開口端部で磁石21を保持し、他方の開口端部でブッシュ22を保持している。例えば、磁石21及びブッシュ22は、インサート成形によりホルダ23と一体で形成される。ホルダ23の外周部には、リング状のシール部材23sが嵌め込まれている。シール部材23sは、回転体収容部51の内周面に当接し、水等の浸入を抑制する。
【0019】
ホルダ23は、軸線AXに沿う方向で、受け部材60と対向する対向部230を有する。対向部230は、ブッシュ22の外周側に位置し、図6に示すように、受け部材60の回転体20に向く面である受け面61と対向する対向面231を有する。受け面61は、軸線AXと直交する平面である。対向面231は、軸線AXから遠ざかるに従って、受け部材60(具体的には受け面61)から離れるように傾斜して形成されている。
【0020】
対向面231は、レバー部10の先端部に軸線AXに沿う力F(図2参照)が加わり、回転体20が軸線AXから傾いて受け部材60に接触した場合に、回転体20及び受け部材60に相互に生じる応力を、効果的に分散可能に傾斜している。これを実現すべく、受け面61に対する対向面231の傾斜角θは、θ=arcsin(r/h)[rad]=arcsin(r/h)×180/π[deg]の計算式で求めた値を適用することができる。ここで、rは、回転体収容部51に対して回転体20を片側に寄せた際の最大ラジアルガタ(つまり、回転体20を、軸線AXを中心とした径方向の一方に寄せた場合のクリアランス)である。また、hは、回転体20のホルダ23の高さ(軸線AXに沿う長さ)である。この計算式は、図7(a)に模式図を示すように、回転体収容部51に対して、ホルダ23が軸線AXに対して最も傾いた際に、対向面231が受け面61と平行となることを考慮して導くことができる。
【0021】
なお、変形例として、図7(b)に示すように、ホルダ23の対向面231を軸線AXと直交する平面とし、受け部材60の受け面61を、軸線AXから遠ざかるに従って、ホルダ23(具体的には対向面231)から離れるように傾斜して形成してもよい。この場合の対向面231に対する受け面61の傾斜角θも、図7(a)の場合と同様の考え方で、θ=arcsin(r/h)×180/π[deg]の計算式で求めた値を適用することができる。
【0022】
図1図4に示すように、レバー部10は、レバー本体11と、ピン12と、被取付部13と、を備える。
【0023】
レバー本体11は、樹脂により形成され、第1板部111と、第2板部112と、テーパ部113と、を有する。これらの各部は、軸線AXに近い方から、第1板部111、テーパ部113及び第2板部112の順で軸線AXを中心とした径方向に沿って位置する。
【0024】
第1板部111は、軸線AXに沿って延びる円筒状をなす。第1板部111の軸線AXに沿う方向の厚さは、第2板部112の同方向の厚さよりも厚く形成される。例えば、第1板部111は、第2板部112よりも1.5倍~2倍程度の厚みで形成されている。円筒状の第1板部111の内部には、ピン12が固定されている。
【0025】
ピン12は、軸線AXに沿って延びる円柱状をなす。例えば、レバー本体11とピン12はインサート成形により一体で形成される。ピン12は、回転体20に向かって突出した部分がブッシュ22内に圧入されていることにより、回転体20に固定されている。これにより、レバー部10と共に回転体20が軸線AXを中心に回転する。
【0026】
テーパ部113は、軸線AXを中心とした径方向に延び、第1板部111及び第2板部112の間に設けられる。テーパ部113は、第1板部111の表面(図2の左側の面)及び第2板部112の表面(図1の左側の面)を繋ぐ傾斜面113fを有する。テーパ部113の傾斜面113fの裏面113bは、軸線AXと直交するとともに、第1板部111及び第2板部112の裏面(図2の右側の面)と同一平面で形成される。傾斜面113fは、テーパ部113の軸線AXに沿う厚みが、第1板部111から第2板部112に向かって徐々に先細り(薄肉)となるように傾斜している。また、テーパ部113は、図1の平面視において、その幅が第1板部111から第2板部112に向かって次第に狭くなる形状を有している。
【0027】
図3に示すように、テーパ部113の傾斜面113f側には、軸線AXを中心とした径方向に沿う溝部70,71,72が形成されている。図5に断面で示すように、溝部70,71,72は傾斜面113fから裏面113bに向かって凹む。溝部70は、テーパ部113の幅方向Wにおける中央部に位置し、溝部71,72は、溝部70を挟んで左右に位置する。溝部70,71,72と後述の溝部73の深さは一定に設定される。つまり、図2に示すように、テーパ部113の傾斜面113fと、溝部70の底面70aとは平行に設定される。これにより、テーパ部113の溝部70に沿う断面形状も、軸線AXから離れるに従って薄厚となるテーパ状となる。なお、溝部71,72の底面も傾斜面113fと平行となる。また、溝部70は、幅がほぼ一定に形成されている。一方、溝部70を挟んで位置する溝部71,72は、幅が軸線AXから遠ざかるに従って狭くなる形状で形成されている。また、図1に示すように、溝部70,71,72における径方向の外周側端部は半円弧状をなす。
【0028】
図10に拡大して示すように、溝部70における軸線AXに近い先端部70bは先端が丸みを帯びた二等辺三角形状をなす。先端部70bは、溝部70の先端側に近づくにつれて互いの距離が近づく傾斜壁面70c,70dと、傾斜壁面70c,70dの先端部を連結する半円状の円弧壁面70eと、を備える。溝部70の側壁面70sと傾斜壁面70c,70dがなす角度αは鈍角に設定される。例えば、角度αは150°~170°に設定される。このように、先端部70bには鋭角部分が形成されていないため、応力集中が抑制される。
【0029】
図1に示すように、レバー部10の第1板部111の表側には、溝部73が形成されている。溝部73は、溝部71,72におけるピン12に近い端部を繋ぐようにピン12の外周に沿う半円弧状をなす。溝部71,72,73は、平面視でU字状をなす一連の溝を形成する。
【0030】
図4に示すように、テーパ部113の裏面113b側には、軸線AXを中心とした径方向に沿う溝部80,81,82が形成されている。図5に断面で示すように、溝部80,81,82は裏面113bから傾斜面113fに向かって凹む。また、図2に示すように、レバー部10の第1板部111の裏側には、溝部83が形成されている。溝部80,81,82,83は、レバー部10の表側に形成された溝部70,71,72,73と同様の形状をなす。溝部80,81,82,83は、溝部70,71,72,73の各々に対応して、レバー部10の裏側に位置する。溝部70~73及び溝部80~83は、レバー部10の強度を保ちつつ、レバー部10の軽量化を図るために設けられている。以上に説明した溝部71,72,73(レバー部10の裏側の溝部81~83も同様。)は、一連のU字状の溝を形成する。よって、溝の距離を長くすることができ、よりレバー部10の軽量化を図ることができる。また、溝部73,83はレバー部10の基端側に位置する。レバー部10の先端側に、図2に示すように軸線AXに沿う力Fが加わった場合でも基端側には応力が集中しづらい。このような溝部73,83により、レバー部10の強度の低下を避けつつ、軽量化を図ることができる。
【0031】
第2板部112は、軸線AXに沿った円筒状をなす。円筒状の第2板部112の内部には、被取付部13が固定されている。被取付部13は、例えば、金属によりリング状に形成されている。被取付部13には、レバー部10に位置検出装置100の検出対象を連結するためのリンク機構(図示せず)が取り付けられる。
【0032】
以上の構成からなる位置検出装置100の検出動作について説明する。検出対象の直線運動、曲線運動又は回転運動に応じて、レバー部10及び回転体20が軸線AXを中心に回転する。磁気センサ30は、磁石21を有する回転体20の回転に伴う磁場の変化を検出し、磁場の変化に応じた電圧信号をPCB31へ出力する。PCB31は、取得した電圧信号に基づき対象の位置を検出し、その検出結果を示す検出信号を、コード32を介して外部に出力する。
【0033】
(1)以上に説明した位置検出装置100は、レバー部10と、レバー部10とともに軸線AXを中心に回転する回転体20と、回転体20の回転を検出する検出部(例えば、磁気センサ30、PCB31に相当。)と、を備える。レバー部10は、第1板部111と、第1板部111よりも軸線AXから遠くに位置し、第1板部111よりも薄厚の第2板部112と、軸線AXを中心とした径方向に延び、第1板部111と第2板部112を繋ぐテーパ部113と、を備える。テーパ部113は、第1板部111の表面と第2板部112の表面を繋ぐ傾斜面113fを有し、テーパ部113には、傾斜面113fから凹み、径方向に沿う溝部70,71,72が形成されている。
この構成によれば、レバー部10の先端部に、図2に示すように、軸線AXに沿う力Fが加わった場合でも、軸線AXの周囲に位置する第1板部111が第2板部112よりも厚く形成されているため、レバー部10の強度を確保することができる。また、テーパ部113により、第1板部111と第2板部112の間に、応力が集中し易い段差が形成されることを抑制することができる。さらに、溝部70,71,72により、レバー部10の軽量化を図りつつも、溝部70,71,72に沿うテーパ部113の断面形状もテーパ状となるため、応力集中を回避することができる。
【0034】
(2)また、位置検出装置100は、回転体20を回転可能に支持する支持部40を備える。支持部40は、軸線AXに沿う方向で回転体20を受ける受け部材60を有する。回転体20は、受け部材60と対向する対向面231を有し、対向面231は、軸線AXから遠ざかるに従って受け部材60から離れて傾斜する。
この構成によれば、前述の通り、回転体20及び受け部材60に相互に生じる応力を、効果的に分散することができる。
【0035】
(3)なお、位置検出装置100において、図7(b)を参照して説明した変形例のように、受け部材60は、回転体20と対向する受け面61を有し、受け面61は、軸線AXから遠ざかるに従って回転体20から離れて傾斜する構成を採用してもよい。
この構成によっても、前述の通り、回転体20及び受け部材60に相互に生じる応力を、効果的に分散することができる。
【0036】
(4)また、支持部40は、回転体20を収容するケース50を有し、受け部材60は、軸線AXを中心としてリング状をなすとともに、径方向に向く一対の平面部60a,60bを有する。一対の平面部60a,60bの各々は、受け部材60の外周面が面取りされて形成される。そして、ケース50は、受け部材60が挿入される挿入部52を有し、挿入部52は、一対の平面部60a,60bの各々と接触する接触平面部52a,52bを有する。
この構成によれば、前述の通り、挿入部52に対して、受け部材60が空転してしまうことを防止できる。
【0037】
(5)一対の平面部60a,60bは、可動範囲角Rの二等分線BXと平行に設けられていることが好ましい。
こうすれば、可動範囲角Rにおいてレバー部10へ荷重がかかった時に、効率的に荷重を受けることができ、且つ、受け部材60の空回りを防止することができる。
【0038】
(6)また、傾斜面113fと溝部70,71,72の底面とは平行であることが好ましい。
こうすれば、レバー部10の溝部70,71,72に沿う断面形状を、レバー部10の側面形状と同様に、厚さが先細りとなるテーパ状とすることができるため、応力集中を抑制することができる。
【0039】
(7)以上に説明した位置検出装置100は、回転体20が磁石21を有し、検出部が磁気センサ30を有している構成に好適である。
【0040】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0041】
レバー部10の溝部の数や配置は、変更可能である。例えば、レバー部10の裏側に溝部を設けなくともよい。また、レバー部10の表側において形成され、径方向に沿う溝部は、1本だけ設けられていてもよいし、複数設けられていてもよい。
【0042】
位置検出装置100は、磁気型に限られず、光学型、静電容量型、接点型等の公知の方式で回転体20の回転を検出するものであってもよい。
【0043】
以上の説明では、本発明の理解を容易にするために、公知の技術的事項の説明を適宜省略した。
【符号の説明】
【0044】
100…位置検出装置
10…レバー部
11…レバー本体、12…ピン、13…被取付部
111…第1板部、112…第2板部
113…テーパ部、113f…傾斜面、113b…裏面
20…回転体
21…磁石
22…ブッシュ
23…ホルダ、230…対向部、231…対向面
30…磁気センサ、31…PCB
40…支持部
50…ケース
52…挿入部、52a,52b…接触平面部
60…受け部材、60a、60b…平面部、61…受け面
70,71,72,73…溝部、70a…底面
80,81,82,83…溝部、80a…底面
AX…軸線
R…可動範囲角、BX…二等分線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10