(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】クレードルおよび無線通信システム
(51)【国際特許分類】
H04M 1/00 20060101AFI20240123BHJP
H04W 92/08 20090101ALI20240123BHJP
【FI】
H04M1/00 V
H04W92/08 110
(21)【出願番号】P 2020077786
(22)【出願日】2020-04-24
【審査請求日】2023-01-12
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年1月29日に、出願人の取引先を対象とした内覧会にて展示
(73)【特許権者】
【識別番号】000134707
【氏名又は名称】株式会社ナカヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100104570
【氏名又は名称】大関 光弘
(72)【発明者】
【氏名】須藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】青柳 博久
【審査官】松原 徳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-178512(JP,A)
【文献】特開2013-135375(JP,A)
【文献】特開2014-071849(JP,A)
【文献】特開2002-044723(JP,A)
【文献】特開2013-247398(JP,A)
【文献】特開平10-308802(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第107612061(CN,A)
【文献】米国特許第10404846(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線通信機器を載置するための、無線通信機能を備えたクレードルであって、
前記無線通信機器の載置および非載置を検知する検知手段と、
前記無線通信機能の有効化および無効化を制御する制御手段と、
前記無線通信機能により前記無線通信機器と無線接続されている場合に、自クレードルが備える、あるいは自クレードルに接続された入出力装置と、前記無線通信機器との間の情報伝送を中継する入出力中継手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記無線通信機能が無効化されている場合に、前記検知手段によって前記無線通信機器の載置が検知されたならば、当該無線通信機能を有効化して、前記無線通信機器と無線接続し、
前記無線通信機能が有効化されて前記無線通信機器と無線接続中に、前記検知手段によって所定時間以上継続して前記無線通信機器の非載置が検出されたならば、前記無線通信機能を無効化して、前記無線通信機器との無線接続を切断する
ことを特徴とするクレードル。
【請求項2】
請求項1に記載のクレードルであって、
ネットワークに接続するためのネットワーク通信手段と、
前記無線通信機能により前記無線通信機器と無線接続されている場合に、前記ネットワーク通信手段を介して前記ネットワークと前記無線通信機器との間の情報伝送を中継するネットワーク中継手段をさらに有する
ことを特徴とするクレードル。
【請求項3】
請求項2に記載のクレードルであって、
前記無線通信機能により無線接続された前記無線通信機器から、当該無線通信機器の識別情報である無線通信機器IDを取得するID取得手段と、
前記ID取得手段により取得された無線通信機器IDおよび自クレードルの識別情報であるクレードルIDを用いて、前記ネットワークに接続された所定のサーバにログインするログイン手段と、をさらに有し、
前記ネットワーク中継手段は、
前記ログイン手段によりログインした前記所定のサーバと前記無線通信機器との間の情報伝送を中継する
ことを特徴とするクレードル。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のクレードルであって、
前記検知手段によって前記無線通信機器の載置が検知されている場合に、当該無線通信機器を充電する充電手段をさらに有する
ことを特徴とするクレードル。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のクレードルと、
無線通信機器と、を備えた無線通信システムであって、
前記無線通信機器は、
前記クレードルと無線接続されている場合に、自無線通信機器が備える入出力装置に代えて、前記クレードルが備える、あるいは前記クレードルに接続された入出力装置を利用する入出力切替手段を有する
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項6】
請求項5に記載の無線通信システムであって、
前記無線通信機器が備える入出力装置は、音声通話用のマイクおよびスピーカであり、
前記クレードルが備える、あるいは前記クレードルに接続された入出力装置は、ハンドセットである
ことを特徴とする無線通信システム。
【請求項7】
請求項5に記載の無線通信システムであって、
前記無線通信機器が備える入出力装置、および、前記クレードルが備える、あるいは前記クレードルに接続された入出力装置は、タッチスクリーンである
ことを特徴とする無線通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信機器が載置されるクレードルに関し、特に、無線通信機器とクレードルとの無線接続技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、簡単な操作で無線接続の設定が可能な無線通信システムが開示されている。この無線通信システムは、無線通信機能を有する電子書籍端末と、この電子書籍端末との接続端子を有するクレードルと、を備えて構成される。クレードルは、電子書籍端末が接続端子に接続されると、この接続端子を介して電子書籍端末に、無線通信を行うための初期設定の開始を指示する指示信号を送信する。これを受けて、電子書籍端末は、クレードルと無線通信を行うための初期設定を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の無線通信システムでは、クレードルから無線通信機器に指示信号を送信するために、無線通信機器とクレードルとを接続端子で物理的に接続する必要がある。また、クレードルの接続端子から送信された指示信号を受信するためにクレードルの接続端子と接続する接続端子を備えていないスマートホン、携帯電話機等の無線通信機器は、クレードルと無線通信することができない。
【0005】
また、特許文献1に記載の無線通信システムでは、クレードルの接続端子に電子書籍端末が接続され、電子書籍端末およびクレードル間で互いに無線通信を行うための初期設定が行われると、その後、電子書籍端末がクレードルの接続端子から取り外された場合でも、電子書籍端末およびクレードル間の無線接続が維持される。電子書籍端末およびクレードル間の無線接続を切断することについて、特許文献1に記載の無線通信システムは、何ら考慮していない。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より簡単な操作で無線通信機器およびクレードル間の無線接続の制御を可能とする技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、無線通信機能を有するクレードルに、無線通信機器の載置および非載置を検知する検知手段を設ける。クレードルは、無線通信機能が無効化されている場合に、検知手段によって無線通信機器の載置が検知されたならば、無線通信機能を有効化して無線通信機器と無線接続し、このクレードルが備える、あるいはこのクレードルに接続された入出力装置と、無線通信機器との間の情報伝送を中継する。また、クレードルは、無線通信機器と無線接続中に検知手段によって所定時間以上継続して無線通信機器の非載置が検出されたならば、入出力装置と無線通信機器との間における情報伝送の中継を終了するとともに、無線通信機能を無効化して、無線通信機器との無線接続を切断する。
【0008】
例えば、本発明は、
無線通信機器を載置するための、無線通信機能を備えたクレードルであって、
前記無線通信機器の載置および非載置を検知する検知手段と、
前記無線通信機能の有効化および無効化を制御する制御手段と、
前記無線通信機能により前記無線通信機器と無線接続されている場合に、自クレードルが備える、あるいは自クレードルに接続された入出力装置と、前記無線通信機器との間の情報伝送を中継する中継手段と、を有し、
前記制御手段は、
前記無線通信機能が無効化されている場合に、前記検知手段によって前記無線通信機器の載置が検知されたならば、当該無線通信機能を有効化して、前記無線通信機器と無線接続し、
前記無線通信機能が有効化されて前記無線通信機器と無線接続中に、前記検知手段によって所定時間以上継続して前記無線通信機器の非載置が検出されたならば、前記無線通信機能を無効化して、前記無線通信機器との無線接続を切断する。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、無線通信機器がクレードルに載置されることにより、クレードルが無線通信機器の載置を検出し、無線通信機能を有効化して無線通信機器と無線接続するので、ユーザは、無線通信機器をクレードルに載置するだけで、無線通信機器とクレードルとを接続端子で物理的に接続しなくても、クレードルと無線通信機器とを無線接続することができる。また、クレードルと無線通信機器とが無線接続されていないときは無線通信機能が無効化されているので、クレードルに載置されていない他の無線通信機器とクレードルとが意図せずに無線接続されてしまうのを防止することができる。
【0010】
また、本発明では、クレードルと無線通信機器とが無線接続中に無線通信機器がクレードルから取り外されることにより、クレードルが無線通信機器の非載置を所定時間以上継続して検出した場合にのみ、無線通信機能を無効化して無線通信機器との無線接続を切断するので、例えば音量調整操作のために一時的に無線通信機器がクレードルから取り外されるような、クレードルと無線通信機器との無線接続の切断を意図していない操作によって、クレードルと無線通信機器との無線接続が切断されてしまうのを防止することができる。
【0011】
このように、本発明によれば、より簡単な操作で無線通信機器およびクレードル間の無線接続を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、本実施の形態に係る無線通信システムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、本実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線通信機器1およびクレードル2間の無線接続動作を説明するためのシーケンス図である。
【
図3】
図3は、本実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線通信機器1およびクレードル2間の無線接続切断動作を説明するためのシーケンス図である。
【
図4】
図4は、クレードル2の概略機能構成図である。
【
図5】
図5は、クレードル2の動作を説明するためのフロー図である。
【
図6】
図6は、クレードル2の動作を説明するためのフロー図であり、
図5の続きである。
【
図7】
図7は、無線通信機器1の概略機能構成図である。
【
図8】
図8は、無線通信機器1の近距離無線通信による無線接続動作を説明するためのフロー図である。
【
図9】
図9は、情報提供サーバ4の概略機能構成図である。
【
図10】
図10は、情報提供サーバ4の動作を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本実施の形態に係る無線通信システムの概略図である。
【0015】
図示するように、本実施の形態に係る無線通信システムは、スマートホン、携帯電話機等の無線通信機器1と、無線通信機器1を載置するためのクレードル2と、を備えて構成されている。
【0016】
無線通信機器1は、無線LANアダプタ、携帯電話基地局等の基地局6と無線接続することにより、基地局6を介して電話網7が提供する電話サービスを利用することができる。また、無線通信機器1は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信機能を備えており、この近距離無線通信機能によりクレードル2と無線接続することができる。
【0017】
クレードル2は、無線通信機器1と同様に、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信機能を備えており、この近距離無線通信機能により無線通信機器1と無線接続することができる。クレードル2にはハンドセット3が接続されており、クレードル2は、無線通信機器1と無線接続されている場合に、無線通信機器1とハンドセット3との間の音声信号の伝送を中継する。また、クレードル2は、WAN、LAN等のネットワーク5に接続されており、無線通信機器1と無線接続されている場合に、ネットワーク5を介して情報提供サーバ4と無線通信機器1との間の情報伝送を中継する。
【0018】
図2は、本実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線通信機器1およびクレードル2間の無線接続動作を説明するためのシーケンス図である。
【0019】
なお、初期状態において、無線通信機器1の近距離無線通信機能は有効化されており、クレードル2の近距離無線通信機能は無効化されている。
【0020】
ユーザが無線通信機器1をクレードル2に載置すると、クレードル2はこれを検出して(S100)、近距離無線通信機能を有効化する(S101)。
【0021】
つぎに、クレードル2は、近距離無線通信により無線通信機器1と無線接続する(S102)。例えば、Bluetooth(登録商標)の場合、クレードル2が、無線通信機器1を探索し、この無線通信機器1とペアリングを実施して無線接続する。無線通信機器1とペアリング済みならば、直ちにこの無線通信機器1と無線接続する。
【0022】
また、クレードル2は、給電回路を起動して、無線通信機器1の充電を開始する(S103)。例えば、無線通信機器1およびクレードル2のそれぞれに、無線通信機器1をクレードル2に載置することにより物理的に相互接続されるUSB(Universal Serial Bus)ポートを設けて、クレードル2が無線通信機器1をUSB充電する。あるいは、Qi規格に準拠したワイヤレス給電回路およびワイヤレス受電回路をそれぞれクレードル2および無線通信機器1に設けて、クレードル2が無線通信機器1をワイヤレス充電する。
【0023】
つぎに、無線通信機器1は、音声信号の入出力先を、自無線通信機器1が備えるマイクおよびスピーカからクレードル2に切り替える(S104)。一方、クレードル2は、無線通信機器1およびハンドセット3間における音声信号の中継を開始する(S105)。これにより、ユーザは、ハンドセット3を、電話網7が無線通信機器1に提供する電話サービスによる音声通話に利用することが可能となる。
【0024】
つぎに、クレードル2は、無線通信機器1にID要求を送信する(S106)。これを受けて、無線通信機器1は、自身の識別情報である機器IDをクレードル2に送信する(S107)。それから、クレードル2は、無線通信機器1から機器IDを受信すると、ネットワーク5を介して情報提供サーバ4に、この無線通信機器1から取得した機器IDおよび自身の識別情報であるクレードルIDを含むログイン要求を送信する(S108)。これを受けて、情報提供サーバ4は、ログイン要求に含まれている機器IDおよびクレードルIDを用いてログイン処理を実施する(S109)。そして、ログインを許可したならば、クレードル2にログイン通知を送信する(S110)。
【0025】
それから、情報提供サーバ4は、ログイン要求に含まれているクレードルIDに紐付けられて記憶されている提供情報(クレードル2が設置されている部屋でのみ閲覧可能なドキュメントデータ、監視カメラの映像データ等)をクレードル2に送信する(S111)。これを受けて、クレードル2は、情報提供サーバ4から受信した提供情報を無線通信機器1に中継する(S112)。そして、無線通信機器1は、クレードル2から受信した提供情報を表示する(S113)。
【0026】
図3は、本実施の形態に係る無線通信システムにおいて、無線通信機器1およびクレードル2間の無線接続切断動作を説明するためのシーケンス図である。
【0027】
この図に示すシーケンスは、
図2に示すシーケンスの後に実施される。
【0028】
ユーザが無線通信機器1をクレードル2から取り外すと、クレードル2はこれを検出して(S120)、無線通信機器1の非載置状態継続時間の計測を開始する。そして、非載置状態が所定時間継続すると(S121)、クレードル2は、ネットワーク5を介して情報提供サーバ4に、自身が無線接続している無線通信機器1の機器IDおよび自身のクレードルIDを含むログアウト要求を送信する(S122)。これを受けて、情報提供サーバ4は、ログアウト要求に含まれている機器IDおよびクレードルIDを用いてログアウト処理を実施する(S123)。それから、クレードル2にログアウト通知を送信する(S124)。
【0029】
つぎに、クレードル2は、情報提供サーバ4から無線通信機器1への提供情報の中継を終了する(S125)。それから、近距離無線通信機能を無効化して(S126)、無線通信機器1との無線接続を切断するとともに(S127)、給電回路を停止して無線通信機器1の充電を終了する(S128)。これを受けて、無線通信機器1は、音声信号の入出力先を、クレードル2から、自無線通信機器1が備えるマイクおよびスピーカに戻す(S129)。一方、クレードル2は、無線通信機器1およびハンドセット3間における音声信号の中継を終了する(S130)。
【0030】
つぎに、クレードル2の詳細を説明する。
【0031】
【0032】
図示するように、クレードル2は、近距離無線通信部200と、ハンドセット接続部201と、ネットワーク通信部202と、ハンドセット中継部203と、ネットワーク中継部204と、機器ID取得部205と、ログイン処理部206と、載置検出部207と、給電部208と、主制御部209と、を備えている。
【0033】
近距離無線通信部200は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信により無線通信機器1と無線接続するためのインターフェースである。
【0034】
ハンドセット接続部201は、ハンドセット3に接続するためのインターフェースである。
【0035】
ネットワーク通信部202は、ネットワーク5に接続するためのインターフェースである。
【0036】
ハンドセット中継部203は、ハンドセット接続部201に接続されたハンドセット3と、近距離無線通信部200により無線接続された無線通信機器1と、の間における音声信号の伝送を中継する。
【0037】
ネットワーク中継部204は、ネットワーク5を介してネットワーク通信部202に接続された情報提供サーバ4と、近距離無線通信部200により無線接続された無線通信機器1と、の間における提供情報の伝送を中継する。
【0038】
機器ID取得部205は、近距離無線通信部200により無線接続された無線通信機器1から機器IDを取得する。
【0039】
ログイン処理部206は、情報提供サーバ4に対するログインおよびログアウト処理を実施する。
【0040】
載置検出部207は、プッシュスイッチ、フォトセンサ等で構成され、クレードル2への無線通信機器1の載置状態を検出する。
【0041】
給電部208は、クレードル2に載置された無線通信機器1に電力を供給する。例えば、給電部208は、無線通信機器1をクレードル2に載置することにより無線通信機器1と物理的に接続されるUSBポートと給電回路を有し、給電回路により、USBポートを介してクレードル2に載置された無線通信機器1に電力を供給する。あるいは、Qi規格に準拠したワイヤレス給電回路を有し、このワイヤレス給電回路により、クレードル2に載置された無線通信機器1に電力を供給する。
【0042】
そして、主制御部209は、クレードル2の各部200~208を統括的に制御する。
【0043】
なお、
図4に示すクレードル2の機能構成は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP(Digital Signal Processor)等の計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。
【0044】
図5および
図6は、クレードル2の動作を説明するためのフロー図である。
【0045】
なお、クレードル2は、初期状態(起動時)において、近距離無線通信部200、ハンドセット中継部203、ネットワーク中継部204、および給電部208が無効化(停止)されている。
【0046】
まず、載置検出部207が無線通信機器1の載置を検出すると(S200でYES)、主制御部209は、近距離無線通信部200を有効化する(S201)。これにより、近距離無線通信部200は、クレードル2に載置された無線通信機器1を探索し、この無線通信機器1との無線接続を試みる(S202、S203)。
【0047】
ここで、クレードル2に載置された無線通信機器1の近距離無線通信機能が有効化されておらず、近距離無線通信部200が、この無線通信機器1に無線接続することなく(S202でNO)、所定時間の経過によりタイムアウトしたならば(S203でYES)、主制御部209は、近距離無線通信部200を無効化して(S204)、S200に戻る。
【0048】
一方、クレードル2に載置された無線通信機器1と無線接続したならば(S202でYES)、主制御部209は、給電部208を起動して(S205)、この無線通信機器1への給電を開始する。また、主制御部209は、ハンドセット中継部203を有効化する(S206)。これにより、ハンドセット中継部203を介して、ハンドセット接続部201に接続されたハンドセット3と、近距離無線通信部200に無線接続された無線通信機器1とが接続され、ユーザは、電話網7が無線通信機器1に提供する電話サービスによる音声通話にハンドセット3を利用すること可能となる。
【0049】
つぎに、主制御部209は、機器ID取得部205に機器IDの取得を指示する。これを受けて、機器ID取得部205は、近距離無線通信部200に無線接続された無線通信機器1にID要求を送信する(S208)。
【0050】
ここで、近距離無線通信部200に無線接続された無線通信機器1が機器IDの送信を拒否するなどして、機器ID取得部205が、無線通信機器1から機器IDを受信することなく(S208でNO)、所定時間の経過によりタイムアウトしたならば(S209でYES)、S213に進む。一方、この無線通信機器1から機器IDを受信したならば(S208でYES)、機器ID取得部205は、取得した機器IDを主制御部209に渡す。これを受けて、主制御部209は、機器IDをログイン処理部206に渡してログインを指示する。
【0051】
つぎに、ログイン処理部206は、主制御部209から受け取った機器IDと、自クレードル2のクレードルIDと、を含むログイン要求をネットワーク通信部202から情報提供サーバ4に送信する(S210)。そして、情報提供サーバ4から通知(ログイン通知またはエラー通知)を受信して、その受信した通知を主制御部209に渡す。
【0052】
主制御部209は、ログイン処理部206から受信した通知がエラー通知であり、ログインに失敗したならば(S211でNO)、S213に進む。一方、ログイン処理部206から受信した通知がログイン通知であり、ログインに成功したならば(S211でYES)、ネットワーク中継部204を有効化して(S212)、S213に進む。ネットワーク中継部204が有効化されることにより、情報提供サーバ4と、近距離無線通信部200に無線接続されている無線通信機器1とが接続され、ユーザは、情報提供サーバ4の提供情報を無線通信機器1に表示すること可能となる。
【0053】
その後、S213において、載置検出部207が無線通信機器1の非載置を検出すると(S213でYES)、主制御部209は、載置検出部207による無線通信機器1の非載置の検出が所定時間継続したか否かを判断する(S214)。無線通信機器1の非載置の検出が所定時間継続しなかった場合は(S214でNO)、S213に戻って、載置検出部207が無線通信機器1の非載置を新たに検出するのを待つ。
【0054】
一方、無線通信機器1の非載置の検出が所定時間継続した場合(S214でYES)、主制御部209は、自クレードル2が情報提供サーバ4にログイン中でないならば(S215でNO)、S218に進み、自クレードル2がログイン中であるならば(S215でYES)、ログイン処理部206にログアウトを指示する。これを受けて、ログイン処理部206は、近距離無線通信部200に無線接続されている無線通信機器1の機器IDと、自クレードル2のクレードルIDと、を含むログアウト要求を、ネットワーク通信部202から情報提供サーバ4に送信して(S216)、情報提供サーバ4からログアウトする。それから、主制御部209は、ネットワーク中継部204を無効化して(S217)、S218に進む。
【0055】
S218において、主制御部209は、近距離無線通信部200を無効化して、無線通信機器1との無線接続を切断する。それから、主制御部209は、給電部208を停止して(S219)、無線通信機器1への給電を終了するとともに、ハンドセット中継部203を無効化して(S220)、S200に戻る。
【0056】
つぎに、無線通信機器1の詳細を説明する。
【0057】
【0058】
図示するように、無線通信機器1は、無線通信部100と、近距離無線通信部101と、マイク102と、スピーカ103と、タッチスクリーン104と、電話機能部105と、切替部106と、主制御部107と、を備えている。
【0059】
無線通信部100は、無線LANアダプタ、携帯電話基地局等の基地局6に無線接続するためのインターフェースである。
【0060】
近距離無線通信部101は、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線通信によりクレードル2と無線接続するためのインターフェースである。
【0061】
マイク102およびスピーカ103は、電話網7が提供する電話サービスによる音声通話に利用される音声入出力装置である。
【0062】
タッチスクリーン104は、ユーザに情報を表示したり、ユーザから各種操作を受け付けたりするためのグラフィカルユーザインターフェースである。
【0063】
電話機能部105は、電話機としての機能を実現するための処理、すなわち電話網7が提供する電話サービスを利用して音声通話を行うために必要な処理を実行する。
【0064】
切替部106は、電話機能部105による音声通話の音声入出力先を、マイク102およびスピーカ103、あるいは近距離無線通信部101に切り替える。
【0065】
そして、主制御部107は、無線通信機器1の各部100~106を統括的に制御する。
【0066】
なお、
図7に示す無線通信機器1の機能構成は、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、補助記憶装置と、基地局6を介して電話網7に接続するための無線通信インターフェースと、近距離無線インターフェースと、を備えたスマートホン、携帯電話機等の携帯情報端末において、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することにより実現される。
【0067】
図8は、無線通信機器1の近距離無線通信による無線接続動作を説明するためのフロー図である。
【0068】
このフローは、主制御部107がタッチスクリーン104を介してユーザより受け付けた指示に従い、近距離無線通信部101を有効化することにより開始される。
【0069】
主制御部107は、近距離無線通信部101にクレードル2が無線接続されると(S300でYES)、切替部106に音声入出力先の切替えを指示する。これを受けて、切替部106は、電話機能部105に接続される音声入出力装置をマイク102およびスピーカ103から近距離無線通信部101に切り替える(S301)。
【0070】
つぎに、主制御部107は、例えば近距離無線通信部101にクレードル2が無線接続されてから所定時間内に、近距離無線通信部101を介してクレードル2からID要求を受信すると(S302でYES)、予め登録されている自無線電話機1の機器IDを、近距離無線通信部101を介してクレードル2に送信する(S303)。
【0071】
その後、主制御部107は、近距離無線通信部101とクレードル2との無線接続が切断されると(S304でYES)、切替部106に音声入出力先の切替えを指示する。これを受けて、切替部106は、電話機能部105に接続される音声入出力を近距離無線通信部101からマイク102およびスピーカ103に切り替える(S305)。
【0072】
つぎに、情報提供サーバ4の詳細を説明する。
【0073】
【0074】
図示するように、情報提供サーバ4は、ネットワーク通信部400と、提供情報データベース401と、ログイン情報記憶部402と、主制御部403と、を備えている。
【0075】
ネットワーク通信部400は、ネットワーク5に接続するためのインターフェースである。
【0076】
提供情報データベース401には、クレードル2が設置されている部屋でのみ閲覧可能なドキュメントデータ、監視カメラの映像データ等の提供情報が、このクレードル2のクレードルIDに紐付けられて記憶されている。
【0077】
ログイン情報記憶部402には、ログインを許可する無線通信機器1の機器IDおよびクレードル2のクレードルIDが記憶されている。
【0078】
そして、主制御部403は、情報提供サーバ4の各部400~402を統括的に制御する。
【0079】
なお、
図9に示す情報抵抗サーバ4の機能構成は、ASIC、FPGAなどの集積ロジックICによりハード的に実現されるものでもよいし、あるいはDSP等の計算機によりソフトウエア的に実現されるものでもよい。または、CPUと、メモリと、補助記憶装置と、通信インターフェースと、を備えたPC(Personal Computer)等の汎用コンピュータにおいて、CPUが所定のプログラムを補助記憶装置からメモリ上にロードして実行することにより実現されるものでもよい。
【0080】
図10は、情報提供サーバ4の動作を説明するためのフロー図である。
【0081】
主制御部403は、ネットワーク通信部400を介してクレードル2からログイン要求を受信すると(S400でYES)、このログイン要求に含まれている機器IDおよびクレードルIDがログイン情報記憶部402に記憶されているか否かを調べることによりログイン認証を実施する(S401)。
【0082】
そして、ログイン認証に失敗した場合(S402でNO)、すなわちログイン要求に含まれている機器IDおよびクレードルIDがログイン情報記憶部402に記憶されていないならば、主制御部403は、ネットワーク通信部400を介してログイン要求送信元のクレードル2にログインエラー通知を送信するなどの所定のエラー処理を実施する(S403)。
【0083】
一方、ログイン認証に成功した場合(S402でYES)、すなわちログイン要求に含まれている機器IDおよびクレードルIDがともにログイン情報記憶部402に記憶されているならば、主制御部403は、ログイン処理を実施して、ログイン要求に含まれている機器IDおよびクレードルIDの組合せをログイン中の管理対象とする(S404)。
【0084】
ログイン処理(S404)の実施後、主制御部403は、ネットワーク通信部400を介してログイン要求送信元のクレードル2にログイン通知を送信する(S405)。それから、主制御部403は、ログイン要求に含まれているクレードルIDに紐付けられて提供情報データベース401に記憶されている提供情報を、ネットワーク通信部400を介してログイン要求送信元のクレードル2に送信する(S406)。
【0085】
また、主制御部403は、ネットワーク通信部400を介してクレードル2からログアアウト要求を受信すると(S407でYES)、ログアウト処理を実施して、ログアウト要求に含まれている機器IDおよびクレードルIDの組合せをログイン中の管理対象から除外する(S408)。それから、主制御部403は、ネットワーク通信部400を介してログアウト要求送信元のクレードル2にログアウト通知を送信する(S409)。
【0086】
以上、本発明の一実施の形態について説明した。
【0087】
本実施の形態では、無線通信機器1をクレードル2に載置することにより、クレードル2が無線通信機器1の載置を検出して、近距離無線通信部200を有効化し、無線通信機器1と無線接続するので、無線通信機器1をクレードル2に載置するだけで、無線通信機器1とクレードル2とを接続端子で物理的に接続しなくても、クレードル2と無線通信機器1とを近距離無線通信により無線接続することができる。また、クレードル2と無線通信機器1とが無線接続されていないときは、クレードル2の近距離無線通信部200が無効化されるので、クレードル2に載置されていない他の無線通信機器1とクレードル2とが意図せずに無線接続されてしまうのを防止することができる。
【0088】
また、本実施の形態では、クレードル2と無線通信機器1とが無線接続中に無線通信機器1がクレードル2から取り外され、クレードル2が無線通信機器1の非載置を所定時間以上継続して検出した場合にのみ、近距離無線通信部200を無効化して、無線通信機器1との無線接続を切断するので、例えば、音量調整操作のために一時的に無線通信機器1がクレードル2から取り外されるような、クレードル2と無線通信機器1との無線接続の切断を意図していない操作によって、クレードル2と無線通信機器1との無線接続が切断されてしまうのを防止することができる。
【0089】
このように、本実施の形態によれば、より簡単な操作で無線通信機器1およびクレードル2間の無線接続を制御することができる。
【0090】
また、本実施の形態において、クレードル2は、近距離無線通信により無線通信機器1と無線接続されている場合に、情報提供サーバ4と無線通信機器1との間の情報伝送を中継するので、ユーザは、無線通信機器1をクレードル2に載置することにより、情報提供サーバ4の情報提供サービスを享受することができ、利便性が高まる。
【0091】
また、本実施の形態において、クレードル2は、近距離無線通信により無線通信機器1と無線接続した場合に、無線通信機器1から機器IDを取得して、この機器IDおよび自クレードル2のクレードルIDを含むログイン要求を情報提供サーバ4に送信し、情報提供サーバ4は、クレードル2から受信したログイン要求に含まれている機器IDおよびクレードルIDがともにログイン情報記憶部402に記憶されている場合にのみ、クレードル2のログインを許可して、クレードル2に提供情報を送信する。このため、無線通信機器1への情報提供を、無線通信機器1がクレードル2に載置されている場合のみに限定して、セキュリティを向上させることができる。
【0092】
なお、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【0093】
例えば、上記の実施の形態では、クレードル2にハンドセット3が接続されている場合を例にとり説明したが、本発明はこれに限定されない。クレードル2にハンドセット3を接続する代わりに、音声通話のためのマイクおよびスピーカをクレードル2に内蔵してもよい。
【0094】
また、上記の実施の形態では、無線通信機器1がクレードル2に無線接続されている場合に、無線通信機器1の音声入出力先を、無線通信機器1が備えるマイク102およびスピーカ103から、クレードル2に接続されたハンドセット3に切り替える場合を例にとり説明した。しかし、本発明はこれに限定されない。これに代えて、あるいはこれに加えて、クレードル2にタッチスクリーンが接続され、あるいはクレードル2にタッチスクリーンが内蔵され、無線通信機器1がクレードル2に無線接続されている場合に、無線通信機器1の情報入出力先(グラフィカルユーザインターフェース)を、無線通信機器1が備えるタッチスクリーン104から、クレードル2に接続された、あるいはクレードル2が備えるタッチスクリーンに切り替えてもよい。このようにすることにより、ユーザは、発信操作を含む無線通信機器1に対する各種操作および着信表示を含む各種メッセージの確認等を、クレードル2に接続された、あるいはクレードル2が備えるタッチスクリーンを介して実施することが可能となる。
【0095】
また、上記の実施の形態では、無線通信機器1として、電話網7が提供する電話サービスを利用して音声通話を行うスマートホン、携帯電話機等の電話端末を想定しているが、本発明はこれに限定されない。本発明は、トランシーバー、インターカム等の相手と音声通信可能なすべての無線通信機器に適用可能である。
【符号の説明】
【0096】
1:無線通信機器 2:クレードル 3:ハンドセット
4:情報提供サーバ 5:ネットワーク 6:基地局 7:電話網
100:無線通信部 101:近距離無線通信部 102:マイク
103:スピーカ 104:タッチスクリーン 105:電話機能部
106:切替部 107:主制御部 200:近距離無線通信部
201:ハンドセット接続部 202:ネットワーク通信部
203:ハンドセット中継部 204:ネットワーク中継部
205:機器ID取得部 206:ログイン処理部 207:載置検出部
208:給電部 209:主制御部 400:ネットワーク通信部
401:提供情報データベース 402:ログイン情報記憶部
403:主制御部