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特許7424193充電制御システム、充電制御方法、及び充電制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】充電制御システム、充電制御方法、及び充電制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/02 20160101AFI20240123BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240123BHJP
   H02J 7/34 20060101ALI20240123BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20240123BHJP
   B60L 53/63 20190101ALI20240123BHJP
   B60L 53/67 20190101ALI20240123BHJP
【FI】
H02J7/02 J
H02J7/00 P
H02J7/34 B
H02J3/00
H02J7/02 B
B60L53/63
B60L53/67
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020079220
(22)【出願日】2020-04-28
(65)【公開番号】P2021175315
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】星野 聖
(72)【発明者】
【氏名】工藤 耕治
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-110173(JP,A)
【文献】特開2011-211891(JP,A)
【文献】特開2013-118758(JP,A)
【文献】特開2017-046398(JP,A)
【文献】特開2014-023204(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/02
H02J 7/00
H02J 7/34
H02J 3/00
B60L 53/63
B60L 53/67
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の契約電力値が設定された受電設備と、
それぞれが前記受電設備に接続されると共に、電気自動車に対して充電可能な複数の充電装置と、
前記受電設備及び前記複数の充電装置と通信可能であり、前記契約電力値を超えないように、各充電装置の充電時における最大出力電力値を設定する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記複数の充電装置における第1の充電装置に第1の電気自動車が接続された際、前記第1の電気自動車の要求電力値及び前記第1の充電装置の出力電力上限値の小さい方を前記第1の充電装置の最大出力電力値に設定し、
電気自動車が接続された全充電装置の最大出力電力値の合計を含む総電力使用量が、前記契約電力値を超えるか否かを判定する、
充電制御システム。
【請求項2】
前記制御部は、
前記総電力使用量が前記契約電力値を超える場合、前記総電力使用量が前記契約電力値を超えないように、電気自動車が接続された前記全充電装置の少なくともいずれか1つの最大出力電力値を変更した後、前記第1の充電装置から前記第1の電気自動車に充電を開始する、
請求項1に記載の充電制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、
前記総電力使用量が前記契約電力値を超える場合、前記第1の電気自動車への充電を開始する前に、前記第1の充電装置の最大出力電力値を小さくするように変更する、
請求項2に記載の充電制御システム。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1の充電装置から前記第1の電気自動車に充電を開始した後、第2の充電装置に接続された第2の電気自動車への充電が終了した場合、前記第1の充電装置の最大出力電力値を大きくするように再設定する、
請求項3に記載の充電制御システム。
【請求項5】
前記制御部は、
前記第1の電気自動車が緊急車両であって、前記総電力使用量が前記契約電力値を超える場合、前記第1の電気自動車への充電を開始する前に、前記第1の充電装置以外の充電装置の最大出力電力値を小さくするように変更する、
請求項2に記載の充電制御システム。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第1の充電装置から前記第1の電気自動車に充電を開始した後、第2の充電装置に接続された第2の電気自動車への充電が終了した場合、最大出力電力値を小さくするように変更された前記充電装置の最大出力電力値を大きくするように再設定する、
請求項5に記載の充電制御システム。
【請求項7】
前記制御部は、
電力会社からのデマンドレスポンスに応じて、前記契約電力値を変更する、
請求項1~6のいずれか一項に記載の充電制御システム。
【請求項8】
前記制御部は、
前記デマンドレスポンスに応じて変更された前記契約電力値を前記総電力使用量が超える場合、前記総電力使用量が変更された前記契約電力値を超えないように、電気自動車が接続された前記全充電装置の少なくともいずれか1つの最大出力電力値を変更する、
請求項7に記載の充電制御システム。
【請求項9】
受電設備にそれぞれ接続された複数の充電装置のいずれか一つに電気自動車が接続された際、当該電気自動車の要求電力値及び当該充電装置の出力電力上限値の小さい方を当該充電装置の最大出力電力値に設定し、
電気自動車が接続された全充電装置の最大出力電力値の合計を含む総電力使用量が、前記受電設備に設定された所定の契約電力値を超えるか否かを判定する、
充電制御方法。
【請求項10】
受電設備にそれぞれ接続された複数の充電装置のいずれか一つに電気自動車が接続された際、当該電気自動車の要求電力値及び当該充電装置の出力電力上限値の小さい方を当該充電装置の最大出力電力値に設定し、
電気自動車が接続された全充電装置の最大出力電力値の合計を含む総電力使用量が、前記受電設備に設定された所定の契約電力値を超えるか否かを判定する、処理をコンピュータに実行させる、
充電制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は充電制御システム、充電制御方法、及び充電制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1~4に開示されているように、電気自動車に対して充電可能な充電装置を含む充電制御システムが知られている。
例えば特許文献3では、複数の充電装置からそれぞれに接続された電気自動車に対して出力される最大出力電力値の合計が契約電力値を超えないように、各充電装置の最大出力電力値を変更している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2017-500836号公報
【文献】特開2012-235545号公報
【文献】特開2011-211891号公報
【文献】特開2012-191843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献3では、電気自動車が接続された充電装置の最大出力電力値の合計ではなく、電気自動車の要求電力値の合計を用いて、契約電力値を超えるか否かを判定している。
しかしながら、充電装置に接続された電気自動車の要求電力値が、当該充電装置の最大出力電力値よりも大きい場合もあり得る。その場合、実際の電力使用量は充電装置の最大出力電力値であるため、契約電力値を超えないにも関わらず、誤って契約電力値を超えると判定する問題があった。
【0005】
本開示は、このような課題に鑑み、契約電力値を超えない範囲で、電力を最大限に利用し、より効率的に充電可能な充電制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る充電制御システムは、
所定の契約電力値が設定された受電設備と、
それぞれが前記受電設備に接続されると共に、電気自動車に対して充電可能な複数の充電装置と、
前記受電設備及び前記複数の充電装置と通信可能であり、前記契約電力値を超えないように、各充電装置の充電時における最大出力電力値を設定する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記複数の充電装置のいずれか一つに電気自動車が接続された際、当該電気自動車の要求電力値及び当該充電装置の出力電力上限値の小さい方を当該充電装置の最大出力電力値に設定し、
電気自動車が接続された全充電装置の最大出力電力値の合計を含む総電力使用量が、前記契約電力値を超えるか否かを判定するものである。
【0007】
本開示の一態様に係る充電制御方法は、
受電設備にそれぞれ接続された複数の充電装置のいずれか一つに電気自動車が接続された際、当該電気自動車の要求電力値及び当該充電装置の出力電力上限値の小さい方を当該充電装置の最大出力電力値に設定し、
電気自動車が接続された全充電装置の最大出力電力値の合計を含む総電力使用量が、前記受電設備に設定された所定の契約電力値を超えるか否かを判定するものである。
【0008】
本開示の一態様に係る充電制御プログラムは、
受電設備にそれぞれ接続された複数の充電装置のいずれか一つに電気自動車が接続された際、当該電気自動車の要求電力値及び当該充電装置の出力電力上限値の小さい方を当該充電装置の最大出力電力値に設定し、
電気自動車が接続された全充電装置の最大出力電力値の合計を含む総電力使用量が、前記受電設備に設定された所定の契約電力値を超えるか否かを判定する、処理をコンピュータに実行させるものである。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、契約電力値を超えない範囲で、電力を最大限に利用し、より効率的に充電可能な充電制御システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1の実施形態に係る充電制御システムの構成を示すブロック図である。
図2】第2の実施形態に係る充電制御システムの構成を示すブロック図である。
図3】充電制御方法を示すフローチャートである。
図4】充電装置EVC1に電気自動車EV1が接続された際、充電装置EVC1の最大出力電力値を設定する様子を模式的に示す図である。
図5図4においてさらに充電装置EVC2に電気自動車EV2が接続された際、充電装置EVC2の最大出力電力値を設定する様子を模式的に示す図である。
図6図5においてさらに充電装置EVC3に電気自動車EV3が接続された際、充電装置EVC3の最大出力電力値を設定する様子を模式的に示す図である。
図7図6において充電装置EVC1から電気自動車EV1への充電が終了した際、充電装置EVC2、ECV3の最大出力電力値を再設定する様子を模式的に示す図である。
図8図6の変形例を示す図である。
図9図5に示した電気自動車EV1、EV2の充電中に、使用電力量を低減させるDRに基づいて、契約電力値を小さくし、最大出力電力値を小さくする場合を示す図である。
図10図5に示した電気自動車EV1、EV2の充電中に、使用電力量を低減させるDRに基づいて、充電装置EVC1、EVC2の出力電力上限値を小さくし、最大出力電力値を小さくする場合を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下では、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0012】
(第1の実施形態)
<充電制御システムの構成>
まず、図1を参照して、第1の実施形態に係る充電制御システムについて説明する。図1は、第1の実施形態に係る充電制御システムの構成を示すブロック図である。第1の実施形態に係る充電制御システムは、例えば電気自動車(EV:Electric Vehicle)用の充電ステーションに適用される。なお、本明細書において、電気自動車は、ハイブリッド車も含む。
図1に示すように、本実施形態に係る充電制御システムは、受電設備110、制御部120、及び複数の充電装置EVC1~EVCn(nは2以上の整数)を備えている。
【0013】
図1に示すように、受電設備110は、充電装置EVC1~EVCnのそれぞれと接続されている。受電設備110を介して、充電装置EVC1~EVCnのそれぞれに電力が供給される。図1では、電力供給線が太い実線によって示されている。受電設備110には、所定の契約電力値が設定されている。当該契約電力値の範囲内で、受電設備110を介して、充電装置EVC1~EVCnのそれぞれに電力を供給できる。
【0014】
図1に示すように、制御部120は、受電設備110及び充電装置EVC1~EVCnのそれぞれと、通信可能に接続されている。制御部120と受電設備110及び充電装置EVC1~EVCnとの接続は、有線接続でも無線接続でもよい。制御部120は、充電装置EVC1~EVCnの総電力使用量が、受電設備110の契約電力値を超えないように、充電装置EVC1~EVCnの充電時における最大出力電力値を設定する。例えば充電装置EVC1に設定された最大出力電力値以下の範囲で、充電装置EVC1から電気自動車EV1に対して充電する。
なお、制御部120は、例えばクラウドサーバやローカルサーバである。あるいは、制御部120は、受電設備110の内部に設けられていてもよい。
【0015】
ここで、例えば充電装置EVC1の最大出力電力値は、予め定められた充電装置EVC1の出力電力上限値以下の範囲で、充電する度に設定される。また、充電装置EVC1の出力電力上限値は、充電装置EVC1の定格出力電力値以下であって、固定値でも変更可能でもよい。
他の充電装置EVC2~EVCnの最大出力電力値及び出力電力上限値についても同様である。
【0016】
例えば充電装置EVC1に電気自動車EV1が接続され、充電を開始する場合について説明する。ここで、契約電力値を考慮しなければ、電気自動車EV1の要求電力値が、充電装置EVC1の出力電力上限値を超える場合、充電装置EVC1の出力電力上限値を充電装置EVC1の最大出力電力値として充電するのが最も効率的である。他方、電気自動車EV1の要求電力値が、充電装置EVC1の出力電力上限値以下である場合、電気自動車EV1の要求電力値を充電装置EVC1の最大出力電力値として充電するのが最も効率的である。
【0017】
そのため、制御部120は、電気自動車EV1の要求電力値及び充電装置EVC1の出力電力上限値の小さい方を充電装置EVC1の最大出力電力値に設定する。
そして、制御部120は、充電装置EVC1~EVCnのうち電気自動車が接続された全充電装置の最大出力電力値の合計を含む総電力使用量が、契約電力値を超えるか否かを判定する。総電力使用量が契約電力値を超えない場合、制御部120は、充電装置EVC1から電気自動車EV1への充電を開始する。
【0018】
他方、総電力使用量が契約電力値を超えている場合、制御部120は、総電力使用量が契約電力値以下となるように、例えば充電装置EVC1の最大出力電力値を変更した後、充電を開始する。あるいは、総電力使用量が契約電力値以下となるように、電気自動車が接続された充電装置EVC1以外の充電装置の最大出力電力値を変更してもよい。
【0019】
なお、他の充電装置EVC2~EVCnに電気自動車が接続され、充電を開始する場合についても同様である。
また、図1の例では、総電力使用量は、充電装置EVC1~EVCnのうち電気自動車が接続された全充電装置の最大出力電力値の合計に等しい。しかしながら、例えば図示しない負荷が受電設備110に接続されており、総電力使用量が当該負荷による使用電力値をさらに含んでもよい。
【0020】
以上に説明した通り、本実施形態に係る充電制御システムでは、複数の充電装置のいずれか一つに電気自動車が接続された際、当該電気自動車の要求電力値及び当該充電装置の出力電力上限値の小さい方を充電装置の最大出力電力値に設定する。そして、電気自動車が接続された全充電装置の最大出力電力値の合計を含む総電力使用量が契約電力値を超えるか否かを判定する。そのため、契約電力値を超えない範囲で、電力を最大限に利用し、より効率的に充電できる。
【0021】
(第2の実施形態)
<充電制御システムの構成>
次に、図2を参照して、第2の実施形態に係る充電制御システムについて説明する。図2は、第2の実施形態に係る充電制御システムの構成を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態に係る充電制御システムは、受電設備110、クラウドサーバ(制御部)120、及び3つの充電装置EVC1~EVC3を備えている。図2に示した充電制御システムは、図1に示した充電制御システムをより具体化した一例である。クラウドサーバ120は、図1における制御部120に該当する。
【0022】
図2に示すように、受電設備110は、電力会社から例えば送電線等を介して電力を受電する。受電設備110は、充電装置EVC1~EVC3のそれぞれと接続されている。受電設備110を介して、充電装置EVC1~EVC3のそれぞれに電力が供給される。図2でも、電力供給線が太い実線によって示されている。受電設備110には、所定の契約電力値が設定されている。当該契約電力値の範囲内で、受電設備110を介して、充電装置EVC1~EVC3のそれぞれに電力を供給できる。
【0023】
図2に示すように、クラウドサーバ120は、電力会社、受電設備110、及び充電装置EVC1~EVC3のそれぞれと、通信可能に接続されている。クラウドサーバ120と、電力会社、受電設備110及び充電装置EVC1~EVC3との接続は、有線接続でも無線接続でもよい。クラウドサーバ120は、充電装置EVC1~EVC3の総電力使用量が、受電設備110の契約電力値を超えないように、充電装置EVC1~EVC3の充電時における最大出力電力値を設定する。例えば充電装置EVC1に設定された最大出力電力値以下の範囲で、充電装置EVC1から電気自動車EV1に対して充電する。
なお、クラウドサーバ120による充電制御方法(最大出力電力値の設定方法)の詳細については、後述する。
【0024】
ここで、例えば充電装置EVC1の最大出力電力値は、予め定められた充電装置EVC1の出力電力上限値以下の範囲で、充電する度に設定される。他方、充電装置EVC1の出力電力上限値は、例えば充電装置EVC1の定格出力電力値以下の固定値であって、充電する度に設定されるものではない。但し、例えば電力会社からのデマンドレスポンス(DR:Demand Response)に応じて、クラウドサーバ120が、充電装置EVC1の出力電力上限値を充電装置EVC1の定格出力電力値以下の範囲で変更してもよい。
他の充電装置EVC2、EVC3の最大出力電力値及び出力電力上限値についても同様である。
【0025】
クラウドサーバ120は、受電設備110に接続された全ての充電装置EVC1~EVC3を、受電設備110に紐付けて管理している。また、クラウドサーバ120は、受電設備110の契約電力値及び充電装置EVC1~EVC3の出力電力上限値を登録している。さらに、クラウドサーバ120は、電力会社からのDRに応じて、受電設備110の契約電力値を更新する。
【0026】
<充電制御方法>
以下に、図3を参照して、図2に示したクラウドサーバ120による充電制御方法の詳細について説明する。図3は、充電制御方法を示すフローチャートである。ここで、図3では、電気自動車を「EV」と記載している。
以下では、一例として、図2に示した充電装置EVC1に電気自動車EV1が接続され、充電を開始する場合について説明する。
【0027】
まず、充電装置EVC1に電気自動車EV1が接続されると、充電装置EVC1を介して電気自動車EV1の要求電力値をクラウドサーバ120が取得する(ステップST1)。
次に、クラウドサーバ120は、電気自動車EV1の要求電力値及び充電装置EVC1の出力電力上限値の小さい方を充電装置EVC1の最大出力電力値に設定する(ステップST2)。
【0028】
ここで、電気自動車EV1の要求電力値が、充電装置EVC1の出力電力上限値を超える場合、充電装置EVC1の出力電力上限値を超えて充電することはできない。そのため、契約電力値を考慮しなければ、充電装置EVC1の出力電力上限値を充電装置EVC1の最大出力電力値として充電するのが、最も短時間で充電でき、効率的である。
【0029】
他方、電気自動車EV1の要求電力値が、充電装置EVC1の出力電力上限値以下である場合、電気自動車EV1の要求電力値を超えて充電することはできない(もしくは、その必要がない)。そのため、電気自動車EV1の要求電力値を充電装置EVC1の最大出力電力値として充電するのが、最も短時間で充電でき、効率的である。
従って、クラウドサーバ120は、電気自動車EV1の要求電力値及び充電装置EVC1の出力電力上限値の小さい方を充電装置EVC1の最大出力電力値に設定する
【0030】
次に、クラウドサーバ120は、充電装置EVC1~EVC3のうち電気自動車が接続された全充電装置の最大出力電力値の合計を含む総電力使用量が、契約電力値を超えるか否かを判定する(ステップST3)。
【0031】
総電力使用量が契約電力値を超えている場合(ステップST3NO)、クラウドサーバ120は、総電力使用量が契約電力値以下となるように、充電装置EVC1の最大出力電力値を変更し(ステップST4)、その後、充電を開始する(ステップST5)。
他方、総電力使用量が契約電力値を超えない場合(ステップST3YES)、クラウドサーバ120は、充電装置EVC1から電気自動車EV1への充電を開始する(ステップST5)。
【0032】
なお、図2に示した他の充電装置EVC2、EVC3に電気自動車EV2、EV3がそれぞれ接続され、充電を開始する場合についても同様である。
また、図2の例では、総電力使用量は、充電装置EVC1~EVC3のうち電気自動車が接続された全充電装置の最大出力電力値の合計に等しい。しかしながら、例えば図示しない負荷が受電設備110に接続されており、総電力使用量が当該負荷による使用電力値をさらに含んでもよい。
【0033】
次に、ステップST5の充電開始後、イベントが発生した場合(ステップST6YES)、充電装置EVC1の最大出力電力値を再設定する(ステップST7)。他方、イベントが発生しない場合(ステップST6NO)、そのまま充電を継続する。ここで、イベントとは、例えば、図2に示した他の充電装置EVC2、EVC3のいずれかにおける充電開始、充電終了、あるいは電力会社からのDRの受信等である。
なお、ステップST7における最大出力電力値の再設定は、最大出力電力値を変更しない場合も含む。すなわち、イベントが発生しても、最大出力電力値を変更しない場合もある。
【0034】
図3に示すように、充電が完了しなければ(ステップST8NO)、イベントが発生する度に(ステップST6YES)、クラウドサーバ120は、充電装置EVC1の最大出力電力値を再設定する(ステップST7)。充電が完了すれば(ステップST8YES)、クラウドサーバ120は、対象の充電装置に対する制御を終了する。
なお、クラウドサーバ120は、充電完了後に、予め設定された充電料金体系に基づいて、充電料金を計算してもよい。
【0035】
ここで、イベントが発生した場合のステップST7の具体例について説明する。
まず、他の充電装置EVC2において電気自動車EV2への充電を終了するイベントが発生した場合について説明する。この場合、充電装置EVC2の最大出力電力値の分、契約電力値の範囲内で使用可能な電力量が増える。そのため、ステップST4において、充電装置EVC1の最大出力電力値を小さくしていた場合、ステップST7において、充電装置EVC1の最大出力電力値を大きくしてもよい。
【0036】
次に、他の充電装置EVC2において電気自動車EV2に充電を開始するイベントが発生した場合について説明する。充電装置EVC2に電気自動車EV2が接続されると、クラウドサーバ120は、充電装置EVC2に対しても、図3に示したステップST1~ステップST3の処理を行う。ここで、充電装置EVC2に対するステップST3において、総電力使用量が契約電力値を超える場合、充電装置EVC1に対するステップST7において、充電装置EVC1の最大出力電力値を小さくしてもよい。
【0037】
次に、クラウドサーバ120が電力会社からのDRを受信するイベントが発生した場合について説明する。その場合、クラウドサーバ120は、DRに基づいて受電設備110の契約電力値を小さくしたり、大きくしたりする。契約電力値を小さくした場合であって、総電力使用量が新たな契約電力値を超えてしまう場合、ステップST7において、充電装置EVC1の最大出力電力値を小さくしてもよい。他方、契約電力値を大きくした場合であって、ステップST4において、充電装置EVC1の最大出力電力値を小さくしていた場合、ステップST7において、充電装置EVC1の最大出力電力値を大きくしてもよい。DRに基づいて受電設備110の契約電力値を小さくした場合の具体例については、図9を参照して後述する。
【0038】
なお、ここでは、DRに基づいて受電設備110の契約電力値を変更した際、充電装置EVC1の出力電力上限値を変更しない場合について説明した。他方、DRに基づいて、充電装置EVC1の出力電力上限値を変更し、それに付随して最大出力電力値を変更してもよい。DRに基づいて充電装置の出力電力上限値を小さくした場合の具体例については、図10を参照して後述する。
【0039】
以上に説明した通り、本実施形態に係る充電制御システムでは、複数の充電装置のいずれか一つに電気自動車が接続された際、当該電気自動車の要求電力値及び当該充電装置の出力電力上限値の小さい方を充電装置の最大出力電力値に設定する。そして、電気自動車が接続された全充電装置の最大出力電力値の合計を含む総電力使用量が契約電力値を超えるか否かを判定する。そのため、契約電力値を超えない範囲で、電力を最大限に利用し、より効率的に充電できる。
【0040】
<最大出力電力値の設定方法の具体例>
次に、図4図7を参照して、充電装置EVC1~EVC3に電気自動車EV1~EV3が順次接続された場合における最大出力電力値の設定方法の具体例について説明する。図4は、充電装置EVC1に電気自動車EV1が接続された際、充電装置EVC1の最大出力電力値を設定する様子を模式的に示す図である。図5は、図4においてさらに充電装置EVC2に電気自動車EV2が接続された際、充電装置EVC2の最大出力電力値を設定する様子を模式的に示す図である。図6は、図5においてさらに充電装置EVC3に電気自動車EV3が接続された際、充電装置EVC3の最大出力電力値を設定する様子を模式的に示す図である。図7は、図6において充電装置EVC1から電気自動車EV1への充電が終了した際、充電装置EVC2、ECV3の最大出力電力値を再設定する様子を模式的に示す図である。
【0041】
まず、図4上段は、図2において充電装置EVC1に電気自動車EV1が接続された状態を示している。図4下段左右は、受電設備110の契約電力値、充電装置EVC1~EVC3の最大出力電力値及び出力電力上限値、並びに電気自動車EV1~EV3の要求電力値の棒グラフを示している。図4下段左は、充電装置EVC1の最大出力電力値を設定する前、図4下段右は、充電装置EVC1の最大出力電力値を設定した後を示している。
【0042】
なお、図4図7の上段に示したブロック図では、電力会社は省略されている。
また、図4図7の棒グラフでは、最大出力電力値は「最大出力」と、出力電力上限値は「出力上限」と省略して記載されている。
図4図7の棒グラフに示すように、破線で示した充電装置EVC1~EVC3の出力電力上限値Pl1~Pl3の合計(Pl1+Pl2+Pl3)は、契約電力値Pcよりも大きい。
【0043】
図4上段に示すように、充電装置EVC1に電気自動車EV1が接続されると、図3に示したフローチャートにおけるステップST1~ST4に沿って、充電装置EVC1の最大出力電力値を設定する。図4下段左に示すように、電気自動車EV1の要求電力値Pr1は、接続された充電装置EVC1の出力電力上限値Pl1よりも小さい。そのため、電気自動車EV1の要求電力値Pr1が、充電装置EVC1の最大出力電力値Pm1に設定される(図3ステップST2)。そして、最大出力電力値の合計Pm1も契約電力値Pcよりも小さいため(図3ステップST3YES)、図4下段右に示すように、電気自動車EV1の要求電力値Pr1がそのまま充電装置EVC1の最大出力電力値Pm1に設定される。
【0044】
次に、図5上段は、図4上段においてさらに充電装置EVC2に電気自動車EV2が接続された状態を示している。図5下段左右は、図4下段左右と同様に、受電設備110の契約電力値、充電装置EVC1~EVC3の最大出力電力値及び出力電力上限値、並びに電気自動車EV1~EV3の要求電力値の棒グラフを示している。図5下段左は、充電装置EVC2の最大出力電力値を設定する前、図5下段右は、充電装置EVC2の最大出力電力値を設定した後を示している。
【0045】
図5上段に示すように、充電装置EVC2に電気自動車EV2が接続されると、図3に示したフローチャートにおけるステップST1~ST4に沿って、充電装置EVC2の最大出力電力値を設定する。図5下段左に示すように、電気自動車EV2の要求電力値Pr2は、接続された充電装置EVC2の出力電力上限値Pl2よりも大きい。そのため、充電装置EVC2の出力電力上限値Pl2が、充電装置EVC2の最大出力電力値Pm2に設定される(図3ステップST2)。そして、最大出力電力値の合計(Pm1+Pm2)も契約電力値Pcよりも小さいため(図3ステップST3YES)、図5下段右に示すように、充電装置EVC2の出力電力上限値Pl2がそのまま充電装置EVC2の最大出力電力値Pm2に設定される。
【0046】
他方、充電装置EVC2の充電開始は、充電装置EVC1にとっては、充電中におけるイベントである(図3ステップST6YES)。そのため、充電装置EVC1の最大出力電力値Pm1は再設定される(図3ステップST7)。図5に示した例では、充電装置EVC1の最大出力電力値Pm1は、電気自動車EV1の要求電力値Pr1であるため、変更されずにそのまま維持される。
【0047】
次に、図6上段は、図5上段においてさらに充電装置EVC3に電気自動車EV3が接続された状態を示している。図6下段左右は、図4下段左右と同様に、受電設備110の契約電力値、充電装置EVC1~EVC3の最大出力電力値及び出力電力上限値、並びに電気自動車EV1~EV3の要求電力値の棒グラフを示している。図6下段左は、充電装置EVC3の最大出力電力値を設定する前、図6下段右は、充電装置EVC3の最大出力電力値を設定した後を示している。
【0048】
図6上段に示すように、充電装置EVC3に電気自動車EV3が接続されると、図3に示したフローチャートにおけるステップST1~ST4に沿って、充電装置EVC3の最大出力電力値を設定する。図6下段左に示すように、電気自動車EV3の要求電力値Pr3は、接続された充電装置EVC3の出力電力上限値Pl3よりも大きい。そのため、充電装置EVC3の出力電力上限値Pl3が、充電装置EVC3の最大出力電力値Pm3に一旦設定される(図3ステップST2)。
【0049】
但し、最大出力電力値の合計(Pm1+Pm2+Pm3)が契約電力値Pcよりも大きくなってしまう(図3ステップST3NO)。そのため、図6下段右に示すように、充電装置EVC3の最大出力電力値Pm3を、充電装置EVC3の出力電力上限値Pl3から契約電力値の残量(Pc-Pm1-Pm2)に変更する(図3ステップST4)。
【0050】
他方、充電装置EVC3の充電開始は、充電装置EVC1及び充電装置EVC2にとっては、充電中におけるイベントである(図3ステップST6YES)。そのため、充電装置EVC1、EVC2の最大出力電力値Pm1、Pm2は再設定される(図3ステップST7)。図6に示した例では、充電装置EVC1の最大出力電力値Pm1は、電気自動車EV1の要求電力値Pr1であるため、変更されずにそのまま維持される。また、充電装置EVC2の最大出力電力値Pm2は、充電装置EVC2の出力電力上限値Pl2であるため、変更されずにそのまま維持される。
【0051】
次に、図7上段は、図6上段において充電装置EVC1から電気自動車EV1への充電が終了した状態を示している。図7下段左右は、図4下段左右と同様に、受電設備110の契約電力値、充電装置EVC1~EVC3の最大出力電力値及び出力電力上限値、並びに電気自動車EV1~EV3の要求電力値の棒グラフを示している。図7下段左は、充電装置EVC2、EVC3の最大出力電力値Pm2、Pm3を再設定する前、図7下段右は、充電装置EVC2、EVC3の最大出力電力値Pm2、Pm3を再設定した後を示している。
【0052】
図7上段に示す充電装置EVC1の充電終了は、充電装置EVC2及び充電装置EVC3にとっては、充電中におけるイベントである(図3ステップST6YES)。そのため、充電装置EVC2、EVC3の最大出力電力値Pm2、Pm3は再設定される(図3ステップST7)。
【0053】
図7下段左に示すように、充電装置EVC2の最大出力電力値Pm2は、充電装置EVC2の出力電力上限値Pl2であるため、変更されずにそのまま維持される。
他方、図6に示したように、充電装置EVC3の最大出力電力値Pm3は、充電装置EVC3の出力電力上限値Pl3から契約電力値の残量(Pc-Pm1-Pm2)に変更されていた。ここで、図7下段左に示すように、充電装置EVC1の充電終了によって、契約電力値の残量が(Pc-Pm1-Pm2)から(Pc-Pm2)に増加する。そのため、充電装置EVC3の最大出力電力値Pm3を大きくできる。
【0054】
図7の例では、契約電力値の残量(Pc-Pm2)が、充電装置EVC3の出力電力上限値Pl3よりも大きい。そのため、充電装置EVC3の最大出力電力値Pm3を、充電装置EVC3の出力電力上限値Pl3に再設定する。なお、契約電力値の残量(Pc-Pm2)が、充電装置EVC3の出力電力上限値Pl3よりも小さければ、充電装置EVC3の最大出力電力値Pm3を、契約電力値の残量(Pc-Pm2)に再設定すればよい。
【0055】
<最大出力電力値の設定方法の変形例>
次に、図8を参照して、最大出力電力値の設定方法の変形例について説明する。図8は、図6の変形例を示す図である。すなわち、図8も、図5においてさらに充電装置EVC3に電気自動車EV3が接続された際、充電装置EVC3の最大出力電力値を設定する様子を模式的に示す図である。ここで、図8では、電気自動車EV3が、緊急車両である。緊急車両は、例えば、パトロールカー、消防車、救急車等である。
【0056】
図8上段は、図5上段においてさらに充電装置EVC3に電気自動車EV3が接続された状態を示している。図8下段左右は、図6下段左右と同様に、受電設備110の契約電力値、充電装置EVC1~EVC3の最大出力電力値及び出力電力上限値、並びに電気自動車EV1~EV3の要求電力値の棒グラフを示している。図8下段左は、充電装置EVC2の最大出力電力値を再設定する前、図8下段右は、充電装置EVC2の最大出力電力値を再設定した後を示している。
【0057】
図8上段に示すように、充電装置EVC3に電気自動車EV3が接続されると、図3に示したフローチャートにおけるステップST1~ST3に沿って、充電装置EVC3の最大出力電力値を設定する。図8下段左に示すように、電気自動車EV3の要求電力値Pr3は、接続された充電装置EVC3の出力電力上限値Pl3よりも大きい。そのため、充電装置EVC3の出力電力上限値Pl3が、充電装置EVC3の最大出力電力値Pm3に一旦設定される(図3ステップST2)。
【0058】
但し、最大出力電力値の合計(Pm1+Pm2+Pm3)が契約電力値Pcよりも大きくなってしまう(図3ステップST3NO)。ここで、図8の例では、充電装置EVC3が緊急車両であるため、図8下段左に示すように、充電装置EVC3の出力電力上限値Pl3がそのまま優先的に充電装置EVC3の最大出力電力値Pm3に設定される。
【0059】
他方、充電装置EVC3の充電開始は、充電装置EVC1及び充電装置EVC2にとっては、充電中におけるイベントである(図3ステップST6YES)。そのため、充電装置EVC1、EVC2の最大出力電力値Pm1、Pm2は再設定される(図3ステップST7)。図8に示した例では、充電装置EVC3の最大出力電力値Pm3を優先しているため、充電装置EVC1の最大出力電力値Pm1又は充電装置EVC2の最大出力電力値Pm2を変更する必要がある。
【0060】
図8に示した例では、充電装置EVC1の最大出力電力値Pm1は、最初に充電を開始したため、変更されずにそのまま維持される。他方、充電装置EVC2の最大出力電力値Pm2は、後から充電を開始したため、契約電力値の残量(Pc-Pm1-Pm3)に再設定される。
なお、充電装置EVC2の最大出力電力値Pm2をそのまま維持し、充電装置EVC1の最大出力電力値Pm1を変更してもよい。あるいは、充電装置EVC1、EVC2の最大出力電力値Pm1、Pm2の両方を変更してもよい。
【0061】
なお、緊急車両の認証方法は、何ら限定されない。例えば、運転者が所持するIC(Integrated Circuit)カードによって認証してもよい。運転者のWEB会員認証によって認証してもよい。予め車両番号(ナンバープレート)を登録しておき、画像認証によって認証してもよい。
また、緊急車両に限らず、事前に予約された電気自動車を優先的に充電してもよい。
【0062】
図6図8の例に限らず、仮の総電力使用量が契約電力値Pcを超える場合(ステップST3NO)、充電装置EVC1~EVC3の最大出力電力値を変更する手法は何ら限定されない。例えば以下のような手法が考えられる。
【0063】
例えば、ステップST3の判定における総電力使用量(Pm1+Pm2+Pm3)と契約電力値Pcとの差分を3等分し、ステップST3の判定における充電装置EVC1~EVC3の最大出力電力値Pm1~Pm3から減らすように変更してもよい。あるいは、ステップST3の判定における充電装置EVC1~EVC3の最大出力電力値Pm1~Pm3を同じ比率で減らすように変更してもよい。
【0064】
また、電気自動車EV1~EV3の電池残量を基準にしてもよい。例えば、電池残量が少ない電気自動車を優先して充電するように、最大出力電力値を減らす充電装置を選んでもよい。すなわち、最も電池残量の多い電気自動車に接続された充電装置の最大出力電力値を減らしてもよい。
【0065】
あるいは、電気自動車EV1~EV3の満充電までの残り時間(すなわち充電終了予定時刻でもよい)を基準にしてもよい。例えば、満充電までの残り時間が長い電気自動車を優先して充電するように、最大出力電力値を減らす充電装置を選んでもよい。すなわち、満充電までの残り時間が最短の電気自動車に接続された充電装置の最大出力電力値を減らしてもよい。
【0066】
充電装置EVC1~EVC3の充電時間が同一時間に固定されている場合、電気自動車EV1~EV3の充電経過時間(又は充電残り時間)を基準にしてもよい。例えば、急速充電装置の充電時間は、通常30分に固定されている。例えば、充電経過時間が短い電気自動車を優先して充電するように、最大出力電力値を減らす充電装置を選んでもよい。すなわち、充電経過時間が最長の電気自動車に接続された充電装置の最大出力電力値を減らしてもよい。
【0067】
他方、充電装置EVC1~EVC3の充電時間が、適宜選択可能な場合、電気自動車EV1~EV3の充電残り時間を基準にしてもよい。例えば、充電残り時間が長い電気自動車を優先して充電するように、最大出力電力値を減らす充電装置を選んでもよい。すなわち、充電残り時間が最短の電気自動車に接続された充電装置の最大出力電力値を減らしてもよい。
【0068】
<その他の実施形態>
図9図10を参照して、使用電力量を低減させるDRに基づいて、最大出力電力値を小さくする場合について説明する。
図9は、図5に示した電気自動車EV1、EV2の充電中に、使用電力量を低減させるDRに基づいて、契約電力値を小さくし、最大出力電力値を小さくする場合を示す図である。
図10は、図5に示した電気自動車EV1、EV2の充電中に、使用電力量を低減させるDRに基づいて、充電装置EVC1、EVC2の出力電力上限値を小さくし、最大出力電力値を小さくする場合を示す図である。
【0069】
図9に示す例では、総電力使用量すなわち最大出力電力値の合計(Pm1+Pm2)が、小さくなった新たな契約電力値Pcを超えてしまうため、その差分だけ充電装置EVC2の最大出力電力値Pm2を小さくしている。上述の通り、最大出力電力値Pm1を小さくしてもよいし、最大出力電力値Pm1、Pm2の両方を小さくしてもよい。
【0070】
図10に示す例では、DRを満たすように、充電装置EVC1の出力電力上限値Pl1を電気自動車EV1の要求電力値Pr1(すなわち現状の最大出力電力値Pm1)まで小さくし、さらに充電装置EVC2の出力電力上限値Pl2を小さくしている。その結果、新たな出力電力上限値Pl2が最大出力電力値Pm2に再設定される。
なお、充電装置EVC2の出力電力上限値Pl2を変化させずに、DRに基づいて、充電装置EVC1の出力電力上限値Pl1のみを電気自動車EV1の要求電力値Pr1よりも小さくしてもよい。
【0071】
上述の実施形態における各機能ブロックは、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成され、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。各装置の機能(処理)を、CPU(Central Processing Unit)やメモリ等を有するコンピュータにより実現してもよい。例えば、記憶装置に実施形態における方法を行うためのコンピュータプログラムを格納し、各機能を、記憶装置に格納されたコンピュータプログラムをCPUで実行することにより実現してもよい。
【0072】
これらのコンピュータプログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、コンピュータプログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、コンピュータプログラムをコンピュータに供給できる。
【0073】
以上、実施の形態を参照して本開示を説明したが、本開示は上記実施の形態に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0074】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
所定の契約電力値が設定された受電設備と、
それぞれが前記受電設備に接続されると共に、電気自動車に対して充電可能な複数の充電装置と、
前記受電設備及び前記複数の充電装置と通信可能であり、前記契約電力値を超えないように、各充電装置の充電時における最大出力電力値を設定する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記複数の充電装置における第1の充電装置に第1の電気自動車が接続された際、前記第1の電気自動車の要求電力値及び前記第1の充電装置の出力電力上限値の小さい方を前記第1の充電装置の最大出力電力値に設定し、
電気自動車が接続された全充電装置の最大出力電力値の合計を含む総電力使用量が、前記契約電力値を超えるか否かを判定する、
充電制御システム。
(付記2)
前記制御部は、
前記総電力使用量が前記契約電力値を超える場合、前記総電力使用量が前記契約電力値を超えないように、電気自動車が接続された前記全充電装置の少なくともいずれか1つの最大出力電力値を変更した後、前記第1の充電装置から前記第1の電気自動車に充電を開始する、
付記1に記載の充電制御システム。
(付記3)
前記制御部は、
前記総電力使用量が前記契約電力値を超える場合、前記第1の電気自動車への充電を開始する前に、前記第1の充電装置の最大出力電力値を小さくするように変更する、
付記2に記載の充電制御システム。
(付記4)
前記制御部は、
前記第1の充電装置から前記第1の電気自動車に充電を開始した後、第2の充電装置に接続された第2の電気自動車への充電が終了した場合、前記第1の充電装置の最大出力電力値を大きくするように再設定する、
付記3に記載の充電制御システム。
(付記5)
前記制御部は、
前記第1の電気自動車が緊急車両であって、前記総電力使用量が前記契約電力値を超える場合、前記第1の電気自動車への充電を開始する前に、前記第1の充電装置以外の充電装置の最大出力電力値を小さくするように変更する、
付記2に記載の充電制御システム。
(付記6)
前記制御部は、
前記第1の充電装置から前記第1の電気自動車に充電を開始した後、第2の充電装置に接続された第2の電気自動車への充電が終了した場合、最大出力電力値を小さくするように変更された前記充電装置の最大出力電力値を大きくするように再設定する、
付記5に記載の充電制御システム。
(付記7)
前記制御部は、
電力会社からのデマンドレスポンスに応じて、前記契約電力値を変更する、
付記1~6のいずれか一項に記載の充電制御システム。
(付記8)
前記制御部は、
前記デマンドレスポンスに応じて変更された前記契約電力値を前記総電力使用量が超える場合、前記総電力使用量が変更された前記契約電力値を超えないように、電気自動車が接続された前記全充電装置の少なくともいずれか1つの最大出力電力値を変更する、
付記7に記載の充電制御システム。
(付記9)
前記制御部は、クラウドサーバに含まれる、
付記1~8のいずれか一項に記載の充電制御システム。
(付記10)
前記制御部は、ローカルサーバに含まれる、
付記1~8のいずれか一項に記載の充電制御システム。
(付記11)
前記制御部は、前記受電設備に含まれる、
付記1~8のいずれか一項に記載の充電制御システム。
(付記12)
受電設備にそれぞれ接続された複数の充電装置のいずれか一つに電気自動車が接続された際、当該電気自動車の要求電力値及び当該充電装置の出力電力上限値の小さい方を当該充電装置の最大出力電力値に設定し、
電気自動車が接続された全充電装置の最大出力電力値の合計を含む総電力使用量が、前記受電設備に設定された所定の契約電力値を超えるか否かを判定する、
充電制御方法。
(付記13)
受電設備にそれぞれ接続された複数の充電装置のいずれか一つに電気自動車が接続された際、当該電気自動車の要求電力値及び当該充電装置の出力電力上限値の小さい方を当該充電装置の最大出力電力値に設定し、
電気自動車が接続された全充電装置の最大出力電力値の合計を含む総電力使用量が、前記受電設備に設定された所定の契約電力値を超えるか否かを判定する、処理をコンピュータに実行させる、
充電制御プログラム。
【符号の説明】
【0075】
110 受電設備
120 クラウドサーバ(制御部)
EV1~EV3 電気自動車
EVC1~EVCn 充電装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10