(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】電力変換装置、電力変換システム、電源システム、及び、電力変換装置の接続方法
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20240123BHJP
【FI】
H02M7/48 R
(21)【出願番号】P 2020079887
(22)【出願日】2020-04-29
【審査請求日】2022-10-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】品田 真二郎
(72)【発明者】
【氏名】綾井 直樹
(72)【発明者】
【氏名】鵜殿 直嗣
【審査官】遠藤 尊志
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-086594(JP,A)
【文献】特開2019-103198(JP,A)
【文献】特開2017-135889(JP,A)
【文献】特開2017-184398(JP,A)
【文献】特開2019-198223(JP,A)
【文献】特開2013-063000(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0249078(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池と第1の交流電路との間に設けられる
系統連系可能な電力変換装置であって、
前記蓄電池とDCバスとの間に設けられるDC/DC変換回路と、
前記DCバスと前記第1の交流電路との間に設けられるDC/AC変換回路と、
前記第1の交流電路とは別の
交流電路であって、連系運転時において前記第1の交流電路に接続されない第2の交流電路との接続に供する交流補助端子と、
前記交流補助端子と前記DCバスとの間に設けられるAC/DC変換回路と、
前記DCバスに接続された直流補助端子と、
前記DC/DC変換回路、前記DC/AC変換回路、及び、前記AC/DC変換回路を制御する制御部と、
を備えている電力変換装置。
【請求項2】
前記交流補助端子に外部から交流電力が供給され、前記直流補助端子には外部から直流電力が供給されない第1の接続状態と、前記直流補助端子に外部から直流電力が供給され、前記交流補助端子は外部へ交流電力を供給可能な第2の接続状態と、前記直流補助端子に外部から直流電力が供給され、かつ、前記交流補助端子に外部から交流電力が供給される第3の接続状態と、を択一的に選択する設定部を備え、
前記制御部は、前記設定部における選択に基づいて制御を実行する、請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
請求項1に記載の電力変換装置を第1の電力変換装置として備え、かつ、太陽光発電パネルに接続された第2の電力変換装置を備える電力変換システムであって、
前記第2の交流電路とは、前記第2の電力変換装置における自立出力の交流電路である電力変換システム。
【請求項4】
請求項1に記載の電力変換装置を第1の電力変換装置として備え、かつ、太陽光発電パネルに接続された第2の電力変換装置を備える電力変換システムであって、
前記直流補助端子は、前記第2の電力変換装置の直流出力電路と接続されている電力変換システム。
【請求項5】
前記AC/DC変換回路は双方向に電力変換が可能であり、
前記制御部は、前記AC/DC変換回路が直流から交流への電力変換を行うことにより前記交流補助端子に交流補助出力を提供できるよう制御する、請求項4に記載の電力変換システム。
【請求項6】
蓄電池、及び、前記蓄電池と第1の交流電路との間に設けられる
系統連系可能な電力変換装置とを含む電源システムであって、前記電力変換装置は、
前記蓄電池とDCバスとの間に設けられるDC/DC変換回路と、
前記DCバスと前記第1の交流電路との間に設けられるDC/AC変換回路と、
前記第1の交流電路とは別の
交流電路であって、連系運転時において前記第1の交流電路に接続されない第2の交流電路との接続に供する交流補助端子と、
前記交流補助端子と前記DCバスとの間に設けられるAC/DC変換回路と、
前記DCバスに接続された直流補助端子と、
前記DC/DC変換回路、前記DC/AC変換回路、及び、前記AC/DC変換回路を制御する制御部と、
を備えている電源システム。
【請求項7】
前記交流補助端子に交流電力を供給する燃料電池システムと、
前記直流補助端子に直流電力を供給する太陽光発電用の電力変換装置と、を備える請求項6に記載の電源システム。
【請求項8】
蓄電池とDCバスとの間に設けられるDC/DC変換回路と、前記DCバスと第1の交流電路との間に設けられるDC/AC変換回路と、前記第1の交流電路とは別の
交流電路であって、連系運転時において前記第1の交流電路に接続されない第2の交流電路との接続に供する交流補助端子と前記DCバスとの間に設けられるAC/DC変換回路と、前記DCバスに接続された直流補助端子と、を備えた
系統連系可能な電力変換装置
の接続方法であって、
商用電力系統以外から交流電力を供給できる場合は、前記交流補助端子に交流電力を供給し、直流電源から直流電力を供給できる場合は、前記直流補助端子に直流電力を供給する、電力変換装置の接続方法。
【請求項9】
前記DC/AC変換回路による交流出力に加えて、前記AC/DC変換回路が直流から交流への電力変換を行うことにより交流補助出力を負荷に提供する、請求項8に記載の電力変換装置の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力変換装置、電力変換システム、電源システム、及び、電力変換装置の接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電の普及により、既に多くの一般家庭にも太陽光発電システムが導入されている。太陽光発電システムを備えた需要家には、屋根に備えられた太陽光発電パネルのほか、パワーコンディショナ(電力変換装置)が屋内又は屋外に設置されている。近年、さらに、太陽光発電に蓄電池を併用するシステムが提案されている(例えば、特許文献1~4参照。)。
【0003】
特許文献1には、太陽光発電パネル及び蓄電池の双方と接続できるハイブリッドタイプのパワーコンディショナが記載されている。特許文献2には、太陽光発電パネル用のDC/DC変換回路を含む変圧装置が外付けされる蓄電パワーコンディショナが記載されている。
【0004】
また近年、既設の太陽光発電システムに蓄電池を後付けするニーズが高まっている。蓄電池を後付けする場合、既設の太陽光発電システムのパワーコンディショナと蓄電池のパワーコンディショナとが別々に設置されることになる。このような構成のシステムでは、通常、商用電力系統に接続された交流の配電線を経由して、太陽光発電パネルから蓄電池に充電される。この場合、商用電力系統が停電すると蓄電池を充電できなくなるという不都合が生じる。
【0005】
特許文献3及び4に記載の技術は、いずれも、このような不都合を解消することを目的とする。具体的には、特許文献3及び4は、既設の太陽光発電システムに蓄電池を後付けするシステムにおいて、太陽光発電システムのパワーコンディショナと蓄電池とを接続する、商用電力系統以外の経路を別途設けることにより、商用電力系統の停電時にも蓄電池の充電を可能とする技術を提案する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2012-222908号公報
【文献】特開2019-103198号公報
【文献】特開2017-135889号公報
【文献】特開2019-198223号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
既設の太陽光発電システムのパワーコンディショナが、耐用年数としてはまだ十分使用できる場合に、蓄電池を新規に導入するからといって特許文献1に記載のようなハイブリッドタイプのパワーコンディショナに取り替えるのは「もったいない」という意識がユーザ側には働く。既設のパワーコンディショナと、ハイブリッドタイプのパワーコンディショナとを併用すると、DC/DC変換回路の機能が重複して、機能を遊ばせてしまうという無駄が生じる。
【0008】
一方、特許文献2に記載の技術は、蓄電池を後付けする場合に、既設の太陽光発電システムのパワーコンディショナと蓄電池のパワーコンディショナとでDC/AC変換回路が重複するという不都合を解消することを目的とする。そのために、特許文献2では、外付けされる変圧装置にDC/AC変換回路を設けない構成としている。しかしながら、既設の太陽光発電システムのパワーコンディショナにはDC/AC変換回路が既に設けられている。そのため、既設の太陽光発電システムに特許文献2の蓄電パワーコンディショナを後付けすると、上記目的が達成できない。このことから、特許文献2に記載の技術は、太陽光発電システムを蓄電池と共に新設することを想定した技術であると言える。特許文献1のパワーコンディショナについても同様である。
【0009】
このように、特許文献1及び2は、太陽光発電システムを蓄電池と共に新設することを想定しており、特許文献3及び4は、既設の太陽光発電システムのパワーコンディショナの存在を前提としている。すなわち、従来は、太陽光発電システムが既設か否かによって、それに応じた蓄電池システム(パワーコンディショナ)が選択されていた。しかしながら、適切な選択が容易ではないこともあり得る。そうした場合、特許文献1~4のパワーコンディショナは、太陽光発電システムが既設か否かによって適切な導入が妨げられるという問題が生じる。
【0010】
そこで、本開示は、需要家に、太陽光発電システムが既設であるか、それとも、蓄電池と共に新設するかに関わらず、汎用的に無駄なく導入できる電力変換装置、電力変換システム、電源システム、及び、電力変換装置の接続方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本開示は、以下の発明を含む。但し、本発明は特許請求の範囲によって定められるものである。
【0012】
《電力変換装置》
本開示の電力変換装置は、
蓄電池と第1の交流電路との間に設けられる電力変換装置であって、
前記蓄電池とDCバスとの間に設けられるDC/DC変換回路と、
前記DCバスと前記第1の交流電路との間に設けられるDC/AC変換回路と、
前記第1の交流電路とは別の第2の交流電路との接続に供する交流補助端子と、
前記交流補助端子と前記DCバスとの間に設けられるAC/DC変換回路と、
前記DCバスに接続された直流補助端子と、
前記DC/DC変換回路、前記DC/AC変換回路、及び、前記AC/DC変換回路を制御する制御部と、
を備えている電力変換装置である。
【0013】
《電力変換システム》
また、前記電力変換装置を第1の電力変換装置として備え、かつ、太陽光発電パネルに接続された第2の電力変換装置を備える電力変換システムであって、
(a)前記第2の交流電路とは、前記第2の電力変換装置における自立出力の交流電路である電力変換システムであるか、または、
(b)前記直流補助端子は、前記第2の電力変換装置の直流出力電路と接続されている電力変換システムである。
【0014】
《電源システム》
一方、本開示は、蓄電池、及び、前記蓄電池と第1の交流電路との間に設けられる電力変換装置とを含む電源システムであって、前記電力変換装置は、
前記蓄電池とDCバスとの間に設けられるDC/DC変換回路と、
前記DCバスと前記第1の交流電路との間に設けられるDC/AC変換回路と、
前記第1の交流電路とは別の第2の交流電路との接続に供する交流補助端子と、
前記交流補助端子と前記DCバスとの間に設けられるAC/DC変換回路と、
前記DCバスに接続された直流補助端子と、
前記DC/DC変換回路、前記DC/AC変換回路、及び、前記AC/DC変換回路を制御する制御部と、
を備えている電源システムである。
【0015】
《電力変換装置の接続方法》
本開示は、蓄電池とDCバスとの間に設けられるDC/DC変換回路と、前記DCバスと第1の交流電路との間に設けられるDC/AC変換回路と、前記第1の交流電路とは別の第2の交流電路との接続に供する交流補助端子と前記DCバスとの間に設けられるAC/DC変換回路と、前記DCバスに接続された直流補助端子と、を備えた電力変換装置についての、その接続方法であって、
商用電力系統以外から交流電力を供給できる場合は、前記交流補助端子に交流電力を供給し、直流電源から直流電力を供給できる場合は、前記直流補助端子に直流電力を供給する、電力変換装置の接続方法である。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、太陽光発電システムの既設/新設に関わらず、汎用的に無駄なく導入できる電力変換装置、電力変換システム、電源システム、及び、電力変換装置の接続方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、既設の太陽光発電システムの一例を示す単線接続図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した既設の太陽光発電システムに、蓄電池による電源システムを後付けで併設した一例を示す単線接続図である。
【
図3】
図3は、制御部による電力変換装置の動作を示すフローチャートの一例である。
【
図4】
図4は、新設による、太陽光発電システム、及び、蓄電池による電源システムを含む、直流2電源の電源システムの一例を示す単線接続図である。
【
図5】
図5は、制御部による電力変換装置の、運転開始時における動作を示すフローチャートの一例である。
【
図6】
図6は、電力変換装置の連系運転中の、DC/AC変換回路の動作を示すフローチャートの一例である。
【
図7】
図7は、電力変換装置の連系運転中の、DC/DC変換回路の動作を示すフローチャートの一例である。
【
図8】
図8は、太陽光発電システム、蓄電池による電源システム、及び、燃料電池システムを含む、直流2電源及び交流1電源の電源システムの一例を示す単線接続図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[本開示の実施形態の説明]
本開示の実施形態には、その要旨として、少なくとも以下のものが含まれる。
【0019】
(1)開示するのは、蓄電池と第1の交流電路との間に設けられる電力変換装置であって、前記蓄電池とDCバスとの間に設けられるDC/DC変換回路と、前記DCバスと前記第1の交流電路との間に設けられるDC/AC変換回路と、前記第1の交流電路とは別の第2の交流電路との接続に供する交流補助端子と、前記交流補助端子と前記DCバスとの間に設けられるAC/DC変換回路と、前記DCバスに接続された直流補助端子と、前記DC/DC変換回路、前記DC/AC変換回路、及び、前記AC/DC変換回路を制御する制御部と、を備えている。
【0020】
上記のような電力変換装置では、蓄電池と交流電路との間で双方向に電力変換を行うことができるほか、補助的に、外部の他の交流電路又は直流電路と接続することができる。例えば、既に太陽光発電システムが設置されている需要家では、太陽光発電システムの電力変換装置から交流の自立出力を取り込むことができる。太陽光発電システムも同時に新設する需要家の場合には、太陽光発電システムのDC/DC変換回路から直流の通常出力を取り込めばよい。こうして、補助入力(又は出力)として、交流及び直流の何れにも対応することができる汎用性のある電力変換装置を提供することができる。従って、汎用的に無駄なく導入できる電力変換装置を提供することができる。
【0021】
(2)前記(1)の電力変換装置において、前記交流補助端子に外部から交流電力が供給され、前記直流補助端子には外部から直流電力が供給されない第1の接続状態と、前記直流補助端子に外部から直流電力が供給され、前記交流補助端子は外部へ交流電力を供給可能な第2の接続状態と、前記直流補助端子に外部から直流電力が供給され、かつ、前記交流補助端子に外部から交流電力が供給される第3の接続状態と、を択一的に選択する設定部を備え、前記制御部は、前記設定部における選択に基づいて制御を実行する、という構成であってもよい。
この場合、電力変換装置の取り付けの際に、関連設備の既設、新設等の条件に合わせて、所望の接続状態を、簡単に設定することができる。
【0022】
(3)電力変換システムとしては、前記(1)の電力変換装置を第1の電力変換装置として備え、かつ、太陽光発電パネルに接続された第2の電力変換装置を備える電力変換システムであって、前記第2の交流電路とは、前記第2の電力変換装置における自立出力の交流電路である。
この場合、自立出力を有効に活用することができる。
【0023】
(4)他の電力変換システムとしては、前記(1)の電力変換装置を第1の電力変換装置として備え、かつ、太陽光発電パネルに接続された第2の電力変換装置を備え、前記直流補助端子は、前記第2の電力変換装置の直流出力電路と接続されている。
この場合、第2の電力変換装置ではDC/AC変換回路(インバータ回路)を省略することができる。
【0024】
(5)さらに他の電力変換システムとしては、前記(4)において、前記AC/DC変換回路は双方向に電力変換が可能であり、前記制御部は、前記AC/DC変換回路が直流から交流への電力変換を行うことにより前記交流補助端子に交流補助出力を提供できるよう制御する。
この場合、交流補助端子から外部へ、交流電力を提供することができる。
【0025】
(6)また、これは、蓄電池、及び、前記蓄電池と第1の交流電路との間に設けられる電力変換装置とを含む電源システムであって、前記電力変換装置は、前記蓄電池とDCバスとの間に設けられるDC/DC変換回路と、前記DCバスと前記第1の交流電路との間に設けられるDC/AC変換回路と、前記第1の交流電路とは別の第2の交流電路との接続に供する交流補助端子と、前記交流補助端子と前記DCバスとの間に設けられるAC/DC変換回路と、前記DCバスに接続された直流補助端子と、前記DC/DC変換回路、前記DC/AC変換回路、及び、前記AC/DC変換回路を制御する制御部と、を備えている。
【0026】
上記のような電源システムの電力変換装置では、蓄電池と交流電路との間で双方向に電力変換を行うことができるほか、補助的に、外部の他の交流電路又は直流電路と接続することができる。例えば、既に太陽光発電システムが設置されている需要家では、太陽光発電システムの電力変換装置から交流の自立出力を取り込むことができる。太陽光発電システムも同時に新設する需要家の場合には、太陽光発電システムのDC/DC変換回路から直流の通常出力を取り込めばよい。こうして、補助入力(又は出力)として、交流及び直流の何れにも対応することができる汎用性のある電力変換装置を提供することができる。従って、汎用的に無駄なく導入できる電力変換装置を用いて、電源システムを構成することができる。
【0027】
(7)前記(6)の電源システムにおいて、前記交流補助端子に交流電力を供給する燃料電池システムと、前記直流補助端子に直流電力を供給する太陽光発電用の電力変換装置と、を備えていてもよい。
この場合、補助的な交流入力及び直流入力を共に得ることができる。
【0028】
(8)方法の観点からは、蓄電池とDCバスとの間に設けられるDC/DC変換回路と、前記DCバスと第1の交流電路との間に設けられるDC/AC変換回路と、前記第1の交流電路とは別の第2の交流電路との接続に供する交流補助端子と前記DCバスとの間に設けられるAC/DC変換回路と、前記DCバスに接続された直流補助端子と、を備えた電力変換装置についての、その接続方法であって、商用電力系統以外から交流電力を供給できる場合は、前記交流補助端子に交流電力を供給し、直流電源から直流電力を供給できる場合は、前記直流補助端子に直流電力を供給する、電力変換装置の接続方法である。
【0029】
上記のような電力変換装置の接続方法では、蓄電池と交流電路との間で双方向に電力変換を行うことができるほか、補助的に、外部の他の交流電路又は直流電路と接続することができる。例えば、既に太陽光発電システムが設置されている需要家では、太陽光発電システムの電力変換装置から交流の自立出力を取り込むことができる。太陽光発電システムも同時に新設する需要家の場合には、太陽光発電システムのDC/DC変換回路から直流の通常出力を取り込めばよい。こうして、電力変換装置の接続に際して、補助入力(又は出力)として、交流及び直流の何れにも対応することができる汎用性のある接続方法を提供することができる。従って、汎用的に無駄なく導入できる電力変換装置の接続方法を提供することができる。
【0030】
(9)前記(8)の電力変換装置の接続方法において、前記DC/AC変換回路による交流出力に加えて、前記AC/DC変換回路が直流から交流への電力変換を行うことにより交流補助出力を負荷に提供するようにしてもよい。
この場合、交流補助端子からも負荷へ、交流電力を提供することができる。
【0031】
[本開示の実施形態の詳細]
以下、本開示の電力変換装置、電力変換システム、及び、電源システムの具体例について、図面を参照して説明する。
【0032】
《第1実施形態》
図1は、既設の太陽光発電システム100の一例を示す単線接続図である。図において、電力変換装置1は、直流電力を出力する太陽光発電パネル2と、商用電力系統3に繋がる交流電路4との間に設けられている。電力変換装置1は、DC/DC変換回路11、DC/AC変換回路12、制御部13、系統連系リレー14及び自立出力リレー15を備えている。交流電路4には需要家の負荷5が接続されている。自立出力リレー15の出力端側は、開放されていてもよいが、ここでは、負荷6が接続されているものとする。制御部13は、例えばコンピュータを含み、コンピュータがソフトウェア(コンピュータプログラム)を実行することで、必要な制御機能を実現する。ソフトウェアは、制御部13の記憶装置(図示せず。)に格納される。
【0033】
制御部13は、DC/DC変換回路11により、太陽光発電パネル2の出力電圧を所定電圧に昇圧させるとともに、太陽光発電パネル2から、その時点での最大電力を引き出すMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御を行う。DC/AC変換回路12は、DC/DC変換回路11が出力する電力を直流から交流に変換し、出力する。
【0034】
商用電力系統3との系統連系運転中の電力変換装置1においては、系統連系リレー14が閉路し、自立出力リレー15が開路している。系統連系運転中の交流電路4の電圧は商用電力系統3により決まり、例えばAC202Vである。DC/AC変換回路12は、電流制御を行う。自立出力運転中の電力変換装置1においては、系統連系リレー14が開路し、自立出力リレー15が閉路している。この場合のDC/AC変換回路12は、電圧制御を行い、出力電圧は例えばAC101Vである。この出力電圧は、負荷6に供給される。
【0035】
図2は、
図1に示した既設の太陽光発電システム100に、蓄電池による電源システム200を後付けで併設した一例を示す単線接続図である。図において、太陽光発電システム100の構成は、
図1と同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。また、交流電路4には負荷5が接続され、負荷6は、電力変換装置7の自立出力側に接続されている。2つの電力変換装置1,7は、電力変換システム31を構成している。
【0036】
太陽光発電システム100に併設された電源システム200において、電力変換装置7は、蓄電池8と、商用電力系統3に繋がる交流電路4との間に設けられている。電力変換装置7は、DC/DC変換回路71、DC/AC変換回路72、制御部73、系統連系リレー74、自立出力リレー75、AC/DC変換回路76、及び、設定部77を備えている。制御部73は、例えばコンピュータを含み、コンピュータがソフトウェア(コンピュータプログラム)を実行することで、必要な制御機能を実現する。ソフトウェアは、制御部73の記憶装置(図示せず。)に格納される。DC/DC変換回路71、DC/AC変換回路72、及び、AC/DC変換回路76は、制御部73により制御される。
【0037】
DC/DC変換回路71、DC/AC変換回路72、及び、AC/DC変換回路76は、いずれも、DCバス78に接続されている。DC/DC変換回路71は、蓄電池8とDCバス78との間に設けられている。DC/AC変換回路72は、DCバス78と交流電路4との間に設けられている。
【0038】
蓄電池8を放電させる際のDC/DC変換回路71は、蓄電池8の出力電圧を昇圧してDCバス78に送り込む。DC/AC変換回路72は、DCバス78の電圧を交流電圧に変換し、出力する。連系出力の場合は例えばAC202Vを出力し、自立出力の場合は例えばAC101Vを出力する。
蓄電池8を充電する際のDC/AC変換回路72は、交流電路4の電圧を直流電圧に変換し、DCバス78に供給する。DC/DC変換回路71は、DCバス78の電圧を蓄電池8の充電に適した電圧に降圧し、蓄電池8を充電する。
【0039】
AC/DC変換回路76の交流側には、交流補助端子T
ACが設けられている。従って、AC/DC変換回路76は、交流補助端子T
ACとDCバス78との間に設けられている。交流電路4を例えば「第1の交流電路4」とすると、交流補助端子T
ACは、第2の交流電路9と接続されている。交流電路9は、太陽光発電システム100における電力変換装置1から自立出力を供給できる電路である。また、DCバス78には、直流補助端子T
DCが接続されていて、ここに外部の直流電路を接続することができる。但し、
図2の状態では、直流補助端子T
DCは、開放されており、外部の直流電路と接続されていない。
【0040】
電源システム200を設置した作業者は、設定部77を操作し、
図2に示すような接続状態になっていることを制御部73に認識させる。
図2に示すような接続状態とは、交流補助端子T
ACに交流電路9を介して外部から交流電力が供給され、直流補助端子T
DCには外部から直流電力が供給されない状態(第1の接続状態)である。
【0041】
商用電力系統3との系統連系運転中の電力変換装置7においては、系統連系リレー74が閉路し、自立出力リレー75が開路している。太陽光発電システム100の電力変換装置1も系統連系運転を行っている場合には、2台の電力変換装置1,7は交流電路4に対して互いに並列に接続されている関係となる。太陽光発電システム100の電力変換装置1は、交流電路4に電力を供給する一方向の動作のみを行う。電源システム200の電力変換装置7は、交流電路4に電力を供給する動作と、交流電路4の電力に基づいて蓄電池8を充電する動作との両方が可能である。このようにして、既設の太陽光発電システム100に、蓄電池8に基づく電源システム200を併用した電源システム300を実現することができる。
【0042】
一方、自立出力運転中の電力変換装置7においては、系統連系リレー74が開路し、自立出力リレー75が閉路している。この場合のDC/AC変換回路72は、電圧制御を行っており、出力電圧は例えばAC101Vである。この出力電圧は、負荷6に供給される。また、このとき、電力変換装置1も自立出力運転を行っている。電力変換装置1の自立出力は、交流電路9を介して、電力変換装置7の交流補助端子TACに与えられる。AC/DC変換回路76は、入力された自立出力の交流電圧を直流電圧に変換し、DCバス78に提供する。このようにして、自立運転に関しても、既設の太陽光発電システム100に、蓄電池8に基づく電源システム200を併用した電源システム300を実現することができる。
【0043】
図3は、制御部73による電力変換装置7の動作を示すフローチャートの一例である。運転開始指令を受けた電力変換装置7は、制御動作を開始し、DC/DC変換回路71に内蔵されている電圧センサにより蓄電池8の電圧が正常か否かを判定する(ステップS1)。正常であれば、電力変換装置7は、DC/DC変換回路71において昇圧動作を開始する(ステップS2)。
【0044】
続いて、電力変換装置7は、系統連系リレー74を開路した状態でDC/AC変換回路72に内蔵された電圧センサにより、商用電力系統3が正常か否(停電)かを判定する(ステップS3)。正常であれば、電力変換装置7は、系統連系運転を実行する(ステップS4)。
【0045】
商用電力系統3が正常でない状態である場合は、ステップS3の判定が「NO」となる。この場合、電力変換装置7は、系統の停電判定を行い、停電を確認すると、自立運転を開始する(ステップS5)。自立運転開始後、電力変換装置7は、交流補助端子TACへの補助入力の電圧が閾値以上か否かを、AC/DC変換回路76に内蔵した電圧センサにより判定する(ステップS6)。電圧が閾値以上であれば、電力変換装置7は、AC/DC変換回路76を動作させ、直流電圧を出力することによりDCバス78を充電する(ステップS7)。電圧が閾値に満たない場合は、電力変換装置7は、AC/DC変換回路76を動作させない(ステップS8)。
【0046】
なお、ステップS1において、蓄電池の電圧が正常でない状態のときは、電力変換装置7は、「蓄電池異常」と判定し、動作を停止する(ステップS9)。
【0047】
《第2実施形態》
図4は、新設による、太陽光発電システム100、及び、蓄電池による電源システム200を含む、直流2電源の電源システム400の一例を示す単線接続図である。図において、電力変換装置1Aは、直流電力を出力する太陽光発電パネル2に接続されている。電力変換装置1Aは、DC/DC変換回路11及び制御部13を備えている。制御部13は、例えばコンピュータを含み、コンピュータがソフトウェア(コンピュータプログラム)を実行することで、必要な制御機能を実現する。ソフトウェアは、制御部13の記憶装置(図示せず。)に格納される。
【0048】
制御部13は、DC/DC変換回路11により、太陽光発電パネル2の出力電圧を所定電圧に昇圧させるとともに、太陽光発電パネル2から、その時点での最大電力を引き出すMPPT制御を行う。電力変換装置1Aは、自身では交流出力を行わず、直流出力を出力端子Toutに供給する。従って、電力変換装置1AにはDC/AC変換回路(インバータ回路)は不要である。
【0049】
図4において、電源システム200の構成は、
図2と同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。また、交流電路4には負荷5が接続され、自立出力端側には負荷6が接続されている。電源システム200に関して
図2と異なるのは、直流補助端子T
DCと、電力変換装置1Aの出力端子T
outとが直流電路10を介して互いに接続されている点、交流補助端子T
ACが補助出力用となっている点である。交流補助端子T
ACには、例えば、負荷20を接続することができる。2つの電力変換装置1A,7は、電力変換システム32を構成している。
【0050】
電源システム400を設置した作業者は、設定部77を操作し、
図4に示すような接続状態になっていることを制御部73に認識させる。
図4に示すような接続状態とは、直流補助端子T
DCに直流電路10を介して外部から直流電力が供給され、交流補助端子T
ACは交流電路9を介して外部へ交流電力を供給できる状態(第2の接続状態)である。
【0051】
蓄電池8を放電させる際のDC/DC変換回路71は、蓄電池8の出力電圧を昇圧してDCバス78に送り込む。DCバス78には電力変換装置1Aの出力も提供される。DC/AC変換回路72は、DCバス78の電圧を交流電圧に変換し、出力する。連系出力の場合は例えばAC202Vを出力し、自立出力の場合は例えばAC101Vを出力する。
蓄電池8を充電する際のDC/AC変換回路72は、交流電路4の電圧を直流電圧に変換し、DCバス78に供給する。DC/DC変換回路71は、DCバス78の電圧を蓄電池8の充電に適した電圧に降圧し、蓄電池8を充電する。また、交流電路4に依存せず、電力変換装置1Aからの直流出力に基づいて蓄電池8を充電することもできる。
【0052】
商用電力系統3との系統連系運転中の電力変換装置7においては、系統連系リレー74が閉路し、自立出力リレー75が開路している。太陽光発電システム100の電力変換装置1Aも直流出力を提供している場合には、太陽光発電パネル2及びDC/DC変換回路11、並びに、蓄電池8及びDC/DC変換回路71の2系統の直流電源が、DCバス78に対して、並列に接続されている関係となる。太陽光発電システム100の電力変換装置1Aは、DCバス78に直流で電力を供給する一方向の動作のみを行う。電源システム200の電力変換装置7は、交流電路4に電力を供給する動作と、交流電路4の電力に基づいて、又は、電力変換装置1Aから送られてくる電力に基づいて、蓄電池8を充電する動作との両方が可能である。このようにして、太陽光発電システム100と、蓄電池8に基づく電源システム200とを併用した電源システム400を実現することができる。
【0053】
一方、自立出力運転中の電力変換装置7においては、系統連系リレー74が開路し、自立出力リレー75が閉路している。この場合のDC/AC変換回路72は、電圧制御を行っており、出力電圧は例えばAC101Vである。この出力電圧は、負荷6に供給される。また、このとき、太陽光発電が行われていれば、電力変換装置1Aの出力は、直流補助端子TDCからDCバス78に与えられる。このようにして、自立運転に関しても、太陽光発電システム100と、蓄電池8に基づく電源システム200とを併用した電源システム400を実現することができる。
【0054】
(運転開始時の動作)
図5は、制御部73による電力変換装置7の、運転開始時における動作を示すフローチャートの一例である。運転開始指令を受けた電力変換装置7は、制御動作を開始し、DC/DC変換回路71に内蔵されている電圧センサにより蓄電池8の電圧が正常か否かを判定する(ステップS11)。正常であれば、電力変換装置7は、DC/DC変換回路71において昇圧動作を開始する(ステップS12)。
【0055】
続いて、電力変換装置7は、系統連系リレー74を開路した状態でDC/AC変換回路72に内蔵された電圧センサにより、商用電力系統3が正常か否(停電)かを判定する(ステップS13)。正常であれば、電力変換装置7は、系統連系運転を実行する(ステップS14)。
【0056】
商用電力系統3が正常でない状態である場合は、ステップS13の判定が「NO」となる。この場合、電力変換装置7は、系統の停電判定を行い、停電を確認すると、自立運転を開始する(ステップS15)。
【0057】
なお、ステップS11において、蓄電池の電圧が正常でない状態になれば、電力変換装置7は、「蓄電池異常」と判定し、動作を停止する(ステップS16)。
【0058】
(連系運転中の動作)
図6は、電力変換装置7の連系運転中の、DC/AC変換回路72の動作を示すフローチャートの一例である。連系運転開始後、電力変換装置7は、DC/AC変換回路72により、DCバス78の電圧が一定に保たれるように、DCバス電圧一定化制御を行う(ステップS21)。直流補助端子T
DCには、電力変換装置1Aからの電力が入力されるが、太陽光発電パネル2(PV)の発電する電力は日照条件により変動し、増加又は減少する(ステップS22)。電力変換装置1Aからの入力される電力が変動すると、DCバス78の電圧も変動する。
【0059】
そこで、電力変換装置7は、DCバス78の電圧が変動したか否かを判定する(ステップS23)。変動したと判定した場合、電力変換装置7は、DC/AC変換回路72の出力電流を増減(電流制御)して、DCバス電圧の一定化を図る(ステップS24)。DC/AC変換回路72にはスイッチング素子及びリアクトルの能力等から出力電流(出力電力)の上限値がある。太陽光発電パネル2の発電電力が大きい場合、DC/AC変換回路72の出力電流が上限値に達すると、蓄電池8を充電することにより発電電力が無駄になることを抑制できる。しかし、DC/AC変換回路72の出力電流が上限値に達し、かつ、蓄電池8の充電電流も上限値に達した場合は、発電電力の行き先が無くなり、発電を抑制するしかない状態になる。特に、太陽光発電パネル2の発電電力が電力変換装置7の最大出力を超えるいわゆる過積載の場合には、このような状態になることがある。
【0060】
そこで、電力変換装置7は、DC/AC変換回路72の出力電流が上限値以上であり、かつ、蓄電池8の充電電流も上限値以上であるか否か、を判定する(ステップS25)。ここで、「YES」となる場合には、電力変換装置7は、AC/DC変換回路76に直流から交流への変換(逆方向変換)を実行させ、交流補助端子TACから負荷20へ交流電力を出力できる状態とする(ステップS6)。このようにして、太陽光発電パネル2の発電電力をフル活用することができる。
【0061】
一方、ステップS25の判定が「NO」の場合は、負荷5への給電と蓄電池8への充電により太陽光発電パネル2の発電電力が無駄なく使用されているので、特別な動作はしない(ステップS27)。また、ステップS23においてDCバス電圧に特に変動が見られない場合は、電力変換装置7は、DC/AC変換回路72の出力電流を一定に保持する(ステップS28)。
【0062】
図7は、電力変換装置7の連系運転中の、DC/DC変換回路71の動作を示すフローチャートの一例である。連系運転開始後、電力変換装置7は、DC/DC変換回路71により、交流電路4へ出力する電力の目標値を定め、それに合わせた電力を出力するEMS(Energy Management System)制御を行う(ステップS31)。
【0063】
直流補助端子TDCには、電力変換装置1Aからの電力が入力されるが、太陽光発電パネル2(PV)の発電する電力は日照条件により変動し、増加又は減少する(ステップS32)。電力変換装置1Aから入力される電力が変動すると、DC/AC変換回路72の出力電流も変動する。
【0064】
そこで、電力変換装置7は、DC/AC変換回路72の出力電流が変動したか否かを判定する(ステップS33)。変動したと判定した場合、電力変換装置7は、DC/DC変換回路71の電力目標値を更新する(ステップS34)。ここで、
図6のステップS25と同様に、電力変換装置7は、DC/AC変換回路72の出力電流が上限値以上であり、かつ、蓄電池8の充電電流も上限値以上であるか否か、を判定する(ステップS35)。ここで、「YES」となる場合には、電力変換装置7は、AC/DC変換回路76に直流から交流への変換(逆方向変換)を実行させ、交流補助端子T
ACから負荷20へ交流電力を出力できる状態とする(ステップS36)。このようにして、太陽光発電パネル2の発電電力をフル活用することができる。
【0065】
一方、ステップS35の判定が「NO」の場合は、負荷5への給電と蓄電池8への充電により太陽光発電パネル2の発電電力が無駄なく使用されているので、特別な動作はしない(ステップS37)。また、ステップS33においてDC/AC変換回路72の出力電流に特に変動が見られない場合は、電力変換装置7は、DC/DC変換回路71の電力目標値を一定に保持する(ステップS38)。
【0066】
なお、上記の場合、DC/DC変換回路71がEMS制御を行い、DC/AC変換回路72がDCバス電圧一定化制御を行っているが、DC/AC変換回路72がEMS制御を行い、DC/DC変換回路71がDCバス電圧一定化制御を行うことも可能である。
【0067】
このようにして、太陽光発電システム100と、蓄電池8に基づく電源システム200とを併用した電源システム400を実現することができる。
【0068】
《第3実施形態》
図8は、太陽光発電システム100、蓄電池による電源システム200、及び、燃料電池システム21を含む、直流2電源及び交流1電源の電源システム500の一例を示す単線接続図である。
図4と共通の構成要素については、同一符号を付して説明を省略する。
図4との違いは、燃料電池システム(電力変換装置も含む。)21を電力変換装置7の交流補助端子T
ACに接続した点である。AC/DC変換回路76は、
図4とは異なり、燃料電池システム21からの補助入力を受け付けて交流から直流への変換を行う。
【0069】
電源システム500を設置した作業者は、設定部77を操作し、
図8に示すような接続状態になっていることを制御部73に認識させる。
図8に示すような接続状態とは、直流補助端子T
DCに直流電路10を介して外部から直流電力が供給され、交流補助端子T
ACにも交流電路9を介して外部から交流電力が供給される状態(第3の接続状態)である。
【0070】
蓄電池8を放電させる際のDC/DC変換回路71は、蓄電池8の出力電圧を昇圧してDCバス78に送り込む。DCバス78には電力変換装置1Aの出力も提供される。さらに、燃料電池システム21からの補助入力により、AC/DC変換回路76は交流から直流への変換を行い、DCバス78に電力を送り込む。DC/AC変換回路72は、DCバス78の電圧を交流電圧に変換し、出力する。連系出力の場合は例えばAC202Vを出力し、自立出力の場合は例えばAC101Vを出力する。
【0071】
蓄電池8を充電する際のDC/AC変換回路72は、交流電路4の電圧を直流電圧に変換し、DCバス78に供給する。DC/DC変換回路71は、DCバス78の電圧を蓄電池8の充電に適した電圧に降圧し、蓄電池8を充電する。また、交流電路4に依存せず、電力変換装置1Aからの直流出力、又は、燃料電池システム21からの補助入力に基づいて、蓄電池8を充電することもできる。
【0072】
商用電力系統3との系統連系運転中の電力変換装置7においては、系統連系リレー74が閉路し、自立出力リレー75が開路している。太陽光発電システム100の電力変換装置1Aも直流出力を提供し、さらに燃料電池システム21からの補助入力が提供されている場合には、太陽光発電パネル2及びDC/DC変換回路11、蓄電池8及びDC/DC変換回路71、並びに、燃料電池システム21からの補助入力をAC/DC変換回路76で直流に変換したもの、の合計3系統の直流電源が、DCバス78に対して、並列に接続されている関係となる。
【0073】
太陽光発電システム100の電力変換装置1Aは、DCバス78に直流で電力を供給する一方向の動作のみを行う。燃料電池システム21からの補助入力を受けるAC/DC変換回路76も、交流から直流への変換動作のみを行う。電源システム200の電力変換装置7は、交流電路4に電力を供給する動作と、交流電路4の電力、電力変換装置1A又は燃料電池システム21から送られてくる電力に基づいて蓄電池8を充電する動作の両方が可能である。このようにして、太陽光発電システム100と、蓄電池8に基づく電源システム200と、燃料電池システム21による補助入力とを併用した電源システム500を実現することができる。
【0074】
一方、自立出力運転中の電力変換装置7においては、系統連系リレー74が開路し、自立出力リレー75が閉路している。この場合のDC/AC変換回路72は、電圧制御を行っており、出力電圧は例えばAC101Vである。この出力電圧は、負荷6に供給される。また、このとき、太陽光発電が行われていれば、電力変換装置1Aの出力は、直流補助端子TDCからDCバス78に与えられる。燃料電池システム21の補助入力もAC/DC変換回路76を介してDCバス78に与えられる。このようにして、自立運転に関しても、太陽光発電システム100と、蓄電池8に基づく電源システム200と、燃料電池システム21による補助入力とを併用した電源システム500を実現することができる。
【0075】
《開示のまとめ》
本開示の電力変換装置7は、蓄電池8と第1の交流電路4との間に設けられるものであって、蓄電池8とDCバス78との間にDC/DC変換回路71が、DCバス78と第1の交流電路4との間にDC/AC変換回路72が、それぞれ設けられている。そして、第2の交流電路9との接続に供する交流補助端子TACと、交流補助端子TACとDCバス78との間に設けられるAC/DC変換回路76と、DCバス78に接続された直流補助端子TDCとを備えている。
【0076】
このような電力変換装置7では、蓄電池8と交流電路4との間で双方向に電力変換を行うことができるほか、補助的に、外部の他の交流電路9又は直流電路10と接続することができる。既に太陽光発電システム100が設置されている需要家では、太陽光発電システム100の電力変換装置1から交流の自立出力を取り込むことができる。太陽光発電システム100も同時に新設する需要家の場合には、太陽光発電システム100の電力変換装置1AにおけるDC/DC変換回路11から直流の通常出力を取り込めばよい。こうして、補助入力(又は出力)として、交流及び直流の何れにも対応することができる汎用性のある電力変換装置7を提供することができる。電力変換装置7は、共通の回路構成でありながら、汎用性を発揮する。すなわち、既設の太陽光発電システム100への併設、太陽光発電システム100と共に新設、及び、燃料電池システムも含めた3系統の電源システム、のいずれにも適用可能である。従って、汎用的に無駄なく導入できる電力変換装置7を提供することができる。
【0077】
《補記》
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0078】
1,1A 電力変換装置
2 太陽光発電パネル
3 商用電力系統
4 (第1の)交流電路
5,6 負荷
7 電力変換装置
8 蓄電池
9 (第2の)交流電路
10 直流電路
11 DC/DC変換回路
12 DC/AC変換回路
13 制御部
14 系統連系リレー
15 自立出力リレー
20 負荷
21 燃料電池システム
31,32 電力変換システム
71 DC/DC変換回路
72 DC/AC変換回路
73 制御部
74 系統連系リレー
75 自立出力リレー
76 AC/DC変換回路
77 設定部
78 DCバス
100 太陽光発電システム
200 電源システム
300 電源システム
400 電源システム
500 電源システム
TAC 交流補助端子
TDC 直流補助端子
Tout 出力端子