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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】包装袋
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/03 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
B65D81/03 200Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020107446
(22)【出願日】2020-06-23
(65)【公開番号】P2022002967
(43)【公開日】2022-01-11
【審査請求日】2022-09-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(72)【発明者】
【氏名】浅山 良行
(72)【発明者】
【氏名】佐々島 伸之
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-202280(JP,A)
【文献】特開2020-070036(JP,A)
【文献】実公昭48-014181(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口をもつ袋状の外装体と、所定方向に延在する複数の切れ込み部が千鳥状に設けられたシート状の内装材が、前記所定方向と交差する方向に伸長可能な状態又は予め伸長した状態で前記外装体に内装された緩衝部と、を備え、物品を包装する包装袋であって、
前記外装体は、袋状の外側材に袋状の内側材が内装された二重構造をなし、
前記緩衝部は、前記内側材に取り付けられるとともに前記内側材に貼り付けられ、
前記内側材は、前記外側材に貼り付けられ、前記外側材に対する貼付力が、前記緩衝部に対する貼付力よりも小さく設定された
ことを特徴とする包装袋。
【請求項2】
前記外側材は、前記内側材よりも引張強度が高い
ことを特徴とする請求項1に記載の包装袋
【請求項3】
前記内側材は、厚み方向視において、前記外側材に対する貼付位置と前記緩衝部に対する貼付位置とが異なる
ことを特徴とする請求項又はに記載の包装袋
【請求項4】
前記内側材は、前記緩衝部よりも引張強度が低い
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の包装袋。
【請求項5】
前記内側材は、前記内装材よりも単位面積当たりの重量が小さい
ことを特徴とする請求項1~のいずれか一項に記載の包装袋
【請求項6】
開口をもつ袋状の外装体と、所定方向に延在する複数の切れ込み部が千鳥状に設けられたシート状の内装材が、前記所定方向と交差する方向に伸長可能な状態又は予め伸長した状態で前記外装体に内装された緩衝部と、を備え、物品を包装する包装袋であって、
前記外装体は、袋状の外側材に袋状の内側材が内装された二重構造をなし、
前記緩衝部は、前記内側材に取り付けられ
前記内側材は、前記緩衝部よりも引張強度が低い
ことを特徴とする包装袋。
【請求項7】
前記外側材は、前記内側材よりも引張強度が高い
ことを特徴とする請求項に記載の包装袋。
【請求項8】
前記内側材は、前記内装材よりも単位面積当たりの重量が小さい
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の包装袋。
【請求項9】
開口をもつ袋状の外装体と、所定方向に延在する複数の切れ込み部が千鳥状に設けられたシート状の内装材が、前記所定方向と交差する方向に伸長可能な状態又は予め伸長した状態で前記外装体に内装された緩衝部と、を備え、物品を包装する包装袋であって、
前記外装体は、袋状の外側材に袋状の内側材が内装された二重構造をなし、
前記緩衝部は、前記内側材に取り付けられ
前記内側材は、前記内装材よりも単位面積当たりの重量が小さい
ことを特徴とする包装袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を包装する袋に関する。
【背景技術】
【0002】
緩衝材の一つとして、直線状に延びる複数の切れ込み部が千鳥状に設けられたシートが知られている。このシートは、その延在平面において切れ込み部の延びる方向に対して直交する方向に伸長させると、切れ込み部に対応する目が蜂の巣状に開く(このことから「ハニーペーパー」とも称される)。これにより、このシートは、厚み方向の寸法が増大して緩衝代の形成されたマット状に変化する(機能に着目して「クッションペーパー」とも称される)。このようなシートが緩衝部として内装された包装具も提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-34852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような緩衝部が袋状の外装体に内装された包装袋において、物品の保護性を確保して包装袋としての信頼性を高められることが求められている。
本件は、上記のような課題に鑑みて創案されたものであり、包装袋の信頼性を向上させることを目的の一つとする。なお、この目的に限らず、後述する「発明を実施するための形態」に示す各構成から導き出される作用及び効果であって、従来の技術では得られない作用及び効果を奏することも、本件の他の目的として位置付けることができる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
ここで開示する包装袋は、開口をもつ袋状の外装体と、所定方向に延在する複数の切れ込み部が千鳥状に設けられたシート状の内装材が、前記所定方向と交差する方向に伸長可能な状態又は予め伸長した状態で前記外装体に内装された緩衝部と、を備え、物品を包装する。前記外装体は、袋状の外側材に袋状の内側材が内装された二重構造をなし、前記緩衝部は、前記内側材に取り付けられている。
【発明の効果】
【0006】
本件によれば、包装袋の信頼性を向上させられる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】未使用時の実施形態に係る包装袋を示す斜視図である。
図2図1の縦断面図である。
図3】使用時の実施形態に係る包装袋を示す縦断面図である。
図4】未伸長状態の緩衝部の要部を拡大して示す平面図である。
図5】伸長状態の緩衝部の要部を拡大して示す斜視図である。
図6】第一変形例に係る包装袋を示す縦断面図である。
図7】第二変形例に係る包装袋を示す縦断面図である。
図8】第三変形例に係る包装袋を示す縦断面図である。
図9】第四変形例に係る包装袋を示す縦断面図である。
図10】緩衝部の多層部で重ねられる内装材の変形例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図面を参照して、実施形態としての包装袋について説明する。なお、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、下記の実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0009】
包装袋とは、物品を包装する袋である。本実施形態では、包装される物品を保護する緩衝部が本体袋に設けられた包装袋を説明する。この包装袋を構成する本体袋(外装体)及び緩衝部(内装体)は、クラフト紙、上質紙、中質紙、薄葉紙、グラシン紙、アート紙、コート紙、キャストコート紙、インクジェット記録紙、クルパック紙、ライナー、白板紙などの紙や板紙、これらの紙の片面あるいは両面にポリエチレン樹脂などの熱可塑性樹脂をラミネートしたラミネート紙、スパンボンドやスパンレースなどの不織布、合成紙やフィルムなどのプラスチックシートなどのシート材から形成できる。特にクラフト紙やクルパック紙を用いることが好ましい。なお、紙や板紙は、耐水性を高めるために、その表面や内部に耐水化剤や紙力増強剤などを、また、表面に撥水剤やサイズ剤などを配合していてもよい。
本体袋及び緩衝部は、紙(板紙を含む)あるいは樹脂といった同一の材料から形成されることが好ましい。ただし、本体袋及び緩衝部を互いに異なる材料から形成してもよい。
【0010】
以下の説明では、重力の作用方向を下方とするとともにこの反対方向を上方とし、開口が上向きに配置された状態の包装袋について述べる。また、この包装袋の上下方向を長さ方向とし、正面視で長さ方向と直交する方向を幅方向とし、長さ方向及び幅方向の双方に直交する方向を厚み方向とする。さらに、この包装袋で物品が収容される内部空間側を内側とし、この反対側を外側とする。
【0011】
[1.構成]
図1及び図2に示すように、包装袋1は、開口9をもつ袋状の本体袋2と、本体袋2に内装された緩衝部3とを備えている。また、包装袋1は、本体袋2から突設されて開口9を覆う外フラップ4と、封緘された状態(封緘状態)で外フラップ4よりも内側に配置されて物品を開口9側から覆う内フラップ5とを更に備えていてもよい。
包装袋1では、上向きの開口9を通じて物品が挿抜される。したがって、本実施形態の包装袋1における物品の挿抜方向は、長さ方向と一致する。
【0012】
〔本体袋〕
まず、本体袋2について説明する。ここでは、本体袋2としてマチ無しの角形封筒を例示する。ただし、本体袋2は、ここで例示するものに限定されず、マチ有りであってもよいし、長形封筒や洋形封筒あるいは規格外の封筒であってもよい。
本実施形態の本体袋2は、外袋(外側材)10に内袋(内側材)20が内装された二重構造をなす。すなわち、本体袋2は、大きさの異なる二つの袋10,20が重ね合わされて構成されている。なお、外袋10及び内袋20はいずれも袋状であり、外袋10が内袋20を内装可能となるように内袋20よりも一回り大きく形成されている。本体袋2を二重構造にすることで、本体袋2の強度を高められる。
【0013】
外袋10は、厚み方向において互いに対向する第一外面部11及び第二外面部12を備えている。第一外面部11及び第二外面部12は、下端部(底部)15と幅方向の両端部(側端部)16とにおいて互いに連設されている。マチ有りの本体袋2においては、第一外面部11及び第二外面部12が、図示しないマチ部を介して互いに連設される。
第一外面部11の上端縁部13は、開口9の一側(図1では右上側)に配置される。また、第二外面部12の上端縁部14は、開口9の他側(図1では左下側)に配置される。
【0014】
内袋20は、外袋10と同様に構成される。具体的には図2に示すように、内袋20は、第一外面部11及び第二外面部12とそれぞれ同様に構成された第一内面部(第一面部)21及び第二内面部(第二面部)22を備えている。第一内面部21及び第二内面部22も、下端部と幅方向の両端部とにおいて互いに連設されている。マチ有りの本体袋2においては、第一内面部21及び第二内面部22が、図示しないマチ部を介して互いに連設される。
第一内面部21の上端縁部(第一端縁部)23は、開口9の一側(図2では右側)であって第一外面部11の内側に配置される。また、第二内面部22の上端縁部(第二端縁部)24は、開口9の他側(図2では左側)であって第二外面部12の内側に配置される。
【0015】
本実施形態の内袋20は、外袋10に貼り付けられている。ここでは、下端部(底部)において外袋10に貼り付けられた内袋20を例示する。なお、内袋20は、外袋10に対して、全域で貼り付けられていてもよいし、部分的に貼り付けられていてもよい。
本体袋2では、第一外面部11と第一内面部21とが厚み方向に重ね合わされて一体化されているとともに、第二外面部12と第二内面部22とも厚み方向に重ね合わされて一体化されている。このため、以下の説明では、第一外面部11及び第一内面部21をまとめて本体袋2の第一面部11,21ともいい、第二外面部12及び第二内面部22をまとめて本体袋2の第二面部12,22ともいう。
本体袋2において、第一面部11,21の上端縁部13,23と第二面部12,22の上端縁部14,24とは、開口9を区画形成する。
【0016】
〔緩衝部〕
つぎに、包装袋1の緩衝部3を説明する。
図1に示すように、緩衝部3は、所定方向(第一所定方向)に延在する複数の切れ込み部(第一切れ込み部)31が千鳥状に設けられたシート状の内装材(第一内装材)30から構成される緩衝材であり、ハニーペーパーやクッションペーパーなどとも称される。
緩衝部3をなす内装材30は、切れ込み部31の延在する所定方向と交差する方向(以下、単に交差方向ともいう)に引っ張られた場合に、切れ込み部31に対応する目が開くことで交差方向に伸長する。
【0017】
緩衝部3は、本体袋2の内側の面に取り付けられる。本実施形態では、本体袋2が二重構造をなすため、緩衝部3が本体袋2の内袋20に取り付けられている。ここでは、接着剤や粘着剤を介して内袋20に貼り付けられた緩衝部3を例示する。
緩衝部3は、内装材30が交差方向に伸長可能な状態又は予め伸長した状態で本体袋2に内装されたものである。本実施形態では、本体袋2の第一面部11,21と第二面部12,22との間に架け渡された内装材30が交差方向に伸長可能な状態で設けられた緩衝部3を例示する。
【0018】
図2に示すように、緩衝部3は、切れ込み部31の延びる所定方向が包装袋1の幅方向に沿う姿勢で、第一内面部21の上端縁部23と第二内面部22の上端縁部24との間に懸架されている。すなわち、緩衝部3は、所定方向が物品の挿抜方向と交差する姿勢で、本体袋2における第一面部11,21の上端縁部13,23と第二面部12,22の上端縁部14,24との間に懸架されている。そして、このように懸架された緩衝部3は、第一内面部21の上端縁部23と第二内面部22の上端縁部24との各々に貼り付けられている。
【0019】
緩衝部3は、包装する物品と本体袋2との間で複数枚の内装材30が厚み方向に重ねられた多層部3Aを全体に有してもよい。換言すると、緩衝部3の全体が多層部3Aであってもよい。ここでは、多層部3Aで二枚の内装材30が重ねられており、これらの内装材30の所定方向が互いに同じ向き(本実施形態では幅方向)に設定された緩衝部3を例示する。
緩衝部3を二重(多重)構造とすることで、緩衝性をより高められる。
【0020】
緩衝部3をなす内装材30は、下方に向けて凸のV字状となるように二つ折りにされている。緩衝部3では、上記のように二つ折りにされた内装材30の二つの上端部である貼付端部33,34が、第一内面部21及び第二内面部22の上端縁部23,24にそれぞれ貼り付けられ、貼付端部33,34の間で吊り下げられた本体部35が何れの部位にも貼り付けられずに配置される。なお、多層部3Aにおいて重ねられた二枚の内装材30は、貼付端部33,34で互いに貼り合わせられている。
以下、緩衝部3の二つの貼付端部33,34のうち、第一内面部21の上端縁部23に貼り付けられた一方を第一貼付端部33ともいい、第二内面部22の上端縁部24に貼り付けられた他方を第二貼付端部34ともいう。
【0021】
切れ込み部31は、少なくとも本体部35に設けられる。図3に示すように、本体部35は、開口9から包装袋1に入れられた物品8が載せられることで、物品8の重量によって長さ方向に伸長する。つまり、緩衝部3は、物品8が入れられる前(未使用時)の包装袋1では伸長していない状態(未伸長状態)であり、物品8が入れられた後(使用時)の包装袋1では長さ方向に伸長した状態(伸長状態)となる。なお、緩衝部3は、伸長状態となっても本体袋2の下端部と接触しないように構成される。
【0022】
図4に示すように、未伸長状態の本体部35では、複数の切れ込み部31が所定方向(本実施形態では幅方向)に沿って断続的に並設されており、所定方向に隣接する切れ込み部31どうしの間には、切り込まれていない非切れ込み部32が設けられている。切れ込み部31の所定方向の寸法L1は、非切れ込み部32の所定方向の寸法L2よりも大きく設定される(L1>L2)。
【0023】
ここで、切れ込み部31及び非切れ込み部32が所定方向に沿って交互に並ぶ一行の配置を第一パターンP1とする。また、第一パターンP1の切れ込み部31及び非切れ込み部32とは半ピッチずれた切れ込み部31′及び非切れ込み部32′が所定方向に沿って交互に並ぶ他行の配置を第二パターンP2とする。これらの第一パターンP1及び第二パターンP2は、所定方向と直交する方向(本実施形態では長さ方向)において交互に並設される。
【0024】
このような切れ込み部31,31′及び非切れ込み部32,32′が設けられた内装材30は、切れ込み部31,31′に対応した形状の刃部(カッタ)が外周に設けられたロータリダイカッタによって、切れ込まれていないシート材を回転しながら切り込むことで製造される。または、切れ込み部31,31′に対応した形状の刃部が設けられた平板ダイカッタによって、切り込まれていないシート材をプレスしながら切り込むことで、内装材30が製造される。
【0025】
図5に示すように、伸長状態の本体部35では、切れ込み部31の周囲の片部36が厚み方向に立ち上がることで立体状の緩衝セル37が形成される。このように、伸長状態の本体部35では、一つの切れ込み部31に対し、その周囲の片部36が立ち上がることで一つの緩衝セル37が出現する。
したがって、緩衝部3は、本体部35が図2に示すような未伸長状態である場合にはシート状をなすのに対し、本体部35が図3に示すような伸長状態である場合にはシート状よりも厚みが増したマット状をなす。マット状の緩衝部3には、緩衝用の変形代(緩衝代)が設けられることから緩衝性が確保される。なお、交差方向に伸長することでシート状からマット状に変化した緩衝部3は、復元力で僅かに復元する(片部36の立ち上がりが戻る)ことはあっても、基本的には再びシート状となることはない。
【0026】
ここで図2を参照し、本体袋2をなす外袋10及び内袋20と、緩衝部3をなす内装材30との関係について詳述する。
上記のとおり、本実施形態の内袋20は、第一内面部21及び第二内面部22の各上端縁部23,24において緩衝部3に貼り付けられているとともに、各上端縁部23,24よりも下方に位置する下端部において外袋10に貼り付けられている。すなわち、内袋20は、外袋10への貼付位置が下端部であるのに対し、緩衝部3への貼付位置が第一内面部21及び第二内面部22の各上端縁部23,24である。したがって、内袋20は、厚み方向視において、外袋10に対する貼付位置と緩衝部3に対する貼付位置とが異なっている。
【0027】
〔外フラップ〕
図1~3に示すように、外フラップ4は、本体袋2の第一面部11,21から上方へ突設される。ここでは、第一外面部11から上方へ突設された外フラップ4を例示する。外フラップ4は、第一外面部11の上端縁部13と連設されている。
外フラップ4は、本体袋2の第一面部11,21から第二面部12,22側へと折り返され、本体袋2の第二面部12,22よりも外側に配置されて開口9を覆う。包装袋1は、このように開口9を覆う外フラップ4が本体袋2の外側の面(本実施形態では第二外面部12)に固定されることにより封緘状態となる。なお、内フラップ5が設けられた包装袋1の封緘状態では、外フラップ4が内フラップ5よりも外側に配置される。
【0028】
〔内フラップ〕
必要に応じて設けられる内フラップ5は、所定方向(第二所定方向)に延在する複数の切れ込み部51(第二切れ込み部)が千鳥状に設けられたシート状の内装材(第二内装材)50で構成された緩衝材であってもよい。このような緩衝材である内フラップ5をなす内装材50は、緩衝部3をなす内装材30と同様に構成されており、ハニーペーパーやクッションペーパーなどとも称される。内装材50は、切れ込み部51の延在する所定方向と交差する交差方向に引っ張られた場合に、切れ込み部51に対応する目が開くことで伸長する。
【0029】
図1~3に示す内フラップ5は、一枚のシート状の内装材50が交差方向(第二所定方向と交差する方向)に伸長可能な状態予め伸長した状態で設けられたものである。本実施形態では、緩衝部3から揺動自在に突設された未伸長状態の内装材50が交差方向に伸長可能な状態で設けられた内フラップ5を例示する。
このように未伸長状態で設けられた内装材50は、例えばユーザによって交差方向に引っ張られることで伸長状態となる。これにより、内フラップ5は、シート状からマット状に変形する。マット状の内フラップ5には、マット状の緩衝部3と同様に、緩衝用の変形代(緩衝代)が設けられることから緩衝性が確保される。
【0030】
本実施形態の内フラップ5は、緩衝部3と連設されている。すなわち、内フラップ5と緩衝部3とは、一体であって互いに連続している(離間していない)。ここでは、緩衝部3において厚み方向に重なる複数の内装材30のうち、最も外側に配置された内装材30と内フラップ5とが単一の部材で形成された例を示す。
内フラップ5は、緩衝部3と同様に、切れ込み部51の延びる所定方向が包装袋1の幅方向に沿う(所定方向が物品の挿抜方向と交差する)姿勢で設けられている。ただし、緩衝部3の切れ込み部31が延びる所定方向と、内フラップ5の切れ込み部51が延びる所定方向とは、包装袋1の幅方向と交差していてもよいし、互いに異なっていてもよい。なお、包装袋1に設けられる内フラップ5の個数は特に限定されないが、ここでは一つの内フラップ5が設けられた包装袋1を示す。
【0031】
本実施形態の内フラップ5は、本体袋2における第一面部11,21の上端縁部13,23と第二面部12,22の上端縁部14,24とのうち、外フラップ4が突設された一方とは反対側の他方に貼り付けられた対向フラップ5Cである。対向フラップ5Cは、緩衝部3の第二貼付端部34から突設されている。このように、本実施形態では、第一外面部11の上端縁部13から突設された外フラップ4に対し、対向フラップ5Cである内フラップ5が第二内面部22の上端縁部24に貼り付けられている。
【0032】
図3に示すように、内フラップ5は、包装袋1の封緘前に交差方向に伸長させられる。これによりマット状に変形した内フラップ5は、緩衝部3から本体袋2の第一面部11,21側へと折り返され、緩衝部3の第一貼付端部33の内側に配置されて物品8を上側(開口9側)から覆う。内フラップ5は、包装袋1の封緘状態では、物品8と外フラップ4との間に配置され、物品8の上側の緩衝機能を担う。
なお、必要に応じて設けられる内フラップ5は、外フラップ4よりも内側で物品8を開口9側から覆う構造であれば特に限定されない。内フラップ5は、本体袋2の第二面部12,22の上端縁部14,24に繋がっていてもよいし、緩衝部3の第一貼付端部33に繋がっていてもよい。
【0033】
[2.作用及び効果]
(1)物品8を包装した包装袋1において、想定以上の輸送に伴う振動や外部からの衝撃入力があった場合は、本体袋2と緩衝部3との取付部分に応力が集中しやすい。これに対し、包装袋1によれば、外袋10と内袋20とで二重構造をなす本体袋2の内袋20に緩衝部3が取り付けられているため、内袋20と緩衝部3との取付部分に応力集中が生じたとしても、内袋20が犠牲になることで外袋10の破損を抑制できる。これにより、物品8の保護性の低下が抑制されるため、包装袋1の信頼性を高められる。
【0034】
(2)外袋10は、内袋20よりも引張強度が高く構成されると引張力が印加された場合に内袋20よりも破れにくくなる。このため、内袋20よりも引張強度が高い外袋10を適用すれば、内袋20と緩衝部3との取付部分に生じた引張応力で内袋20が破損する場合であっても、外袋10の破損を抑制できる。したがって、内袋20がより確実に犠牲になることで外袋10の破損を抑制できる。よって、包装袋1の信頼性を更に高められる。
なお、このような引張強度の大小関係の設定は、例えば、引張強度が互いに異なる材料を外袋10と内袋20とのそれぞれに適用することで実現可能である。あるいは、同一の材料で形成される外袋10と内袋20とにおいては、各々の厚みを異ならせることで、上記のように引張強度を互いに異ならせることが可能である。
【0035】
(3)内袋20は外袋10に貼り付けられているため、外袋10と内袋20との相対的な位置ずれを抑制できる。これにより、包装袋1の使用性を高められる。
【0036】
(4)内袋20は、外袋10に対する貼付力G1が緩衝部3に対する貼付力G2よりも小さく(G1<G2に)設定されると、緩衝部3よりも外袋10から剥がれやすくなる。これにより、内袋20と緩衝部3との貼付部分(取付部分)に応力集中が生じた場合に、内袋20が外袋10から剥がれることで外袋10の破損を更に確実に抑制できる。よって、包装袋1の信頼性をより高められる。
【0037】
また、上記のような貼付力G1,G2の大小関係の設定に代えて(あるいは加えて)、厚み方向の強度(Z軸強度)が小さい材料を内袋20に用いると、貼付部分(取付部分)よりも内袋20自体が層間剥離を生じやすくなる。これによっても、内袋20と緩衝部3との貼付部分(取付部分)に応力集中が生じた場合に、内袋20の基材が剥離することで外袋10の破損を更に確実に抑制できる。よって、包装袋1の信頼性をより高められる。
なお、貼付力G1,G2は、使用する糊(接着剤や粘着剤)の種類や、糊の付着量、付着面積により適宜調整できる。内袋20は、外袋10に対し、全面的に貼り付けられるよりも、部分的に貼り付けられるほうが好ましい。
【0038】
(5)内袋20は、厚み方向視において、外袋10に対する貼付位置と緩衝部3に対する貼付位置とが異なるため、内袋20と緩衝部3との貼付部分に生じた応力集中が、外袋1と内袋20との貼付部分に及ぶことを抑制できる。これにより、外袋10の破損が更に確実に抑制されるため、包装袋1の信頼性をより高められる。
【0039】
(6)内袋20は、緩衝部3よりも引張強度が低く構成されると引張力が印加された場合に緩衝部3よりも破れやすくなる。このため、緩衝部3よりも引張強度が低い内袋20を適用すれば、内袋20と緩衝部3との取付部分に引張応力が生じた場合に、内袋20の破損によって衝撃が吸収されることで、緩衝部3の破損を抑制できる。これにより、緩衝部3の緩衝性が維持されることから、包装袋1の信頼性をより高められる。
なお、このような引張強度の大小関係の設定は、例えば、引張強度が互いに異なる材料を内袋20と緩衝部3とのそれぞれに適用することで実現可能である。あるいは、同一の材料で形成される内袋20と緩衝部3とにおいては、各々の厚みを異ならせることで、上記のように引張強度を互いに異ならせることが可能である。
【0040】
(7)緩衝部3の内装材30よりも単位面積当たりの重量(坪量,目付量)が小さい内袋20を適用すれば、応力が集中した際に内袋20をより確実に犠牲にして外袋10の破損を抑制できる。さらに、二重構造の本体袋2では、外袋10の単位面積当たりの重量を内袋20よりも大きくすることが求められるが、上記のように内袋20の単位面積当たりの重量を小さくすることで、外袋10及び内袋20の双方で単位面積当たりの重量を抑えられる。このため、単層構造の本体袋よりも重量が小さい二重構造の本体袋2を実現できる。
なお、内袋20と内装材30とがいずれも同一の紙(同一の材料)で形成される場合には、内袋20の紙厚(厚み)を内装材30の紙厚よりも小さく(薄く)設定することで、内袋20の坪量を内装材30の坪量よりも小さくできる。
【0041】
(8)緩衝部3は、所定方向が物品8の挿抜方向と交差する姿勢で第一内面部21の上端縁部23と第二内面部22の上端縁部24との間に懸架されているため、内装材30が包装袋1への物品8の挿入に伴って伸長可能となる。よって、物品8の挿入前(包装袋1の使用前)には内装材30がシート状をなすことで包装袋1の厚みを抑制できるとともに、物品8の挿入後(包装袋1の使用時)には内装材30が伸長してマット状をなすことで緩衝部3の緩衝性を確保できる。
【0042】
[3.変形例]
以下、包装袋の変形例について説明する。変形例の説明では、上記の実施形態や他の変形例で説明した要素と同一又は対応する要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0043】
[3-1.第一変形例]
図6に示すように、第一変形例に係る包装袋1Aは、上記の実施形態に係る包装袋1に対し、緩衝部3′の内装材30が交差方向に予め伸長した状態で本体袋2に内装されている点と、内フラップ5′が緩衝部3′とは別の部材で形成されている点とが異なる。
本変形例の緩衝部3′は、包装袋1Aの製造過程で内装材30が交差方向に引っ張られたうえで本体袋2に取り付けられたものである。緩衝部3′は、包装袋1Aの使用時だけでなく使用前にもマット状をなす。
【0044】
ここでは、第一内面部21のほぼ全域と第二内面部22のほぼ全域とのそれぞれに重ね合わされた緩衝部3′を例示する。緩衝部3′は、その全体に多層部3Aを有する。なお、緩衝部3′は、伸長状態をより適切に維持するために、貼付端部33,34に加えて下端部38も内袋20に取り付けられていてもよい。
本変形例の緩衝部3′は、上記のとおり内装材30が予め伸長した状態で設けられることから、切れ込み部31の延在する所定方向が物品の挿抜方向と交差する姿勢で設けられなくてもよい。例えば、緩衝部3′は、所定方向が包装袋1Aの長さ方向に沿った姿勢で設けられてもよい。
【0045】
本変形例では、内フラップ5′と緩衝部3′をなす少なくとも一枚の内装材30とが、単一の部材で形成されておらず、包装袋1Aの製造過程で例えば接着剤や粘着剤により互いに貼り合わせられている。ここでは、緩衝部3′の第二貼付端部34の内側に配置されて第二貼付端部34に貼り付けられた内フラップ5′を例示する。このように、別体であって互いに連続していない。連続している別単一の部材で形成されていない。なお、本変形例の内フラップ5′も対向フラップ5Cである。
【0046】
包装袋1Aによれば、内装材30が交差方向に予め伸長した状態で本体袋2に内装された緩衝部3′を備えるため、使用前後にかかわらずマット状をなす緩衝部3′により緩衝性を適切に確保できる。
また、緩衝部3′とは別の部材で形成された内フラップ5′によれば、内フラップ5′の配置の自由度を高められる。具体的には、内フラップ5′を緩衝部3′とは独立して配置できるため、内フラップ5′の所定方向を緩衝部3′の所定方向と異ならせたり、内フラップ5′を緩衝部3′から離して配置したりすることが容易となる。よって、様々な形態の内フラップ5′を設けることが容易となる。
そのほか、本変形例の包装袋1Aによれば、上記の実施形態の包装袋1と同様の構成からは、同様の作用及び効果が得られる。
【0047】
[3-2.第二変形例]
図7に示すように、第二変形例に係る包装袋1Bは、上記の第一変形例に係る包装袋1Aに対し、緩衝部3′がその一部のみに多層部3Aを有する点が異なる。より具体的に言えば、本変形例の緩衝部3′は、多層部3Aの設けられた一部を除く他部に、物品と本体袋2との間で一枚の内装材30が配置された単層部3Bを有する。ここでは、緩衝部3′の下半部(長さ方向の中間部よりも下側部分)に多層部3Aが設定され、緩衝部3′の上半部(長さ方向の中間部よりも下側部分)に単層部3Bが設定された例を示す。
【0048】
ただし、多層部3A及び単層部3Bの配置の設定はこれに限定されない。多層部3Aは、緩衝部3′において緩衝性が相対的に(他部よりも)求められる一部に設定されればよい。換言すれば、単層部3Bは、緩衝部3′において緩衝性が相対的に(一部よりも)求められない他部に設定されればよい。多層部3A及び単層部3Bの配置は、例えば、包装袋1Bが包装する物品の形状や、包装袋1Bの形状や、輸送時の包装袋1Bの姿勢などを勘案して設定されてもよい。
【0049】
包装袋1Bによれば、緩衝部3′のうち、多層部3Aを有する一部においてピンポイントに緩衝性を高められるとともに、単層部3Bを有する他部において材料及び重量を抑制できる。このため、多層部3Aで物品の保護性を高めつつも、単層部3Bで材料コストを抑制できるとともに軽量化を図れる。
また、下半部に多層部3Aが設定された緩衝部3′によれば、例えば重力により緩衝部3′の下端部38側へ引っ張られる物品の緩衝性を高められる。このため、開口9が上向きの姿勢の包装袋1Bにおいて、物品の保護性を良好に確保できる。
そのほか、本変形例の包装袋1Bによれば、上記の第一変形例の包装袋1Aと同様の構成からは、同様の作用及び効果が得られる。
【0050】
[3-3.第三変形例]
図8に示すように、第三変形例に係る包装袋1Cは、上記の実施形態に係る包装袋1に対し、複数の内フラップ5を備える点が異なる。ここでは、開口9の両側にそれぞれ配置された二つの内フラップ5を備えた包装袋1Cを例示する。
【0051】
本変形例の内フラップ5はいずれも、緩衝部3と連設されている。ここでは、緩衝部3において厚み方向に重なる複数の内装材30のうち最も外側に配置された内装材30と二つの内フラップ5とが、単一の部材で形成された例を示す。各々の内フラップ5は、上記の実施形態と同様に、内装材50が交差方向に伸長可能な状態で設けられたものである。
以下、二つの内フラップ5のうち、開口9の一側(図8では右側)に配置された一方を第一内フラップ5Aともいい、開口9の他側(図8では左側)に配置された他方を第二内フラップ5Bともいう。
【0052】
第一内フラップ5Aは、緩衝部3の第一貼付端部33から突設されており、外フラップ4の内側に重なっている。第一内フラップ5Aは、第一内面部21の上端縁部23(第一端縁部及び第二端縁部の一方)に貼り付けられている。
一方、第二内フラップ5Bは、上記の実施形態で説明した対向フラップ5Cであり、緩衝部3の第二貼付端部34から突設されている。第二内フラップ5Bは、第二内面部22の上端縁部24(第一端縁部及び第二端縁部の他方)に貼り付けられている。
【0053】
内フラップ5はいずれも、包装袋1Cの封緘前に交差方向に伸長させられる。これによりシート状からマット状に変形した第一内フラップ5Aは、緩衝部3の第一貼付端部33から本体袋2の第二面部12,22側へと折り返される。同様に、シート状からマット状に変形した第二内フラップ5Bは、緩衝部3の第二貼付端部34から本体袋2の第一面部11,21側へと折り返される。そして、第一内フラップ5A及び第二内フラップ5Bは、物品の外側で互いに重ねられ、物品を上側(開口9側)から覆う。
【0054】
包装袋1Cによれば、複数の内フラップ5が設けられるため、一つの内フラップ5が設けられる場合と比べて、物品8の開口9側における緩衝性を一層高められる。
また、第一内フラップ5A及び第二内フラップ5Bが第一内面部21の上端縁部23と第二内面部22の上端縁部24とにそれぞれに貼り付けられるため、開口9の両側で互いに対向する二つの内フラップ5により、物品を開口9側から更に適切に覆うことができる。また、二つの内フラップ5が開口9に対して同一側に配置される場合と比べて、内フラップ5どうしが離間することで互いに干渉しにくくなる。これにより、各々の内フラップ5を物品8の開口9側に被せる作業が容易となるため、包装袋1Cの封緘作業性を高められる。
そのほか、本変形例の包装袋1Cによれば、上記の第一変形例の包装袋1Aと同様の構成からは、同様の作用及び効果が得られる。
【0055】
[3-4.第四変形例]
図9に示すように、第四変形例に係る包装袋1Dは、上記の第三変形例に係る包装袋1Cに対し、第二内フラップ5Bが第一内フラップ5Aに貼り付けられた点が異なる。すなわち、本変形例の包装袋1Dでは、二つの内フラップ5が開口9に対して同一側に配置され、互いに重ね合わされている。
【0056】
包装袋1Dによれば、第一内フラップ5A及び第二内フラップ5Bを一体的に(一動作で)緩衝部3の第一貼付端部33から本体袋2の第二面部12,22側へと折り返せることから、封緘作業性を高められる。また、複数の内フラップ5を開口9の一側のみに配置することで、物品の保護性を高めつつも、開口9に対する物品の挿抜作業性を高められる。よって、包装袋1Dの信頼性と使用性とを共に高められる。
そのほか、本変形例の包装袋1Dによれば、上記の第三変形例の包装袋1Cと同様の構成からは、同様の作用及び効果が得られる。
【0057】
[3-5.その他]
内装材30,50において切れ込み部31,51の延在する所定方向は、包装袋の幅方向に限定されない。例えば、内装材30,50は、所定方向が包装袋の長さ方向に沿う姿勢で設けられてもよい。
【0058】
また、緩衝部3,3′の多層部3Aで重ねられた複数枚の内装材30は、所定方向が互いに異なる向きに設定されてもよい。例えば図10に示すように、多層部3Aで重ねられる二枚の内装材30は、所定方向が包装袋の幅方向に対して傾斜するとともに、その傾斜方向が互いに反対となる(幅方向に対する傾斜角度の正負が反対となる)ように設けられてもよい。
【0059】
所定方向が互いに異なる向きに設定された複数枚の内装材30で構成される多層部3Aも、所定方向が包装袋の長さ方向に交差していれば、長さ方向に伸長可能である。したがって、このような多層部3Aを有する緩衝部も、上記の実施形態と同様に懸架された場合には、開口9から包装袋に入れられた物品の重量によって長さ方向に伸長可能である。
【0060】
内装材30の所定方向が互いに異なる向きに設定された多層部3Aでは、各々の内装材30が伸長した場合に切れ込み部31の周囲が様々な方向に立ち上がるため、厚みをより適切に確保できる。これにより緩衝性が高まるため、包装袋の信頼性を更に高められる。
なお、多層部3Aでは、三枚以上の内装材30が厚み方向に重ねられてもよい。内フラップ5についても緩衝部3と同様であり、内フラップ5は交差方向に予め伸長した状態で設けられてもよいし、複数の内フラップ5で所定方向が互いに異なる向きに設定されてもよいし、三つ以上の内フラップ5が包装袋に設けられてもよい。
【0061】
内袋20に対する緩衝部3の取付手法は、接着剤や粘着剤を用いた貼付に限定されない。また、外袋10及び内装材3に対する内袋20の各貼付位置も上記の位置に限定されない。内袋20は、厚み方向視において、外袋10に対する貼付位置と緩衝部3に対する貼付位置とが重なっていてもよい。
内袋20は、外袋10に固定されていなくてもよい。換言すれば、内袋20は、外袋10から離脱自在に設けられてもよい。内袋20が外袋10に固定されていない場合には、外袋10と内袋20との間で力の伝達が抑制されるとともに応力集中が生じにくくなるため、内袋20と緩衝部3との取付部分に応力集中が生じたとしても、外袋10の破損をより確実に抑えられる。よって、包装袋の信頼性を更に高められる。
【0062】
なお、図示は省略するが、本体袋2は、第一面部11,21の上端縁部13,23の少なくとも一方と、第二面部12,22の上端縁部14,24の少なくとも一方とに持ち手を設けて、手提げ紙袋とすることもできる。
外袋10、内袋20及び緩衝部3(内装材30)に関し、上記の実施形態で挙げた単位面積当たりの重量、引張強度の各関係は一例である。
緩衝部3は、その全体が単層部3Bであってもよい(緩衝部3が一重構造であってもよい)。外フラップ4及び内フラップ5は、一方又は両方が省略されてもよい。
【符号の説明】
【0063】
1,1A,1B,1C,1D 包装袋
2 本体袋(外装体)
3,3′ 緩衝部
3A 多層部
3B 単層部
4 外フラップ
5,5′ 内フラップ
5A 第一内フラップ
5B 第二内フラップ
5C 対向フラップ
8 物品
9 開口
10 外袋(外側材)
11 第一外面部
12 第二外面部
13 上端縁部
14 上端縁部
15 下端部
16 幅方向の端部
20 内袋(内側材)
21 第一内面部(第一面部)
22 第二内面部(第二面部)
23 上端縁部(第一端縁部)
24 上端縁部(第二端縁部)
30 内装材(第一内装材)
31,31′ 切れ込み部(第一切れ込み部)
32,32′ 非切れ込み部
33 第一貼付端部
34 第二貼付端部
35 本体部
36 片部
37 緩衝セル
38 下端部
50 内装材(第二内装材)
51 切れ込み部(第二切れ込み部)
G1,G2 貼付力
L1 切れ込み部の寸法
L2 非切れ込み部の寸法
P1 第一パターン
P2 第二パターン
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10