(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】タイヤ空気圧監視システム
(51)【国際特許分類】
B60C 23/04 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
B60C23/04 130D
B60C23/04 150J
(21)【出願番号】P 2020144517
(22)【出願日】2020-08-28
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉浦 正博
【審査官】上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-192839(JP,A)
【文献】特開2017-087941(JP,A)
【文献】特開2015-214192(JP,A)
【文献】特開2019-117181(JP,A)
【文献】特開2020-059400(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C 23/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に適用されるタイヤ空気圧監視システムであって、
タイヤを備えた複数個の車輪(6a~6d)の少なくとも1つに設けられるタイヤセンサ(2)と、
車体(7)に設けられた車載機(3)とを備え、
前記タイヤセンサは、タイヤ空気圧に応じた検出信号を出力するセンシング部(21)と、車輪に生じる加速度を検出する加速度センサ(22)と、前記センシング部の検出信号を信号処理してタイヤ空気圧に関するデータとして格納したフレームを作成する第1制御部(23)と、前記タイヤセンサから前記車載機への単方向通信および前記タイヤセンサと前記車載機との間の双方向通信を行う第1通信部(24)とを有し、
前記第1制御部は、前記加速度センサが検出した加速度が一定値よりも大きい場合、前記第1制御部で定められたタイミングで、前記タイヤ空気圧に関するデータが格納された前記フレームを、前記第1通信部に送信させ、
前記第1制御部は、前記加速度センサが検出した加速度が前記一定値よりも小さい場合であって、前記センシング部の検出信号に基づいて、タイヤ調圧によるタイヤ空気圧変化を検出した場合、前記双方向通信を開始するための接続要求を前記第1通信部に送信させるとともに、前記双方向通信の開始後に、前記車載機からのタイヤ情報要求に応じて、前記タイヤ空気圧に関するデータが格納された前記フレームを、前記第1通信部に送信させ、
前記車載機は、前記タイヤセンサから前記車載機への単方向通信および前記タイヤセンサと前記車載機との間の前記双方向通信を行う第2通信部(32)と、前記第2通信部が受信した前記フレームに格納された前記タイヤ空気圧に関するデータに基づいて、タイヤ空気圧を検出する第2制御部(34)と、を有し、
前記第2制御部は、車両を発進させる際に操作される起動スイッチ(9)がオフの場合であって、前記第2通信部が前記接続要求を受信した場合、前記第2制御部で定められたタイミングで、前記タイヤ情報要求を、前記第2通信部に送信させるとともに、前記接続要求が送信された理由が前記タイヤ空気圧変化の検出である場合、タイヤ調圧作業のアシストを行う、タイヤ空気圧監視システム。
【請求項2】
前記第1制御部は、前記加速度センサが検出した加速度が前記一定値よりも大きい場合、前記第1制御部で定められた第1間隔で、前記タイヤ空気圧に関するデータが格納された前記フレームを、前記第1通信部に送信させ、
前記第2制御部は、前記起動スイッチがオフの場合であって、前記第2通信部が前記接続要求を受信し、前記接続要求が送信された理由が前記タイヤ空気圧変化の検出である場合、前記第1間隔よりも短い第2間隔で、前記タイヤ情報要求を、前記第2通信部に送信させる、請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【請求項3】
前記起動スイッチがオンの際にタイヤ空気圧の低下をユーザに知らせるための警報を前記第2制御部が発令していた場合、または、タイヤ調圧の実施をユーザに対して前記第2制御部が提案していた場合において、前記第2制御部は、前記起動スイッチがオンからオフに変化してから一定時間、前記接続要求の受信が可能な状態を前記第2通信部に維持させる、または、前記双方向通信を前記第2通信部に行わせる、請求項1または2に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【請求項4】
前記第2制御部は、前記起動スイッチがオンの場合であって、前記第2通信部が前記接続要求を受信した場合、前記第2制御部で定められたタイミングで、前記タイヤ情報要求を、前記第2通信部に送信させ、前記接続要求が送信された理由が前記タイヤ空気圧変化の検出である場合、タイヤ調圧作業のアシストを行う、請求項1に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【請求項5】
前記第1制御部は、前記加速度センサが検出した加速度が前記一定値よりも大きい場合、前記第1制御部で定められた第1間隔で、前記タイヤ空気圧に関するデータが格納された前記フレームを、前記第1通信部に送信させ、
前記第2制御部は、前記起動スイッチがオンの場合であって、前記第2通信部が前記接続要求を受信し、前記接続要求が送信された理由が前記タイヤ空気圧変化の検出である場合、前記第1間隔よりも短い第2間隔で、前記タイヤ情報要求を、前記第2通信部に送信させる、請求項4に記載のタイヤ空気圧監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイレクト式のタイヤ空気圧監視システム(以下、TPMSという)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のTPMSとして、タイヤ調圧が実施される際に、タイヤ調圧作業を補助(アシスト)するものが、特許文献1に記載されている。特許文献1のTPMSでは、車輪に設けられるタイヤセンサ、または、車体に設けられる車載機のいずれかが、タイヤ空気圧の増減に基づいて、タイヤ調圧の実施タイミングを決定する。タイヤ調圧の実施タイミングが決定されると、車載機は、タイヤ調圧作業のアシストを行う。具体的には、車載機は、タイヤ空気圧が目標値に対して、低い、適切、高い、のいずれであるかを、視覚や聴覚でわかるように報知装置を作動させてユーザに報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
タイヤ調圧作業は、車両が停止した状態であれば、車両を発進させる際に操作される車両の起動スイッチがオン、オフのいずれの状態であっても行われる。しかし、上記の特許文献1のTPMSでは、起動スイッチであるイグニッションスイッチがオフの場合、タイヤ調圧の実施タイミングが決定されず、タイヤ調圧作業のアシストが行われない。
【0005】
本発明は上記点に鑑みて、起動スイッチがオフの場合でも、タイヤ調圧作業のアシストを行うことができるTPMSを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載のTPMSは、タイヤを備えた複数個の車輪(6a~6d)の少なくとも1つに設けられるタイヤセンサ(2)と、車体(7)に設けられた車載機(3)とを備える。タイヤセンサは、タイヤ空気圧に応じた検出信号を出力するセンシング部(21)と、車輪に生じる加速度を検出する加速度センサ(22)と、センシング部の検出信号を信号処理してタイヤ空気圧に関するデータとして格納したフレームを作成する第1制御部(23)と、タイヤセンサから車載機への単方向通信およびタイヤセンサと車載機との間の双方向通信を行う第1通信部(24)とを有する。第1制御部は、加速度センサが検出した加速度が一定値よりも大きい場合、第1制御部で定められたタイミングで、タイヤ空気圧に関するデータが格納されたフレームを、第1通信部に送信させる。第1制御部は、加速度センサが検出した加速度が一定値よりも小さい場合であって、センシング部の検出信号に基づいて、タイヤ調圧によるタイヤ空気圧変化を検出した場合、双方向通信を開始するための接続要求を第1通信部に送信させるとともに、双方向通信の開始後に、車載機からのタイヤ情報要求に応じて、タイヤ空気圧に関するデータが格納されたフレームを、第1通信部に送信させる。車載機は、タイヤセンサから車載機への単方向通信およびタイヤセンサと車載機との間の双方向通信を行う第2通信部(32)と、第2通信部が受信したフレームに格納されたタイヤ空気圧に関するデータに基づいて、タイヤ空気圧を検出する第2制御部(34)と、を有する。第2制御部は、車両を発進させる際に操作される起動スイッチ(9)がオフの場合であって、第2通信部が接続要求を受信した場合、第2制御部で定められたタイミングで、タイヤ情報要求を、第2通信部に送信させるとともに、接続要求が送信された理由がタイヤ空気圧変化の検出である場合、タイヤ調圧作業のアシストを行う。
【0007】
これによれば、起動スイッチがオフの場合でも、タイヤ調圧作業のアシストを行うTPMSを提供することができる。
【0008】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態にかかるTPMSの全体構成を示した図である。
【
図2】タイヤセンサのブロック構成を示した図である。
【
図4】タイヤセンサと車載機との間の無線通信を説明するための図である。
【
図5】タイヤセンサと車載機との間の無線通信を説明するための図である。
【
図6】タイヤセンサと車載機との間の無線通信を説明するための図である。
【
図7】第1制御部が実行するタイヤ側処理のフローチャートである。
【
図8】タイヤ調圧時の空気圧変化を示した図である。
【
図9】IGオンのときに第2制御部が実行する車載機側処理のフローチャートである。
【
図10】IGオフのときに第2制御部が実行する車載機側処理のフローチャートである。
【
図11】車両が走行中から停車、駐車の状態へ順に変わるときの車載機とタイヤセンサとのそれぞれの動作を示したタイミングチャートである。
【
図12】車両の走行時に警報の発令またはタイヤ調圧提案の実施が行われていた場合において、車両が走行中から停車、駐車の状態へ順に変わるときの車載機とタイヤセンサとのそれぞれの動作を示したタイミングチャートである。
【
図13】車両が走行中から停車の状態へ変わり、停車の状態で右前輪FRのタイヤ調圧が行われるときの車載機とタイヤセンサとのそれぞれの動作を示したタイミングチャートである。
【
図14】駐車の状態で右前輪FRのタイヤ調圧が行われるときの車載機とタイヤセンサとのそれぞれの動作を示したタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、TPMSの全体構成を示す図である。
図1の紙面上下方向が車両1の前後方向、紙面左右方向が車両1の左右方向に一致する。この図を参照して、本実施形態におけるTPMSについて説明する。
図1に示すように、TPMSは、車両1に取り付けられるもので、タイヤセンサ2と、車載機3と、表示器4と、報知装置5とを備える。
【0012】
タイヤセンサ2は、タイヤを備えた複数個の車輪6a~6dのそれぞれに設けられるもので、タイヤの空気圧などを検出すると共に、その検出結果を示すタイヤ空気圧に関する情報をフレーム内に格納して送信する。車載機3は、車両1における車体7側に設けられるもので、タイヤセンサ2から送信されたフレームを受信すると共に、その中に格納された情報に基づいて各種処理や演算等を行うことでタイヤ空気圧検出を行う。タイヤセンサ2は、例えばFSK(周波数偏移変調)によりフレームを作成し、車載機3は、そのフレームを復調することでフレーム内の情報を読取っている。
【0013】
表示器4は、車室内のうちドライバが視認可能な場所に設置される。具体的には、表示器4は、インストルメントパネルに設置される警報ランプやディスプレイによって構成される。表示器4は、車載機3からタイヤ空気圧が低下した旨を示す信号が送られてくると、その旨の表示を行うことでドライバにタイヤ空気圧の低下を報知する。
【0014】
報知装置5は、ハザードランプやホーンなどによって構成される。
図1では、報知装置5の一例としてのハザードランプが示されている。本実施形態では、報知装置5は、本来の使用目的の他に、タイヤ空気圧を調整するタイヤ調圧時において、現在のタイヤ空気圧の状態をユーザに報知する目的に用いられる。なお、報知装置5は、現在のタイヤ空気圧の状態をユーザに報知する目的のみに用いられるものであってもよい。
【0015】
図2に示すように、タイヤセンサ2は、センシング部21と、加速度センサ22と、第1制御部23と、第1通信回路24と、第1通信アンテナ26と、電池25とを有する。
【0016】
センシング部21は、タイヤ空気圧やタイヤ内温度を検出する。すなわち、センシング部21は、圧力センサや温度センサを備えた構成とされ、タイヤ空気圧に応じた検出信号やタイヤ内温度に応じた検出信号を出力する。
【0017】
加速度センサ22は、重力加速度と、各車輪6a~6dの回転によって生じる加速度を検出する。本実施形態の加速度センサ22は、例えば、車輪6a~6dの回転時に車輪6a~6dに働く加速度のうち、各車輪6a~6dの径方向に働く遠心加速度と重力加速度を加えた値に応じた検出信号を出力する。
【0018】
第1制御部23は、CPU、ROMやRAMなどのメモリ、I/Oなどを備えるマイクロコンピュータによって構成される。第1制御部23は、内蔵メモリに記憶されたプログラムに従って、所定の処理を実行する。メモリには、各タイヤセンサ2を特定するための固有の識別情報と自車両を特定するための車両固有の識別情報とを含む個別のID情報が格納されている。
【0019】
第1制御部23は、センシング部21から出力された検出信号を受け取り、それを信号処理すると共に必要に応じて加工し、センシング部21の検出結果を示すデータとして各タイヤセンサ2のID情報と共にフレーム内に格納する。すなわち、第1制御部23は、センシング部21の検出結果を示すデータが格納されたフレームを作成する。第1制御部23は、作成したフレームを第1通信回路24に送る。なお、以下の説明では、センシング部21の検出結果を示すデータのことを、タイヤ空気圧に関するデータ、または、単に、タイヤ情報という。ただし、タイヤ空気圧に関するデータにこれらすべてのデータが必ず含まれている必要はなく、タイヤ空気圧の検出結果を示すデータのみであっても良い。
【0020】
第1制御部23は、加速度センサ22の検出信号に基づいて、加速度が一定値以上であるか否か、すなわち、車両1が所定速度以上での走行中であるか、車両1が徐行および駐停車中であるかを検出する。また、第1制御部23は、センシング部21の検出信号に基づいて、タイヤ調圧によるタイヤ空気圧変化を検出する。
【0021】
第1通信回路24は、車載機3と例えばBLEなどの通信方式に基づく無線通信を行う回路である。以下では、通信方式としてBLEを採用した場合を例として説明するが、他の通信方式を採用してもよい。第1通信アンテナ26は、車載機3とBLEに基づく無線通信を行うためのアンテナである。第1通信回路24は、第1通信アンテナ26を通じて、BLEに基づく無線信号の送信および受信を行う。BLEは、Bluetooth(登録商標) low energyの略称である。BLEに基づく無線通信では、後述の通り、タイヤセンサ2から車載機3への単方向通信と、タイヤセンサ2と車載機3との間の双方向通信とが可能である。したがって、第1通信回路24は、単方向通信および双方向通信を行う第1通信部を構成する。
【0022】
第1制御部23は、加速度センサ22が検出した加速度が一定値よりも大きい場合、第1制御部23で定められたタイミングで、単方向通信によるタイヤ情報の送信を第1通信回路24に行わせる。また、第1制御部23は、加速度センサ22が検出した加速度が一定値よりも小さい場合であって、タイヤ調圧によるタイヤ空気圧変化を検出した場合、双方向通信を開始するための接続要求の送信を第1通信回路24に行わせる。そして、第1制御部23は、双方向通信の開始後に、車載機3からのタイヤ情報要求に応じて、車載機3に向けてのタイヤ情報の送信を第1通信回路24に行わせる。なお、タイヤ情報の送信とは、タイヤ情報が格納されたフレームを送信することを意味する。接続要求の送信とは、接続要求のコマンドが格納されたフレームを送信することを意味する。タイヤ情報要求の送信とは、タイヤ情報要求のコマンドが格納されたフレームを送信することを意味する。
【0023】
電池25は、センシング部21や第1制御部23などに対して電力供給を行う。この電力供給により、センシング部21でのタイヤ空気圧に関するデータの収集や、第1制御部23での各種演算などが実行される。
【0024】
このように構成されるタイヤセンサ2は、各車輪6a~6dのホイールにおけるエア注入バルブに取り付けられ、センシング部21がタイヤの内側に露出するように配置される。これにより、タイヤセンサ2は、タイヤ空気圧を検出し、その検出結果を示すタイヤ情報が格納されたフレームを送信する。
【0025】
図3に示すように、車載機3は、第2通信アンテナ31と、第2通信回路32と、電源制御部33と、第2制御部34とを有する。
【0026】
第2通信アンテナ31は、各タイヤセンサ2とBLEに基づく無線通信を行うためのアンテナである。第2通信アンテナ31は、車載機3の本体内に配置された内部アンテナでも良いし、本体から配線を引き伸ばした外部アンテナとされていても良い。
【0027】
第2通信回路32は、第2通信アンテナ31を通じて、各タイヤセンサ2とBLEに基づく無線通信を行う回路である。第2通信回路32は、第2通信アンテナ31を通じて、BLEに基づく無線信号の送信及び受信を行う。第2通信回路32は、単方向通信および双方向通信を行う第2通信部を構成する。
【0028】
電源制御部33は、バッテリ8からの電源供給、具体的には、バッテリ8から印加される所定電圧(+B)に基づいて車載機3の各部に駆動用電源を供給するという電源制御を行う。この電源制御部33による電源制御に基づいて車載機3が作動し、BLEに基づく無線通信や第2制御部34でのタイヤ空気圧検出などが行われる。電源制御部33は、第2制御部34からの制御信号に基づいて駆動用電源を生成する。基本的には、電源制御部33は、IG(すなわち、イグニッション)スイッチ9のオフ中にオフさせられていて駆動用電源を生成せず、IGスイッチ9がオン中にオンさせられて駆動用電源を生成する。ただし、電源制御部33は、IGスイッチ9のオフ中であっても、第2制御部34から送られてくる制御信号に基づいてオンさせられて駆動用電源を生成する。このため、IGスイッチ9のオフ中にも制御信号の指示に基づいて無線通信や第2制御部34での各種処理の実行が可能である。
【0029】
第2制御部34は、CPU、ROMやRAMなどのメモリ、I/Oなどを備えたマイクロコンピュータによって構成される。第2制御部34は、内蔵メモリに記憶されたプログラムに従って、通信処理、タイヤ空気圧検出処理、調圧アシスト処理などの所定の処理を実行する。
【0030】
通信処理では、第2制御部34は、受信の開始と停止とを第2通信回路32に行わせる。また、第2制御部34は、タイヤセンサ2からの接続要求を第2通信回路32が受信した場合、タイヤセンサ2と車載機3との双方向通信を開始させる。そして、双方向通信の開始後、第2制御部34は、第2制御部34で定められたタイミングで、タイヤ情報要求の送信を、第2通信回路32に行わせる。
【0031】
タイヤ空気圧検出処理では、第2制御部34は、各タイヤセンサ2が取り付けられた車輪6a~6dのタイヤ空気圧の検出などを行う。具体的には、第2制御部34は、第2通信回路32が受信したフレームに格納されたタイヤ情報に基づいて演算することで、タイヤ空気圧を検出する。そして、検出したタイヤ空気圧に応じた電気信号を表示器4に出力する。また、第2制御部34は、検出したタイヤ空気圧を所定の警報閾値Thと比較し、タイヤ空気圧が所定の警報閾値Th以下に低下したことを検知した場合には、その旨の信号を表示器4に出力する。このようにして、第2制御部34は、タイヤ空気圧が低下したことをユーザに知らせるための警報を発令する。
【0032】
さらに、第2制御部34は、4つの車輪6a~6dそれぞれのタイヤ空気圧を検出し、そのタイヤ空気圧を各車輪6a~6dと対応させて表示器4に出力することもできる。第2制御部34のメモリには、各車輪6a~6dに配置されているタイヤセンサ2のID情報が各車輪6a~6dの位置と関連づけられて記憶されている。このため、第2制御部34は、フレームに格納されたID情報と照合することで、受信したフレームが車輪6a~6dのどれに取り付けられたタイヤセンサ2であるかを認識し、タイヤ空気圧が低下した車輪を特定できる。これに基づき、タイヤ空気圧低下が発生した場合に、低下した車輪を特定して表示器4に出力する。また、タイヤ空気圧低下が発生していない場合でも、検出したタイヤ空気圧を各車輪6a~6dと対応させて、表示器4に出力するようにしても良い。
【0033】
このようにして、4つの車輪6a~6dのいずれかのタイヤ空気圧が低下したこと、もしくは、4つの車輪6a~6dそれぞれのタイヤ空気圧が表示器4に伝えられる。
【0034】
調圧アシスト処理では、第2制御部34は、ユーザのタイヤ調圧作業のアシストを行う。すなわち、第2制御部34は、タイヤ調圧作業をアシストするためのアシスト動作の要求を車両に対して行う。アシスト動作の要求としては、現在のタイヤ空気圧の状態をユーザに報知するように、報知装置5を作動させる要求が挙げられる。報知装置5の動作としては、例えば、ハザードランプを点滅させること、ホーンを鳴らすことが挙げられる。ハザードランプを点滅させる場合、空気圧の目標値に対する現在の空気圧の状態(例えば、空気圧が足りない、ちょうどよい、多い)を、点滅パターンと点滅スピードの少なくとも一方でユーザに報知する。
【0035】
次に、タイヤセンサ2と車載機3との間の無線通信について説明する。タイヤセンサ2と車載機3とは、BLEに基づいて、互いに無線通信を行う。BLEに基づく無線通信では、単方向通信であるブロードキャスト通信と、双方向通信であるコネクション通信とが可能である。
【0036】
車両走行中では、
図4に示すように、タイヤセンサ2から車載機3に向けて、ブロードキャスト通信によるタイヤ情報の送信が行われる。ブロードキャスト通信によるタイヤ情報の送信では、タイヤ情報と単方向コマンドとが格納されたフレームが、第1通信回路24によって送信される。単方向コマンドは、ブロードキャスト通信、すなわち、単方向通信を示すコマンドである。ブロードキャスト通信では、タイヤセンサ2側で定められたタイミングで、タイヤ情報の送信が行われる。
【0037】
車両徐行中または駐停車中では、
図5に示すように、タイヤセンサ2から車載機3に向けて、コネクション通信を開始するための接続要求が送信される。すなわち、接続要求のコマンドが格納されたフレームが送信される。このフレームを車載機3が受信すると、
図5中の破線矢印のように、車載機3は、接続手続きを行うためのフレームをタイヤセンサ2に向けて送信する。このフレームをタイヤセンサ2が受信することで、
図6に示すように、コネクション(すなわち、接続の状態)が形成される。すなわち、コネクション通信が開始される。このように、車載機3が接続要求を受信した場合、接続手続きを行うためのフレームの送受信が行われることで、コネクションが形成されるが、以下では、単に、車載機3が接続要求を受信した場合に、車載機3がコネクションを形成するという。なお、接続要求送信のフレーム内にタイヤ情報も付加して送信されてもよい。こうすることで、コネクション形成後の通信回数を低減することができる。
【0038】
コネクション形成時では、車載機3からタイヤ情報要求が送信される。このタイヤ情報要求をタイヤセンサ2が受信すると、タイヤセンサ2は、タイヤ情報要求に応答してタイヤ情報を送信する。コネクション通信によるタイヤ情報の送信では、タイヤ情報が格納されたフレームが、第1通信回路24によって送信される。これにより、車載機3は、タイヤ情報を取得する。コネクション通信では、車載機3側で定められたタイミングで、タイヤ情報の取得が行われる。
【0039】
次に、第1制御部23が実行する
図7に示すタイヤ側処理フローを参照して、タイヤセンサ2の動作について説明する。なお、この図に示す処理は、第1制御部23にて所定の制御周期毎に実行される。
【0040】
ステップS100では、第1制御部23は、加速度が一定値以上であるか否かを判定する。ここでいう加速度は、加速度センサ22の検出信号から得た遠心加速度と重力加速度の合計値のことを意味しており、一定値とは、例えば30km/h程度の走行中に発生する遠心加速度に相当する値としている。車両1が所定の速度よりも速い速度で走行中の場合、第1制御部23は肯定判定する。車両1が所定の速度よりも遅い徐行中または駐停車中の場合、第1制御部23は否定判定する。
【0041】
ステップS100で肯定判定された場合には、第1制御部23は、ステップS105に進み、車両1が走行中に設定される定期送信周期毎にフレーム送信が行われるように、例えば60秒毎という走行中インターバルでタイマ設定を行う。そして、第1制御部23は、ステップS110に進み、ブロードキャスト通信によるタイヤ情報送信を行う。すなわち、第1制御部23は、タイヤ情報と単方向コマンドとが格納されたフレームを、第1通信回路24に送信させる。
【0042】
その後、第1制御部23は、ステップS115に進み、加速度が一定値以上であるか否かを判定する。「加速度」および「一定値」は、ステップS100での説明と同じである。この処理は、ステップS120において走行中インターバルで設定されたタイマがタイムアップする迄の期間中に繰り返し行われ、車両1が走行を継続していることが確認される。そして、ステップS120でタイムアップしたら再びステップS105に戻る。
【0043】
このように、第1制御部23は、加速度センサ22が検出した加速度が一定値よりも大きい場合、走行中インターバルとして設定される定期送信周期毎に、単方向通信でのタイヤ情報送信を行う。
【0044】
一方、ステップS100で否定判定された場合およびステップS115で否定判定された場合、第1制御部23は、ステップS125に進み、接続要求の送信時間を計測するためのカウンタをスタートする。そして、第1制御部23は、ステップS130に進み、接続要求の送信を行う。すなわち、第1制御部23は、接続要求のコマンドが格納されたフレームを、第1通信回路24に送信させる。このとき、第1制御部23は、接続要求した理由を通知する。
【0045】
続いて、第1制御部23は、ステップS135に進み、コネクションが形成されたか否かを判定する。ステップS135で否定判定された場合、第1制御部23は、ステップS140に進み、ステップS125でスタートしたカウンタがカウントアップしたか否かを判定する。すなわち、ステップS125でスタートしたカウンタの計測時間が規定時間に到達したか否かを判定する。規定時間は、例えば、60秒である。ステップS140で否定判定された場合、第1制御部23は、ステップS130に戻る。ステップS130が繰り返される場合の周期は、例えば、5秒である。
【0046】
ステップS135で肯定判定された場合、第1制御部23は、ステップS145に進む。ステップS145では、第1制御部23は、車載機3からのタイヤ情報要求があるか否かを判定する。ステップS145で肯定判定された場合、ステップS150に進み、コネクション通信によるタイヤ情報応答を行う。すなわち、第1制御部23は、タイヤ情報を格納したフレームを第1通信回路24に送信させる。その後、ステップS145に戻る。
【0047】
このように、第1制御部23は、加速度センサ22が検出した加速度が一定値よりも小さくなってから一定時間、所定周期(例えば、60秒間、5秒周期)で、接続要求の送信を行う。これにより、コネクションが形成され、車載機3からの要求に応じて最新のタイヤ情報が送信される。このため、停車から調圧開始までに時間がかかっても、空気圧の最新状態を確認することができる。また、タイヤが1回転する間に、車体による反射やタイヤセンサ2と車載機3の物理的な距離が変化することにより、双方で受信できる電波レベルが小刻みに変わるため、電波レベルが弱いところでタイヤが止まると、コネクションを形成できない恐れがある。そこで、本実施形態のように、車輪が完全停止した後ではなく、車輪が完全停止する前(すなわち、加速度センサ22が検出した加速度が一定値よりも大きな値から一定値よりも小さい値に変化した直後)に、接続要求の送信を行うことが好ましい。
【0048】
また、
図7に示されていないが、第1制御部23は、加速度が一定値未満になってから一定時間、接続要求の送信を行い、接続されないまま時間が経過した場合、車両電源がオフになったと判断して、スリープに移行する。このスリープは、送信を行わない状態であり、各種の処理が実行される状態である。
【0049】
また、ステップS145での判定は、後述する高頻度でのタイヤ情報要求を想定した短い期間で行われる。ステップS140で肯定判定された場合およびステップS145で否定判定された場合、第1制御部23は、ステップS155に進む。ステップS155では、第1制御部23は、タイヤ調圧による空気圧変化があるか否かを判定する。すなわち、第1制御部23は、タイヤ調圧による空気圧変化を検出したか否かを判定する。
【0050】
ステップS155で肯定判定された場合、第1制御部23は、ステップS160に進み、コネクション形成時であれば、コネクションを切断する。そして、第1制御部23は、ステップS165に進み、接続要求の送信を行う。このとき、第1制御部23は、ステップS130と同様に、接続要求した理由を通知する。続いて、第1制御部23は、ステップS170に進み、コネクションが形成されたか否かを判定する。ステップS170で肯定判定された場合、第1制御部23は、ステップS145に戻る。ステップS170で否定判定された場合、第1制御部23は、ステップS155に戻る。
【0051】
ステップS155で否定判定された場合、第1制御部23は、ステップS175に進み、加速度が一定値以上であるか否かを判定する。「加速度」および「一定値」は、ステップS100での説明と同じである。ステップS175で肯定判定された場合、第1制御部23は、ステップS105に進む。ステップS175で否定判定された場合、第1制御部23は、ステップS180に進み、コネクションの形成中であるか否かを判定する。ステップS180で肯定判定された場合、第1制御部23は、ステップS145に進む。ステップS180で否定判定された場合、第1制御部23は、ステップS155に進む。
【0052】
ステップS130、S135、S145、S150等の説明の通り、第1制御部23は、加速度センサ22が検出した加速度が一定値よりも小さい場合、接続要求を車載機3に向けて送信させる。コネクションの形成中では、基本的に、第1制御部23は、車載機3からの情報要求があった時にタイヤ情報を生成し、生成したタイヤ情報を第1通信回路24に送信させる。
【0053】
また、ステップS130、S165の説明の通り、第1制御部23は、接続要求を送信する場合、接続要求を送信した理由を、車載機3へ通知する。上述の通り、接続要求を送信した理由としては、加速度が一定値未満であることと、加速度が一定値未満であってタイヤ調圧による空気圧変化を検出したこととがある。接続要求を送信した理由の通知を、コネクション形成後の車載機3からの問い合わせに対する応答として行ってもよい。
【0054】
また、ステップS165等の説明の通り、第1制御部23は、加速度センサ22が検出した加速度が一定値よりも小さい場合であって、タイヤ調圧による空気圧変化を検出した場合に、接続要求を車載機3に向けて第1通信回路24に送信させる。タイヤ調圧が終了する前にコネクションが形成されるように、この場合の接続要求のインターバルは、最小であることが望ましい。
【0055】
ここで、エアータンクを用いてタイヤ調圧を行う場合、
図8に示すように、タイヤ調圧時のうち注入開始から調圧完了までの注入期間では、現在の空気圧が目標値に近づくように空気が注入されることで、空気圧が連続的に増大する。また、
図8に示されていないが、現在の空気圧が目標値を超えた場合に減圧されることで、空気圧が連続的に減少する。また、
図8に示すように、タイヤ調圧時のうちタイヤにエアチャックが接続されてから注入開始までの期間では、タイヤ内の空気がエアチャックのホースに逃げることで、空気圧が減少した後に安定する。したがって、タイヤ調圧による空気圧変化を検出することには、(1)空気圧の連続的な増減を検出することと、(2)空気圧が一定値低下した後に安定したことを検出することとが含まれる。
【0056】
また、ステップS160、S165の説明の通り、第1制御部23は、コネクションの形成中に、タイヤ調圧による空気圧変化を検出した場合、コネクションを切断した後、接続要求の送信を行う。コネクションを切断した後に、接続要求を送信するのは、接続要求を送信した理由を車載機3へ伝えることで、コネクション通信における車載機3からの情報要求の送信頻度を上げるためである。コネクション通信では、車載機3がマスタとなり、タイヤセンサ2がスレーブとなる。コネクション通信中に、スレーブからマスタに対して情報要求の送信頻度を上げる要求ができれば、コネクションを切断せずに、その要求を行うことが好ましい。
【0057】
なお、第1制御部23は、車載機3からコネクションが切断された場合、スリープに移行する。このスリープとは、送信を行わない状態であって、圧力変化の監視等の処理を実行する状態を意味する。これにより、スリープに移行しない場合と比較して、タイヤセンサ2の電力消費を抑制することができる。
【0058】
また、第1制御部23は、空気圧変化要因で接続要求した後にコネクションを形成した場合、空気圧変化検出を行わないようにすることが好ましい。これは、後述の通り、空気圧変化要因で接続要求を送信した場合、コネクション通信において、車載機3からのタイヤ情報の要求が高頻度で送信され、この要求に応じる必要があるためである。その後、一定時間(例えば10秒)、車載機3からの情報要求が無かった場合、第1制御部23は、空気圧変化検出を再開する。
【0059】
次に、第2制御部34が実行する
図9および
図10に示す車載機側処理フローを参照して、車載機3の動作について説明する。
図9に示すフローは、IGがオフからオンに変化した場合に実行され、タイヤセンサ2毎に個別に実行される。
【0060】
図9に示すように、IGがオフからオンに変化すると、ステップS200で、第2制御部34は、コネクションの形成中であるか否かを判定する。否定判定された場合、ステップS205に進み、受信を開始する。ステップS200で肯定判定された場合、ステップS230に進む。このように、第2制御部34は、IGがオフからオンに変化した場合、受信を開始する。IGがオフからオンに変化した時点で、コネクションが形成されていた場合、第2制御部34は、コネクションが形成された状態を維持する。
【0061】
続いて、ステップS210では、第2制御部34は、コマンドを受信したか否かを判定する。このコマンドは、タイヤセンサから送信されたフレームに含まれる単方向コマンド、または、接続要求のコマンドである。コマンドが受信されるまで、ステップS210が繰り返される。コマンドを受信していれば、ステップS215に進む。
【0062】
ステップS215では、第2制御部34は、受信したコマンドが接続要求のコマンドであるか否かを判定する。受信したコマンドが単方向コマンドである場合、第2制御部34は、否定判定して、ステップS220に進み、TPMSの規定処理を行う。このように、第2制御部34は、タイヤセンサ2から単方向通信でタイヤ情報を受信した場合、TPMSの規定処理を行う。TPMSの規定処理として、前述のタイヤ空気圧検出処理が行われ、タイヤ空気圧の表示や、警報の通知が行われる。
【0063】
ステップS215において、受信したコマンドが接続要求のコマンドである場合、第2制御部34は、肯定判定して、ステップS225に進み、コネクションを形成する。このように、第2制御部34は、タイヤセンサ2から接続要求を受信した場合、コネクションを形成する。
【0064】
ステップS225で、第2制御部34は、コネクションを形成した後、ステップS230に進む。ステップS230では、第2制御部34は、接続要求の理由がタイヤ調圧による空気圧変化であるか否かを判定する。接続要求の理由がタイヤ調圧による空気圧変化ではない場合、第2制御部34は、否定判定して、ステップS235に進む。ステップS235では、第2制御部34は、通常周期(例えば、30秒周期)でのタイヤ情報要求を行う。続いて、ステップS240で、第2制御部34は、車両が一定値以上の車速での走行中であるか否かを判定する。この判定は、車両の走行を制御する他の制御部からの走行情報に基づいて行われる。この判定は、タイヤセンサ2の加速度センサ22が検出した加速度に基づいて行われてもよい。車両が走行中ではない場合、第2制御部34は、否定判定して、ステップS235に戻る。車両が走行中である場合、第2制御部34は、肯定判定して、ステップS245に進み、コネクションを切断する。これにより、車両が走行中でない間、通常周期でのタイヤ情報要求が行われる。
【0065】
このように、第2制御部34は、接続要求を受信した場合、タイヤセンサ2が接続要求を送信した理由を確認する。そして、その理由が、タイヤ調圧時の空気圧変化の検出ではなく、加速度の低下である場合、第2制御部34は、通常周期で、各タイヤセンサ2に向けてタイヤ情報要求を送信する。これにより、各タイヤセンサ2からタイヤ情報が格納されたフレームが通常周期で送信される。
【0066】
この場合、第2制御部34は、4つのタイヤセンサ2のそれぞれに対して異なるタイミングで、タイヤ情報要求を送信する。これにより、複数のタイヤセンサ2から同時に応答信号が送信されることによる混信を防止することができる。
【0067】
また、第2制御部34は、コネクションの形成中に、一定値以上の車速を検出した場合、コネクションを切断する。これにより、車両が信号待ちで停止中のときに、コネクションが形成される。信号が変わって停止中の車両が走り出すと、コネクションが切断される。
【0068】
ステップS230において、接続要求の理由がタイヤ調圧による空気圧変化である場合、第2制御部34は、肯定判定して、ステップS250に進む。ステップS250では、第2制御部34は、短周期(例えば、500ミリ秒周期)でのタイヤ情報要求を行う。ステップS250が実行されるときに、第2制御部34は、前述した調圧アシスト処理を実施する。続いて、ステップS255で、第2制御部34は、一定期間(例えば、10秒)、空気圧変化が無いか否かを判定する。空気圧変化が無い場合、第2制御部34は、肯定判定して、ステップS235に進む。空気圧変化がある場合、第2制御部34は、否定判定して、ステップS250に戻る。
【0069】
このように、タイヤセンサ2が接続要求を送信した理由が、タイヤ調圧による空気圧変化の検出である場合、第2制御部34は、短周期で、各タイヤセンサ2に向けてタイヤ情報要求を送信する。これにより、第2制御部34は、空気圧変化要因で接続要求してきたタイヤセンサ2から、高頻度の間欠周期で、タイヤ情報を取得する。そして、第2制御部34は、高頻度でのタイヤ情報取得中で、一定時間、空気圧変化が無い場合は、タイヤ情報要求のインターバルを通常周期に戻す。
【0070】
図10に示すフローは、IGがオンからオフに変化した場合に実行され、タイヤセンサ2毎に個別に実行される。
図10に示すように、IGがオンからオフに変化すると、ステップS300で、第2制御部34は、IGオンのときに警報発令中であったか否かを判定する。前述の通り、この警報は、タイヤ空気圧が所定の警報閾値Th以下に低下したことを検知した場合に発令されるものである。この警報は、警報閾値Th以下に低下する前であっても、スローパンクチャ―、すなわち、タイヤ内の空気の自然リークによる減圧よりも急な減圧傾向を検出した場合にも発令される。警報が発令されていない場合、第2制御部34は、否定判定して、ステップS305に進み、現在、コネクションの形成中であるか否かを判定する。コネクションが形成されている場合、第2制御部34は、肯定判定して、ステップS375に進む。コネクションが形成されていない場合、第2制御部34は、否定判定して、ステップS310に進む。
【0071】
ステップS310では、第2制御部34は、ドアロックまたはドアアンロックのワイヤレス操作があるか否かを判定する。この判定は、エントリーシステムが有するワイヤレス操作に関する情報に基づいて行われる。ワイヤレス操作がある場合、第2制御部34は、肯定判定して、ステップS315に進み、受信を開始する。
【0072】
続いて、ステップS320では、第2制御部34は、受信開始からの経過時間を計測するためのカウンタをスタートさせる。続いて、ステップS325では、第2制御部34は、タイヤセンサ2からの接続要求があるか否かを判定する。接続要求がある場合、第2制御部34は、ステップS370に進み、コネクションを形成する。一方、接続要求が無い場合、ステップS330に進み、第2制御部34は、ステップS320でスタートしたカウンタの計測時間が規定時間に到達したか否かを判定する。規定時間は、例えば、60秒に設定される。規定時間に到達していない場合、第2制御部34は、否定判定して、ステップS325に戻る。規定時間に到達した場合、第2制御部34は、肯定判定して、ステップS335に進み、受信を停止する。その後、ステップS300に戻る。
【0073】
ステップS300~ステップS335の説明の通り、IGがオンからオフに変化した場合であって、IGオン中に警報が発令されておらず、コネクションが形成されていない場合では、ワイヤレス操作があると、第2制御部34は受信を開始する。そして、受信開始から規定時間に達するまでの期間に、接続要求が無ければ、第2制御部34は受信を停止する。なお、ワイヤレス操作に限らず、ドア開閉が行われた場合に、第2制御部34が受信を開始するようになっていてもよい。
【0074】
ステップS300において、警報が発令されていた場合、第2制御部34は、肯定判定して、ステップS340に進み、警報発令履歴を解除する。続いて、ステップS345では、第2制御部34は、現在、コネクションの形成中であるか否かを判定する。コネクションが形成されている場合、第2制御部34は、ステップS375に進む。コネクションが形成されていない場合、第2制御部34は、ステップS350に進み、接続要求の有無の確認開始からの経過時間を計測するためのカウンタをスタートさせる。続いて、ステップS355では、第2制御部34は、タイヤセンサ2からの接続要求があるか否かを判定する。接続要求がある場合、第2制御部34は、ステップS370に進み、コネクションを形成する。一方、接続要求が無い場合、第2制御部34は、ステップS360に進み、ステップS350でスタートしたカウンタがカウントアップしたか否か、すなわち、計測時間が規定時間に到達したか否かを判定する。規定時間は、例えば、3分に設定される。規定時間に到達していない場合、第2制御部34は、否定判定して、ステップS355に戻る。規定時間に到達した場合、第2制御部34は、肯定判定して、ステップS365に進み、受信を停止する。その後、ステップS300に戻る。
【0075】
ステップS305、S345で、コネクションの形成中であると判定された場合、または、ステップS370で、コネクションが形成された後に、ステップS375が実行される。ステップS375では、第2制御部34は、タイヤ調圧による空気圧変化で接続されたか否かを判定する。すなわち、第2制御部34は、接続要求の理由がタイヤ調圧による空気圧変化であるか否かを判定する。
【0076】
接続要求の理由が空気圧変化ではない場合、第2制御部34は、否定判定して、ステップS380に進む。ステップS380では、第2制御部34は、通常周期(例えば、30秒周期)でのタイヤ情報要求を行う。続いて、ステップS385では、第2制御部34は、一定時間(例えば、3分)、空気圧変化が無いか否かを判定する。空気圧変化がある場合、第2制御部34は、否定判定してステップS380に戻る。空気圧変化が無い場合、第2制御部34は、肯定判定して、ステップS390に進み、コネクションを切断する。その後、すべてのタイヤセンサ2とのコネクションが切断されると、ステップS395で、受信を停止した後、ステップS300に戻る。
【0077】
ステップS375において、接続要求の理由が空気圧変化である場合、第2制御部34は、肯定判定して、ステップS400に進む。ステップS400では、第2制御部34は、短周期(例えば、500ミリ秒周期)でのタイヤ情報要求を行う。ステップS400が実行されるときに、第2制御部34は、調圧アシスト処理を実施する。続いて、ステップS405で、第2制御部34は、一定期間(例えば、10秒)、空気圧変化が無いか否かを判定する。空気圧変化が無い場合、第2制御部34は、肯定判定して、ステップS380に進む。空気圧変化がある場合、第2制御部34は、否定判定して、ステップS400に戻る。
【0078】
ステップS300、S340~S365の説明の通り、IGがオンからオフに変化した場合であって、IGオン中に警報が発令されていた場合、IGがオフになっても、第2制御部34は、一定時間(例えば、3分)、受信を止めず、受信を継続する。または、ステップS300、S340、S345、S375、S380、S385、S390等の説明通り、IGオン中に警報が発令されていた場合、IGがオフになっても、第2制御部34は、一定時間(例えば、3分)、コネクションの形成を維持する。このように、第2制御部34は、IGオン中に警報が発令されていた場合に、IGオフ後の通信動作維持を行う。なお、ステップS300において、警報発令中に限らず、空気圧の低下傾向や前回調圧を行ってからの経過日数から、第2制御部34がタイヤ調圧の実施をユーザに対して提案しているような場合に、第2制御部34は、IGオフ後の通信動作維持を行ってもよい。
【0079】
ステップS375、S400、S405、S380等の説明の通り、コネクションが形成された状態において、タイヤセンサ2が接続要求を送信した理由が、タイヤ調圧による空気圧変化の検出である場合、第2制御部34は、短周期で、各タイヤセンサ2に向けてタイヤ情報要求を送信する。これにより、空気圧変化要因で接続要求してきたタイヤセンサ2から、高頻度の間欠周期で、タイヤ情報を取得する。そして、第2制御部34は、高頻度でのタイヤ情報取得中で、一定時間、タイヤ調圧による空気圧変化が無い場合は、タイヤ情報要求のインターバルを通常周期に戻す。
【0080】
ステップS380、S385、S390の説明の通り、高頻度でタイヤ情報を要求していないときに、一定時間、空気圧の変化が無い場合、第2制御部34は、コネクションを切断する。これにより、車載機3の消費電力を抑制することができる。なお、IGオフ中に、スマートフォンを含む携帯端末と車載機3を接続して、ユーザが車外からタイヤ空気圧を確認できる構成の場合には、全ての車輪の空気圧変化がないことを確認してからコネクションを切断することが好ましい。こうすることで、例えばユーザが右前輪の調圧の後、左前輪も同じ値へと正確に合わせたい場合に、右前輪の最新の空気圧情報を手元で確認しながら作業を行うことができる。
【0081】
本実施形態によれば、
図11、
図12、
図13、
図14に示すように、車両の状態に応じて、タイヤセンサ2と車載機3とが作動する。
【0082】
図11は、車両が走行中から停車、駐車の状態へ順に変わるときの車載機3とタイヤセンサ2とのそれぞれの通信に関する動作を示したタイミングチャートである。前述の通り、第1制御部23は、ステップS100~S120を行う。これにより、
図11に示すように、左前輪FL、右前輪FR、左後輪RL、右後輪RRの中にそれぞれのタイヤセンサ2は、G検出中の期間において、単方向定期(例えば、60秒周期)で、タイヤ情報を車載機3に向けて送信する。
図11中のG検出中の期間は、車両が走行中であって加速度センサ22によって一定値以上の加速度Gが検出される期間である。単方向定期は、走行中インターバルでの単方向通信である。
【0083】
また、第1制御部23は、ステップS130、S135等を行う。第2制御部34は、ステップS215、S225、S230、S235を行う。これにより、走行中の車両の速度が低下して、加速度Gが一定値未満になると、各タイヤセンサ2は、5秒周期で、接続要求を送信する。
図11中のG未検出の期間は、加速度Gが検出されない期間である。車載機3が各タイヤセンサ2からの接続要求を受信することで、コネクションが形成される。コネクションの形成中では、定期イベントが行われる。定期イベントでは、車載機3が各タイヤセンサ2に向けてタイヤ情報要求を送信し、タイヤ情報要求を受信したタイヤセンサ2がタイヤ情報応答を行う(すなわち、タイヤ情報を送信する)。タイヤ情報要求は、30秒周期で送信される。
【0084】
図11に示すように、車載機3は、車輪毎に時間をずらしてコネクション形成のやり取りを行う。このため、各タイヤセンサ2のコネクションの開始のタイミングがずれている。これにより、混信を防止することができる。
【0085】
また、第2制御部34は、ステップS380、S385、S390、S395を実行する。これにより、
図11に示すように、定期イベント中に、停車から駐車の状態(すなわち、IGオンからIGオフ)になると、車載機3はコネクションを切断し、車載機3とタイヤセンサ2は、SLEEP状態となる。SLEEP状態は、受信を停止した状態であって、各種処理が行われる状態である。なお、第2制御部34がステップS240を実行することにより、車載機3は、コネクション中に一定値以上の車速を検出した場合もコネクションを切断する。
【0086】
図12は、車両の走行時に前述の警報の発令またはタイヤ調圧提案の実施が行われていた場合において、車両が走行中から停車、駐車の状態へ順に変わるときの車載機3とタイヤセンサ2とのそれぞれの通信に関する動作を示したタイミングチャートである。車両走行中と停車中の車載機3と各タイヤセンサ2とのそれぞれの動作は、
図11と同じである。
【0087】
前述の通り、第2制御部34は、ステップS300、S340、S345、S375、S380、S385、S390、S395等を実行する。これにより、
図12に示すように、IGオンからIGオフになっても、一定時間(すなわち、3分間)、コネクションが維持される。そして、3分間、空気圧に変化が無い場合、車載機3はコネクションを切断し、車載機3とタイヤセンサ2は、SLEEP状態となる。
【0088】
なお、IGオンからIGオフに変化する前に、ユーザがスマートフォンのアプリを起動した場合、スマートフォンからの接続要求によって、スマートフォンと車載機3とが接続される。この場合も、IGオフになっても、一定時間、コネクションが維持されることが好ましい。
【0089】
図13は、車両が走行中から停車の状態へ変わり、停車の状態(すなわち、IGオンの状態)で右前輪FRのタイヤ調圧が行われるときの車載機3とタイヤセンサ2とのそれぞれの通信に関する動作を示したタイミングチャートである。車両が走行中から停車して右前輪FRのタイヤ空気圧変化が生じるまでの期間における車載機3と各タイヤセンサ2とのそれぞれの動作は、
図11と同じである。
【0090】
前述の通り、第1制御部23は、ステップS155、S160、S165を実行する。これにより、
図13の右前輪FRのタイヤセンサ2において、加速度Gの未検出の期間でのコネクションの形成中に、タイヤ調圧による空気圧変化が検出されると、タイヤセンサ2からコネクションを切断する。そして、すぐに、右前輪FRのタイヤセンサ2は、接続要求を送信することで、コネクションが形成される。コネクションが形成されると、圧力変化要因でのコネクションの形成のため、車載機3は、高頻度でのタイヤ情報要求を行う(第2制御部34が実行するステップS230、S250参照)。これに対して、タイヤセンサ2は、タイヤ情報応答を行う(第1制御部23が実行するステップS145、S150参照)。高頻度でのタイヤ情報要求を行う期間(すなわち、
図13中のAssist期間)において、車載機3は、アシスト動作の要求を車両に対して行う。そして、一定時間(すなわち、10秒間)、空気圧変化なし(すなわち、圧力変化なし)の場合、車載機3は、タイヤ情報要求の頻度(インターバル)を定期イベントの頻度に戻す(第2制御部34が実行するステップS225、S235参照)。
【0091】
図14は、駐車(すなわち、IGオフ)の状態で右前輪FRのタイヤ調圧が行われるときの車載機3とタイヤセンサ2とのそれぞれの通信に関する動作を示したタイミングチャートである。IGオフの状態では、車載機3は受信を行わないスリープ(SLEEP)状態であり、タイヤセンサ2は送信を行わないスリープ(SLEEP)状態である。タイヤセンサ2は、スリープ中でも定期的に空気圧のセンシングを行う。
【0092】
前述の通り、第2制御部34は、ステップS310、S315を行う。これにより、
図14に示すように、IGオフ中にワイヤレス操作またはドア開閉がされた場合、車載機3は、スリープを解除して、一定時間(例えば、60秒間)、受信を行う。すなわち、車載機3は受信待機の状態となる。
【0093】
前述の通り、第1制御部23は、ステップS155、S160、S165等を行う。第2制御部34は、S325、S370、S375、S400等を行う。これにより、右前輪FRのタイヤ調圧の準備が行われ、タイヤ調圧が開始されることで、タイヤ空気圧が変化すると、右前輪FRのタイヤセンサ2は、タイヤ調圧による空気圧変化(すなわち、圧力変化)を検出し、
図14に示すように、接続要求を送信する。車載機3が接続要求を受信することで、コネクションが形成される。接続要求を送信した理由が圧力変化なので、車載機3は、高頻度でタイヤ情報を要求する。このため、タイヤセンサ2は、高頻度でのタイヤ情報応答を行う。高頻度でのタイヤ情報要求を行う期間(すなわち、
図14中のAssist期間)において、車載機3は、アシスト動作の要求を車両に対して行う。
【0094】
また、第2制御部34は、S405、S380、S385、S390を行う。これにより、高頻度でのタイヤ情報要求を行っている際に、一定時間(すなわち、10秒間)、圧力変化なしの場合、車載機3は、情報要求の頻度を定期イベントの頻度に戻す。さらに、定期イベント中で、一定時間(すなわち、3分間)、圧力変化なしの場合、車載機3は、コネクションを切断する。これにより、車載機3とタイヤセンサ2とのそれぞれは、スリープ状態になる。
【0095】
以上の説明の通り、本実施形態のTPMSによれば、タイヤセンサ2の第1制御部23は、加速度センサ22が検出した加速度が一定値よりも大きい場合、第1制御部23で定められたタイミングで、タイヤ情報が格納されたフレームを、第1通信回路24に送信させる。また、第1制御部23は、加速度センサ22が検出した加速度が一定値よりも小さい場合であって、センシング部21の検出信号に基づいて、タイヤ調圧によるタイヤ空気圧変化を検出した場合、接続要求を第1通信回路24に送信させる。そして、双方向通信の開始後に、第1制御部23は、車載機3からのタイヤ情報要求に応じて、タイヤ情報が格納されたフレームを、第1通信回路24に送信させる。
【0096】
一方、車載機3の第2制御部34は、IGがオフの場合であって、第2通信回路32が接続要求を受信した場合、第2制御部34で定められたタイミングで、タイヤ情報要求を、第2通信回路32に送信させる。さらに、第2制御部34は、接続要求が送信された理由がタイヤ調圧によるタイヤ空気圧変化の検出である場合、タイヤ調圧作業のアシストを行う。
【0097】
このように、本実施形態のTPMSによれば、IGオフの場合でも、タイヤ調圧作業のアシストを行うことができる。また、タイヤ空気圧を取得するタイミングを車載機3が決定することにより、各車輪のタイヤセンサ2からの信号が混信することを防止できるだけでなく、例えば、充填の目標とする圧力の上下限値と現在の圧力値の差が大きい場合は通信頻度を下げて電池消耗を抑えたり、閾値近くでは通信頻度を上げて正確な通知タイミングを得るなど、状況に応じた適切な制御が可能となる。
【0098】
また、本実施形態のTPMSによれば、以下の効果を得ることができる。
【0099】
(1)第1制御部23は、加速度センサ22が検出した加速度が一定値よりも大きい場合、第1制御部23で定められた走行中インターバルで、タイヤ情報が格納されたフレームを、第1通信回路24に送信させる。走行中インターバルは、第1制御部23で定められた第1間隔に対応する。また、第2制御部34は、IGオフの場合であって、第2通信回路32が接続要求を受信し、接続要求が送信された理由がタイヤ空気圧変化の検出である場合、第2制御部34で定められた短周期で、タイヤ情報要求を送信する。この短周期は、走行中インターバルよりも短い周期であり、第1間隔よりも短い第2間隔に対応する。
【0100】
これによれば、IGオフをトリガとするのではなく、タイヤ空気圧変化の検出をトリガとして、タイヤセンサ2からタイヤ情報を短周期で送信させる。このため、IGオフをトリガとして、タイヤセンサ2からタイヤ情報を短周期で送信させる場合と比較して、タイヤセンサ2の電池25の電力消費を抑制することができる。
【0101】
(2)IGオンの際に警報を第2制御部34が発令していた場合、または、タイヤ調圧の実施をユーザに対して第2制御部34が提案していた場合において、第2制御部34は、IGオンからIGオフに変化してから一定時間、タイヤセンサ2からの接続要求の受信が可能な状態を、第2通信回路32に維持させる、または、コネクション通信を第2通信回路32に行わせる。
【0102】
IGオンの際に警報が発令されている場合、または、タイヤ調圧の実施が提案されている場合、IGオフ後にタイヤ調圧が行なわれる可能性が高い。そこで、IGオフ後に通信動作を一定時間維持することで、IGオフ後にタイヤ調圧が行われる場合に、タイヤ調圧作業のアシストを行うことができる。
【0103】
(3)第2制御部34は、IGオンの場合であって、第2通信回路32が接続要求を受信した場合、第2制御部34で定められたタイミングで、タイヤ情報要求を、第2通信回路32に送信させる。さらに、第2制御部34は、接続要求が送信された理由がタイヤ空気圧変化の検出である場合、タイヤ調圧作業のアシストを行う。このように、IGオンの場合においても、IGオフと同様に、作動させることが好ましい。
【0104】
(4)加速度センサ22が検出した加速度が一定値よりも大きい場合、第1制御部23で定められた走行中インターバルで、タイヤ情報が格納されたフレームを、第1通信回路24に送信させる。走行中インターバルは、第1制御部23で定められた第1間隔に対応する。第2制御部34は、IGオンの場合であって、第2通信回路32が接続要求を受信し、接続要求が送信された理由がタイヤ空気圧変化の検出である場合、第2制御部34で定められた短周期で、タイヤ情報要求を送信する。この短周期は、走行中インターバルよりも短い周期であり、第1間隔よりも短い第2間隔に対応する。
【0105】
これによれば、IGオフをトリガとするのではなく、タイヤ空気圧変化の検出をトリガとして、タイヤセンサ2からタイヤ情報を短周期で送信させる。このため、IGオフをトリガとして、タイヤセンサ2からタイヤ情報を短周期で送信させる場合と比較して、タイヤセンサ2の電池25の電力消費を抑制することができる。
【0106】
(他の実施形態)
本開示は、上記した実施形態に準拠して記述されたが、当該実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0107】
第1実施形態では、タイヤセンサ2がスリープ状態のときに、タイヤ調圧による空気圧変化を検出した場合に、タイヤセンサ2が接続要求を送信する。これにより、タイヤセンサ2はスリープ状態を解消し、双方向通信によってタイヤ情報を送信する。このようにして、タイヤセンサ2がスリープ状態のときにタイヤ調圧が行われる場合に、タイヤ調圧前のタイヤ情報を車載機3は取得することができる。
【0108】
しかしながら、タイヤセンサ2がスリープ状態を解消する条件は、これに限られない。車体7に設けられる振動センサがタイヤ調圧作業に関する振動を検出した場合に、タイヤセンサ2のスリープ状態を解消するようにしてもよい。タイヤ調圧作業に関する振動としては、バルブチャック装着時の振動、タイヤローテーションを含むタイヤ調圧が発生しそうな作業(例えば、タイヤを外して降ろす作業、タイヤをたたく、タイヤを蹴る)による振動が挙げられる。
【0109】
また、第1実施形態では、報知装置5としてハザードランプやホーンが用いられていたが、他のものが用いられてもよい。例えば、タイヤセンサ2が取り付けられたバルブが、光ったり、振動したりすることで、報知装置5として機能してもよい。
【0110】
また、第1実施形態では、第2制御部34が実施する調圧アシスト処理は、空気圧の目標値に対する現在の空気圧の状態をユーザに通知することであるが、調圧アシスト処理として、これ以外のことが行われてもよい。
【0111】
タイヤ空気圧の目標圧は、通常、車の規定圧であるが、ユーザによっては任意に設定される場合がある。そこで、目標圧のカスタマイズが可能であり、ユーザが設定した目標圧を第2制御部34が学習するようにしてもよい。また、ナビ装置と連携し、ナビ装置で設定された走行経路に応じて、第2制御部34が目標圧を変更してもよい。例えば、設定された走行経路に高速道路が含まれる場合、第2制御部34は目標圧を上げてもよい。
【0112】
第2制御部34は、アラウンドビュー装置と連携することで、ユーザの位置や、車載機3とスマートフォンとが接続されている場合のスマホの位置を特定する。そして、第2制御部34は、調圧されるタイヤの車輪毎にて、アシストの仕方を変えてもよい。また、第2制御部34は、スマートフォンやスマートウォッチと連携し、空気圧の目標値に対する現在の空気圧の状態を、スマートフォンやスマートウォッチの振動によってユーザに通知してもよい。スマートウォッチは、タッチスクリーンとCPUを搭載した無線通信が可能な腕時計型のウェアラブル端末であるが、スマートフォン、スマートウォッチ以外の無線通信が可能な他の端末が用いられてもよい。また、車載機3と、タイヤに空気を充填するエアーコンプレッサとが、無線通信を行い、このエアーコンプレッサによるタイヤ調圧で、現在のタイヤ空気圧が目標圧に到達したときに、第2制御部34がエアーコンプレッサを停止させてもよい。
【0113】
また、第2制御部34は、アシスト処理を実施する際に、ドアロックや、車両の走り出しを禁止するように、指示信号を出力してもよい。調圧作業中にドアロックすることで、荷物や車両の盗難を防止することができる。調圧作業中の走りだしを禁止することで、運転者ではない第三者が調圧しているときの車両の走りだしを防止することができる。また、DCM通信等によって車載機3とサーバ、クラウド等とを接続させ、調圧作業が行われたこと等をサーバ、クラウド等に知らせるようにしてもよい。
【0114】
また、第1実施形態では、車両1を発進させる際に操作される起動スイッチとしてIGスイッチを例に挙げて説明したが、これは内燃機関車両に対して本発明が適用された場合を例に挙げて説明したのであり、起動スイッチが必ずしもIGスイッチであるとは限らない。例えば、電気自動車やハイブリッド車両などであれば、起動スイッチがプッシュスイッチなどで構成されている場合も有り、そのような場合に対しても本発明を適用可能である。
【0115】
また、第1実施形態では、タイヤセンサ2として、エア注入バルブに取り付けられるものを例に挙げて説明したが、他の場所に備えられるものであっても良い。一例を示すと、バルブキャップの代わりに装着する形態や、タイヤ内側のトレッド上に装着する形態であってもよい。
【0116】
また、第1実施形態では、タイヤセンサ2を車輪6a~6dのすべてに備えている例を示したが、タイヤセンサ2が少なくとも1つに備えられたTPMSに本発明を適用することができる。
【0117】
また、第1実施形態では、TPMSのうち車体7側に備えられた部分を車載機3として総括的に記載しているが、車載機3は必ずしも1つの構成でなくても良い。例えば、送受信機能を果たす第2通信アンテナ31や第2通信回路32とタイヤ空気圧検出機能を果たす第2制御部34とが別々の場所に備えられていても良い。
【0118】
なお、本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウエア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウエア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【符号の説明】
【0119】
2 タイヤセンサ
21 センシング部
22 加速度センサ
23 第1制御部
24 第1通信回路
3 車載機
32 第2通信回路
34 第2制御部
9 イグニッションスイッチ