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<図1>
  • 特許-複合ケーブル 図1
  • 特許-複合ケーブル 図2
  • 特許-複合ケーブル 図3
  • 特許-複合ケーブル 図4
  • 特許-複合ケーブル 図5
  • 特許-複合ケーブル 図6
  • 特許-複合ケーブル 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】複合ケーブル
(51)【国際特許分類】
   H01B 11/22 20060101AFI20240123BHJP
   H01B 7/38 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
H01B11/22
H01B7/38 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020152828
(22)【出願日】2020-09-11
(65)【公開番号】P2022047095
(43)【公開日】2022-03-24
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】橋本 浩司
(72)【発明者】
【氏名】上原 真一
(72)【発明者】
【氏名】大見 博志
【審査官】岩井 一央
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-017515(JP,U)
【文献】実開昭59-110915(JP,U)
【文献】実開昭60-069424(JP,U)
【文献】特開2003-035850(JP,A)
【文献】特開2003-346573(JP,A)
【文献】特開平01-319006(JP,A)
【文献】特開2005-173090(JP,A)
【文献】特開2013-041784(JP,A)
【文献】国際公開第2017/222074(WO,A1)
【文献】特開2001-283648(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01B 11/22
H01B 7/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合ケーブルであって、
第1シースと、
前記第1シースの内部において前記複合ケーブルの延在方向である第1方向に沿って延在している複数の給電線、接地線及び光ケーブルとを備え、
前記第1シースの内部において、前記複数の給電線、前記接地線及び前記光ケーブルは、前記第1方向と交差している第2方向に沿って並んでおり、
前記接地線は、前記複数の給電線と前記光ケーブルとの間に配置されており、
前記光ケーブルは、第2シースと、前記第2シースの内部に配置され、前記第1方向に沿って延在している光ファイバ、第1テンションメンバ及び第2テンションメンバとを有し、
前記光ファイバは、前記第2方向において、前記第1テンションメンバと前記第2テンションメンバとの間に配置されており、
前記第1方向と交差している第4方向に沿って、前記光ファイバ、前記第1テンションメンバ及び前記第2テンションメンバが並んでおり、
前記第4方向は、前記第2方向に対して傾斜している、複合ケーブル。
【請求項2】
前記第1シースは、第1部分と、第2部分と、前記第1部分及び前記第2部分を接続しているブリッジ部とを有し、
前記第1部分の内部には、前記複数の給電線及び前記接地線が配置され、
前記第2部分の内部には、前記光ケーブルが配置され、
前記第1方向及び前記第2方向と交差している第3方向において、前記ブリッジ部の幅は、前記第1部分の幅よりも小さい、請求項1に記載の複合ケーブル。
【請求項3】
前記第2部分の外周面には、前記第1方向に沿って延在しているノッチが形成されている、請求項2に記載の複合ケーブル。
【請求項4】
前記光ケーブルと前記第1シースとの間に配置されている離型層をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の複合ケーブル。
【請求項5】
前記第2シースは、前記第1シースとは異なる材料で形成されている、請求項に記載の複合ケーブル。
【請求項6】
前記第1テンションメンバ及び前記第2テンションメンバは、繊維強化プラスチックで形成されている、請求項又は請求項に記載の複合ケーブル。
【請求項7】
前記第1シースは、発泡樹脂で形成されている、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の複合ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、複合ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2001-266663号公報(特許文献1)には、給電線複合型単芯ドロップ光ファイバケーブルが記載されている。特許文献1に記載の給電線複合型単芯ドロップ光ファイバケーブルは、給電線と、光ファイバとを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-266663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の給電線複合型単芯ドロップ光ファイバケーブルには、改良の余地がある。
【0005】
本開示は、改良された複合ケーブルを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の複合ケーブルは、第1シースと、第1シースの内部において複合ケーブルの延在方向である第1方向に沿って延在している複数の給電線、接地線及び光ケーブルとを備える。複数の給電線、接地線及び光ケーブルは、第1方向と交差している第2方向に沿って並んでいる。接地線は、複数の給電線と光ケーブルとの間に配置されている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の複合ケーブルによると、光ケーブルの光伝送特性の劣化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、複合ケーブル100の平面図である。
図2図2は、複合ケーブル100の正面図である。
図3図3は、変形例に係る複合ケーブル100の正面図である。
図4図4は、複合ケーブル200の正面図である。
図5図5は、複合ケーブル300の正面図である。
図6図6は、複合ケーブル400の正面図である。
図7図7は、複合ケーブル500の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の実施形態の説明]
まず、本開示の実施形態を列記して説明する。
【0010】
(1)第1実施形態に係る複合ケーブルは、第1シースと、第1シースの内部において複合ケーブルの延在方向である第1方向に沿って延在している複数の給電線、接地線及び光ケーブルとを備える。複数の給電線、接地線及び光ケーブルは、第1方向と交差している第2方向に沿って並んでいる。接地線は、複数の給電線と光ケーブルとの間に配置されている。
【0011】
上記(1)の複合ケーブルでは、接地線が複数の給電線と光ケーブルとの間にあるため、複数の給電線からの熱が光ケーブルに伝わりにくい。そのため、上記(1)の複合ケーブルによると、光ケーブルの光伝送特性の劣化を抑制することができる。
【0012】
(2)上記(1)の複合ケーブルでは、第1シースが、第1部分と、第2部分と、第1部分及び第2部分を接続しているブリッジ部とを有していてもよい。第1部分の内部には、複数の給電線及び接地線が配置されていてもよい。第2部分の内部には、光ケーブルが配置されていてもよい。第1方向及び第2方向と交差している第3方向において、ブリッジ部の幅は、第1部分の幅よりも小さくてもよい。
【0013】
この場合、複数の給電線からの熱が光ケーブルにさらに伝わりにくい。したがって、上記(2)の複合ケーブルによると、光ケーブルの光伝送特性の劣化をさらに抑制することができる。
【0014】
また、上記(2)の複合ケーブルでは、ブリッジ部の幅が狭くなっていることにより、光ケーブルを含む部分を給電線を含む部分から容易に分離することができるため、配線現場での作業性が向上する。
【0015】
(3)上記(2)の複合ケーブルでは、第2部分の外周面に、第1方向に沿って延在しているノッチが形成されていてもよい。
【0016】
上記(3)の複合ケーブルによると、ノッチに沿って第1シースを引き裂きやすいため、第1シースからの光ケーブルの取り出しが容易になる。
【0017】
(4)上記(1)から(3)の複合ケーブルは、光ケーブルと第1シースとの間に配置されている離型層をさらに備えていてもよい。
【0018】
上記(4)の複合ケーブルによると、第1シースを光ケーブルから引き剥がしやすいため、第1シースからの光ケーブルの取り出しが容易になる。
【0019】
(5)上記(1)から(4)の複合ケーブルでは、光ケーブルが、第2シースと、第2シースの内部において第1方向に沿って延在している光ファイバ、第1テンションメンバ及び第2テンションメンバとを有していてもよい。光ファイバは、第2方向において、第1テンションメンバと第2テンションメンバとの間に配置されていてもよい。
【0020】
(6)上記(5)の複合ケーブルでは、第2シースが、第1シースとは異なる材料で形成されていてもよい。
【0021】
上記(6)の複合ケーブルでは、第1シースと第2シースとの密着性が低くなるため、第1シースを光ケーブルから引き剥がしやすくなり、第1シースからの光ケーブルの取り出しが容易になる。
【0022】
(7)上記(5)又は(6)の複合ケーブルでは、第1テンションメンバ及び第2テンションメンバが、繊維強化プラスチックで形成されていてもよい。
【0023】
第1テンションメンバ及び第2テンションメンバが金属材料等の導電性の材料で形成されている場合、第1テンションメンバ及び第2テンションメンバに流れる誘導電流の影響により、光ケーブルの光伝送特性が劣化するおそれがある。そのため、ケーブル施工時に第1テンションメンバ及び第2テンションメンバを接地させる必要がある。上記(7)の複合ケーブルでは、第1テンションメンバ及び第2テンションメンバが繊維強化プラスチックで形成されているため、第1テンションメンバ及び第2テンションメンバに誘導電流が流れにくい。そのため、上記(7)の複合ケーブルによると、光ケーブルの光伝送特性の劣化をさらに抑制することができる。また、上記(7)の複合ケーブルでは、第1テンションメンバ及び第2テンションメンバを接地する必要がなく、施工性が良い。
【0024】
また、上記(7)の複合ケーブルでは、第1テンションメンバ及び第2テンションメンバが繊維強化プラスチックで形成されているため、光ケーブルが曲がりやすくなる。そのため、上記(7)の複合ケーブルによると、配線現場での作業性を改善することができる。
【0025】
(8)上記(7)の複合ケーブルでは、第1方向に交差している第4方向に沿って、光ファイバ、第1テンションメンバ及び第2テンションメンバが並んでいてもよい。第4方向は、第2方向に対して、傾斜していてもよい。
【0026】
複合ケーブルは、通常、配線作業時に第3方向に沿って曲げられることが想定されている。第2方向と第4方向とが平行である場合、複合ケーブルは、第2方向に沿って曲がりにくく、第3方向に沿って曲がりやすい。しかしながら、配線現場の状況によっては、複合ケーブルを第2方向に沿って曲げざるを得ない場合がある。このような場合に第2方向と第4方向とが平行であると、光ケーブルを曲がりにくい方向に沿って曲げることになるため、光ケーブルの光伝送特性が劣化することがある。上記(8)の複合ケーブルでは、第4方向が第2方向に対して傾斜しているため、第2方向にも曲がりやすい。そのため、上記(8)の複合ケーブルによると、複合ケーブルを第2方向に沿って曲げざるを得ないような状況において光ケーブルの光伝送特性が劣化することを抑制できる。
【0027】
(9)上記(1)から(8)の複合ケーブルでは、第1シースが、発泡樹脂で形成されていてもよい。
【0028】
上記(9)の複合ケーブルでは、第1シースの内部に気泡が含まれていることになり、第1シースの熱伝導率が低下する。複数の給電線からの熱が光ケーブルにさらに伝わりにくくなり、光ケーブルの光伝送特性の劣化をさらに抑制することができる。
【0029】
(10)本開示の第2実施形態に係る複合ケーブルは、第1シースと、複合ケーブルの延在方向である第1方向に沿って延在している複数の給電線及び光ケーブルとを備える。複数の給電線及び光ケーブルは、第1方向と交差している第2方向に沿って並んでいる。光ケーブルは、第2シースと、第1方向に沿って延在している光ファイバ、第1テンションメンバ及び第2テンションメンバとを有している。光ファイバは、第2方向において、第1テンションメンバと第2テンションメンバとの間に配置されている。光ファイバ、第1テンションメンバ及び第2テンションメンバは、第1方向と交差している第4方向に沿って並んでいる。第4方向は、第2方向に対して、傾斜している。
【0030】
第2方向と第4方向とが平行である場合、複合ケーブルは、第2方向に沿って曲がりにくく、第3方向に沿って曲がりやすい。しかしながら、配線現場の状況によっては、複合ケーブルを第2方向に沿って曲げざるを得ない場合がある。このような場合に第2方向と第4方向とが平行であると、光ケーブルを曲がりにくい方向に沿って曲げることになるため、光ケーブルの光伝送特性が劣化することがある。上記(10)の複合ケーブルでは、第4方向が第2方向に対して傾斜しているので、第2方向に曲がりやすい。そのため、上記(10)の複合ケーブルによると、複合ケーブルを第2方向に沿って曲げざるを得ないような状況において光ケーブルの光伝送特性が劣化することを抑制できる。
【0031】
(11)本開示の第3実施形態に係る複合ケーブルは、第1シースと、複合ケーブルの延在方向である第1方向に沿って延在している複数の給電線及び光ケーブルとを備える。複数の給電線及び光ケーブルは、第1方向と交差している第2方向に沿って並んでいる。光ケーブルは、第2シースと、第2シースの内部に配置され、第1方向に沿って延在している光ファイバ、第1テンションメンバ及び第2テンションメンバとを有している。光ファイバは、第2方向において、第1テンションメンバと第2テンションメンバとの間に配置されている。第1テンションメンバ及び第2テンションメンバは、繊維強化プラスチックで形成されている。
【0032】
上記(11)の複合ケーブルでは、第1テンションメンバ及び第2テンションメンバが繊維強化プラスチックで形成されているため、第1テンションメンバ及び第2テンションメンバに誘導電流が流れにくい。そのため、上記(11)の複合ケーブルによると、光ケーブルの光伝送特性の劣化を抑制することができる。また、上記(11)の複合ケーブルでは、第1テンションメンバ及び第2テンションメンバを接地する必要がなく、施工性が良い。
【0033】
また、上記(11)の複合ケーブルでは、第1テンションメンバ及び第2テンションメンバが繊維強化プラスチックで形成されているため、光ケーブルが曲がりやすくなる。そのため、上記(11)の複合ケーブルによると、配線現場での作業性を改善することができる。
【0034】
[本開示の実施形態の詳細]
次に、本開示の実施形態の詳細を、図面を参照しながら説明する。以下の図面においては、同一又は相当する部分に同一の参照符号を付し、重複する説明は省略する。
【0035】
(第1実施形態)
図1は、複合ケーブル100の平面図である。図1に示されるように、複合ケーブル100は、第1方向DR1に沿って延在している。図2は、複合ケーブル100の正面図である。図2に示されるように、複合ケーブル100は、給電線10及び給電線20と、接地線30と、光ケーブル40と、シース50とを有している。
【0036】
給電線10の延在方向は、第1方向DR1に沿っている。給電線10は、導体11と、絶縁層12とを有している。導体11は、導電性の材料で形成された単線又は撚線である。この導電性の材料は、例えば、軟銅である。この単線又は撚線は、第1方向DR1に沿って延在している。絶縁層12は、導体11の周囲を覆っている。絶縁層12は、絶縁性の材料で形成されている。この絶縁性の材料は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等である。
【0037】
給電線20の延在方向は、第1方向DR1に沿っている。給電線20は、導体21と、絶縁層22とを有している。導体21は、導電性の材料で形成された単線又は撚線である。この導電性の材料は、例えば、軟銅である。この単線又は撚線は、第1方向DR1に沿って延在している。絶縁層22は、導体21の周囲を覆っている。絶縁層22は、絶縁性の材料で形成されている。この絶縁性の材料は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等である。
【0038】
接地線30の延在方向は、第1方向DR1に沿っている。接地線30は、導体31と、絶縁層32とを有している。導体31は、導電性の材料で形成された単線又は撚線である。この導電性の材料は、例えば、軟銅である。この単線又は撚線は、第1方向DR1に沿って延在している。絶縁層32は、導体31の周囲を覆っている。絶縁層32は、絶縁性の材料で形成されている。この絶縁性の材料は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン等である。
【0039】
光ケーブル40の延在方向は、第1方向DR1に沿っている。給電線10、給電線20、接地線30及び光ケーブル40は、第2方向DR2に沿って並んでいる。第2方向DR2は、第1方向DR1に交差している(好ましくは、直交している)方向である。給電線10、給電線20、接地線30及び光ケーブル40の中心位置は、同一直線上になくてもよい。接地線30は、第2方向DR2において、給電線10及び給電線20と光ケーブル40との間に配置されている。
【0040】
光ケーブル40は、光ファイバ41と、テンションメンバ42及びテンションメンバ43と、シース44とを有している。このことを別の観点から言えば、光ケーブル40は、インドアケーブルである。光ファイバ41、テンションメンバ42及びテンションメンバ43は、第1方向DR1に沿って延在している。光ファイバ41、テンションメンバ42及びテンションメンバ43は、シース44の内部に配置されている。
【0041】
シース44の外周面には、ノッチ44a及びノッチ44bが形成されている。ノッチ44a及びノッチ44bは、互いに対向している。図2の例では、ノッチ44a及びノッチ44bが、第3方向DR3において、互いに対向している。第3方向DR3は、第1方向DR1及び第2方向DR2に交差している(好ましくは、直交している)方向である。ノッチ44a及びノッチ44bは、第1方向DR1に沿って延在している。
【0042】
シース44は、第1部分44cと、第2部分44dとを有している。ノッチ44a及びノッチ44bは、第1部分44cと第2部分44dとの間にある。図2の例では、第1部分44c及び第2部分44dが、第2方向DR2に沿って並んでいる。
【0043】
光ファイバ41は、ノッチ44aとノッチ44bとの間に配置されている。テンションメンバ42は、第1部分44cの内部に配置されている。テンションメンバ43は、第2部分44dの内部に配置されている。その結果、光ファイバ41、テンションメンバ42及びテンションメンバ43は、光ファイバ41がテンションメンバ42とテンションメンバ43との間に位置するように、第2方向DR2に沿って並んでいる。
【0044】
テンションメンバ42及びテンションメンバ43は、例えば、繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastic)で形成されている。この繊維強化プラスチック中の強化繊維は、例えば、絶縁性の材料で形成されている繊維である。この絶縁性の材料で形成されている繊維は、ガラス繊維である。すなわち、テンションメンバ42及びテンションメンバ43は、例えば、絶縁性である。シース44は、絶縁性の材料で形成されている。この絶縁性の材料は、例えば、ポリエチレン、ポリオレフィンで形成されている。
【0045】
シース50の内部には、給電線10、給電線20、接地線30及び光ケーブル40が配置されている。シース50は、第1部分51と、第2部分52と、ブリッジ部53とを有している。第1部分51の内部には、給電線10、給電線20及び接地線30が配置されている。第2部分52の内部には、光ケーブル40が配置されている。
【0046】
第1部分51は、幅W1を有している、幅W1は、第3方向DR3における第1部分51の幅である。第2部分52は、幅W2を有している。幅W2は、第3方向DR3における第2部分52の幅である。ブリッジ部53は、幅W3を有している。幅W3は、第3方向DR3におけるブリッジ部53の幅である。幅W2は、幅W1よりも小さいことが好ましい。幅W3は、幅W1及び幅W2よりも小さいことが好ましい。幅W2は、幅W1よりも小さいことが好ましい。
【0047】
第2部分52の外周面には、ノッチ52a及びノッチ52bが形成されていてもよい。ノッチ52a及びノッチ52bは、第1方向DR1に沿って延在している。ノッチ52aは、光ケーブル40を挟んでノッチ52bの反対側にある。図2の例では、ノッチ52aは、第3方向DR3において光ケーブル40を挟んで反対側にある。
【0048】
シース50は、絶縁性の材料で形成されている。この絶縁性の材料は、例えばポリ塩化ビニル、ポリエチレンである。シース50は、好ましくは、シース44と異なる材料で形成されている。シース50は、発泡樹脂(内部に気泡を含む樹脂材料)で形成されていてもよい。
【0049】
複合ケーブル100においては、給電線10及び給電線20に電流が流れることにより、給電線10及び給電線20が発熱する。給電線10及び給電線20からの熱は、光ケーブル40の光伝送特性を劣化させるおそれがある。
【0050】
複合ケーブル100では、給電線10及び給電線20と光ケーブル40との間に、接地線30が配置されている。そのため、給電線10及び給電線20からの熱は、接地線30により部分的に遮られ、光ケーブル40に伝わりにくくなる。このように、複合ケーブル100によると、光ケーブル40の光伝送特性の劣化が抑制されている。
【0051】
給電線10及び給電線20からの熱は、シース50を通って光ケーブル40に伝わる。複合ケーブル100では、幅W3が、幅W1(及び幅W2)よりも狭くなっている。すなわち、シース50は、ブリッジ部53において、伝熱面積が小さくなっている。そのため、複合ケーブル100によると、給電線10及び給電線20からの熱が光ケーブル40にさらに伝わりにくく、光ケーブル40の光伝送特性の劣化をさらに抑制することができる。
【0052】
また、給電線10及び給電線20は、光ケーブル40とは異なる場所に接続されうる。したがって、給電線10及び給電線20は光ケーブル40とは異なる場所に配線されうる。複合ケーブル100では、幅W3が幅W1(及び幅W2)よりも狭くなっているため、複合ケーブル100をブリッジ部53に沿って分離しやすい。このように、複合ケーブル100によると、光ケーブル40を含む部分を給電線10及び給電線20を含む部分から容易に分離することができるため、配線現場での作業性が改善される。
【0053】
複合ケーブル100では、幅W3が幅W1(及び幅W2)よりも狭くなっているため、複合ケーブル100に曲げ外力が加わった際に、ブリッジ部53が変形することにより、光ケーブル40に加わる曲げ歪みが緩和される。そのため、複合ケーブル100によると、光ケーブル40の光伝送特性の劣化がさらに抑制される。
【0054】
複合ケーブル100では、第2部分52の外周面に第1方向DR1に沿って延在しているノッチ52a及びノッチ52bが形成されているため、光ケーブル40を取り出す際に、シース50(第2部分52)をノッチ52a及びノッチ52bに沿って引き裂きやすい。そのため、複合ケーブル100によると、光ケーブル40をシース50から容易に取り出すことができる。
【0055】
複合ケーブル100では、シース44及びシース50が互いに異なる材料で形成されているため、シース44とシース50との間の密着性が相対的に低い。そのため、複合ケーブル100によると、光ケーブル40をシース50から取り出す際に、シース50を光ケーブル40から容易に剥離することができる。
【0056】
テンションメンバ42及びテンションメンバ43が金属材料等の導電性の材料で形成されている場合には、給電線10及び給電線20を流れる電流の影響により、テンションメンバ42及びテンションメンバ43に誘導電流が流れることがある。この誘導電流の影響により、光ケーブル40の光伝送特性が劣化するおそれがある。
【0057】
複合ケーブル100では、テンションメンバ42及びテンションメンバ43が繊維強化プラスチックで形成されているため、テンションメンバ42及びテンションメンバ43に誘導電流が流れにくい。そのため、複合ケーブル100によると、光ケーブル40の光伝送特性の劣化をさらに抑制することができる。
【0058】
また、複合ケーブル100では、テンションメンバ42及びテンションメンバ43が繊維強化プラスチックで形成されているため、テンションメンバ42及びテンションメンバ43が金属材料等で形成されている場合と比較して、光ケーブル40が曲がりやすくなる。そのため、複合ケーブル100によると、配線現場での作業性を改善することができる。
【0059】
シース50が発泡樹脂で形成されている場合、シース50の内部に気泡が含まれていることになるため、シース50の熱伝導率が低下する。そのため、この場合には、給電線10及び給電線20からの熱が光ケーブル40にさらに伝わりにくくなり、光ケーブル40の光伝送特性の劣化をさらに抑制することができる。また、この場合には、ブリッジ部53の強度が低下するため、ブリッジ部53において複合ケーブル100をさらに分離しやすくなり、配線現場での作業性がさらに改善される。
【0060】
<変形例>
図3は、変形例に係る複合ケーブル100の正面図である。図3に示されるように、複合ケーブル100では、光ケーブル40として、インドアケーブルに代えて、光コードが用いられてもよい。光ケーブル40は、光ファイバ41と、光ファイバ41の周囲を覆っているシース45とにより構成されていてもよい。シース45は、例えば、一定の厚みで光ファイバ41の外周面を被覆している。シース45は、絶縁性の材料で形成されている。この絶縁性の材料は、例えば、ポリエチレン、ポリオレフィンで形成されている。
【0061】
(第2実施形態)
図4は、複合ケーブル200の正面図である。図4に示されるように、複合ケーブル200は、給電線10及び給電線20と、接地線30と、光ケーブル40と、シース50とを有している。
【0062】
複合ケーブル200は、離型層60をさらに有している。離型層60は、シース44とシース50との間に配置(介在)されている。シース50及び離型層60は、互いに異なる絶縁性の材料で形成されている。なお、複合ケーブル200では、シース44及びシース50は、同一の材料で形成されていてもよい。
【0063】
複合ケーブル200では、離型層60がシース44とシース50との間に配置されているため、光ケーブル40をシース50から取り出す際に、シース50を光ケーブル40から容易に剥離することができる。
【0064】
(第3実施形態)
図5は、複合ケーブル300の正面図である。図5に示されるように、複合ケーブル300は、給電線10及び給電線20と、接地線30と、光ケーブル40と、シース50とを有している。
【0065】
複合ケーブル300では、光ファイバ41、テンションメンバ42及びテンションメンバ43が、第4方向DR4に沿って並んでいる。第4方向DR4は、第2方向DR2に対して傾斜している。なお、光ファイバ41が第2方向DR2においてテンションメンバ42とテンションメンバ43との間に配置されているため、第4方向DR4は、第2方向DR2と直交していない(第4方向DR4は、第3方向DR3と平行になっていない)。
【0066】
第2方向DR2と第4方向DR4とが平行である場合には、複合ケーブル300は、第2方向DR2に沿って曲がりにくく、第3方向DR3に沿って曲がりやすい。
【0067】
配線現場の状況によっては、複合ケーブル300を第2方向DR2に沿って曲げざるを得ない場合がある。このような場合に第2方向DR2と第4方向DR4とが平行であると、光ケーブル40を曲がりにくい方向に沿って曲げることになるため、光ケーブル40の光伝送特性が劣化することがある。
【0068】
しかしながら、複合ケーブル300では、第4方向DR4が第2方向DR2に対して傾斜しているため、第2方向DR2において曲がりやすい。そのため、複合ケーブル300によると、複合ケーブル300を第2方向DR2に沿って曲げざるを得ないような状況において光ケーブル40の光伝送特性が劣化することを抑制できる。
【0069】
(第4実施形態)
図6は、複合ケーブル400の正面図である。図6に示されるように、複合ケーブル400は、給電線10及び給電線20と、光ケーブル40と、シース50とを有している。なお、複合ケーブル400では、テンションメンバ42及びテンションメンバ43が、複合ケーブル100は、繊維強化プラスチックで形成されている。複合ケーブル400は、接地線30を有していない。但し、複合ケーブル400は、接地線30を有していてもよい。
【0070】
複合ケーブル400では、テンションメンバ42及びテンションメンバ43が繊維強化プラスチックで形成されているため、テンションメンバ42及びテンションメンバ43に誘導電流が流れにくい。そのため、複合ケーブル400によると、光ケーブル40の光伝送特性の劣化をさらに抑制することができる。
【0071】
(第5実施形態)
図7は、複合ケーブル500の正面図である。図7に示されるように、複合ケーブル500は、給電線10及び給電線20と、光ケーブル40と、シース50とを有している。テンションメンバ42及びテンションメンバ43は、繊維強化プラスチックで形成されていてもよい。複合ケーブル500は、接地線30を有していない。但し、複合ケーブル500は、接地線30を有していてもよい。また、複合ケーブル500では、第4方向DR4が、第2方向DR2に対して傾斜している。
【0072】
複合ケーブル500では、第4方向DR4が第2方向DR2に対して傾斜しているため、第2方向DR2において曲がりやすい。そのため、複合ケーブル500によると、複合ケーブル300を第2方向DR2に沿って曲げざるを得ないような状況において光ケーブル40の光伝送特性が劣化することを抑制できる。
【0073】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記の実施形態ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
10 給電線
11 導体
12 絶縁層
20 給電線
21 導体
22 絶縁層
30 接地線
31 導体
32 絶縁層
40 光ケーブル
41 光ファイバ
42,43 テンションメンバ
44 シース
44a,44b ノッチ
44c 第1部分
44d 第2部分
45 シース
50 シース
51 第1部分
52 第2部分
52a,52b ノッチ
53 ブリッジ部
60 離型層
100,200,300,400,500 複合ケーブル
DR1 第1方向
DR2 第2方向
DR3 第3方向
DR4 第4方向
W1,W2,W3 幅
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7