(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】流体圧力制御装置
(51)【国際特許分類】
F16K 31/42 20060101AFI20240123BHJP
G05D 16/20 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
F16K31/42 B
G05D16/20 Z
(21)【出願番号】P 2021006335
(22)【出願日】2021-01-19
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077665
【氏名又は名称】千葉 剛宏
(74)【代理人】
【識別番号】100116676
【氏名又は名称】宮寺 利幸
(74)【代理人】
【識別番号】100191134
【氏名又は名称】千馬 隆之
(74)【代理人】
【識別番号】100136548
【氏名又は名称】仲宗根 康晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136641
【氏名又は名称】坂井 志郎
(74)【代理人】
【識別番号】100180448
【氏名又は名称】関口 亨祐
(72)【発明者】
【氏名】山城 達將
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-113018(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0257329(US,A1)
【文献】特開2002-243059(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02237128(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0023662(US,A1)
【文献】登録実用新案第3220350(JP,U)
【文献】特開昭53-101726(JP,A)
【文献】実開昭56-118410(JP,U)
【文献】実開平02-055311(JP,U)
【文献】特開平06-161563(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02865899(EP,A1)
【文献】登録実用新案第3221171(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 7/17
F16K 17/22
F16K 31/42
G05D 16/00 - 16/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体供給源と流体アクチュエータとの間に設けられ、前記流体アクチュエータに供給する流体圧力を稼働圧力に設定するノーマルモードから同流体圧力を前記稼働圧力よりも低いスタンバイ圧力に設定するスタンバイモードに移行することが可能な流体圧力制御装置であって、
前記流体供給源に接続される入口ポートと、前記流体アクチュエータに接続される出口ポートと、前記入口ポートと前記出口ポートを連絡する流路の面積を調整可能な供給弁と、前記供給弁の弁体を変位させるためのダイヤフラムとを備え、前記ダイヤフラムの一方側にはパイロット室が形成され、前記ダイヤフラムの他方側には前記出口ポートと連通するフィードバック室が形成され、前記入口ポートと前記パイロット室を接続する流路にパイロット圧供給用電磁弁が設けられ、前記パイロット室の圧力流体を外部に排出する流路にパイロット圧排出用電磁弁が設けられ、前記パイロット圧供給用電磁弁および前記パイロット圧排出用電磁弁を制御する制御部が設けられ、前記供給弁を通過した圧力流体が外部に排出される流路を有
さず、
前記流体アクチュエータに向かって流れる流量が所定時間継続して所定値を下回ると、前記ノーマルモードから前記スタンバイモードに移行するか、または、前記流体アクチュエータに向かって流れる流量が所定時間継続して所定値を下回った後、外部から入力されるモード切替信号が変化することにより、前記ノーマルモードから前記スタンバイモードに移行し、
前記出口ポートの圧力を検出する第1圧力センサを備え、前記制御部は、前記第1圧力センサによって検出される前記出口ポートの圧力が前記稼働圧力または前記スタンバイ圧力となるように前記パイロット圧供給用電磁弁および前記パイロット圧排出用電磁弁を制御し、
前記パイロット室の圧力を検出する第2圧力センサを備え、前記制御部は、前記第1圧力センサおよび前記第2圧力センサの検出信号に基づいて前記流体アクチュエータに向かって流れる流量を推定する流体圧力制御装置。
【請求項2】
請求項
1記載の流体圧力制御装置において、
前記流体アクチュエータに向かって流れる流量を以下の式により推定する流体圧力制御装置。
Qe=K(P1-P2)
ただし、Qeは推定流量、P1は前記パイロット室の圧力、P2は前記出口ポートの圧力、Kは前記稼働圧力の設定値に応じた定数である。
【請求項3】
請求項
1記載の流体圧力制御装置において、
前記流体アクチュエータに向かって流れる流量を以下の式により推定する流体圧力制御装置。
Qe=K´(P1-P2)
ただし、Qeは推定流量、P1は前記パイロット室の圧力、P2は前記出口ポートの圧力、K´は前記稼働圧力の設定値と前記入口ポートの圧力と前記供給弁を通過する圧力流体の温度とに応じた定数である。
【請求項4】
請求項1記載の流体圧力制御装置において、
前記ノーマルモードで動作しているとき、前記出口ポートの圧力が前記稼働圧力よりも大きく、かつ、前記パイロット室の圧力が大気圧よりも僅かに大きい所定値以下となっている場合は、前記パイロット圧排出用電磁弁を遮断位置にする流体圧力制御装置。
【請求項5】
請求項1記載の流体圧力制御装置において、
前記スタンバイモードで動作しているとき、前記出口ポートの圧力が前記スタンバイ圧力よりも大きく、かつ、前記パイロット室の圧力が大気圧よりも僅かに大きい所定値以下となっている場合は、前記パイロット圧排出用電磁弁を遮断位置にする流体圧力制御装置。
【請求項6】
請求項1記載の流体圧力制御装置において、
前記スタンバイモードから前記ノーマルモードへの復帰は、スタンバイ解除信号により、または、モード切替信号の変化により行われる流体圧力制御装置。
【請求項7】
請求項
1記載の流体圧力制御装置において、
前記スタンバイモードから前記ノーマルモードへの復帰は、前記流体アクチュエータに向かって流れる流量が前記所定値より大きくなったときに行われる流体圧力制御装置。
【請求項8】
請求項1記載の流体圧力制御装置において、
前記スタンバイモードから前記ノーマルモードへの復帰は、前記スタンバイ圧力から前記稼働圧力まで段階的に設定圧力を変更することによって行われる流体圧力制御装置。
【請求項9】
請求項1記載の流体圧力制御装置において、
前記稼働圧力および前記スタンバイ圧力の設定値を任意に変更することができる流体圧力制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体供給源と流体アクチュエータとの間に設けられ、流体アクチュエータに供給する流体圧力を制御する流体圧力制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、流体供給源からの圧力流体を所望の圧力に調整して流体アクチュエータに供給する流体圧力制御装置が知られている。例えば、特許文献1には、給気用電磁弁と排気用電磁弁を用いてダイヤフラムに作用するパイロット圧を制御し、該ダイヤフラムと一体的に設けられたロッド部材を変位させることで、供給用弁体と排気用弁体を開閉する流体圧力調整装置が記載されている。この流体圧力調整装置では、供給用弁体が開状態になると、流体供給源に接続される供給ポートと流体圧機器に接続される調圧ポートとが連通し、排気用弁体が開状態になると、調圧ポート側の圧力流体が排気ポートを介して外部に排気される。
【0003】
また、流体アクチュエータの動作状況に応じて、流体アクチュエータに供給する流体圧力の目標値を変更する流体制御装置も知られている。例えば、特許文献2には、流量が一定以上減少したことを検出したとき、通常運転からスタンバイモードに移行し、スタンバイモード時には通常運転時よりも低い圧力に設定された流体を流体アクチュエータに供給する流体制御装置が記載されている。この流体制御装置は、比例圧力調整弁の下流側に遮断弁を直列に接続した構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-243059号公報
【文献】米国特許第10731679号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の流体圧力調整装置に見られるように、流体圧機器に接続されるポート側(二次ポート側)の圧力を高圧から低圧に制御するためには、排気用弁体を用いるのが技術常識である。この場合、流体供給源からの圧力流体の一部が流体圧機器で使われることなく捨てられるのが避けられない。特許文献2の比例圧力調整弁も、二次側の流体を排出するポートを備えており、同様の事象が生じる。
【0006】
また、特許文献2の流体制御装置では、比例圧力調整弁の下流側に遮断弁を直列に接続する構成を必要としており、大流量の流路に遮断弁を設けることとなるため、装置が大型化するおそれがある。さらに、特許文献2の流体制御装置では、圧力センサの他に流量センサを必要としている。
【0007】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、スタンバイモード時に流体アクチュエータに供給する流体圧力をノーマルモード時(通常運転時)よりも低い設定圧力にする流体圧力制御装置において、圧力流体のロスを最小限に抑えるとともに、大流量の流路に設ける遮断弁を不要として装置を小型化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る流体圧力制御装置は、流体供給源と流体アクチュエータとの間に設けられ、流体アクチュエータに供給する流体圧力を稼働圧力に設定するノーマルモードから同流体圧力を稼働圧力よりも低いスタンバイ圧力に設定するスタンバイモードに移行することが可能なものであって、流体供給源に接続される入口ポートと、流体アクチュエータに接続される出口ポートと、入口ポートと出口ポートを連絡する流路の面積を調整可能な供給弁と、供給弁の弁体を変位させるためのダイヤフラムとを備える。
【0009】
そして、ダイヤフラムの一方側にはパイロット室が形成され、ダイヤフラムの他方側には出口ポートと連通するフィードバック室が形成され、入口ポートとパイロット室を接続する流路にパイロット圧供給用電磁弁が設けられ、パイロット室の圧力流体を外部に排出する流路にパイロット圧排出用電磁弁が設けられ、パイロット圧供給用電磁弁およびパイロット圧排出用電磁弁を制御する制御部が設けられる。供給弁を通過した圧力流体が外部に排出される流路は有していない。
【0010】
上記流体圧力制御装置によれば、供給弁を通過した圧力流体はすべて流体アクチュエータに供給されることになり、圧力流体のロスを最小限に抑えることができる。また、流体アクチュエータに供給する流体圧力の目標値(設定圧力)を高圧の稼働圧力から低圧のスタンバイ圧力に変更する制御を行うものでありながら、供給弁を通過した圧力流体を外部に排出する流路を有していないので、別途遮断弁を設ける必要がなく、装置全体を小型化することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る流体圧力制御装置は、ノーマルモードからスタンバイモードに移行する際に流体アクチュエータに供給する流体圧力の目標値を高圧の稼働圧力から低圧のスタンバイ圧力に変更する制御を行うものでありながら、供給弁を通過した圧力流体を外部に排出する流路を有していないので、圧力流体のロスを最小限に抑えることができるほか、別途遮断弁を設ける必要がなく、装置全体を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態に係る流体圧力制御装置の概略図である。
【
図2】ノーマルモードからスタンバイモードへの移行を自動で行う場合の
図1の流体圧力制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図3】
図1の流体圧力制御装置における差圧(P1-P2)と流量Qとの関係を表すグラフである。
【
図4】ノーマルモードからスタンバイモードへの移行を手動で行う場合の
図1の流体圧力制御装置の動作を示すタイミングチャートである。
【
図5】ノーマルモードからスタンバイモードへの移行を自動で行い、ノーマルモードへの復帰をスタンバイ解除信号によって行う場合の
図1の流体圧力制御装置による制御を示すフローチャートである。
【
図6】ノーマルモードからスタンバイモードへの移行を自動で行い、ノーマルモードへの復帰を流量に基づいて自動で行う場合の
図1の流体圧力制御装置による制御を示すフローチャートである。
【
図7】ノーマルモードからスタンバイモードへの移行を手動で行う場合の
図1の流体圧力制御装置による制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明に係る流体圧力制御装置について、好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照しながら説明する。本発明で使用される流体は、圧縮空気等の圧力流体である。以下の説明において、上下の方向に関する言葉を用いたときは、便宜上、図面における方向をいうものであり、部材等の実際の配置を限定するものではない。
【0014】
流体圧力制御装置10は、流体供給源と流体アクチュエータ(いずれも図示せず)との間に設けられる。流体圧力制御装置10は、流体アクチュエータに向かって流れる流量が所定時間継続して所定値を下回ると、流体アクチュエータに供給する流体圧力を稼働圧力よりも低いスタンバイ圧力に設定することができるものである。まず、流体圧力制御装置10がそのような制御を行うために備える構成ないし機能について説明する。
【0015】
図1に示すように、流体圧力制御装置10は、供給弁26を内蔵するバルブボデイ12と、バルブボデイ12の上部に連結されパイロット圧供給用電磁弁36およびパイロット圧排出用電磁弁38を内蔵する制御ハウジング14を含む。
【0016】
バルブボデイ12には、流体供給源(エアコンプレッサ)に接続される入口ポート16とエアシリンダ等の流体アクチュエータに接続される出口ポート18が同軸状に設けられている。入口ポート16と出口ポート18を連絡する接続通路20には、端部に弁座22aを有する円筒状の壁部22が接続通路20に交差するように設けられている。また、該壁部22と対向する位置において、接続通路20から下方に拡がるように円形の凹部24が設けられている。
【0017】
弁座22aとともに供給弁26を構成する弁体28は、弁座22aに当接可能な円板状のプレート部28aと、プレート部28aの下面から下方に延びる円筒状のガイド部28bとからなる。プレート部28aの上部側の外周には、ゴム等の弾性材料によって形成されるとともに弁座22aに当接するシール部材28cが装着されている。
【0018】
弁体28のガイド部28bは、バルブボデイ12の凹部24内で上下方向に摺動自在となるように支持され、ガイド部28bの外周には、凹部24の壁面に摺接するシールリング30aが装着されている。ガイド部28bの内側の空間において、プレート部28aの下面と凹部24の底面との間に、弁体28を弁座22aに向けて付勢する第1スプリング32が配設されている。プレート部28aには、ガイド部28bの内側の空間をプレート部28aの上方の空間と連通せしめる複数の孔28dが形成されている。
【0019】
バルブボデイ12の中央部には、上下方向に延在する長尺なロッド40がその軸方向に移動自在となるように支持されている。バルブボデイ12には、ロッド40の外周に摺接するシールリング30bが配置されている。ロッド40の上端には、水平方向に延びるディスク状のフランジ部40aが一体的に設けられている。ロッド40の下端部は、接続通路20内に突出し、弁体28のプレート部28aの上面に当接可能である。
【0020】
第1スプリング32の付勢力により弁体28のシール部材28cが弁座22aに圧接した状態にあるとき、入口ポート16と出口ポート18との連通が遮断される。一方、後述するように、第1スプリング32の付勢力に抗して弁体28を下方に駆動せしめる力がロッド40に作用すると、弁体28のシール部材28cが弁座22aから離れ、入口ポート16と出口ポート18が連通する。この場合、ロッド40に作用する駆動力に応じて、入口ポート16と出口ポート18を連絡する流路の面積(供給弁26の開度V)が調整される。
【0021】
バルブボデイ12の上部には、フランジ部40aを含むロッド40の上方部分および可撓性材料からなるダイヤフラム44を収容するダイヤフラム室46が形成されている。ダイヤフラム44の外周部は、バルブボデイ12に形成された溝部に取り付けられている。ダイヤフラム44の内周部は、ロッド40のフランジ部40aとロッド40に挿通・固定されるディスク部材42との間で挟持されることにより、ロッド40に固定されている。
【0022】
ダイヤフラム室46は、ダイヤフラム44およびフランジ部40aの上側に形成されるパイロット室48と、ダイヤフラム44およびディスク部材42の下側に形成されるフィードバック室50とに区画される。フィードバック室50は、バルブボデイ12に形成された第1通路52aを介して出口ポート18に連通している。フィードバック室50には、両端がそれぞれディスク部材42とバルブボデイ12に当接する第2スプリング34が配設されている。
【0023】
ロッド40には、ダイヤフラム44およびフランジ部40aの上面に作用するパイロット室48の流体圧により、下方に押し下げる力が作用するほか、ダイヤフラム44およびディスク部材42の下面に作用するフィードバック室50の流体圧および第2スプリング34の付勢力により、上方に押し上げる力が作用する。前者の力が後者の力を上回ると、ロッド40は、第1スプリング32の付勢力に抗して弁体28を下方に駆動し、第1スプリング32の反力とバランスする位置まで弁体28を下方に変位させる。パイロット室48の圧力P1を大きくすれば、供給弁26の開度Vが大きくなる。
【0024】
バルブボデイ12には、第1通路52aから分岐してバルブボデイ12の上面に至る第2通路52bが形成されている。また、バルブボデイ12には、下端が入口ポート16側に接続され上端がバルブボデイ12の上面に至る第3通路52c、および、下端がパイロット室48側に接続され上端がバルブボデイ12の上面に至る第4通路52dが形成されている。制御ハウジング14には、第3通路52cの上端と第4通路52dの上端とを相互に接続する第5通路52eが形成されており、パイロット圧供給用電磁弁36が第5通路52eに介設されている。パイロット圧供給用電磁弁36は、第3通路52cと第4通路52dを連通する位置と、第3通路52cと第4通路52dの連通を遮断する位置との間で切り換え可能なノーマルクローズタイプの二方弁である。
【0025】
したがって、パイロット圧供給用電磁弁36は、パイロット室48に入口ポート16側の圧力流体を導入する連通位置と、パイロット室48を入口ポート16から遮断する遮断位置との間で切り換え可能となっている。パイロット圧供給用電磁弁36は、入口ポート16とパイロット室48を接続する流路に設けられるものであって、大流量の流路に介在するものではないから、小型の電磁弁で済む。
【0026】
制御ハウジング14は、大気に開放される排出ポート54を備えている。制御ハウジング14には、第4通路52dの上端と排出ポート54とを接続するために第5通路52eの途中から分岐して排出ポート54に至る第6通路52fが形成されており、パイロット圧排出用電磁弁38が第6通路52fに介設されている。パイロット圧排出用電磁弁38は、第4通路52dと排出ポート54を連通する位置と、第4通路52dと排出ポート54の連通を遮断する位置との間で切り換え可能なノーマルクローズタイプの二方弁である。
【0027】
したがって、パイロット圧排出用電磁弁38は、パイロット室48の圧力流体を排出する連通位置と、パイロット室48を排出ポート54から遮断する遮断位置との間で切り換え可能となっている。パイロット圧排出用電磁弁38は、パイロット室48の圧力流体を外部に排出する流路に設けられるものであって、大流量の流路に介在するものではないから、小型の電磁弁で済む。また、容積が限定されたパイロット室48の圧力流体が外部に排出される量は極めて少ないので、圧力流体のロスを最小限に留めることができる。
【0028】
制御ハウジング14には、集積回路(IC)からなる制御部56が設けられている。パイロット圧供給用電磁弁36およびパイロット圧排出用電磁弁38は、制御部56からの信号に基づいて制御される。パイロット圧供給用電磁弁36が連通位置に切り換えられるとともにパイロット圧排出用電磁弁38が遮断位置に切り換えられると、入口ポート16側の圧力流体がパイロット室48に導入され、パイロット室48の圧力P1が大きくなって供給弁26の開度Vが大きくなる。パイロット圧供給用電磁弁36が遮断位置に切り換えられるとともにパイロット圧排出用電磁弁38が連通位置に切り換えられると、パイロット室48の圧力流体が外部に排出され、パイロット室48の圧力P1が小さくなって供給弁26の開度Vが小さくなる。
【0029】
パイロット圧供給用電磁弁36およびパイロット圧排出用電磁弁38をPWM制御する場合は、それらに対する通電時間を制御することで、パイロット室48の圧力P1をきめ細かく制御することができ、それにより供給弁26の開度Vを無段階に調整することができる。
【0030】
制御ハウジング14には、第5通路52eの途中から分岐する第7通路52gが形成されており、パイロット室48の圧力P1を検出する第1圧力センサ58が第7通路52gに臨んで配置されている。また、制御ハウジング14には、バルブボデイ12の第2通路52bに接続される第8通路52hが形成されており、出口ポート18の圧力P2を検出する第2圧力センサ60が第8通路52hに臨んで配置されている。第1圧力センサ58および第2圧力センサ60によって検出された信号は、制御部56に入力される。
【0031】
制御部56には、ノーマルモード時(通常運転時)の設定圧力である稼働圧力Ps1、スタンバイモード時の設定圧力であるスタンバイ圧力Ps2、流量閾値Lおよび監視時間Tが記憶されている。これらの値は、ユーザが任意に設定・変更することができ、入力信号G1として制御部56に取り込まれる。稼働圧力Ps1は、流体アクチュエータが稼働しているときに流体アクチュエータに供給する流体圧力の目標値(設定圧力)であり、スタンバイ圧力Ps2は、流体アクチュエータが休止状態にあるときに流体アクチュエータに供給する流体圧力の目標値(設定圧力)である。スタンバイ圧力Ps2は、稼働圧力Ps1よりも低い。
【0032】
制御部56には、スタンバイモードからノーマルモードに復帰させるためのスタンバイ解除信号G2がパルス信号として外部から入力される。ノーマルモードからスタンバイモードへの変更を手動によって行うことができるようにする場合、制御部56には、モード切替信号G3が外部から入力される。また、制御部56には、設定されている稼働圧力Ps1とスタンバイ圧力Ps2を表示するとともに出口ポート18の圧力P2を表示することができる圧力表示部62が接続されている。なお、制御部56は、出口ポート18の圧力P2や後述する推定流量Qeを出力信号G4として外部に出力することができる。
【0033】
本実施形態に係る流体圧力制御装置10は、以上の構成ないし機能を備えるものであり、次に、ノーマルモードからスタンバイモードへの移行を自動で行う場合の制御について、
図1~
図3を参照しながら説明する。流体アクチュエータが稼働状態にあり、流体圧力制御装置10がノーマルモードで動作している状態を初期状態とする。
図2で言えば、例えば時刻t2における状態がこの初期状態にあたる。
【0034】
流体圧力制御装置10がノーマルモードで動作しているとき、制御部56は、稼働圧力Ps1を目標値として、第2圧力センサ60によって検出される出口ポート18の圧力P2が当該目標値に一致するように、パイロット圧供給用電磁弁36およびパイロット圧排出用電磁弁38の動作を制御し、供給弁26の開度Vを調整している。これにより、出口ポート18の圧力P2は、設定された稼働圧力Ps1に保持される。流体アクチュエータが稼働状態にあるとき、パイロット室48の圧力P1は、稼働圧力Ps1に保持されている出口ポート18の圧力P2を大きく上回り、供給弁26の開度Vも十分に大きくなっている(時刻t1から時刻t2まで)。
【0035】
ノーマルモードで動作しているときであっても、出口ポート18の圧力P2が稼働圧力Ps1よりも大きく、かつ、パイロット室48の圧力P1が所定値以下となっている場合は、パイロット圧排出用電磁弁38を遮断位置にする。その理由は、次のとおりである。
【0036】
流体アクチュエータの動作状況によっては、パイロット圧排出用電磁弁38を連通位置に保持しても、出口ポート18の圧力P2が稼働圧力Ps1以下とならないことがある。また、パイロット室48の圧力P1は、パイロット圧排出用電磁弁38を連通位置に保持しても、大気圧まで下がらないことがある。したがって、大気圧より僅かに大きい値(例えばゲージ圧で5kPa)を所定値Pkとして、P2>Ps1かつP1≦Pkの場合、パイロット圧排出用電磁弁38に電力を供給して連通位置に保持するのでは電力を無駄に消費することになるので、パイロット圧排出用電磁弁38を遮断位置にする。なお、
図2のタイミングチャートには、この状況は描かれていない。
【0037】
流体圧力制御装置10がノーマルモードで動作しているとき、制御部56は、第1圧力センサ58および第2圧力センサ60によって検出される信号に基づいて、流体アクチュエータに向かって流れる流体の流量、すなわち、供給弁26を通過する流体の流量Qを推定している。流量Qの推定方法は次のとおりである。
【0038】
流量Qは、パイロット室48の圧力P1と出口ポート18の圧力P2との差圧が大きいほど大きくなる。また、流量Qは、パイロット室48の圧力P1と出口ポート18の圧力P2との差圧が同じでも設定圧力によって異なる。
図3は、設定圧力をパラメータとして、パイロット室48の圧力P1と出口ポート18の圧力P2との差圧(P1-P2)と、流量Qとの関係を表すグラフである。具体的には、設定圧力をPsAおよびPsB(PA<PB)の2通りとして、圧力センサと流量センサを用いてパイロット室48の圧力P1、出口ポート18の圧力P2および流量Qを実測し、得られたデータに基づいて表したものである。同図から理解されるように、差圧(P1-P2)と流量Qとの関係は直線で近似され、その傾きは設定圧力によって異なる。
【0039】
そこで、供給弁26を通過する流体の流量Qについて、以下の式により推定流量Qeを求める。ただし、Kは、設定圧力に応じた定数、すなわち、稼働圧力Ps1の設定値に応じた定数である。
Qe=K(P1-P2)
制御部56は、設定圧力ごとに決められた定数Kに関するテーブル(表)を記憶しており、第1圧力センサ58および第2圧力センサ60から入力される信号に基づいて、推定流量Qeを算出する。
【0040】
このように、流体圧力制御装置10は、第1圧力センサ58のほかに第2圧力センサ60を備えることで、流体アクチュエータに向かって流れる流体の流量を推定することができ、流量センサを必要としない。流量の推定精度を高くしたい場合は、入口ポート16の圧力を検出する圧力センサや供給弁26を通過する流体の温度を検出する温度センサを追加し、設定圧力のほかに、入口ポート16の圧力や流体の温度も考慮した定数(K´)に関するテーブルを用いるとよい。
【0041】
制御部56は、ノーマルモードにおいて、推定流量Qeが監視時間T(所定時間)継続して所定の流量閾値Lを下回ったことを判定すると、流体アクチュエータが休止状態に入ったものとみなして、スタンバイモードへの移行を決定する(時刻t3)。スタンバイモードでは、制御部56は、スタンバイ圧力Ps2を目標値として、第2圧力センサ60によって検出される出口ポート18の圧力P2が当該目標値に一致するように、パイロット圧供給用電磁弁36およびパイロット圧排出用電磁弁38の動作を制御し、供給弁26の開度Vを調整する。これにより、出口ポート18の圧力P2は、稼働圧力Ps1よりも低いスタンバイ圧力Ps2に設定される。ノーマルモードからスタンバイモードへの移行は、このように自動で行われる。
【0042】
ノーマルモードからスタンバイモードに移行した直後であって、少なくとも出口ポート18の圧力P2が稼働圧力Ps1からスタンバイ圧力Ps2まで低下する間(時刻t3から時刻t4の直前まで)、供給弁26は、閉じた位置を維持するように制御され、入口ポート16と出口ポート18の連通が遮断される。第2圧力センサ60によって検出される出口ポート18の圧力P2が目標値であるスタンバイ圧力Ps2よりも高い状態が続くからである。したがって、流体供給源から流体アクチュエータに向けて新たに圧力流体が供給されることはなく、圧力流体の消費量はゼロとなる。このとき、流体アクチュエータに溜まっていた流体は、徐々に抜けていく。
【0043】
スタンバイモードは、休止状態にある流体アクチュエータが稼働状態に復帰するための準備をしておくモードである。流体アクチュエータは、休止状態のときは圧力流体の供給を必要としないのであるが、予めスタンバイ圧力Ps2の流体を供給しておくことで、迅速かつ円滑に稼働状態に復帰せしめることができる。なお、休止状態にある流体アクチュエータにスタンバイ圧力Ps2の流体を供給している間、流体アクチュエータでは流体の一定のリークが生じている。このリーク量は、休止状態にある流体アクチュエータに稼働圧力Ps1の流体を供給する場合に生じるリーク量よりも少ない。
【0044】
スタンバイモードで動作しているときであっても、出口ポート18の圧力P2がスタンバイ圧力Ps2よりも大きく、かつ、パイロット室48の圧力P1が所定値以下となっている場合は、パイロット圧排出用電磁弁38を遮断位置にする。ノーマルモードで動作しているときと同様に、パイロット圧排出用電磁弁38を連通位置に保持しても、出口ポート18の圧力P2がスタンバイ圧力Ps2以下とならないことがあり、また、パイロット室48の圧力P1は大気圧まで下がらないことから、パイロット圧排出用電磁弁38の無駄な動作を抑制する。なお、
図2のタイミングチャートには、この状況は描かれていない。
【0045】
スタンバイモードからノーマルモードへの復帰は、スタンバイ解除信号G2により行われる(時刻t5)。スタンバイ解除信号G2は、休止状態にある流体アクチュエータを稼働状態に復帰せしめるために外部から制御部56に入力されるパルス信号である。例えば、ユーザがタッチパネルで行う操作によって入力される信号でもよいし、流体アクチュエータの再稼働のためにユーザにより設定された時刻になると自動的に入力される信号でもよい。スタンバイモードからノーマルモードへの復帰に際して、ソフトスタートを実現するため、スタンバイ圧力Ps2から稼働圧力Ps1まで段階的に設定圧力を変更してもよい。また、ノーマルモードへの復帰をスタンバイ解除信号G2によって行うのではなく、推定流量Qeが流量閾値Lより大きくなったときに行うようにしてもよい。
【0046】
ところで、流体圧力制御装置10は、ノーマルモードからスタンバイモードに移行する際に、出口ポート18の設定圧力が高圧の稼働圧力Ps1から低圧のスタンバイ圧力Ps2に変更されるものであるところ、高圧から低圧に制御する弁(出口ポート18側の流体を排出する弁)を備えていない。流体アクチュエータが休止状態に入ったとき、出口ポート18の圧力P2をスタンバイ圧力Ps2まで迅速に低下させる必要はなく、流体アクチュエータに溜まっていた流体がある程度抜けることで、出口ポート18の圧力P2がスタンバイ圧力Ps2まで自然に低下するのを待てばよいからである。このように、流体圧力制御装置10は、出口ポート18側の流体を排出する弁を備えていないので、圧力流体のロスを抑制できる。
【0047】
次に、ノーマルモードからスタンバイモードへの移行を手動で行う場合の制御について、
図4を参照しながら説明する。
【0048】
ノーマルモードからスタンバイモードへの移行を自動で行う場合と同様に、流体圧力制御装置10がノーマルモードで動作しているとき、制御部56は、推定流量Qeを算出している。そして、時刻t3において推定流量Qeが監視時間T継続して流量閾値Lを下回ったことを判定すると、外部から入力される手動によるモード切替信号G3の変化を待つ。制御部56は、時刻t3´においてモード切替信号G3がOFFからONになると、ノーマルモードからスタンバイモードへの移行を決定する。スタンバイモードからノーマルモードへの復帰は、モード切替信号G3がONからOFFに変化することによって行われる(時刻t5´)。
【0049】
上記のとおり、推定流量Qeが監視時間T継続して流量閾値Lを下回った後にモード切替信号G3が変化することを条件として、ノーマルモードからスタンバイモードに移行するのであるが、モード切替信号G3が変化することのみを条件として、ノーマルモードからスタンバイモードに移行するようにしてもよい。
【0050】
以上の制御を実現するためのフローチャートが
図5~
図7に示されている。
図5は、ノーマルモードからスタンバイモードへの移行を自動で行い、ノーマルモードへの復帰をスタンバイ解除信号G2によって行う場合のフローチャートであり、
図6は、ノーマルモードからスタンバイモードへの移行を自動で行い、ノーマルモードへの復帰を流量に基づいて自動で行う場合のフローチャートである。
図7は、ノーマルモードからスタンバイモードへの移行を手動で行う場合のフローチャートである。
【0051】
図5に示すステップS1において、制御部56は、第1圧力センサ58および第2圧力センサ60から入力された最新の信号を読み取って、パイロット室48の圧力P1および出口ポート18の圧力P2を取得する。そして、出口ポート18の圧力P2を稼働圧力Ps1と比較し、出口ポート18の圧力P2が稼働圧力Ps1より小さいときは供給弁26の開度Vが大きくなるように、また、出口ポート18の圧力P2が稼働圧力Ps1より大きいときは供給弁26の開度Vが小さくなるように、パイロット圧供給用電磁弁36およびパイロット圧排出用電磁弁38に対して制御信号を出力する。
【0052】
次に、ステップS2に進み、制御部56は、ステップS1で取得した出口ポート18の圧力P2が稼働圧力Ps1より大きく、かつ、ステップS1で取得したパイロット室48の圧力P1が所定値Pk以下であるか否かを判定する。この判定結果がYESの場合は、制御部56は、パイロット圧排出用電磁弁38に対して遮断位置に切り換える信号を出力し、ステップS3に進む。判定結果がNOの場合は、そのままステップS3に進む。
【0053】
ステップS3では、制御部56は、定数Kに関するテーブルを参照しながら、ステップS1で取得したパイロット室48の圧力P1および出口ポート18の圧力P2に基づいて推定流量Qeを求め、ステップS4に進む。ステップS4では、制御部56は、ステップS3で求めた推定流量Qeを流量閾値Lと比較し、推定流量Qeが流量閾値L以下である場合は、ステップS5に進み、推定流量Qeが流量閾値Lより大きい場合は、ステップS1に戻る。
【0054】
ステップS5では、制御部56は、推定流量Qeが流量閾値L以下となってから監視時間T以上経過したか否か、すなわち、推定流量Qeが流量閾値L以下である状態が監視時間T以上継続したか否かを判定する。推定流量Qeが流量閾値L以下である状態が監視時間T以上継続した場合は、ステップS6に進み、推定流量Qeが流量閾値L以下である状態が監視時間T以上継続していない場合は、ステップS1に戻る。ステップS6では、制御部56は、ノーマルモードからスタンバイモードに移行するため、設定圧力を稼働圧力Ps1からスタンバイ圧力Ps2に変更し、ステップS7に進む。
【0055】
ステップS7において、制御部56は、第1圧力センサ58および第2圧力センサ60から入力された最新の信号を読み取って、パイロット室48の圧力P1および出口ポート18の圧力P2を取得する。そして、出口ポート18の圧力P2をスタンバイ圧力Ps2と比較し、出口ポート18の圧力P2がスタンバイ圧力Ps2より小さいときは供給弁26の開度Vが大きくなるように、また、出口ポート18の圧力P2がスタンバイ圧力Ps2より大きいときは供給弁26の開度Vが小さくなるように、パイロット圧供給用電磁弁36およびパイロット圧排出用電磁弁38に対して制御信号を出力する。
【0056】
次に、ステップS8に進み、制御部56は、ステップS7で取得した出口ポート18の圧力P2がスタンバイ圧力Ps2より大きく、かつ、ステップS7で取得したパイロット室48の圧力P1が所定値Pk以下であるか否かを判定する。この判定結果がYESの場合は、パイロット圧排出用電磁弁38に対して遮断位置に切り換える信号を出力し、ステップS9に進む。判定結果がNOの場合は、そのままステップS9に進む。
【0057】
ステップS9では、制御部56は、スタンバイモードからノーマルモードに復帰させるためのスタンバイ解除信号G2が外部から入力されたか否かを判定する。スタンバイ解除信号G2が外部から入力された場合は、ステップS1に戻り、スタンバイ解除信号G2が外部から入力されない場合は、ステップS7に戻る。
【0058】
図6に示すように、ノーマルモードへの復帰を流量に基づいて行う場合のフローチャートは、
図5のフローチャートにおいて、ステップS9の代わりにステップS91とステップS92を設けたものである。以下、この変更部分を中心に説明する。
【0059】
ステップS91では、制御部56は、定数Kに関するテーブルを参照しながら、ステップS7で取得したパイロット室48の圧力P1および出口ポート18の圧力P2に基づいて推定流量Qeを求め、ステップS92に進む。ステップS92では、制御部56は、ステップS91で求めた推定流量Qeを流量閾値Lと比較し、推定流量Qeが流量閾値Lより大きい場合は、ステップS1に戻り、推定流量Qeが流量閾値L以下である場合は、ステップS7に戻る。
【0060】
図7に示すように、ノーマルモードからスタンバイモードへの移行を手動で行う場合のフローチャートは、
図5のフローチャートにおいて、ステップS5とステップS6との間にステップSAを追加するとともに、ステップS9をステップS9´に変更したものである。以下、これらの追加・変更部分を中心に説明する。
【0061】
ステップS5では、制御部56は、推定流量Qeが流量閾値L以下である状態が監視時間T以上継続したか否かを判定する。推定流量Qeが流量閾値L以下である状態が監視時間T以上継続した場合は、ステップSAに進み、推定流量Qeが流量閾値L以下である状態が監視時間T以上継続していない場合は、ステップS1に戻る。
【0062】
ステップSAでは、制御部56は、モード切替信号G3がOFFからONに変化したか否かを判定する。モード切替信号G3がOFFからONに変化した場合は、ステップS6に進み、モード切替信号G3がOFFのままである場合は、ステップS1に戻る。ステップS6では、制御部56は、ノーマルモードからスタンバイモードに移行するため、設定圧力を稼働圧力Ps1からスタンバイ圧力Ps2に変更し、ステップS7に進む。
【0063】
ステップS9´では、制御部56は、モード切替信号G3がONからOFFに変化したか否かを判定する。モード切替信号G3がONからOFFに変化した場合は、ステップS1に戻り、モード切替信号G3がONのままである場合は、ステップS7に戻る。
【0064】
本実施形態に係る流体圧力制御装置10によれば、ノーマルモードからスタンバイモードに移行する際に流体アクチュエータに供給する流体圧力の目標値を高圧の稼働圧力Ps1から低圧のスタンバイ圧力Ps2に変更する制御を行うものでありながら、供給弁26を通過した圧力流体を外部に排出する流路を有していないので、圧力流体のロスを最小限に抑えることができるほか、別途遮断弁を設ける必要がなく、装置全体を小型化することができる。また、パイロット室48の圧力P1を検出する第1圧力センサ58および出口ポート18の圧力P2を検出する第2圧力センサ60の検出信号に基づいて、流体アクチュエータに向かって流れる流量を推定するので、流量センサを設ける必要がなく、装置全体を小型化することができる。
【0065】
本発明に係る流体圧力制御装置は、上述の実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することのない範囲で、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【符号の説明】
【0066】
10…流体圧力制御装置 16…入口ポート
18…出口ポート 26…供給弁
28…弁体 36…パイロット圧供給用電磁弁
38…パイロット圧排出用電磁弁 44…ダイヤフラム
48…パイロット室 50…フィードバック室
56…制御部 58…第1圧力センサ
60…第2圧力センサ G2…スタンバイ解除信号
G3…モード切替信号