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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】壁
(51)【国際特許分類】
   E04H 17/14 20060101AFI20240123BHJP
   E04B 2/02 20060101ALI20240123BHJP
   E04B 2/10 20060101ALI20240123BHJP
   E04B 2/12 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
E04H17/14 103A
E04H17/14 101Z
E04B2/02 170
E04H17/14 103Z
E04B2/10
E04B2/12
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021138273
(22)【出願日】2021-08-26
(65)【公開番号】P2023032258
(43)【公開日】2023-03-09
【審査請求日】2022-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 史人
(72)【発明者】
【氏名】林 仁
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-219947(JP,A)
【文献】実用新案登録第2548513(JP,Y2)
【文献】実開昭63-067129(JP,U)
【文献】実公平05-022575(JP,Y2)
【文献】特開2000-087524(JP,A)
【文献】実開平03-066331(JP,U)
【文献】米国特許第05289662(US,A)
【文献】特開昭58-029963(JP,A)
【文献】特開平09-209530(JP,A)
【文献】実開昭60-184919(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 17/14
E04B 2/02,2/10,2/12
E04D 13/15
E04F 11/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の近くに設けられ、建築物に設けられ、または、土を留めるために設けられる壁であって、
壁本体と、前記壁本体の天面を覆う第1シーリング樹脂と、前記壁本体の上に設けられる笠木と、前記第1シーリング樹脂の上に配置されるとともに前記壁本体と前記笠木との間に配置される排水ガイドと、前記排水ガイド付近に設けられる第2シーリング樹脂と、を備え、
前記笠木は、複数の笠木部材の連結によって構成され、
前記排水ガイドは、
プレートと、
前記プレートに設けられて複数の前記笠木部材が連結される連結部に沿うように設けられて、第1溝側面と、前記第1溝側面に対向する第2溝側面とを有すると、
前記プレートに設けられて前記第1溝側面の少なくとも一部分を構成する第1ガイドと、
前記プレートに設けられて前記第2溝側面の少なくとも一部分を構成する第2ガイドと、を有し、
前記第1ガイドおよび前記第2ガイドは、圧縮された状態で前記笠木の裏面に接触し、かつ、前記第1溝側面および前記第2溝側面は、前記笠木の裏面に繋がり、
前記第2シーリング樹脂は、前記溝の外側部分において、前記プレートと前記笠木部材との間の隙間を埋めるように設けられ、かつ、前記第1シーリング樹脂に繋がる、
壁。
【請求項2】
前記溝の溝底面は、前記壁本体の内側面から外側面に向かって下方に傾斜する
請求項1に記載の壁。
【請求項3】
前記壁本体に設けられる外壁材をさらに備え、
前記排水ガイドの前記溝は、前記壁の幅方向において前記外壁材の表面まで延びる
請求項1または2に記載の壁。
【請求項4】
前記排水ガイドは、前記壁本体の直線部に配置され、
前記排水ガイドの前記プレートは、1個のプレート部材によって構成され、前記排水ガイドは、前記壁本体の天面に沿うように配置されるプレート本体部と、前記壁の側面に沿う端部と、を有し、
前記端部は、前記プレート部材の折り曲げによって構成される
請求項1~3のいずれか一項に記載の壁。
【請求項5】
前記排水ガイドは、前記壁本体の隅部に配置され、
前記排水ガイドは、前記壁本体の天面に沿うプレート本体部と、前記壁の入隅の側面に沿う入隅端部と、前記壁の出隅の側面に沿う出隅端部と、を有し、
前記排水ガイドの前記プレートは、第1プレート部材と、前記第1プレート部材に接続される第2プレート部材とを備え、
前記入隅端部は、前記第1プレート部材の第1入隅端部と、前記第2プレート部材の第2入隅端部との連結によって構成され、
前記出隅端部は、前記第1プレート部材の第1出隅端部と、前記第2プレート部材の第2出隅端部との連結によって構成される
請求項1~3のいずれか一項に記載の壁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁に関する。
【背景技術】
【0002】
笠木を有する外構が知られている。特許文献1には笠木の一例が開示されている。特許文献1に記載の笠木は複数の笠木部材によって構成される。笠木部材のジョイント部分の下には、水切板が配置される。水切板は溝を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開昭56-136035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、集中豪雨が多発している。集中豪雨のように短期間に多量の雨が降ると、溝に流れる雨水の量が急増大し、溝から雨水が溢れる。溝から雨水が溢れると、壁本体に雨水が浸透し、壁本体が劣化する。このように、従来の排水構造は、多量の雨に対して十分でない。このような問題は、外構だけでなく、屋上のパラペット、擁壁、および、土留めでも同じである。このような観点で、排水構造に関して各種の壁に改善の余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)上記課題を解決する壁は、建築物の近くに設けられ、建築物に設けられ、または、土を留めるために設けられる壁であって、壁本体と、前記壁本体の上に設けられる笠木と、前記壁本体と前記笠木との間に配置される排水ガイドと、を備え、前記笠木は、複数の笠木部材の連結によって構成され、前記排水ガイドは、プレートと、前記プレートに設けられて複数の前記笠木部材が連結される連結部に沿うように設けられる溝と、を有し、前記溝は、第1溝側面と、前記第1溝側面に対向する第2溝側面とを有し、前記第1溝側面および前記第2溝側面は、前記笠木の裏面に繋がるように構成される。
【0006】
この構成によれば、笠木部材の連結部から入る雨水は、溝に沿って案内される。第1溝側面と第2溝側面とが共に笠木の裏面に繋がるため、雨水が溝から漏れることが抑制される。このようにして、雨水に対する壁本体の保護を向上できる。
【0007】
(2)上記壁において、前記排水ガイドは、前記プレートに設けられて前記第1溝側面の少なくとも一部分を構成する第1ガイドと、前記プレートに設けられて前記第2溝側面の少なくとも一部分を構成する第2ガイドとを備え、前記第1ガイドおよび前記第2ガイドは、圧縮された状態で前記笠木の裏面に接触する。
【0008】
この構成によれば、第1ガイドおよび第2ガイドが圧縮された状態で笠木の裏面に接触することによって、第1ガイドと笠木との間の隙間および第2ガイドと笠木との間の隙間が小さくなる。このため、溝から雨水が溢れることが少なくなる。
【0009】
(3)上記壁において、前記溝の外側部分には、前記プレートと前記笠木部材との間の隙間を埋めるようにシーリング樹脂が設けられる。この構成によれば、シーリング樹脂によって排水ガイドのプレートと笠木部材との間の隙間が埋められるため、溝から雨水が溢れることが少なくなる。
【0010】
(4)上記壁において、前記溝の溝底面は、前記壁本体の内側面から外側面に向かって下方に傾斜する。この構成によれば、壁の内側に流れる雨水の量を少なくできる。これによって、壁の内側の領域に雨水が溜まることを少なくできる。
【0011】
(5)上記壁において、前記壁本体に設けられる外壁材をさらに備え、前記排水ガイドの前記溝は、前記壁の幅方向において前記外壁材の表面まで延びる。この構成によれば、壁本体と外壁材との間の隙間に雨水が侵入することを少なくできる。
【0012】
(6)上記壁において、前記排水ガイドは、前記壁本体の直線部に配置され、前記排水ガイドの前記プレートは、1個のプレート部材によって構成され、前記排水ガイドは、前記壁本体の天面に沿うように配置されるプレート本体部と、前記壁の側面に沿う端部と、を有し、前記端部は、前記プレート部材の折り曲げによって構成される。この構成によれば、排水ガイドの端部をプレート本体部と別部材で構成する場合に比べて、簡単に端部を構成できる。
【0013】
(7)上記壁において、前記排水ガイドは、前記壁本体の隅部に配置され、前記排水ガイドは、前記壁本体の天面に沿うプレート本体部と、前記壁の入隅の側面に沿う入隅端部と、前記壁の出隅の側面に沿う出隅端部と、を有し、前記排水ガイドの前記プレートは、第1プレート部材と、前記第1プレート部材に接続される第2プレート部材とを備え、前記入隅端部は、前記第1プレート部材の第1入隅端部と、前記第2プレート部材の第2入隅端部との連結によって構成され、前記出隅端部は、前記第1プレート部材の第1出隅端部と、前記第2プレート部材の第2出隅端部との連結によって構成される。
【0014】
この構成によれば、入隅端部において第1入隅端部と第2入隅端部との間の隙間を小さくできるため、第1入隅端部と第2入隅端部との間から壁本体に進入する雨水の量を少なくできる。また、出隅端部において第1出隅端部と第2出隅端部との間の隙間を小さくできるため、第1出隅端部と第2出隅端部との間から壁本体に進入する雨水の量を少なくできる。
【発明の効果】
【0015】
本開示の壁によれば、雨水に対する壁の保護を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】建築物の正面図である。
図2】壁の平面図である。
図3】笠木の分解図である。
図4図2のD4-D4線に沿う壁の断面図である。
図5図2のD5-D5線に沿う壁の拡大断面図である。
図6図2のA部であって、笠木が省略された壁の拡大図である。
図7】直線部用の排水ガイドの平面図である。
図8】直線部用の排水ガイドの正面図である。
図9】直線部用の排水ガイドの側面図である。
図10図2のB部であって、笠木が省略された壁の拡大図である。
図11】隅部用の排水ガイドの平面図である。
図12】隅部用の排水ガイドの正面図である。
図13】隅部用の排水ガイドの入隅端部側の側面図である。
図14】隅部用の排水ガイドの出隅端部側の側面図である。
図15】隅部用の排水ガイドの第1プレート部材の展開図である。
図16】隅部用の排水ガイドの第2プレート部材の展開図である。
図17図6のD17-D17線に沿う断面の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1図16を参照して、壁10について説明する。
壁10は、建築物1の近くに設けられる壁、建築物1に設けられる壁、および、土を留めるために設けられる壁を含む。建築物1の近くに設けられる壁10の例として、建築物1の外構として構成される塀、門塀、ポストまたはインターホンを有する壁が挙げられる。建築物1に設けられる壁10の例として、陸屋根のパラペット、および、ルーフバルコニーに設けられる縦壁が挙げられる。土を留めるために設けられる壁の例は、擁壁および土留めである。擁壁の例として、建築物1が設けられる地盤の擁壁が挙げられる。擁壁は、塀を含むように構成されてもよい。擁壁は、RC擁壁およびCP擁壁を含む。RC擁壁は、鉄筋コンクリートで作られる擁壁を示す。CP擁壁は、各種のCP型枠で作られた擁壁を示す。CP型枠は、政府から垂直施工の構造材料として認可されたコンクリートブロックを示す。土留めの例として、庭の土留め、山の斜面に設けられる土留め、および、道路に沿う土留めが挙げられる。土留めは、塀を含むように構成されてもよい。
【0018】
図1に示される壁10は、建築物1の周囲に設けられる塀である。塀は、建築物1の外構の一部を構成する。壁10は、建築物1と道路との間に設けられる。壁10は、建築物1を囲むように構成されてもよい。壁10は、直線に延びるように構成されてもよい。壁10は、湾曲してもよい。本実施形態では、壁10は、直角に曲がる。本実施形態において、壁10の幅方向DWは、壁10が延びる方向に交差する方向を示す。壁10が複数の壁部を有する場合、壁部それぞれにおいて幅方向DWが設定される(図2参照)。
【0019】
図2に示されるように、壁10は、複数の壁部を有してもよい。例えば、壁10は、第1壁部11と、第2壁部12とを備える。第2壁部12は、第1壁部11に対して交差するように延びる。第1壁部11と第2壁部12とが交差する部分には入隅および出隅が構成される。以降の説明では、壁10において、入隅および出隅を含む部分を隅部15という。
【0020】
図2に示されるように、壁10は、壁本体17と、笠木20と、排水ガイド30と、を備える。笠木20は、壁本体17の上に設けられる。笠木20は、複数の笠木部材21の連結によって構成される。笠木部材21は、金属板によって構成される。笠木20は、連結部22を有する。連結部22は、互いに隣接する複数の笠木部材21が連結される部分を含む。例えば、2個の笠木部材21は、ジョイント部材23によって連結される。
【0021】
図3に示されるように、ジョイント部材23は、2個の笠木部材21の間に配置される。ジョイント部材23は、本体部24と、本体部24の両面それぞれに設けられる凸部25とを有する。ジョイント部材23が笠木部材21に取り付けられるときの状態において、凸部25は、本体部24から水平方向に突出する。凸部25は、笠木部材21の端面に設けられる凹部26に入るように構成される。
【0022】
図2に示されるように、壁10の直線部16において、複数の笠木部材21は、一方向に延びるように配置される。壁10の隅部15において、2個の笠木部材21は、互いに直交するように配置される。
【0023】
図4に示されるように、壁本体17は、コンクリートブロック18によって構成される。コンクリートブロック18は、積み上げられる。コンクリートブロック18の中空部分には、モルタルが充填される。積み上げられた複数のコンクリートブロック18の中には鉄筋が配置されてもよい。複数のコンクリートブロック18は、モルタルによって結合される。壁本体17の下部は、地面に埋められる。
【0024】
壁本体17には、外壁材19が設けられる。
外壁材19は、壁本体17の側面に接着材28によって貼り付けられる(図5参照)。外壁材19と壁本体17との間に隙間SAが設けられるように、外壁材19は壁本体17に貼り付けられる。外壁材19と壁本体17との間の空間において、接着材28が、空間の一部を埋めるように設けられることによって、外壁材19と壁本体17との間に隙間SAが設けられる。
【0025】
外壁材19は、壁本体17において地面から所定高さ位置以上の領域を覆うように、貼り付けられる。外壁材19の例として、タイル、石材、窯業系部材、鉄製のサイディング部材、が挙げられる。
【0026】
壁本体17の天面17Aは、シーリング樹脂29によって覆われる。壁本体17と外壁材19との間の隙間SAの上端は、シーリング樹脂29によって塞がれる(図6および図10参照)。これによって、壁本体17と外壁材19との間の隙間SAに雨水が侵入することが少なくなる。シーリング樹脂29は、外壁材19の表面19Aに接触しないように、壁本体17の天面17Aに塗られる。シーリング樹脂29の例としては、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、アクリル系樹脂、および、変性シリコン系樹脂、が挙げられる。
【0027】
図5に示されるように、排水ガイド30は、壁本体17と笠木20との間に配置される。雨水は、コンクリートブロック18にエフロレッセンス現象を発生させるため、雨水は、コンクリートブロック18に浸透しないことが好ましい。このため、コンクリートブロック18によって構成される壁本体17の天面17Aはシーリング樹脂29によって覆われる。さらに、笠木部材21の連結部22から漏れる水を排水するために、壁本体17と笠木20との間に排水ガイド30が設けられる。
【0028】
図6図9を参照して、壁10の直線部用の排水ガイド30Aを説明する。直線部用の排水ガイド30Aは、壁本体17の直線部16に配置される。図6に示されるように、排水ガイド30Aは、笠木部材21の連結部22の下に配置される。
【0029】
図7に示されるように、排水ガイド30Aは、プレート31と、溝32と、を有する。図8に示されるように、プレート31は、プレート本体部34と、第1端部35と、第2端部36とを有する。プレート31は、1個のプレート部材38によって構成される。
【0030】
プレート本体部34は、壁本体17の天面17Aに沿うように配置される。プレート本体部34は、壁10の幅方向DWに延びる。第1端部35および第2端部36は、プレート部材38の折り曲げによって構成される。
【0031】
第1端部35は、幅方向DWにおいて壁本体17の内側面17Bに沿うように、プレート本体部34の端に設けられる。第2端部36は、幅方向DWにおいて壁本体17の外側面17Cに沿うように、プレート本体部34の端に設けられる。
【0032】
図8に示されるように、第1端部35は、プレート本体部34に対して下方に延びる。
第2端部36は、プレート本体部34に対して下方に延びる。排水ガイド30Aが壁本体17の天面17Aに配置された状態において、第1端部35および第2端部36は、外壁材19の表面19Aに対向するように配置される(図5参照)。
【0033】
溝32は、プレート31に設けられる。溝32は、排水ガイド30Aが壁本体17の天面17Aに配置された状態において、笠木部材21の連結部22に沿うように設けられる(図6参照)。溝32は、壁10の幅方向DWにおいて外壁材19の表面19Aまで延びる。
【0034】
溝32は、第1溝側面32Aと、第1溝側面32Aに対向する第2溝側面32Bと、溝底面32Cと、を有する。第1溝側面32Aおよび第2溝側面32Bは、プレート本体部34から上に延びて、笠木20の裏面に繋がるように構成される(図5参照)。具体的には、第1溝側面32Aは、プレート本体部34から上に延びて、互いに連結される2個の笠木部材21のうちの一方の笠木部材21の裏面21Aに繋がる。第2溝側面32Bは、プレート本体部34から上に延びて、互いに連結される2個の笠木部材21のうちの他方の笠木部材21の裏面21Aに繋がる。
【0035】
図7および図9に示されるように、例えば、排水ガイド30Aは、第1ガイド41と、第2ガイド42とを備える。第1ガイド41は、プレート31に設けられて第1溝側面32Aの少なくとも一部分を構成する。第2ガイド42は、プレート31に設けられて第2溝側面32Bの少なくとも一部分を構成する。第1ガイド41および第2ガイド42は、圧縮された状態で笠木20の裏面に接触する。第1ガイド41および第2ガイド42は、可撓性を有する樹脂によって構成される。例えば、第1ガイド41および第2ガイド42は、ゴムによって構成される。ゴムの例として、エチレン・プロピレンゴム、シリコンゴム、ニトリルゴムが挙げられる。ゴムは、多孔性構造を有してもよい。
【0036】
排水ガイド30Aは、シーリング樹脂29を介して壁本体17の天面17Aに配置される(図5参照)。排水ガイド30Aが壁本体17の天面17Aに設けられた状態において、溝32の外側部分には、シーリング樹脂29が設けられる(図6図17参照)。溝32の外側部分のシーリング樹脂29は、プレート31と笠木部材21との間の隙間SBを埋めるように設けられる。
【0037】
排水ガイド30Aは、傾斜するように配置される。例えば、排水ガイド30Aは、溝32の溝底面32Cが壁本体17の内側面17Bから外側面17Cに向かって下方に傾斜するように、設置される。排水ガイド30Aの傾斜は、排水ガイド30Aの取り付け時に付けられる。例えば、プレート本体部34が壁本体17の内側面17Bから外側面17Cに向かって下方に傾斜するように、シーリング樹脂29に排水ガイド30Aを押し付ける。
【0038】
図10図15を参照して、壁10の隅部用の排水ガイド30Bを説明する。隅部用の排水ガイド30Bの説明において、直線部用の排水ガイド30Aと同じ構成については、同じ符号を付して、簡潔に説明する。
【0039】
図10に示されるように、排水ガイド30Bは、壁本体17の隅部15に配置される。図11に示されるように、排水ガイド30Bは、プレート31と、溝32と、を有する。
【0040】
溝32は、プレート31に設けられる。溝32は、笠木部材21の連結部22に沿うように設けられる。溝32は、第1溝側面32Aと、第1溝側面32Aに対向する第2溝側面32Bと、溝底面32Cと、を有する。第1溝側面32Aおよび第2溝側面32Bは、笠木20の裏面に繋がるように構成される。
【0041】
図11および図13に示されるように、例えば、排水ガイド30Bは、第1ガイド41と、第2ガイド42とを備える。第1ガイド41は、プレート31に設けられて第1溝側面32Aの少なくとも一部分を構成する。第2ガイド42は、プレート31に設けられて第2溝側面32Bの少なくとも一部分を構成する。第1ガイド41および第2ガイド42の構成は、直線部16の排水ガイド30Bの第1ガイド41および第2ガイド42の構成に準ずる。
【0042】
図12に示されるように、プレート31は、壁本体17の天面17Aに沿うプレート本体部34と、壁10の隅部15の側面に沿う端部50と、を有する。具体的には、プレート31は、プレート本体部34と、壁10の入隅の側面に沿う入隅端部51と、壁10の出隅の側面に沿う出隅端部52と、を有する。
【0043】
図13に示されるように、入隅端部51は、第1入隅端部51Aと、第2入隅端部51Bと、を有する。
第1入隅端部51Aは、壁本体17の内側面17Bに沿うように構成される。第1入隅端部51Aは、第1プレート部材57(後述参照)の端部の折り曲げによって構成される。第2入隅端部51Bは、壁本体17の内側面17Bに沿うように構成される。第2入隅端部51Bは、第2プレート部材58(後述参照)の端部の折り曲げによって構成される。第2入隅端部51Bは、第1入隅端部51Aに交差し、かつ、第1入隅端部51Aに繋がる。
【0044】
図14に示されるように、出隅端部52は、第1出隅端部52Aと、第2出隅端部52Bと、を有する。第1出隅端部52Aは、壁本体17の外側面17Cに沿うように構成される。第1出隅端部52Aは、第1プレート部材57(後述参照)の端部の折り曲げによって構成される。第2出隅端部52Bは、壁本体17の外側面17Cに沿うように構成される。第2出隅端部52Bは、第2プレート部材58(後述参照)の端部の折り曲げによって構成される。第2出隅端部52Bは、第1出隅端部52Aに交差し、かつ、第1出隅端部52Aに繋がる。
【0045】
図10および図11に示されるように、プレート本体部34は、壁本体17の入隅の縁に沿う内側角縁53と、壁本体17の出隅の縁に沿うように外側角縁54と、第1端縁55と、第2端縁56とを有する。第1端縁55は、内側角縁53の第1端と外側角縁54の第1端とを繋ぐ縁である。第2端縁56は、内側角縁53の第2端と外側角縁54の第2端とを繋ぐ縁である。第2端縁56は、第1端縁55に平行に構成される。
【0046】
内側角縁53は、第1入隅端部51Aが設けられる第1内側角縁53Aと、第2入隅端部51Bが設けられる第2内側角縁53Bとを有する。外側角縁54は、第1出隅端部52Aが設けられる第1外側角縁54Aと、第2出隅端部52Bが設けられる第2外側角縁54Bとを有する。
【0047】
図11図15および図16に示されるように、例えば、排水ガイド30Bのプレート31は、第1プレート部材57と、第1プレート部材57に接続される第2プレート部材58とを備える。第1プレート部材57に第2プレート部材58が接続されることによって、プレート31が構成される。
【0048】
第1プレート部材57は、第1プレート本体部57Aと、第1入隅端部51Aと、第1出隅端部52Aとを有する。第1プレート本体部57Aには、第2プレート本体部58Aに重なる第1重ね代57Bが設けられる。
【0049】
第2プレート部材58は、第2プレート本体部58Aと、第2入隅端部51Bと、第2出隅端部52Bとを有する。第2プレート本体部58Aには、第1プレート本体部57Aに重なる第2重ね代58Bが設けられる。
第1プレート部材57と第2プレート部材58とは、第1重ね代57Bと第2重ね代58Bとが重なる部分の溶接によって接続される。第1プレート部材57と第2プレート部材58とは、リベットで接続されてもよい。
【0050】
第1入隅端部51A、第2入隅端部51B、第1出隅端部52A、および、第2出隅端部52Bそれぞれは、本体端部61と、本体端部61に重ねられる補強部62とを有する。補強部62は、本体端部61に繋がっている。補強部62が本体端部61に折り重ねられることによって、本体端部61が補強される。
【0051】
第1入隅端部51Aには、第2入隅端部51Bに重なる第3重ね代51Cが設けられる。第3重ね代51Cは、第2入隅端部51Bに設けられてもよい。第1出隅端部52Aには、第2出隅端部52Bに重なる第4重ね代52Cが設けられる。第4重ね代52Cは、第2出隅端部52Bに設けられてもよい。
【0052】
排水ガイド30Bにおける入隅端部51は、第1プレート部材57の第1入隅端部51Aと、第2プレート部材58の第2入隅端部51Bとの連結によって構成される。例えば、次のように、入隅端部51が構成される。
【0053】
第1プレート部材57において、第1入隅端部51Aは、第1プレート本体部57Aに対して折り曲げられる。第2プレート部材58において、第2入隅端部51Bは、第2プレート本体部58Aに対して折り曲げられる。第1プレート本体部57Aに対して折り曲げられた第1入隅端部51Aは、第3重ね代51Cによって、第2プレート本体部58Aに対して折り曲げられた第2入隅端部51Bに繋がれる。このため、第1入隅端部51Aと第2入隅端部51Bとの間の隙間SCは小さくなる。
【0054】
排水ガイド30Bにおける出隅端部52は、第1プレート部材57の第1出隅端部52Aと、第2プレート部材58の第2出隅端部52Bとの連結によって構成される。例えば、次のように、出隅端部52が構成される。
【0055】
第1プレート部材57において、第1出隅端部52Aは、第1プレート本体部57Aに対して折り曲げられる。第2プレート部材58において、第2出隅端部52Bは、第2プレート本体部58Aに対して折り曲げられる。第1プレート本体部57Aに対して折り曲げられた第1出隅端部52Aは、第4重ね代52Cによって、第2プレート本体部58Aに対して折り曲げられた第2出隅端部52Bに繋がれる。このため、第1出隅端部52Aと第2出隅端部52Bとの間の隙間SCは小さくなる。
【0056】
本実施形態の作用を説明する。
図17に示されるように、笠木部材21の連結部22の下には、排水ガイド30が設けられる。排水ガイド30は、連結部22から漏れる雨水を受けて、壁本体17の外側に案内する。これによって、壁本体17の天面17Aの中央部分から雨水が浸透することを抑制できる。排水ガイド30は、溝32を有する。溝32の第1溝側面32Aと第2溝側面32Bとは、笠木20の裏面に繋がれる。これによって、雨水が、溝32から溢れて壁本体17の天面17Aに広がることが少なくなる。集中豪雨では、笠木部材21の連結部22から漏れる雨水が多くなる虞があるが、このような場合でも、適切に雨水が壁本体17の外側に排出される。このようにして、壁本体17が保護される。
【0057】
本実施形態の効果を説明する。
(1)壁10は、排水ガイド30を備える。排水ガイド30は、壁本体17と笠木20との間に配置される。排水ガイド30は、プレート31と、溝32とを有する。溝32は、笠木20の連結部22に沿うように設けられる。溝32の第1溝側面32Aおよび第2溝側面32Bは、笠木20の裏面に繋がる。この構成によれば、笠木部材21の連結部22から入る雨水は、溝32に沿って案内される。第1溝側面32Aと第2溝側面32Bとが共に笠木20の裏面に繋がるため、雨水が溝32から漏れることが抑制される。このようにして、雨水に対する壁本体17の保護を向上できる。
【0058】
(2)排水ガイド30は、第1ガイド41と、第2ガイド42とを備える。第1ガイド41および第2ガイド42は、圧縮された状態で笠木20の裏面に接触する。この構成によれば、第1ガイド41および第2ガイド42が圧縮された状態で笠木20の裏面に接触することによって、第1ガイド41と笠木20との間の隙間SDおよび第2ガイド42と笠木20との間の隙間SDが小さくなる(図17参照)。このため、溝32から雨水が溢れることが少なくなる。
【0059】
(3)壁10において、排水ガイド30の溝32の外側部分には、プレート31と笠木部材21との間の隙間SBを埋めるようにシーリング樹脂29が設けられる(図17参照)。この構成によれば、シーリング樹脂29によって排水ガイド30のプレート31と笠木部材21との間の隙間SBが埋められるため、溝32から雨水が溢れることが少なくなる。
【0060】
(4)壁10において、溝32の溝底面32Cが、壁本体17の内側面17Bから外側面17Cに向かって下方に傾斜するように、排水ガイド30が設置されてもよい。この構成によれば、壁10の内側に流れる雨水の量を少なくできる。これによって、壁10の内側の領域に雨水が溜まることを少なくできる。
【0061】
(5)排水ガイド30の溝32は、壁10の幅方向DWにおいて外壁材19の表面19Aまで延びる。この構成によれば、壁本体17と外壁材19との間の隙間SAに雨水が侵入することを少なくできる。
【0062】
(6)壁10の直線部用の排水ガイド30Aにおいて、排水ガイド30Aのプレート31は、1個のプレート部材38によって構成される。排水ガイド30Aは、壁本体17の天面17Aに沿うように配置されるプレート本体部34と、壁10の側面に沿う第1端部35および第2端部36と、を有する。第1端部35および第2端部36は、プレート部材38の折り曲げによって構成される。この構成によれば、排水ガイド30Aの第1端部35および第2端部36をプレート本体部34と別部材で構成する場合に比べて、簡単に第1端部35および第2端部36を構成できる。
【0063】
(7)壁10の隅部用の排水ガイド30Bは、プレート本体部34と、入隅端部51と、出隅端部52と、を有する。排水ガイド30Bのプレート31は、第1プレート部材57と、第1プレート部材57に接続される第2プレート部材58とを備える。入隅端部51は、第1プレート部材57の第1入隅端部51Aと、第2プレート部材58の第2入隅端部51Bとの連結によって構成される。出隅端部52は、第1プレート部材57の第1出隅端部52Aと、第2プレート部材58の第2出隅端部52Bとの連結によって構成される。
【0064】
この構成によれば、入隅端部51において第1入隅端部51Aと第2入隅端部51Bとの間の隙間SCを小さくできるため、第1入隅端部51Aと第2入隅端部51Bとの間から壁本体17に進入する雨水の量を少なくできる。また、出隅端部52において第1出隅端部52Aと第2出隅端部52Bとの間の隙間SCを小さくできるため、第1出隅端部52Aと第2出隅端部52Bとの間から壁本体17に進入する雨水の量を少なくできる。
【0065】
<変形例>
上記実施形態は、壁10が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。壁10は、上記実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例を示す。
【0066】
実施形態では、笠木20を有する塀に排水ガイド30の技術が適用されている。排水ガイド30に関する技術は、笠木20を有するパラペットまたは縦壁に適用することもできる。
【0067】
笠木20の形態は、限定されない。笠木部材21は、窯業系部材によって構成されてもよい。例えば、擁壁または土留めの笠木20は、複数の窯業系の笠木部材21によって構成される。この場合、複数の窯業系の笠木部材21の連結部22の下に排水ガイド30が設けられる。
【0068】
上記実施形態では、第1ガイド41と第2ガイド42とによって溝32を構成しているが、溝32の構成はこれに限定されない。例えば、第1ガイド41と第2ガイド42とを省略し、シーリング樹脂29によって、第1溝側面32Aを有するガイドと第2溝側面32Bを有するガイドとを構成してもよい。
【0069】
上記実施形態では、プレート31において溝32の外側部分にシーリング樹脂29が設けられるが、シーリング樹脂29を省略してもよい。例えば、第1ガイド41および第2ガイド42の幅が十分に大きい場合には、シーリング樹脂29を省略してもよい。また、プレート31において溝32の外側部分にシーリング樹脂29以外の防水部材を設けてもよい。防水部材の例として、所定形状に成形された弾性樹脂部材が挙げられる。弾性樹脂部材として、ウレタン樹脂が挙げられる。
【0070】
笠木部材21は、複数の部材から構成されてもよいし、1つ部材から構成されてもよい。笠木部材21が複数の部材から構成される場合、複数の部材の継ぎ目から水が漏れないように、複数の部材の結合部分は上下方向に重ねられる。
【符号の説明】
【0071】
DW…幅方向、SA…隙間、SB…隙間、SC…隙間、SD…隙間、1…建築物、10…壁、11A…内側面、11B…外側面、12A…内側面、12B…外側面、15…隅部、16…直線部、17…壁本体、17A…天面、17B…内側面、17C…外側面、19…外壁材、19A…表面、20…笠木、21…笠木部材、21A…裏面、22…連結部、29…シーリング樹脂、30…排水ガイド、30A…排水ガイド、30B…排水ガイド、31…プレート、32…溝、32A…第1溝側面、32B…第2溝側面、32C…溝底面、34…プレート本体部、38…プレート部材、41…第1ガイド、42…第2ガイド、50…端部、51…入隅端部、51A…第1入隅端部、51B…第2入隅端部、52…出隅端部、52A…第1出隅端部、52B…第2出隅端部、57…第1プレート部材、58…第2プレート部材。
図1
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