(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】位置検出装置
(51)【国際特許分類】
G01B 21/22 20060101AFI20240123BHJP
G01B 7/30 20060101ALI20240123BHJP
G01D 5/12 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
G01B21/22
G01B7/30 H
G01D5/12 A
(21)【出願番号】P 2021504953
(86)(22)【出願日】2020-03-03
(86)【国際出願番号】 JP2020008916
(87)【国際公開番号】W WO2020184295
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-01-20
(31)【優先権主張番号】P 2019043295
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100195648
【氏名又は名称】小林 悠太
(74)【代理人】
【識別番号】100175019
【氏名又は名称】白井 健朗
(74)【代理人】
【識別番号】100104329
【氏名又は名称】原田 卓治
(72)【発明者】
【氏名】須山 佑貴
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 正貴
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-255217(JP,A)
【文献】米国特許第4967445(US,A)
【文献】中国実用新案第203606722(CN,U)
【文献】実開昭63-52929(JP,U)
【文献】米国特許第4184384(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 21/22-21/26
G01B 7/30-7/315
G01B 11/26-11/275
G01B 13/18-13/195
G01D 5/00-5/252
5/39-5/62
G01D 5/26-5/38
F16H 51/00-51/02
G05G 1/00-25/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転中心軸を中心に回転するレバー部材と、
前記レバー部材の回転に伴い前記回転中心軸を中心に回転する被検出部と、
前記被検出部の回転を検出する回転検出部と、を備え、
前記レバー部材は、
前記回転中心軸に近い部位に位置する厚板部と、
前記厚板部よりも前記回転中心軸から遠くに位置し、前記厚板部よりも薄く形成される薄板部と、
前記レバー部材の表面及び裏面の少なくとも何れかに位置し、前記レバー部材の長手方向に沿って延びる溝部と、を備え
、
前記溝部における前記回転中心軸に対向する先端部は、
前記溝部の先端側に近づくにつれて互いの距離が近づくように傾斜し、前記溝部の側面に対して鈍角をなす一対の傾斜面と、
前記一対の傾斜面の先端側を連結する円弧状の円弧面と、を備える、
位置検出装置。
【請求項2】
前記レバー部材は、前記厚板部と前記薄板部の間に位置し、前記厚板部と前記薄板部を繋ぐテーパ部を備える、
請求項1に記載の位置検出装置。
【請求項3】
前記テーパ部は、前記厚板部の表面と前記薄板部の表面を繋ぐ傾斜面を備え、
前記傾斜面は、前記レバー部材の短手方向において中央から外側に向かうにつれて高さが低くなるように形成される、
請求項2に記載の位置検出装置。
【請求項4】
前記レバー部材は、
前記回転中心軸に沿って延びるピン保持孔を有するレバー本体部と、
前記レバー本体部の前記ピン保持孔内に固定された状態で前記被検出部が取り付けられるピンと、を備え、
前記レバー本体部は、
前記溝部である第1溝部と、
前記第1溝部に対して前記レバー部材の短手方向の両側に位置し、前記長手方向に沿って延びる第2溝部と、
前記第2溝部の前記回転中心軸に近い端部同士を前記ピンの周囲を通って繋ぐ円弧状に延びる第3溝部と、を備える、
請求項
1に記載の位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に記載の回転センサ装置においては、レバーエレメントの回転に伴いマグネットエレメントがセンサエレメントに対して回転する。これにより、センサエレメントによりレバーエレメントの回転が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開第2017/0276511号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の構成では、レバーエレメントはその回転中心軸から回転中心軸に直交する方向に延びる平板状に形成されている。このため、レバーエレメントにおける回転中心軸から遠い端部に回転中心軸に沿う方向に力が加わった場合、レバーエレメントにおける回転中心軸の周辺部に応力が集中するおそれがあった。
【0005】
本発明は、上記実状を鑑みてなされたものであり、応力集中を抑制できる位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る位置検出装置は、
回転中心軸を中心に回転するレバー部材と、
前記レバー部材の回転に伴い前記回転中心軸を中心に回転する被検出部と、
前記被検出部の回転を検出する回転検出部と、を備え、
前記レバー部材は、
前記回転中心軸に近い部位に位置する厚板部と、
前記厚板部よりも前記回転中心軸から遠くに位置し、前記厚板部よりも薄く形成される薄板部と、
前記レバー部材の表面及び裏面の少なくとも何れかに位置し、前記レバー部材の長手方向に沿って延びる溝部と、を備え、
前記溝部における前記回転中心軸に対向する先端部は、
前記溝部の先端側に近づくにつれて互いの距離が近づくように傾斜し、前記溝部の側面に対して鈍角をなす一対の傾斜面と、
前記一対の傾斜面の先端側を連結する円弧状の円弧面と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、位置検出装置において、応力集中を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る位置検出装置の断面図である。
【
図2】本発明の第1の実施形態に係る位置検出装置の斜視図である。
【
図3】本発明の第1の実施形態に係る位置検出装置の平面図である。
【
図5】本発明の第2の実施形態に係る位置検出装置の断面図である。
【
図6】本発明の第2の実施形態に係る位置検出装置の斜視図である。
【
図7】本発明の第2の実施形態に係る(a)は位置検出装置の平面図であり、(b)は(a)の部分拡大図である。
【
図8】本発明の第2の実施形態に係る裏側から見たレバー部材の斜視図である。
【
図10】本発明の変形例に係る位置検出装置の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1の実施形態)
本発明に係る位置検出装置の第1の実施形態について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、位置検出装置10は、磁気検出素子20と、回路基板30と、コネクタ端子31と、磁石ユニット40と、ケース50と、レバー部材60と、を備える。
【0010】
ケース50は、樹脂により形成され、図示しない車体側に固定される。ケース50は、回転中心軸Oを中心に磁石ユニット40を回転可能に収容する磁石ユニット収容部51と、回路基板30を収容する基板収容部52と、コネクタ端子31の先端が位置するコネクタ部53と、を備える。
【0011】
磁石ユニット収容部51は、レバー部材60の回転中心軸Oに沿って延び、回転中心軸Oの一方側(
図1の左側)に向けて開口する有底穴を有する。磁石ユニット収容部51の開口部には、磁石ユニット40が磁石ユニット収容部51内に位置した状態で、平板リング状の蓋部51fが嵌め込まれる。
基板収容部52は、磁石ユニット収容部51に対して回転中心軸Oに沿って並び、回転中心軸Oの他方側(
図1の右側)に向けて開口する矩形穴を有する。
【0012】
コネクタ部53は、基板収容部52に対して回転中心軸Oに直交する軸直交方向Cに沿って並び、軸直交方向Cにおいて回転中心軸Oから離れる方向に開口する長方形筒状をなす。
【0013】
回路基板30は、軸直交方向Cに沿う方向で、基板収容部52内に固定される。磁気検出素子20は、ホール素子又は磁気抵抗効果素子等が樹脂により覆われてなり、回路基板30における後述する磁石41に対向する面に設置される。磁気検出素子20は、磁石ユニット40の回転に伴う磁場の変化を検出する。
コネクタ端子31の基端は回路基板30に接続され、コネクタ端子31の先端はケース50のコネクタ部53内に位置する。図示しないケーブルがコネクタ部53に接続されることにより、磁気検出素子20により検出された検出信号が回路基板30、コネクタ端子31を介して外部に出力される。
【0014】
図1に示すように、磁石ユニット40は、磁石41と、ブッシュ42と、を備える。
磁石41は、円板状に形成され、磁石ユニット40の回転に伴い磁気検出素子20に磁場の変化を与える。
ブッシュ42は樹脂により形成され、回転中心軸Oに沿って延びる円筒状をなす。ブッシュ42は、ケース50の磁石ユニット収容部51内で回転中心軸Oを中心に回転可能に設けられる。ブッシュ42は、磁石保持部42aと、ピン保持部42bと、を備える。磁石保持部42aは、ブッシュ42における磁気検出素子20に対向する端面に位置し、磁石41を保持する穴を有する。ピン保持部42bは、レバー部材60に対向する端面に位置し、レバー部材60の後述するピン68を保持する穴を有する。例えば、ブッシュ42及び磁石41は、インサート成形により一体で形成される。ブッシュ42の外周面には、リング状のシール部材42sが嵌め込まれている。シール部材42sは、磁石ユニット収容部51の内周面に当接し、磁石ユニット収容部51内に水等が浸入することが抑制される。
【0015】
図1及び
図2に示すように、レバー部材60は、回転中心軸Oから軸直交方向Cに沿う長手方向に延びる部材であり、回転中心軸Oを中心に図示しないリンク部材により回される。詳しくは、レバー部材60は、レバー本体部61と、ピン68と、被取付部69と、を備える。
【0016】
レバー本体部61は樹脂により形成される。レバー本体部61は、薄板部62と、テーパ部63と、厚板部64と、を備える。回転中心軸Oに近い方から、厚板部64、テーパ部63及び薄板部62の順で軸直交方向Cに沿って配置される。厚板部64、テーパ部63及び薄板部62のそれぞれの裏面(
図1の右側の面)は同一平面で形成される。
【0017】
図1及び
図2に示すように、厚板部64は回転中心軸Oに沿って延びる円筒状に形成される。厚板部64の回転中心軸Oに沿う方向の厚さは、薄板部62の同方向の厚さよりも厚く形成される。一例として、厚板部64の厚さは、薄板部62の厚さの2倍~3倍厚く形成される。厚板部64は回転中心軸Oに沿って延びるピン保持孔64aを有する。ピン保持孔64a内にはピン68が固定されている。ピン68は、回転中心軸Oに沿って延びる円柱状に形成される。例えば、レバー本体部61とピン68はインサート成形により一体で形成される。ピン68における磁石ユニット40に近い端部は、レバー本体部61の裏面に対して突出している。ピン68の当該端部はピン保持部42b内に保持される。例えば、ピン68の当該端部はブッシュ42のピン保持部42b内に圧入される。これにより、レバー部材60と磁石ユニット40は一体で形成される。
【0018】
テーパ部63は、軸直交方向C(長手方向)において、厚板部64及び薄板部62の間に設けられる。テーパ部63は、厚板部64の表面(
図1の左側の面)及び薄板部62の表面(
図1の左側の面)を連結する傾斜面63aを有する。傾斜面63aは、厚板部64から薄板部62に近づくにつれて高さが低くなるように形成される。
また、
図4に示すように、傾斜面63aは、レバー部材60の幅方向W(短手方向)において中央から外側に向かうにつれて高さが低くなるように形成される。言い換えると、傾斜面63aは幅方向Wにおいて上側に凸の曲面状をなす。よって、テーパ部63の厚さは、幅方向Wの中央にて最も厚くなり、幅方向Wの中央から外側に向かうにつれて厚さが薄くなる。
【0019】
図2及び
図3に示すように、薄板部62は、軸直交方向Cにおけるテーパ部63の外側に位置し、軸直交方向Cに長い平板状をなす。詳しくは、薄板部62の厚さ方向は回転中心軸Oに沿った方向に一致し、薄板部62の幅方向Wの長さは薄板部62の先端に近づくにつれて小さくなるように形成される。薄板部62の先端側には、薄板部62の厚さ方向に貫通し、被取付部69を保持する貫通孔62aが形成される。被取付部69は、金属によりリング状に形成されている。被取付部69は図示しないリンク部材に取り付けられている。
【0020】
次に、位置検出装置10の作用について説明する。
図示しないリンク部材は直線運動を回転運動に変換し、変換した回転運動をレバー部材60に伝達する。これにより、
図3に示すように、レバー部材60が回転中心軸Oを中心に回転方向Rに回転する。すると、
図1に示すように、レバー部材60のピン68とともに磁石ユニット40が回転中心軸Oを中心に回転する。この際、磁気検出素子20は、磁石ユニット40の回転に伴う磁場の変化を検出し、その検出結果を示す検出信号をコネクタ端子31を介して外部に出力する。
【0021】
図1に示すように、レバー部材60の先端部に回転中心軸Oに沿う力Fが加わると、レバー部材60の厚板部64に応力が発生する。しかしながら、厚板部64は薄板部62よりも厚く形成されるため、応力集中が抑制され、力Fに伴うレバー部材60の変形が抑制される。
【0022】
(効果)
以上、説明した第1の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)位置検出装置10は、回転中心軸Oを中心に回転するレバー部材60と、レバー部材60の回転に伴い回転中心軸Oを中心に回転する被検出部の一例である磁石ユニット40と、磁石ユニット40の回転を検出する回転検出部の一例である磁気検出素子20と、を備える。レバー部材60は、回転中心軸Oに近い部位に位置する厚板部64と、厚板部64よりも回転中心軸Oから遠くに位置し、厚板部64よりも薄く形成される薄板部62と、を備える。
この構成によれば、レバー部材60の先端部に力Fが加わった場合でも、厚板部64は薄板部62よりも厚く形成されるため、応力集中が抑制されるとともに、レバー部材60の変形が抑制される。
【0023】
(2)レバー部材60は、厚板部64と薄板部62の間に位置し、厚板部64と薄板部62を繋ぐテーパ部63を備える。
この構成によれば、テーパ部63により、厚板部64と薄板部62の間で段差が形成されない。一般的に段差周辺に応力が集中しやすいため、テーパ部63により段差をなくすことにより、応力集中が抑制されるとともに、レバー部材60の変形が抑制される。
【0024】
(3)テーパ部63は、厚板部64の表面と薄板部62の表面を繋ぐ傾斜面63aを備える。傾斜面63aは、レバー部材60の短手方向において中央から外側に向かうにつれて高さが低くなるように曲面状に形成される。
この構成によれば、テーパ部63の厚さは、幅方向Wの中央にて最も厚くなり、幅方向Wの中央から外側に向かうにつれて厚さが薄くなる。よって、テーパ部63の中央に応力が集中するため、レバー部材60にねじれが生じることが抑制される。
また、テーパ部63の幅方向Wの外側を薄くすることができる。このため、レバー部材60、ひいては、位置検出装置10の軽量化を図ることができる。
さらに、傾斜面63aが曲面状に形成されることにより、レバー部材60を成形する金型の抜きが容易となる。
【0025】
(第2の実施形態)
本発明に係る位置検出装置の第2の実施形態について、図面を参照して説明する。以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。
【0026】
図6に示すように、レバー部材60の表面には、溝部61a,61b,61c,61dが形成される。溝部61a,61b,61cは、軸直交方向C(長手方向)に沿って延び、幅方向Wに並べられる。溝部61a,61b,61cは、薄板部62、テーパ部63及び厚板部64に及ぶ範囲に形成される。溝部61a,61b,61c,61dの底面は同一平面上に位置する。溝部61a,61b,61c,61dは、レバー部材60の厚さに比例した深さに設定される。例えば、
図5に示すように、厚板部64における溝部61bは、薄板部62における溝部61bよりも深く設定される。
【0027】
図7(a)に示すように、溝部61a,61cは、それぞれレバー部材60の表面における幅方向Wの両外側に位置する。溝部61bは、レバー部材60の表面における幅方向Wの中央であって、溝部61a,61cの間に位置する。溝部61a,61cの幅は、溝部61bの幅よりも小さく設定される。
溝部61a,61b,61cにおける軸直交方向Cの外側の端部は半円弧状をなす。
図7(b)に拡大して示すように、溝部61bにおけるピン68に近い先端部61b1は先端が丸みを帯びた二等辺三角形状をなす。先端部61b1は、溝部61bの先端側に近づくにつれて互いの距離が近づく傾斜面61b2,61b3と、傾斜面61b2,61b3の先端部を連結する半円状の円弧面61b4と、を備える。溝部61bの側壁面61bsと傾斜面61b2,61b3がなす角度αは鈍角に設定される。例えば、角度αは150°~170°に設定される。このように、先端部61b1には鋭角部分が形成されていないため、応力集中が抑制される。
【0028】
図7(a)に示すように、溝部61dは、溝部61a,61cにおけるピン68に近い端部を繋ぐようにピン68の外周に沿う半円弧状をなす。溝部61a,61c,61dは、ピン68を内在する一連のU字状に延びる溝を形成する。
【0029】
図8に示すように、レバー部材60の裏面には、溝部61e,61f,61g,61hが形成される。溝部61e,61f,61g,61hは、その深さが同一である点を除き、レバー部材60の表面の溝部61a,61b,61c,61dと同様の形状をなす。
図9に示すように、レバー部材60の厚さ方向において、溝部61cと溝部61gは対向し、溝部61bと溝部61fは対向し、溝部61aと溝部61eは対向する。
溝部61a~61hは、レバー部材60の強度を保ちつつ、レバー部材60の軽量化を図るために設けられている。
なお、溝部61b,61fは第1溝部の一例であり、溝部61a,61c,61e,61gは第2溝部の一例であり、溝部61d,61hは第3溝部の一例である。
【0030】
(効果)
以上、説明した第2の実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)レバー部材60は、レバー部材60の表面及び裏面に位置し、レバー部材60の長手方向(軸直交方向C)に沿って延びる溝部61b,61fを備える。溝部61b,61fにおける回転中心軸Oに対向する先端部61b1は、溝部61b,61fの先端側に近づくにつれて互いの距離が近づくように傾斜し、溝部61b,61fの側壁面61bsに対して鈍角である角度αをなす一対の傾斜面61b2,61b3と、一対の傾斜面61b2,61b3の先端側を連結する円弧状の円弧面61b4と、を備える。
この構成によれば、先端部61b1には鋭角部分が形成されていないため、応力集中が抑制される。これにより、レバー部材60の変形が抑制されるとともに、レバー部材60の破損が抑制される。特に、レバー部材60の先端に力が加わった場合、レバー部材60の回転中心軸Oの周辺に応力が集中しやすい。このため、溝部61b,61fにおける回転中心軸Oに対向する先端部61b1において応力集中を抑制することは有益である。
【0031】
(2)レバー部材60は、回転中心軸Oに沿って延びるピン保持孔64aを有するレバー本体部61と、レバー本体部61のピン保持孔64a内に固定された状態で磁石ユニット40が取り付けられるピン68と、を備える。レバー本体部61は、第1溝部の一例である溝部61b,61fと、溝部61b,61fに対してレバー部材60の短手方向(幅方向W)の両側に位置し、長手方向(軸直交方向C)に沿って延びる第2溝部の一例である溝部61a,61c,61e,61gと、溝部61a,61c,61e,61gの回転中心軸Oに近い端部同士をピン68の周囲を通って繋ぐ円弧状に延びる第3溝部の一例である溝部61d,61hと、を備える。
この構成によれば、溝部61a,61c,61dと,61e,61g,61hは、それぞれ一連のU字状の溝を形成する。よって、溝の距離を長くすることができ、よりレバー部材60の軽量化を図ることができる。
また、溝部61d,61hはレバー部材60の基端側に位置する。レバー部材60の先端側に力Fが加わった場合でも基端側には応力が集中しづらい。よって、溝部61d,61hを設けても、レバー部材60の強度が低下することが抑制される。
【0032】
なお、本発明は以上の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。以下に、変形の一例を説明する。
【0033】
(変形例)
上記第2の実施形態におけるレバー部材60の溝部の位置は適宜変更可能である。例えば、
図10に示すように、レバー部材60の側面61sには、溝部61i,61j,61kが形成される。溝部61i,61j,61kは軸直交方向C(長手方向)に沿って並べられ、回転方向Rの外側に向けて開口する有底穴として形成される。また、レバー部材60の側面61sと反対側の側面にも、溝部61i,61j,61kと同様の3つの溝部が形成される。この場合、
図11に示すように、レバー部材60は断面H字状をなす。
【0034】
上記各実施形態においては、位置検出装置10は、磁気型であったが、磁気型に限らず、光学型、静電容量型又は接点型等であってもよい。
【0035】
上記各実施形態においては、テーパ部63は、薄板部62と厚板部64の間に設けられていたが、テーパ部63は省略してもよい。また、薄板部62と厚板部64が省略され、テーパ部63がレバー部材60の基端から先端まで形成されてもよい。
【0036】
上記各実施形態においては、レバー部材60の表面と裏面に溝部61a~61hが形成されていたが、レバー部材60の表面の溝部61a,61b,61c,61dが省略されてもよいし、レバー部材60の裏面の溝部61e,61f,61g,61hが省略されてもよい。溝部61a~61hのうち何れか1つ又は複数が適宜省略されてもよい。
【0037】
上記各実施形態においては、位置検出装置10は、コネクタ端子31を備えていたが、これに限らず、回路基板30に接続されるケーブルを備えていてもよい。
【0038】
上記第2の実施形態において、溝部の全ての端部を溝部61b,61fの先端部61b1と同様の形状にしてもよい。反対に、溝部61b,61fの先端部61b1を他の溝部の端部と同様の形状にしてもよい。
【符号の説明】
【0039】
10 位置検出装置
20 磁気検出素子
30 回路基板
31 コネクタ端子
40 磁石ユニット
41 磁石
42 ブッシュ
42a 磁石保持部
42b ピン保持部
50 ケース
60 レバー部材
61 レバー本体部
61a~61k 溝部
61b1 先端部
61b2,61b3 傾斜面
61b4 円弧面
61bs 側壁面
62 薄板部
63 テーパ部
63a 傾斜面
64 厚板部
64a ピン保持孔
68 ピン
69 被取付部
α 角度
C 軸直交方向
O 回転中心軸
R 回転方向
W 幅方向