(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】送風機
(51)【国際特許分類】
F04D 29/54 20060101AFI20240123BHJP
F04D 29/58 20060101ALI20240123BHJP
F04D 25/10 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
F04D29/54 E
F04D29/58 P
F04D25/10 301Z
(21)【出願番号】P 2021542675
(86)(22)【出願日】2020-07-31
(86)【国際出願番号】 JP2020029531
(87)【国際公開番号】W WO2021039291
(87)【国際公開日】2021-03-04
【審査請求日】2022-02-07
(31)【優先権主張番号】P 2019156572
(32)【優先日】2019-08-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】片岡 幹博
(72)【発明者】
【氏名】一橋 直人
【審査官】田谷 宗隆
(56)【参考文献】
【文献】特表平03-501814(JP,A)
【文献】特開昭54-095001(JP,A)
【文献】特開2016-078005(JP,A)
【文献】特開2014-137030(JP,A)
【文献】実開平02-022051(JP,U)
【文献】実開昭56-129880(JP,U)
【文献】登録実用新案第3064973(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/54
F04D 29/58
F04D 25/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を有するモータと、
前記回転軸の軸方向に離間して配置される第1壁及び第2壁と、前記第1壁及び前記第2壁の間に配置される複数の羽根とを有し、前記モータの駆動力により回転することで空気流を生成するファンと、
前記軸方向に延びる筒状に形成され、径方向内側にて前記モータを保持する筒状のモータホルダと、
前記軸方向に延びる筒状に形成され、
前記ファンによって生成されて前記軸方向に流れる空気流の流路を形成するファンケースと、
作業者によって把持されるハンドル部と、を有し、
前記ファンケースは、
前記モータ及び前記モータホルダ、前記ファンを収容する太径部と、
前記太径部よりも径が小さく、前記回転軸の軸線が通過するように配置された開口を有する筒状の先端部と、
前記太径部と前記
先端部を接続し前記軸方向において前記太径部から離れるに従い径が小さくなるように絞られるテーパー部と、
前記テーパー部の内周面から内側に突出し、かつ、内側の端部が前記モータ及びモータホルダ
に接触しないように前記テーパー部に一体成型され、前記回転軸の軸方向に
対して傾斜して延びる
とともに前記空気流を整流する複数のリブを有することを特徴とする送風機。
【請求項2】
前記モータホルダは、前記軸方向における長さが、前記モータよりも短いことを特徴とする請求項1に記載の送風機。
【請求項3】
前記ファンケースは、前記軸方向に垂直な左右方向に分割される2つの部材から形成され、
前記複数のリブは、前記左右方向に延びることを特徴とする請求項2に記載の送風機。
【請求項4】
前記複数のリブは、左右方向視において、前記軸方向で前記ファンから離間する側が前記回転軸に近づくように、前記回転軸に対して傾斜して延びるリブを含むことを特徴とする請求項3に記載の送風機。
【請求項5】
前記モータは、径方向外側が前記モータホルダによって覆われる被覆部と、径方向外側が前記モータホルダに覆われない露出部と、を有することを特徴とする請求項4に記載の送風機。
【請求項6】
前記モータホルダは、径方向外側に一体成型される第2の整流部を有することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項7】
前記第2の整流部は、前記モータ及び前記ファンケースと当接して前記モータを支持する第2の支持部であることを特徴とする請求項6に記載の送風機。
【請求項8】
前記第2の整流部は、前記ファンケースに対して弾性体を介して当接することを特徴とする請求項7に記載の送風機。
【請求項9】
前記第2の整流部は、径方向に延びる第1のリブと、前記軸方向に斜めに延びる第2のリブとを含むことを特徴とする請求項6から8のいずれか一項に記載の送風機。
【請求項10】
回転軸を有するモータと、
前記回転軸の軸方向に離間して配置される第1壁及び第2壁と、前記第1壁及び前記第2壁の間に配置される複数の羽根とを有し、前記モータの駆動力により回転することで空気流を生成するファンと、
前記軸方向に延びる筒状に形成され、径方向内側にて前記モータを保持する筒状のモータホルダと、
前記軸方向に延びる筒状に形成され、
前記ファンによって生成されて前記軸方向に流れる空気流の流路を形成するファンケースと、
作業者によって把持されるハンドル部と、を有し、
前記ファンケースは、
径方向内側に一体成形される第1の整流部と、
前記モータ及び前記モータホルダ、前記ファンを収容する太径部と、
前記太径部よりも径が小さく、前記回転軸の軸線が通過するように配置された開口を有する筒状の先端部と、
前記太径部と前記
先端部を接続し前記軸方向において前記太径部から離れるに従い径が小さくなるように絞られるテーパー部と、
前記テーパー部の内周面から内側に突出するようにテーパー部に一体成型される支持リブ
と、を有し、
前記第1の整流部は、前記ファンケースの内周面から内側に突出し、前記回転軸に対して傾斜して延びる複数のリブを含み、
前記支持リブは、弾性体を介して前記モータと当接し、前記モータを支持することを特徴とする送風機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本体ハウジング内に収納されたファンの回転によって空気を吸気口からハウジング内に吸引し、排出口から本体ハウジング外へ排出させる携帯用の送風機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯用送風機として特許文献1に記載のブロワが知られている。この送風機は、モータにより駆動されるファンによりハウジングに形成された吸込口から外部空気を取り込み、吸引した空気を吹出口に取りつけられたノズルを介して任意の領域に吹き出す構成である。作業者は、送風機のハンドル部を握って、吹き出し対象とする領域にノズルの先端を向けながら作業を行う。送風機による作業には、例えば地面のごみ等を吹き飛ばす作業があり、ノズルを前方斜め下に向けるようにハンドル部を保持し、本体のハウジングを左右に振ることでノズルの先端を左右に振りながら、地面のごみ等を吹き飛ばす。送風機には、遠心ファンや軸流ファンが用いられ、ファンを通過した風を取り込むためのハウジングの吸気口(開口)は、モータの近傍に配置されていた。また、特許文献1の送風機においては、略筒状の本体ハウジングの内部に、モータケーシングを介してモータ全体を収容しながら、モータを本体ハウジングの軸心付近に配置する。モータケーシングは、モータを収容する内筒部分と、ハウジングの内面に接する外筒部分を有し、内筒と外筒の間に放射状に延在する静翼部が形成されることにより、ハウジング内に流れる空気の整流効果を生じさせ、送風性能を向上させるとともに騒音等を低減させている。さらに、モータを保持する内筒部分の下流側開口部分に、別体式の整流コーンを取り付け、整流コーンの外面に、外側に向けて延在する複数の副静翼を形成した。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0004】
携帯用の送風機においては、静翼の整流効果を高めるためには静翼の軸方向長さを長くすることが望ましい。しかしながら、モータケーシングに静翼を設ける構成の送風機では、静翼の大型化はモータケーシングの大型化を招くため、結局はハウジングが大型化して重量の増加を招き、送風機の携帯性を損なってしまう。また、モータケーシングの内筒部分によってモータの全体を収容する関係からモータの冷却性が損なわれるので、モータの冷却対策を十分考慮した設計を行う必要があった。さらに、整流コーン等のモータケーシング側の外周面に複数の静翼をさらに設けることは、成型上好ましくなく、静翼の構成によっては部品点数の増大を招き、製品の製造コストの上昇に繋がってしまう。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、その目的は、ハウジングの大型化を避けつつ、送風性能の向上や騒音の低減を実現させた送風機を提供することにある。本発明の他の目的は、モータの冷却性能を向上させた送風機を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、ハウジングの内壁部に形成する静翼の形状を工夫することにより、従来と同様の射出成形によって静翼を成型できようにして、製造コストの上昇を抑制した送風機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願において開示される発明のうち代表的な特徴を説明すれば次のとおりである。本発明の一つの特徴によれば、回転軸を有するモータと、モータの駆動力により回転し、回転軸の軸方向に空気流を生成するファンと、軸方向に延びる筒状に形成され、径方向内側にてモータを保持する筒状のモータホルダと、軸方向に延びる筒状に形成され、モータ、モータホルダ及びファンを収容して空気流の流路を形成するファンケースと、ファンケースと作業者によって把持されるハンドル部を含んで構成されるハウジングを有する送風機において、ファンケースに径方向内側に第1の整流部を形成した。第1の整流部は、ファンケースの内周面から内側に突出する複数のリブであり、ハウジングと一体に成形すると良い。ここで、モータホルダは、軸方向における長さがモータよりも短く構成する。ファンケースは、モータ、モータホルダ、ファンを収容する太径部と、太径部よりも径が小さく回転軸の軸線が通過するように配置された開口を有する筒状の先端部と、太径部と先端部を接続し軸方向において太径部から離れるに従い径が小さくなるように絞られるテーパー部と、テーパー部に一体成型された空気流を整流する複数のリブを有する。複数のリブは、テーパー部の内周面から内側に突出し、かつ、内側の端部がモータ及びモータホルダに接触しないように、かつ、回転軸の軸方向に対して傾斜して延びるように配置される。
【0007】
本発明の他の特徴によれば、ファンケースは軸方向に垂直な左右方向に分割される2つの部材から形成され、複数のリブは左右方向に延びるように構成される。この構成により、ハウジングの射出成形時の金型の形状を変更するだけで本発明を容易に実現できる。さらに、複数のリブは、2つの部材の分割面と直交方向に内周面から延びるようにした。また、左右方向視において、軸方向でファンから離間する側のリブの形状が回転軸に近づくように形成され、リブのファンに近い側は回転軸に対して傾斜して延びる部分を含むように構成される。
【0008】
本発明の他の特徴によれば、モータは、径方向外側がモータホルダによって覆われる被覆部と、径方向外側がモータホルダに覆われない露出部を有する。ハウジングのファンケース部分は、空気流の流路方向におけるモータよりも下流側において、軸方向においてモータから離れるに従い径が小さくなるように絞られるテーパー部を有し、第1の整流部の大部分又は全部がテーパー部内に配置されるようにした。尚、第1の整流部は、モータの軸受ホルダの外周面に当接して支持する第1の支持部を含むように構成すると良い。
【0009】
本発明のさらに他の特徴によれば、モータホルダは、径方向外側に一体成型される第2の整流部を有する。第2の整流部は、モータ及びファンケースと当接してモータを支持する第2の支持部に形成される。また、第2の整流部は、ファンケースに対して弾性体を介して当接される。さらに、第2の整流部は、径方向に延びる第1のリブと、軸方向に斜めに延びる第2のリブとを含んで構成される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ファンケースの内周側に第1の整流部を形成したので、ファンから排出された空気の旋回流を減衰させることができ、送風性能を向上および騒音の低減を実現できる。また、モータホルダに第2の整流部を形成したので、ファンから出た風を整流することに加えて、モータを支持することが可能となる。さらに、モータホルダはモータ全体を覆うことなく一部分を支持するため、モータの外面が空気流に晒され、モータの冷却性能が向上する。さらに、モータの外側全体を覆わないので、モータホルダの小型軽量化を図ることができ、送風機全体の軽量化を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例に係る送風機1の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1の送風機1の左側のハウジング2とノズル50を取り外した状態の斜視図である。
【
図3】
図1の送風機1の左側のハウジング2を取り外した状態の鉛直断面図である。
【
図4】
図1の送風機1の回転軸線A1を通る水平断面図である。
【
図5】
図1の送風機1の右側のハウジング2とモータホルダの取付け状態を示す斜視図であり、ハウジング2内に流れる風の方向を示した図である。
【
図6】
図5の側面図であって、風の流れを示した図である。
【
図7】
図1のモータホルダ30にモータ11及びファン16を取り付けたファン組立体10の斜視図である。
【
図9】
図8のモータホルダ30単体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0012】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。なお、以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、本明細書においては、前後、上下の方向は図中に示す方向であるとして説明する。
【0013】
図1においてコードレス式の携帯用の送風機1は、例えば樹脂製のハウジング2の内部に、モータ11(
図2で後述)と、ファン16(
図2で後述)とを備え、バッテリパック80の電力により図示しないモータ11を駆動する。図示しないファン16の回転によって生じた空気流は、ノズル50を経由して前方側に噴射される。作業者は、送風機1のハンドル部5を握って作業を行う。一般にはノズル50を前方斜め下に向けて送風機1を保持し、ハンドル部5を前後左右に振ることでノズル50の先端を前後左右に振りながら、机上や床面等の清掃対象領域のごみを吹き飛ばす。
【0014】
ハウジング2は、前後方向中央付近の径が膨らんだような形状のファンケース部3と、ファンケース部3の後方側で細い筒状に形成されたバッテリ装着部4と、ファンケース部3の中央部分とバッテリ装着部4の後方側を接続するハンドル部5と、ファンケース部3の前方側に形成された円筒状の先端部6によって構成され、これらが合成樹脂の成形によって一体に製造される。ハウジング2は左右中央の分割面で2分割された状態でそれぞれ成形され、後述する複数のネジによって固定される。ハウジング2の左側部分は複数のネジボス18a~18m(
図1では、18c、18i~18mは見えない)が形成され、ハウジング2の右側部分のそれらに対応する位置にねじ穴を有するネジボスが形成される。
【0015】
ハンドル部5は作業者が片手で把持する部分であって、ハンドル部5の前側部分は略鉛直方向に延在する前側接続部5bが形成されてファンケース部3の上面と接続され、後側部分は後側接続部5cがバッテリ装着部4の後端部分と接続される。ハンドル部5の把持部5aの上側には、モータ11(
図2で後述)のオン又はオフの操作をするためのスイッチパネル40が設けられる。ハンドル部5の前側接続部5bの左右両側面には、第一吸気口7aが形成される。第一吸気口7aは、ここでは外気を吸引するための開口であり、水平方向に細長い形状のスリットを複数形成したものである。バッテリ装着部4の後方側の左右側面には、第二吸気口7bが設けられる。第一吸気口7aと第二吸気口7bが送風機1の吸気口となる。
【0016】
ハウジング2のバッテリ装着部4の下側にはバッテリパック80が装着される。バッテリパック80を装着するためバッテリ装着部4には、左右方向に所定の距離を隔てて前後方向に水平に延びる2本のレール部(図では見えない)が形成され、バッテリパック80はレール部に沿ってハウジング2の後方側から前方側に水平移動させることによって装着される。バッテリパック80をハウジング2から取り外す際には、左右両側面に設けられるラッチボタン81を押し込みながらバッテリパック80をハウジング2の後方側に水平移動させる。バッテリパック80は電動工具で広く用いられているもので、図示しない複数の電池セルを合成樹脂製のケースの内部に収容したものである。電池セルは、充電及び放電を繰り返し行うことのできる二次電池であって、リチウムイオン電池セル等の公知のものを用いる。バッテリパック80の出力は、例えば直流18V又は36Vであるが、電圧は任意である。
【0017】
ハウジング2にバッテリパック80が装着されると、バッテリパック80の底面と、ハウジング2の前方側に形成された脚部8によって送風機1を机上等に安定して載置可能となる。脚部8は合成樹脂の成形によってファンケース部3と一体に製造される。ノズル50はハウジング2の先端部6の前側に形成された開口6aに接続される別体部品で、先端の直径が小さく、吐出口51から軸線A1方向後方に行くにつれて徐々に太くなるテーパー状に形成される。ノズル50は、先端部6から排出された空気の流路を絞ることによって流速を高めるためと、特定の対象物に空気流を当てやすくするために所定の軸方向長さを有する。ノズル50は合成樹脂の一体成形で製造される。尚、先端部6aに接続されるノズルは、
図1に示すような形状のノズル50だけに限らず、円筒状の直管の先端が扁平状に曲げられたノズルや、湾曲したパイプ等、様々なノズルや延長管でも良い。
【0018】
図2は本発明の実施例に係る送風機1の分解斜視図であって、ノズル50とハウジング2の左側部分を外した状態を示す。ハウジング2は、ファンケース部3とバッテリ装着部4とハンドル部5と先端部6により構成され、モータ11の回転軸線を通る鉛直面にて左右に分割して形成される。ハウジング2の右側パーツには、ねじ穴を有するネジボス17a~17mが形成され、図示しないネジによってハウジング2の左側パーツと固定される。ファンケース部3はハウジング2の一部分であって、内側にモータ11とファン16を収容するために筒状に形成される。ファンケース部3の内側にはモータホルダ30によってモータ11が先端部6の軸心と同心位置に保持される。
【0019】
モータ11は、金属製のケーシングに収容されたブラシ付きの直流モータである。モータ11の内部には、遠心式の冷却ファン14が設けられる。モータ11の後方側に突出する回転軸11a(符号は後述の
図3参照)には、ファン16が設けられる。ファン16は合成樹脂の一体成形で製造されたもので、中央の回転軸部16aから軸方向前方側に斜めに延びる湾曲した複数の羽根16bが形成され、羽根16bの外縁を接続するように円錐形のシュラウド16cが設けられる。
【0020】
モータ11の回転軸(図では見えない)は軸線A1(
図1、
図3参照)と同軸に配置され、モータ11の回転軸を介してファン16が軸支される。モータホルダ30は合成樹脂の一体成形で形成されたもので、径方向外側にハウジング2の内壁面と当接する外筒部36が形成され、軸線A1の近くにはモータ11のケーシングの外周面と当接する内筒部32が形成される。内筒部32と外筒部36の間は径方向に延びるリブ等が形成され、外筒部36と内筒部32が同心となるように固定される。モータホルダ30の形状については
図7等で詳述する。
【0021】
ハンドル部5は、作業者によって把持される把持部5aと、把持部5aの前端とファンケース部3を接続する前側接続部5bと、把持部5aの後端とファンケース部3を接続する後側接続部5cによって形成される。ここで、ハンドル部5の前側接続部5bとファンケース部3との前方側の接続部分は空気の流れができないように区画される。一方、ハンドル部5とファンケース部3との後方側の接続部分は内部空間が連通するように構成され、空気がハンドル部5とファンケース部3の間で流れるように構成される。
【0022】
第一吸気口7aを介して取り込まれた外気は、ハンドル部5の内部を後方側に流れて、バッテリ装着部4内の空間を後方から前方側に流れて、第二吸気口7bから吸引されル空気と合流してファン16に到達する。ファン16から前方側に排出された空気は、モータホルダ30の外筒部36の内側を通過して、モータ11の収容する空間(ファンケース部3の内部空間)に到達し、先端部6からノズル50(
図1側)側に吐出される。ファンケース部3の内部空間では、主にファンケース部3の内壁面に沿った外周側部分に多くの空気が流れ、モータ11の外周面に近い内周側付近の空気の流れは低くなる。そのため、流れる空気の流量に比べてモータ11の冷却効果が十分高いとはいえないが、本実施例では外周面に開口部13が設けられ、開口部13の内側に冷却ファン14が設けられるようなモータ11を用いるようにした。冷却ファン14は、モータ11のケーシングの背面(
図1では前面側)の開口から空気を吸引し、径方向外側に空気を排出する。
【0023】
モータホルダ30の内筒部32のうち軸線A1方向に占める長さは、モータ11の長さ(但し回転軸は長さに含まない)よりも十分短くされる。この結果、モータ11のケーシング外周面の半分以上の領域が送風用の空気の流れる風路内に露出することになる。本実施例では、この風路内に露出する部分をモータ露出部38と定義し、モータホルダ30に覆われる部分をモータ被覆部37(符号は後述の
図4参照)と定義する。モータ11の円筒状のケーシングは、金属製であるため、モータ露出部38を十分確保することによってモータ11の冷却性能を向上させることができる。さらに、モータ露出部38を設けたことによって、開口部13をファンケース部3内の風路内に露出させることができるので、モータ11の内部の冷却性能も十分達成できる。
【0024】
モータ11の前方側の端部には、軸線A1方向外側に突出する凸状の軸受ホルダ15
b(
図3で後述)がモータ支持リブ(第1の支持部)2
5に固定される。この固定に際して振動吸収のために、モータ支持リブ25
と軸受ホルダ15bの間にダンパ28が取り付けられる。モータ支持リブ25はファンケース部3の内壁部から分割面方向に延びるように形成されたもので、ハウジング2と一体に成型される。モータ支持リブ25の前方側には湾曲状の第2の案内部27が形成される。第2の案内部27はモータ支持リブ25上面及び下面から前方に連続するような湾曲した斜面を形成し、上側斜面及び下側斜面の先端が接続される。モータ支持リブ25の前方側には湾曲状の第1の案内部26が形成され、モータ支持リブ25の後面側での空気の乱れを防止する。モータ11の外周部を流れる空気の大部分は先端部6に接続されるノズル50の内部に流れ、一部の空気が吸入穴15cを介してモータ11の内部空間に後方側に吸入される。第2の案内部27は、モータ支持リブ25の下流側の空気の流れを整流するための案内板であって、モータ11の下流側にて空気流が乱れることが抑制される。
【0025】
右側のハウジング2のファンケース部3の内周面には、内壁から左方向に延びる板状の第一翼21と第二翼22(後述の
図5参照)と第三翼23(後述の
図5参照)と第四翼24が形成される。これら4つの翼部はファンケース部3の内部の空気の流れを整流するために形成される第1の静翼部20を形成する。尚、
図2では第二翼22と第三翼23は、前方側の一部22a、23aしか見えないが、第二翼22と第三翼23の形状は
図5にて詳述する。第一から第四の翼21~24は、第1の整流部の一例である。
【0026】
スイッチパネル40は、モータ11を回転させるオンボタン、回転を停止させるオフボタン、及び、電池警告ランプを搭載したスイッチユニット41の上面に配置され、スイッチユニット41の下側には、回路基板42が設けられる。スイッチパネル40のオンボタンが押されるとモータ11が回転するので、ファン16が回転し、ハンドル部5内に形成された第一吸気口7aとバッテリ装着部4の後方端側面に形成された第二吸気口7bから外気が吸引される。吸引された空気は、バッテリ装着部4の内部空間からファン16に至り、モータホルダ30の内筒部32と外筒部36の間を通過し、モータ11の周囲を前方側に流れ、先端部6からノズル50(
図1参照)に到達する。
【0027】
図3は
図2の送風機1の回転軸線A1を通る鉛直断面図である。ファンケース部3は円筒状の先端部6側から、モータホルダ30を保持する太径部分までテーパー状に広がるテーパー部3aを有するとともに、太径部分の後方側から、バッテリ装着部4への接続部分付近までテーパー状にしぼむような形状である。モータホルダ30から前側部分にかけて、モータ11が後ろ向きに装着される。モータ11の回転軸11aの後端には金属製の取付部材19が設けられ、取付部材19に送風用のファン16が取り付けられる。回転軸1
1aは軸線A1と同心になるようにモータ11が配置される。ファン16は、傘状に拡径する回転軸部16aの外周側から軸線A1方向後方に延在する複数の羽根16bが形成される。羽根16bの後方縁部には、円錐形のシュラウド16cが接続される。
【0028】
モータホルダ30は、その外筒部36の外周部分がハウジング2の右側パーツと左側パーツに挟まれるようにして保持される。外筒部36の上側には凸部36aが形成され、弾性体48を介してハウジング2の凹部3dに保持される。外筒部36は、第2の支持部の一例である。弾性体48は、ゴム製であって、凸部36aを収容する空間(凹部)を有するブロック体である。同様にしてモータホルダ30の下側には凸部36aが形成され、弾性体48を介してハウジング2の凹部3dに保持される。
【0029】
モータ11は、円筒状の金属製のケーシングに収容されたブラシ付きDCモータであり、その後方部分がモータホルダ30の内筒部32に収容される。つまり内筒部32がモータ11を収容する部分(モータ収容部)となる。モータホルダ30の後壁部31には2つのねじ穴が形成され、軸線A1と平行方向に延びるネジ44によってモータ11が固定される。モータ11の後方側部分は、モータホルダ30にて外周面が被われるモータ被覆部37として構成される。このようにモータ11を、後方側を覆うモータホルダ30と、前端のモータ支持リブ25によって保持することによりモータ11のケーシングの外周面の大部分がファンケース部3の内部の風路に晒されることになる。ファン16から、ファンケース部3内を前方側に排出される空気は、先端部6からノズル50側に流入する。
【0030】
図4は
図1の送風機1の回転軸線A1を通る水平断面図である。モータ11はその回転軸が軸線A1と一致するように左右中心位置に配置される。バッテリパック80(
図1参照)の電力によってモータ11が回転すると、モータ11の図示しない回転軸(出力軸)14に取りつけられたファン16が回転することによって矢印F1~F5で示す方向に空気流が発生される。
【0031】
ファン16の周囲には、前方から後方にかけてテーパー状に絞り込まれたファンケース部3の内壁面が、ファン16に流入する空気を所定の方向(前方)に導くためのファンガイドとして機能する。ファン16のシュラウド16cはファンケース部3の内壁面と一定の隙間を保つように近接する位置に配置される。シュラウド16cの軸線A1付近後方側には、円形の開口16dが形成され、ファン16が回転することで開口16dからバッテリ装着部4内の空気を吸引して、傘状の回転軸部16aに沿って矢印F1のように空気が径方向外側に流れ、前方側に排出される。ファン16から排出された空気は矢印F2のようにモータホルダ30の内部を通る。つまり、空気流は中筒部34と外筒部36(ともに符号後述の
図5参照)の間の開口部39b(
図9で後述)を通過し、第1の静翼部20のいずれかの翼(この例示では第三翼23
)の上側を矢印F3のように流れ、モータ支持リブ25の左側上部及び第2の案内部27の上部を矢印F4のように流れて、先端部6の内部空間、即ちノズル50の内部空間に到達する。第三翼23はファンケース部3の内壁面から軸線A1方向に向けて突出するように形成されるが、その内周側縁部23bはモータ11と十分離れる位置にあり、モータ11の外周面に近接しているわけではない。従って、第三翼23よりも内側部分を流れる空気の一部がモータ支持リブ25の後面に当接して向きが内側に曲がり、矢印F5のように流れる。この後、矢印F5のように流れた空気は、冷却ファン14の吸引によって吸入穴15cからモータ11の内部空間に流れる。
【0032】
図4の矢印F1~F4の流れは、ファン16から排出される空気のうち、モータ11の左側の空間を後方から前方に流れる空気流を示したものであるが、モータ11の右側の空間を後方から前方に流れる空気流も同様の流れで先端部6に至る。ハウジング2のファンケース部3の前側の内側壁面は、円筒状の先端部6に向けて先絞りの形状とされ、モータ11の外周面とファンケース部3の内側壁面に沿って軸線A1方向前方に向けて流れる空気流F4を集めて、円筒状に形成された先端部6に案内する。先端部6の円筒部分の後端付近には、先端部6から中に異物が入ることを防ぐための網目状のガード(図示せず)を取りつけるための円環溝6bが形成される。さらに、モータ11の上方及び下方の空間を後方から前方に流れる空気流も同様の流れで先端部6に至るが、この際、矢印F3に相当する上側空間及び下側空間には、案内用の第1の静翼部は形成されない。
【0033】
ハウジング2のファンケース部3の外径は水平断面と垂直断面がほぼ同形であり、軸線A1方向の中央の直径が大きく形成され、その前方側及び後方側がテーパー状に絞り込まれた形状とされる。モータ11は、外筒部36と内筒部32(符号は
図2参照)を有するモータホルダ30によってファンケース部3の左右方向の中央に位置づけられ、軸線A1とモータ11の回転軸が同心状に配置される。先端部6を通過した空気はノズル50の内部空間に到達する。ノズル50の後端付近の外周面には2カ所の凸部52が形成され、先端部6の取付溝部9と係合する。
【0034】
図5は
図1の送風機1の右側のハウジング2とモータホルダ30の取付け状態を示す斜視図であり、ハウジング2内に流れる風の方向を示した図である。矢印F1~F5で示した空気の流れは、
図4で示した空気流に対応している。ここではファン16は矢印45の方向に回転するため矢印F1及びF2も軸方向後方に流れつつ、矢印45と同じ方向に旋回することになる。この旋回に合わせてモータホルダ30の外筒部36と中筒部34の間には、周方向に回転するにつれて前方側にその位置がかわる傾斜面を有する第二の静翼35(後述する
図9参照)が形成される。第二の静翼35に沿って流れた空気は矢印F2のようにモータホルダ30を通過して、前方側に流れる。モータホルダ30の前方側において空気流F3は、ファン16の回転力によって外周面に旋回しながら流れるが、ここでは第一翼21、第二翼22、第三翼23、第四翼24からなる第1の静翼部20に案内されて空気流F3のうち旋回流成分が打ち消されて、軸方向流に近い流れに整流された後に、空気流F4のように流れる。空気流F3の一部の空気は空気流F5のようにモータ支持リブ25にて方向が転換され、第1の案内部26によってモータ11(
図4参照)の内部へ案内される。
【0035】
モータホルダ30は外周側の4カ所において弾性体48を介してハウジング2によって挟持される。ハウジング2の内周面には、略四角形の弾性体48を収容するための2つの凹部3dと2つの凸部3eが、周方向に90度ずつの間隔で交互に設けられる。弾性体48は、ゴムの成型品であって、ハウジング2又はモータホルダ30に形成された凸部(36d、3d)を嵌合させるための凹部48aが形成される。凹部48aは、その緩衝特性を調整するための4つの中空部48bを有する。しかしながら、弾性体48の形状については任意であり、
図5のような形状には限定されない。
【0036】
図6は
図5の側面図であって、
図5と同様に風の流れを示した図である。本図によりハウジング2のファンケース部3の内側に形成された第一翼21、第二翼22、第三翼23、第四翼24からなる第1の静翼部20の側面形状が明確になるであろう。側面視(左方向視)の図は、ハウジング2の右側パーツの金型の取外し方向と直交しており、第一翼21、第二翼22、第三翼23、第四翼24の形状から、その板状の延在部分が金型の取外し方向と一致していることが理解できよう。一方、
図6の前後方向に見て第一翼21、第二翼22、第三翼23、第四翼24の形状は直線状でなく空気流F3の旋回流を抑制するためにわずかに湾曲するような形状である。例えば、第一翼21で見たら、後端部分21bが下方向に湾曲しており、前端21a付近がほぼ水平な面となるように形成される。つまり、左方向視において、第一翼21の軸線A1方向でファン16から離間する側(前側)が回転軸線A1に近づくように、回転軸A1に対して後方側から前方側にかけて傾斜して延びるように形成される。第二翼22、第三翼23、第四翼24も同様の形状である。
【0037】
先端部6の内壁部分に形成される取付溝部9は、側面視でL字状であって、軸線A1と平行に延びる軸方向溝9aと、軸方向溝の後方側端部から周方向に延びる周方向溝9bによって構成される。
図6ではハウジング2の右側パーツに形成された取付溝部9しか図示されていないが、ハウジング2の左側パーツの先端部6の内周壁面にも同様の取付溝部9が形成される。
【0038】
図7は
図1のモータホルダ30にモータ11及びファン16を取り付けたファン組立体10の斜視図である。ファン組立体10は、モータホルダ30の内筒部32に前方側からモータ11を挿入してネジ44(
図3参照)にてネジ止めした後に、モータ11の回転軸11aにファン16を固定したものである。さらに、モータホルダ30の外筒部36の外周面の4カ所には、図では見えない凸部又は凹部が形成され、それぞれに弾性体48が取り付けられる。モータ11の
前方側の軸受ホルダ15b(
図3参照)にダンパ28を装着する。ダンパ28は合成樹脂又はゴムの一体成形によって製造したもので、軸受ホルダ15bの外周面を覆うようなカップ状に構成される。尚、ダンパ28には軸受ホルダ15bの径方向の振動を抑制するために、中空となる部分が複数形成されるが、ダンパ28をどのような形状にして、どのような制震特性を持たせるのかは任意である。
【0039】
モータホルダ30は、内筒部32と中筒部34と外筒部36の三重の円筒部が同心状に配置されたものである。内筒部32がモータ収容部を形成するものであり、内筒部32の内周面がモータ11のケーシングの外周面と当接する。中筒部34と外筒部36の間は、ファン16から排出された空気の主な通路となる部分あって、そこには周方向に斜めに延在する第二の静翼35が形成される。第二の静翼35は周方向に等間隔で7枚形成され、その間の空間が開口部39bとなる。内筒部32と中筒部34の間には、径方向及び軸方向に延在する8枚の径方向リブ33が形成される。8枚の径方向リブ33の間の空間は、ファン16側からモータ11の後方側空間への開口部39aとなるが、ファン16から吐出された空気流の一部は、開口部39bを介してモータホルダ30の後方から前方側に流れる。
【0040】
図8は
図7の組立体(ファン組立体10)の側面図である。この状態は弾性体48が取り付けられていない状態を示している。内筒部32がモータ収容部の主要部品となり、内筒部32の後方側が後壁部31となる。後壁部31には開口31a(
図9にて後述)が形成され、モータ11の軸受ホルダ15aが後方側に開口31aから後方に突出する。モータ11の後方側の2カ所には、モータ11への給電用の電極12a、12bが形成される。電極12a、12bには図示しないリード線が接続され、モータ11に直流電力が供給される。
【0041】
外筒部36の上側及び下側には、弾性体48の凹部に嵌合させるための凸部36aが形成される。一方、外筒部36の左側及び右側(図では右側は見えない)には、略直方体の外形を有する弾性体48が径方向に半分以上埋没するようにした凹部36bが形成される。凹部36bに装着される弾性体48と、凸部36aに装着される弾性体48は同一部品とするが、装着の向きが径方向外向きと内向きのように逆方向に取り付ける。尚、弾性体48の形状や装着方向、凹部36bと凸部36aを設ける位置や個数は任意であり、他の公知の取付方法や緩衝機構を用いるようにしても良い。
【0042】
モータ11単体の後方側略半分(送風機1の方向基準では前方側半分)は、モータ露出部38として示すようにケーシングの外表面が風路内に露出する。また、モータ11には内部に冷却ファン14があり、後方側の吸入穴15c(
図3参照)から空気が冷却ファン14によって吸引され、冷却ファン14
によって径方向外側に開口部13を介して外部に排出される。ここでモータの直径をD
mとすると、内筒部32の直径D
2は、モータの直径D
mよりもわずかに大きい。具体的には、直径D
2はモータの直径D
mに内筒部32の板厚の2倍と、装着に必要な隙間を加えた大きさとする。モータホルダ30の外筒部36の直径D
1は、直径D
2よりも十分大きく構成する。直径D
1は直径D
2の1.5~3倍程度とすると良く、ここでは略2倍としている。モータホルダ30の外筒部36の軸方向の長さL
2は、
モータ11の軸方向長さL及び内筒部32の軸方向の長さL
1よりも短く構成される。この内筒部32と外筒部36の位置と、モータ11の重心位置、軸受けホルダ15bの位置との兼ね合いを調整することによって、モータ11はハウジング2の内部の軸心位置にて安定的に保持される。
【0043】
図9は
図8のモータホルダ30単体の斜視図である。
図9によってモータホルダ30の内筒部32、中筒部34、外筒部36の大きさと、それらの間を接続する径方向リブ33、第二の静翼35の位置関係が理解できるであろう。内筒部32の後面側は、径方向に延在する後壁部31によって閉鎖される。後壁部31の中央軸心にはモータ11の軸受ホルダ15a(
図8参照)を貫通させるための開口31aが形成される。また、開口31aよりも径方向外側には2つのネジ穴31bが形成される。中筒部34、外筒部36の軸線方向の長さは同じである。径方向リブ33は周方向に等間隔で8つ配置され、第二の静翼35は周方向に等間隔に7つ配置される。外筒部36と中筒部34、内筒部32、第二の静翼35、径方向リブ33は、第2の整流部を構成する。また、径方向リブ33は第1のリブの一例であり、第二の静翼35は第2のリブの一例である。
【0044】
第二の静翼35は、周方向に向けて軸線A1位置が変わるように形成されたフィンであって、径方向リブ33に比べて斜めに配置され、ファン16によって後方側から旋回しながら前方側に排出される空気を案内する。ここで第二の静翼35は、軸線A1と直交する平面部35aと、平面部35aの接続部分から周方向、ファン16の回転方向と同じ方向に行くにつれて軸線A1方向の位置が前方になる湾曲部35bによって形成される。尚、第二の静翼35の設置目的は、ファン16から排出された空気を前方側にスムーズに案内することであるので、この目的を達成できるならば第二の静翼35は、平面部35aと湾曲部35bだけで形成するのではなく、その他の形状にて実現しても良い。隣接する第二の静翼35との間は、空気の通り道たる開口部39bとなっており、矢印F2の方向に空気が流れることになる。
【0045】
図10は
図4のA-A部の断面図である。ファンケース部3内においては、モータホルダ30が左右分割式のハウジング2の左側部分と右側部分によって挟持される。従って、モータホルダ30の外筒部36はファンケース部3の内壁と接する又は弾性体を介して接するような構造となる。径方向に見て中筒部34外側と外筒部36内周側の間には、7枚の第二の静翼35が形成され、隣接する第二の静翼35間の空間が空気の流れる開口部39bとなる。第二の静翼35は、空気流を所定の方向に案内する案内板の役割だけでなく、中筒部34外側と外筒部36内周側を連結するフレームとしても機能する。内筒部32外側と中筒部34の間は、空気が流れる主要空間ではないので、モータホルダ30内でモータ11の収容部分(内筒部32)をしっかり保持するための骨格たる径方向リブ33が設けられる。径方向リブ33は径方向及び軸方向に延びる面状であって、周方向に等間隔で8つ形成される。内筒部32外側と中筒部34の間隔は任意であるので、
図10の状態より空気の通り道たる開口部39bを更に広くしたい場合は、中筒部34の直径を小さくして、第二の静翼35を径方向に伸ばして、開口部39bの径方向の大きさを大きくしても良い。
【0046】
以上説明した実施例によれば、ファンケース部3の内周側に第1の整流部20(21~24)を形成したので、ファン16から排出された空気流のうち、旋回成分を減衰させてファンケース部3内の空気の流れをスムーズにでき、送風機1としての送風性能を向上させることができた。また、モータホルダ30に第2の静翼35を形成したので、ファン16から排出された風の乱れを低減させることができる。さらに、第2の静翼35はモータホルダ30と一体に形成されるので、使用するモータ11を変更して製品バリエーションを追加するような場合でも、モータホルダ30の形状を変更するだけで済むので設計変更時のコストを低減できる。
【0047】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上述の実施例ではブロワを用いて送風機の例を説明したが、フィルタ式又はサイクロン式のクリーナーも一種の送風機であり、そのハウジング構成において本発明を適用することができる。その場合は、ファンから排出される下流側の内壁部分に第1の静翼部を設けると良い。
【符号の説明】
【0048】
1…送風機、2…ハウジング、3…ファンケース部、3a、3c…テーパー部、3b…円筒部、3d…凹部、3e…凸部、4…バッテリ装着部、5…ハンドル部、5a…把持部、5b…前側接続部、5c…後側接続部、6…先端部、6a…開口、6b…円環溝、7a…第一吸気口、7b…第二吸気口、8…脚部、9…取付溝部、9a…軸方向溝、9b…周方向溝、10…ファン組立体、11…モータ、11a…回転軸、12a、12b…電極、13…開口部、14…冷却ファン、15a、15b…軸受ホルダ、15c…吸入穴、16…ファン、16a…回転軸部、16b…羽根、16c…シュラウド、16d…開口、17a~17m…ネジ穴部、18a~18m…ネジボス、19…取付部材、20…第1の静翼部(第1の整流部)、21…第一翼、21a…(第一翼の)前端、21b…後端部分、22…第二翼、22a…(第二翼の先端側の)一部、23…第三翼、23a…(第三翼の)先端部、23b…内周側縁部、24…第四翼、25…モータ支持リブ、26…第1の案内部、27…第2の案内部、28…ダンパ、30…モータホルダ、31…後壁部、31a…開口、31b…ネジ穴、32…内筒部(モータ収容部)、33…径方向リブ(第1のリブ)、34…中筒部、35…第2の静翼(第2のリブ)、35a…平面部、35b…湾曲部、36…外筒部、36a…凸部、36b…凹部、37…モータ被覆部、38…モータ露出部、39a、39b…開口部、40…スイッチパネル、41…スイッチユニット、42…回路基板、44…ネジ、45…ファン16の回転方向、48…弾性体、48a…凹部、48b…中空部、50…ノズル、51…吐出口、52…凸部、80…バッテリパック、81…ラッチボタン
A1…モータの回転軸線、F1…ファンを通る空気の流れ、F2…第2の静翼を通る空気の流れ、F3…第1の静翼を通る空気の流れ、F4…第1の静翼により整流された空気が、第2の案内部により排気側へ案内される流れ、F5…第1の静翼により整流された空気が、第1の案内部によりモータ11内部へ案内される流れ、L…モータ軸方向長さ、L1…モータ収容部軸方向長さ、L2…外筒部の軸方向の長さ、D1…モータホルダの直径、D2…モータ収容部の直径、Dm…モータの直径