(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】電池パック及び電気機器システム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240123BHJP
H01M 10/48 20060101ALI20240123BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
H02J7/00 302D
H01M10/48 P
H02J7/00 S
H01M10/44 P
(21)【出願番号】P 2021562546
(86)(22)【出願日】2020-11-13
(86)【国際出願番号】 JP2020042523
(87)【国際公開番号】W WO2021111849
(87)【国際公開日】2021-06-10
【審査請求日】2022-05-26
(31)【優先権主張番号】P 2019220980
(32)【優先日】2019-12-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100122426
【氏名又は名称】加藤 清志
(72)【発明者】
【氏名】小林 晃洋
【審査官】大濱 伸也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-017099(JP,A)
【文献】特開2002-330546(JP,A)
【文献】特開2011-130528(JP,A)
【文献】特開2002-374630(JP,A)
【文献】特開2019-009909(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00-7/12
H02J 7/34-7/36
H01M 10/42-10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池セルが直列に接続された電池セルユニットと、
前記電池セルユニットと電気的に接続される電池側正極端子及び電池側負極端子を有し、外部の電気機器本体の機器側端子部に接続され、前記電池セルユニットの電圧を出力する電池側端子部と、
前記電池セルユニットの電圧より低い電圧を生成する電池側電源部と、
前記電池セルユニットと前記電池側端子部との間に電気的に接続され、所定の不使用条件を満たすと前記電池側端子部からの出力を制限する出力電圧制限部と、
を備え、
前記出力電圧制限部は、前記電池側電源部
の出力を前記電池側端子部に電気的に接続する状態と遮断する状態とに切り替える切替部を有することを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記所定の不使用条件は、前記電池パックが前記電気機器本体に接続されていない状態であることを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
前記所定の不使用条件は、前記電池パックが前記電気機器本体に接続されており前記電気機器本体が作業をしていない状態であることを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項4】
前記電池パックが前記電気機器本体に接続され前記電気機器本体が作業を停止した後、作業しない状態が所定時間継続した場合に前記出力電圧制限部が前記電池側端子部からの出力を制限することを特徴とする請求項3に記載の電池パック。
【請求項5】
前記所定の不使用条件を満たすと、前記電池側端子部から前記電池セルユニットの電圧出力を停止することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項6】
前記所定の不使用条件を満たすと、前記電池セルユニットの電圧より低い電圧を前記電池側端子部から出力することを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項7】
前記出力電圧制限部は、前記電池セルユニットと前記電池側端子部との間の放電経路に設けられ、前記電池セルユニットから前記電池側端子部への出力を停止又は低下させる放電制限部を有することを特徴とする請求項5又は6に記載の電池パック。
【請求項8】
前記電池セルユニットを複数有し、
前記電池側電源部と前記複数の電池セルユニットのいずれかとの接続状態を切り替えるセルユニット切替部と、を備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の電池パック。
【請求項9】
前記電池側端子部に接続可能な前記機器側端子部と
、前記電池側端子部と前記機器側端子部とを介して電源供給を受ける機器側制御部と、を備えた前記電気機器本体と、
請求項1から8のいずれか一項に記載の電池パックと、
を有することを特徴とする電気機器システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パック及び電気機器システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電動工具等の電気機器が、リチウムイオン電池等の二次電池を用いた電池パックにより駆動されるようになって、近年では、電気機器のコードレス化が進んでいる。この種の電気機器では、電池パックが電気機器と脱着可能に構成されている。ここで、放電によって電池パックの電圧が低下した際には、電池パックを電気機器本体から取り外して、電池パックを外部充電装置により充電する。このような電池パックは接続される電動工具等の電気機器の多様化や利便性向上のために、電池出力の高電圧化が求められており、二次電池の性能向上とともに高電圧化が図られてきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電動工具等の電気機器で使用される電池パックは、放電によって電圧が低下した際には、電気機器本体から取り外され、外部充電装置により充電される。その際に電池パックは電気機器本体に装着されるまでは、電池パック単体で持ち運びされる。そのため、電池パック単体や電気機器本体に装着されても電気機器本体で作業を行わないときの電池パックの消費電力を抑制することが要求されている。また、電池パックの接続端子間のショートなどに対する保護機能が電池パックに要求されている。例えば上記先行技術文献に記載の電池パックでは、電池セルの出力をスイッチングする素子が内蔵されており、内蔵されたスイッチング素子は電池セルが過放電のときに電池セルの出力を遮断する構成となっている。また、電池パックにはショート等による過電流(例えば短絡電流)を検出し、電池セルの出力を遮断する回路などが内蔵されているが、当該回路が機能しても電池セルには短い時間ではあるが、短絡電流が流れてしまう。そのため、電池出力の高電圧化が進む中で、短絡電流による電池の故障などが更に懸念されている。また、電池パックの放電経路を遮断してしまうと、電気機器側の制御部と電池パック側の制御部との間で通信を行う場合、電池パックから電気機器側の制御部に電源を供給する構成では、電池パックを電気機器本体に接続しても電気機器側の制御部が駆動されないことが懸念される。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、消費電力の抑制を図る電池パック及び電気機器システムを提供する。また、携帯性向上(取り扱いがし易く)と故障の抑制を図る電池パック及び電気機器システムを提供する。また、電池パックを電気機器本体に接続した際に電気機器本体の制御部が動作できる電池パック及び電気機器システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1実施態様に係る電池パックでは、複数の電池セルが直列に接続された電池セルユニットと、電池セルユニットと電気的に接続される電池側正極端子及び電池側負極端子を有し、外部の電気機器本体の機器側端子部に接続され、電池セルユニットの電圧を出力する電池側端子部と、電池セルユニットと電池側端子部との間に電気的に接続され、所定の不使用条件を満たすと電池側端子部からの出力を制限する出力電圧制限部と、を備える。
【0007】
本発明の第1実施態様に係る電池パックは、電池セルユニットと、電池側端子部と、出力電圧制限部と、を備えている。したがって、この構成によれば、電池パックが所定の不使用条件を満たすと、出力電圧制限部により、電池側端子部の出力電圧を制限することができるため、電池パックの携帯性向上と故障の抑制を図ることができる。
【0008】
本発明の第2実施態様に係る電池パックは、第1実施態様に係る電池パックにおいて、所定の不使用条件は、電池パックが電気機器本体に接続されていない状態である。
【0009】
本発明の第2実施態様に係る電気パックは、第1実施態様に係る電池パックにおいて、所定の不使用条件は電池パックが電気機器本体に装着されていない状態である。したがって、この構成によれば、電池パックが電気機器から外され、電池パック単体のときに出力電圧制限部により、電池側端子部の出力電圧を制限することができるため、電池パックの消費電力を抑制することができる。さらに、電池パックの携帯性向上と故障の抑制を図ることができる。
【0010】
本発明の第3実施形態に係る電池パックは、第1実施態様に係る電池パックにおいて、所定の不使用条件は、電池パックが電気機器本体に接続されており電気機器本体が作業をしていない状態である。
【0011】
本発明の第3実施態様に係る電池パックは、第1実施態様に係る電池パックにおいて、所定の不使用条件は、電気機器本体が作業をしていない状態である。したがって、この構成によれば、電池パックが電気機器に装着され、電気機器本体を作業していない状態のとき、出力電圧制限部により電池側端子部からの出力電圧を制限することができるため、電池パックの消費電力を抑制することができる。
【0012】
本発明の第4実施形態に係る電池パックは、第3実施態様に係る電池パックにおいて、電池パックが電気機器本体に接続され電気機器本体が作業を停止した後、作業しない状態が所定時間継続した場合に出力電圧制限部が電池側端子部からの出力を制限する。
【0013】
本発明の第4実施態様に係る電気パックは、第3実施態様に係る電池パックにおいて、電池パックが電気機器本体に接続され、電気機器本体が作業を停止した後、所定時間作業しない状態が継続したとき、出力電圧制限部が電池側端子部からの出力を制限する。したがって、この構成によれば、電気機器本体の作業終了後、所定時間内に作業が開始されないとき、出力電圧制限部により、電池側端子部からの出力電圧を制限するため、電池パックの消費電力を抑制できる。
【0014】
本発明の第5実施態様に係る電池パックは、第1~第4実施態様に係る電池パックにおいて、所定の不使用条件を満たすと、電池側端子部から電池セルユニットの電圧出力を停止する。
【0015】
本発明の第5実施態様に係る電池パックは、第1~第4実施態様に係る電池パックにおいて、所定の不使用条件を満たすと、電池側端子部の出力電圧を停止する。したがって、この構成によれば、所定の不使用条件を満たしたとき、電池側端子部の出力を停止するため、電池パックの消費電力を抑制することができる。また、電池側端子部の出力を停止するため、短絡等による電池パックの故障の抑制と電池パックの携帯性向上を図ることができる。
【0016】
本発明の第6実施態様に係る電池パックは、第1~第4実施態様に係る電池パックにおいて、所定の不使用条件を満たすと、電池セルユニットの電圧より低い電圧を電池側端子部から出力する。
【0017】
本発明の第6実施態様に係る電池パックは、第1~第4実施態様に係る電池パックにおいて、所定の不使用条件を満たしたとき、電池側端子部の出力には電池セルユニットの電圧より低い電圧が出力される。したがって、この構成によれば、電池パックが不使用の状態のときに、電池パックの電池側端子部の電圧を低くすることができるため、消費電力の抑制を図ることができる。さらに、電池パックの携帯性向上と故障の抑制を図ることができる。
【0018】
本発明の第7実施態様に係る電池パックは、第5~第6実施態様に係る電池パックにおいて、出力電圧制限部は、電池セルユニットと電池側端子部との間の放電経路に設けられ、電池セルユニットから電池側端子部への出力を停止又は低下させる放電制限部を有する。
【0019】
本発明の第7実施形態に係る電池パックは、第5~第6実施態様に係る電池パックにおいて、放電制限部を備える。したがって、この構成では放電経路に放電制限部を設けるだけで、出力を容易に制限することができる。また、電池側端子部の出力が接続される電気機器側に入力されるため、電気機器側の制御部に電源を供給することができる。
【0020】
本発明の第8実施態様に係る電池パックは、第7実施態様に係る電池パックにおいて、電池セルユニットの電圧より低い電圧を生成する電池側電源部を備え、出力電圧制限部は、電池側電源部の出力を電池側端子部に電気的に接続する状態と遮断する状態とに切り替える切替部を有する。
【0021】
本発明の第8実施態様に係る電池パックは、第7実施態様に係る電池パックにおいて、電池側電源部と、切替部とを備える。従ってこの構成では、電池側端子部の出力を切替部によって容易に電池側電源部の出力電圧(低電圧)に切り替えることができる。また、電池側電源部を電池側端子部に接続した状態では、接続される電気機器側に低電圧が入力されるため、電気機器側の制御部に電源を供給することがでる。
【0022】
本発明の第9実施態様に係る電池パックは、第8実施態様に係る電池パックにおいて、電池セルユニットを複数有し、電池側電源部と複数の電池セルユニットのいずれかとの接続状態を切り替えるセルユニット切替部と、を備える。
【0023】
本発明の第9実施態様に係る電池パックは、第8実施態様に係る電池パックにおいて、複数の電池セルユニットと、セルユニット切替部と、を備える。従って、この構成では、複数の電池セルユニットを備えた構成でも、セルユニット切替部により、第8実施態様に係る電池パック同様の効果を得ることができる。また、電池側電源部と接続される電池セルユニットを切り替えることができるため、電池セルユニット間の電圧のアンバランスを抑制することができる。
【0024】
本発明の第10実施態様に係る電気機器システムは、電池側端子部に接続可能な機器側端子部と、電池側端子部と機器側端子部とを介して電源供給を受ける機器側制御部と、を備えた電気機器本体と、第1~第9実施態様のいずれかの電池パックと、を有する。
【0025】
したがって、この構成によれば、電池パックが所定の不使用条件を満たすと、電池側端子部からの出力を制御することができるため、電池パックの携帯性向上と故障の抑制を図ることができる。さらに、電気機器システムの消費電力の抑制を図ることができる。また、電池パックを電気機器本体に接続した際に電気機器本体の制御部が動作することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明の実施形態によれば、消費電力の抑制を図る電池パック及び電気機器システムを提供することができる。また、携帯性向上と故障の抑制を図る電池パック及び電気機器システムを提供することができる。また、電池パックを電気機器本体に接続した際に電気機器本体の制御部が動作できる電池パック及び電気機器システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の第1実施の形態に係る電気機器システムの回路構成図である。
【
図2】本発明の第1実施の形態に係る電気機器システムの電源制御方法を説明する動作モード表である。
【
図3】本発明の第1実施~第3実施の形態に係る電気機器システムの電源制御方法を説明するフローチャートである。
【
図4】本発明の第1実施の形態に係る電気機器システムの電源制御方法を説明するタイミングチャートである。
【
図5】本発明の第2実施の形態に係る電気機器システムの回路構成図である。
【
図6】本発明の第3実施の形態に係る電気機器システムの回路構成図である。
【
図7】本発明の第2実施の形態及び第3実施の形態に係る電気機器システムの電源制御方法を説明する動作モード表である。
【
図8】本発明の第2実施の形態及び第3実施の形態に係る電気機器システムの電源制御方法を説明するタイミングチャートである。
【
図9】本発明の第1実施の形態の変形例に係る電気機器システムの回路構成図である。
【
図10】発明の第1実施の形態の変形例に係る電気機器システムの電源制御方法を説明するタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
[第1実施の形態]
図1を用いて、本発明の第1実施の形態に係る電気機器システム1について、説明する。ここで、
図1は電池パック100を電動工具200に接続した状態の電気機器システム1の回路構成を示している。また、電動工具200はコードレスの電動工具であり、電池パック100から電源供給を受けて動作する電気機器(電気機器本体)である。
【0029】
[電気機器システム1の全体構成] 電気機器システム1の全体構成を、
図1を用いて説明する。電気機器システム1は電池パック100と、電動工具200(電気機器本体)と、を含んで構成されている。電池パック100と電動工具200とは、それぞれ外部に複数の接続端子が設けられ、電池パック100を電動工具200に装着すると、電気的に接続する構造となっている。
【0030】
(電池パック100の構成) 電池パック100は電池セルユニット110と、電池側制御部120と、電源回路122と、電流検出部123、トランジスタ130と、トランジスタ131と、を含んで構成されている。さらに、電池パック100は電動工具200に接続される電池側電源端子(電池側正極端子)101と、電池側電源端子(電池側負極端子)106と、接続端子102~105と、を備えている。これら端子は本発明の電池側端子部を構成する。
【0031】
電池パック100の正極端子である電池側電源端子101は、トランジスタ130のソース電極とトランジスタ131のソース電極に接続されている。電池パック100の負極端子となる電池側電源端子106は、電池セルユニット110の負極に接続されている。トランジスタ130のドレイン電極は、電池セルユニット110の正極に接続されている。トランジスタ130のゲート電極は電池側制御部120に接続され、電池セルユニット110の正極と電池側電源端子101との間の遮断導通を制御する。トランジスタ130及びトランジスタ131は、nチャネル導電型絶縁ゲート電界効果トランジスタを用いて構成されている。本実施例では、金属-酸化膜-半導体型電界効果トランジスタ(MOSFET:Metal Oxide Semiconductor FET)を使用している。
【0032】
電源回路122には電池セルユニット110の正極から電源が供給され、電源回路122で生成された電源は電池側制御部120とトランジスタ131のドレイン電極に接続されている。トランジスタ131のゲート電極は電池側制御部120に接続されている。
【0033】
電池側制御部120は接続端子102~105に接続されている。電流検出部123は電池セルユニット110の負極と電池側電源端子106との間に配設され、電池側制御部120に接続されている。
【0034】
(電動工具200の構成) 電動工具200はモータ210と、機器側制御部220と、降圧回路221と、電源回路222と、通信回路223と、電池温度検出回路224と、過放電検出回路225と、トリガSW240と、トランジスタ230と、を含んで構成されている。
【0035】
さらに、電動工具200は電池パック100と接続される、工具側電源端子(工具側正極端子)201と、工具側電源端子(工具側負極端子)206と、接続端子202~205と、を備える。これら端子は本発明の機器側端子部を構成する。工具側電源端子201は降圧回路221とモータ210の一端と、に接続され、モータ210の他端はトランジスタ230のドレイン電極に接続されている。トランジスタ230のソース電極は工具側電源端子206に接続され、ゲート電極は機器側制御部220に接続されている。
【0036】
降圧回路221は工具側電源端子201に接続され、生成された電圧は電源回路222に接続されている。電源回路222で生成された電源が機器側制御部220に接続されている。
【0037】
機器側制御部220は、トリガSW240と、電源回路222と、通信回路223と、電池温度検出回路224と、過放電検出回路225とにそれぞれ接続されている。接続端子202は、通信回路223に接続されている。接続端子203は、機器側制御部220に接続されている。接続端子204は、電池温度検出回路224と通信回路223とに接続されている。接続端子205は、過放電検出回路225に接続されている。
【0038】
電動工具200に電池パック100が装着されると、工具側電源端子201は電池側電源端子101と接続され、工具側電源端子206は電池側電源端子106に接続される。さらに、接続端子202~205は、接続端子102~105にそれぞれ接続される。
【0039】
(電池パック100の回路説明) 電源回路122は降圧電源回路であり、電池セルユニット110から入力された直流電圧を降圧し、電池側の制御系電源として電池側制御部120と、図示していないが電池側制御部120周辺の電池側制御系回路に電源が供給される。例えば、降圧電源回路としてはスイッチング電源で構成され、電池セルユニット110の電圧は1個当たり3.6Vの電池セルが5個直列に接続され18Vであり、降圧した出力電圧は5Vである。また、電池側制御部120には、過電流保護回路、もしくは、電流制限回路、又は過放電保護回路が内蔵されている。
【0040】
電池側制御部120は電動工具200に装着されると、接続端子102~105に接続される信号線によって電動工具200と情報の伝達が行われる。
【0041】
接続端子102に接続される信号線は、電池識別情報や工具識別情報が入出力される。この識別情報は接続端子202を介して、電動工具200の通信回路223に入出力されている。
【0042】
接続端子103に接続される信号線は、電池パックが電動工具に装着されているかを判断できる信号が入力される。接続端子203を介して、電動工具側の機器側制御部220に接続されている。また、電池パックが電動工具に装着されているかを検出する検出部を別途電池パックに配設してもよい。この場合、検出部は、電池パックが電動工具に装着されているかを検出し、電池側制御部120へ当該情報を出力する。例えば、検出部としては、圧力センサ、電圧検出、インピーダンス検出、フォトセンサ、メカニカルスイッチなどがあげられる。
【0043】
接続端子104に接続される信号線は、図示しない電池パック100内の電池セルユニット110に接触して設けられた感温素子による、電池セルユニット110の温度情報が出力される。この温度情報は接続端子204を介して、電動工具200の通信回路223及び電池温度検出回路224に入力されている。
【0044】
接続端子105に接続される信号線は、図示しない電池パック100内の電池保護回路による過放電保護信号が出力される。電池セルユニット110が過放電になったことを電池保護回路で検出し、接続端子205を介して電動工具200の過放電検出回路225に入力されている。
【0045】
電流検出部123は、電池セルユニット110が消費している電流、言い換えると電池セルユニット110から出力される電流(放電電流)を検出する。モータ210が停止状態から回転状態に移行したときの電流の変化を検出し、検出結果を電池側制御部120に入力することで、トリガSW240が操作されたかを判断する。
【0046】
トランジスタ130及びトランジスタ131は、電池パック100の正極となる電池側電源端子101に出力する電圧をスイッチングするスイッチング素子となる。トランジスタ130は電池セルユニット110の正極と電池側電源端子101の間の放電経路に直列に配設され、電池セルユニット110の電池側電源端子101への出力を遮断導通する。トランジスタ131は電源回路122と電池側電源端子101の間の電源経路に直列に配設され、電源回路122の電池側電源端子101への出力を遮断導通する。ここで、トランジスタ130及びトランジスタ131が本発明の出力電圧制限部を構成する。また、トランジスタ130は本発明の放電制限部であって第1のスイッチング素子を構成し、トランジスタ131は本発明の切替部であって第2のスイッチング素子を構成する。
【0047】
これらトランジスタ130及び131を設けることにより、電池側電源端子101を用いて、通常の電池セルユニットの電圧(例えば18V)を出力する機能に加え、後述する機器側制御部220の電源となる低電圧を出力する機能を兼用することができる。そのため低電圧用の新たな端子を設ける必要がなく、端子の設置スペースの増加を抑えることができる。なお、図示していないが、電池側制御部120、と各トランジスタ130、131との間に、トランジスタのゲート電極に印加するための電圧を生成する昇圧回路が設けられていてもよい。
【0048】
(電動工具200の回路説明)
図1に示す電動工具200は、モータ210の回転駆動力を用いた電動工具の回路構成例である。
【0049】
降圧回路221は電池パック100から供給される直流電圧が工具側電源端子201を介して供給され、降圧して電源回路222に接続される。電源回路222は定電圧回路であり、降圧回路221から入力された電圧を安定化し、電動工具200の制御系電源として機器側制御部220及び周辺の制御系回路に電源を供給する。例えば、降圧回路221及び電源回路222はスイッチング電源で構成され、電池パック100の出力電圧は18Vであり、電源回路222の定電圧回路の出力電圧は3.3Vである。
【0050】
通信回路223、電池温度検出回路224及び過放電検出回路225は、機器側制御部220と接続されている。前述した様に、通信回路223、電池温度検出回路224及び過放電検出回路225を介して電池パック100に搭載された電池側制御部120と機器側制御部220は情報のやりとりがされ、機器側制御部220はその情報により、電動工具200の動作制御を行う。
【0051】
トリガSW240は、作業者が電動工具200を操作するスイッチであり、機器側制御部220にはスイッチの状態が入力されている。トリガSW240がオフ状態のときは、機器側制御部220はトランジスタ230のゲート電圧を制御し、トランジスタ230をオフ状態にする。作業者の操作により、トリガSW240がオン状態にされると、機器側制御部220はトランジスタ230のゲート電極を制御し、トランジスタ230がオン状態にされる。トランジスタ230がオン状態にされると、モータ210に電流が流れ、モータ210が回転し、そのモータ210の回転駆動力で電動工具200に取り付けられた先端工具が作動する。
【0052】
(電気機器システム1の電源制御説明) 次に、
図1を参照しつつ、
図2~
図4を用いて、本実施の形態に係る電気機器システム1の電池パック100に搭載の電池側制御部120の電源制御について説明する。
【0053】
図2に示されるように、電池パック100は電池側制御部120による電源制御により、スリープモード、待機モード、通常モードの3つの動作モードに設定が可能である。
【0054】
スリープモードは、電池パック100が電動工具200に装着されていないときに設定されるモードである。待機モードは、電池パック100が電動工具200に装着された直後及び一定時間電動工具が操作されなかったあとに設定されるモードである。通常モードは、作業者が電動工具を使用しているときに設定されるモードである。電池パック100は電池パックの状態と作業者の電動工具の操作を検出し、電池側制御部120の制御プログラムにより動作モードが切り替えられる。
【0055】
電池側制御部120の電源制御に関して、
図3の電源制御フローチャート及び
図4の電源制御タイミングチャートを参照しながら、動作を説明する。
【0056】
まず、電池側制御部120は電池パック100をスリープモードに設定する(ステップS1)。スリープモード中は、トランジスタ130をオフ状態に移行させ、トランジスタ131が一定周期でオンオフを継続的に繰り返す制御が行われる。この制御により電池側電源端子101には、電源回路122の出力電圧と0Vが交互に出力され、電池側電源端子101からの出力が制限される。例えば、本実施例では、50ミリ秒間5V電圧が出力され、その後、5秒間0Vが出力される動作が繰り返される。
【0057】
電池側電源端子101に電圧が出力されている期間に、電池側制御部120は電池パックが電動工具に装着されたかを確認する(ステップS2)。電池側電源端子101に電圧が出力される期間は、電動工具200の降圧回路221及び電源回路222に電圧が供給され、機器側制御部220が動作可能となり、制御部間で通信が可能となる。電池側制御部120は、接続端子103及び接続端子203を介して電動工具200の機器側制御部220との通信の情報で電池パック100が電動工具200に装着されているかを判断する。
【0058】
電池パック100が電動工具200に装着されていないと判断したときは、ステップS1に戻り、スリープモードを継続する。スリープモードは所定(第1)の不使用条件を満たす場合に相当する。電池パック100が電動工具200に装着されたと判断すると、電池側制御部120は、スリープモードから待機モードに状態を切り替える(ステップS3)。スリープモードでは、一定周期で電池側電源端子101の出力をオンオフしていたが、待機モードは出力電圧が保持される。待機モードは所定(第2)の不使用条件を満たす場合に相当し、電池パック100が電動工具200に装着されているが、作業していない状態である。電池側制御部120はトランジスタ131のゲート電極を制御し、オン状態に固定する。
【0059】
例えば、本実施例では、電池側電源端子101には5V出力が保持される。この場合にも電池側電源端子101からの出力が制限される。これにより、電池パック100が電動工具200に装着されると、電動工具200の機器側制御部220に電池側電源端子101を介して電源が供給されるため、電池側制御部120と機器側制御部220との間での通信、例えば電池接続有無の情報、温度情報、過放電情報、履歴情報等の情報の通信を開始することができる。この構成により、電池パック100が電動工具200に接続されていないスリープ状態(第1の不使用条件を満たす場合)や接続されたが動作していない待機状態(第2の不使用条件を満たす場合)には、電池パック100の出力が制限されるため電池セルユニット110の消費電力を抑制することができる。特にスリープ状態では電池側電源端子101からの出力を低下させつつ間欠的に出力させるため一層消費電力を抑制することができる。
【0060】
待機モードに移行後、電池側制御部120はトリガSW240の操作状態及び電池パック100が装着されているかを継続的に監視する(ステップS4及びステップS5)。電動工具200から電池パック100が取り外されたと判断すると、電池側制御部120は電池パック100をスリープモード(ステップS1)に移行させる。トリガSW240が作業者により操作され、電流検出部123の検出結果からトリガSW240のオン状態が検出されると、電池側制御部120は待機モードから通常モードに動作モードを切り替える(ステップS6)。
【0061】
通常モードでは、トランジスタ131をオフ状態、トランジスタ130をオン状態に移行させ、電池側電源端子101の電圧が、電池セルユニット110の電圧に切り替えられる。本実施例では、電池側電源端子101の出力電圧が5Vから18Vに切り替えられる。通常モードでは、機器側制御部220が作業者によるトリガSW240の操作に同期してトランジスタ230を制御し、モータ210に電流を流し、モータを回転させ工具を作動させる。
【0062】
次に、通常モードに移行すると、電池側制御部120には図示していない内蔵されたタイマーのリセットを実行し(ステップS7)、その後、タイマーのカウントアップを起動する(ステップS8)。さらに、タイマーのカウントアップを継続した状態で、トリガSW240が操作されたかを検出する(ステップS9)。仮にトリガSW240の操作がされたと電池側制御部120が判断すると、通常モードを継続したまま、ステップS7に戻りタイマーをリセットする。トリガSW240の操作が無いと電池側制御部120が判断すると、次に、タイマーのカウント値が一定の時間が経過したかを判断する(ステップS10)。本実施例では、一定の時間は10分としているが、変更可能な時間である。仮に、一定の時間が経過したと電池側制御部120が判断すると、電池側制御部120はステップS3に戻り、電池パック100を通常モードから待機モードに移行させる。
【0063】
仮に、一定の時間が経過していないと電池側制御部120が判断すると、次に電池側制御部120は電池パック100が電動工具200に装着されているかを判断する(ステップS11)。仮に、電池パック100が電動工具200から外されたと電池側制御部120が判断すると、ステップS1に戻り、電池側制御部120は電池パック100を通常モードからスリープモードに移行させる。電池パック100が電動工具200に装着されていると判断したときは、ステップS9に戻り、トリガSW240の操作の有無を確認する。
【0064】
(作用効果) 本実施の形態に係る電気機器システム1は、
図1に示されるように電池パック100と電動工具200と、を含んで構成されている。電池パック100は電池セルユニット110と、電池側電源端子101と、電池側電源端子106と、接続端子102~105と、電池側制御部120と、電源回路122と、電流検出部123、トランジスタ130と、トランジスタ131と、を含んで構成されている。
【0065】
ここで仮に、電池パック100が電動工具200に装着されていないとき、制御部間の通信結果から、電池側制御部120は電池パック100が不使用状態であると判断する。電池側制御部120は電池パック100が不使用状態と判断すると(不使用条件を満たすと)、動作モードをスリープモードに移行させる。そのとき、電池側電源端子101には、電池セルユニット110の電圧より低い電圧を生成する電源回路122の出力電圧が間欠的に出力される。従来の電池パックが電動工具に装着されていない状態で持ち運ばれ、電池側電源端子101に電池セルユニット110の電圧が出力されていると電池パック100の電力を消費してしまう。また、接続端子間でショートが発生すると、高電圧出力の電池セルユニット110の正極と負極が直接ショートされることになり、短絡電流により電池セルの発熱や故障の可能性があった。
【0066】
図2~
図4で示した電源制御がされる電池パック100では、電池側電源端子101の出力が電池セルユニット110の電圧より低く制限されているため電池パック100の消費電力を抑制することができる。また、端子間がショートされたとき、電池セルの正極と負極が直接ショートされることはなく、電源回路122の出力がショートされる構成となる。出力がショートされた電源回路122は、過電流保護回路、もしくは、電流制限回路により保護されるため、電池セルユニット110に大きな短絡電流が流れず、電池セルユニット110を保護することができる。
【0067】
また、電池側電源端子101に出力される電圧は間欠的にオンとオフを繰り返すため、仮に端子間ショートされても、電源回路122の出力がショートされる期間は限定される。つまり、
図1~
図4で示した電池パック100は、接続端子間ショートに対して電池セルユニット110を保護する機能を有し、電池パック及び電気機器システムの携帯性向上と故障の抑制を図ることができる。また、電池側電源端子101からは低電圧が出力されているため、電気機器本体側の制御部には電池側電源端子101を介して駆動電圧を供給することができるため、電気機器本体の制御部を起動することができる。電池パック100を電気機器本体に接続すれば、電池パック100の消費電力を抑制しつつ両者の制御部間で通信を行うこともできる。
【0068】
[第2実施の形態]
図5を用いて、本発明の第2実施の形態に係る電気機器システム1Aについて説明する。ここで、
図5は電池パック100aを電動工具200aに接続した状態の電気機器システム1Aの回路構成を示している。
【0069】
[電気機器システム1Aの全体構成] 第2実施の形態に係る電気機器システム1Aは、前述した第1実施の形態に係る電気機器システム1に対して、電池セルユニット110の代わりに2つの電池セルユニットが配設され、更に電池側電源端子部が変更された電池パック100aと、工具側電源端子部が変更された電動工具200aとで構成されている。なお、本実施の形態並びに後述する他の実施の形態において、第1実施の形態に係る電気機器システム1の構成要素と同一の構成要素又は実質的に同一の構成要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0070】
(電池パック100aの構成)
図5を用いて、電池パック100aの構成を説明する。電池パック100aは電池パック100に対し、電池セルユニット110a(上側電池セルユニット)と、電池セルユニット110b(下側電池セルユニット)と、電圧検出部124と、保護IC125と、保護IC126と、トランジスタ132と、スイッチ素子133(セルユニット切替部)と、を更に備えて構成されている。また、電池パック100aは電池パック100の正極側の端子である電池側電源端子(電池側正極端子)101が2つの端子に分割された、セルユニット側電源端子(上側セルユニット正極端子)101aとセルユニット側電源端子(下側セルユニット正極端子)101bを備えている。さらに、電池パック100の負極側の端子である電池側電源端子(電池側負極端子)106が2つの端子に分割された、セルユニット側電源端子(下側セルユニット負極端子)106aとセルユニット側電源端子(上側セルユニット負極端子)106bを備えている。また、電池パック100の電池側制御部120は、電池パック100aでは、セルユニット制御部120aに変更されている。これら端子は本発明の電池側端子部を構成する。
【0071】
電池セルユニット110aの正極はトランジスタ132のドレイン電極に接続され、負極はセルユニット側電源端子106bに接続されている。電池セルユニット110aは複数の電池セルで構成され、それぞれの電池セルの正極及び負極は、保護IC125と接続されている。また、保護IC125はセルユニット制御部120aと接続されている。
【0072】
電池セルユニット110bの正極はトランジスタ130のドレイン電極に接続され、負極は電流検出部123を介して、セルユニット側電源端子106aに接続されている。電池セルユニット110bは複数の電池セルで構成され、それぞれの電池セルの正極及び負極は、保護IC126に接続されている。また、保護IC126はセルユニット制御部120aに接続されている。
【0073】
電圧検出部124はセルユニット側電源端子101a及びセルユニット側電源端子101bに接続され、更に、セルユニット制御部120aに接続される。
【0074】
トランジスタ130のソース電極はセルユニット側電源端子101bに接続され、ゲート電極はセルユニット制御部120aに接続されている。トランジスタ131のソース電極はセルユニット側電源端子101aに接続され、ゲート電極はセルユニット制御部120aに接続されている。トランジスタ132のソース電極はセルユニット側電源端子101aに接続され、ゲート電極はセルユニット制御部120aに接続されている。スイッチ素子133には電池セルユニット110aの正極と電池セルユニット110bの正極がそれぞれ入力され、スイッチ素子133の出力は電源回路122に入力される。スイッチ素子133の制御端子はセルユニット制御部120aに接続されている。
【0075】
(電動工具200aの構成) 電動工具200aは、前述した第1実施の形態に係る電気機器システム1の電動工具200に対し、工具側電源端子(工具側正極端子)201と工具側電源端子(工具側負極端子)206の端子構造を変更したものである。それ以外の回路構成は電動工具200と同一である。
【0076】
工具側電源端子(工具側正極端子)201は、電池パック100aが電動工具200aに装着されたとき、電池パック100aのセルユニット側電源端子(上側セルユニット正極端子)101aとセルユニット側電源端子(下側セルユニット正極端子)101bの双方に接続される端子構造となっている。さらに、工具側電源端子(工具側負極端子)206は、電池パック100aが電動工具200aに装着されたとき、電池パック100aのセルユニット側電源端子(下側セルユニット負極端子)106aとセルユニット側電源端子(上側セルユニット負極端子)106bの双方に接続される端子構造となっている。
【0077】
電動工具200aを電池パック100aに装着すると、電池パック100aのセルユニット側電源端子101aとセルユニット側電源端子101b及び、セルユニット側電源端子106aとセルユニット側電源端子106bがそれぞれショートされるため、電池パック100aの電池セルユニット110aと電池セルユニット110bとは並列接続となる。例えば、本実施例では18V出力の電池セルユニット110aと電池セルユニット110bが並列に接続されるため、電動工具200aの工具側電源端子201には18V(電池セルユニット110a又は電池セルユニット110bの2倍の容量)が入力される。
【0078】
(電池パック100aの回路説明) 電源回路122に接続される電池セルユニットがスイッチ素子133により選択される。セルユニット制御部120aの制御により、電池セルユニット110a、又は、電池セルユニット110bのどちらが選択される。電池パック100aが電動工具200aに装着されていないときは、電池セルユニット110bから電源供給するようにセルユニット制御部120aはスイッチ素子133を制御する。電源回路122は、電池セルユニット110bから入力された直流電圧を降圧し、電池側の制御系電源としてセルユニット制御部120aと、図示していないがセルユニット制御部120a周辺の電池側制御系回路とに電源供給される。例えば、電源回路122は電池パックの高電圧化が図られているため、降圧電源回路としてはスイッチング電源で構成され、電池セルユニット110a及び電池セルユニット110bの電圧は18Vであり、降圧した出力電圧は5Vである。
【0079】
トランジスタ130は、電池セルユニット110bの正極とセルユニット側電源端子101bの間の放電経路に直列に配設され、電池セルユニット110bの正極とセルユニット側電源端子101bの間を遮断導通する。トランジスタ131は電源回路122とセルユニット側電源端子101aの間の電源経路に直列に配設され、電源回路122の出力を遮断導通する。トランジスタ132は電池セルユニット110aの正極とセルユニット側電源端子101aの間の放電経路に直列に配設され、電池セルユニット110aの正極とセルユニット側電源端子101aの間を遮断導通する。
【0080】
電圧検出部124はセルユニット側電源端子101a及びセルユニット側電源端子101bの電圧値を検出し、その検出値はセルユニット制御部120aに入力される。セルユニット制御部120aは、取得した電圧値から電池パックが電動工具に装着されているかを検出することができる。
【0081】
(電気機器システム1Aの電源制御説明)
図7及び
図8を用いて、電気機器システム1Aの電源制御の説明をする。電気機器システム1Aの電源制御は第1実施の形態に係る電気機器システム1の制御と基本的に同一である。電池パック100aは電池パック100にくらべ、電池セルユニットが1つ増えたため、導通遮断制御用のトランジスタ132が追加されている。
図7及び
図8に示すように、追加されたトランジスタ132の制御は、第1実施の形態に係る電気機器システム1のトランジスタ130と同一の制御が行われる。
【0082】
ここで、トランジスタ130、トランジスタ131及びトランジスタ132が本発明の出力電圧制限部を構成する。また、トランジスタ130及び132は本発明の放電制限部を構成し、トランジスタ131は本発明の切替部を構成する。トランジスタ130は第1のスイッチング素子、トランジスタ131は第2のスイッチング素子、トランジスタ132は第3のスイッチング素子を構成する。なお、図示していないが、トランジスタ130、トランジスタ131と同様、セルユニット制御部120aとトランジスタ132との間に、トランジスタ132のゲート電極に印加するための電圧を生成する昇圧回路が設けられていてもよい。また、電源制御のフローチャートは前述した
図3のフローチャートと同一である。
【0083】
(作用効果) このように構成される第2実施の形態に係る電気機器システム1Aは、第1実施の形態に係る電気機器システム1により得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。また、スイッチ素子133を設けたことにより、電源回路122の電源、言い換えると、電源回路122に接続する電池セルユニット、任意のタイミングで切り替えることができるようになる。そのため、2つの電池セルユニットの電圧差が大きくなり電池セルユニット間でアンバランス状態となることを抑制することができる。例えば、電圧検出部124で各電池セルユニットの電圧を検出することで、残容量(残電圧)の大きな電池セルユニットと電源回路122を接続するようにセルユニット制御部120aで制御すればよい。
【0084】
[第3実施の形態]
図6を用いて、本発明の第3実施の形態に係る電気機器システム1Bについて説明する。ここで、
図6は電池パック100aを電動工具200bに接続した状態の電気機器システム1Bの回路構成を示している。
【0085】
[電気機器システム1Bの全体構成] 第3実施の形態に係る電気機器システム1Bは、前述した第2実施の形態に係る電気機器システム1Aに対して、電動工具200aを電動工具200bに置き換えた構成である。
【0086】
(電動工具200bの構成) 電動工具200bは、電動工具200aの電源の正極側入力端子である工具側電源端子(工具側正極端子)201が2つに分割された、工具側電源端子(工具側第1正極端子)201aと工具側電源端子(工具側第2正極端子)201bと、を備えている。さらに、電動工具200aの電源の負極側入力端子である工具側電源端子(工具側負極端子)206が2つに分割された、工具側電源端子(工具側第1負極端子)206aと工具側電源端子(工具側第2負極端子)206bと、を備えている。
【0087】
電池パック100aが電動工具200bに装着されると、工具側電源端子201a、工具側電源端子201b、工具側電源端子206a及び工具側電源端子206bは、それぞれセルユニット側電源端子101a、セルユニット側電源端子101b、セルユニット側電源端子106a及びセルユニット側電源端子106bに接続される。また、工具側電源端子201bは工具側電源端子206bに接続されている。
【0088】
ここで、電池パック100aが電動工具200bに装着されると、電池セルユニット110aと電池セルユニット110bが直列に接続される。すなわち、電池セルユニット110aの正極はセルユニット側電源端子101a及び工具側電源端子201aを介してモータ210に接続される。電池セルユニット110aの負極はセルユニット側電源端子106b、工具側電源端子206b、工具側電源端子201b及びセルユニット側電源端子101bを介して電池セルユニット110bの正極に接続される。電池セルユニット110bの負極はセルユニット側電源端子106a、工具側電源端子206a、及びトランジスタ230を介してモータ210に接続される。この構成により、2つの電池セルユニット110a及び110bは直列接続される。例えば、本実施例では18V出力の電池セルユニット110aと電池セルユニット110bが直列に接続されるため、電動工具200bの工具側電源端子201aには36Vが入力される。
【0089】
(電気機器システム1Bの電源制御説明) 電気機器システム1Bの電源制御は、第2実施の形態に係る電気機器システム1Aと同一である。
【0090】
(作用効果) このように構成される第3実施の形態に係る電気機器システム1Bは、第2実施の形態に係る電気機器システム1Aにより得られる作用効果と同様の作用効果を得ることができる。
【0091】
[その他の実施の形態] 本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲において、種々変形可能である。
【0092】
例えば、
図9に示す電気機器システム1Cのように、
図1の構成において、トランジスタ131を削除し、電動工具200との接続状態又は電池側制御部120の状態(スリープモード、待機モード、通常モード)に応じて、トランジスタ130のスイッチング動作を制御してもよい。この場合、
図4のトランジスタ131のオンオフ信号と同様に、トランジスタ130のゲート電極を電池側制御部120によりPWM制御すればよい。
図10に示すように、スリープ状態の場合(第1の不使用条件を満たす場合)には、第1のデューティ比で第1のPWM制御を行い、待機モード状態の場合(第2の不使用条件を満たす場合)には第1のデューティ比の第1のPWM制御、又は第1のデューティ比より大きい第2のデューティ比で第2のPWM制御を行い(
図10では、第2のPWM制御で記載)、通常モード状態や電動工具200が駆動している場合(不使用条件を満たさない場合)には、第2のデューティ比より大きい第3のデューティ比、例えばデューティ比100%で第3のPWM制御(電池セルユニットの電圧を出力)を行う。この構成でも、電動工具200が接続されていない場合や電動工具200が作業していない場合の不使用状態における電池パック100bからの出力電圧を抑えることができるため、上記と同様の作用効果を得ることができる。更に、この構成では、スイッチング素子となるトランジスタ131を削除できるため製造コストを抑えることもできる。
【0093】
なお、トランジスタ131を削除しない場合には、トランジスタ130をPWM制御しているときはトランジスタ131を遮断(オフ)すればよい。また、第1のPWM制御や第2のPWM制御の際に電池側電源端子101からの出力が連続的な直流電圧となるように電池パック内に平滑回路を設けてもよい。平滑回路は電動工具200側に設けてもよく、降圧回路221や電源回路222に平滑回路を兼用させてもよい。なお、第2のPWM制御はなくしてもよい。これらの変形は
図5や
図6にも適用することができる。
【0094】
また、本発明において電池パックが電動工具に装着されたかが検出できればよいため、その構成は上記実施の形態に記載された事項に限定されるものではない。また、上記実施の形態に係る電気機器システム1において、トランジスタ131はトランジスタに限定されない。本発明では、電池側電源端子101にカソード電極を接続し、電源回路122の出力にアノード電極を接続した、整流ダイオードに置き換えることが可能である。
【0095】
また、
図5又は
図6において、2つの電池セルユニット110a、110bにそれぞれ放電回路に接続してもよい。両電池セルユニットの電圧にアンバランスが生じた場合に、電圧が大きいほうの電池セルユニットに接続された放電回路を動作させて放電させ、両電池セルユニットの電圧をバランスさせることもできる。バランスさせることで、両電池セルユニットを並列接続した際に、高電圧側から低電圧側に大電流が流れることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0096】
1,1A,1B,1C…電気機器システム、100,100a,100b…電池パック、101,106…電池側電源端子、101a,101b,106a,106b…セルユニット側電源端子、201,201a,201b,206,206a,206b…工具側電源端子、102~105,202~205…接続端子、110,110a,110b…電池セルユニット、120…電池側制御部、120a…セルユニット制御部、122,222…電源回路、123…電流検出部、124…電圧検出部、125,126…保護IC、130,131,132,230…トランジスタ、133…スイッチ素子、200,200a,200b…電動工具、210…モータ、220…機器側制御部、221…降圧回路、223…通信回路、224…電池温度検出回路、225…過放電検出回路、240…トリガSW