(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】水供給装置
(51)【国際特許分類】
E03B 1/04 20060101AFI20240123BHJP
E03B 11/02 20060101ALN20240123BHJP
E03B 7/07 20060101ALN20240123BHJP
E03B 5/00 20060101ALN20240123BHJP
【FI】
E03B1/04
E03B11/02 Z
E03B7/07 Z
E03B5/00 A
(21)【出願番号】P 2022080450
(22)【出願日】2022-05-16
【審査請求日】2023-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】片岡 奈々美
(72)【発明者】
【氏名】小林 礼奈
【審査官】五十幡 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開平8-284218(JP,A)
【文献】特開平7-275853(JP,A)
【文献】中国実用新案第214197336(CN,U)
【文献】特開2012-12805(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03B 1/00- 1/04
E03B 5/00- 7/14
E03B 11/00-11/16
E03C 1/00- 1/33
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が貯留されるタンクと、
蛇口と、
上記タンクと上記蛇口とを連通する第1管と、
上記タンクと上記蛇口とを連通する第2管と、
ポンプと、
上記蛇口の開閉を検知する検知部と、
制御部と、を備えており、
上記タンクは、第1室と第2室とに区画されており、
上記第1室に、水が流入する流入口と、上記第1管と連通する供給口と、が位置しており、
上記第2室に、上記第2管と連通する戻し口が位置しており、
上記ポンプは、上記第2室から上記第1室へ第1フィルタを通じて水を送り、
上記制御部は、
上記蛇口が閉であることを示す上記検知部の検知信号に基づいて上記ポンプを駆動し、
上記蛇口が開であることを示す上記検知部の検知信号に基づいて上記ポンプを停止する水供給装置。
【請求項2】
上記蛇口は、水が流通可能な開口と、上記開口を開閉するパッキンと、を有しており、
上記検知部は、上記パッキンの圧力を検知する圧力センサである請求項1に記載の水供給装置。
【請求項3】
上記第2管に上記タンクへ向かう水の流れを許容する逆止弁をさらに備える請求項1又は2に記載の水供給装置。
【請求項4】
空気中の水分を抽出して水を得る水生成装置をさらに備えており、
上記水生成装置は、上記タンクへ水を供給する請求項1又は2に記載の水供給装置。
【請求項5】
上記第1室は、上記流入口が位置する第1サブ室と、上記供給口が位置する第2サブ室とに区画されており、
上記第2サブ室は、上記第1サブ室と第2フィルタを通じて水を流通可能であり、
上記ポンプは、上記第2室から上記第2サブ室へ水を送る請求項4に記載の水供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
建物内において衛生的な水を供給するために、建物内の水栓に浄水器が取り付けられたり、水道の配管に浄水装置が取り付けられたりする。
【0003】
例えば、特許文献1に開示される浄水装置は、宅内本管16を通って各水栓22に供給する水を、水道本管12から宅内に引き込んだときにセントラル浄水器18で浄水する。
【0004】
建物内に引き込まれてセントラル浄水器18を通過した水は、長時間使用されないときには塩素が除去された状態で宅内本管16に滞留することになるため菌が繁殖して水が不衛生になってしまう。このため、特許文献1にかかる浄水装置では、宅内本管16と水栓22とを結ぶ管路内に排水機構3を設け、不衛生になった水を廃棄してから新たな水を導入し管路内の水を常に衛生的な状態に保つことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された浄水装置は、管路内に滞留した水を定期的に廃棄するので、水の消費量が多くなるという問題がある。特に、水の供給が十分でないときに問題が大きくなる。
【0007】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、水を廃棄することなく衛生的な水を供給することができる水供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1) 本発明に係る水供給装置は、水が貯留されるタンクと、蛇口と、上記タンクと上記蛇口とを連通する第1管と、上記タンクと上記蛇口とを連通する第2管と、ポンプと、上記蛇口の開閉を検知する検知部と、制御部と、を備えており、上記タンクは、第1室と第2室とに区画されており、上記第1室に、水が流入する流入口と、上記第1管と連通する供給口と、が位置しており、上記第2室に、上記第2管と連通する戻し口が位置しており、上記ポンプは、上記第2室から上記第1室へ第1フィルタを通じて水を送り、上記制御部は、上記蛇口が閉であることを示す上記検知部の検知信号に基づいて上記ポンプを駆動し、上記蛇口が開であることを示す上記検知部の検知信号に基づいて上記ポンプを停止する。
【0009】
上記構成によれば、蛇口を閉にすることによってポンプが駆動されるため、第2管と第2室に留まる水を第1フィルタによって浄化することができる。これにより、第2管と第2室に留まっていた水を廃棄することなく蛇口から常に衛生的な水を供給できる。
【0010】
(2) 好ましくは、上記蛇口は、水が流通可能な開口と、上記開口を開閉するパッキンと、を有しており、上記検知部は、上記パッキンの圧力を検知する圧力センサである。
【0011】
上記構成によれば、パッキンの圧力を検知する圧力センサによって蛇口の開閉を検知することができるため、蛇口の開閉を検知するための大がかりな機構を備える必要がなく、少ない部品点数で且つ容易に衛生的な水を供給できる水供給装置が実現できる。
【0012】
(3) 好ましくは、上記第2管に上記タンクへ向かう水の流れを許容する逆止弁をさらに備える。
【0013】
上記構成によれば、第2管から第1管への水の逆流を防ぐことで、第1フィルタを通る前の第2管及び第2室の水が蛇口から排出されるのを防止できる。
【0014】
(4) 好ましくは、空気中の水分を抽出して水を得る水生成装置をさらに備えており、上記水生成装置は、上記タンクへ水を供給する。
【0015】
上記構成によれば、周囲空気から水を抽出してタンクに貯留できる。このため、断水したときでも水を確保でき、災害に備えて水を備蓄することもできる。また、第1フィルタで浄化することで飲料水としても利用できる。
【0016】
(5) 好ましくは、上記第1室は、上記流入口が位置する第1サブ室と、上記供給口が位置する第2サブ室とに区画されており、上記第2サブ室は、上記第1サブ室と第2フィルタを通じて水を流通可能であり、上記ポンプは、上記第2室から上記第2サブ室へ水を送る。
【0017】
上記構成によれば、第1管から第2管及び第2室へと水が循環することなくタンクから蛇口に水が送られる場合であっても、第2フィルタによって水が浄化されるため、蛇口から衛生的な水を供給できる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係る水供給装置は、水を廃棄することなく衛生的な水を供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る水供給装置10を建物8とともに示す概略図である。
【
図3】
図3は、水供給装置10のブロック図である。
【
図4】
図4は、水供給装置10のコントローラ22が行う制御を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、変形例1に係る水供給装置10Aを建物8とともに示す概略図である。
【
図6】
図6は、変形例1に係る水供給装置10Aを示す図である。
【
図8】
図8は、水供給装置10Aのコントローラ22が行う制御を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に説明される実施形態は、本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。また、以下の説明においては、建物8が建築された状態における鉛直方向を上下方向1とし、蛇口18が壁から延びる方向であって上下方向1に垂直な方向を左右方向2とする。また、上下方向1及び左右方向2に垂直な方向を前後方向3とする。
【0021】
図1に示されるように、水供給装置10は、建物8に設置されて建物8内において水を供給する装置である。本実施形態における水供給装置10には水道メータMを介して地中に設置された水道本管9から建物8に水道水が引き込まれる。水供給装置10の蛇口18からは、水道の水圧によって水が供給される。
図2に示されるように、水供給装置10は、タンク15と、第1管16と、第2管17と、蛇口18と、圧力センサ(検知部の一例)19と、ポンプ20と、逆止弁21と、コントローラ(制御部の一例)22と、を備えている。
【0022】
図1、
図2に示されるように、タンク15は、建物8内において水道本管9から引き込んだ水を貯留する。タンク15は、室外空間12に配置されている。タンク15は、箱形形状である。タンク15は、内部において2つの空間に仕切る仕切壁13が位置している。タンク15は、仕切壁13によって第1室25と、第2室26とに区画されている。仕切壁13の左右方向2及び前後方向3の中央には第1フィルタ32が位置している。
【0023】
第1室25は、タンク15の下側に位置している。第1室25は、水道本管9に直接連通しており、水道本管9から流入する水を貯留する。第1室25には水道本管9から水が流入する流入口30と、第1管16と連通する供給口31とが位置している。
【0024】
流入口30は、第1室25の下側に位置している。供給口31は、第1室25の左側に位置している。
【0025】
供給口31の上下方向1における位置は、概ね流入口30の上下方向1における位置と同じである。
【0026】
第2室26は、タンク15の上側に位置して、第1室25に隣接する。第2室26は、第1室25に連通している。第2室26は、第1室25と左右方向2及び前後方向3において同じ寸法である。第2室26は、上下方向1において第1室25よりも寸法が小さい。第2室26には、第2管17と連通する戻し口33が位置している。
【0027】
戻し口33は、第2室26の左側且つ上下方向1における下寄りに位置している。戻し口33の左右方向2における位置は、供給口31と同じである。
【0028】
第1フィルタ32は、細菌、塩素、トリハロメタン、残留農薬、臭いなどを除去する。第1フィルタ32は、例えば、活性炭、中空糸膜、不織布、セラミック、イオン交換樹脂、又はこれらを組み合わせて構成される。第1フィルタ32は、第2室26から第1室25に流通する水を浄化する。
【0029】
第1管16は、室外空間12から室内11へと延びている。第1管16は、第1室25と蛇口18とを連通する。第1管16は、一端側が第1室25に接続されており、他端側が後述する内部空間42に接続されている。第1管16は、第1室25と蛇口18の間において左右方向2に延びている。
【0030】
第2管17は、第1管16の上方に位置し、室外空間12から室内11へと延びている。第2管17は、第2室26と蛇口18とを連通する。より具体的には、第2管17は、一端側が第1管16の他端側に接続されており、他端側が第2室26に接続されている。第2管17は、第2室26から左右方向2における左方に延び、左方に延びた先端において屈曲し上下方向1における下方に延びている。
【0031】
蛇口18は、キッチンや浴室などの室内11の設置された場所において水を供給する。蛇口18は、居住者が立った状態の腰よりもやや高く位置している。蛇口18内には、水が流通可能な開口41が形成されている。蛇口18は、居住者によって開閉操作されるハンドル37と、ハンドル37の操作によって上下方向1に移動可能なスピンドル38と、スピンドル38の上下移動にともなって上下方向1に移動可能なコマ39と、コマ39の上下移動によって開口41に形成される流路を閉塞または開放するパッキン40とを有している。開口41は、ハンドル37の操作によるパッキン40の上下方向1の移動によって開閉可能である。
【0032】
蛇口18内における開口41の縁には、蛇口18の開閉を検知する圧力センサ19が取り付けられている。圧力センサ19は、開口41を塞いだ状態のパッキン40の圧力を検知する。圧力センサ19は、コントローラ22に検知信号を出力可能である。圧力センサ19には、例えば、ひずみゲージ式、金属ゲージ式などのゲージ式圧力センサが使用される。圧力センサ19は、蛇口18が閉であるときにパッキン40と接触し、蛇口18が開であるときにパッキン40と離間する。なお、蛇口18は、ハンドル37が開操作されるとスピンドル38が上方に移動しスピンドル38の下方に位置するコマが上方へ移動することで、開口41から水を供給する。ハンドル37が閉じ操作されたときは、スピンドル38が下方に移動し、コマ39が水圧に抗して押し下げられて開口41がパッキン40で塞がれ水の供給が停止する。
【0033】
蛇口18には、開口41の下方に位置する内部空間42と、蛇口18から水が吐出する吐出口43とが形成されている。内部空間42は、開口41がパッキン40で塞がれたとき水が貯留する空間であり、第1管16の他端側に連通している。
【0034】
ポンプ20は、第1室25、第1管16、第2管17、及び第2室26によって形成される水の循環流路44内に水を循環させて第1フィルタ32で水を浄化させる。ポンプ20は、第2室26内に位置しており、第2室26から第1室25に水を送る。循環流路44においては、第1室25、第1管16、第2管17、及び第2室26の順に水が流れる。
【0035】
逆止弁21は、循環流路44において第1管16と第2管17との間で水が第2管17から第1管16に向かって流通するのを遮断する。逆止弁21は、第1管16と第2管17とを繋げる流路上に位置する所謂スイングチャッキバルブである。逆止弁21は、循環流路44において水が流通するとき水圧によって開位置(
図1参照)に位置する。また、循環流路44において水が流通しないときには自重で閉位置(
図2参照)に位置し、逆流するときにおいても水圧によって閉位置に位置する。これにより、逆止弁21は、第1管16から第2管17への水の流通を許容し、第2管17から第1管16への水の流通を遮断する。
【0036】
図3に示されるように、コントローラ22は、CPU50、メモリ51、及び通信バス54を備えている。これらコントローラ22の各構成要素は、通信バス54によって接続される。メモリ51は、例えば、ROMや、RAMや、EEPROMなどである。メモリ51には、水供給装置10の各種動作を制御するためのプログラム56が格納されている。CPU50は、プログラム56をメモリ51を使いつつ実行する。コントローラ22は、水供給装置10の周辺において室内11の壁に設置されている(
図1参照)。コントローラ22は、電源52を備えている(
図3参照)。電源52は、ポンプ20による水の流通制御が可能な可動状態と、電力の供給を停止しポンプ20による水の流通制御ができない停止状態とに切り替える。
【0037】
通信バス54は、圧力センサ19及びポンプ20と電気的に接続される。圧力センサ19は、蛇口18が閉であるときに第1信号を出力し、蛇口18が開であるときに第2信号を出力する。通信バス54は、圧力センサ19から第1信号又は第2信号を受信する。通信バス54は、ポンプ20を駆動又は停止するための制御信号を生成し出力する。
【0038】
[水供給装置10の制御]
以下に、本発明に係る水供給装置10の制御について
図4に示すフローチャートを参照しつつ説明される。水供給装置10におけるポンプ20の圧力センサ19による制御は、通常、電源52がオンの状態であって蛇口18が閉であるときに開始されるため、電源52がオンであり蛇口18が閉であるときに水供給装置10の制御が開始されるものとして説明する。
【0039】
水供給装置10の制御が開始されるときにおいて、タンク15は水道本管9から供給された水で満たされている。第1室25、第1管16、内部空間42、第2管17、第2室26も同様に水で満たされている。また、水で満たされるタンク15、第1室25、第1管16、内部空間42、第2管17、第2室26には、水道本管9から一定の水圧が負荷されている。このとき、ポンプ20が駆動されるとともに逆止弁21が開位置であるため、水は循環流路44を循環している。なお、電源52がオフであった場合には、水は循環流路44内において留まり循環しない。
【0040】
水供給装置10において、まずコントローラ22は、圧力センサ19から第2信号を受信したかを判断する(S10)。コントローラ22は、圧力センサ19から第2信号を受信しないとき(S10:No)、第2信号を受信するまで判断を継続する。つまり、ハンドル37が居住者によって開操作されず、蛇口18が閉のままであるときパッキン40が圧力センサ19と接触したままであるため、コントローラ22は第2信号を受信しない。
【0041】
コントローラ22は、ステップS10において、第2信号を受信したと判断したときは(S10:Yes)、ポンプ20を停止する(S11)。つまり、ハンドル37が居住者によって開操作されて蛇口18が開になったときパッキン40が圧力センサ19から離間するため、コントローラ22は第2信号を圧力センサ19から受信する。これにより、循環流路44における水の流れが停止して逆止弁21が閉位置に移動し、第2管17及び第2室26に水が留まる。吐出口43からは、水道本管9から供給され第1室25、第1管16へと流通した水が水道本管9からの水圧によって流出する。
【0042】
コントローラ22は、圧力センサ19から第1信号を受信したかを判断する(S12)。コントローラ22は、コントローラ22は、圧力センサ19から第1信号を受信しないとき(S12:No)、第1信号を受信するまで判断を継続する。つまり、ハンドル37が居住者によって閉操作されておらず、蛇口18が開のままであるときパッキン40が圧力センサ19から離間したままであるため、コントローラ22は第1信号を受信しない。
【0043】
コントローラ22は、ステップS12において、第1信号を受信したと判断したときは
(S12:Yes)、ポンプ20を駆動する(S13)。つまり、ハンドル37が居住者によって閉操作されて蛇口18が閉になったときパッキン40が圧力センサ19と接触するため、コントローラ22は第1信号を圧力センサ19から受信する。これにより、吐出口43からの水の流出が停止し、循環流路44において水が循環して逆止弁21が水圧によって押し上げられて開位置に移動する。このとき、循環流路44では水道本管9からの水圧が負荷された状態で水が循環し、第1フィルタ32によって水が浄化される。
【0044】
コントローラ22は、ポンプ20を駆動(S13)した後、再び第2信号を受信したかを判断し(S10)上述の工程を繰り返す。
【0045】
[本実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、居住者が蛇口18を閉にすることによってコントローラ22がポンプ20を駆動するため、第2管17と第2室26に留まる水が循環流路44を循環する。これにより、循環する水が第1フィルタ32を通り浄化される。第2管17と第2室26に留まる水は浄化されるため、留まっていた水を廃棄することを要することなく蛇口18から常に衛生的な水を供給できる。
【0046】
また、開口41の縁においてパッキン40の圧力を検知する圧力センサ19によって蛇口18の開閉を検知することができるため、蛇口18の開閉を検知して制御をするための大がかりな機構を備える必要がなく、少ない部品点数で且つ容易に蛇口18から衛生的な水を供給できる。
【0047】
また、逆止弁21によって水が第2管17から第1管16へ流れるのを防ぐことで、第1フィルタ32を通る前の第2管17及び第2室26内の不衛生な水が逆流して蛇口18から排出されるのを防止できる。
【0048】
[変形例]
上述の実施形態においては、水道本管9から水供給装置10に水道水が引き込まれる場合を例にあげて説明したが、この構成に限定されない。例えば、水供給装置10Aは、空気中の水分を抽出して水を得る水生成装置70を備えるものであってもよい。
【0049】
図5、
図6に示されるように、変形例に係る水供給装置10Aは、水生成装置70と、貯留槽71と、タンク15Aと、第1管16Aと、第2管17Aと、蛇口18Aと、圧力センサ19と、ポンプ20と、逆止弁21と、水位センサ81と、コントローラ22と、を備えている。つまり、変形例1に係る水供給装置10Aは、水生成装置70、貯留槽71及び水位センサ81を備える点及びタンク15A、第1管16A、第2管17Aの構成について上述の実施形態とは異なる。以下においては、上述の実施形態と異なる構成、作用及び効果について説明する。
【0050】
水生成装置70は、屋外72又は室内11から空気を取り込んで、抽出した水を貯留槽71に送る。水生成装置70は、建物8の小屋裏74などの蛇口18Aよりも高い場所に位置している。
【0051】
貯留槽71は、水生成装置70で抽出された水を貯留する。貯留槽71は、第1室25Aに水を供給する。なお、貯留槽71には水が溢れないようにオーバーフロー(図示省略)が設置されている。
【0052】
タンク15Aは、室外空間12に配置されている。タンク15は、第1室25Aと、第2室26Aとに区画されている。
【0053】
図5、
図6に示されるように、第1室25Aは、タンク15Aの右側に位置している。第1室25Aは、第1サブ室77と、第2サブ室78と、に区画されている。第1サブ室77と第2サブ室78との間には第2フィルタ80が位置している。第2フィルタの機能などは第1フィルタ32と同様である。
【0054】
第1サブ室77は、貯留槽71から流入する水を貯留する空間である。第1サブ室77は、第1室25Aの上側に位置する。第1サブ室77は箱形である。第1サブ室77は、貯留槽71に対して流れ方向における下流に位置する。第1サブ室77には、貯留槽71からの水が流入する流入口30Aが位置している。
【0055】
流入口30Aは、第1サブ室77の上側の左右方向2における右寄りに位置している。
【0056】
第2サブ室78は、第1室25Aの下側に位置する。つまり、第1サブ室77に対して流れ方向における下流に位置する。第2サブ室78は箱形である。第2サブ室78は、第1サブ室77と左右方向2及び前後方向3において同じ寸法である。第1サブ室77から第2サブ室78に流入する水は、第2フィルタ80を通る。第2サブ室78には、第1管16Aと連通する供給口31Aが位置している。
【0057】
供給口31Aは、第2サブ室78の下側の左右方向2における左寄りに位置している。供給口31Aは、左右方向2において流入口30Aとずれて位置する。供給口31Aは、流入口30Aよりも左右方向2における左方に位置する。
【0058】
第2室26Aは、タンク15Aの左側に位置しており、第2サブ室78に隣接する。第2室26Aは、上下方向1及び前後方向3において第2サブ室78と同じ寸法である。第2室26Aは、左右方向2において第2サブ室78よりも寸法が小さい。第2室26Aは、第2サブ室78に連通している。第2室26Aから第2サブ室78に流入する水は第1フィルタ32Aを通る。第2室26Aには、第2管17Aと連通する戻し口33Aが位置している。
【0059】
戻し口33Aは、第2室26Aの下側且つ左側に位置する。戻し口33Aは、供給口31Aと上下方向1において同じ位置である。
【0060】
第1管16Aは、室外空間12及び室内11において延びている。第1管16Aは、第2サブ室78と蛇口18Aとを連通する。第1管16Aの一端側は第2サブ室78に接続されており、他端側は内部空間42Aに接続されている。第1管16Aは、第2サブ室78から上下方向1における下方に延びるとともに左方に曲がっており、下方において左右方向2における左方に延びている。
【0061】
第2管17Aは、第1管16Aの上下方向1における上方且つ左右方向2における左方に位置し、室外空間12及び室内11において延びている。第2管17Aは、第2室26Aと蛇口18Aとを連通する。第2管17Aの一端側は第2室26Aに接続されており、他端側は第1管16Aの他端側に接続されている。第2管17Aは、第2室26Aから上下方向1における下方に延びるとともに左方に曲がって、さらに左右方向2における左方に延び、その先端において下方に延びる。
【0062】
第2サブ室78には、第2サブ室78の水位を検知する水位センサ81が取り付けられている。水位センサ81は、コントローラ22に検知信号を出力する。水位センサ81は、貯留槽71から供給された水が第2サブ室78内において満水になったかを検知する。水位センサ81には、例えば、フロート式、電波式、超音波式などが使用される。
【0063】
図6及び
図7に示されるように、通信バス54は、圧力センサ19、ポンプ20に加えて水位センサ81、と電気的に接続される。水位センサ81は、第2サブ室78が満水以上のときに第3信号を出力する。通信バス54は、水位センサ81から第3信号を受信する。
【0064】
以下に、変形例に係る水供給装置10Aの制御について
図8に示すフローチャートを参照しつつ説明される。水供給装置10Aにおけるポンプ20の圧力センサ19及び水位センサ81による制御は、上述の実施形態と同様に、電源52がオンの状態であって蛇口18が閉であるときに開始される。このときポンプ20は停止しており、逆止弁21は閉位置である。
【0065】
タンク15Aの水量は、水生成装置70による水の抽出量に左右されるため、常に満たされているとは限らない。少なくとも第2サブ室78、第1管16A、内部空間42A、第2管17A、第2室26Aが水で満たされる場合にのみ制御が可能である。このため、まずコントローラ22は、水位センサ81から第3信号を受信したかを判断する(S30)。つまり、水供給装置10Aの第2サブ室78が水で満たされ、循環流路44Aにおいて水を循環できる程度の水が貯留されているかが判断される。コントローラ22は、水位センサから第3信号を受信しないとき(S30:No)、第3信号を受信するまで判断を継続する。
【0066】
コントローラ22は、水位センサ81から第3信号を受信したとき(S30:Yes)、ポンプ20を駆動する(S31)。これにより、第2サブ室78、第1管16A、第2管17A、第2室26Aを循環流路44Aとして水が循環(
図6参照)して逆止弁21が開位置に移動し、第1フィルタ32Aによって水が浄化される。
【0067】
次に、コントローラ22は、圧力センサ19から第2信号を受信したかを判断する(S32)。コントローラ22は、圧力センサ19から第2信号を受信しないとき(S32:No)、第2信号を受信するまで判断を継続する。つまり、ハンドル37が居住者によって開操作されておらず、蛇口18が閉のままであるときパッキン40が圧力センサ19と接触したままであり、コントローラ22は第2信号を受信しない。
【0068】
コントローラ22は、ステップS32において、第2信号を受信したと判断したときは(S32:Yes)、ポンプ20を停止(S33)する。これにより、循環流路44Aにおける水の流れが停止して逆止弁21が閉位置に移動し、第2管17及び第2室26に水が留まる。貯留槽71から供給された水は、第1サブ室77、第2サブ室78、第1管16Aへと流通して蛇口18Aから流出する。
【0069】
コントローラ22は、圧力センサ19から第1信号を受信したかを判断する(S34)。コントローラ22は、圧力センサ19から第1信号を受信しないとき(S34:No)、第2信号を受信するまで判断を継続する。つまり、ハンドル37が居住者によって閉操作されておらず、蛇口18が開のままであるときパッキン40が圧力センサ19から離間したままであるため、コントローラ22は第1信号を受信しない。
【0070】
コントローラ22は、ステップS34において、第1信号を受信したと判断したときは
(S34:Yes)、再び第3信号を受信したかを判断し(S30)、上述の工程を繰り返す。
【0071】
[変形例の作用効果]
また、周囲空気から水を抽出して、抽出した水をタンク15Aに貯留できる。このため、断水があったときでも水を確保でき、災害に備えて普段から水を備蓄しておくこともできる。また、抽出した水は、第1フィルタ32Aで浄化することができるため飲料水としても利用できる。
【0072】
また、第1管16Aから第2管17A及び第2室26Aへと水が循環することなく、タンク15Aから第1管16Aを通って蛇口18Aに水が送られる場合であっても、第2フィルタ80によって水が浄化されるため、蛇口18Aから衛生的な水を供給できる。
【0073】
[その他の変形例]
上述の実施形態においては、第1管16の他端側が蛇口18に接続され、第2管17の一端側が第1管16の他端側に接続されている場合を例にあげて説明したがこの構成に限らない。例えば、第1管16の他端側が内部空間42に接続され、第2管17の一端側も内部空間42に接続されるものであってもよい。この場合、循環経路は、第1室25、第1管16、内部空間42、第2管17、及び第2室26によって形成される。
【0074】
また、上述の実施形態においては、供給口31の上下方向1における位置は、概ね流入口30の上下方向1における位置と同じである場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。供給口31の上下方向1の位置は、流入口30の上下方向1の位置とずれて位置するものであってもよい。
【0075】
また、上述の実施形態において、逆止弁21は、循環流路44において水が流通するとき水圧によって開位置に位置し、循環流路44において水が流通しないとき及び第2管17から第1管16に逆流するときに水圧によって閉位置に位置する場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。逆止弁21は、例えばコントローラ22からの信号によって開位置と閉位置に駆動される電磁弁あってもよい。この場合、電磁弁は、コントローラ22と電気的に接続され、圧力センサ19からの第1信号と第2信号に基づいて開位置と閉位置とに切り替えられる。
【符号の説明】
【0076】
10,10A・・・水供給装置
15,15A・・・タンク
16,16A・・・第1管
17,17A・・・第2管
18,18A・・・蛇口
19・・・圧力センサ(検知部)
20・・・ポンプ
21・・・逆止弁
22・・・コントローラ(制御部)
25,25A・・・第1室
26,26A・・・第2室
30,30A・・・流入口
31,31A・・・供給口
32・・・第1フィルタ
33,33A・・・戻し口
70・・・水生成装置
77・・・第1サブ室
78・・・第2サブ室
80・・・第2フィルタ