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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01C 11/00 20060101AFI20240123BHJP
   A01B 39/18 20060101ALI20240123BHJP
   A01C 5/06 20060101ALI20240123BHJP
   A01C 7/08 20060101ALI20240123BHJP
   A01C 11/02 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A01C11/00 302
A01B39/18 C
A01C5/06 M
A01C7/08 310F
A01C11/02 311Z
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2022127181
(22)【出願日】2022-08-09
【審査請求日】2023-05-30
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】藤本 和之
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 悠太
(72)【発明者】
【氏名】小佐野 光
(72)【発明者】
【氏名】高橋 学
(72)【発明者】
【氏名】川上 修平
(72)【発明者】
【氏名】山田 信芳
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-246728(JP,A)
【文献】ヰセキ乗用田植機PRJ8(8条植)カタログ,日本,井関農機株式会社,2022年03月
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/00
A01B 39/18
A01C 5/06
A01C 7/08
A01C 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業機の内から選択された作業機が装着可能である作業車両であって、
車体(100)およびリモートコントローラー(700)の少なくとも一方のモニター(800)で、装着されている作業機に関するあらかじめ定められた必要な項目が表示されるとともに、少なくとも一つの装着されていない作業機に関するあらかじめ定められた必要な項目が同時に表示される場合、前記少なくとも一つの装着されていない作業機に関する前記項目に対しては、装着されていないことを示す表示変形が行われ、
前記表示変形は、前記項目の名前を表示するにもかかわらず、前記項目の内容を表示しないことにより行われ
前記少なくとも一つの装着されていない作業機は、苗マットユニットであり、
前記苗マットユニットに関する苗マット横送り回数の前記項目および苗マット使用枚数の前記項目に対しては、前記表示変形が行われ、
前記苗マットユニットに関する苗植付け深さの前記項目および苗取り量の前記項目に対しては、前記表示変形が行われず、前記項目の前記内容の設定は調節可能であり、
前記苗マットユニットが装着されたとき、前記調節された設定は反映されることを特徴とする作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、田植え機のような作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機が装着可能である作業車両が、知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-96774号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述された従来の作業車両については、たとえば、このような便利な機能を利用するときの作業者の負担は必ずしも小さくないことに本発明者は気付いた。
【0005】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、作業者の負担を軽減することができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、複数の作業機の内から選択された作業機が装着可能である作業車両であって、
車体(100)およびリモートコントローラー(700)の少なくとも一方のモニター(800)で、装着されている作業機に関するあらかじめ定められた必要な項目が表示されるとともに、少なくとも一つの装着されていない作業機に関するあらかじめ定められた必要な項目が同時に表示される場合、前記少なくとも一つの装着されていない作業機に関する前記項目に対しては、装着されていないことを示す表示変形が行われ、
前記表示変形は、前記項目の名前を表示するにもかかわらず、前記項目の内容を表示しないことにより行われ、
前記少なくとも一つの装着されていない作業機は、苗マットユニットであり、
前記苗マットユニットに関する苗マット横送り回数の前記項目および苗マット使用枚数の前記項目に対しては、前記表示変形が行われ、
前記苗マットユニットに関する苗植付け深さの前記項目および苗取り量の前記項目に対しては、前記表示変形が行われず、前記項目の前記内容の設定は調節可能であり、
前記苗マットユニットが装着されたとき、前記調節された設定は反映されることを特徴とする作業車両である。
本発明に関連する第1の発明は、複数の作業機の内から選択された作業機が装着可能である作業車両であって、
車体(100)およびリモートコントローラー(700)の少なくとも一方のモニター(800)で、装着されている作業機に関するあらかじめ定められた必要な項目が表示されるとともに、少なくとも一つの装着されていない作業機に関するあらかじめ定められた必要な項目が同時に表示される場合、前記少なくとも一つの装着されていない作業機に関する前記項目に対しては、装着されていないことを示す表示変形が行われることを特徴とする作業車両である。
【0007】
本発明に関連する第2の発明は、前記表示変形は、前記項目の名前を表示するにもかかわらず、前記項目の内容を表示しないことにより行われることを特徴とする本発明に関連する第1の発明の作業車両である。
【0008】
本発明に関連する第3の発明は、前記装着されている作業機は、前記作業機との有線接続または無線接続を利用することにより、前記車体(100)のコントローラー(600)で判別可能であることを特徴とする本発明に関連する第2の発明の作業車両である。
【0009】
本発明に関連する第4の発明は、前記少なくとも一つの装着されていない作業機は、苗マットユニットであり、
前記苗マットユニットに関する苗マット横送り回数の前記項目および苗マット使用枚数の前記項目に対しては、前記表示変形が行われることを特徴とする本発明に関連する第3の発明の作業車両である。
【0010】
本発明に関連する第5の発明は、前記苗マットユニットに関する苗植付け深さの前記項目および苗取り量の前記項目に対しては、前記表示変形が行われず、前記項目の前記内容の設定は調節可能であり、
前記苗マットユニットが装着されたとき、前記調節された設定は反映されることを特徴とする本発明に関連する第4の発明の作業車両である。
【0011】
本発明に関連する第6の発明は、直播ユニットが作業機として装着可能である作業車両であって、
直播覆土の設定は、ユーザー指示に応じてリモートコントローラー(700)で調節可能であることを特徴とする作業車両である。
【発明の効果】
【0012】
本発明により、作業者の負担を軽減することが可能である。そして、本発明により、このような効果に加えて、使い勝手を向上することが可能である。
本発明に関連する第1の発明により、作業者の負担を軽減することが可能である。
【0013】
本発明に関連する第2の発明により、本発明に関連する第1の発明の効果に加えて、使い勝手を向上することが可能である。
【0014】
本発明に関連する第3の発明により、本発明に関連する第2の発明の効果に加えて、構成を簡素化することが可能である。
【0015】
本発明に関連する第4の発明により、本発明に関連する第3の発明の効果に加えて、利便性を向上することが可能である。
【0016】
本発明に関連する第5の発明により、本発明に関連する第4の発明の効果に加えて、利便性をさらに向上することが可能である。
【0017】
本発明に関連する第6の発明により、作業者の負担を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明における実施の形態の田植え機の左側面図
図2】本発明における実施の形態の田植え機のモニターの説明図(その一)
図3】本発明における実施の形態の田植え機のモニターの説明図(その二)
図4】本発明における実施の形態の田植え機のモニターの説明図(その三)
図5】本発明における実施の形態の田植え機のモニターの説明図(その四)
【発明を実施するための形態】
【0019】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0020】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあり、透視的にまたは省略的に示されていることもある。
【0021】
(1)はじめに、図1を主として参照しながら、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作について具体的に説明する。
【0022】
ここに、図1は、本発明における実施の形態の田植え機の左側面図である。
【0023】
本実施の形態の田植え機の動作について説明しながら、コントローラー600などにより実現される、本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法についても説明する。
【0024】
本実施の形態の田植え機は、操舵装置230における手動操縦操作または自動操縦操作に基づいたコントローラー600の制御に応じて、左右一対の前輪221および後輪222を有する走行装置220で車体100を走行させながら、ローター261およびフロート262を有する整地装置260により圃場Fの整地を行って苗植付け具241を有する苗植付け装置240により圃場Fへの苗植付けを行うとともに施肥装置250により圃場Fへの施肥を行うための田植え機である。
【0025】
走行装置220ならびに苗植付け装置240、施肥装置250および整地装置260は、HSTである主変速装置および副変速装置を有する変速機構を介して伝達されるエンジン210の動力により駆動される。
【0026】
本実施の形態の田植え機は、複数の作業機の内から選択された作業機が装着可能である田植え機であって、たとえば、直播ユニットが作業機として装着可能である田植え機であり、本発明における作業車両の具体的な例である。
【0027】
(2)つぎに、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0028】
(2a)本発明における実施の形態のロボット田植え機へ直播ユニットなどを装着するときのモニター表示について説明する。
【0029】
車体100およびリモートコントローラー700の少なくとも一方のモニター800で、装着されている作業機に関するあらかじめ定められた必要な項目が表示されるとともに、少なくとも一つの装着されていない作業機に関するあらかじめ定められた必要な項目が同時に表示される場合、少なくとも一つの装着されていない作業機に関する項目に対しては、装着されていないことを示す表示変形が行われる。
【0030】
ロボット田植え機において、直播ユニット、除草機ユニット、または溝切り機ユニットのようなユニットが装着されたとき、車体100およびリモートコントローラー700へそれぞれ設けられたモニター800のモニターパネルにおいて、これらのユニットと関係のない苗マットユニットのための項目の内容を表示しない制御を行う構成が考えられる。直播ユニットなどが装着されると、苗マットユニットの項目である苗マット横送り回数の項目などについてはデータ参照元がなくなることを考慮し、モニター表示がプログラム再起動操作などにともなって更新されても、ユーザーの誤解を招来しやすい表示は行われないので、ユーザビリティが向上する。
【0031】
表示変形は、項目の名前を表示するにもかかわらず、項目の内容を表示しないことにより行われる。
【0032】
すなわち、表示変形は、チェックマークのような記号の付加などを利用することにより行われてもよいし、表示文字色または表示背景色の変更などを利用することにより行われてもよい。
【0033】
装着されている作業機は、作業機との有線接続または無線接続を利用することにより、車体100のコントローラー600で判別可能である。
【0034】
苗マットユニットのようなユニットを田植え機本体へハーネスなどで結合することで、田植え機前側または田植え機後側に設置されたコントローラー600によりユニットの種類を識別する構成も考えられる。
【0035】
少なくとも一つの装着されていない作業機は、苗マットユニットである。苗マットユニットに関する苗マット横送り回数の項目および苗マット使用枚数の項目に対しては、表示変形が行われる。
【0036】
本発明における実施の形態の田植え機のモニター800の説明図(その一)である図2に示されているように、苗マット横送り回数の項目および苗マット使用枚数の項目に対しては、横棒記号の付加を利用することによる表示変形が行われている。
【0037】
本発明における実施の形態の田植え機のモニター800の説明図(その二)である図3に示されているように、苗マット横送り回数の項目および苗マット使用枚数の項目に対しては、表示明度の変更を利用することによる表示変形が行われている。
【0038】
上述された態様で苗マットユニット以外のユニットが検出されたとき、モニターパネルの苗マット横送り回数の項目について、表示が行われない、またはデータなしを示す文字列が表示される構成も考えられる。
【0039】
モニターパネルの苗マット横送り回数の項目について、表示が行われない、またはデータなしを示す文字列が表示されるとき、苗マット横送り回数、苗取り量、および株数から算出される10アールあたりの苗マット使用枚数を表示するパネル表示エリアにおいて、表示が行われない、またはデータなしを示す文字列が表示される構成も考えられる。
【0040】
苗マットユニットに関する苗植付け深さの項目および苗取り量の項目に対しては、表示変形が行われず、項目の内容の設定は調節可能である。苗マットユニットが装着されたとき、調節された設定は反映される。
【0041】
本発明における実施の形態の田植え機のモニター800の説明図(その三)である図4に示されているように、苗植付け深さの項目に対しては、項目の内容の設定は調節可能である。
【0042】
本発明における実施の形態の田植え機のモニター800の説明図(その四)である図5に示されているように、苗取り量の項目に対しては、項目の内容の設定は調節可能である。
【0043】
すなわち、苗植付け深さおよび苗取り量などの項目のような、頻繁に使用される苗植付け装置240を有する標準的な苗マットユニットの項目は、直播ユニットに関する播種量の項目、および溝切り機ユニットに関する溝切り深さの項目などと比べてしばしば重要であるので、特別に扱われ、利便性が向上させられてもよい。
【0044】
苗マットユニット以外のユニットが検出されたときでも、苗植付け深さの項目は機能設定画面で表示されて設定は調節可能であり、苗マットユニットが装着されたとき、変更された設定は反映される構成も考えられる。
【0045】
苗マットユニット以外のユニットが検出されたときでも、苗取り量の項目は機能設定画面で表示されて設定は調節可能であり、苗マットユニットが装着されたとき、変更された設定は反映される構成も考えられる。
【0046】
苗マットユニット以外のユニットが検出されたときでも、苗植付け深さの項目はリモートコントローラー700の機能設定画面で表示されて補正値は調節可能であり、苗マットユニットが装着されたとき、変更された設定は反映される構成も考えられる。
【0047】
苗マットユニット以外のユニットが検出されたときでも、苗取り量の項目はリモートコントローラー700の機能設定画面で表示されて補正値は調節可能であり、苗マットユニットが装着されたとき、変更された設定は反映される構成も考えられる。
【0048】
苗マット横送り回数の項目におけるパターンはモニターパネル機能設定画面で表示されて調節可能であり、変更された設定は10アールあたりの苗マット使用枚数にも反映される構成も考えられる。
【0049】
(2b)本発明における実施の形態のロボット田植え機のリモートコントローラー操作について説明する。
【0050】
直播覆土の設定は、ユーザー指示に応じてリモートコントローラー700で調節可能である。
【0051】
乗用田植え機において、田植え機と無線通信を行うことができるリモートコントローラー700などの携帯端末の操作で直播ユニットの覆土調節機能を実現する構成が考えられる。自動走行が行われているときでも、機外からの覆土調節を行うことができるので、植付け精度が向上される。
【0052】
携帯端末におけるリモートコントローラー機能設定画面に、覆土調節の項目が設けられている構成も考えられる。
【0053】
装着されたユニットが直播ユニットであることが植付け部ユニットの型式判定で認識された場合、上述された態様における覆土調節の項目は選択可能になって活性状態になる構成も考えられる。
【0054】
装着されたユニットが直播ユニットでないことが植付け部ユニットの型式判定で認識された場合、上述された態様における覆土調節の項目は選択不可能になって表示されるが非活性状態になる構成も考えられる。
【0055】
装着されたユニットが直播ユニットでないことが植付け部ユニットの型式判定で認識された場合、上述された態様における覆土調節の項目は表示されないで非活性状態になる構成も考えられる。
【0056】
(3)つぎに、本発明における実施の形態の田植え機の構成および動作についてさらにより具体的に説明する。
【0057】
(3a)本発明における実施の形態のロボット田植え機のスタック検出について説明する。
【0058】
所定の後輪回数数が、たとえば、一回の後輪回転に対応する308のパルス回数に基づいて後輪回転センサーにより検出されるたびに、前輪回転センサーにより検出された前輪回転数を監視する構成が考えられる。さまざまなロボット田植え機の仕様において、後輪222の動作量に対する前輪221の動作量などを確認することができる。
【0059】
後輪222の動作量に対する前輪221の動作量などを確認する、上述された態様において、スリップがゼロであるときの後輪回転数R_rollに対応する理想的な前輪回転数F_roll_idealを現実に計測された前輪回転数F_rollと比較し、簡易なスリップ率
【0060】
(数1)
SlipRatio
=(F_roll_ideal-F_roll)/F_roll_ideal
を算出する構成も考えられる。現実のタイヤの回転に対する地面との摩擦によって生じる状態としてはなく、後輪222の回転に対して前輪221が駆動しない前輪空転状態として定義されるスリップ状態におけるスリップ率を、現実の前輪回転数を理想的な前輪回転数と比較することにより、簡易に算出することができる。
【0061】
スリップ率を簡易に算出する、上述された態様において、スリップがゼロであるときの後輪回転数R_rollに対応する理想的な前輪回転数F_roll_idealをハンドル操舵角に応じて変更する構成も考えられる。前後輪回転数のバランスはハンドル操舵角に応じて変化することを考慮し、ハンドル操舵角に応じてスリップ率を適切に算出することができる。
【0062】
直進状態におけるスリップ率が、たとえば、50%のような所定の比率を超えた場合、スタック状態が発生していると判断する構成も考えられる。田植え機のスタック状態を検出することができる。
【0063】
スタック状態が発生しているか否かを判断する、上述された態様において、ロボット自動走行が行われているとき、機体スタック状態が検出された場合、一時的な機体停止を行う構成も考えられる。スタックが検出されたとき、走行がそのまま継続させられると、機体沈没が惹起されやすい危険な状態が発生する恐れがあるので、機体停止が行われる。
【0064】
一時的な機体停止を行う、上述された態様において、スタック検出にともなう機体停止が行われた後、ハンドル位置をハンドル中央位置と一致させる構成も考えられる。このように、第一のスタック脱出動作ステップとして、機体ハンドル位置はハンドル中央位置と一致させられる。すなわち、直進状態におけるハンドル位置であってもハンドル中央位置と一致していないかもしれないので、必要であれば、スタック検出にともなう機体停止が行われた後、ハンドル位置はハンドル中央位置と一致させられてもよい。
【0065】
一時的な機体停止を行う、上述された態様において、スタック検出にともなう機体停止が行われた後、電磁左右後輪クラッチをオフにし、モーターディファレンシャルロックをオンにする構成も考えられる。このように、第二のスタック脱出動作ステップとして、四輪駆動が行われる。
【0066】
スタック検出にともなう機体停止が行われた後、ハンドル位置をハンドル中央位置と一致させる、または電磁左右後輪クラッチをオフにする、上述された態様において、微速での機体後進を行う構成も考えられる。このように、第三のスタック脱出動作ステップとして、微速での機体後進が行われ、ぬかるみ箇所からの脱出が試みられる。
【0067】
微速での機体後進を行う、上述された態様において、所定の距離の機体後進が行われた後、微速での機体前進を再び行う構成も考えられる。このように、第四のスタック脱出動作ステップとして、機体後進の後、機体前進が再び行われ、走行リトライが試みられる。
【0068】
走行リトライを試みる、上述された態様において、上述されたスリップ率の算出を利用することにより、スタック検出を再び行う構成も考えられる。このように、第五のスタック脱出動作ステップとして、機体後進によるスタック回避動作の効果が確認される。すなわち、機体後進によるスタック回避動作の効果を確認するために、スタック検出が繰返し行われてもよい。
【0069】
スタック回避動作の効果を確認する、上述された態様において、スタック回避が成功した場合、スタック状態が発生する前の車速まで車速を自動的に復帰させる構成も考えられる。スタック回避に成功した場合、スタック回避にともなって元の車速で作業を再開することができる。
【0070】
スタック回避動作の効果を確認する、上述された態様において、スタック回避が失敗した場合、スタック脱出動作をさらに行ってスタック回避を試みる構成も考えられる。スタック回避に失敗した場合、微速での機体前後進を繰返すことで足場の圃場Fをしっかりと固めてスタックを最終的に回避することができる。
【0071】
微速での機体前後進を繰返す、上述された態様において、スタック回避動作が、たとえば、5回のような所定の回数にわたり連続して失敗した場合、スタックは回避不可能であると判断し、機体停止を行ってモーターブレーキを作動させる構成も考えられる。スタックが回避不可能である場合、安全確保のためにその場での機体停止を行ってブレーキを作動させることができる。
【0072】
(3b)本発明における実施の形態の電動アシストHST制御について説明する。
【0073】
旋回が行われるとき、車軸に設けられたトルクセンサーで検出された負荷に応じて、車速をあらかじめ設定された大きさへ戻すための補正電流値をHSTトラニオン開度の制御を行うサーボモーターへ与えて電動アシストHST斜板の傾きを調節することにより、車速を一定に保って旋回軌跡を安定させる構成が考えられる。車速はスリップの大きさにより変化するのみならず、DGNSS方式の測位精度はあまり高くないので、旋回アシストによる旋回軌跡は安定ではないことがあるが、旋回アシストによる旋回が行われるとき、電動アシストHST斜板の傾きを調節することにより、旋回軌跡がスリップによる車速低下およびDGNSS方式の測位精度に起因して一定になりにくい現象の発生が抑制され、旋回を目標とする狙いの場所へ向かって行うことができる。
【0074】
上述された態様におけるトルクセンサーの代わりに車軸に設けられたロードセルで検出された負荷に応じて、車速をあらかじめ設定された大きさへ戻すための補正電流値をHSTトラニオン開度の制御を行うサーボモーターへ与えて電動アシストHST斜板の傾きを調節することにより、車速を一定に保って旋回軌跡を安定させる構成も考えられる。
【0075】
(3c)本発明における実施の形態の自動直進制御のための可変モーターHST制御について説明する。
【0076】
自動直進制御の第一基準点であるA点が直進アシストレバーの操作で登録されたとき、自動直進が行われていると判断し、HST可変モーター容量を減少させる構成が考えられる。出力が所定のレベルを常に下回らないHST使用状態を可変モーターで保証して高効率を実現する可変モーターHSTの特性を発揮させることにより、馬力損失が低減され、負荷が小さいときでもHST可変モーター容量が変わらないために発生しやすい、作業効率低下が抑制される。すなわち、HST可変モーター容量がHSTトラニオン開度を減少させることにより減少させられ、車速が減少させられてもよい。
【0077】
上述された態様において、自動直進制御の第二基準点であるB点が直進アシストレバーの操作で登録されたとき、HST可変モーター容量を増大させる構成も考えられる。可変モーターHSTの特性を発揮させることにより、旋回性能が確保され、旋回作業が行われて走行系に大きな負荷が生じるときでもHST可変モーター容量が直進作業のときのHST可変モーター容量のままであって変わらないために発生しやすい、出力トルク不足に起因する旋回不良が抑制される。
【0078】
上述された態様において、直進アシストが直進アシストレバーの操作でオンにされたとき、HST可変モーター容量を減少させる構成も考えられる。可変モーターHSTの特性を発揮させることにより、馬力損失が低減され、負荷が小さいときでもHST可変モーター容量が変わらないために発生しやすい、作業効率低下が抑制される。
【0079】
上述された態様において、直進アシストが直進アシストレバーの操作でオフにされたとき、HST可変モーター容量を増大させる構成も考えられる。可変モーターHSTの特性を発揮させることにより、旋回性能が確保され、旋回作業が行われて走行系に大きな負荷が生じるときでもHST可変モーター容量が直進作業のときのHST可変モーター容量のままであって変わらないために発生しやすい、出力トルク不足に起因する旋回不良が抑制される。
【0080】
なお、本発明に関連した発明のプログラムは、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0081】
また、本発明に関連した発明の記録媒体は、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の全部または一部の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、読取られたプログラムがコンピュータと協働して利用されるコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0082】
なお、上述された「一部のステップ(または工程、動作および作用など)」は、それらの複数のステップの内の一つまたはいくつかのステップを意味する。
【0083】
また、上述された「ステップ(または工程、動作および作用など)の動作」は、上述されたステップの全部または一部の動作を意味する。
【0084】
また、本発明に関連した発明のプログラムの一利用形態は、インターネット、光、電波または音波などのような伝送媒体の中を伝送され、コンピュータにより読取られ、コンピュータと協働して動作するという形態であってもよい。
【0085】
また、記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)などが含まれる。
【0086】
また、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)などのような純然たるハードウェアに限らず、ファームウェア、OS(Operating System)、そしてさらに周辺機器を含んでもよい。
【0087】
なお、上述されたように、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現されてもよいし、ハードウェア的に実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明における作業車両は、作業者の負担を軽減することができ、田植え機のような作業車両に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0089】
100 車体
210 エンジン
220 走行装置
221 前輪
222 後輪
230 操舵装置
240 苗植付け装置
241 苗植付け具
250 施肥装置
260 整地装置
261 ローター
262 フロート
600 コントローラー
700 リモートコントローラー
800 モニター
F 圃場
【要約】
【課題】 作業機が装着可能である作業車両が、知られている。しかしながら、従来の作業車両については、たとえば、このような便利な機能を利用するときの作業者の負担は必ずしも小さくないことに本発明者は気付いた。
【解決手段】 複数の作業機の内から選択された作業機が装着可能である田植え機であって、車体100およびリモートコントローラー700の少なくとも一方のモニター800で、装着されている作業機に関するあらかじめ定められた必要な項目が表示されるとともに、少なくとも一つの装着されていない作業機に関するあらかじめ定められた必要な項目が同時に表示される場合、少なくとも一つの装着されていない作業機に関する項目に対しては、装着されていないことを示す表示変形が行われる田植え機である。
【選択図】 図2
図1
図2
図3
図4
図5