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特許7424484光信号監視装置、光装置、および光信号監視方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】光信号監視装置、光装置、および光信号監視方法
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/07 20130101AFI20240123BHJP
   H04J 14/02 20060101ALN20240123BHJP
【FI】
H04B10/07
H04J14/02
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022529224
(86)(22)【出願日】2020-06-03
(86)【国際出願番号】 JP2020021972
(87)【国際公開番号】W WO2021245847
(87)【国際公開日】2021-12-09
【審査請求日】2022-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【弁理士】
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【弁理士】
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】竹村 武士
【審査官】後澤 瑞征
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0164597(US,A1)
【文献】特表2016-523025(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0084209(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/07
H04J 14/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
識別情報によって区別される複数のサブバンドにそれぞれ属するサブバンド光信号からなる波長多重信号光を監視し、前記波長多重信号光の各波長における光パワー情報を含む波長多重信号情報を生成する光信号情報生成手段と、
前記波長多重信号情報に基づいて、前記複数のサブバンド毎に、前記識別情報と関連付けたサブバンド信号情報を生成するサブバンド信号情報生成手段と、
前記サブバンド信号情報の利用を、前記識別情報に基づいて制御するサブバンド信号情報制御手段、とを有する
光信号監視装置。
【請求項2】
前記サブバンド信号情報制御手段は、前記識別情報に対応する識別符号を含む要求信号に応答して、前記識別情報と関連付けた前記サブバンド信号情報を、前記要求信号の送信元に開示する
請求項1に記載した光信号監視装置。
【請求項3】
前記サブバンド信号情報生成手段は、前記識別情報および認証情報と関連付けた前記サブバンド信号情報を生成し、
前記サブバンド信号情報制御手段は、前記識別情報に対応する識別符号と、前記認証情報に対応する認証符号とを含む要求信号に応答して、前記識別情報および前記認証情報と関連付けた前記サブバンド信号情報を、前記要求信号の送信元に開示する
請求項1に記載した光信号監視装置。
【請求項4】
前記サブバンド信号情報は、前記サブバンド光信号の光パワーであるサブバンド光パワーに係るサブバンド光パワー情報、および前記サブバンド光パワーの変動に係る警報情報、の少なくとも一を含む
請求項1から3のいずれか一項に記載した光信号監視装置。
【請求項5】
前記サブバンド光パワー情報は、前記サブバンド光パワーの波長に対する分布であるサブバンド光スペクトラム、前記サブバンドに含まれる波長チャンネルにおける前記サブバンド光パワーの積算値であるチャンネル光パワー、および前記サブバンドに含まれる各波長における前記サブバンド光パワーの積算値であるサブバンド積算パワー、の少なくとも一を含む
請求項4に記載した光信号監視装置。
【請求項6】
前記警報情報は、前記サブバンドに含まれる波長チャンネルにおける前記サブバンド光パワーの積算値であるチャンネル光パワーの変動を示すチャンネル警報情報、および前記サブバンドに含まれる各波長における前記サブバンド光パワーの積算値であるサブバンド積算パワーの変動を示すサブバンド警報情報、の少なくとも一を含む
請求項4または5に記載した光信号監視装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載した光信号監視装置と、
前記波長多重信号光が入出力するための第1の接続部と、前記サブバンド光信号が入出力するための複数の第2の接続部を備える波長切替装置、とを有する
光装置。
【請求項8】
識別情報によって区別される複数のサブバンドにそれぞれ属するサブバンド光信号からなる波長多重信号光を監視し、前記波長多重信号光の各波長における光パワー情報を含む波長多重信号情報を生成し、
前記波長多重信号情報に基づいて、前記複数のサブバンド毎に、前記識別情報と関連付けたサブバンド信号情報を生成し、
前記サブバンド信号情報の利用を、前記識別情報に基づいて制御する
光信号監視方法。
【請求項9】
前記サブバンド信号情報の利用を制御することは、前記識別情報に対応する識別符号を含む要求信号に応答して、前記識別情報と関連付けた前記サブバンド信号情報を、前記要求信号の送信元に開示することを含む
請求項8に記載した光信号監視方法。
【請求項10】
前記サブバンド信号情報を生成することは、前記識別情報および認証情報と関連付けた前記サブバンド信号情報を生成することを含み、
前記サブバンド信号情報の利用を制御することは、前記識別情報に対応する識別符号と、前記認証情報に対応する認証符号とを含む要求信号に応答して、前記識別情報および前記認証情報と関連付けた前記サブバンド信号情報を、前記要求信号の送信元に開示することを含む
請求項8に記載した光信号監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号監視装置および光信号監視方法に関し、特に、波長分割多重方式による光伝送システムに用いられる光信号監視装置および光信号監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界的なデータトラフィックの増大により、光伝送システムの大容量化、長距離化に対する要望が高まっている。そのため、光海底ケーブルシステムなどの長距離・大容量光伝送システムでは、波長分割多重(Wavelength Division Multiplexing:WDM)方式が用いられている。
【0003】
波長分割多重(WDM)方式を用いた光伝送システムに関して、近年、1本の光ファイバの使用波長帯域を複数のサブバンドに分割し、サブバンドごとに異なる顧客(ユーザー)を割り当てる光伝送システムが注目されている。このような、顧客に割り当てられたサブバンドを用いる光伝送システムの一例が、特許文献1に記載されている。
【0004】
特許文献1に記載された関連するWDM通信システムにおいては、システム帯域幅の異なる部分は異なるユーザーに割り当てられる。関連するWDM通信システムを構成する送信端末は、各ユーザーに対応する別個の送信サブシステム(n個)と、各ユーザーからのユーザー特定集合信号を組み合わせて集合光信号を生成するユーザー制御ユニット(UCU)を有する。
【0005】
ユーザー制御ユニット(UCU)は、送信光フィルタ要素(T‐OFE)、可変光減衰器(VOA)、コントローラ、ローディング電力システム、光チャネルモニター(OCM)、および電力検出器を備える。送信光フィルタ要素(T‐OFE)は、一つ以上の光フィルタリングデバイスを備える。光フィルタリングデバイスは、出力する光信号を各ユーザーのユーザー割り当て帯域幅に制限する。
【0006】
コントローラは、光チャネルモニター(OCM)の出力に応答して、送信スペクトル制御出力信号を送信光フィルタ要素(T‐OFE)に提供する。そしてコントローラは、送信スペクトル制御出力信号によって、送信光フィルタ要素(T‐OFE)の波長フィルタリングスペクトル形状を動的に調整する。
【0007】
このような構成としたことにより、関連するWDM通信システムによれば、ユーザー割り当て帯域幅外のユーザーチャネルまたは波長が集合出力信号に連結されるのを防止することができる、としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特表2016-523025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
波長分割多重(WDM)方式を用いた光伝送システムにおいては、光チャンネルモニタ(Optical Channel Monitor:OCM)を用いて波長多重信号光を監視している。そして光伝送システムでは、ファイバの使用波長帯域に含まれる全てのサブバンドについて波長多重信号光を監視し、波長多重信号情報を取得している。
【0010】
一方、上述した関連するWDM通信システムのように、サブバンドごとに異なる顧客(ユーザー)を割り当てる光伝送システムにおいては、各ユーザーが、割り当てられたサブバンドで光信号を送受信する機器(トランスポンダ等)を管理することになる。そのため、各ユーザーが、トランスポンダ等を設置したユーザー側設備において、遠隔から波長多重信号光を監視できることが望ましい。
【0011】
この場合、光伝送システムが備える光チャンネルモニタの監視結果を、各ユーザーが遠隔から利用することができればよい。しかし、光チャンネルモニタの監視結果には、全てのサブバンドについての波長多重信号情報が含まれるので、他のサブバンドを用いて光信号を送受信する他のユーザーにも各ユーザーの信号情報が開示されてしまう。その結果、光伝送システムの安全な利用が損なわれることになる。
【0012】
このように、波長帯域をサブバンドに分割し各サブバンドに異なるユーザーを割り当てる方式とすると、光伝送システムの安全な利用が損なわれるという問題があった。
【0013】
本発明の目的は、上述した課題を解決する光信号監視装置および光信号監視方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の光信号監視装置は、識別情報によって区別される複数のサブバンドにそれぞれ属するサブバンド光信号からなる波長多重信号光を監視し、波長多重信号光の各波長における光パワー情報を含む波長多重信号情報を生成する光信号情報生成手段と、波長多重信号情報に基づいて、複数のサブバンド毎に、識別情報と関連付けたサブバンド信号情報を生成するサブバンド信号情報生成手段と、サブバンド信号情報の利用を、識別情報に基づいて制御するサブバンド信号情報制御手段、とを有する。
【0015】
本発明の光信号監視方法は、識別情報によって区別される複数のサブバンドにそれぞれ属するサブバンド光信号からなる波長多重信号光を監視し、波長多重信号光の各波長における光パワー情報を含む波長多重信号情報を生成し、波長多重信号情報に基づいて、複数のサブバンド毎に、識別情報と関連付けたサブバンド信号情報を生成し、サブバンド信号情報の利用を、識別情報に基づいて制御する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の光信号監視装置および光信号監視方法によれば、波長帯域をサブバンドに分割し各サブバンドに異なるユーザーを割り当てる方式とした場合であっても、光伝送システムの安全な利用を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1の実施形態に係る光信号監視装置の構成を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の実施形態に係る光信号監視装置を用いる光伝送システムの使用波長帯域を模式的に示した図である。
図3】本発明の第1の実施形態に係る光信号監視装置の動作を説明するための図である。
図4】本発明の第1の実施形態に係る光信号監視装置の動作を説明するための図であって、サブバンドに含まれる波長チャンネルを模式的に示した図である。
図5】本発明の第2の実施形態に係る光装置の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0019】
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る光信号監視装置100の構成を示すブロック図である。光信号監視装置100は、光信号情報生成部(光信号情報生成手段)110、サブバンド信号情報生成部(サブバンド信号情報生成手段)120、およびサブバンド信号情報制御部(サブバンド信号情報制御手段)130を有する。
【0020】
光信号情報生成部110は、識別情報によって区別される複数のサブバンドにそれぞれ属するサブバンド光信号からなる波長多重信号光を監視し、波長多重信号光の各波長における光パワー情報を含む波長多重信号情報を生成する。サブバンド信号情報生成部120は、波長多重信号情報に基づいて、複数のサブバンド毎に、識別情報と関連付けたサブバンド信号情報を生成する。そして、サブバンド信号情報制御部130は、サブバンド信号情報の利用を、識別情報に基づいて制御する。
【0021】
本実施形態による光信号監視装置100は、識別情報によって区別される複数の顧客(ユーザー)が利用する光伝送システムで用いられる。この場合、光伝送システムは、1本の光ファイバの使用波長帯域を複数のサブバンドに分割し、各サブバンドに異なるユーザーを割り当て(スペクトラムシェアリング)、各ユーザーの情報信号をそれぞれ伝送する。図2に、使用波長帯域を3個のサブバンドに分割し、それぞれ異なるユーザーA、B、およびCに割り当てた例を模式的に示す。
【0022】
光信号情報生成部110として、典型的には光チャンネルモニタ(Optical Channel Monitor:OCM)を用いることができる。光チャンネルモニタの方式として、光バンドパスフィルタを狭い波長スロットで掃引し、フォトディテクタにより電気変換して各波長における光パワーを測定する方式が知られている。
【0023】
上述したように、本実施形態の光信号監視装置100においては、サブバンド信号情報制御部130が、サブバンド信号情報の利用を、識別情報に基づいて制御する構成としている。そのため、本実施形態の光信号監視装置100によれば、波長帯域をサブバンドに分割し各サブバンドに異なるユーザーを割り当てる方式とした場合であっても、光伝送システムの安全な利用を図ることができる。
【0024】
サブバンド信号情報生成部120が生成するサブバンド信号情報には、サブバンド光信号の光パワーであるサブバンド光パワーに係るサブバンド光パワー情報、およびサブバンド光パワーの変動に係る警報情報の少なくとも一方が含まれる。
【0025】
サブバンド信号情報制御部130は、識別情報に対応する識別符号を含む要求信号に応答して、この識別情報と関連付けたサブバンド信号情報を、要求信号の送信元に開示する構成とすることができる。ここで、識別情報を各ユーザー名とした場合、識別符号には、ユーザー毎に予め定められたID(identification)番号等を用いることができる。なお、要求信号の送信元は、例えば、各ユーザーが管理する機器監視装置(Element Management System:EMS)とすることができる。
【0026】
また、サブバンド信号情報生成部120は、識別情報および認証情報と関連付けたサブバンド信号情報を生成することとしてもよい。この場合、サブバンド信号情報制御部130は、識別情報に対応する識別符号と、認証情報に対応する認証符号とを含む要求信号に応答して、識別情報および認証情報と関連付けたサブバンド信号情報を、要求信号の送信元に開示する。ここで、認証情報として暗証番号等のパスワードを用い、パスワードを符号化した認証符号を用いることができる。
【0027】
図3に、光信号監視装置100が、ID番号とパスワード(password:PW)を用いてサブバンド信号情報の利用を制御する例を模式的に示す。
【0028】
光伝送システムの使用波長帯域は3個のサブバンドに分割され、それぞれ異なるユーザーA、B、およびCに割り当てられ(図2参照)、各ユーザーは割り当てられたサブバンド帯域内にサブバンド光信号を挿入する。光信号監視装置100が備える光信号情報生成部110は、各サブバンド光信号からなる波長多重信号光の各波長における光パワー情報である波長多重信号情報10を生成する。サブバンド信号情報生成部120は、波長多重信号情報10から、サブバンド1、2、3毎にサブバンド信号情報11、12、13を生成する。
【0029】
サブバンド信号情報生成部120が生成するサブバンド信号情報11、12、13にはそれぞれ、ユーザー名A、B、およびC(識別情報)に対応するID番号(AA、BB、CC)とパスワード(XXX、YYY、ZZZ)が設定されている。光信号監視装置100は、各ユーザーが管理する装置、例えば機器監視装置(EMS)から、サブバンド信号情報を読み出すための要求信号を受け付ける。そして、サブバンド信号情報制御部130は、要求信号に含まれるID番号およびパスワードがユーザー毎に予め定められたID番号およびパスワードと一致するか否かを判断する。そして、ID番号およびパスワードが一致した場合、そのID番号およびパスワードと関連付けられたユーザー毎のサブバンド信号情報だけを、要求信号の送信元であるユーザーの機器監視装置(EMS)等に送る。一方、ID番号およびパスワードが一致しない場合、サブバンド信号情報制御部130は、不可(NG)である旨の応答を返す。
【0030】
このような動作により、光信号監視装置100は、ユーザー毎のサブバンド信号情報を他のユーザーが読み出せないように制御することができる。
【0031】
図3では、サブバンド信号情報としてサブバンド光パワー情報であるサブバンド光スペクトラムを例示した。ここで、サブバンド光スペクトラムはサブバンド光パワーの波長に対する分布である。これに限らず、サブバンド光パワー情報として、サブバンドに含まれる波長チャンネルにおけるサブバンド光パワーの積算値であるチャンネル光パワーを用いることができる。図4に、サブバンドに含まれる波長チャンネルを模式的に示す。また、サブバンド光パワー情報として、サブバンドに含まれる各波長におけるサブバンド光パワーの積算値であるサブバンド積算パワーを用いることとしてもよい。ここで、各積算値は、所定の帯域幅BW(例えば、6.25GHz)毎に測定した光パワーを累計した値である。
【0032】
また、サブバンド信号情報として、サブバンドに含まれる波長チャンネルにおけるサブバンド光パワーの積算値であるチャンネル光パワーの変動を示すチャンネル警報情報を用いることができる。この場合の具体的な例を以下に説明する。
【0033】
ユーザーは、割り当てられたサブバンド内の光信号情報(中心周波数、波長チャンネル幅、ID番号等)と共にチャンネル光パワーの上限の閾値と下限の閾値を予め光信号監視装置100に通知する。光信号監視装置100は、チャンネル光パワーに変動があった場合、その変動を警報情報(アラーム情報)としてユーザーの装置、例えば機器監視装置(EMS)に通知する。具体的には、チャンネル光パワーが上限の閾値を超えた場合は「チャンネルHighアラーム」を、下限の閾値を下回った場合は「チャンネルLowアラーム」をユーザーの機器監視装置(EMS)等に通知する。さらに、チャンネル光パワーが入力断閾値(例えば典型的には-30dBm)を下回った場合は、「チャンネル入力断アラーム」を通知することとしてもよい。
【0034】
また、サブバンド信号情報として、サブバンドに含まれる各波長におけるサブバンド光パワーの積算値であるサブバンド積算パワーの変動を示すサブバンド警報情報を用いることとしてもよい。この場合の具体的な例を以下に説明する。
【0035】
ユーザーは、割り当てられたサブバンド内の光信号情報(中心周波数、波長チャンネル幅、ID番号等)と共にサブバンド積算パワーの上限の閾値と下限の閾値を予め光信号監視装置100に通知する。光信号監視装置100は、サブバンド積算パワーに変動があった場合、その変動を警報情報(アラーム情報)としてユーザーの装置、例えば機器監視装置(EMS)に通知する。具体的には、サブバンド積算パワーが上限の閾値を超えた場合は「サブバンドHighアラーム」を、下限の閾値を下回った場合は「サブバンドLowアラーム」をユーザーの機器監視装置(EMS)等に通知する。さらに、サブバンド積算パワーが入力断閾値(例えば典型的には-30dBm)を下回った場合は、「サブバンド積算パワー入力断アラーム」を通知することとしてもよい。
【0036】
上述した構成とすることにより、光信号監視装置100によれば、要求元のサブバンド信号情報(サブバンド光パワー情報、警報情報)を、要求元以外の他のユーザーには非開示とすることができる。その結果、各サブバンドに異なるユーザーを割り当てた場合であっても、光伝送システムの安全な利用を図ることができる。
【0037】
次に、本実施形態による光信号監視方法について説明する。
【0038】
本実施形態による光信号監視方法においては、まず、識別情報によって区別される複数のサブバンドにそれぞれ属するサブバンド光信号からなる波長多重信号光を監視し、波長多重信号光の各波長における光パワー情報を含む波長多重信号情報を生成する。次に、この波長多重信号情報に基づいて、複数のサブバンド毎に、識別情報と関連付けたサブバンド信号情報を生成する。そして、このサブバンド信号情報の利用を、識別情報に基づいて制御する。
【0039】
上述のサブバンド信号情報の利用を制御することは、識別情報に対応する識別符号を含む要求信号に応答して、識別情報と関連付けたサブバンド信号情報を、要求信号の送信元に開示することを含む構成とすることができる。
【0040】
また、上述のサブバンド信号情報を生成することは、識別情報および認証情報と関連付けたサブバンド信号情報を生成することを含む構成とすることができる。この場合、サブバンド信号情報の利用を制御することは、識別情報に対応する識別符号と、認証情報に対応する認証符号とを含む要求信号に応答して、識別情報および認証情報と関連付けたサブバンド信号情報を、要求信号の送信元に開示することを含む構成とすることができる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態の光信号監視装置100および光信号監視方法によれば、波長帯域をサブバンドに分割し各サブバンドに異なるユーザーを割り当てる方式とした場合であっても、光伝送システムの安全な利用を図ることができる。
【0042】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図5に、本実施形態による光装置1000の構成を示す。光装置1000は、光信号監視装置1100と波長切替装置1200を有する。
【0043】
光信号監視装置1100は、第1の実施形態による光信号監視装置100と同様の構成である。すなわち、図1を参照して説明すると、光信号監視装置1100は、光信号情報生成部(光信号情報生成手段)110、サブバンド信号情報生成部(サブバンド信号情報生成手段)120、およびサブバンド信号情報制御部(サブバンド信号情報制御手段)130を有する。
【0044】
光信号情報生成部110は、識別情報によって区別される複数のサブバンドにそれぞれ属するサブバンド光信号からなる波長多重信号光を監視し、波長多重信号光の各波長における光パワー情報を含む波長多重信号情報を生成する。サブバンド信号情報生成部120は、波長多重信号情報に基づいて、複数のサブバンド毎に、識別情報と関連付けたサブバンド信号情報を生成する。そして、サブバンド信号情報制御部130は、サブバンド信号情報の利用を、識別情報に基づいて制御する。
【0045】
波長切替装置1200は、図5に示すように、波長多重信号光20が入出力するための第1の接続部1210と、サブバンド光信号21~24が入出力するための複数の第2の接続部1220を備える。波長切替装置1200は、典型的には、波長選択スイッチ(Wavelength Selectable Switch:WSS)を備えた構成とすることができる。波長選択スイッチ(WSS)は、入力された波長多重(WDM)信号を、波長ごとに異なる出力ポートに接続する機能を有する。
【0046】
光装置1000は、サブバンドごとに異なるユーザーを割り当てる光伝送システムにおいて用いられる。この場合、光装置1000には、図5に例示したように、異なるユーザー(A、B、C、D)それぞれのサブバンド光信号21~24が、複数の第2の接続部1220を介して入出力する。各ユーザーは、割り当てられたサブバンドで光信号を送受信する機器(トランスポンダ等)をそれぞれ管理している。したがって、各ユーザーは、サブバンド光信号21~24を割り当てられたサブバンドで送受信するトランスポンダであれば、互いに異なるベンダで製造されたトランスポンダを用いることが可能である。
【0047】
光海底ケーブルを用いる光伝送システムにおいては、光ケーブルだけを先に建設し、オープンな仕様のトランスポンダを個別に調達するオープン・ケーブル(Open Cable)方式が開発されている。本実施形態による光装置1000は、異なるベンダで製造されたトランスポンダを接続することが可能であるので、このような光海底ケーブル伝送システムにおいて必要となるオープン・ケーブル・インターフェイス(Open Cable Interface:OCI)装置として用いることができる。
【0048】
次に、本実施形態による光装置1000の動作について説明する。
【0049】
光装置1000を用いる光伝送システムでは、1本の光ファイバの使用波長帯域を複数のサブバンドに分割し、各サブバンドに異なるユーザーが割り当てられる(スペクトラムシェアリング)。図5に示した例では、ユーザーA、B、C、およびDにそれぞれ異なるサブバンドが割り当てられる。そして、ユーザーAはサブバンド光信号21を、ユーザーBはサブバンド光信号22を、ユーザーCはサブバンド光信号23を、ユーザーDはサブバンド光信号24をそれぞれ送受信する。
【0050】
光伝送システムの送信側においては、各ユーザーは割り当てられたサブバンド帯域内にサブバンド光信号21~24をそれぞれ挿入する。光装置1000が備える波長切替装置1200は、複数の第2の接続部1220を介してサブバンド光信号21~24を受け付け、サブバンド光信号21~24を合波した波長多重信号光20を第1の接続部1210から受信側に出力する。光信号監視装置1100は、光カプラ等により分岐した波長多重信号光20を監視する。
【0051】
光伝送システムの受信側においては、波長切替装置1200は、第1の接続部1210を介して波長多重信号光20を受け付け、波長多重信号光20をサブバンドごとに分波したサブバンド光信号21~24を複数の第2の接続部1220からそれぞれ出力する。受信側においても、光信号監視装置1100は、光カプラ等により分岐した波長多重信号光20を監視する。
【0052】
光信号監視装置1100は、第1の実施形態による光信号監視装置100と同様に、サブバンド信号情報制御部130が、サブバンド信号情報の利用を、識別情報に基づいて制御する構成としている。
【0053】
したがって、本実施形態の光装置1000によれば、波長帯域をサブバンドに分割し各サブバンドに異なるユーザーを割り当てる方式とした場合であっても、光伝送システムの安全な利用を図ることができる。
【0054】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0055】
(付記1)識別情報によって区別される複数のサブバンドにそれぞれ属するサブバンド光信号からなる波長多重信号光を監視し、前記波長多重信号光の各波長における光パワー情報を含む波長多重信号情報を生成する光信号情報生成手段と、前記波長多重信号情報に基づいて、前記複数のサブバンド毎に、前記識別情報と関連付けたサブバンド信号情報を生成するサブバンド信号情報生成手段と、前記サブバンド信号情報の利用を、前記識別情報に基づいて制御するサブバンド信号情報制御手段、とを有する光信号監視装置。
【0056】
(付記2)前記サブバンド信号情報制御手段は、前記識別情報に対応する識別符号を含む要求信号に応答して、前記識別情報と関連付けた前記サブバンド信号情報を、前記要求信号の送信元に開示する付記1に記載した光信号監視装置。
【0057】
(付記3)前記サブバンド信号情報生成手段は、前記識別情報および認証情報と関連付けた前記サブバンド信号情報を生成し、前記サブバンド信号情報制御手段は、前記識別情報に対応する識別符号と、前記認証情報に対応する認証符号とを含む要求信号に応答して、前記識別情報および前記認証情報と関連付けた前記サブバンド信号情報を、前記要求信号の送信元に開示する付記1に記載した光信号監視装置。
【0058】
(付記4)前記サブバンド信号情報は、前記サブバンド光信号の光パワーであるサブバンド光パワーに係るサブバンド光パワー情報、および前記サブバンド光パワーの変動に係る警報情報、の少なくとも一を含む付記1から3のいずれか一項に記載した光信号監視装置。
【0059】
(付記5)前記サブバンド光パワー情報は、前記サブバンド光パワーの波長に対する分布であるサブバンド光スペクトラム、前記サブバンドに含まれる波長チャンネルにおける前記サブバンド光パワーの積算値であるチャンネル光パワー、および前記サブバンドに含まれる各波長における前記サブバンド光パワーの積算値であるサブバンド積算パワー、の少なくとも一を含む付記4に記載した光信号監視装置。
【0060】
(付記6)前記警報情報は、前記サブバンドに含まれる波長チャンネルにおける前記サブバンド光パワーの積算値であるチャンネル光パワーの変動を示すチャンネル警報情報、および前記サブバンドに含まれる各波長における前記サブバンド光パワーの積算値であるサブバンド積算パワーの変動を示すサブバンド警報情報、の少なくとも一を含む付記4または5に記載した光信号監視装置。
【0061】
(付記7)付記1から6のいずれか一項に記載した光信号監視装置と、前記波長多重信号光が入出力するための第1の接続部と、前記サブバンド光信号が入出力するための複数の第2の接続部を備える波長切替装置、とを有する光装置。
【0062】
(付記8)識別情報によって区別される複数のサブバンドにそれぞれ属するサブバンド光信号からなる波長多重信号光を監視し、前記波長多重信号光の各波長における光パワー情報を含む波長多重信号情報を生成し、前記波長多重信号情報に基づいて、前記複数のサブバンド毎に、前記識別情報と関連付けたサブバンド信号情報を生成し、前記サブバンド信号情報の利用を、前記識別情報に基づいて制御する光信号監視方法。
【0063】
(付記9)前記サブバンド信号情報の利用を制御することは、前記識別情報に対応する識別符号を含む要求信号に応答して、前記識別情報と関連付けた前記サブバンド信号情報を、前記要求信号の送信元に開示することを含む付記8に記載した光信号監視方法。
【0064】
(付記10)前記サブバンド信号情報を生成することは、前記識別情報および認証情報と関連付けた前記サブバンド信号情報を生成することを含み、前記サブバンド信号情報の利用を制御することは、前記識別情報に対応する識別符号と、前記認証情報に対応する認証符号とを含む要求信号に応答して、前記識別情報および前記認証情報と関連付けた前記サブバンド信号情報を、前記要求信号の送信元に開示することを含む付記8に記載した光信号監視方法。
【0065】
(付記11)前記サブバンド信号情報は、前記サブバンド光信号の光パワーであるサブバンド光パワーに係るサブバンド光パワー情報、および前記サブバンド光パワーの変動に係る警報情報、の少なくとも一を含む付記8から10のいずれか一項に記載した光信号監視方法。
【0066】
(付記12)前記サブバンド光パワー情報は、前記サブバンド光パワーの波長に対する分布であるサブバンド光スペクトラム、前記サブバンドに含まれる波長チャンネルにおける前記サブバンド光パワーの積算値であるチャンネル光パワー、および前記サブバンドに含まれる各波長における前記サブバンド光パワーの積算値であるサブバンド積算パワー、の少なくとも一を含む付記11に記載した光信号監視方法。
【0067】
(付記13)前記警報情報は、前記サブバンドに含まれる波長チャンネルにおける前記サブバンド光パワーの積算値であるチャンネル光パワーの変動を示すチャンネル警報情報、および前記サブバンドに含まれる各波長における前記サブバンド光パワーの積算値であるサブバンド積算パワーの変動を示すサブバンド警報情報、の少なくとも一を含む付記11または12に記載した光信号監視方法。
【0068】
以上、実施形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記実施形態に限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、本願発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【符号の説明】
【0069】
100 光信号監視装置
110 光信号情報生成部
120 サブバンド信号情報生成部
130 サブバンド信号情報制御部
1000 光装置
1100 光信号監視装置
1200 波長切替装置
1210 第1の接続部
1220 第2の接続部
図1
図2
図3
図4
図5