(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】距離補正装置及び距離補正方法
(51)【国際特許分類】
G01H 9/00 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
G01H9/00 E
(21)【出願番号】P 2022561705
(86)(22)【出願日】2020-11-10
(86)【国際出願番号】 JP2020041814
(87)【国際公開番号】W WO2022101959
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-04-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109313
【氏名又は名称】机 昌彦
(74)【代理人】
【識別番号】100149618
【氏名又は名称】北嶋 啓至
(72)【発明者】
【氏名】松田 侑真
(72)【発明者】
【氏名】樋野 智之
【審査官】森口 正治
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/178976(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/179431(WO,A1)
【文献】国際公開第2017/072505(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が通行する道路に沿って設置された光ファイバにより検出された、前記光ファイバの基準点からの長さである光ファイバ距離の各々についての、振動の大きさを表すデータである振動データから、前記光ファイバ距離の各々についての、所定の周波数範囲である第一周波数範囲の振動の大きさを表す値である第一振動値を導出する、振動値導出手段と、
前記第一振動値から、前記基準点から、橋梁に設置された前記光ファイバの所定の位置である橋梁光ファイバ位置までの前記光ファイバ距離である橋梁光ファイバ距離を導出する、橋梁光ファイバ距離導出手段と、
前記橋梁光ファイバ距離と、前記基準点から前記橋梁光ファイバ位置までの、前記道路に沿った距離である道路距離とから、所定の範囲の前記光ファイバ距離を前記道路距離に近づける補正を行う、距離補正手段と、
を備える、距離補正装置。
【請求項2】
前記第一周波数範囲は、1Hzから3Hzまでの間の所定の周波数以上の前記周波数範囲である、請求項1に記載された距離補正装置。
【請求項3】
前記第一周波数範囲は、1Hz以上の前記周波数範囲である、請求項1に記載された距離補正装置。
【請求項4】
前記橋梁光ファイバ距離導出手段は、前記橋梁光ファイバ距離を、前記第一振動値が有意に変化する前記光ファイバ距離の導出により、導出する、請求項1乃至請求項3のうちのいずれか一に記載された距離補正装置。
【請求項5】
前記変化は減少である、請求項4に記載された距離補正装置。
【請求項6】
前記振動の大きさを表す値は、前記振動の振幅を表す値、又は、前記振動の強度を表す値である、請求項1乃至請求項5のうちのいずれか一に記載された距離補正装置。
【請求項7】
前記第一周波数範囲の前記振動の大きさを表す値は、前記第一周波数範囲の下限から上限までの各周波数における前記振動の大きさを表す値の平均値である、請求項1乃至請求項6のうちのいずれか一に記載された距離補正装置。
【請求項8】
前記振動値導出手段は、前記光ファイバ距離の各々について、前記第一振動値が、前記第一振動値についての閾値である第一振動値閾値以下であるかについての判定結果である第一判定値を導出する、請求項1乃至請求項7のうちのいずれか一に記載された距離補正装置。
【請求項9】
前記第一判定値は所定の二値のいずれかであり、前記橋梁に敷設された前記光ファイバの前記光ファイバ距離の範囲における、前記二値のうちの前記橋梁でないことを表す値を、前記二値のうちの前記橋梁であることを表す値に修正する第一修正処理を行う、第一修正手段をさらに備える、請求項8に記載された距離補正装置。
【請求項10】
車両が通行する道路に沿って設置された光ファイバにより検出された、前記光ファイバの基準点からの長さである光ファイバ距離の各々についての、振動の大きさを表すデータである振動データから、前記光ファイバ距離の各々についての、所定の周波数範囲である第一周波数範囲の振動の大きさを表す値である第一振動値を導出し、
前記第一振動値から、前記基準点から、橋梁に設置された前記光ファイバの所定の位置である橋梁光ファイバ位置までの前記光ファイバ距離である橋梁光ファイバ距離を導出し、
前記橋梁光ファイバ距離と、前記基準点から前記橋梁光ファイバ位置までの、前記道路に沿った距離である道路距離とから、所定の範囲の前記光ファイバ距離を前記道路距離に近づける補正を行う、
距離補正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光ファイバにより振動を検出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の通行軌道に沿って敷設された光ケーブルの光ファイバが検出する振動による車両の通行状況の取得が行われている。例えば、特許文献1は、鉄道軌道に沿って敷設された光ケーブルに対してレーザ光を出射する光源および光ケーブル内の散乱光を検出、周波数解析し、列車位置を検出し鉄道関連設備を制御する鉄道制御システムを開示する。
【0003】
特許文献1の方法を応用すれば、道路を通行する車両の通行状況を、道路に敷設された光ケーブルが検出する振動により取得することが可能である。そして、車両の通行状況を、振動を取得する装置からの光ケーブルの長さ(以下、「光ケーブル距離」という。)と対応付けることが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、道路に敷設された光ケーブルは、必ずしも道路に沿ってきちんと敷設されておらず、一般的に、余長やたるみがある。その場合、光ケーブル距離は、道路に沿った距離(道路距離)との間で乖離が生じる。そして、光ケーブル距離と道路距離との間で乖離があると、車両により振動が生じた位置の特定精度が悪くなる。
【0006】
そのため、車両の通行状況を道路距離と対応付けるためには、光ケーブル距離を道路距離と対応付ける作業が必要となる。しかしながら、この作業は一般的に手間がかかり容易ではない。その理由は、この作業を行うためには、道路の構造物情報や地図情報等の複数のデータを参照する必要があるためである。
【0007】
本発明は、光ケーブルにより検出する車両による振動の道路上の位置の特定精度向上を容易にする距離補正装置等の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の距離補正装置は、車両が通行する道路に沿って敷設された光ファイバにより検出された、前記光ファイバの基準点からの長さである光ファイバ距離の各々についての、振動の大きさを表すデータである振動データから、前記光ファイバ距離の各々についての、所定の周波数範囲である第一周波数範囲の振動の大きさを表す値である第一振動値を導出する、振動値導出部と、前記第一振動値から、前記基準点から、橋梁に設置された前記光ファイバの所定の位置である橋梁光ファイバ位置までの前記光ファイバ距離である橋梁光ファイバ距離を導出する、橋梁光ファイバ距離導出部と、前記橋梁光ファイバ距離と、前記基準点から前記橋梁光ファイバ位置までの、前記道路に沿った距離である道路距離とから、所定の範囲の前記光ファイバ距離を前記道路距離に近づける補正を行う、距離補正部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の距離補正装置等は、光ケーブルにより検出する車両による振動の道路上の位置の特定精度向上を容易にする。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態の距離補正方法の概略を表すイメージ図である。
【
図3】本実施形態のセンサ装置の構成例を表す概念図である。
【
図5】距離補正処理の処理フロー例を表す概念図である。
【
図6】振動データ及び振幅平均値の具体例を表す図である。
【
図7】S103及びS104の処理フロー例を表す概念図である。
【
図8】S105の処理フロー例を表す概念図である。
【
図9】S105の処理後の低域判定値及び高域判定値の例を表す概念図である。
【
図11】実施形態の距離補正装置の最小限の構成を表すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態のセンサ装置は、光ファイバが検出する振動データが、橋梁に敷設された光ケーブルのものと、道路の他の部分に敷設された光ケーブルのものとで異なることを利用して、橋梁の光ファイバ距離を導出する。そして、センサ装置は、地図データ上の橋梁の道路距離と、その橋梁の光ファイバ距離とにより、その橋梁までの各光ファイバ距離を道路距離に近づける処理を行う。光ファイバ距離を前記道路距離に近づけることを、本実施形態においては、「補正」ということにする。
【0012】
図1は、本実施形態の距離補正方法の概略を表すイメージ図である。当該補正は、振動データにおける光ファイバ距離を道路距離に近づけるものである。
【0013】
光ファイバ23は、道路40に敷設された図示されない光ケーブルが備えるものである。光ファイバ23には、当該光ケーブルの余長やたわみにともない、余長やたわみが生じている。
【0014】
また、光ファイバ21は、センサ装置10と、接続部22との間の光ケーブルが備える光ファイバである。光ファイバ21は、接続部22により、光ファイバ23に接続されている。光ファイバ21には、当該光ケーブルの余長やたわみにともない、余長やたわみが生じている。
【0015】
センサ装置10は、光ファイバ21及び23が検知した振動についての振動データを取得する。振動データには、光ファイバ21及び23の各光ファイバ距離における、振動の振幅の周波数特性の時間変化を表す情報が含まれる。ここで、光ファイバ距離は、ある基準位置からの光ファイバの長さである。基準位置は、例えば、光ファイバ21とセンサ装置10とが接続される位置である。
【0016】
センサ装置10は、光ファイバ21にレーザ光であるプローブ光を送出し、光ファイバ21及び23の各位置からの反射戻り光の位相等により当該位置の振動の大きさを検知するセンサ装置である。そのようなセンサ装置は公知であり、例えば、NECプラットフォームズ株式会社からも市販されている(製品名:SPWV_LS)。
【0017】
前述のように、光ファイバ21及び21には、余長やたわみが生じている。そのため、振動データにおける光ファイバ距離は、道路距離との間で乖離が生じている。
【0018】
自動車等の車両が通行する道路40には橋梁30上の部分が含まれる。そして、橋梁30上の道路40に敷設された光ファイバ23の区間が検出する振動データは、橋梁30以外の道路40に敷設された光ファイバ23が検出する振動データとは異なる後述の特徴を有することが経験により理解されている。
【0019】
本実施形態の距離補正方法においては、この振動データが橋梁30上に敷設された光ファイバ23の区間では異なることを利用し、橋梁30上に敷設された光ファイバの光ファイバ距離を求める。そして、橋梁30上に敷設された光ファイバ23の光ファイバ距離が、地図データ上の橋梁30の道路距離に対応することを利用して、例えば、センサ装置10から見て橋梁30より先の範囲について、各光ファイバ距離の補正を行う。当該補正は、対象とする範囲の光ファイバ距離を道路距離に近づけるものである。
【0020】
次に、橋梁に敷設された光ケーブルでは、光ファイバが検出する振動データが、他の区間とどのように異なるかについて説明する。
図2は、橋梁に敷設された光ケーブルと橋梁以外の道路に敷設された光ケーブルとでの振動データの特徴の違いを表す図である。
【0021】
図2における低周波数範囲は、例えば、1乃至3Hzの間のある周波数以下の所定の範囲である。低周波数範囲の下限は0Hzであっても構わない。また、高周波数範囲は、例えば、低周波数範囲の上限以上のある周波数以上の所定の周波数範囲である。高周波数範囲の下限は、低周波数範囲の上限であっても構わない。また、高周波数範囲の上限は、ナイキスト周波数以下の所定の範囲であることが望ましい。ここで、ナイキスト周波数はサンプリング周波数の1/2の周波数をいう。標本化定理によりこの周波数以上の振動データは信頼できないものとなるため、含めない方がよい。
【0022】
自動車等の車両の通行が無い場合には、低周波数範囲及び高周波数範囲のいずれについても、振動データの振幅は小さくなる。その理由は、振動データは、主に、車両の走行により生じるものだからである。
【0023】
一方、車両の走行がある場合には、橋梁においては、他の区間と比較して、高周波数範囲の振動データの振幅が有意に小さくなる。その理由は、車両の走行により橋梁に振動が加わると、橋梁全体が振動続けるため振動の大きさの変化が小さくなり、数分の時間窓でフーリエ変換した際に橋梁部の振動はほとんど高周波数成分を持たないためである。
【0024】
次に、
図2の振動データの特徴を利用して光ファイバ距離を道路距離に近づける補正を行うための構成及び処理を説明する。
【0025】
図3は、本実施形態のセンサ装置の例であるセンサ装置10の構成を表す概念図である。センサ装置10は、取得部11と、記憶部12と、入力部13と、出力部14と、処理部15とを備える。
【0026】
取得部11は、処理部15の指示に従い、光ファイバ21にプローブ光を送出し、そのプローブ光についての光ファイバ21及び
図1の光ファイバ23からの反射戻り光から、前述の振動データを取得する。取得部11は、市販されているものも含めた一般的なセンサ装置が備えるものであり、ここでは、その詳細説明は省略される。取得部11は、取得した振動データを、逐次、記憶部12に格納する。
【0027】
入力部13は、処理部15の指示に従い、外部から入力された情報を、記憶部12に格納する。入力部13は、例えば、キーボード、タッチパネルの入力部、音声入力装置又は受信装置である。
【0028】
出力部14は、処理部15からの指示に従い、処理部15から指示された情報を、外部へ出力する。出力部14は、例えば、ディスプレイ等の表示部、音声出力装置又は送信装置である。
【0029】
処理部15は、例えば、コンピュータやプロセッサを備える構成である。その場合、処理部15は、例えば、記憶部12が保持するプログラムにより動作する。
【0030】
処理部15は、外部からの入力情報に基づき、取得部11に、所定の光ファイバ距離範囲の振動データを取得させる。処理部15は、また、取得された振動データから種々の情報を導出し、記憶部12に格納する。このような処理は、一般的なセンサ装置が行う処理であり、ここでは、その説明は省略される。処理部15は、このような処理を、例えば、
図4の処理部15が備えるデータ処理部151により行う。
【0031】
処理部15は、上記処理以外に、振動データの特徴から橋梁の光ファイバ距離を特定し、光ファイバ距離を道路距離に近づける距離補正処理を行う。距離補正処理は、
図1を参照して説明した、振動データの特徴から橋梁の光ファイバ距離を特定し、光ファイバ距離を道路距離に近づける補正を行う処理である。処理部15は、距離補正処理を、例えば、
図4の処理部15が備える距離補正部152により行う。
【0032】
図5は、
図4の距離補正部152が行う距離補正処理の処理フロー例を表す概念図である。距離補正部152は、例えば、外部からの開始情報の入力により、
図5の処理を開始する。
【0033】
そして、距離補正部152は、まず、S101の処理として、
図3の取得部11に、振動データの取得を指示する。振動データは、各光ファイバ距離における各周波数の振動の大きさを表す値を、各時間について表すものである。当該指示を受けて、取得部11は、指示された振動データの取得を行う。
【0034】
ここで、取得された振動データの具体例を説明する。
図6(a)及び
図6(b)は、振動データの具体例を表す図である。これらの図は、橋梁及び橋梁以外の道路のいずれにおいても車両の通行がある場合に取得されたものである。
図6(a)は、振動の振幅の時間(縦軸)の経過による変化を、各光ファイバ距離(横軸)について表す図である。また、
図6(b)は、振幅の時間平均についての周波数(縦軸)分布を、各光ファイバ距離(横軸)について表す図である。
図6(a)及び
図6(b)において、より明るい点は振幅がより大きいことを表す。なお、
図6(a)及び
図6(b)においては、図の見やすさを考慮して、実際よりもコントラストを強調して表してある。
【0035】
これらのデータは、光ケーブルが備える光ファイバからの戻り光を取得部11が解析することにより得られるものである。そのような解析を行う構成は公知であり、その詳細説明は省略される。
【0036】
図6(a)及び
図6(b)において、縦長の長方形で囲まれた部分は、橋梁に相当する光ファイバ距離のデータである。橋梁に相当する光ファイバ距離のデータは、周囲のデータと比較して、明暗の模様が異なっている。以下説明する、
図5のS102乃至S103の処理は、この明暗の模様が異なっている橋梁に相当する光ファイバ距離の範囲を特定するための処理である。
【0037】
取得部11による振動データの取得が完了すると、距離補正部152は、S102の処理として、前述の低周波数範囲及び高周波数範囲の各々について、各時間及び各光ファイバ距離についての、振幅平均値を導出する。ここで、振幅平均値は、例えば、低周波数範囲であれば、低周波数範囲の下限から上限までの各周波数における振幅の平均である。
【0038】
なお、低周波数範囲及び高周波数範囲は、予め、外部から入力され、記憶部12に格納されている。距離補正部152は、記憶部12に格納されている低周波数範囲及び高周波数範囲を読み込み、S102の処理を行う。
【0039】
図6(c)は、低周波数範囲についての振幅平均値(低域平均値)を、999各光ファイバ距離(横軸)について表す図である。また、
図6(d)は、高周波数範囲についての振幅平均値(高域平均値)を、各光ファイバ距離(横軸)について表す図である。これらにおいては、振幅平均値がより低い光ファイバ距離の色はより濃色で示してある。
図6(d)の縦長の四角形で囲まれた橋梁においては、周囲と比較して濃色になっており、高域平均値が周囲より小さい。
【0040】
次に、距離補正部152は、S103の処理として、低域平均値が低域閾値以上の光ファイバ距離を特定する。ここで、低域閾値は、S103の処理のために予め定められた、低域平均値についての閾値である。低域閾値は、予め定められ、例えば、
図3の記憶部12に格納されている。
【0041】
そして、距離補正部152は、S104の処理として、高域平均値が高域閾値以下の光ファイバ距離を特定する。ここで、高域閾値は、S104の処理のために予め定められた、高域平均値についての閾値である。高域閾値は、予め定められ、例えば、
図3の記憶部12に格納されている。
【0042】
距離補正部152は、S103及びS104の処理を、例えば、
図7の処理により行う。その場合、距離補正部152は、
図5のS102の処理が終了すると、S201の処理として、
図3の記憶部12から、低域閾値及び高域閾値を読み出す。
【0043】
そして、距離補正部152は、S202の処理として、低域平均値が低域閾値以上の光ファイバ距離の判定値(低域判定値)を1とする。距離補正部152は、また、低域平均値が低域閾値未満の光ファイバ距離の低域判定値を0とする。
【0044】
次に、距離補正部152は、S203の処理として、高域平均値が高域閾値以下の光ファイバ距離の判定値(高域判定値)を1とする。距離補正部152は、また、高域平均値が高域閾値を上回る光ファイバ距離の高域判定値を0とする。
【0045】
そして、距離補正部152は、
図5のS105の処理を行う。
【0046】
説明を
図5に戻す。S104の処理の次に、距離補正部152は、S105の処理として、S104の処理により得られた、各光ファイバ距離の低域判定値及び高域判定値の各々について、ノイズ除去の処理を行う。
【0047】
距離補正部152は、S105の処理を、例えば、
図8の処理により行う。その場合、距離補正部152は、S104の処理が終了すると、S301の処理として、第一閾値乃至第四閾値を記憶部12から読み込む。第一閾値乃至第四閾値は、以下の処理に用いられる光ファイバの長さに関する閾値であり、予め定められ、例えば、記憶部12に格納されている。
【0048】
そして、距離補正部152は、S302の処理として、高域判定値の0が連続する光ファイバの長さが第一閾値以下の場合、その光ファイバ距離の範囲の高域判定値を1に変更する。S302の処理は、高域判定値の0(橋梁でないことを表す判定値)が連続する光ファイバ距離の長さが有意に短い場合は、ノイズとして、高域判定値を1(「橋梁である」または「橋梁以外で車両通行無」を表す判定値)に修正する処理である。第一閾値は、そのような修正が可能な値に設定されている。第一閾値は、例えば、数十メートル(50メートル乃至100メートルの間の所定の値)である。
【0049】
例えば、橋梁に敷設された光ファイバの光ファイバ距離の範囲において、第一閾値以下の短い光ファイバの長さで、ノイズとして、橋梁でないことを表す高域判定値の0が判定されていたとする。その場合、その判定結果は、S302の処理により、「橋梁である」または「橋梁以外で車両通行無」を表す高域判定値の1に修正される。その結果、橋梁に敷設された光ファイバの光ファイバ距離の範囲には、すべて、「橋梁である」または「橋梁以外で車両通行無」を表す高域判定値の1が付与される。
【0050】
次に、距離補正部152は、S303の処理として、高域判定値の1(「橋梁である」または「橋梁以外で車両通行無」を表す判定値)が連続する光ファイバ距離の長さが第二閾値以下の場合、その区間の高域判定値を0(橋梁でないことを表す判定値)に変更する。S303の処理は、高域判定値の1(「橋梁である」または「橋梁以外で車両通行無」を表す判定値)が連続する光ファイバ距離の長さが有意に短い場合は、ノイズとして、高域判定値を0(橋梁でないことを表す判定値)に修正する処理である。第二閾値は、そのような修正が可能な値に設定されている。第二閾値は、例えば、約200メートル(500メートル以下、より好ましくは、100メートル乃至300メートル、の所定の値)である。橋梁の長さが約200メートル以下の場合は、高域判定値にノイズが入りやすいことが、経験により理解されている。S304の処理により、そのような長さが有意に短い橋梁についての高域判定値は、以降の処理の対象の橋梁には相当しないことを表す0とされる。これにより、高域判定値にノイズが入りやすい橋梁については、以降の処理の対象から除外される。
【0051】
次に、距離補正部152は、S304の処理として、低域判定値の0(車両の走行が無いことを表す判定値)が連続する光ファイバ距離の長さが第三閾値以下の場合、その区間の低域判定値を1(車両の走行があることを表す判定値)に変更する。S304の処理は、低域判定値の0(車両の走行が無いことを表す判定値)が連続する光ファイバ距離の長さが有意に短い場合は、ノイズとして低域判定値を1(車両の走行があることを表す判定値)に修正する処理である。第三閾値は、そのような修正が可能な値に設定されている。第三閾値は、例えば、数十メートル(50メートル乃至100メートルの間の所定の値)である。
【0052】
以上で
図8の処理の説明を終了し、
図5の処理の説明に戻る。
【0053】
図9(c)及び
図9(d)は、
図5のS105の処理後の、各光ファイバ距離の低域判定値及び高域判定値の例を表す概念図である。
図9(a)及び
図9(b)は、
図6(a)及び
図6(b)と同じ図である。
【0054】
図9(c)においては、すべての光ファイバ距離の低域判定値が明色になっている。このことは、すべての光ファイバ距離の低域判定値が1であることを表す。このことは、すべての光ファイバ距離において車両の通行による振動が観測されているとみなされた場合に相当する。ここで、「みなされた」と記述したのは、S105の処理により、低域判定値が0(車両の走行が無いことを表す判定値)の範囲が短い場合は、低域判定値を1(車両の走行があることを表す判定値)に変更する処理を行っているためである。そのため、処理後のデータにはみなされた情報が含まれるためである。なお、
図9(c)の例では、低域判定値が0(車両の通行が無いことを表す判定値)の光ファイバ距離は存在しないが、仮に存在した場合には、その光ファイバ距離は暗色で表示される。
【0055】
また、
図9(d)においては、明色の部分が、高域判定値が1(「橋梁である」または「橋梁以外で車両通行無」を表す判定値)の光ファイバ距離に相当し、暗色の部分が高域判定値が0(橋梁でないことを表す判定値)の光ファイバ距離に相当する。明色の光ファイバ距離の範囲は、橋梁に敷設された光ケーブルの光ファイバに相当する範囲のうち以降の処理に用いられるものである。一番右の縦に長い長方形で囲まれた範囲は光ファイバが橋梁に敷設された光ファイバ距離の範囲ではあるが、
図9(d)では高域判定値が0(橋梁でないことを表す判定値)になっており、以降の処理には用いられない。これは、高域判定値にノイズの多い長さの短い橋梁は、S105の処理で判定値を0とし、以降の処理に用いられないようにしているためである。
【0056】
距離補正部152は、
図5のS105の処理を終了すると、S106の処理として、低域平均値が低域閾値未満の光ファイバ距離はあるかについての判定を行う。距離補正部152は、S106の処理による判定結果がnoの場合は、S107の処理を行う。距離補正部152は、S106の処理による判定結果がyesの場合は、S101の処理を再度行う。
図2を参照して説明したように、低周波数範囲の振幅が有意に小さい光ファイバ距離の範囲は、橋梁であるか否かにかかわらず、車両の通行による振動が観測されない範囲に相当する。車両の通行による振動が観測されない光ファイバ距離の範囲を処理対象に含めると以降の処理の結果に誤りが生じる可能性がある。そのため、車両の通行による振動が観測されない光ファイバ距離の範囲がある旨が判定された場合には、距離補正部152は、再度S101の処理を行い、振動データを取得しなおすのである。
【0057】
なお、一般的には、時間をずらして、振動データを取得しなおすことにより、S106の処理により低域平均値が低域閾値未満である光ファイバ距離が存在しない旨が判定されるようになる。ただし、車両の走行が極端に少ない道路の場合は、S106の処理により低域平均値が低域閾値未満である光ファイバ距離が存在しない旨が判定されるようにならない場合があり得る。そのような道路は、本実施形態の距離補正の対象外である。しかしながら、光ケーブルが敷設されるような主要な道路であれば、車両通行止め等の特殊な場合を除いて、通常はそのようなことはない。
【0058】
なお、S103の処理結果へのノイズの影響が無視できる場合には、距離補正部152は、S106の処理を、S103の処理の直後に行うことも可能である。その場合は、距離補正部152は、S106の処理による判定結果がyesの場合にS104及びS105の処理を行う無駄を省略できる。
【0059】
また、距離補正部152は、S106の処理による判定結果がyesの場合に、S106の処理で低域平均値が低域閾値未満であることが判定された光ファイバ距離範囲のみについて、S101以降又はS102以降の処理を行ってもよい。その場合、距離補正部152は、先の処理結果の当該光ファイバ距離範囲部分を、後の処理結果に置き換えて、以降の処理を行う。それにより、距離補正部152は、先の処理結果の有効部分を活用することが可能になる。
【0060】
距離補正部152は、S107の処理を行う場合は、同処理として、振動データにおける光ファイバ距離を道路距離に近づける補正を行う。当該補正は、例えば、次のようなものである。
【0061】
例えば、
図5のS107の処理を行う時点の、各光ファイバ距離の高域判定値として、
図10(b)に表されるものが得られたとする。ここで、
図10(a)は、
図10(b)に対応する、各光ファイバ距離の振幅の時間変化を表す図である。そして、道路距離上の橋梁の有無を表すデータが
図10(c)に表されるものであるとする。
【0062】
図10(b)においては、
図10(c)における橋梁81に対応する、高域判定値が1の光ファイバ距離の範囲は存在しない。これは、
図5のS105の処理により、長さの短い橋梁81の光ファイバ距離の範囲については、高域判定値の1が0に修正されているためである。
【0063】
また、
図10(b)における橋梁82が始まる位置Aに対応して、高域判定値が0から1に切り替わる光ファイバ距離は、
図10(c)における橋梁82の位置Aの道路距離と一致している。これは、位置Aまでの光ファイバ距離については、光ファイバの有意な余長やたるみは生じていないことを表す。
【0064】
一方、
図10(b)における橋梁83が始まる位置Bに対応して、高域判定値が0から1に切り替わる光ファイバ距離は、
図10(c)における橋梁83の位置Bの道路距離より長くなっている。これは、位置A-B間では、有意な光ファイバの余長やたるみが生じていることを表す。
【0065】
この場合、距離補正部152は、
図10(b)の位置Bの光ファイバ距離を、
図10(c)の位置Bの道路距離に合わせる補正を行う。これにより、位置Bより右方の光ファイバ距離は、道路距離に近づけられる。
【0066】
距離補正部152は、或いは、位置Aから位置Bまでの各光ファイバ距離を、例えば、各光ファイバ距離に、位置A-B間の道路距離上の長さを乗じ、位置A-B間の光ファイバ距離上の長さで除することにより補正しても構わない。その場合、位置Aから位置Bまでのどこで光ファイバにたるみや余長が有意に生じているかにより、位置A-B間のある位置では、道路距離から乖離する方向の補正がされる場合がある。しかしながら、その場合であっても、位置A-B間の全体としては(例えば乖離の度合いの平均をとれば)、光ファイバ距離は道路距離に近づく方向に補正されることが期待できる。
【0067】
なお、各光ファイバ距離における高域判定値が1(橋梁であることを表す判定値)の範囲と、道路距離上の橋梁との対応付けは、例えば、それらの長さを距離補正部152に比較させることにより行うことができる。
【0068】
以上の説明では、高域判定値に0と1とからなる二値を割り当てた。しかしながら、高域判定値には、他の二値の組み合わせが用いられても良い。低域判定値についても同様である。
【0069】
また、高周波数範囲及び低周波数範囲の振動の振幅を表す値として、高域平均値及び低域平均値を用いた。しかしながら、高周波数範囲及び低周波数範囲の振動の振幅を表す値として、高域平均値及び低域平均値以外の値が用いられても良い。
【0070】
また、振動の大きさを表す値として、振動の振幅を表す値以外のものが用いられても良い。振動の大きさを表す値として、例えば、振動の強度を表す値が用いられてもよい。
[効果]
本実施形態のセンサ装置は、光ファイバが検出する振動データの特徴が、橋梁に敷設された光ケーブルのものと、道路の他の部分に敷設された光ケーブルのものとで異なることを利用して、橋梁の光ファイバ距離を導出する。そして、センサ装置は、地図データ上の橋梁の道路距離と、その橋梁の光ファイバ距離とにより、その橋梁までの各光ファイバ距離を補正する。
【0071】
そのため、センサ装置は、道路の構造物情報や地図情報等の複数のデータを参照する複雑な作業を必要としない。そのため、センサ装置は、光ケーブルにより検出する車両による振動の道路上の位置の特定精度向上を容易化する。
【0072】
図11は、実施形態の距離補正装置の最小限の構成である距離補正装置152xの構成を表すブロック図である。距離補正装置152xは、振動値導出部152axと、橋梁光ファイバ距離導出部152bxと、距離補正部152cxとを備える。
【0073】
振動値導出部152axは、車両が通行する道路に沿って設置された光ファイバにより検出された、前記光ファイバの基準点からの長さである光ファイバ距離の各々についての振動データから、第一振動値を導出する。ここで、振動データは、振動の大きさを表すデータである。また、第一振動値は、前記光ファイバ距離の各々についての、所定の周波数範囲である第一周波数範囲の振動の大きさを表す値である。
【0074】
橋梁光ファイバ距離導出部152bxは、前記第一振動値から、前記基準点から、橋梁に設置された前記光ファイバの所定の位置である橋梁光ファイバ位置までの前記光ファイバ距離である橋梁光ファイバ距離を導出する。
【0075】
距離補正部152cxは、前記橋梁光ファイバ距離と、前記基準点から前記橋梁光ファイバ位置までの、前記道路に沿った距離である道路距離とから、所定の範囲の前記光ファイバ距離について、補正を行う。当該補正は、前記光ファイバ距離を前記道路距離に近づけるものである。
【0076】
距離補正装置152xは、上記構成により、前記補正を行う。そのため、距離補正装置152xは、前記補正のために、道路の構造物情報や地図情報等の複数のデータを参照しないことを可能にする。また、光ファイバ距離をその前記光ファイバ距離の前記光ファイバの位置の前記道路距離に近づけることができれば、光ケーブルにより検出する車両による振動の道路上の位置の特定精度が向上する。そのため、距離補正装置152xは、光ケーブルにより検出する車両による振動の道路上の位置の特定精度向上を容易にする。
【0077】
そのため、距離補正装置152xは、前記構成により、[発明の効果]の項に記載した効果を奏する。
【0078】
以上、本発明の各実施形態を説明したが、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の基本的技術的思想を逸脱しない範囲で更なる変形、置換、調整を加えることができる。例えば、各図面に示した要素の構成は、本発明の理解を助けるための一例であり、これらの図面に示した構成に限定されるものではない。
【0079】
また、前記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記述され得るが、以下には限られない。
(付記1)
車両が通行する道路に沿って設置された光ファイバにより検出された、前記光ファイバの基準点からの長さである光ファイバ距離の各々についての、振動の大きさを表すデータである振動データから、前記光ファイバ距離の各々についての、所定の周波数範囲である第一周波数範囲の振動の大きさを表す値である第一振動値を導出する、振動値導出手段と、
前記第一振動値から、前記基準点から、橋梁に設置された前記光ファイバの所定の位置である橋梁光ファイバ位置までの前記光ファイバ距離である橋梁光ファイバ距離を導出する、橋梁光ファイバ距離導出手段と、
前記橋梁光ファイバ距離と、前記基準点から前記橋梁光ファイバ位置までの、前記道路に沿った距離である道路距離とから、所定の範囲の前記光ファイバ距離を前記道路距離に近づける補正を行う、距離補正手段と、
を備える、距離補正装置。
(付記2)
前記第一周波数範囲は、1Hzから3Hzまでの間の所定の周波数以上の前記周波数範囲である、付記1に記載された距離補正装置。
(付記3)
前記第一周波数範囲は、1Hz以上の前記周波数範囲である、付記1に記載された距離補正装置。
(付記4)
前記橋梁光ファイバ距離導出手段は、前記橋梁光ファイバ距離を、前記第一振動値が有意に変化する前記光ファイバ距離の導出により、導出する、付記1乃至付記3のうちのいずれか一に記載された距離補正装置。
(付記5)
前記変化は減少である、付記4に記載された距離補正装置。
(付記6)
前記振動の大きさを表す値は、前記振動の振幅を表す値、又は、前記振動の強度を表す値である、付記1乃至付記5のうちのいずれか一に記載された距離補正装置。
(付記7)
前記第一周波数範囲の前記振動の大きさを表す値は、前記第一周波数範囲の下限から上限までの各周波数における前記振動の大きさを表す値の平均値である、付記1乃至付記6のうちのいずれか一に記載された距離補正装置。
(付記8)
前記振動値導出手段は、前記光ファイバ距離の各々について、前記第一振動値が、前記第一振動値についての閾値である第一振動値閾値以下であるかについての判定結果である第一判定値を導出する、付記1乃至付記7のうちのいずれか一に記載された距離補正装置。
(付記9)
前記第一判定値は所定の二値のいずれかであり、前記橋梁に敷設された前記光ファイバの前記光ファイバ距離の範囲における、前記二値のうちの前記橋梁でないことを表す値を、前記二値のうちの前記橋梁であることを表す値に修正する第一修正処理を行う、第一修正手段をさらに備える、付記8に記載された距離補正装置。
(付記10)
前記第一修正手段は、前記二値の一方の値が連続する前記光ファイバ距離の範囲が第一閾値以下である場合に、その範囲の前記二値の一方の値を前記二値の他方の値に修正することにより、前記第一修正処理を行う、付記9に記載された距離補正装置。
(付記11)
前記第一閾値は、50メートル乃至100メートルの間の所定の値である、付記10に記載された距離補正装置。
(付記12)
前記第一修正処理後に、第二閾値よりも短い前記橋梁に敷設された前記光ファイバの前記光ファイバ距離の範囲における、前記第一判定値を、前記二値のうちの前記橋梁でないことを表す値とする第二修正処理を行う、第二修正手段をさらに備える、付記9乃至付記11のうちのいずれか一に記載された距離補正装置。
(付記13)
前記第二修正手段は、前記第二修正処理を、前記二値の前記橋梁でないことを表す値が連続する前記光ファイバ距離の範囲が前記第二閾値以下である場合に、その範囲の前記橋梁でないことを表す値を前記橋梁であることを表す値に修正することにより行う、付記12に記載された距離補正装置。
(付記14)
前記第二閾値は、500メートル以下の所定の値である、付記12又は付記13に記載された距離補正装置。
(付記15)
前記第二閾値は、150メートル乃至250メートルの間の所定の値である、付記12又は付記13に記載された距離補正装置。
(付記16)
前記橋梁光ファイバ位置は、前記橋梁に敷設された前記光ファイバの前記光ファイバ距離が最も短い位置である、付記1乃至付記15のうちのいずれか一に記載された距離補正装置。
(付記17)
前記第一周波数範囲よりも低い周波数の第二周波数範囲の振動の大きさを表す値である第二振動値を導出する、第二振動値導出手段と、
前記距離補正手段に前記補正を行わせるか否かを前記第二振動値により判定する判定手段と、
をさらに備える、付記1乃至付記16のうちのいずれか一に記載された距離補正装置。
(付記18)
前記第二振動値導出手段は、前記光ファイバ距離の各々について、前記第二振動値が、前記第二振動値についての閾値である第二振動値閾値以下であるかについての判定結果である第二判定値を導出する、付記17に記載された距離補正装置。
(付記19)
前記第二判定値は二つの値のいずれかであり、前記二つの値のうちの前記車両の走行が無いことを表す値が連続する前記光ファイバ距離の範囲が第三閾値以上である場合に、その範囲の前記車両の走行が無いことを表す値を前記車両の走行があることを表す値に修正する第三修正処理を行う、第三修正手段をさらに備える、付記18に記載された距離補正装置。
(付記20)
前記判定手段は、対象とする前記光ファイバ距離の範囲について、前記第三修正処理後の前記第二判定値が、前記二つの値のうちの前記車両の走行があることを表す値のみの場合に、前記距離補正手段に前記補正を行わせる、付記19に記載された距離補正装置。
(付記21)
付記1乃至付記20のうちのいずれか一に記載された距離補正装置と、
前記補正された前記光ファイバ距離により、前記振動データに関する所定の処理を行う処理手段と、
を備える処理装置。
(付記22)
付記21に記載された処理装置と、
前記振動データを取得する取得手段を備える、
センサ装置。
(付記23)
車両が通行する道路に沿って設置された光ファイバにより検出された、前記光ファイバの基準点からの長さである光ファイバ距離の各々についての、振動の大きさを表すデータである振動データから、前記光ファイバ距離の各々についての、所定の周波数範囲である第一周波数範囲の振動の大きさを表す値である第一振動値を導出し、
前記第一振動値から、前記基準点から、橋梁に設置された前記光ファイバの所定の位置である橋梁光ファイバ位置までの前記光ファイバ距離である橋梁光ファイバ距離を導出し、
前記橋梁光ファイバ距離と、前記基準点から前記橋梁光ファイバ位置までの、前記道路に沿った距離である道路距離とから、所定の範囲の前記光ファイバ距離を前記道路距離に近づける補正を行う、
距離補正方法。
(付記24)
車両が通行する道路に沿って設置された光ファイバにより検出された、前記光ファイバの基準点からの長さである光ファイバ距離の各々についての、振動の大きさを表すデータである振動データから、前記光ファイバ距離の各々についての、所定の周波数範囲である第一周波数範囲の振動の大きさを表す値である第一振動値を導出する処理と、
前記第一振動値から、前記基準点から、橋梁に設置された前記光ファイバの所定の位置である橋梁光ファイバ位置までの前記光ファイバ距離である橋梁光ファイバ距離を導出する処理と、
前記橋梁光ファイバ距離と、前記基準点から前記橋梁光ファイバ位置までの、前記道路に沿った距離である道路距離とから、所定の範囲の前記光ファイバ距離を前記道路距離に近づける補正を行う処理と、
をコンピュータに実行させる距離補正プログラムを記録した記録媒体。
【0080】
ここで、上記付記において、「道路」は、例えば、
図1の道路40である。また、「光ファイバ」は、例えば、
図1の光ファイバ21又は23である。また、「基準点」は、例えば、
図1のセンサ装置10と光ファイバ21との間の点である。また、「第一周波数範囲」は、例えば、前述の高周波数範囲である。
【0081】
また、「振動値導出手段」は、例えば、
図4の距離補正部152の、
図5のS102の処理を行う部分である。また、「橋梁」は、例えば、
図1の橋梁30である。また、「橋梁光ファイバ位置」は、例えば、
図1の光ファイバ23の、橋梁30に敷設された部分いずれかの部分の位置である。
【0082】
また、「橋梁光ファイバ距離導出手段」は、例えば、
図4の距離補正部152の、
図5のS103、S104、S105の処理を行う部分、及び、S107の処理を行う際に前記橋梁光ファイバ距離を導出する部分である。また、「距離補正手段」は、例えば、
図4の距離補正部152の、
図5のS107の処理を行う部分である。
【0083】
また、「距離補正装置」は、例えば、
図4の距離補正部152である。また、「橋梁でないことを表す値」は、例えば、前述の高域判定値の0である。また、「橋梁であることを表す値」は、例えば、前述の高域判定値の1である。また、「第一修正手段」は、例えば、
図4の距離補正部152の、
図8のS302の処理を行う部分である。
【0084】
また、「第二修正手段」は、例えば、
図4の距離補正部152の、
図8のS303の処理を行う部分である。また、「光ファイバ距離が最も短い位置」は、例えば、
図10の位置A又はB、あるいは、
図11の位置Dである。また、「第二振動値導出手段」は、例えば、
図4の距離補正部152の、
図5のS103の処理を行う部分である。
【0085】
また、「判定手段」は、例えば、
図4の距離補正部152の、
図5のS106の処理を行う部分である。また、「第三修正手段」は、例えば、
図4の距離補正部152の、
図8のS304の処理を行う部分である。また、「処理装置」は、例えば、
図3又は
図4の処理部15である。
【0086】
また、「センサ装置」は、例えば、
図1又は
図3のセンサ装置10である。また、「距離補正方法」は、例えば、
図4の距離補正部152で行われる方法である。また、「コンピュータ」は、例えば、
図4の距離補正部152を備えるか、距離補正部152に備えられる、コンピュータである。また、「距離補正プログラム」は、例えば、上記コンピュータに処理を実行させるプログラムである。
【符号の説明】
【0087】
10 センサ装置
11 取得部
12 記憶部
13 入力部
14 出力部
15 処理部
151 データ処理部
152 距離補正部
152x 距離補正装置
152ax 振動値導出部
152bx 橋梁光ファイバ距離導出部
152cx 距離補正部
21、23 光ファイバ
22 接続部
30、81、82、83、84、85 橋梁
40 道路