(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】アンカー支持部材
(51)【国際特許分類】
E02D 27/00 20060101AFI20240123BHJP
【FI】
E02D27/00 B
(21)【出願番号】P 2022579164
(86)(22)【出願日】2021-02-02
(86)【国際出願番号】 JP2021003641
(87)【国際公開番号】W WO2022168138
(87)【国際公開日】2022-08-11
【審査請求日】2023-06-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000198787
【氏名又は名称】積水ハウス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】堤 哲文
(72)【発明者】
【氏名】松原 由幸
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 英樹
【審査官】高橋 雅明
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-274713(JP,A)
【文献】実開昭59-047053(JP,U)
【文献】実開昭59-142342(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の基礎に設けられるアンカーボルトを支持するアンカー支持部材であって、
基礎の型枠に取り付けられる取付部と、前記取付部に接続されて前記アンカーボルトを保持する保持部と、前記取付部を前記型枠に固定する固定部と、備え、
前記固定部は、前記型枠に固定される2個のガイドレールと、前記取付部に設けられる2個の案内部と、結合部材と、備え、前記アンカー支持部材を所定方向に位置調整できるように前記取付部を前記型枠に固定
し、
前記ガイドレールは、底壁を備え、
前記底壁において、長手方向における一方の端には、下方に延びる延長部が設けられ、
2個の前記ガイドレールは、互いに平行に前記所定方向に延びるように前記型枠と前記取付部との間に配置されて、
前記案内部は、前記ガイドレールに案内されるように構成され、
前記結合部材は、前記取付部を前記型枠に結合させる
アンカー支持部材。
【請求項2】
前記固定部は
、前記取付部に設けられる2個のガイド
孔を備え
、
2個の前記ガイド孔は、前記所定方向に交差する方向に延びるように前記取付部に設けられ、
前記案内部は、前記ガイドレールに案内される第1部分と、前記ガイド孔に案内される第2部分とを有す
る
請求項1に記載のアンカー支持部材。
【請求項3】
前記固定部は、2個のガイド
孔を備え、
2個の前記ガイド孔は、前記取付部に設けられて互いに平行に前記所定方向に延びるように構成され
る
請求項1に記載のアンカー支持部材。
【請求項4】
前記取付部と前記型枠との間に配置されるスペーサをさらに備える
請求項1~
3のいずれか一項に記載のアンカー支持部材。
【請求項5】
前記保持部は、前記アンカーボルトが挿通する挿通孔と、前記挿通孔に対して所定位置に設けられる基準マークとを有する
請求項1~
4のいずれか一項に記載のアンカー支持部材。
【請求項6】
前記保持部は、前記取付部に対して直交するように設けられる
請求項1~
5のいずれか一項に記載のアンカー支持部材。
【請求項7】
前記保持部は、中間部を介して前記取付部に接続されて、前記取付部と平行に設けられる
請求項1~
5のいずれか一項に記載のアンカー支持部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンカーボルトを支持するアンカー支持部材に関する。
【背景技術】
【0002】
建築部の基礎には、鉛直方向に沿うようにアンカーボルトが設けられる。特許文献1には、アンカーボルトを支持するアンカー支持部材が開示されている。アンカー支持部材は、基礎の構築時において、基礎の立ち上がり部分に設けられるアンカーボルトを支持する。アンカー支持部材は、アンカー保持部(同文献では、挿通部を含む部材)と、基礎の打設用の型枠に固定される2個の固定部(同文献では、取着部)とを備える。固定部は、基礎の立ち上がり部分を形成するための2個の型枠それぞれに固定される。アンカー保持部は、2個の固定部の間に配置されて、2個の固定部によって支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、アンカーボルトは、基礎の立ち上がり部分以外の部分に設けられる場合がある。例えば、1個の型枠から所定距離だけ離れたところにアンカーが設けられる場合がある。この場合、従来のアンカー支持部材を使用することは難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1)課題を解決するアンカー支持部材は、建築物の基礎に設けられるアンカーボルトを支持するアンカー支持部材であって、基礎の型枠に取り付けられる取付部と、前記取付部に接続されて前記アンカーボルトを保持する保持部と、前記取付部を前記型枠に固定する固定部と、備え、前記固定部は、前記アンカー支持部材を所定方向に位置調整できるように前記取付部を前記型枠に固定する。この構成によれば、アンカーボルト周辺の型枠の個数に関わらず、アンカーボルトを支持し、アンカーボルトの位置を調整できる。
【0006】
(2)(1)に記載のアンカー支持部材において、前記固定部は、前記型枠に固定される2個のガイドレールと、前記取付部に設けられる2個の案内部と、結合部材と、備え、
2個の前記ガイドレールは、互いに平行に前記所定方向に延びるように前記型枠と前記取付部との間に配置されて、前記案内部は、前記ガイドレールに案内されるように構成され、前記結合部材は、前記取付部を前記型枠に結合させる。
【0007】
この構成によれば、2個のガイドレールと、案内部と、結合部材とによって、アンカー支持部材を所定方向に位置調整可能に型枠に固定でき、かつ、アンカー支持部材が型枠に対して回転しないように固定できる。
【0008】
(3)(1)に記載のアンカー支持部材において、前記固定部は、前記型枠に固定される2個のガイドレールと、前記取付部に設けられる2個のガイド孔と、2個の案内部と、結合部材と、を備え、2個の前記ガイドレールは、互いに平行に前記所定方向に延びるように前記型枠と前記取付部との間に配置されて、2個の前記ガイド孔は、前記所定方向に交差する方向に延びるように前記取付部に設けられ、前記案内部は、前記ガイドレールに案内される第1部分と、前記ガイド孔に案内される第2部分とを有し、前記結合部材は、前記取付部を前記型枠に結合させる。
【0009】
この構成によれば、2個のガイドレールと、2個のガイド孔と、案内部と、結合部材とによって、アンカー支持部材を所定方向および所定方向に交差する方向に位置調整可能に型枠に固定でき、かつ、アンカー支持部材が型枠に対して回転しないように固定できる。
【0010】
(4)(1)に記載のアンカー支持部材において、前記固定部は、2個のガイド孔と、結合部材と、を備え、2個の前記ガイド孔は、前記取付部に設けられて互いに平行に前記所定方向に延びるように構成され、前記結合部材は、前記取付部を前記型枠に結合させる。
【0011】
この構成によれば、2個のガイド孔と、結合部材とによって、アンカー支持部材を所定方向に位置調整可能に型枠に固定でき、かつ、アンカー支持部材が型枠に対して回転しないように固定できる。
【0012】
(5)(1)~(4)のいずれか1つに記載のアンカー支持部材において、前記取付部と前記型枠との間に配置されるスペーサをさらに備える。この構成によれば、取付部と型枠との間の距離を調整できる。これによって、取付部を、型枠から離れる方向に位置調整できる。
【0013】
(6)(1)~(5)のいずれか1つに記載のアンカー支持部材において、前記保持部は、前記アンカーボルトが挿通する挿通孔と、前記挿通孔に対して所定位置に設けられる基準マークとを有する。この構成によれば、基準マークを基準線に合わせることによって、アンカーボルトの位置を調整できる。
【0014】
(7)(1)~(6)のいずれか1つに記載のアンカー支持部材において、前記保持部は、前記取付部に対して直交するように設けられる。この構成によれば、取付部を型枠の側面に固定することによって、型枠の側面に直交になるように保持部を配置できる。
【0015】
(8)(1)~(6)のいずれか1つに記載のアンカー支持部材において、前記保持部は、中間部を介して前記取付部に接続されて、前記取付部と平行に設けられる。この構成によれば、取付部を型枠の上面に固定することによって、型枠の上面に平行になるように保持部を配置できる。
【発明の効果】
【0016】
上記アンカー支持部材は、アンカーボルト周辺の型枠の個数に関わらず、アンカーボルトを支持し、アンカーボルトの位置を調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】アンカーボルトおよび鉄筋が配置された基礎設置地面の断面図。
【
図6】ガイドレール、案内部、およびスペーサの斜視図。
【
図7】コンクリートが打設された状態の基礎の断面図。
【
図8】アンカー支持部材が取り外された状態の基礎の断面図。
【
図10】型枠に取り付けられたアンカー支持部材の斜視図。
【
図12】型枠に取り付けられたアンカー支持部材の斜視図。
【
図15】型枠に取り付けられたアンカー支持部材の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1~
図8を参照して、アンカー支持部材を説明する。
図1は、建築物の基礎1が設置される地面(以下、基礎設置地面2)を示す。基礎1を構築するとき、基礎設置地面2の周囲に型枠3が設けられる。この例では、立ち上がり部を有しないベタ基礎が構築される(
図8参照)。
【0019】
図8に示されるように、基礎1は、基礎設置地面2に沿うように設けられる鉄筋6と、基礎1の周縁に沿うように配置されるアンカーボルト7と、コンクリート部8とを備える。アンカーボルト7は、鉛直方向に沿うように設けられる。アンカーボルト7の上部は、コンクリート部8から露出する。
【0020】
図2に示されるように、コンクリートが打設される前に、鉄筋6およびアンカーボルト7は、基礎設置地面2に配置される。建物本体は、アンカーボルト7を介して基礎1に固定される。このため、各アンカーボルト7の位置は精確であることが好ましい。
【0021】
アンカーボルト7は、型枠3に取り付けられるアンカー支持部材10によって支持される。アンカー支持部材10は、型枠3に、片持ちで支持される。アンカーボルト7は、アンカー支持部材10において、型枠3に取り付けられる取付部11と反対の位置にある保持部12で支持される。アンカーボルト7の下端部には、錘7Aが取り付けられる。アンカーボルト7の上部は、アンカー支持部材10によって支持される。アンカーボルト7は、錘7Aの荷重によって鉛直方向に沿うように配置される。アンカーボルト7の位置は、型枠3に対してアンカー支持部材10の位置を調整することによって、調整される。
【0022】
図1~
図6を参照して、アンカー支持部材10を説明する。
図3および
図4に示されるように、アンカー支持部材10は、アンカーボルト7を支持する。アンカー支持部材10は、取付部11と、保持部12と、固定部13と、を備える。
【0023】
保持部12は、アンカーボルト7を保持する。保持部12は、取付部11に接続される。本実施形態では、保持部12は、中間部14を介して取付部11に接続される。中間部14は、取付部11の端部に直交するように設けられる。一例では、保持部12は、板状に構成される。保持部12は、取付部11と平行となるように、中間部14の下端に設けられる。保持部12、中間部14、および、取付部11は、一体に構成される。一例では、保持部12、中間部14、および、取付部11は、1個の板部材のプレス加工によって構成される。以降では、保持部12、中間部14、および、取付部11を含む部材を「アンカー支持本体部15」という。
【0024】
保持部12は、アンカーボルト7が挿通する挿通孔21を有する。一例では、アンカーボルト7は、挿通孔21に挿通した状態で、ナット22で保持部12に固定される。保持部12には、1個以上の挿通孔21が設けられる。挿通孔21の大きさは、アンカーボルト7が挿通できる大きさである。保持部12の下面は、基礎1のコンクリート部8の上面8Aの基準面として利用される。
【0025】
保持部12は、さらに、基準マーク23を有する。基準マーク23は、挿通孔21に対して所定位置に設けられる。基準マーク23は、アンカーボルト7の位置調整のために使用される。アンカーボルト7の位置を調整するとき、基準マーク23が、基準線に合わせられる。基準線の例として、水糸、および、レーザマーカ装置のレーザが挙げられる。
【0026】
取付部11は、基礎1の型枠3に取り付けられる。取付部11は、固定部13によって型枠3に取り付けられる。例えば、取付部11は、板状に構成される。取付部11の厚さは、保持部12の厚さと等しくてもよいし、保持部12の厚さと異なる厚さであってもよい。
【0027】
固定部13は、取付部11を型枠3に固定する。固定部13は、アンカー支持部材10を所定方向に位置調整できるように取付部11を型枠3に固定する。具体的には、固定部13は、2個のガイドレール26と、取付部11に設けられる2個の案内部27と、結合部材28と、備える。本実施形態では、固定部13は、さらに、2個のガイド孔29を備える。
【0028】
2個のガイドレール26は、型枠3と取付部11との間に配置される。2個のガイドレール26は、結合部材30によって、型枠3に固定される。結合部材30の例として、釘、木ねじ、および、ビスが挙げられる。2個のガイドレール26は、互いに平行に所定方向に延びるように配置される。所定方向は、アンカーボルト7の位置調整においてアンカーボルト7を移動させる方向として予め設定されている。一例では、第1方向DA、第2方向DB、および第3方向DCのいずれかの方向である。第1方向DAは、型枠3の幅方向である。第2方向DBは、型枠3の側面3Aに沿う方向であって、第1方向DAと第3方向DCとに直交する方向である。第3方向DCは、鉛直方向である。本実施形態では、ガイドレール26は、ガイドレール26の長手方向が第1方向DAに沿うように配置される。
【0029】
図4に示されるように、ガイドレール26は、底壁31と、一対の側壁32と、一対の上壁33とを備える。底壁31において、長手方向における一方の端には、下方に延びる延長部34が設けられる。延長部34は、底壁31に直交するように延びる。延長部34は、型枠3に対するガイドレール26の向きを定めるときに使用される。具体的には、ガイドレール26を型枠3に取り付けられる際、延長部34は、型枠3の側面3Aに押し当てられる。そうすると、ガイドレール26の長手方向が第1方向DAに沿うようにガイドレール26の向きが定まる。
【0030】
側壁32は、底壁31の幅方向において底壁31の両端それぞれに設けられる。側壁32は、底壁31の長手方向に延びる。上壁33は、一対の側壁32それぞれの上端に設けられる。上壁33は、底壁31の長手方向に沿うように延びる。一対の上壁33の間には、案内部27の第2部分42を案内する隙間35が設けられる。
【0031】
2個のガイド孔29は、取付部11に設けられる。2個のガイド孔29は、上記の所定方向に交差する方向に延びるように取付部11に設けられる。所定方向に交差する方向は、アンカーボルト7の位置調整においてアンカーボルト7を移動させる方向として予め設定されている。本実施形態では、所定方向は、第1方向DAである。所定方向に交差する方向は、第2方向DBである。
【0032】
図5に示されるように、案内部27は、ガイドレール26に案内されるように構成される。案内部27は、ガイドレール26に案内される第1部分41と、ガイド孔29に案内される第2部分42とを有する。
【0033】
第1部分41は、ガイドレール26の底壁31と上壁33との間に配置される。第1部分41は、板状に構成される。第1部分41は、上面41Aを有する。上面41Aは、ガイドレール26の上壁33に対向するように構成される。第1部分41は、2個のガイド面41Bを有する。ガイド面41Bは、ガイドレール26の側壁32に対向するように構成される。
【0034】
第2部分42は、第1部分41から上に突出するように設けられる。さらに、第2部分42は、ボルトとして構成される。第2部分42は、ガイドレール26の隙間35およびガイド孔29に挿通するように構成される。
【0035】
結合部材28は、取付部11を型枠3に結合させる。本実施形態では、結合部材28は、取付部11をガイドレール26を介して型枠3に結合させる。結合部材28は、取付部11をガイドレール26に結合させる。結合部材28は、案内部27の第2部分42に取り付けられるナットとして構成される。結合部材28は、六角ナットでもよいし、蝶ナットでもよい。ナットを第2部分42に取り付けて、ナットを締めることによって、ガイドレール26に取付部11が固定される。
【0036】
結合部材28は、取付部11を直接に型枠3に結合させる部材であってもよい。一例では、結合部材28は、ねじ、ビス、または、リベットである。この場合、取付部11には、結合部材28が挿通する貫通孔16が設けられる(
図4参照)。貫通孔16は、結合部材28が挿し込めるように構成される。結合部材28は、貫通孔16を挿通した状態で、型枠3に打ち込まれる。
【0037】
図6に示されるように、アンカー支持部材10は、スペーサ45をさらに備えてもよい。スペーサ45は、取付部11と型枠3との間に配置される。一例では、スペーサ45は、ガイドレール26と型枠3との間に配置される。他の例では、スペーサ45は、ガイドレール26と取付部11との間に配置される。さらに別の例では、アンカー支持部材10は、2個のスペーサ45を備える。1個のスペーサ45は、ガイドレール26と型枠3との間に配置される。他の1個のスペーサ45は、ガイドレール26と取付部11との間に配置される。これによって、取付部11を、型枠3から離れる方向に位置調整できる。本実施形態では、鉛直方向において保持部12の位置を調整できる。保持部12の下面は、基礎1のコンクリート部8の上面8Aの基準面として利用されることから、この構成によって、コンクリート部8の上面8Aの位置精度を高めることができる。
【0038】
図2、
図7および
図8を参照して、アンカー支持部材10の使用例および基礎1の構築について説明する。
図2に示されるように、基礎設置地面2の周囲には、型枠3が設けられる。基礎設置地面2には、鉄筋6が配置される。型枠3には、アンカー支持部材10が取り付けられる。アンカーボルト7は、アンカーボルト7の下端部に錘7Aを取り付けた状態で、アンカー支持部材10の保持部12に取り付けられる。次いで、保持部12の基準マーク23の基準となる水糸を張る。基準マーク23が水糸に重なるようにアンカー支持本体部15の位置調整を行う。アンカー支持本体部15の位置調整が完了したところで、結合部材28によって取付部11を型枠3に固定する。
【0039】
図7に示されるように、アンカーボルト7において、保持部12の下面から所定距離にわたる部分を保護部材50で保護する。保護部材50は、スポンジから構成される。次いで、保持部12の下面までコンクリートを流し入れ、コンクリートを養生する。
【0040】
図8に示されるように、コンクリートの養生後、アンカーボルト7からアンカー支持本体部15および保護部材50を取り外す。保護部材50によって、アンカーボルト7において保持部12の下面から所定距離にわたる部分が、コンクリートで埋まらないように保護されているため、簡単にアンカー支持本体部15を取り外すことができる。アンカーボルト7の位置をさらに微調整するために、レーザマーカ装置を設置する。レーザを基準にして、アンカーボルト7の位置を微調整する。一例では、アンカーボルト7においてコンクリート部8から露出する部分は、工具によって、数ミリ単位で曲げられる。コンクリート部8において保護部材50が取り外された部分は、追加のコンクリートで埋められてもよい。
【0041】
本実施形態の作用を説明する。
アンカー支持部材10は、アンカーボルト7を保持する保持部12と、取付部11と、固定部13とを備える。固定部13は、取付部11を型枠3に固定する。アンカー支持部材10は、アンカーボルト7を片持ち支持する。このような構成によって、1個の型枠3によってアンカーボルト7を支持できる。
【0042】
本実施形態の効果を説明する。
(1)アンカー支持部材10は、基礎1の型枠3に取り付けられる取付部11と、アンカーボルト7を保持する保持部12と、取付部11を型枠3に固定する固定部13と、備える。固定部13は、アンカー支持部材10を所定方向に位置調整できるように取付部11を型枠3に固定する。この構成によれば、アンカーボルト7周辺の型枠3の個数に関わらず、アンカーボルト7を支持し、アンカーボルト7の位置を調整できる。
【0043】
(2)固定部13は、型枠3に固定される2個のガイドレール26と、取付部11に設けられる2個の案内部27と、結合部材28と、備える。2個のガイドレール26は、互いに平行に所定方向に延びるように型枠3と取付部11との間に配置される。案内部27は、ガイドレール26に案内されるように構成される。結合部材28は、取付部11を型枠3に結合させる。
【0044】
この構成によれば、2個のガイドレール26と、案内部27と、結合部材28とによって、アンカー支持部材10を所定方向に位置調整可能に型枠3に固定できる。また、2個のガイドレール26それぞれに案内部27が案内される構造を有するため、アンカー支持部材10が型枠3に対して回転し難い。このため、アンカー支持部材10が型枠3に対して回転しないようにアンカー支持部材10を固定できる。
【0045】
(3)固定部13は、さらに、取付部11に設けられる2個のガイド孔29を備える。2個のガイド孔29は、所定方向に交差する方向に延びるように取付部11に設けられる。案内部27は、ガイドレール26に案内される第1部分41と、ガイド孔29に案内される第2部分42とを有する。
【0046】
この構成によれば、2個のガイドレール26と、2個のガイド孔29と、案内部27と、結合部材28とによって、アンカー支持部材10を所定方向および所定方向に交差する方向に位置調整可能に型枠3に固定できる。また、2個のガイドレール26それぞれに案内部27が案内される構造を有するため、アンカー支持部材10が型枠3に対して回転し難い。このため、アンカー支持部材10が型枠3に対して回転しないようにアンカー支持部材10を固定できる。
【0047】
(4)アンカー支持部材10は、取付部11と型枠3との間に配置されるスペーサ45をさらに備えてもよい。この構成によれば、取付部11と型枠3との間の距離を調整できる。これによって、取付部11を、型枠3から離れる方向に位置調整できる。
【0048】
(5)保持部12は、アンカーボルト7が挿通する挿通孔21と、挿通孔21に対して所定位置に設けられる基準マーク23とを有する。この構成によれば、基準マーク23を基準線に合わせることによって、アンカーボルト7の位置を調整できる。
【0049】
(6)保持部12は、中間部14を介して取付部11に接続されて、取付部11と平行に設けられる。この構成によれば、取付部11を型枠3の上面に固定することによって、保持部12を型枠3の上面に平行になるように配置できる。
【0050】
<変形例>
上記実施形態は、アンカー支持部材10が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。アンカー支持部材10は実施形態に例示された形態とは異なる形態を取り得る。その一例は、実施形態の構成の一部を置換、変更、もしくは、省略した形態、または、実施形態に新たな構成を付加した形態である。以下に実施形態の変形例の一例を示す。変形例において、実施形態と同じ構成については、実施形態と同じ符号を付し、説明を省略する。
【0051】
<第1変形例>
図9および
図10に示されるように、アンカー支持部材10において、ガイドレール26は省略されてもよい。
アンカー支持部材10は、取付部11と、保持部12と、固定部13と、を備える。保持部12は、中間部14を介して取付部11に接続される。固定部13は、2個のガイド孔29と、結合部材28と、を備える。2個のガイド孔29は、取付部11に設けられて互いに平行に所定方向に延びるように構成される。具体的には、2個のガイド孔29は、第1方向DAに延びるように構成される。結合部材28は、取付部11を型枠3に結合させる。結合部材28は、ガイド孔29に挿通し、型枠3に打ち込まれる。
【0052】
図10に示されるように、アンカー支持部材10は、直接に型枠3に固定される。アンカー支持部材10は、結合部材28によって仮止めされた状態で、位置調整される。
この構成によれば、2個のガイド孔29と、結合部材28とによって、アンカー支持部材10を所定方向に位置調整可能に型枠3に固定でき、かつ、アンカー支持部材10が型枠3に対して回転しないように固定できる。
【0053】
<第2変形例>
図11および
図12に示されるように、アンカー支持部材10において、ガイドレール26は省略されてもよい。さらに、この例では、保持部12は、取付部11に直接に接続される。
【0054】
アンカー支持部材10は、取付部11と、保持部12と、固定部13と、を備える。保持部12は、直接に取付部11に接続される。保持部12は、取付部11に対して直交するように設けられる。
【0055】
固定部13は、2個のガイド孔29と、結合部材28と、を備える。2個のガイド孔29は、取付部11に設けられて互いに平行に所定方向に延びるように構成される。具体的には、2個のガイド孔29は、第3方向DCに延びるように構成される。結合部材28は、取付部11を型枠3に結合させる。結合部材28は、ガイド孔29に挿通し、型枠3に打ち込まれる。
【0056】
図12に示されるように、アンカー支持部材10は、直接に型枠3に固定される。アンカー支持部材10は、結合部材28によって仮止めされた状態で、位置調整される。
この構成によれば、取付部11を型枠3の側面3Aに固定することによって、型枠3の側面3Aに直交になるように保持部12を配置できる。具体的には、アンカー支持部材10を型枠3の側面3Aに固定できる。2個のガイド孔29と、結合部材28とによって、アンカー支持部材10を所定方向に位置調整可能に型枠3に固定できる。アンカー支持部材10が型枠3に対して回転しないように固定できる。また、アンカー支持部材10を第3方向DCで位置調整できる。
【0057】
<第3変形例>
図13に示されるように、アンカー支持部材10において、ガイド孔29は、第2方向DBに延びるように設けられてもよい。この変形例のアンカー支持部材10の他の構成は、第1変形例の構成に準ずる。この構成によれば、アンカー支持部材10を第2方向DBで位置調整できる。
【0058】
<第4変形例>
図14に示されるように、取付部11に、3個以上のガイド孔29が設けられてもよい。3個以上のガイド孔29は、互いに平行に延びる。保持部12は、複数のガイド孔29それぞれの延長方向にアンカー保持領域60を有する。アンカー保持領域60には、アンカーボルト7が挿通する挿通孔21が設けられる。
【0059】
図15に示されるように、アンカー支持部材10の固定のために、互いに隣り合う2個のガイド孔29が使用される。このようなアンカー支持部材10によれば、例えば、基礎1の入隅部9において、2個の型枠3の両方から遠い部分にも、保持部12を配置できる。具体的には、固定に使用されていないガイド孔29の延長方向にあるアンカー保持領域60を、入隅部9において、2個の型枠3の両方から遠い部分に配置できる。このため、入隅部9周辺のアンカーボルト7を位置調整できる。
【符号の説明】
【0060】
1…基礎
3…型枠
7…アンカーボルト
10…アンカー支持部材
11…取付部
12…保持部
13…固定部
14…中間部
21…挿通孔
23…基準マーク
26…ガイドレール
28…結合部材
29…ガイド孔
30…結合部材
41…第1部分
42…第2部分
45…スペーサ