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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】電機子巻線、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/04 20060101AFI20240123BHJP
   H02K 15/04 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
H02K3/04 E
H02K15/04 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2023502277
(86)(22)【出願日】2022-02-10
(86)【国際出願番号】 JP2022005327
(87)【国際公開番号】W WO2022181352
(87)【国際公開日】2022-09-01
【審査請求日】2023-02-09
(31)【優先権主張番号】P 2021027627
(32)【優先日】2021-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100121821
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 強
(74)【代理人】
【識別番号】100139480
【弁理士】
【氏名又は名称】日野 京子
(74)【代理人】
【識別番号】100125575
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100175134
【弁理士】
【氏名又は名称】北 裕介
(72)【発明者】
【氏名】高橋 裕樹
【審査官】尾家 英樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-140795(JP,A)
【文献】特開2009-199749(JP,A)
【文献】国際公開第2019/188777(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 3/04
H02K 15/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転電機(10)を構成する電機子(50)に備えられ、導線材(CR)により構成された多相の電機子巻線(51)において、
各相の前記導線材は、
導体(81)及び前記導体を覆う絶縁材料からなる内側絶縁層(82)を有する素線(83)の集合体と、
前記素線の集合体を囲み、かつ、絶縁材料からなる外側絶縁層(90)と、
を備え、
前記導線材の端部において、前記外側絶縁層が剥離されており、
前記導線材において前記外側絶縁層の剥離部分の先端部が溶接又は圧接により結合されて結合部(WL)とされており、
前記導線材において前記外側絶縁層の剥離部分のうち、少なくとも前記結合部以外の部分にワニス処理が施されている、電機子巻線。
【請求項2】
前記外側絶縁層の先端部は、前記導線材の径方向外側にめくれ上がっている、請求項1に記載の電機子巻線。
【請求項3】
前記結合部に接合された部材であって、インバータ(100)側の構成部品(70U~70W)と前記導体とを電気的に接続するための導電部材(64)を備える、請求項1又は2に記載の電機子巻線。
【請求項4】
前記素線の集合体のうち、前記外側絶縁層の剥離部分の基端部に凹部(91)が形成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の電機子巻線。
【請求項5】
前記素線の集合体のうち、前記外側絶縁層の剥離部分の先端部における前記内側絶縁層が剥離され、該内側絶縁層の剥離部分の先端部に前記結合部が形成されており、
前記内側絶縁層の剥離部分の前記導体に複数の凹部(84)が形成されている、請求項1~4のいずれか1項に記載の電機子巻線。
【請求項6】
請求項1に記載の電機子巻線の製造方法において、
前記導線材の端部における前記外側絶縁層を剥離する剥離工程と、
前記導線材において前記外側絶縁層の剥離部分の先端部を溶接又は圧接により前記結合部とする接合工程と、
前記導線材において前記外側絶縁層の剥離部分のうち、少なくとも前記結合部以外の部分にワニス処理を施す工程と、を備える電機子巻線の製造方法。
【請求項7】
前記外側絶縁層は、熱可塑性を有し、
前記接合工程は、前記導線材において前記外側絶縁層の剥離部分の先端部を溶接により前記結合部とする工程であり、
前記接合工程における溶接によって前記外側絶縁層の先端部が加熱されることにより、前記外側絶縁層の先端部が前記導線材の径方向外側にめくれ上がる、請求項6に記載の電機子巻線の製造方法。
【請求項8】
前記内側絶縁層は、熱可塑性を有し、
前記外側絶縁層の厚さは、前記内側絶縁層の厚さよりも厚くされており、
前記外側絶縁層の比熱は、前記内側絶縁層の比熱よりも大きい、請求項7に記載の電機子巻線の製造方法。
【請求項9】
前記内側絶縁層は、熱可塑性を有し、
前記外側絶縁層の厚さは、前記内側絶縁層の厚さよりも厚くされており、
前記外側絶縁層のガラス転移温度は、前記内側絶縁層のガラス転移温度よりも高い、請求項7又は8に記載の電機子巻線の製造方法。
【請求項10】
前記接合工程は、前記導線材において前記外側絶縁層の剥離部分の先端部と、導電部材(64)とを溶接することにより、前記先端部と前記導電部材との溶接部分を前記結合部とする工程である、請求項6~9のいずれか1項に記載の電機子巻線の製造方法。
【請求項11】
前記接合工程の後、前記導体と前記導電部材との間が電気的に導通しているか否かを検査する検査工程と、
前記検査工程において電気的に導通していることが確認された前記導電部材を、インバータ(100)側の構成部品(70U~70W)に電気的に接続する工程と、を備える、請求項10に記載の電機子巻線の製造方法。
【請求項12】
前記剥離工程は、被膜剥離装置によって前記導線材を挟み込むことにより、前記導線材の端部における前記外側絶縁層を剥離するとともに、その挟み込みにより、前記素線の集合体のうち、前記外側絶縁層の剥離部分の基端部に凹部(91)を形成する工程である、請求項6~11のいずれか1項に記載の電機子巻線の製造方法。
【請求項13】
前記接合工程は、前記導線材において前記外側絶縁層の剥離部分の先端部を溶接することにより、前記素線の集合体の先端部における前記内側絶縁層を剥離するとともに、前記導線材において前記内側絶縁層の剥離部分の先端部を前記結合部とする工程であり、
前記接合工程において前記内側絶縁層が溶接により剥離される場合、前記内側絶縁層の剥離部分において露出する前記導体に溶接の熱によって複数の凹部(84)が形成される、請求項6~12のいずれか1項に記載の電機子巻線の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2021年2月24日に出願された日本出願番号2021-027627号に基づくもので、ここにその記載内容を援用する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、電機子巻線、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0003】
従来、例えば特許文献1に記載されているように、導線材により構成された多相の電機子巻線を備える電機子が知られている。導線材を構成する導体に界磁子からの磁束が鎖交することにより、導体に渦電流が流れ、渦電流損が発生する。この渦電流損を低減するために、導線材は素線の集合体を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-24296号公報
【発明の概要】
【0005】
導線材の端部において集合している素線がほどける懸念がある。素線がほどけている場合、電機子巻線の製造工程における作業性が低下する懸念がある。
【0006】
本開示は、電機子巻線の製造工程における作業性を高めることができる電機子巻線、及びその製造方法を提供することを主たる目的とする。
【0007】
手段1は、回転電機を構成する電機子に備えられ、導線材により構成された多相の電機子巻線において、
各相の前記導線材は、
導体及び前記導体を覆う絶縁材料からなる内側絶縁層を有する素線の集合体と、
前記素線の集合体を囲み、かつ、絶縁材料からなる外側絶縁層と、
を備え、
前記導線材の端部において、前記外側絶縁層が剥離されており、
前記導線材において前記外側絶縁層の剥離部分の先端部が溶接又は圧接により結合されて結合部とされており、
前記導線材において前記外側絶縁層の剥離部分のうち、少なくとも前記結合部以外の部分にワニス処理が施されている。
【0008】
手段1において、各相の導線材は、素線の集合体と、素線の集合体を囲む絶縁材料からなる外側絶縁層とを備えている。素線は、導体と、導体を覆う絶縁材料からなる内側絶縁層とを有している。導線材の端部を他の電気部品に接続するために、導線材の端部において、外側絶縁層が剥離されている。
【0009】
ここで、導線材において外側絶縁層の剥離部分の先端部が溶接又は圧接により結合されて結合部とされている。このため、導線材の端部において素線がほどける事態の発生を好適に抑制することができる。
【0010】
導線材において外側絶縁層の剥離部分のうち、少なくとも結合部以外の部分は、素線の集合体が露出している部分である。手段1では、少なくともこの部分にワニス処理が施されている。これにより、上記剥離部分において、隣り合う素線同士の間の凹部にワニスが入り込んだり、各素線間からワニスが素線集合体の内部の隙間に入り込んだりする。その結果、素線の集合体において外側絶縁層から露出している部分にワニスが効果的にまとわりついて固まる。これにより、導線材の端部において素線がほどける事態の発生をいっそう好適に抑制することができ、ひいては電機子巻線の製造工程における作業性を高めることができる。
【0011】
手段2は、手段1において、前記外側絶縁層の先端部は、前記導線材の径方向外側にめくれ上がっている。
【0012】
手段2では、めくれ上がった外側絶縁層と素線集合体との間に、ワニスが入り込む部分が形成されている。これにより、導線材にワニスをより効果的にまとわりつかせることができる。
【0013】
手段3は、手段1又は2において、前記結合部に接合された部材であって、インバータ側の構成部品と前記導体とを電気的に接続するための導電部材を備える。
【0014】
手段3によれば、導線材の構成する導体をインバータ側の構成部品に電気的に接続する場合の作業性を高めることができる。
【0015】
手段4は、手段1~3のいずれか1つにおいて、前記素線の集合体のうち、前記外側絶縁層の剥離部分の基端部に凹部が形成されている。
【0016】
手段4では、上記基端部の凹部にワニスが入り込む。これにより、導線材にワニスをより効果的にまとわりつかせることができる。
【0017】
手段5は、手段1~4のいずれか1つにおいて、前記素線の集合体のうち、前記外側絶縁層の剥離部分の先端部における前記内側絶縁層が剥離され、該内側絶縁層の剥離部分の先端部に前記結合部が形成されており、
前記内側絶縁層の剥離部分の前記導体に複数の凹部が形成されている。
【0018】
手段5では、導体に形成された複数の凹部にワニスが入り込む。これにより、導線材にワニスをより効果的にまとわりつかせることができる。
【0019】
ここで、手段1の電機子巻線は、例えば手段6のように製造することができる。手段6は、前記導線材の端部における前記外側絶縁層を剥離する剥離工程と、
前記導線材において前記外側絶縁層の剥離部分の先端部を溶接又は圧接により前記結合部とする接合工程と、
前記導線材において前記外側絶縁層の剥離部分のうち、少なくとも前記結合部以外の部分にワニス処理を施す工程と、を備える。
【0020】
手段7は、手段6において、前記外側絶縁層は、熱可塑性を有し、
前記接合工程は、前記導線材において前記外側絶縁層の剥離部分の先端部を溶接により前記結合部とする工程であり、
前記接合工程における溶接によって前記外側絶縁層の先端部が加熱されることにより、前記外側絶縁層の先端部が前記導線材の径方向外側にめくれ上がる。
【0021】
手段7では、剥離工程及び接合工程の後、ワニス処理を施す工程が実施される。ここで、導線材において外側絶縁層の剥離部分の先端部が溶接される場合、その溶接の熱により、熱可塑性を有する外側絶縁層の先端部が導線材の径方向外側にめくれ上がる。つまり、接合工程において、結合部とともに、外側絶縁層のめくれ上がり部分を形成することができる。このため、ワニスを効果的にまとわりつかせるための構成を効率よく形成でき、電機子巻線の製造工程における作業性を高めることができる。
【0022】
手段8は、手段7において、前記内側絶縁層は、熱可塑性を有し、
前記外側絶縁層の厚さは、前記内側絶縁層の厚さよりも厚くされており、
前記外側絶縁層の比熱は、前記内側絶縁層の比熱よりも大きい。
【0023】
集合している各素線間の電位差は比較的小さい。これに対し、異なる相それぞれにおける導線材間の電位差は非常に大きくなり得るため、異なる相それぞれにおける導線材の相関絶縁が必要となる。そこで、手段8では、外側絶縁層の厚さが、内側絶縁層の厚さよりも厚くされている。ここで、手段8では、熱可塑性を有する外側絶縁層の比熱が、熱可塑性を有する内側絶縁層の比熱よりも大きい。このため、接合工程において導線材の先端部を溶接する場合、外側絶縁層の先端部を焦がすことなく外側絶縁層のめくれ上がり部分を適正に形成するとともに、溶接の熱によって内側絶縁層を極力除去した上で結合部を形成することができる。
【0024】
手段9は、手段7又は8において、前記内側絶縁層は、熱可塑性を有し、
前記外側絶縁層の厚さは、前記内側絶縁層の厚さよりも厚くされており、
前記外側絶縁層のガラス転移温度は、前記内側絶縁層のガラス転移温度よりも高い。
【0025】
手段9では、外側絶縁層のガラス転移温度が、内側絶縁層のガラス転移温度よりも高い。このため、接合工程において導線材の先端部を溶接する場合、外側絶縁層の先端部を焦がすことなく外側絶縁層のめくれ上がり部分を適正に形成するとともに、溶接の熱によって内側絶縁層を極力除去した上で結合部を形成することができる。
【0026】
手段10は、手段6~9のいずれか1つにおいて、前記接合工程は、前記導線材において前記外側絶縁層が剥離された部分の先端部と、導電部材とを溶接することにより、前記先端部と前記導電部材との溶接部分を前記結合部とする工程である。
【0027】
手段10によれば、導線材の構成する導体を他の電気部品に電気的に接続する場合の作業性を高めることができる。
【0028】
手段11は、手段10において、前記接合工程の後、前記導体と前記導電部材との間が電気的に導通しているか否かを検査する検査工程と、
前記検査工程において電気的に導通していることが確認された前記導電部材を、インバータ側の構成部品に電気的に接続する工程と、を備える。
【0029】
接合工程において導線材と溶接接合された導電部材をインバータ側の構成部品に電気的に接続した後に、導線材を構成する導体と導電部材との間が電気的に導通しているか否かを検査する方法も考えられる。しかしながら、この場合、検査において電気的な導通が確認できないとき、例えば、インバータ側の構成部品から導電部材を取り外す作業が必要になり、作業工程が複雑化するといった問題が生じ得る。また、例えば、導線材が接続された導電部材とともに、導電部材と電気的に接続されたインバータ側の構成部品も廃棄しなければならなくなるといった問題も生じ得る。
【0030】
この点、手段11では、検査工程において電気的に導通していることが確認された導電部材をインバータ側の構成部品に電気的に接続する。このため、上述した問題の発生を好適に抑制することができる。
【0031】
手段12は、手段6~11のいずれか1つにおいて、前記剥離工程は、被膜剥離装置によって前記導線材を挟み込むことにより、前記導線材の端部における前記外側絶縁層を剥離するとともに、その挟み込みにより、前記素線の集合体のうち、前記外側絶縁層の剥離部分の基端部に凹部を形成する工程である。
【0032】
手段12では、剥離工程において、外側絶縁層を剥離できるとともに、外側絶縁層の剥離部分の基端部に凹部を形成することができる。これにより、ワニス処理を施す工程において、凹部にワニスが入り込むことにより、ワニスを効果的にまとわりつかせることができる。このように、手段12によれば、ワニスを効果的にまとわりつかせるための構成を外側絶縁層の剥離工程において効率よく形成でき、電機子巻線の製造工程における作業性を高めることができる。
【0033】
手段13は、手段6~12のいずれか1つにおいて、前記接合工程は、前記導線材において前記外側絶縁層の剥離部分の先端部を溶接することにより、前記素線の集合体の先端部における前記内側絶縁層を剥離するとともに、前記導線材において前記内側絶縁層の剥離部分の先端部を前記結合部とする工程であり、
前記接合工程において前記内側絶縁層が溶接により剥離される場合、前記内側絶縁層の剥離部分において露出する前記導体に溶接の熱によって複数の凹部が形成される。
【0034】
手段13では、接合工程において、内側絶縁層を剥離できるとともに、内側絶縁層の剥離部分において露出する導体に複数の凹部を形成することができる。これにより、ワニス処理を施す工程において、複数の凹部にワニスが入り込むことにより、ワニスを効果的にまとわりつかせることができる。このように、手段13によれば、ワニスを効果的にまとわりつかせるための構成を接合工程において効率よく形成でき、電機子巻線の製造工程における作業性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
本開示についての上記目的およびその他の目的、特徴や利点は、添付の図面を参照しながら下記の詳細な記述により、より明確になる。その図面は、
図1図1は、一実施形態に係る回転電機の横断面図であり、
図2図2は、回転子の縦断面図であり、
図3図3は、固定子巻線の斜視図であり、
図4図4は、固定子巻線とインバータとの電気的な接続を示す図であり、
図5図5は、導線材の横断面図であり、
図6図6は、固定子の製造工程を示すフローチャートであり、
図7図7は、導線材の加工態様を示す図であり、
図8図8は、導線材の加工態様を示す図であり、
図9図9は、その他の実施形態に係る導線材の加工態様を示す図であり、
図10図10は、その他の実施形態に係る導線材の加工態様を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
本開示に係る回転電機は、例えば車両動力源として用いられるものとなっている。ただし、回転電機は、産業用、車両用、航空機用、家電用、OA機器用、遊技機用などとして広く用いられることが可能となっている。
【0037】
図1及び図2に示すように、回転電機10は、同期式多相交流モータであり、アウタロータ構造(外転構造)のものとなっている。以下の記載では、回転電機10において、回転軸11が延びる方向を軸方向とし、回転軸11の中心から放射状に延びる方向を径方向とし、回転軸11を中心として円周状に延びる方向を周方向としている。
【0038】
回転電機10は、回転子20及び固定子ユニット30を有する回転電機本体と、回転電機本体を囲むように設けられるハウジング40とを備えている。これら各部材はいずれも、回転子20に一体に設けられた回転軸11に対して同軸に配置されており、所定順序で軸方向に組み付けられることで回転電機10が構成されている。回転軸11は、固定子ユニット30及びハウジング40にそれぞれ設けられた図示しない一対の軸受に支持され、その状態で回転可能となっている。回転軸11の回転により、例えば車両の車軸が回転する。回転電機10は、ハウジング40が車体フレーム等に固定されることにより車両に搭載可能となっている。
【0039】
回転電機10において、固定子ユニット30は回転軸11を囲むように設けられ、固定子ユニット30の径方向外側に回転子20が配置されている。固定子ユニット30は、固定子50と、その径方向内側に組み付けられた固定子ホルダ53とを有している。回転子20と固定子50とはエアギャップを挟んで径方向に対向配置されており、回転子20が回転軸11と共に一体回転することにより、固定子50の径方向外側にて回転子20が回転する。本実施形態において、回転子20が「界磁子」に相当し、固定子50が「電機子」に相当する。
【0040】
図2は、回転子20の縦断面図である。図2に示すように、回転子20は、略円筒状の回転子キャリア21と、回転子キャリア21に固定された環状の磁石ユニット22とを有している。回転子キャリア21は、円筒状をなす円筒部23と、円筒部23の軸方向一端に設けられた端板部24とを有しており、それらが一体化されることで構成されている。回転子キャリア21は、磁石保持部材として機能し、円筒部23の径方向内側に環状に磁石ユニット22が固定されている。端板部24に対して回転軸11が固定されている。円筒部23は、例えば非磁性材料により構成されており、具体的には例えばアルミニウムにより構成されている。
【0041】
磁石ユニット22は、回転子20の回転中心Oと同心の円環状をなしており、円筒部23の内周面に固定された複数の磁石31を有している。つまり、回転電機10は、表面磁石型の同期機(SPMSM)である。磁石31は、円筒部23に径方向外側から包囲された状態で設けられている。磁石ユニット22において、磁石31は、回転子20の周方向に沿って極性が交互に変わるように並べて設けられている。これにより、磁石ユニット22には、周方向に複数の磁極が形成されている。磁石31は、極異方性の永久磁石であり、固有保磁力が400[kA/m]以上であり、かつ残留磁束密度Brが1.0[T]以上である焼結ネオジム磁石により構成されている。
【0042】
磁石31において径方向内側の周面が、磁束の授受が行われる磁束作用面である。磁極中心であるd軸の側の磁化容易軸の向きが、磁極境界であるq軸の側の磁化容易軸の向きよりもd軸の向きに近づくように磁石31の配向がなされている。これにより、磁石31の磁束作用面において、d軸付近の領域に集中的に磁束を生じさせるものとなっている。
【0043】
次に、固定子ユニット30の構成を説明する。
【0044】
固定子ユニット30は、その概要として、固定子50とその径方向内側の固定子ホルダ53とを有している。固定子50は、「電機子巻線」としての固定子巻線51と、「電機子コア」としての固定子コア52とを有している。固定子ホルダ53は、例えばアルミニウムや鋳鉄等の金属、又は炭素繊維強化プラスチック(CFRP)により構成され、円筒形状をなしている。
【0045】
固定子50は、軸方向において、回転子20における磁石ユニット22に径方向に対向するコイルサイドに相当する部分と、そのコイルサイドの軸方向外側であるコイルエンドに相当する部分とを有している。この場合、固定子コア52は、軸方向においてコイルサイドに相当する範囲で設けられている。
【0046】
固定子巻線51は、複数の相巻線を有し、各相の相巻線が周方向に所定順序で配置されることで円筒状に形成されている。本実施形態では、U相、V相及びW相の巻線51U,51V,51Wを用いることで、固定子巻線51が3相の相巻線を有する構成となっている。
【0047】
U,V,W相巻線51U,51V,51Wは、例えば図3に示すように、導線材CRを多重巻にして構成されている。U,V,W相巻線51U,51V,51Wは、互いに平行でかつ直線状に設けられる一対の中間導線部60と、一対の中間導線部60を軸方向両端でそれぞれ接続する一対の渡り部61とを有しており、一対の中間導線部60と一対の渡り部61とにより環状に形成されている。U,V,W相巻線51U,51V,51Wにおいて、導線材CRの一方の端部が第1端部62とされ、他方の端部が第2端部63とされている。図1には、コイルサイドにおけるU,V,W相巻線51U,51V,51Wを構成する中間導線部60の並び順が示されている。
【0048】
固定子コア52は、磁性体である電磁鋼板からなるコアシートが軸方向に積層されたコアシート積層体として構成されており、径方向に所定の厚さを有する円筒状をなしている。固定子コア52において回転子20側となる径方向外側には固定子巻線51が組み付けられている。固定子コア52の外周面は凹凸のない曲面状をなしている。固定子コア52はバックヨークとして機能する。固定子コア52は、例えば円環板状に打ち抜き形成された複数枚のコアシートが軸方向に積層されて構成されている。ただし、固定子コア52として、帯状のコアシートから構成されるヘリカルコア構造を有するものを用いてもよい。
【0049】
本実施形態において、固定子50は、スロットを形成するためのティースを有していないスロットレス構造を有するものであるが、その構成は以下の(A)~(C)のいずれかを用いたものであってもよい。
(A)固定子50において、周方向における各中間導線部60の間に導線間部材を設け、かつその導線間部材として、1磁極における導線間部材の周方向の幅寸法をWt、導線間部材の飽和磁束密度をBs、1磁極における磁石31の周方向の幅寸法をWm、磁石31の残留磁束密度をBrとした場合に、Wt×Bs≦Wm×Brの関係となる磁性材料を用いている。
(B)固定子50において、周方向における各中間導線部60の間に導線間部材を設け、かつその導線間部材として、非磁性材料を用いている。
(C)固定子50において、周方向における各中間導線部60の間に導線間部材を設けていない構成となっている。
【0050】
続いて、図4を用いて、各巻線51U~51Wとインバータ100との電気的接続態様について説明する。
【0051】
回転電機10は、インバータ100を備えている。インバータ100は、各相に対応する上,下アームスイッチSWH,SWLと、平滑コンデンサ101とを備えている。インバータ100は、直流電源である蓄電池110に電気的に接続されている。
【0052】
回転電機10は、メインバスバーとしてのU,V,W相バスバー70U,70V,70W(「インバータ側の構成部品」に相当)及び中性点バスバー71を備えている。U,V,W相バスバー70U,70V,70Wには、インバータ100における上,下アームスイッチSWH,SWLの接続点が電気的に接続されている。各バスバー70U,70V,70W,71は、例えば固定子ホルダ53に対して固定されている。
【0053】
U,V,W相バスバー70U,70V,70Wには、第1サブバスバー64を介してU,V,W相巻線51U,51V,51Wの第1端部62が電気的に接続されている。U,V,W相巻線51U,51V,51Wの第2端部63には、第2サブバスバー65を介して中性点バスバー71が電気的に接続されている。
【0054】
続いて、図5を用いて、各巻線51U,51V,51Wを構成する導線材CRについて説明する。
【0055】
導線材CRは、マグネットワイヤであり、銅材からなる導体81、及び導体81を覆う内層被膜82(「内側絶縁層」に相当)を有する素線83の集合体と、素線83の集合体を囲む外層被膜90(「外側絶縁層」に相当)とを備えている。図5には、9つの素線83で構成されている導線材CRが例示されているが、素線83の数は任意の数とすることができる。また、導線材CRの断面形状は、図5に示す矩形状に限らず、例えば円形状であってもよい。
【0056】
内層被膜82は、熱可塑性及び電気的絶縁性を有する絶縁材料からなり、絶縁材料として、例えばエポキシ樹脂が用いられる。内層被膜82は、単層に限らず、複数層で構成されていてもよい。なお、素線83は、自己融着線であってもよい。この場合、内層被膜82が自己融着層により覆われている。また、導線材CRは、複数の素線83が撚られた撚り線であってもよい。
【0057】
外層被膜90は、熱可塑性及び電気的絶縁性を有する絶縁材料からなり、絶縁材料として、例えば、PPS樹脂、PEEK樹脂、PI樹脂又はPAI樹脂等の合成樹脂が用いられる。
【0058】
外層被膜90の厚さは、内層被膜82の厚さよりも厚くされている。これは、相関絶縁のためである。また、外層被膜90の比熱は、内層被膜82の比熱よりも大きく、外層被膜90のガラス転移温度は、内層被膜82のガラス転移温度よりも高い。
【0059】
続いて、図6を用いて、固定子50を構成する各相巻線51U,51V,51Wの製造工程について説明する。以下では、U相を例にして説明する。
【0060】
ステップS10では、被膜剥離装置を用いて、導線材CRの第1端部62における外層被膜90を剥離する。図7(A)は、剥離前における第1端部62の縦断面図を示し、図7(B)は、剥離後における第1端部62の縦断面図を示す。図7では、素線83の集合体が簡略化されて図示されている。
【0061】
被膜剥離装置としては、例えば以下に説明するものが用いられる。被膜剥離装置は、導線材CRを把持する把持部と、把持部により把持された導線材CRの第1端部62に対して、導線材CRの径方向両側から当接して外層被膜90を剥離する剥離刃とを備えている。被膜剥離装置は、導線材CRを剥離刃で挟み込むことにより、導線材CRの第1端部62における外層被膜90を剥離する。なお、第2端部63についても同様に、被膜剥離装置によって外層被膜90を剥離する。
【0062】
続くステップS11では、導線材CRの第1端部62において外層被膜90の剥離部分の先端部と第1サブバスバー64とを溶接装置を用いて溶接する。本実施形態において、溶接装置は、レーザ溶接装置である。溶接装置で用いられるレーザ光としては、例えば、CO2レーザ等の気体レーザ、YAGレーザ等の固体レーザ、Ybファイバレーザ等のファイバレーザ、又はLD(Laser Diode)レーザ等の半導体レーザが挙げられる。第1端部62において外層被膜90の剥離部分の先端部と、第1サブバスバー64との当接部分近傍に溶接装置からレーザ光を照射する。これにより、レーザ光の照射部分の内層被膜82が剥離されるとともに、外層被膜90の剥離部分の先端部と、第1サブバスバー64との当接部分近傍が結合部WLとされる(図7(C)参照)。この際、内層被膜82が剥離されて導体81を露出させた後、結合部WLが形成されるため、結合部WLに内層被膜82が含まれることを極力抑制する。これにより、結合部WLの電気抵抗値の増加を抑制する。
【0063】
溶接工程において、図7(C)に示すように、溶接の熱によって外層被膜90の先端部が加熱されることにより、外層被膜90の先端部が導線材CRの径方向外側にめくれ上がった状態となる。図7(C)に示す例では、外層被膜90のめくれ上がり部分は、第1端部62の先端部にいくほど、導線部60の径方向外側に広がっている。熱可塑性を有する外層被膜90の比熱が、熱可塑性を有する内層被膜82の比熱よりも大きくされていること、外層被膜90のガラス転移温度が内層被膜82のガラス転移温度よりも高くされていることにより、溶接部分近傍の内層被膜82を適正に剥離しつつ、外層被膜90の先端部を焦がすことなくめくれ上がり部分を適正に形成することができる。また、導線材CRの延びる方法において、第1端部62における外層被膜90の剥離部分の長さが、結合部WLの長さよりも長い。このことも、外層被膜90の先端部を焦がすことなくめくれ上がり部分を適正に形成することに寄与している。
【0064】
なお、導線材CRの第1端部62において外層被膜90の剥離部分の先端部と第2サブバスバー65とも溶接装置を用いて溶接する。これにより、第2端部63における外層被膜90の先端部が導線材CRの径方向外側にめくれ上がった状態となる。
【0065】
続くステップS12では、導線材CRの第1端部62と第1サブバスバー64との間、及び導線材CRの第2端部63と第2サブバスバー65との間が溶接接合により電気的に導通しているか否かを検査装置により検査する。
【0066】
続くステップS13では、検査装置による検査結果に基づいて、第1端部62と第1サブバスバー64との間、及び第2端部63と第2サブバスバー65との間の双方の電気的な導通が確認されたか否かを判定する。第1端部62と第1サブバスバー64との間、及び第2端部63と第2サブバスバー65との間のうち、少なくとも一方の電気的な導通が確認されない場合、例えば、第1サブバスバー64及び第2サブバスバー65が溶接接合された導線材CRが廃棄される。
【0067】
一方、第1端部62と第1サブバスバー64との間、及び第2端部63と第2サブバスバー65との間の双方の電気的な導通が確認された場合、ステップS14において、ワニス処理装置を用いて、導線材CRにおける第1端部62及び第2端部63側にワニス処理を施す。図8(A)に、第1端部62にワニスCCが塗布された状態を示す。図8(A)に示す例では、導線材CRにおいて外層被膜90の剥離部分のうち結合部以外の部分に加え、結合部WLと、外層被膜90においてめくれ上がり部分よりも反先端側の部分とにもワニスCCが塗布されている。ただし、これに限らず、例えば、導線材CRにおいて外層被膜90の剥離部分のうち、めくれ上がり部分から結合部WLにわたってワニスCCが塗布されていてもよい。また、ワニスCCは、例えば乾燥装置により乾燥させられればよい。
【0068】
続くステップS15では、組付装置を用いて、図8(B)に示すように、第1サブバスバー64をU相バスバー70Uに接合する。また、組付装置を用いて、第2サブバスバー65を中性点バスバー71に接合する。
【0069】
なお、図6に示した製造工程において、被膜剥離装置、溶接装置、検査装置、ワニス処理装置、乾燥装置及び組付装置等の動作は、マイコンを主体としたコントローラにより制御される。コントローラは、ステップS13において、検査結果に基づいて電気的な導通が確認されたか否かの判定処理を行う。
【0070】
以上詳述した本実施形態によれば、以下の効果が得られるようになる。
【0071】
導線材CRの第1端部62及び第2端部63において、外層被膜90が剥離されている。導線材CRにおいて外層被膜90の剥離部分の先端部のみが溶接により結合されて結合部WLとされている。このため、第1端部62及び第2端部63において素線83がほどける事態の発生を好適に抑制することができる。
【0072】
導線材CRにおいて外層被膜90の剥離部分のうち、少なくとも素線83の集合体の露出部分及び結合部WLにワニスCCが固着している。上記露出部分において、隣り合う素線83同士の間の凹部にワニスCCが入り込んだり、各素線83間からワニスCCが素線83集合体の内部の隙間に入り込んだりする。その結果、素線83の集合体において外層被膜90から露出している部分にワニスCCが効果的にまとわりついて固まる。これにより、第1端部62及び第2端部63において素線83がほどける事態の発生をいっそう好適に抑制することができ、ひいては固定子巻線51の製造工程における作業性を高めることができる。
【0073】
導線材CRにおいて外層被膜90の剥離部分の先端部がステップS10において溶接される場合、その溶接の熱により、熱可塑性を有する外層被膜90の先端部が導線材CRの径方向外側にめくれ上がる。めくれ上がった外層被膜90と素線83の集合体との間に、ワニスCCが入り込む部分が形成される。このため、ステップS15のワニス処理により、導線材CRにワニスCCをより効果的にまとわりつかせることができる。
【0074】
溶接工程において、結合部WLとともに、外層被膜90のめくれ上がり部分を形成することができる。このため、ワニスCCを効果的にまとわりつかせるための構成を溶接工程において効率よく形成することができる。
【0075】
外層被膜90の厚さが、内層被膜82の厚さよりも厚くされている。また、外層被膜90の比熱が、内層被膜82の比熱よりも大きく、外層被膜90のガラス転移温度が、内層被膜82のガラス転移温度よりも高い。これにより、溶接工程において導線材CRの先端部を溶接する場合、外層被膜90の先端部を焦がすことなくめくれ上がり部分を適正に形成するとともに、溶接の熱によって内層被膜82を極力除去した上で結合部WLを形成することができる。
【0076】
ステップS13において電気的に導通していることが確認された各相の巻線を各相のバスバー及び中性点バスバー71に接続する。このため、作業工程が複雑化したり、部品廃棄が発生したりするといった問題の発生を好適に抑制することができる。
【0077】
<その他の実施形態>
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施してもよい。
【0078】
・外側絶縁層としては、被膜に限らず、例えば、素線83の集合体にらせん状に巻きつけられたテープにより形成されていてもよい。また、内層被膜82として、例えばエナメルが用いられてもよい。
【0079】
図6のステップS10における溶接は、レーザ溶接に限らず、例えば、ティグ溶接等のアーク溶接、又は電子ビーム溶接であってもよい。
【0080】
また、ステップS10において、溶接に代えて、圧接装置を用いた圧接(例えばパンチ圧接)により結合部を形成してもよい。
【0081】
・ステップS10において、被膜剥離装置を用いて導線材CRを剥離刃で挟み込むことにより外層被膜90を剥離するとともに、その挟み込みにより、図9に示すように、素線83の集合体のうち、外層被膜90の剥離部分の基端部に凹部91が形成されてもよい。凹部91にワニスCCが入り込むことにより、導線材CRにワニスCCをより効果的にまとわりつかせることができる。また、ワニスCCを効果的にまとわりつかせるための凹部91を効率よく形成でき、固定子巻線51の製造工程における作業性を高めることができる。
【0082】
・ステップS10において、溶接工程において内層被膜82がレーザ溶接により剥離される場合、図10に示すように、内層被膜82の剥離部分において露出した導体81にレーザ溶接の熱によって複数(3つを例示)の凹部84が形成されてもよい。凹部84は、例えば、レーザ溶接の熱によって導体81が溶けることで形成される。これにより、導体81の表面に凹凸が形成され、ステップS14のワニス処理工程において凹凸にワニスCCが入り込むことにより、導線材CRにワニスCCをより効果的にまとわりつかせることができる。また、ワニスCCを効果的にまとわりつかせるための凹部84を溶接工程において効率よく形成でき、固定子巻線51の製造工程における作業性を高めることができる。
【0083】
・ステップS10において、被膜剥離装置に代えて、レーザ溶接装置から外層被膜90にレーザ光を照射することにより、外層被膜90を剥離してもよい。この場合、外層被膜90に加えて、外層被膜90の内側にある内層被膜82も同時に剥離してもよい。例えば、内層被膜82及び外層被膜90の上述した厚さ、比熱及びガラス転移温度の大小関係の設定により、外層被膜90及び内層被膜82を同時に適切に剥離できる。
【0084】
・回転電機としては、星形結線されたものに限らず、Δ結線されたものであってもよい。
【0085】
・回転電機としては、アウタロータ型のものに限らず、インナロータ型のものであってもよい。また、回転電機としては、スロットレス構造のものに限らず、ティースを備えるものであってもよい。
【0086】
・界磁子及び電機子のうち、界磁子が回転子とされる回転電機に限らず、電機子が回転子とされる回転電機であってもよい。
【0087】
・この明細書における開示は、例示された実施形態に制限されない。開示は、例示された実施形態と、それらに基づく当業者による変形態様を包含する。例えば、開示は、実施形態において示された部品および/または要素の組み合わせに限定されない。開示は、多様な組み合わせによって実施可能である。開示は、実施形態に追加可能な追加的な部分をもつことができる。開示は、実施形態の部品および/または要素が省略されたものを包含する。開示は、ひとつの実施形態と他の実施形態との間における部品および/または要素の置き換え、または組み合わせを包含する。開示される技術的範囲は、実施形態の記載に限定されない。開示されるいくつかの技術的範囲は、請求の範囲の記載によって示され、さらに請求の範囲の記載と均等の意味及び範囲内での全ての変更を含むものと解されるべきである。
【0088】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、本開示は当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、さらには、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
図1
図2
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図10