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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】タービンおよび過給機
(51)【国際特許分類】
   F02B 37/18 20060101AFI20240123BHJP
   F02B 39/00 20060101ALI20240123BHJP
   F01D 25/24 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
F02B37/18 E
F02B39/00 F
F01D25/24 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2023508832
(86)(22)【出願日】2022-02-24
(86)【国際出願番号】 JP2022007655
(87)【国際公開番号】W WO2022202078
(87)【国際公開日】2022-09-29
【審査請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2021048180
(32)【優先日】2021-03-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000099
【氏名又は名称】株式会社IHI
(74)【代理人】
【識別番号】110000936
【氏名又は名称】弁理士法人青海国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】桐明 拓郎
【審査官】津田 真吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-87555(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 37/00
F02B 39/00
F01D 25/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
タービン翼車を収容する収容部と、
前記収容部と排気導入口とを連通する排気流路と、
前記収容部と排気吐出口とを連通する排出流路と、
前記収容部を迂回して前記排気流路と前記排出流路とを連通するバイパス流路と、
前記排気導入口の流路断面積よりも小さく前記排気導入口の流路断面積に対して0.6倍以上の流路断面積を有する、前記排気流路と前記バイパス流路との分岐部と、
を備える、
タービン。
【請求項2】
前記排気流路のうち前記分岐部より前記排気導入口側の部分において、前記排気流路の延在方向での前記排気導入口側の6割以上の領域で、流路断面積が前記排気導入口の流路断面積に対して0.9倍以上となっている、
請求項1に記載のタービン。
【請求項3】
請求項1または2に記載のタービンを備える過給機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タービンおよび過給機に関する。本出願は2021年3月23日に提出された日本特許出願第2021-048180号に基づく優先権の利益を主張するものであり、その内容は本出願に援用される。
【背景技術】
【0002】
過給機等に設けられるタービンには、タービン翼車を収容する収容部が設けられる。収容部は、排気流路を介して排気導入口と連通し、排出流路を介して排気吐出口と連通する。タービンには、例えば、特許文献1に開示されているように、バイパス流路を備えるものがある。バイパス流路は、収容部を迂回して排気流路と排出流路とを連通する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-241898号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
バイパス流路を備えるタービンでは、排気流路とバイパス流路との分岐部において、ガス流れの剥離が生じやすい。分岐部でのガス流れの剥離は、タービンにおける圧力損失を増大させ、タービンの効率を低下させる要因となる。
【0005】
本開示の目的は、タービンの効率を向上させることが可能なタービンおよび過給機を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示のタービンは、タービン翼車を収容する収容部と、収容部と排気導入口とを連通する排気流路と、収容部と排気吐出口とを連通する排出流路と、収容部を迂回して排気流路と排出流路とを連通するバイパス流路と、排気導入口の流路断面積よりも小さく排気導入口の流路断面積に対して0.6倍以上の流路断面積を有する、排気流路とバイパス流路との分岐部と、を備える。
【0007】
排気流路のうち分岐部より排気導入口側の部分において、排気流路の延在方向での排気導入口側の6割以上の領域で、流路断面積が排気導入口の流路断面積に対して0.9倍以上となっていてもよい。
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の過給機は、上記のタービンを備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、タービンの効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施形態に係る過給機の概略断面図である。
図2図2は、図1のA-A断面における断面図である。
図3図3は、本開示の実施形態に係るタービンにおける排気導入口の流路断面積に対する排気流路の各流れ方向位置での流路断面積の断面積比率の分布を示すグラフである。
図4図4は、断面積比と効率変化量との関係を示すグラフである。
図5図5は、比較例における流動解析シミュレーションにより得られたエントロピー分布を示す図である。
図6図6は、本実施形態における流動解析シミュレーションにより得られたエントロピー分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本開示の実施形態について説明する。実施形態に示す寸法、材料、その他具体的な数値等は、理解を容易とするための例示にすぎず、特に断る場合を除き、本開示を限定するものではない。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本開示に直接関係のない要素は図示を省略する。
【0012】
図1は、過給機TCの概略断面図である。以下では、図1に示す矢印L方向を過給機TCの左側として説明する。図1に示す矢印R方向を過給機TCの右側として説明する。図1に示すように、過給機TCは、過給機本体1を備える。過給機本体1は、ベアリングハウジング3と、タービンハウジング5と、コンプレッサハウジング7とを含む。タービンハウジング5は、ベアリングハウジング3の左側に締結機構9によって連結される。コンプレッサハウジング7は、ベアリングハウジング3の右側に締結ボルト11によって連結される。過給機TCは、タービンTおよび遠心圧縮機Cを備える。タービンTは、ベアリングハウジング3およびタービンハウジング5を含む。遠心圧縮機Cは、ベアリングハウジング3およびコンプレッサハウジング7を含む。
【0013】
ベアリングハウジング3の外周面には、突起3aが設けられる。突起3aは、タービンハウジング5側に設けられる。突起3aは、ベアリングハウジング3の径方向に突出する。タービンハウジング5の外周面には、突起5aが設けられる。突起5aは、ベアリングハウジング3側に設けられる。突起5aは、タービンハウジング5の径方向に突出する。ベアリングハウジング3とタービンハウジング5は、締結機構9によってバンド締結される。締結機構9は、例えば、Gカップリングである。締結機構9は、突起3a、5aを挟持する。
【0014】
ベアリングハウジング3には、軸受孔3bが形成される。軸受孔3bは、過給機TCの左右方向に貫通する。軸受孔3bには、軸受が配される。軸受には、シャフト13が挿通される。軸受は、シャフト13を回転自在に軸支する。軸受は、すべり軸受である。ただし、これに限定されず、軸受は、転がり軸受であってもよい。シャフト13の左端部には、タービン翼車15が設けられる。タービン翼車15は、タービンハウジング5に回転自在に収容される。シャフト13の右端部には、コンプレッサインペラ17が設けられる。コンプレッサインペラ17は、コンプレッサハウジング7に回転自在に収容される。
【0015】
コンプレッサハウジング7には、吸気口19が形成される。吸気口19は、過給機TCの右側に開口する。吸気口19は、不図示のエアクリーナに接続される。ベアリングハウジング3とコンプレッサハウジング7の対向面によって、ディフューザ流路21が形成される。ディフューザ流路21は、空気を昇圧する。ディフューザ流路21は、環状に形成される。ディフューザ流路21は、径方向内側において、コンプレッサインペラ17を介して吸気口19に連通している。
【0016】
コンプレッサハウジング7には、コンプレッサスクロール流路23が形成される。コンプレッサスクロール流路23は、環状に形成される。コンプレッサスクロール流路23は、例えば、ディフューザ流路21よりもシャフト13の径方向外側に位置する。コンプレッサスクロール流路23は、不図示のエンジンの吸気口と、ディフューザ流路21とに連通している。コンプレッサインペラ17が回転すると、吸気口19からコンプレッサハウジング7内に空気が吸気される。吸気された空気は、コンプレッサインペラ17の翼間を流通する過程において加圧加速される。加圧加速された空気は、ディフューザ流路21およびコンプレッサスクロール流路23で昇圧される。昇圧された空気は、エンジンの吸気口に導かれる。
【0017】
タービンハウジング5には、排気吐出口25が形成される。排気吐出口25は、過給機TCの左側に開口する。排気吐出口25は、不図示の排気ガス浄化装置に接続される。タービンハウジング5には、排出流路27と、収容部29と、排気流路31とが形成される。排出流路27は、収容部29と排気吐出口25とを連通する。排出流路27は、収容部29に対して、タービン翼車15の回転軸方向に連続する。収容部29は、タービン翼車15を収容する。排気流路31は、タービン翼車15よりも径方向外側に形成される。排気流路31は、環状に形成される。排気流路31は、タービンスクロール流路31aを含む。タービンスクロール流路31aが、収容部29と連通する。つまり、タービン翼車15は、タービンスクロール流路31aよりも径方向内側に配置される。
【0018】
排気流路31は、不図示のエンジンの排気マニホールドと連通する。不図示のエンジンの排気マニホールドから排出される排気ガスは、排気流路31および収容部29を介して排出流路27に導かれる。排出流路27に導かれる排気ガスは、流通過程においてタービン翼車15を回転させる。
【0019】
タービン翼車15の回転力は、シャフト13を介してコンプレッサインペラ17に伝達される。コンプレッサインペラ17が回転すると、上記のとおりに空気が昇圧される。こうして、空気がエンジンの吸気口に導かれる。
【0020】
図2は、図1のA-A断面における断面図である。図2では、タービン翼車15について、外周のみを円で示す。図2に示すように、収容部29の径方向外側(つまり、タービン翼車15の径方向外側)には、排気流路31が形成される。排気流路31は、タービンスクロール流路31aと、連通部31bと、排気導入口31cと、排気導入路31dとを備える。排気流路31は、収容部29と排気導入口31cとを連通する。
【0021】
連通部31bは、収容部29の全周に亘って環状形状に形成される。タービンスクロール流路31aは、連通部31bよりもタービン翼車15の径方向外側に位置する。タービンスクロール流路31aは、連通部31bの全周(つまり、収容部29の全周)に亘って環状に形成される。連通部31bは、収容部29とタービンスクロール流路31aとを連通させる。タービンハウジング5には、舌部33が形成される。舌部33は、タービンスクロール流路31aの下流側の端部に設けられ、タービンスクロール流路31aの下流側の部分と上流側の部分とを仕切る。
【0022】
排気導入口31cは、タービンハウジング5の外部に開口する。排気導入口31cには、不図示のエンジンの排気マニホールドから排出される排気ガスが導入される。排気導入口31cとタービンスクロール流路31aとの間には、排気導入路31dが形成される。排気導入路31dは、排気導入口31cとタービンスクロール流路31aとを接続する。排気導入路31dは、例えば、直線形状に形成される。排気導入路31dは、排気導入口31cから導入された排気ガスをタービンスクロール流路31aに導く。タービンスクロール流路31aは、排気導入路31dから導入された排気ガスを、連通部31bを介して収容部29に導く。
【0023】
タービンハウジング5には、バイパス流路35が形成される。バイパス流路35の入口端は、排気流路31(具体的には、排気導入路31d)に開口する。バイパス流路35の出口端は、排出流路27(図1参照)に開口する。バイパス流路35は、収容部29を迂回して排気流路31(具体的には、排気導入路31d)と排出流路27とを連通する。バイパス流路35の出口端には、ウェイストゲートポートWP(図1参照)が形成される。バイパス流路35の出口端には、ウェイストゲートポートWPを開閉可能なウェイストゲートバルブWV(図1参照)が配される。ウェイストゲートバルブWVは、排出流路27内に配される。ウェイストゲートバルブWVがウェイストゲートポートWPを開いたとき、バイパス流路35は、排気導入路31dを流通する排気ガスの一部を、収容部29を迂回して(つまり、タービン翼車15を迂回して)排出流路27に流出させる。
【0024】
タービンTでは、ウェイストゲートポートWPの開閉動作が制御されることによって、タービン翼車15に流入する排気ガスの流量が調整される。このように、タービンTは、可変容量型タービンである。
【0025】
ここで、バイパス流路35を備えるタービンTでは、排気流路31とバイパス流路35との分岐部BP(つまり、バイパス流路35の入口端)において、ガス流れの剥離が生じやすい。例えば、ウェイストゲートポートWPが閉じているときに、排気導入路31dを流れる排気ガスの一部が、分岐部BPからバイパス流路35に流入し、その後、排気導入路31dに戻る。このときに、分岐部BPの下流側の部分において、ガス流れの剥離が生じる場合がある。分岐部BPでのガス流れの剥離は、タービンTにおける圧力損失を増大させ、タービンTの効率を低下させる要因となる。
【0026】
そこで、本実施形態に係るタービンTでは、タービンTの効率を向上させるために、排気流路31(具体的には、排気導入路31d)の流路断面積に工夫が施されている。排気流路31の流路断面積は、具体的には、排気ガスの流れ方向FD(つまり、排気流路31の延在方向)と直交する流路断面の面積である。以下、図2から図5を参照して、排気流路31の流路断面積について、詳細に説明する。
【0027】
以下、排気流路31における排気ガスの流れ方向FDでの位置を流れ方向位置Pfと呼ぶ。図2に示すように、排気導入口31cの流れ方向位置Pfを0とし、分岐部BPの流れ方向位置Pfを1とする。排気流路31のうち流れ方向位置Pfが0以上1未満となる部分は、分岐部BPより排気導入口31c側の部分に相当する。図2の例では、分岐部BPの流れ方向位置Pfが分岐部BPの上流側端部の位置である。ただし、分岐部BPの流れ方向位置Pfとして、分岐部BPのうちの上流側端部以外の部分の位置が用いられてもよい。
【0028】
図3は、本実施形態に係るタービンTにおける排気導入口31cの流路断面積に対する排気流路31の各流れ方向位置Pfでの流路断面積の断面積比率の分布を示すグラフである。図3では、本実施形態における断面積比率の分布が実線によって示されており、比較例における断面積比率の分布が破線によって示されている。
【0029】
図3に示すように、本実施形態および比較例では、ともに、排気流路31のうち分岐部BPより排気導入口31c側の部分において、下流側に進むにつれて断面積比率が減少している。つまり、排気流路31のうち分岐部BPより排気導入口31c側の部分において、下流側に進むにつれて流路断面積が減少している。
【0030】
ここで、比較例では、流れ方向位置Pf=1において、断面積比率が0.6未満(具体的には、0.4程度)となっている。つまり、分岐部BPの流路断面積が、排気導入口31cの流路断面積に対して0.6倍未満となっている。一方、本実施形態では、流れ方向位置Pf=1において、断面積比率が0.6以上(具体的には、0.6程度)となっている。つまり、分岐部BPの流路断面積が、排気導入口31cの流路断面積に対して0.6倍以上となっている。
【0031】
以下、発明者が行った流動解析シミュレーションによって得られた結果を示す図4図5および図6について説明する。流動解析シミュレーションでは、排気流路31におけるガス流れの様子(例えば、方向、速度、エントロピー等)、および、タービンTの効率が算出された。
【0032】
図4は、断面積比と効率変化量との関係を示すグラフである。断面積比は、排気導入口31cの流路断面積に対する分岐部BPの流路断面積の比(つまり、流れ方向位置Pf=0での流路断面積に対する流れ方向位置Pf=1での流路断面積の比)である。効率変化量[%]は、断面積比が0.4である場合のタービンTの効率に対する各断面積比におけるタービンTの効率の変化量である。つまり、効率変化量[%]は、各断面積比におけるタービンTの効率から断面積比が0.4である場合のタービンTの効率を減算して得られる。タービンTの効率は、タービンTに入力されるエネルギに対するタービンTにより生成されるエネルギの比率である。
【0033】
図4に示すグラフによれば、断面積比が大きくなるにつれて、タービンTの効率が高くなることが分かる。特に、断面積比が0.6以上の場合、断面積比が0.4の場合に対して、タービンTの効率が少なくとも0.8%以上改善されていることが分かる。ゆえに、本実施形態では、分岐部BPの流路断面積が、排気導入口31cの流路断面積に対して0.6倍以上となっていることによって、タービンTの効率が顕著に向上することが分かる。
【0034】
図5は、比較例における流動解析シミュレーションにより得られたエントロピー分布を示す図である。図6は、本実施形態における流動解析シミュレーションにより得られたエントロピー分布を示す図である。図5および図6では、排気流路31のうち分岐部BPの近傍におけるエントロピーの分布がハッチングの濃淡により示されている。具体的には、図5および図6では、ハッチングが濃いほど(つまり、斜線の間隔が狭いほど)、エントロピーが高くなっている。また、図5および図6では、矢印によって、分岐部BPの近傍における局所的なガスの流れ方向が示されている。
【0035】
図5に示す比較例と図6に示す本実施形態を比較すると、比較例では、本実施形態と比較して、排気流路31のうち分岐部BPより下流側(図5および図6中の左側)において、エントロピーが増大していることが分かる。また、比較例では、本実施形態と異なり、排気流路31のうち分岐部BPより下流側において、ガス流れの剥離および渦流れが生じていることが分かる。
【0036】
ここで、分岐部BPの流路断面積の大きさに応じてタービンTの効率が変化することが考えられる。具体的には、分岐部BPの流路断面積が過度に小さいと、排気流路31(具体的には、排気導入路31d)を流れる排気ガスの流速が、分岐部BPにおいて過度に大きくなる。それにより、分岐部BPの近傍(例えば、排気流路31のうち分岐部BPより下流側)において、ガス流れの剥離および渦流れが生じやすくなってしまう。このような理由から、比較例(つまり、断面積比が0.4程度の場合)では、分岐部BPの近傍において、ガス流れの剥離および渦流れが生じているものと考えられる。一方、本実施形態(つまり、断面積比が0.6以上の場合)では、比較例と比べて、分岐部BPの流路断面積が大きいので、分岐部BPでの排気ガスの流速が小さくなる。それにより、分岐部BPの近傍でのガス流れの剥離および渦流れが抑制され、圧力損失が減少した結果としてタービンTの効率が向上する。
【0037】
なお、流路効率を向上させてタービン効率を向上させる観点では、排気流路31のうち分岐部BPより排気導入口31c側の部分において、下流側に進むにつれて断面積比率が緩やかに減少することが好ましい。具体的には、本実施形態では、図3に示すように、流れ方向位置Pfが0以上0.6以下となる範囲で、断面積比率が0.9以上となっている。それにより、図4および図5に示すように流路効率およびタービン効率を向上させることが適切に実現される。このように、流路効率を向上させてタービン効率を適切に向上させる観点では、排気ガスの流れ方向FD(つまり、排気流路31の延在方向)での排気導入口31c側の6割以上の領域で、流路断面積が排気導入口31cの流路断面積に対して0.9倍以上となっていることが好ましい。
【0038】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態について説明したが、本開示はかかる実施形態に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0039】
上記では、タービンTがシングルスクロール式(タービンスクロール流路31aの数が1つであるタイプ)である例を説明したが、タービンTのタイプは上記の例に限定されない。例えば、タービンTは、ダブルスクロール式(2つのタービンスクロール流路31aが異なる周方向位置で収容部29と接続されるタイプ)であってもよく、ツインスクロール式(2つのタービンスクロール流路31aが軸方向に並んで配置されるタイプ)であってもよい。
【0040】
上記では、タービンTが過給機TCに設けられる例を説明した。ただし、タービンTは、過給機TC以外の他の装置に設けられてもよい。
【符号の説明】
【0041】
15:タービン翼車 25:排気吐出口 27:排出流路 29:収容部 31:排気流路 35:バイパス流路 BP:分岐部 T:タービン TC:過給機
図1
図2
図3
図4
図5
図6