IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カワサキモータース株式会社の特許一覧 ▶ 三恭金属株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-燃料タンクキャップ 図1
  • 特許-燃料タンクキャップ 図2
  • 特許-燃料タンクキャップ 図3
  • 特許-燃料タンクキャップ 図4
  • 特許-燃料タンクキャップ 図5
  • 特許-燃料タンクキャップ 図6
  • 特許-燃料タンクキャップ 図7
  • 特許-燃料タンクキャップ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】燃料タンクキャップ
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20240123BHJP
   B62J 35/00 20060101ALI20240123BHJP
   B65D 51/00 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
B60K15/05 A
B60K15/05 B
B62J35/00 D
B65D51/00 200
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021526914
(86)(22)【出願日】2020-06-19
(86)【国際出願番号】 JP2020024123
(87)【国際公開番号】W WO2020262233
(87)【国際公開日】2020-12-30
【審査請求日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】P 2019116522
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】521431099
【氏名又は名称】カワサキモータース株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390015392
【氏名又は名称】三恭金属株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100150566
【弁理士】
【氏名又は名称】谷口 洋樹
(74)【代理人】
【識別番号】100220489
【弁理士】
【氏名又は名称】笹沼 崇
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 大輔
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 一弘
(72)【発明者】
【氏名】荒木 啓一
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】特許第5201702(JP,B1)
【文献】特開2007-1473(JP,A)
【文献】特開2001-277869(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/05
B62J 35/00
B65D 43/16
B65D 51/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料タンクの給油口を開閉するキャップ本体と、
前記給油口の周りに配置されて前記キャップ本体を囲う形状を有するリング部材と、
前記リング部材に連結されて、前記キャップ本体を閉塞位置と開放位置との間に回動自在に支持するヒンジ部材と、を備え、
前記リング部材における前記キャップ本体の外周に対向する第1外周部分が、前記ヒンジ部材における前記キャップ本体の外周に対向する第2外周部分よりも周方向に大きく、
前記リング部材と前記ヒンジ部材が、異なる材料で構成されている燃料タンクキャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料タンクキャップにおいて、前記ヒンジ部材が、回転軸心周りに回動するアーム部と、前記開放位置で前記アーム部が当接する当接部とを有し、
前記当接部が、前記第2外周部分を構成している燃料タンクキャップ。
【請求項3】
請求項2に記載の燃料タンクキャップにおいて、前記アーム部は、前記回転軸心を有する回転軸を有し、
前記ヒンジ部材は、前記回転軸を支持するヒンジ支持部を有し、
前記ヒンジ支持部の天井部に、前記当接部が形成されている燃料タンクキャップ。
【請求項4】
請求項3に記載の燃料タンクキャップにおいて、前記ヒンジ部材は、さらに、前記ヒンジ支持部を前記燃料タンクに取り付ける取付部を有し、
前記ヒンジ支持部と前記取付部とが、前記リング部材の軸方向に重ならないように径方向または周方向にずれている燃料タンクキャップ。
【請求項5】
請求項3または4に記載の燃料タンクキャップにおいて、前記ヒンジ支持部は、上面が前記天井部で連結される周方向に並んだ一対の支持壁と、前記支持壁の前記周方向の外側面に形成された補強リブとを有している燃料タンクキャップ。
【請求項6】
請求項3から5のいずれか一項に記載の燃料タンクキャップにおいて、さらに、前記リング部材と前記ヒンジ部材の天井部との隙間を平面視で隠蔽する隠蔽構造を備えた燃料タンクキャップ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の燃料タンクキャップにおいて、前記リング部材が樹脂材料からなり、前記ヒンジ部材が金属材料からなる燃料タンクキャップ。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
この出願は、2019年6月24日出願の特願2019-116522の優先権を主張するものであり、その全体を参照により本願の一部をなすものとして引用する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、自動二輪車のような鞍乗型乗物の燃料タンクの給油口を開閉する燃料タンクキャップに関するものである。
【背景技術】
【0003】
例えば、自動二輪車のような鞍乗型乗物において、所謂エアプレーンタイプと称される燃料タンクキャップが用いられたものがある(例えば、特許文献1)。このような燃料タンクキャップは、燃料タンクの給油口を開閉するキャップ本体と、給油口の周りに配置されてキャップ本体を囲う形状のリング部材と、キャップ本体を閉塞位置と開放位置との間に回動自在に支持するヒンジ部材とを備えている。特許文献1では、ヒンジ部材は金属材料で構成され、キャップ本体およびリング部材は、樹脂材料のような軽量材料で構成されている。これにより、機械的強度を確保しつつ、重量の低減が図られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5201702号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、キャップ本体およびリング部材が外表面に露出し、ヒンジ部材は、これらの部材と燃料タンクとの間に配置される。したがって、ヒンジ部材の設計の自由度が低い。特に、キャップ本体を回動させるアームおよびその当接部は、強度を必要とするが、リング部材に近接するので、大形化は難しい。リング部材を金属材料とすれば、強度は確保できるが、重量が増大するうえに、外観も損なう恐れがある。
【0006】
本発明は、重量を軽減しつつ、外観向上が可能な燃料タンクキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る燃料タンクキャップは、燃料タンクの給油口を開閉するキャップ本体と、前記給油口の周りに配置されて前記キャップ本体を囲う形状を有するリング部材と、前記リング部材に連結されて前記キャップ本体を閉塞位置と開放位置との間に回動自在に支持するヒンジ部材とを備え、前記リング部材における前記キャップ本体の外周に対向する第1外周部分が、前記ヒンジ部材における前記キャップ本体の外周に対向する第2外周部分よりも周方向に大きく、前記リング部材と前記ヒンジ部材が、異なる材料で構成されている。前記リング部材は、例えば、樹脂材料からなり、前記ヒンジ部材は、例えば、金属材料からなる。
【0008】
この構成によれば、ヒンジ部材の一部が、キャップ本体の外周に対向する第2外周部分を構成しており、キャップ本体とリング部材との間に配置されていない。したがって、ヒンジ部材の大形化を図り易い。また、ヒンジ部材の第2外周部分が、リング部材におけるキャップ本体の外周を覆う第1外周部分よりも小さいので、タンクキャップの重量の増加を抑制できるうえに、外観が大きく損なわれることもない。
【0009】
本発明において、前記ヒンジ部材が、回転軸心周りに回動するアーム部と、前記開放位置で前記アーム部が当接する当接部とを有し、前記当接部が、前記第2外周部分を構成していてもよい。この構成によれば、強度を必要とする当接部が、第2外周部分を構成しているので、当接部を大形化することができる。これにより、当接部の剛性を確保しやすい。したがって、開放位置でアーム部を強固に支持できる。
【0010】
前記ヒンジ部材が前記アーム部を有する場合、前記アーム部は、前記回転軸心を有する回転軸を有し、前記ヒンジ部材は、前記回転軸を支持するヒンジ支持部を有し、前記ヒンジ支持部の天井部に、前記当接部が形成されていてもよい。この構成によれば、簡単な構造で、アーム部を強固に支持できる。
【0011】
前記ヒンジ部材が前記ヒンジ支持部を有する場合、前記ヒンジ部材は、さらに、前記ヒンジ支持部を前記燃料タンクに取り付ける取付部を有し、前記ヒンジ支持部と前記取付部とが、軸方向に重ならないように径方向または周方向にずれていてもよい。この構成によれば、ヒンジ支持部と取付部とが径方向または周方向にずれているので、平面視で、ヒンジ支持部と取付部との間に、軸方向(上下方向)に貫通する空洞が生じる。その結果、軸方向(上下方向)に開閉する型成形により、ヒンジ部材を容易に形成できる。
【0012】
前記当接部が前記天井部に形成されている場合、前記ヒンジ支持部は、上面が前記天井部で連結される周方向に並んだ一対の支持壁と、前記支持壁の前記周方向の外側面に形成された補強リブとを有していてもよい。この構成によれば、簡単な構造で天井部を形成できるうえに、補強リブで支持壁を補強することでアーム部を安定して支持できる。
【0013】
前記当接部が前記天井部に形成されている場合、さらに、前記リング部材と前記ヒンジ部材の天井部との隙間を平面視で隠蔽する隠蔽構造を備えていてもよい。この構成によれば、第1外周部分と第2外周部分との隙間から内部が見えないので、外観が向上する。
【0014】
請求の範囲および/または明細書および/または図面に開示された少なくとも2つの構成のどのような組合せも、この発明に含まれる。特に、請求の範囲の各請求項の2つ以上のどのような組合せも、この発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
本発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施形態の説明からより明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施形態および図面は単なる図示および説明のためのものであり、本発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。本発明の範囲は添付の請求の範囲によって定まる。添付図面において、複数の図面における同一の部品番号は、同一または相当部分を示す。
図1】本発明の第1実施形態に係る燃料タンクキャップを示す平面図である。
図2】同燃料タンクキャップを示す斜視図である。
図3】同燃料タンクキャップを示す縦断面図である。
図4】同燃料タンクキャップのヒンジ部材を示す斜視図である。
図5】同ヒンジ部材を示す平面図である。
図6】同ヒンジ部材を、図5の矢印VI方向から見た背面図である。
図7】同燃料タンクキャップを図1の矢印VII方向から見た背面図である。
図8】同燃料タンクキャップの変形例を示す背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1実施形態に係る燃料タンクキャップの平面図である。本発明の燃料タンクキャップ1は、例えば、自動二輪車のような鞍乗型乗物の燃料タンクFTの給油口2を開閉する。ただし、本発明の燃料タンクキャップ1は、自動二輪車の燃料タンクに限定されず、三輪車、四輪バギーのような陸上用の鞍乗型乗物、または小型滑走艇のような水上用の鞍乗型乗物の燃料タンクにも適用できる。
【0017】
燃料タンクキャップ1は、円形の給油口2を開閉する円盤状のキャップ本体4と、給油口2の周りに配置されてキャップ本体4を囲う形状を有するリング部材6と、リング部材6に連結されてキャップ本体4を閉塞位置と開放位置との間に回動自在に支持するヒンジ部材8とを備えている。図1がキャップ本体4の閉塞位置を示し、図2がキャップ本体4の開放位置を示している。本発明の燃料タンクキャップ1は、エアプレーンタイプと呼ばれるもので、ヒンジ部材8のアーム部10が大きく湾曲し、キャップ本体4を燃料タンクFTの上面とほぼ面一にできる。これにより、燃料タンクキャップ1の見栄えがよい。
【0018】
キャップ本体4は、図1の給油口2に合致する形状であり、本実施形態では、平面視で円形である。キャップ本体4には、キーシリンダ12が取り付けられている。詳細には、キャップ本体4の外表面(上面)にキーの差し込み口12aが設けられており、この差し込み口12aにキーを差し込んでまわすことで、キャップ本体4の施錠と解錠が行われる。差し込み口12aは、キーカバー(図示せず)により覆われている。
【0019】
リング部材6は、給油口2の周りに配置され、キャップ本体4の外周を囲う形状を有している。リング部材6に、その径方向に横断する切欠部6aが形成されている。つまり、本実施形態のリング部材6は、平面視で、一部が切り欠かれた円環状である。換言すれば、リング部材6は、平面視で、C字形状である。
【0020】
なお、以下の説明で、「軸方向」、「径方向」および「周方向」とはそれぞれ、リング部材6の「軸方向」、「径方向」および「周方向」のことをいう。燃料タンクキャップ1を燃料タンクFTに取り付けた状態では、「軸方向」が上下方向とほぼ一致する。
【0021】
リング部材6は、例えば、樹脂材料のような安価で軽量な材料で形成されている。本実施形態では、リング部材6は、6,6-ナイロン製である。ただし、リング部材6の材質は、これに限定されず、例えば、ガラス繊維が入った繊維強化プラスチックであってもよく、また、アルミニウム合金であってもよい。
【0022】
リング部材6における切欠部6aの近傍に、軸方向(上下方向)向くねじ孔6bが形成されている。本実施形態では、ねじ孔6bは、切欠部6aの周方向に隣接して1つずつ、計2つ設けられている。さらに、リング部材6における各ねじ孔6bと径方向にほぼ対向する位置に、径方向内側に突出する取付片6cが設けられている。各取付片6cに、軸方向(上下方向)を向く挿通孔6dが形成されている。
【0023】
ヒンジ部材8は、例えば、金属材料で形成される。本実施形態のヒンジ部材8は、亜鉛合金で形成されている。亜鉛合金は、成形性がよく、丈夫である。ただし、ヒンジ部材8は、リング部材6と異なる材料で構成されていればよく、亜鉛合金に限定されない。ヒンジ部材8の材質は、例えば、鋼製であってもよく、また、金属以外の材料であってもよい。ヒンジ部材8は、リング部材6よりも強度の強い(剛性の高い)材料で構成されるのが好ましい。
【0024】
図3に示すように、ヒンジ部材8は、回転軸心AX周りに回動する前記アーム部10と、アーム部10を回動自在に支持するヒンジ支持部14とを有している。詳細には、アーム部10は、回転軸心AXを有する回転軸16を有し、この回転軸16がヒンジ支持部14により支持されている。
【0025】
アーム部10は、その基端部10aがヒンジ支持部14に支持され、先端部10bにキーシリンダ12が装着されている。基端部10aに、軸挿通孔10cが形成されている。アーム部10は、基端部10aから先端部10bにかけて大きく湾曲して、詳細には、ほぼ180°湾曲して、キーシリンダ12に繋がっている。アーム部10は、キーシリンダ12と一体に形成されてもよく、別体であってもよい。
【0026】
図2に示すように、ヒンジ部材8は、ヒンジ支持部14を燃料タンクFTに取り付ける取付部18を有している。本実施形態では、ヒンジ支持部14と取付部18とが、軸方向に重ならないように径方向および周方向にずれている。詳細には、ヒンジ支持部14に対して、取付部18が、径方向内側で、かつ、周方向外側にずれて設けられている。
【0027】
取付部18に、軸方向(上下方向)を向く挿通孔18aが形成されている。本実施形態では、挿通孔18aは2つ設けられているが、挿通孔18aの数はこれに限定されない。図4に示すように、ヒンジ支持部14における各挿通孔18aの近傍に、リング取付孔18bが形成されている。本実施形態では、各挿通孔18aの径方向外側に、リング取付孔18bが1つずつ形成されている。
【0028】
ヒンジ支持部14は、周方向に並んだ一対の支持壁20,20を有している。支持壁20,20は、取付部18から軸方向(上方)に延びている。各支持壁20の上端部に、接線方向を向いた軸支持孔20aが形成されている。ヒンジ支持部14の支持壁20,20の上面は、天井部22で連結されている。
【0029】
図1に示すように、ヒンジ部材8の一部分を構成する天井部22が、切欠部6aに配置されている。本実施形態では、平面視で、キャップ本体4の外周の大部分がリング部材6により覆われ、キャップ本体4の外周の一部分がヒンジ部材8(天井部22)により覆われている。
【0030】
換言すれば、リング部材6におけるキャップ本体4の外周に対向する第1外周部分24が、ヒンジ部材8におけるキャップ本体4の外周に対向する第2外周部分26よりも周方向に大きく形成されている。本実施形態では、天井部22が、ヒンジ部材8の第2外周部分26を構成している。ここで、第1外周部分24は、例えば、キャップ本体4の外周の70%以上を覆うことが好ましい。第2外周部分26が大き過ぎると、燃料タンクキャップ1の重量が大きくなる。
【0031】
図3に示す開放位置で、ヒンジ支持部14は、アーム部10が当接する当接部28を有している。本実施形態では、ヒンジ支持部14の天井部22に、当接部28が形成されている。詳細には、天井部22の下面に、当接部28が形成されている。つまり、当接部28を有する天井部22が、第2外周部分26を構成している。
【0032】
図4に示すように、各支持壁20の周方向の外側面に、補強リブ30が形成されている。本実施形態の補強リブ30は、ほぼ四角柱形状である。ただし、補強リブ30の形状はこれに限定されない。また、補強リブ30はなくてもよい。
【0033】
本実施形態では、ヒンジ部材8のヒンジ支持部14および取付部18は、型成形による一体成型品である。また、型の抜き方向は、軸方向(上下方向)である。具体的には、ヒンジ支持部14の支持壁20、天井部22(当接部28)および補強リブ30と、取付部18が、型成形により一体に形成されている。ただし、ヒンジ支持部14および取付部18の成形方法は、これに限定されず、例えば、削り出しであってもよい。
【0034】
図1に示す樹脂製のリング部材6と金属製のヒンジ部材8が強く接触しないように、平面視で、リング部材6とヒンジ部材8の天井部22との間に、周方向の隙間32が形成されている。本実施形態の燃料タンクキャップ1は、平面視で、この隙間32を隠蔽する隠蔽構造34を備えている。
【0035】
図7に示すように、切欠部6aを形成するリング部材6の各周方向端縁部に、延出部36,36が形成されている。両延出部36,36は、端縁部から下方に延びたのち、互いに接近する方向に周方向に延びている。つまり、延出部36は、隙間32およびヒンジ部材8の天井部22の下方に位置している。換言すれば、平面視で、第1外周部分24(リング部材6)の周方向端縁と第2外周部分26(天井部22)の周方向端縁がラップしている。これにより、平面視で、隙間32から内部が見えるのを防いでいる。つまり、延出部36が、平面視で隙間32を隠蔽する隠蔽構造34を構成している。
【0036】
図8は、隠蔽構造34の変形例を示す。同図の例では、切欠部6aを形成するリング部材6の各周方向端縁部の下半部に、周方向内側に後退する凹部38が形成されている。一方、ヒンジ部材8の天井部22の各周方向端縁部の下半部に、周方向外側に突出する凸部40が形成されている。
【0037】
このように、図8の変形例でも、平面視で、第1外周部分24(リング部材6)の周方向端縁と第2外周部分26(天井部22)の周方向端縁がラップしている。これにより、平面視で、隙間32から内部が見えるのを防いでいる。つまり、リング部材6の凹部38と、天井部22の凸部42が、平面視で隙間32を隠蔽する隠蔽構造34を構成している。
【0038】
図8の例では、リング部材6に凹部38が設けられ、天井部22に凸部40が設けられているが、逆であってもよい。つまり、リング部材6に凸部を設け、天井部22に凹部を設けてもよい。また、凹部38および凸部40を省略して、隙間32の下方に補強リブ30が位置するようにしてもよい。この場合、補強リブ30が、平面視で隙間32を隠蔽する隠蔽構造34を構成する。
【0039】
つぎに、燃料タンクキャップ1の組立/取付手順について説明する。まず、図3の回転軸16が、一方の支持壁20の軸支持孔20a(図4)、アーム部10の基端部10aの軸挿通孔10cおよび他方の支持壁20の軸支持孔20aの順に挿通される。これにより、アーム部10とヒンジ支持部14が連結されてヒンジ部材8が構成される。
【0040】
つづいて、アーム部10に連結されたキーシリンダ12に、キャップ本体4が取り付けられる。キャップ本体4とキーシリンダ12は、例えば、ねじ体のような締結部材(図示せず)により連結される。さらに、ヒンジ部材8にリング部材6が取り付けられる。具体的には、ねじ体のような締結部材(図示せず)が下方から、図4のヒンジ支持部14の各リング取付孔18bに挿通され、図1のリング部材6の各ねじ孔6bに締め付けられる。以上により、燃料タンクキャップ1が組み立てられる。
【0041】
つぎに、燃料タンクキャップ1が燃料タンクFTに取り付けられる。具体的には、ボルトのような締結部材(図示せず)が上方から、図4のヒンジ支持部14の各挿通孔18aに挿通され、図1の燃料タンクFTのねじ孔(図示せず)に締め付けられる。同様に、リング部材6の各取付片6cの挿通孔6dに、ボルトのような締結部材(図示せず)が上方から挿通され、燃料タンクFTのねじ孔(図示せず)に締め付けられる。以上により、燃料タンクキャップ1が燃料タンクFTに取り付けられる。
【0042】
上記構成によれば、剛性を要するヒンジ部材8が金属材料で形成され、意匠部品であるリング部材6が樹脂材料で形成されている。さらに、ヒンジ部材8の一部である天井部22が、キャップ本体4の外周に対向する第2外周部分26を構成しており、キャップ本体とリング部材との間に配置されていない。したがって、ヒンジ部材8の大形化を図り易い。また、ヒンジ部材8の第2外周部分26が、リング部材6におけるキャップ本体4の外周を覆う第1外周部分24よりも周方向寸法が小さいので、タンクキャップ1の重量の増加を抑制できるうえに、外観が大きく損なわれることもない。
【0043】
図3に示すアーム部10の回転軸16を支持するヒンジ支持部14が、図4の周方向に並んだ一対の支持壁20,20を有し、支持壁20,20の上面が天井部22で連結されている。さらに、この天井部22の下部に、図3の開放位置でアーム部10が当接する当接部28が形成されるとともに、当接部28を有する天井部22が第2外周部分26を構成している。このように、強度を必要とする当接部28(天井部22)が、第2外周部分26を構成しているので、当接部28を大形化することができる。これにより、当接部28の剛性を確保しやすい。したがって、開放位置でアーム部10を強固に支持できる。
【0044】
キャップ本体4は、キーシリンダ12等を含んでおり、重量物である。したがって、開動作時の荷重が大きいので、当接部28の耐荷重性(剛性)が重要となる。従来は、一対の支持壁の上端部に、アーム部10が当接していた。この場合、アーム部10が各支持壁に点で当たるので、耐荷重性(剛性)を確保するのが難しかった。また、支持壁はリング部材6に近接しているので、一対の支持壁を天井部で繋げるのは困難であった。具体的には、リング部材6の表面(外面)を凹凸の少ない滑らかな面に仕上げようとすると、リング部材6が部分的に薄くなってしまい、リング部材6の厚さを均一にすると、燃料タンクキャップ1の外表面が部分的に盛り上がって見栄えが悪くなる。
【0045】
上記構成では、図1の支持壁20,20の上面が天井部22で連結され、この天井部22が燃料タンクキャップ1の外表面の一部(第2外周部分26)を構成している。これにより、図3のアーム部10が天井部22の下部の当接部28に面(線)で当接する。したがって、当接部28の耐荷重性(剛性)を確保し易い。また、図2の車体への取付部18、キーシリンダ12を従来品と同じとすることで、既存の燃料タンクFTに取り付け可能で、既存のキャップ本体4を流用できる。
【0046】
図5に示すように、ヒンジ部材8のヒンジ支持部14と取付部18とが、軸方向に重ならないように径方向および周方向にずれている。特に、ヒンジ支持部14と取付部18とが径方向にずれているので、天井部22と取付部18との間に、平面視で軸方向に貫通する空洞Gが生じる。その結果、上下方向に開閉する型成形によりヒンジ部材8を容易に形成できる。図1に示すように、リング部材6の第1外周部分24が、ヒンジ部材8の第2外周部分26よりも大きく形成されている。天井部22(第2外周部分26)が大き過ぎると、燃料タンクキャップ1の重量が大きくなるうえに、型成形時に抜き難くなる。そこで、天井部22(第2外周部分26)を最小限の大きさとして、大重量化を抑制しつつ、製造コストも抑えられている。
【0047】
図6に示すように、支持壁20,20の周方向の外側面に補強リブ30が形成されている。天井部22(当接部28)の強度を確保するうえで、リング部材6との連結部であるリング取付孔18bと支持壁20との距離Lを短くするのが有利である。構造上、距離Lが大きくなる場合でも、補強リブ30で支持壁20が補強されるので、アーム部10を安定して支持できる。
【0048】
図7および図8に示すように、リング部材6とヒンジ部材8の天井部22との隙間32を平面視で隠蔽する隠蔽構造34が設けられている。これにより、第1外周部分24と第2外周部分26との隙間32から内部が見えないので、外観が向上する。
【0049】
本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の追加、変更または削除が可能である。例えば、上記実施形態では、本実施形態では、ヒンジ支持部14と取付部18とが径方向および周方向にずれていたが、径方向および周方向の一方にのみずれていてもよい。また、リング部材6とヒンジ部材8との隙間32を隠蔽する隠蔽構造34を備えていたが、このような隠蔽構造34はなくてもよい。したがって、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0050】
1 燃料タンクキャップ
2 給油口
4 キャップ本体
6 リング部材
8 ヒンジ部材
10 アーム部
14 ヒンジ支持部
16 回転軸
18 取付部
20 支持壁
22 天井部
24 第1外周部分
26 第2外周部分
28 当接部
30 補強リブ
32 隙間
34 隠蔽構造
AX 回転軸心
FT 燃料タンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8