IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ビジュアルジャパンの特許一覧

<>
  • 特許-回転装置 図1
  • 特許-回転装置 図2
  • 特許-回転装置 図3
  • 特許-回転装置 図4
  • 特許-回転装置 図5
  • 特許-回転装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】回転装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/173 20060101AFI20240123BHJP
   F16C 19/36 20060101ALI20240123BHJP
   F16C 19/26 20060101ALI20240123BHJP
   F16C 19/54 20060101ALI20240123BHJP
   B25J 17/00 20060101ALI20240123BHJP
   H02K 11/30 20160101ALI20240123BHJP
【FI】
H02K5/173 A
F16C19/36
F16C19/26
F16C19/54
B25J17/00 A
H02K11/30
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019159214
(22)【出願日】2019-09-02
(65)【公開番号】P2021040386
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】398040158
【氏名又は名称】株式会社ビジュアルジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】山田 徳廣
【審査官】若林 治男
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-135130(JP,A)
【文献】国際公開第2016/017503(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 5/173
F16C 19/36
F16C 19/26
F16C 19/54
B25J 17/00
H02K 11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の第1ロータと、
前記第1ロータの内側に、当該第1ロータと同軸に配置される第2ロータと、
前記第1ロータ及び前記第2ロータの相互間に挟まれて両者を相対回転可能に連結する軸受であって、当該軸受の中心軸上の一点を頂点とした仮想円錐の母線に沿って回転軸が円環状に配列された複数のコロを有し、各前記コロが前記一点を頂点とした円錐の一部をなす円錐台形状を有する円錐コロ軸受、又は、前記母線に沿った第1回転軸を有する複数の第1円筒コロ及び前記第1回転軸と交差する第2回転軸を有する複数の第2円筒コロが交互に円環状に配列されたクロスローラ軸受、とを備え
前記第1ロータが永久磁石を有し、
前記第2ロータが、前記永久磁石との間に電磁力を生じさせるコイルが外周側に設けられた円筒状に形成されており、
前記第2ロータに内蔵されて前記コイルに電力を供給する内蔵バッテリと、
前記第2ロータに内蔵され、前記第1ロータ及び前記第2ロータの相対回転に対する制御及び前記内蔵バッテリに対する制御を行う制御部と、を備え、
モータとして機能することを特徴とする回転装置。
【請求項2】
前記第2ロータの開口を塞ぐ板状のキャップであって、前記内蔵バッテリの充放電及び前記制御部との信号の授受を所定の外部機器との間で行うための複数の中継端子が、前記第2ロータの内側とは反対側の外面に露出して設けられた端子付きキャップを備えたことを特徴とする請求項に記載の回転装置。
【請求項3】
前記複数の中継端子が、前記端子付きキャップの前記外面に前記中心軸を中心とした同心円状に形成されており、
板状に形成され、前記端子付きキャップの前記外面に重ねられて当該端子付きキャップを介して前記第2ロータに固定され、又は、前記端子付きキャップの前記外面に重ねられつつも当該端子付きキャップが回転可能となるように前記第1ロータに固定され、前記複数の中継端子と摺擦可能に接触導通して当該複数の中継端子と前記外部機器との間を中継する複数の第2中継端子が、前記端子付きキャップの前記外面に対する対向面に露出して設けられたアダプタを備えたことを特徴とする請求項に記載の回転装置。
【請求項4】
前記円錐コロ軸受又はクロスローラ軸受は、前記第2ロータの軸方向の両端それぞれと前記第1ロータとの間に一つずつ挟まれるように一対が設けられていることを特徴とする請求項1~のうち何れか一項に記載の回転装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばロボットアームの関節アクチュエータ等に利用されるモータ等の回転装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばロボットの関節アクチュエータ等に回転装置としてのモータが利用されている(例えば特許文献1参照。)。多くの場合、モータの駆動力がギア等の機械的な装置を介してロボットにおける駆動対象へと伝達される。このとき、様々な姿勢をとる駆動対象からは、その時々の姿勢に応じた方向の過重負荷が加えられる。モータを上記のような機械的な装置と組み合わせた構造によれば、駆動対象からの過重負荷が機械的な装置によって受け止められるので、このような過重負荷が直にモータに伝わって動作不良が生じる等といったことが抑えられるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-148028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、機械的な装置をモータに組み合わせることは、駆動力のロスや構造の複雑さ等を招く可能性がある。尚、ここまで、回転装置としてモータを一例に挙げて駆動力のロスや構造の複雑さ等といった問題について説明したが、同様の問題は、例えばモータと同様の構造を有した回転装置である発電機においても生じ得る。
【0005】
従って、本発明は、上記のような問題に着目し、様々な方向から過重負荷が加わったときの動作不良を抑えつつも駆動力のロスや構造の複雑さ等も抑えることができる回転装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、筒状の第1ロータと、前記第1ロータの内側に、当該第1ロータと同軸に配置される第2ロータと、前記第1ロータ及び前記第2ロータの相互間に挟まれて両者を相対回転可能に連結する軸受であって、当該軸受の中心軸上の一点を頂点とした仮想円錐の母線に沿って回転軸が円環状に配列された複数のコロを有し、各前記コロが前記一点を頂点とした円錐の一部をなす円錐台形状を有する円錐コロ軸受、又は、前記母線に沿った第1回転軸を有する複数の第1円筒コロ及び前記第1回転軸と交差する第2回転軸を有する複数の第2円筒コロが交互に円環状に配列されたクロスローラ軸受、とを備えたことを特徴とする回転装置である。
【0007】
尚、ここにいう第1ロータ及び第2ロータは、何れのロータも他方のロータに対して相対回転可能であるという意味で「ロータ」という名称を用いているが、その運用においては一方が固定されて他方が回転するものとなっている。
【0008】
請求項に記載の発明は、更に、前記第1ロータが永久磁石を有し、前記第2ロータが、前記永久磁石との間に電磁力を生じさせるコイルが外周側に設けられた円筒状に形成されており、前記第2ロータに内蔵されて前記コイルに電力を供給する内蔵バッテリと、前記第2ロータに内蔵され、前記第1ロータ及び前記第2ロータの相対回転に対する制御及び前記内蔵バッテリに対する制御を行う制御部と、を備え、モータとして機能することを特徴とするものである。
【0009】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記第2ロータの開口を塞ぐ板状のキャップであって、前記内蔵バッテリの充放電及び前記制御部との信号の授受を所定の外部機器との間で行うための複数の中継端子が、前記第2ロータの内側とは反対側の外面に露出して設けられた端子付きキャップを備えたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項に記載の発明は、請求項に記載の発明において、前記複数の中継端子が、前記端子付きキャップの前記外面に前記中心軸を中心とした同心円状に形成されており、板状に形成され、前記端子付きキャップの前記外面に重ねられて当該端子付きキャップを介して前記第2ロータに固定され、又は、前記端子付きキャップの前記外面に重ねられつつも当該端子付きキャップが回転可能となるように前記第1ロータに固定され、前記複数の中継端子と摺擦可能に接触導通して当該複数の中継端子と前記外部機器との間を中継する複数の第2中継端子が、前記端子付きキャップの前記外面に対する対向面に露出して設けられたアダプタを備えたことを特徴とするものである。
【0011】
請求項に記載の発明は、請求項1~のうち何れか一項に記載の発明において、前記円錐コロ軸受又はクロスローラ軸受は、前記第2ロータの軸方向の両端それぞれと前記第1ロータとの間に一つずつ挟まれるように一対が設けられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
円錐コロ軸受は、仮想円錐の母線に沿ってコロの回転軸が軸受の中心軸に対して傾いており、コロ自体も円錐台形状を有している。このため、円錐コロ軸受は、円環状の配列の径方向に掛かる過重負荷だけでなく、軸受の中心軸に沿った軸方向に掛かる過重負荷に対しても高い耐久性を示す。また、クロスローラ軸受は、中心軸に対して傾きつつ互いに回転軸が交差する第1円筒コロ及び第2円筒コロが交互に配列された構造を有しており、円錐コロ軸受と同様に様々な方向からの過重負荷に対して高い耐久性を示す。請求項1に記載の発明によれば、このように様々な方向からの過重負荷に対して高い耐久性を示す円錐コロ軸受又はクロスローラ軸受を介して第1ロータ及び第2ロータが互いに軸支される。これにより、第1ロータや第2ロータに接続された駆動対象から様々な方向の過重負荷が直に加えられたとしても、そのような過重負荷が円錐コロ軸受又はクロスローラ軸受によって良好に受け止められ、第1ロータや第2ロータの回転不良等といった回転装置の動作不良が抑えられる。また、過重負荷が円錐コロ軸受又はクロスローラ軸受という回転装置内蔵の構成要素によって受け止められるので、ギア等の機械的な装置を介さずとも過重負荷による回転装置の動作不良が抑えられる。そして、機械的な装置を必要としないことから、駆動力のロスや構造の複雑さが抑えられ、機械的な装置における消耗品の交換やメンテナンス等も不要となり、その分コストも抑えられる。
【0013】
このように、請求項1に記載の発明によれば、様々な方向から過重負荷が加わったときの動作不良を抑えつつも、機械的な装置の付加に伴う駆動力のロスや構造の複雑さ等も抑えることができる。
【0014】
また、請求項1に記載の発明によれば、第1ロータ及び第2ロータが円錐コロ軸受によって相対回転可能に連結されている。これにより、請求項1に記載の発明に係る回転装置を、第1ロータを固定して第2ロータを回転させるインナーロータ型の装置として利用することも、逆に第2ロータを固定して第1ロータを回転させるアウターロータ型の装置として利用することもできる。
【0015】
更に、請求項1に記載の発明によれば、円錐コロ軸受によって第1ロータ及び第2ロータが互いに軸支された構造となっている。このため、一般的なモータや発電機のように中心軸に沿って、モータや発電機における回転駆動力の出力軸や入力軸を設ける必要がない。その結果、中心軸を含む第2ロータの内側を中空の空間として空けて、その空間をモータや発電機の構成要素の設置場所として利用することが可能となっている。
【0016】
そして、請求項に記載の発明によれば、コイルを有する第2ロータが円筒状に形成され、その円筒の内部に内蔵バッテリと制御部とが備えられ、回転装置がモータとして機能する。これにより、他の電源装置や制御装置を必要とせずに、モータ自体で、所望の状態に制御された駆動力を発生させることができる。また、永久磁石を有する第1ロータとコイルを有する第2ロータを発電機として機能させ、コイルに発生した回生電力で内蔵バッテリを自己充電することもできる。
【0017】
また、請求項に記載の発明によれば、端子付きキャップを用いて円筒状の第2ロータを密閉するとともに、内蔵の制御部と外部機器との信号の授受や、同様の構造を有する他のモータとの間で内蔵バッテリの電力を融通しあうこと等が可能となる。また、端子付き
キャップで第2ロータが密閉されることから、内部の制御部や内蔵バッテリが外界の影響を受け難い構造が取れるため、メンテナンス頻度を抑えることができる。
【0018】
また、請求項に記載の発明によれば、第2中継端子を有するアダプタを介することで、ケーブルの使用量が抑えられた高い自由度の下で、外部機器や、同様の構造を有する他のモータとの組み合わせを行うことができる。
【0019】
また、請求項に記載の発明によれば、第2ロータの両端に円錐コロ軸受やクロスローラ軸受を設けることで、第1ロータと第2ロータとの連結を高い安定性の下で行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の回転装置の一実施形態に係るモータを示す模式的な断面図である。
図2図1に示されている円錐コロ軸受を示す模式図である。
図3図1に示されている端子付きキャップを、第2ロータの内側とは反対側の外面側から見た平面図である。
図4図1に示されている第1アダプタを、端子付きキャップの外面に対する対向面側から見た平面図である。
図5図1に示されているモータの一適用例を示す模式図である。
図6】変形例におけるクロスローラ軸受を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
【0022】
図1は、本発明の回転装置の一実施形態に係るモータを示す模式的な断面図である。
【0023】
図1に示されているモータ1は、第1ロータ11、第2ロータ12、円錐コロ軸受13、内蔵バッテリ14、制御部15、端子付きキャップ16、第1アダプタ17、及び第2アダプタ18、を備えている。
【0024】
第1ロータ11は、このモータ1の中心軸1aを中心とした略円筒状の部材であり、この中心軸1a回りに円環状に配置された永久磁石111を有している。
【0025】
第2ロータ12は、第1ロータ11の内側に、この第1ロータ11と同軸に配置される、中心軸1aを中心とした略円筒状の部材である。第2ロータ12は、円筒本体121と、その外周面から突出して周方向に配列された略T字板型の複数枚のティース122と、各ティース122に巻き付けられたコイル123と、を有している。コイル123は、この第2ロータ12の外周側に位置して第1ロータ11の永久磁石111との間に電磁力を生じさせる。
【0026】
円錐コロ軸受13は、第1ロータ11及び第2ロータ12の相互間に挟まれて両者を相対回転可能に連結する軸受としての円環ベアリングである。
【0027】
図2は、図1に示されている円錐コロ軸受を示す模式図である。
【0028】
円錐コロ軸受13は、同心円状に配置された円環状の外輪131及び内輪132と、両者間に各々が回転可能に挟まれて円環状に配列された複数のコロ133と、を有している。外輪131の内面131a及び内輪132の外面132aは、各々が、円錐コロ軸受13の中心軸、即ちモータ1の中心軸1a上の一点1bを頂点とした円錐外面131b,132bの一部をなしている。これにより、複数のコロ133は、各コロ133の回転軸133aが、上記の一点1bを頂点とした仮想円錐13aの母線13a-1に沿って円環状に配列されるように、外輪131と内輪132とに挟まれて配列されることとなる。さらに、複数のコロ133それぞれも、上記の一点1bを頂点とした円錐133bの一部をなす円錐台形状を有している。円錐コロ軸受13は、複数のコロ133それぞれが回転することで、外輪131及び内輪132が相対回転する円環ベアリングとなっている。
【0029】
本実施形態では、このような円錐コロ軸受13が、第2ロータ12の軸方向の両端それぞれと第1ロータ11との間に一つずつ挟まれるように一対が設けられている。各円錐コロ軸受13の設置は、円錐コロ軸受13の内輪132が第2ロータ12における円筒本体121の両端それぞれの外周面に固定され、外輪131が第1ロータ11の内周面に固定されることで行われる。外輪131及び内輪132が複数のコロ133を介して相対回転するので、第1ロータ11及び第2ロータ12が相対回転可能に連結されることとなっている。また、一対の円錐コロ軸受13は、一方の円錐コロ軸受13における仮想円錐13aが他方の円錐コロ軸受13の側へと先細るように、互いに向かい合わせに配置されている。
【0030】
図1に示さている内蔵バッテリ14は、第2ロータ12の円筒本体121に内蔵されて外周側のコイル123に電力を供給する電源である。この内蔵バッテリ14としては、例えばリチウムイオン電池等が採用され得る。
【0031】
制御部15は、エンコーダ、モータドライバ、及びBMU(Battery Management Unit)が搭載された回路基板となっている。エンコーダは、第1ロータ11及び第2ロータ12の相対回転の位置検出を行う。モータドライバは、この相対回転に対する制御を行う。また、BMUは、内蔵バッテリ14に対する制御を行う。この回路基板としての制御部15が、内蔵バッテリ14とともに第2ロータ12の円筒本体121に内蔵されている。
【0032】
端子付きキャップ16は、第2ロータ12における円筒本体121の開口121aを塞ぐ円板状のキャップであり、円筒本体121の両端それぞれについて1枚ずつ一対が設けられている。
【0033】
図3は、図1に示されている端子付きキャップを、第2ロータの内側とは反対側の外面側から見た平面図である。
【0034】
図1及び図3に示されているように、円板状の端子付きキャップ16には、複数(本実施形態では6つ)の中継端子161が、端子付きキャップ16の外面16aに中心軸1aを中心とした同心円溝状に露出して設けられている。6つの中継端子161は、外周側から中心軸1a側に、電源(+)端子、制御A(IN)端子、制御B(IN)端子、制御A(OUT)端子、制御B(OUT)端子、及び電源(-)端子の順に配列されている。各中継端子161からは、端子付きキャップ16を厚み方向に貫通して不図示の配線が延びており、内蔵バッテリ14及び制御部15に接続されている。中継端子161のうち電源(+)端子及び電源(-)端子は、内蔵バッテリ14の充放電のために用いられる。また、制御A(IN)端子、制御B(IN)端子、制御A(OUT)端子、及びB(OUT)端子は、制御部15との信号の授受を所定の外部機器との間で行うために用いられる。
【0035】
上述したように、端子付きキャップ16は、第2ロータ12における円筒本体121の両端それぞれの開口121aを塞ぐように一対が設けられている。また、各端子付きキャップ16には、以下に説明する第1アダプタ17をネジ止め固定するためのネジ穴162が6個所に設けられている。
【0036】
第1アダプタ17は、第2ロータ12に、端子付きキャップ16を介して他の構造物を連結するための延長部材である。
【0037】
図4は、図1に示されている第1アダプタを、端子付きキャップの外面に対する対向面側から見た平面図である。
【0038】
図1及び図4に示されているように、第1アダプタ17は、円板状に形成され、端子付きキャップ16の外面16aに重ねられてネジ止め固定される。これにより、第1アダプタ17は、端子付きキャップ16を介して第2ロータ12に固定される。このとき、第1アダプタ17では、6つの中継端子161と一対一に摺擦可能に接触導通し、6つの中継端子161と外部機器との間を中継する6つの第2中継端子171が、端子付きキャップ16の外面16aに対する対向面17aに露出して設けられている。
【0039】
各第2中継端子171は、対向面17aから中継端子161の溝に嵌入して内面に接触導通する4つの端子突起171aと、突起間を繋ぐ円弧状の導体パターン171bと、を備えた円環状に形成されている。そして、6つの第2中継端子171が、端子付きキャップ16における6つの中継端子161と一対一に対応するように、中心軸1aを中心とした同心円状に露出して形成されている。即ち、6つの第2中継端子171も、外周側から中心軸1a側に、電源(+)端子、制御A(IN)端子、制御B(IN)端子、制御A(OUT)端子、制御B(OUT)端子、及び電源(-)端子の順に配列されている。
【0040】
また、上述したように、第1アダプタ17は、端子付きキャップ16の外面16aに重ねられてネジ止め固定される。そして、各第1アダプタ17には、端子付きキャップ16へとネジ止め固定するための貫通孔172が、端子付きキャップ16における6つのネジ穴162と一対一に対応する6個所に設けられている。
【0041】
また、第1アダプタ17における各第2中継端子171からは、第1アダプタ17を厚み方向に対向面17aから外面17bへと貫通して不図示の配線が延びており、この外面17bで6芯のフラットケーブル173の各芯線に接続されている。
【0042】
第2アダプタ18は、第1ロータ11に他の構造物を直に連結するための延長部材である。第2アダプタ18は、円板状に形成され、端子付きキャップ16の外面16aに重ねられつつも端子付きキャップ16が回転可能となるように第1ロータ11にネジ止め固定される。第2アダプタ18における端子付きキャップ16の外面16aに対する対向面18aには、第1アダプタ17と同様の6つの第2中継端子181が設けられている。
【0043】
図1の例では、第2ロータ12の両端の端子付きキャップ16のうち、図中左側の端子付きキャップ16に、フラットケーブル173付きの第1アダプタ17が、他の構造物との機械的及び電気的な連結を担う部材として固定されている。他方、図中右側の端子付きキャップ16には、フラットケーブル183が接続されていない第2アダプタ18が面接触しつつ、他の構造物との機械的な連結のみを担う部材として、第1ロータ11に固定されている。本実施形態では、モータ1は、他の構造物と連結される内側の第2ロータ12が固定子となり、外側の第1ロータ11が回転子となるアウターロータ型のモータとして構築されている。第1ロータ11が回転するときには、第2中継端子181が端子付きキャップ16における中継端子161を摺擦しつつ第2アダプタ18が第1ロータ11と一緒に回転する。
【0044】
尚、図中右側については、図1の例とは異なり、フラットケーブル173が接続されていない第1アダプタ17が機械的な連結のみを担う部材として端子付きキャップ16に固定されるように構成してもよい。
【0045】
また、モータ1は、図1の例とは異なり、内側の第2ロータ12を回転子とし、外側の第1ロータ11を固定子とするインナーロータ型のモータとして利用することもできる。この場合には、例えば、図中左側の端子付きキャップ16には、フラットケーブル173が接続されていない第1アダプタ17が固定される。そして、図中右側について、フラットケーブル183付きの第2アダプタ18が端子付きキャップ16に面接触しつつ第1ロータ11に固定されることとなる。
【0046】
モータ1においてどのようなアダプタをどのような場所に設置するかは、モータ1自体の設置態様に応じて適宜に設定し得るものである。
【0047】
図5は、図1に示されているモータの一適用例を示す模式図である。
【0048】
この図5の例は、モータ1を2つ、一方をインナーロータ型のモータ1-1、他方をアウターロータ型のモータ1-2として利用して組み合わせた例である。
【0049】
インナーロータ型のモータ1-1では、固定子となる外側の第1ロータ11の一端が第1フレームF11に固定されている。第1ロータ11の他端には、第2ロータ12における一端の端子付きキャップ16に面接触した状態でフラットケーブル183付きの第2アダプタ18が固定されている。そして、第2ロータ12における他端の端子付きキャップ16には第1アダプタ17を介して、アウターロータ型のモータ1-2を保持する第2フレームF12が連結されている。
【0050】
アウターロータ型のモータ1-2では、第2フレームF12が有する一対の腕部F121それぞれが、第2ロータ12の両端それぞれの端子付きキャップ16に第1アダプタ17を介して連結されている。このとき、何れか一方の第1アダプタ17にはフラットケーブル173が接続されており、このフラットケーブル173が、インナーロータ型のモータ1-1における上記のフラットケーブル183に接続されている。これにより、インナーロータ型のモータ1-1とアウターロータ型のモータ1-2との間における内蔵バッテリ14の電力の授受等が可能となっている。即ち、例えば一方の内蔵バッテリ14の充電率が低くなった時に他方の内蔵バッテリ14の電力を融通する等といった運用が可能となっている。
【0051】
以上に説明した本実施形態のモータ1では、円錐コロ軸受13は、仮想円錐13aの母線13a-1に沿ってコロ133の回転軸133aが軸受の中心軸1aに対して傾いている。また、コロ133自体も円錐台形状を有していることから、円環状の配列の径方向に掛かる過重負荷だけでなく、軸受の中心軸1aに沿った軸方向に掛かる過重負荷に対しても高い耐久性を示す。本実施形態によれば、このように様々な方向からの過重負荷に対して高い耐久性を示す円錐コロ軸受13を介して第1ロータ11及び第2ロータ12が互いに軸支される。これにより、第1ロータ11や第2ロータ12に接続された駆動対象から様々な方向の過重負荷が直に加えられたとしても、そのような過重負荷が円錐コロ軸受13によって良好に受け止められる。その結果、第1ロータ11や第2ロータ12の回転不良等といったモータ1の動作不良が抑えられる。また、過重負荷が円錐コロ軸受13というモータ1内蔵の構成要素によって受け止められるので、ギア等の機械的な装置を介さずとも過重負荷によるモータ1の動作不良が抑えられる。そして、機械的な装置を必要としないことから、駆動力のロスや構造の複雑さが抑えられ、機械的な装置における消耗品の交換やメンテナンス等も不要となり、その分コストも抑えられる。
【0052】
このように、本実施形態によれば、様々な方向から過重負荷が加わったときの動作不良を抑えつつも、機械的な装置の付加に伴う駆動力のロスや構造の複雑さ等も抑えることができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、第1ロータ11及び第2ロータ12が円錐コロ軸受13によって相対回転可能に連結されている。これにより、モータ1を、第1ロータ11を固定して第2ロータ12を回転させるインナーロータ型モータとして利用することも、逆に第2ロータ12を固定して第1ロータ11を回転させるアウターロータ型モータとして利用することもできる。
【0054】
更に、本実施形態によれば、円錐コロ軸受13によって第1ロータ11及び第2ロータ12が互いに軸支された構造となっている。このため、一般的なモータや発電機のように中心軸に沿って、モータや発電機における回転駆動力の出力軸や入力軸を設ける必要がない。このため、本実施形態では、中心軸1aを含む第2ロータ12の内側を中空の空間として空けて、その空間をモータ1の構成要素の設置場所として利用することが可能となっている。
【0055】
そして、本実施形態によれば、コイル123を有する第2ロータ12が円筒状に形成され、その円筒の内部に内蔵バッテリ14と制御部15とが備えられている。これにより、他の電源装置や制御装置を必要とせずに、モータ1自体で、所望の状態に制御された駆動力を発生させることができる。また、永久磁石111を有する第1ロータ11とコイル123を有する第2ロータ12を発電機として機能させ、コイル123に発生した回生電力で内蔵バッテリ14を自己充電することもできる。
【0056】
また、本実施形態によれば、端子付きキャップ16を用いて円筒状の第2ロータ12を密閉するとともに、内蔵の制御部15と外部機器との信号の授受や、同様の構造を有する他のモータとの間で内蔵バッテリ14の電力を融通しあうこと等が可能となる。また、端子付きキャップ16で第2ロータ12が密閉されることから、内部の制御部15や内蔵バッテリ14が外界の影響を受け難い構造が取れるため、メンテナンス頻度を抑えることができる。
【0057】
また、本実施形態によれば、第2中継端子171,181を有する第1アダプタ17や第2アダプタ18を介することで、ケーブルの使用量が抑えられた高い自由度の下で、外部機器や、同様の構造を有する他のモータとの組み合わせを行うことができる。
【0058】
また、本実施形態によれば、第2ロータ12の両端に円錐コロ軸受13を設けることで、第1ロータ11と第2ロータ12との連結を高い安定性の下で行うことができる。
【0059】
次に、上述した実施形態に対する変形例について説明する。この変形例は、上述の円錐コロ軸受13に替えて、以下に説明するクロスローラ軸受を備えている。
【0060】
図6は、変形例におけるクロスローラ軸受を示す模式図である。尚、この図6では、図2に示されている構成要素と同等な構成要素については、図2と同じ符号が付されており、以下、それら同等な構成要素についての重複説明を省略する。
【0061】
この図6に示されているクロスローラ軸受23は、同心円状に配置された円環状の外輪231及び内輪232と、両者間に各々が回転可能に挟まれて円環状に配列された複数の第1円筒コロ233aと、複数の第2円筒コロ233bと、を有している。外輪231の内面及び内輪232外面には、V字溝231a,232aが形成されている。第1円筒コロ233aは、中心軸2a上の一点2bを頂点とした仮想円錐23aの母線23a-1に沿って第1回転軸233a-1を有している。また、第2円筒コロ233bは、第1回転軸233a-1と交差する第2回転軸233b-1を有している。外輪231及び内輪232のV字溝231a,232aで区画される空間内に、第1円筒コロ233a及び第2円筒コロ233bが交互に円環状に配列されている。クロスローラ軸受23は、複数の第1円筒コロ233a及び複数の第2円筒コロ233bそれぞれが回転することで、外輪231及び内輪232が相対回転する円環ベアリングとなっている。
【0062】
この変形例では、このようなクロスローラ軸受23が、第2ロータ12の軸方向の両端それぞれと第1ロータ11との間に一つずつ挟まれるように一対が設けられている。各クロスローラ軸受23の設置は、クロスローラ軸受23の内輪232が第2ロータ12における円筒本体121の両端それぞれの外周面に固定され、外輪231が第1ロータ11の内周面に固定されることで行われる。外輪231及び内輪232が複数の第1円筒コロ233a及び複数の第2円筒コロ233bを介して相対回転するので、第1ロータ11及び第2ロータ12が相対回転可能に連結されることとなっている。
【0063】
クロスローラ軸受23は、中心軸2aに対して傾きつつ互いに回転軸が交差する第1円筒コロ233a及び第2円筒コロ233bが交互に配列された構造を有しており、上述した円錐コロ軸受13と同様に様々な方向からの過重負荷に対して高い耐久性を示す。従って、このクロスローラ軸受23を用いた変形例によっても、円錐コロ軸受13を用いた上述の実施形態と同様、様々な方向から過重負荷が加わったときの動作不良を抑えつつも駆動力のロスや構造の複雑さ等も抑えることができる。
【0064】
尚、以上に説明した実施形態は回転装置の代表的な形態を示したに過ぎず、回転装置は、これに限定されるものではなく種々変形して実施することができる。
【0065】
例えば、上述した実施形態では、回転装置の一例としてモータ1が例示されている。しかしながら、回転装置は、モータに限るものではなく発電機であってもよい。
【0066】
また、上述した実施形態では、回転装置の一例として、円筒状の第2ロータ12に内蔵バッテリ14と制御部15とを内蔵したモータ1が例示されている。しかしながら、回転装置をモータとして機能させる場合であっても、その具体的な構造はこれに限るものではなく、バッテリや制御部を第2ロータの外部に配置することとしてもよい。ただし、内蔵バッテリ14と制御部15とを内蔵した構造とすることで、モータ自体で、所望の駆動力を発生させることができ、内蔵バッテリを自己充電することもできる点は上述した通りである。
【0067】
また、上述した実施形態では、回転装置の一例として、複数の中継端子161を有する端子付きキャップ16を備えたモータ1が例示されている。しかしながら、回転装置はこれに限るものではなく、このような端子付きキャップ16を備えていなくてもよい。ただし、端子付きキャップ16を備えることで、第2ロータ12の密閉や、制御部15と外部との信号の授受や、内蔵バッテリ14の電力の外部との融通等が可能となる点は上述した通りである。
【0068】
また、上述した実施形態では、回転装置の一例として、第2中継端子171,181を有する第1アダプタ17や第2アダプタ18を備えたモータ1が例示されている。しかしながら、回転装置はこれに限るものではなく、このようなアダプタを備えていなくてもよい。ただし、第1アダプタ17や第2アダプタ18を備えることで、ケーブルの使用量が抑えられた高い自由度の下で、外部との組み合わせを行うことができる点は上述した通りである。
【0069】
また、上述した実施形態及び変形例では、回転装置の一例として、円錐コロ軸受13又はクロスローラ軸受23が第2ロータ12の両端に設けられたモータ1が例示されている。しかしながら、回転装置は、これに限るものではなく、円錐コロ軸受やクロスローラ軸受の具体的な設置位置や設置数は任意に設定し得るものである。ただし、第2ロータ12の両端に円錐コロ軸受13やクロスローラ軸受23を設けることで、第1ロータ11と第2ロータ12との連結を高い安定性の下で行うことができる点は上述した通りである。また、第2ロータの両端に軸受を設置する場合であっても、一端に円錐コロ軸受を設け、他端にクロスローラ軸受を設けることとしてもよい。
【符号の説明】
【0070】
1 モータ(回転装置)
1a,2a 中心軸
1b,2b 一点
1-1 インナーロータ型のモータ
1-2 アウターロータ型のモータ
11 第1ロータ
12 第2ロータ
13 円錐コロ軸受
13a,23a 仮想円錐
13a-1,23a-1 母線
14 内蔵バッテリ
15 制御部
16 端子付きキャップ
16a,17b 外面
17 第1アダプタ
17a,18a 対向面
18 第2アダプタ
111 永久磁石
121 円筒本体
121a 開口
122 ティース
123 コイル
131,231 外輪
131a 内面
131b,132b 円錐外面
132,232 内輪
132a 外面
133 コロ
133a 回転軸
133b 円錐
161 中継端子
162 ネジ穴
171,181 第2中継端子
171a 端子突起
171b 導体パターン
172 貫通孔
173,183 フラットケーブル
231a,232a V字溝
233a 第1円筒コロ
233a-1 第1回転軸
233b 第2円筒コロ
233b-1 第2回転軸
F11 第1フレーム
F12 第2フレーム
F121 腕部
図1
図2
図3
図4
図5
図6