(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-22
(45)【発行日】2024-01-30
(54)【発明の名称】美容組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/9767 20170101AFI20240123BHJP
A61K 8/9794 20170101ALI20240123BHJP
A61K 8/9728 20170101ALI20240123BHJP
A61Q 19/08 20060101ALI20240123BHJP
A61K 36/15 20060101ALI20240123BHJP
A61K 36/899 20060101ALI20240123BHJP
A61K 36/064 20060101ALI20240123BHJP
A61P 17/18 20060101ALI20240123BHJP
A61K 36/28 20060101ALI20240123BHJP
A61K 36/734 20060101ALI20240123BHJP
A61K 36/78 20060101ALI20240123BHJP
A61K 36/87 20060101ALI20240123BHJP
A23L 2/38 20210101ALI20240123BHJP
A23L 2/39 20060101ALI20240123BHJP
【FI】
A61K8/9767
A61K8/9794
A61K8/9728
A61Q19/08
A61K36/15
A61K36/899
A61K36/064
A61P17/18
A61K36/28
A61K36/734
A61K36/78
A61K36/87
A23L2/38 C
A23L2/39
(21)【出願番号】P 2019180774
(22)【出願日】2019-09-30
【審査請求日】2022-09-02
(73)【特許権者】
【識別番号】398028503
【氏名又は名称】株式会社東洋新薬
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(72)【発明者】
【氏名】尾上 貴俊
(72)【発明者】
【氏名】神谷 智康
【審査官】田中 雅之
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-106022(JP,A)
【文献】特開2013-213013(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0087996(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0027891(US,A1)
【文献】特開2007-112943(JP,A)
【文献】特開2015-086160(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第1788590(CN,A)
【文献】Nestle, USA,Beauty Drink,Mintel GNPD [online],2008年08月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#959080, [検索日:2023.06.15], 表題部分,成分,製品のバリエーション
【文献】Fancl, Japan,Tense Up EX Drink,Mintel GNPD [online],2004年01月,Internet <URL:https://portal.mintel.com>,ID#247411, [検索日:2023.06.15], 表題部分,成分,製品のバリエーション
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
A61K 36/00-36/9068
A61K 31/33-33/44
A61K 35/00-35/768
A61K 31/00-31/327
A61P 1/00-43/00
A23L 2/00- 2/40
A23L 5/40- 5/49
A23L 31/00-33/29
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
松樹皮
抽出物と
、セラミド
含有米抽出物、及びセレン
含有酵母から選ばれる少なくとも1種の素材とを含有することを特徴とする美容組成物
(ただし、セラミド及びコラーゲントリペプチドを含有する液体飲料、並びに、セレンを含有する消耗性フィルム組成物を除く)。
【請求項2】
松樹皮
抽出物と、
カモミール、セイヨウサンザシ、ドグダミ及びブドウ葉からなる混合ハーブ
抽出物とを含有することを特徴とする
経口用美容組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、松樹皮及び特定の他の素材を含有する美容組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
生体内に余分な活性酸素が存在すると細胞が損傷することが知られている。活性酵素は、例えば、コラーゲン線維の架橋、ヒアルロン酸の断片化等を引き起こし、しわ増大や弾力性低下等の皮膚老化を促進する。このような活性酸素による生体への悪影響を防ぐため、抗酸化機能を有する素材が探求されている。
【0003】
例えば、松樹皮は、プロアントシアニジンを含有し、抗酸化作用を有することが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、抗酸化作用が飛躍的に向上した美容組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、松樹皮及び特定の他の素材を組み合わせることにより、抗酸化作用を飛躍的に向上させることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、松樹皮と、抗酸化作用がほとんどないか、その能力が小さい特定の他の成分を組み合わせることにより、抗酸化作用を飛躍的に向上させることができることを見いだした。
【0007】
すなわち、本発明は、以下のとおりのものである。
[1]松樹皮と、ハーブ、セラミド及びセレンから選ばれる少なくとも1種の素材とを含有することを特徴とする美容組成物。
[2]抗酸化に用いられることを特徴とする[1]記載の美容組成物。
[3]経口用であることを特徴とする[1]又は[2]記載の美容組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明の美容組成物は、非常に優れた抗酸化作用を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の組成物(松樹皮及びハーブ)のDPPHラジカル消去活性を示すグラフである。
【
図2】本発明の組成物(松樹皮及びセラミド)のDPPHラジカル消去活性を示すグラフである。
【
図3】本発明の組成物(松樹皮及びセレン)のDPPHラジカル消去活性を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の組成物は、松樹皮と、ハーブ、セラミド及びセレンから選ばれる少なくとも1種の素材(他素材)とを含有することを特徴とする。松樹皮と共に用いられる他素材は、1種単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて用いてもよい。2種以上組み合せて用いる場合、松樹皮と相乗効果の高い他素材同士を組み合わせることが好ましい。
【0011】
本発明の美容組成物は、優れた抗酸化作用(活性酸素消去作用)を有する。すなわち、皮膚等における活性酸素の発生を抑え、消去することができる。したがって、本発明の美容組成物は、皮膚のしわ防止、皮膚のはり・弾力低下防止、皮膚の保護、皮膚の保湿力向上、アンチエイジング等の美容効果を得ることができる。
【0012】
以下、本発明の組成物に含まれる各素材(以下、本発明の素材ということがある)について説明する。
[松樹皮]
本発明で用いられる松樹皮の原料松としては、フランス海岸松(Pinus Martima)、カラマツ、クロマツ、アカマツ、ヒメコマツ、ゴヨウマツ、チョウセンマツ、ハイマツ、リュウキュウマツ、ウツクシマツ、ダイオウマツ、シロマツ等を挙げることができ、これらの中でも、抗酸化作用の強いフランス海岸松を用いることが好ましい。
【0013】
本発明においては、松樹皮を加工して用いることができ、松樹皮加工物としては、例えば、チップ状物、粉砕物、搾汁物、抽出物や、これらの乾燥粉末を挙げることができる。本発明において用いられる松樹皮は、製剤性を考慮すると、適用が容易であることから、粉砕物、搾汁物、抽出物又はこれらの乾燥粉末であることが好ましく、抗酸化作用の点から、抽出物又はその乾燥粉末であることがより好ましい。松樹皮加工物は、当業者により通常知られている方法によって製造したものでもよいし、市場に流通しているものであってもよい。例えば、株式会社東洋新薬製の松樹皮抽出物を用いることができる。
【0014】
松樹皮抽出物を得る際に使用する抽出溶媒としては、例えば、水、有機溶媒、含水有機溶媒(含水エタノールといった含水アルコール)が挙げられる。有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、ブタン、アセトン、ヘキサン、シクロヘキサン、プロピレングリコール、含水エタノール、含水プロピレングリコール、エチルメチルケトン、グリセリン、酢酸メチル、酢酸エチル、ジエチルエーテル、ジクロロメタン、食用油脂、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、及び1,1,2-トリクロロエテンが挙げられる。これらの水及び有機溶媒は単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。抽出溶媒としては、水を用いることが好ましい。なお、抽出する際の溶媒の温度は、用いる溶媒の沸点以下であれば限定されない。
【0015】
松樹皮抽出物を得る方法については、特に限定はないが、例えば、加温抽出法、超臨界流体抽出法、液体二酸化炭素回分法、液体二酸化炭素還流法、超臨界二酸化炭素還流法等が挙げられる。また、複数の抽出方法を組み合わせてもよい。複数の抽出方法を組み合わせることにより、種々の組成の松樹皮抽出物を得ることが可能となる。
【0016】
超臨界流体抽出法とは、物質の気液の臨界点(臨界温度、臨界圧力)を超えた状態の流体である超臨界流体を用いて抽出を行う方法である。超臨界流体としては、二酸化炭素、エチレン、プロパン、亜酸化窒素(笑気ガス)等が用いられるが、二酸化炭素が好ましく用いられる。
【0017】
超臨界流体抽出法では、目的成分を超臨界流体によって抽出する抽出工程と、目的成分と超臨界流体を分離する分離工程とを行う。分離工程では、圧力変化による抽出分離、温度変化による抽出分離、吸着剤、吸収剤を用いた抽出分離のいずれを行ってもよい。
【0018】
また、エントレーナー添加法による超臨界流体抽出を行ってもよい。この方法は、抽出流体に、例えば、エタノール、プロパノール、n-ヘキサン、アセトン、トルエン、その他の脂肪族低級アルコール類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、ケトン類を2~20W/V%程度添加し、この流体を用いて超臨界流体抽出を行うことによって、OPC(Oligomeric proanthocyanidin:オリゴメリック・プロアントシアニジン)、カテキン類等の目的とする抽出物の抽出溶媒に対する溶解度を飛躍的に上昇させる、あるいは分離の選択性を増強させる方法であり、効率的な松樹皮抽出物を得る方法である。
【0019】
超臨界流体抽出法は、比較的低い温度で操作できるため、高温で変質・分解する物質にも適用できるという利点、抽出流体が残留しないという利点、溶媒の循環利用が可能であるため、脱溶媒工程等が省略でき、工程がシンプルになるという利点がある。
【0020】
上記の抽出により得られた松樹皮抽出物を、カラム法又はバッチ法により精製することが安全性の面から好ましい。カラム法としては、例えば、ダイヤイオンHP-20、Sephadex-LH20、キチン等の吸着性担体を用いた精製方法が挙げられる。
【0021】
本発明に用いられる松樹皮抽出物は、主な成分の一つとして、プロアントシアニジンを含有する。プロアントシアニジンは、フラバン-3-オール及び/又はフラバン-3,4-ジオールを構成単位とする重合度が2以上の縮重合体からなる化合物群である。
【0022】
本発明に用いられる松樹皮抽出物は、プロアントシアニジンとして重合度が2以上の縮重合体が含有されていることが好ましい。特に、重合度が低い縮重合体が多く含まれるプロアントシアニジンが好ましい。重合度の低い縮重合体としては、例えば、重合度が2~30の縮重合体(2~30量体)であり、重合度が2~10の縮重合体(2~10量体)が好ましく、重合度が2~4の縮重合体(2~4量体)がさらに好ましい。本明細書では、重合度が2~4の重合体を、OPC(oligomeric proanthocyanidin)という。本発明に用いられる松樹皮抽出物は、OPCを20質量%以上含有することが好ましく、30質量%以上含有することがより好ましく、40質量%以上含有することがさらに好ましい。
【0023】
[ハーブ]
本発明に用いられるハーブは、薬草や、料理、茶飲料、香料、保存料として用いられる植物である。具体的には、カモミール、セイヨウサンザシ、ドクダミ、ブドウ、ペパーミント、ローズヒップ、ハイビスカス、レモングラス、レモンバーム、マローブルー、ローズマリー、エキナセア、ラベンダー、タイム、シナモン等を挙げることができる。これらの中でも、ドクダミ、セイヨウサンザシ、カモミール、ブドウが好ましく、ドクダミ、セイヨウサンザシ、カモミール、及びブドウを併用することが特に好ましい。
【0024】
[カモミール]
カモミールは、学名が「Matricaria chamomilla」で、和名が「カミツレ」のキク科シカギク属の耐寒性一年草であり、ヨーロッパから西アジアにかけて分布している。カモミールの使用部位としては、地上部及び地下部が挙げられる。地上部としては、葉、茎、花、果実が挙げられ、地下部としては根が挙げられるが、本発明で用いるカモミールとしては、抗酸化作用が高いため、花を含むことが好ましい。
【0025】
[セイヨウサンザシ]
セイヨウサンザシは、バラ科サンザシ属の植物である。セイヨウサンザシの使用部位としては、葉、茎、花、果実などが挙げられるが、本発明で用いるセイヨウサンザシとしては、抗酸化作用が高いため、葉、花、果実であることが好ましく、果実であることが特に好ましい。
【0026】
[ドクダミ]
ドクダミは、学名が「Houttuynia cordata」のドクダミ科ドクダミ属の多年草である。ドクダミの使用部位としては、地上部及び地下部が挙げられる。地上部としては、葉、茎、花、果実が挙げられ、地下部としては根が挙げられる。本発明で用いるドクダミとしては、抗酸化作用が高いため、地上部であることが好ましく、花を含むことが特に好ましい。
【0027】
[ブドウ]
ブドウは、ブドウ科ブドウ属の植物であり、ブドウ(Vitis vinifera L.)、アメリカブドウ(Vitis labrusca L.)、アマヅル(V.saccharifera Makino)、エビヅル(V.ficifolia bunge var.lobata(Regel)Nakai)、サンカクヅル(V.flexuosa Thunb.)、ヤマブドウ(V.coiguetiae Pulliat)、欧・米雑種ブドウ(V.labruscana Bailey)等を用いることができる。ブドウの使用部位としては、葉、茎、花、果実などが挙げられるが、本発明で用いるカモミールブドウとしては、抗酸化作用が高いため、葉であることが好ましい。
【0028】
本発明においては、収穫したハーブを加工して用いることができ、ハーブ加工物としては、例えば、チップ状物、粉砕物、搾汁物、抽出物や、これらの乾燥粉末を挙げることができる。本発明において用いられるハーブは、製剤性を考慮すると、適用が容易であることから、粉砕物、搾汁物、抽出物又はこれらの乾燥粉末であることが好ましく、抗酸化作用の点から、抽出物又はその乾燥粉末であることがより好ましい。ハーブ加工物は、当業者により通常知られている方法によって製造したものでもよいし、市場に流通しているものであってもよい。
【0029】
ハーブの抽出物は、適当な溶媒を用いて抽出することにより得ることができ、溶媒としては、例えば、水;エタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノールなどの低級アルコール;酢酸エチル、酢酸メチルなどの低級エステル;アセトン;これらと水との混合溶媒などが挙げられる。抽出溶媒の温度は、使用する溶媒に応じて室温~沸点以下で適宜設定することができる。本発明においては有機溶媒と水の混合溶媒を使用することができ、混合溶媒としては、例えば、エタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、酢酸エチル、酢酸メチル、アセトンと、水との混合溶媒を用いることができる。抽出溶媒の温度は、使用する溶媒に応じて室温~沸点以下で適宜設定することができる。本発明においては、抗酸化作用の点から、熱水抽出物が好ましい。
【0030】
[セラミド]
本発明に用いられるセラミドとしては、セラミド1、セラミド2、セラミド3等のヒト型セラミドの他、牛、馬、豚等の脳、脊髄等から抽出した動物由来のセラミド、小麦、稲、大豆、ホウレンソウ、トウモロコシ、こんにゃく、パイナップル等から抽出した植物由来のセラミドを用いることができる。また、本発明に用いられるセラミドとしては、糖セラミドであってもよく、具体的に例えば、ガラクトシルセラミド、グルコシルセラミド等の単糖が結合したものや、オリゴ糖が結合したものを挙げることができる。本発明の美容組成物においては、植物由来のセラミドを用いることが好ましく、小麦、トウモロコシ、稲などのイネ科植物由来のグルコシルセラミドを用いることが更に好ましく、その中でも、抗酸化作用の点から、稲から採取される米や種子から抽出したグルコシルセラミドを用いることが特に好ましい。抽出に使用される溶媒としては、例えば、水;エタノール、メタノール、イソプロパノール、ブタノールなどの低級アルコール;酢酸エチル、酢酸メチルなどの低級エステル;アセトン;これらと水との混合溶媒などが挙げられる。抽出溶媒の温度は、使用する溶媒に応じて室温~沸点以下で適宜設定することができる。本発明においては、抽出溶媒としては、有効成分を効率よく抽出できることから、エタノール又は含水エタノールが好ましい。
【0031】
[セレン]
セレンは、ミネラルの1種であり、ヒトの必須栄養素である。本発明に用いるセレンとしては、セレン元素を含むセレン化合物の形態や、セレン化合物を含む酵母を挙げることができる。具体的には、亜セレン酸ナトリウム、セレノメチオニン、セレン強化酵母を例示することができ、市販品を用いることができる。
【0032】
本発明の美容組成物は、例えば、医薬品(医薬部外品を含む)や、特定保健用食品、栄養機能食品、機能性表示食品等の所定機関より効能の表示が認められた機能性食品などのいわゆる健康食品や、化粧品や、トイレタリー用品等として用いることができる。
【0033】
本発明の美容組成物は、美容用途に用いることができ、かかる美容用組成物としては、本発明の素材を含有し、美容に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物(広告媒体)のいずれかに、抗酸化作用等の美容効果がある旨を表示したものが本発明の範囲に含まれる。なお、本発明の美容用組成物は、製品の包装等に、本発明の本発明の素材が有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよい。また、一般的な食品であっても、用途を示唆して製造販売されるものは本発明の範囲に含まれる。
【0034】
また、本発明の美容組成物は、抗酸化用途に用いることができ、かかる抗酸化用組成物としては、本発明の素材を含有し、抗酸化に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物(広告媒体)のいずれかに、抗酸化作用等の美容効果がある旨を表示したものが本発明の範囲に含まれる。なお、本発明の美容用組成物は、製品の包装等に、本発明の本発明の素材が有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよい。また、一般的な食品であっても、用途を示唆して製造販売されるものは本発明の範囲に含まれる。
【0035】
また、本発明の美容組成物は、DPPHラジカル消去活性用途に用いることができ、かかるDPPHラジカル消去活性用組成物としては、本発明の素材を含有し、DPPHラジカル消去活性に用いられる点において、製品として他の製品と区別することができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、本発明に係る製品の本体、包装、説明書、宣伝物(広告媒体)のいずれかに、DPPHラジカル消去活性作用等の美容効果がある旨を表示したものが本発明の範囲に含まれる。なお、本発明の美容用組成物は、製品の包装等に、本発明の本発明の素材が有効成分として表示されているものに限られない。例えば、有効成分を特定していないものであってもよい。また、一般的な食品であっても、用途を示唆して製造販売されるものは本発明の範囲に含まれる。
【0036】
具体的に、いわゆる健康食品においては、「肌を守る」、「しわが気になる方に」、「ストレスに負けない肌に」、「美容にうれしい」、「肌にうれしい」、「老化防止に」、「アンチエイジングに」、「酸化ストレスの軽減に」、「体内の有害物質を排除したい方に」、「活性酸素の軽減に」等を表示したものを例示することができる。
【0037】
本発明の美容組成物は、上記の効果が気になる人であれば性別や年齢に関係なく摂取することができるが、本発明の美容組成物の効果をより有効に享受することができることから、女性が摂取することが望ましく、30代以降の女性が摂取することがより望ましい。
【0038】
本発明の美容組成物が経口剤の場合、その形態としては、例えば、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、液状、粒状、棒状、板状、ブロック状、固形状、丸状、ペースト状、クリーム状、カプレット状、ゲル状、チュアブル錠状、スティック状等を挙げることができる。これらの中でも、錠状、カプセル状、粉末状、顆粒状、丸状、チュアブル錠状の形態が好ましく、錠状、カプセル状、丸状、チュアブル錠状がより好ましい。
【0039】
本発明の組成物を錠状、丸状、チュアブル錠状とする場合、賦形剤、滑沢剤、流動化剤のいずれか1種以上を添加することにより、成型性を高めるとともに得られた錠剤、丸剤又はチュアブル錠剤の保存安定性を向上するため、好ましい。特に、賦形剤及び滑沢剤を使用することで保存安定性をより高めることができる。
【0040】
賦形剤とは、組成物の取扱いあるいは成形の向上や服用を便利にするために加えるものである。本発明に使用できる賦形剤としては特に制限はなく、例えば、デンプン、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、デンプン分解物等のデンプン又はその誘導体、結晶セルロース、糖アルコール、乳糖、ビール酵母、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、精製白糖、軽質無水ケイ酸、ケイ酸カルシウム、酸化チタン、沈降炭酸カルシウム等などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
滑沢剤とは、錠剤用の粉末を圧縮する際に打錠機杵臼と錠剤間の摩擦を緩和し、スティッキングなどの打錠障害を防ぐために使用するものである。本発明に使用できる滑沢剤としては、上記目的を達成することが可能な成分であれば特に制限はなく、例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム等のステアリン酸又はその塩、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、タルク、ポリエチレングリコール、植物油脂、硬化油などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0042】
流動化剤とは、混合末や顆粒の流動性を改善するために使用するものである。本発明に使用できる流動化剤としては特に制限はなく、例えば二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウムなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。本発明において、賦形剤、滑沢剤、流動化剤はいずれも市販品を使用することができる。
【0043】
本発明の美容組成物が外用剤の場合、その形態としては、例えば、ローション状、乳液状、ゲル状、クリーム状、軟膏状、粉末状、顆粒状等を挙げることができる。具体的には、化粧水、化粧クリーム、乳液、クリーム、パック、ヘアトニック、ヘアクリーム、シャンプー、ヘアリンス、トリートメント、ボディシャンプー、洗顔剤、石鹸、ファンデーション、白粉、口紅、リップグロス、頬紅、アイシャドー、整髪料、育毛剤、水性軟膏、油性軟膏、目薬、アイウォッシュ、シップ、ジェルなどが挙げられる。また、口腔へ適用する場合は、歯磨剤、マウスウォッシュ、スプレーなどが挙げられる。
【0044】
本発明の美容組成物における本発明の素材の含有量としては、その効果の奏する範囲で適宜含有させればよい。
【0045】
具体的には、本発明の美容組成物が錠状、丸状、カプセル状、チュアブル錠状の場合には、本発明の素材が乾燥質量換算で全体の0.000001~60質量%含まれていることが好ましく、0.00001~50質量%含まれていることがより好ましく、0.0001~40質量%含まれていることがさらに好ましく、抗酸化作用の点から、0.01~30質量%含まれていることが特に好ましい。
【0046】
本発明の美容組成物が粉末状、顆粒状の場合、本発明の素材が乾燥質量換算で全体の0.000001~100質量%含まれていることが好ましく、0.00001~90質量%含まれていることがより好ましく、0.0002~80質量%含まれていることがさらに好ましく、抗酸化作用の点から、0.01~70質量%含まれていることが特に好ましい。
【0047】
本発明の美容組成物が液状の飲料の場合、本発明の素材が乾燥質量換算で全体の0.0000001~50質量%含まれていることが好ましく、0.00001~25質量%含まれていることがより好ましく、0.0002~10質量%含まれていることがさらに好ましく、抗酸化作用の点から、0.001~5質量%含まれていることが特に好ましい。
【0048】
本発明の美容組成物が経口剤の場合、摂取量としては特に制限はないが、成人の1日当たり、本発明の素材の摂取量が、10mg/日以上となるように摂取することが好ましく、20mg/日以上となるように摂取することがより好ましく、抗酸化作用の点から、30mg/日以上となるように摂取することがさらに好ましい。その上限は、例えば、100000mg/日であり、好ましくは80000mg/日であり、より好ましくは60000mg/日である。
【0049】
本発明の美容組成物が経口剤の場合、1日の摂取量が前記摂取量となるように適宜設計すればよく、1回で摂取してもよいし、複数回に分けて摂取してもよい。例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤又はチュアブル錠剤の場合は1日あたり1~4回の摂取回数とし、合計量として前記摂取量が摂取できればよく、飲料の場合、1日の摂取量に前記摂取量が配合されていればよい。本発明の美容組成物は、1日の摂取量が前記摂取量となるように、1つの容器に、又は例えば2~3の複数の容器に分けて、1日分として収容することができる。
【0050】
本発明の美容組成物が外用剤の場合、本発明の素材が乾燥質量換算で全体の0.0000001~50質量%含まれていることが好ましく、0.000001~20質量%含まれていることがより好ましく、0.00001~10質量%含まれていることがさらに好ましく、抗酸化作用の点から、0.0001~5質量%含まれていることが特に好ましい。
【0051】
本発明の美容組成物が外用剤である場合、使用量としては特に制限はなく、使用対象個体の年齢、体重、体質等の様々な要因を考慮して適宜選択することができる。
【0052】
また、松樹皮及び他素材の配合質量比としては、乾燥質量換算で、1:0.00001~25の範囲であることが好ましく、1:0.0001~10の範囲であることがより好ましく、1:0.001~5の範囲であることがさらに好ましく、1:0.001~2.5の範囲であることが特に好ましい。
【0053】
本発明の美容組成物は、必要に応じて、本発明の素材以外の他の成分を添加して、公知の方法によって製造することができる。
本発明の美容組成物が経口剤の場合、他の成分としては、例えば、水溶性ビタミン(ビタミンB1、B2、B3、B5、B6、B7、B9、B12、B13、B15、B17、ビタミンC、ビタミンP、コリン、イノシトール、PABA)、脂溶性ビタミン(ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK)等のビタミン類;マグネシウム、リン、亜鉛、鉄等のミネラル類;タウリン、ニンニク等に含まれる含硫化合物;ヘスペリジン、ケルセチン等のフラバノイド或いはフラボノイド類;コラーゲン等のタンパク質;ペプチド;アミノ酸;動物性油脂;植物性油脂;動物・植物の粉砕物又は抽出物等を挙げることができる。
【0054】
本発明の美容組成物が外用剤の場合、添加できる成分としては、種々の薬効成分(活性酸素除去剤、抗酸化剤、抗炎症剤、細胞賦活剤、ビタミン剤、ホルモン剤、これらの作用を有する動植物由来の抽出物など)、他の油剤(リノール酸、リノレン酸、パルミチン酸、DHA、EPAなどの不飽和脂肪酸およびその誘導体、亜麻仁油、ヤシ油、ホホバ油、オリーブ油、スクワラン、スクワレン、馬油、コメヌカ油、ヒマシ油などの動植物より抽出された油およびその誘導体など)、保湿剤(コラーゲンまたはその分解物、カロットエキスなどに含まれるコラーゲン類似ペプチド、大豆ペプチド、アミノ酸、ヒアルロン酸などのムコ多糖類、コンドロイチンなどのアミノ糖、トレハロースなどの糖類、海藻類、アルギン酸、グルコマンナン、ペクチンなどの水溶性食物繊維など)、界面活性剤(レシチンや脂肪酸エステル、アミノ酸誘導体など)、紫外線吸収剤(酸化亜鉛、酸化チタンなど)、紫外線吸収促進剤などを挙げることができる。
【実施例】
【0055】
[試験1:抗酸化作用の評価]
以下に記載する方法により、DPPHラジカル消去活性を測定し、本発明の組成物の抗酸化作用を評価した。
【0056】
(被験物質)
松樹皮として、フランス海岸松樹皮の熱水抽出物(乾燥粉末)を用いた。
ハーブとして、カモミール、セイヨウサンザシ、ドグダミ及びブドウ葉の4種類のハーブから熱水抽出した混合ハーブ抽出物を用いた。
セラミドとして、グルコシルセラミドを10.0%以上含有するセラミド含有米抽出物(乾燥粉末)を用いた。
セレンとして、Seを0.2%以上含むセレン含有酵母(粉末)を用いた。
【0057】
(被験物質溶液および、0.1mMDPPH溶液の調製)
被験物質溶液は超純水にて調製した。単体の溶液に関しては、10mg/mLのハーブ、セラミドおよびセレンを2倍で段階希釈したものを試験に供した。組み合わせ溶液に関しては、1mg/mLの松樹皮と20mg/mLのハーブ、セラミドおよびセレンをそれぞれ1:1で混合したものを、0.5mg/mLの松樹皮を用いて2倍で段階希釈したものを試験に供した。試験溶液における被験物質濃度は、添加濃度を100倍に希釈した濃度となる。
DPPH溶液は100%エタノールで調整し、0.1mMDPPHとしたものを使用した。
【0058】
(DPPHラジカル消去活性の測定)
被験物質溶液、0.1mMDPPH及び100%エタノールを表1に示す割合で混合し、転倒混和にて撹拌した。20分間室温にてインキュベートした後、96ウェルプレートに200μLずつ移した。プレートリーダーにて516nmにおける吸光度を測定し、次の式によりDPPHラジカル消去活性(%)を算出した。
また、コントロールにおけるDPPHラジカル消去活性を100とした。
【0059】
DPPHラジカル消去活性(%)
=(試験溶液test-試験溶液 blank) / (コントロール test-コントロール blank)×100
【0060】
(式中、試験溶液 test:試験溶液(test)の吸光度
試験溶液 blank:試験溶液(blank)の吸光度
コントロール test:コントロール(test)の吸光度
コントロール blank:コントロール(blank)の吸光度)
【0061】
【0062】
(測定結果)
松樹皮のDPPHラジカル消去活性率を100とした場合の、DPPHラジカル消去活性の測定結果を
図1~
図3に示す。数値がプラスの場合、コントロールに比べてDPPHラジカル消去活性が高いことを意味し、マイナスの場合、コントロールに比べてDPPHラジカル消去活性が低いことを意味する。ハーブを単独で添加した場合、DPPHラジカル消去活性が若干認められたものの、セラミド及びセレンをそれぞれ単独で添加した場合には、DPPHラジカル消去活性は全く認められなかった。一方、松樹皮と、ハーブ、セラミド及びセレンの各成分とを組み合わせた場合、DPPHラジカル消去活性が相乗的に向上した。
以上より、松樹皮と、ハーブ、セラミド及びセレンの各素材とを組み合わせることにより、抗酸化作用が飛躍的に向上することが明らかとなった。したがって、本発明の組成物は、抗酸化作用を有する美容組成物として極めて有用である。
【0063】
以下に本発明の種々の態様の例を挙げるが、本発明の技術的範囲はこれらに限定されるものではない。
【0064】
<製造例1~製造例5>
下記表2の配合にて、松樹皮と、本発明の他素材を配合して、均一になるように混合した後、打錠装置を用いて成形することによって錠剤を製造した(1粒あたり250mg)。得られた飲食用組成物を摂取したところ、美容効果の高い組成物が得られた。
【0065】
【0066】
<製造例6~製造例10>
下記表3の配合にて、松樹皮と、本発明の他素材を配合して、均一になるように混合し、ゼラチンを含む被膜に充填することによってハードカプセルを製造した(1粒あたり350mg)。得られた飲食用組成物を摂取したところ、美容効果の高い組成物が得られた。
【0067】
【0068】
<製造例11~製造例15>
下記表4の配合にて、松樹皮と、本発明の他素材を配合して、均一になるように混合し、ゼラチン及びグリセリンを含む被膜で被包することによってソフトカプセルを製造した(1粒あたり300mg)。得られた飲食用組成物を摂取したところ、美容効果の高い組成物が得られた。
【0069】
【0070】
<製造例16~製造例20>
下記表5の配合にて、松樹皮と、本発明の他素材を配合して、均一になるように混合することによって粉末飲料を製造した。得られた飲食用組成物3gを150mLの水と混合し、飲用したところ、美容効果の高い組成物が得られた。
【0071】
【0072】
<製造例21~製造例25>
下記表6の配合にて、松樹皮と、本発明の他素材を配合して型流動層造粒機に投入し、数分間気流で混合し、これに、水60Lを1分間に2000mL噴霧することにより造粒を行った。つづいて、得られた造粒物を30メッシュの篩いにて篩別し顆粒を製造した。得られた飲食用組成物を摂取したところ、美容効果の高い組成物が得られた。
【0073】
【0074】
<製造例26~製造例30>
下記表7の配合にて、松樹皮と、本発明の他素材を配合し、ローションを製造した。得られた外用剤を使用したところ、美容効果の高い組成物が得られた。
【0075】
【0076】
<製造例31~製造例35>
下記表8の配合にて、松樹皮と、本発明の他素材をそれぞれ配合し、クリームを製造した。得られた外用剤を使用したところ、美容効果の高い組成物が得られた。
【0077】
【0078】
<製造例36~製造例40>
下記表9の配合にて、松樹皮と、本発明の他素材をそれぞれ配合し、乳液を製造した。得られた外用剤を使用したところ、美容効果の高い組成物が得られた。
【0079】
【0080】
<製造例41~製造例45>
下記表10の配合にて、松樹皮と、本発明の他素材をそれぞれ配合し、ゲル剤を製造した。得られた外用剤を使用したところ、美容効果の高い組成物が得られた。
【0081】
【0082】
<製造例46~製造例50>
下記表11の配合にて、松樹皮と、本発明の他素材をそれぞれ配合し、エアゾール剤を製造した。得られた外用剤を使用したところ、美容効果の高い組成物が得られた。
【0083】
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の美容組成物は、健康食品等として用いることができることから、産業上の有用性は高い。